【想花】遺されたあなたへ
こはる
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シナリオID:1874
オープニング
今日ね、たくさん木の実を採れたのよ。
それでね、たくさんお姉ちゃんに褒めてもらったの。
ぎゅーってしてくれて、優しく撫でてもらえて、とても嬉しかったのよ。
でもね、お母さんにしてもらうのが一番嬉しいの。
だからいっぱいぎゅーってして、いっぱいいい子ってしてね。
もう少しお姉ちゃんになるまでは甘えんぼさんでいたいのよ。
くっついてるのってぽかぽか温かくてとっても幸せ。
ずーっとずーーっとこうしていてね。
お母さん、あのね…………大好きよ!
●たとえ仮初めの揺り籠でも
静かな夜の闇の中、淡い紫色の双眸が瞬く。
少女はむくりと起き上がると、まるで誰かを探すかのように暗い部屋中に視線を彷徨わせた。
見慣れた部屋。
いつもの匂い。
けれど当たり前のように傍にいてくれた大切な人だけが、いない。
悲しくて、心細くて。じわりと滲んだ涙はあっと言う間に珠のように次々と零れ落ちる。
「お母さん……おかあ、さん……っ」
啜り泣きながら何度も名を呼んでいると、包み込むように背中から抱きしめられた。そのままあやすように何度も何度も優しく頭を撫でられ、少女は堰切ったように泣きじゃくり始める。
「……夢を見たの?」
「うん……うんっ。お母さんに会えたの。ぎゅーってしてたくさん撫でてくれたの……っ」
「……そう。きっとあなたに会いに来たのね」
その言葉に少女は振り返ると、縋る様に声の主を見上げる。
血は繋がっていないけれども姉のような存在のその人は、優しくて、けれども少しだけ寂しそうに少女を見つめていた。
「本当のっ……お母さんがいい……っ。おかあ、さん……会いたいよぉ……」
嗚咽の合間に紡がれる願いはもう二度と叶わない。少女の母親は既に亡くなっているのだから。
その日からずっと女性は少女に寄り添い続け、最愛の母を喪った哀しみを少しでも柔らげたいと、少女と母が暮らした家に共に住んでいるのだ。
けれどどれだけ言葉を重ねても、同じ時を過ごしても。母親の代わりにはなれない。少女の痛みを代わりに引き受けてもあげられない。
自分に出来るのは少女が哀しみを乗り越えられるように傍で見守り続ける事だけだ。
「寂しい気持ちは涙と一緒に流してしまいましょうね。それまではずっとこうしててあげる」
やり場のない少女の想いが仄かな熱と共にじわりと広がり、胸元を濡らしていく。
思い切り泣くのは哀しみを乗り越える為に必要な事だ。けれどそれを伝えるには少女はまだ幼過ぎる。故に女性は少女の泣ける場所で在る為に抱きしめ続けてきた。
何処にも行かないでとでも言うように、痛い位に強くしがみついて来る少女の小さな手。その手が求めているのは、心を満たせるのは自分ではない。それでも。
「大丈夫よ。ちゃんとあなたの傍にいるわ」
抱きしめる腕と、頭を撫でる手と、言葉で伝える。血は繋がっていなくとも本当の妹のように想う気持ちを伝える為に。
やがて眠りを誘うような子守唄が宵闇の中に小さく響き始める。
フィルエス大森林の小さな里に優しく、温かに。
●追憶の白雪想花
依頼を終え休息を取っていた冒険者達は、森の中から感じる視線に居心地の悪さを感じていた。
新たな敵でもなければ監視するようなものでもないそれは、一言で表すなら好奇心の塊と言った感じだ。
時折「すごい」だとか「初めて見た」だとか小さな独り言が聞こえてくる。声の主は気づかれていないと思っているようだが、はっきり言ってバレバレである。
声音からして恐らくは幼い子供だろう。ここはフィルエス大森林の目の前だからエルフの子供の可能性が高い。
見かねた冒険者の一人が声の聞こえる茂みに近づくと、エルフの少女がぴょこんと勢い良く顔を出してきた。
「わあ、外の世界の人っ! すごいのよ! 本当にいたのね!」
少女は淡い紫色の瞳をキラキラと輝かせながら、全く臆する事なく冒険者達の周りをうろうろし始める。
「そのお洋服、とっても素敵ね! この武器はとてもカッコいいわ! すごい、すごいのよ!!」
少女は陽に透けるような金色の髪をふわふわと舞わせながら、大興奮をその小さな体で表すかのようにぴょんぴょんとジャンプを繰り返している。
「あのね、あたしはユナって言うの。このお花と同じお名前なのよ」
ユナと名乗った少女は自身の髪飾りを指差し、にっこりと笑う。
それはロスガリアでは一般的にアイリスと呼ばれる花であったが、彼女の氏族の間ではユナの花と言われているのだろう。
「あのね、あたしはこれから白雪想花を探しに行くのよ。あなた達も一緒に来る?」
そう尋ねるユナの顔には『一緒に来て欲しい』と書いてあるようだった。期待を込めた瞳でじーっと見つめられると何とも断りにくい。
それはどんな花なのかと尋ねると、ユナはぱあっと瞳を輝かせる。
「初めは真っ白いお花だけど、お話したい人の事を思い出しながら触るとね、その人の瞳の色に変わるの。それでね、声が聞けるのよ」
まるで夢物語のような話だ。そんな魔法も紋具も聞いた事がない。
「でもたくさんは聞けないの。それでも……死んじゃったお母さんとお話してるみたいで、あたしはとっても嬉しいのよ」
ユナが屈託なく笑いながらそっと触れる髪飾りは、母から贈られた大切な宝物なのだろう。
幼い子供特有の想像や妄想の話なのかもしれない。母を求める寂しさからユナが聞こえていると思い込んでいるだけなのかもしれない。
それでも、もし――あの人の声がもう一度聞けるのならば。
胸に浮かぶ懐かしき面影に冒険者達の心は揺れるのだった。
解説
マスターより
リプレイ
「イズルお兄ちゃん、サラお姉ちゃん、シルヴィアお姉ちゃん、パヴェルお兄ちゃん、ヴィナスお兄ちゃん、レティシアお姉ちゃん……ふふっ、お兄ちゃんとお姉ちゃんがいっぱいなのよ」
一人一人の名を嬉しそうに口にするユナにサラは遠慮がちに声をかける。
「白雪想花……きれいな名前だ、ね。いつも、ユナちゃんは、お花、探してる、の?」
「そうよ。宝物探しみたいでワクワクするの!」
「ユナさん、どんな場所で見つけたのか教えてくれないか?」
イズル・M・ヴォルゴールの問いにユナは『優しいお日様の光がある所にひとつずつ』咲いていた、と答える。
「お花畑、みたいに、いっぱい咲いてる、場所、あると、いいね。ユナちゃんがまた、聞きたいな、って思った時、たくさん探さないで、いいように」
サラの言葉にユナは嬉しそうに頷いた。
「あたしの為だけじゃなくて皆が大切な人とお話出来るように、絶対にお花畑を見つけたいのよ」
「よぉしその意気だ。こうしたら遠くまでよく見えるかぃ?」
パヴェル・A・サムルガチェフはユナを抱き上げ、自らの逞しい肩に座らせる。
「とってもよく見えるのよ! 鳥さんに手が届きそう!」
「もうちょい手を伸ばせばお日様にも触れるかもしれねぇなぁ」
パヴェルは豪快な笑い声を上げた。肩車をしたまま走ってあげると、楽しそうな笑い声が森の中に弾むように響く。
「季節が違えば咲く花も違う。君に一番似合うのはユナの花だね」
「ええ。ユナ様の髪飾り、とても素敵でございますね」
シルヴィア・A・カペルとレティシア・レインフィールに褒められ、ユナは嬉しそうに髪飾りに触れた。
「この花は森の外ではアイリスと呼ぶんだ。花言葉は『希望』や『良き便り』だよ」
「白いアイリスの花には『貴方を大切にします』と言う花言葉もあるのですよ。きっとユナ様のお母様は本当に心から貴方を大切に想って、その髪飾りを贈られたのでしょうね」
二人の言葉に満面の笑みで応えるユナを、ヴィナスは少し離れた場所から見つめていた。
(少しだけ目が腫れてる。昨夜は泣きながら眠ったのだろうか)
ユナを案じていると目の前を金色に輝く蝶がひらひらと通り過ぎて行く。
「陽月蝶だわ! お日様の時間は金色だけどお月様の時間になると暗い青い色になるのよ」
「あのね、ホークアイで、森を、上から、見てみた、の。あの蝶々さん、この奥に、たくさん、集まってる、よ」
一同はサラの報告に顔を見合わせる。
もしも『優しいお日様の光』が太陽の光ではなく、陽月蝶の金色の鱗粉の輝きだとしたら――。
●魂はいつでも共に
辿り着いた場所の幻想的な雰囲気に一同は息を呑んだ。
天には陽月蝶の金色の鱗粉が光の粒のように舞い、地には雪のように白雪想花の花畑が広がっている。
イズルは腹違いの双子の兄妹との邂逅を思い出しながら、真白い花に手を伸ばす。
(俺の都合のいい夢幻じゃなかったら、もう一度、声が聞けるかもしれない……)
夜空の様な濃紺の髪に月の様な瞳を思い浮かべていると、やがて花びらは銀色に染まった。
(兄上の瞳の色だ。それにこの温もりは、きっと……)
瞳を閉じると両手を兄妹達に優しく握られているような気がした。
『前に会えたのも奇跡だって思ったのに。亡霊にも奇跡は起こるんだな。深い霧が開けて、温かい光と、その先にお前が見えた』
あの日と同じ声。
二度目の奇跡が起きた。
『幻とか、都合のいい妄想とか、最悪悪霊って思われても仕方ないのに……。あの一瞬でも僕達の事信じて、想ってくれたんだな』
耳元に感じる視線が温かくて、優しくて。
当たり前じゃないか、と小さく呟く。
『イズル、こっちに来るような馬鹿はするなって前に言ったけど、やらなきゃいけない時は、僕達の事、呼んでほしい。絶対に、駆けつける。絶対に、助けるから』
今世で会う事の叶わなかった双子達はいつも自分の事を見守ってくれている。
寄り添ってくれている。
「兄上……2度会えたなら夢幻じゃない。次は奇跡に任せた再会じゃない」
聞こえているだろうか。
彼にも彼女にも。
「今度は俺から……強くなって、その手を掴む術を物にしてみせる」
その誓いに応えるかのように最期の言葉が胸に響く。
泣きたくなる位に優しい声だった。
『本当の意味で傍にいてやれてないけど、いつも隣で見守ってる……大事な弟』
●未来を守る愛
(声が聞こえる花か……)
そっと雪のような花びらに触れれば、その色はヴィナスの想像通りの色を帯びていく。
『ルーくん』
(ああ、やっぱり母さんの声だ)
自分の愛称を呼ぶ母の声は愛しさに満ちていた。
愛され育った幼い頃の記憶が甦ってくる。
『私達商人はお金を稼ぐのがおしごと。でも、それは悪いことをして稼いではだめ』
よく言ってたな、と思わず笑ってしまう。
実父も父さんだった頃の遠い昔に。
『これからの時代、商人は客を選ぶのでななく、客を作るの。沢山のことに目を向け、あなたもみんなも沢山幸せになれるよう考えるのが大切よ。そうして巡るお金こそが社会を豊かにしていくの』
まだ幼いヴィナスに新たな時代の商人として大切な事を伝えてくれていた母は、家族だけではなく皆の幸せを考える優しさと、広い視野で未来を見つめる先見の明を持つ女性だった。
『ハーディングフェーレを奏でるのは商会を継ぐのには関係ないと思ってるかもしれないけど、あなた自身が豊かになるもの、好きなら奏でていいのよ』
習い事だけれども好きになってしまった宝物を手放さなくていいと言ってくれた。
美しいものは人生を彩ってくれるとからと。
(母さんが亡くなった後に辞めさせられてしまったけど、今も大事に持っているよ)
『あなた自身の為にあなたの好きで人生を豊かになさい』
自分の為の人生を謳歌していいのだと背中を押されている気がした。
(ありがとう、母さん。あなたの息子で良かった)
未だ閉じた瞼の裏で、母が優しく笑った。
●白月の涙
「私も母様から頂いた物があるのですよ。子守唄として、沢山の歌を」
レティシアはまるで幼い頃の自身の姿を見ているようで、どうしてもユナの事が気掛かりだった。
「よろしければ、一緒に歌いましょうか。勿論、皆様のお邪魔にならない程度に」
白雪想花の花畑に響くレティシアの歌声は静かに、優しく、聴く人の心を揺らす。
歌い終えた後、レティシアは華奢な指で純白の花に触れた。
思い浮かべるのは幼い頃に亡くなった実の母。触れた指先から紫水晶の色が広がっていく。
『良い子ですね、レティ』
『レティ、今度は一緒に歌いましょうね』
『お母さんもレティの事、大好きですよ』
自分に向けられる眼差しは。
世界で一番綺麗で優しい歌声は。
惜しみなく伝えられる愛の言葉は。
小さなレティシアだった日々を形作る思い出は、幸せに満ちていた。
「母様……」
二度と聞けない筈だった、母の声。
声と共に、あの優しい歌声と微笑みも思い出して。
けれど同時に最期の姿も重なる。
一面の雪の中、まるで大きな花のように赤く染まって。
何度名前を呼んでも、雪の中で寝たらだめよって言っても、返事をしてくれなかった。
母の死が信じられなくて。あまりにも悲しくて、小さなレティシアはその事を忘れてしまった。
心が壊れないようにと記憶に鍵をかけた。
そして同じような光景を目にして全てを思い出した時、理解した。
(私が、母様を殺した。自害であったとしても、それに変わりはない)
手の甲に落ちた滴でレティシアは自分が泣いている事に気付いた。
白の手巾を縋るように握り締め、ただ静かに涙を流し続ける。
「お母さん……っ」
嗚咽の代わりに、ただ一言呟く。
滲む視界の向こう側で紫水晶に染まった花が、見守るように仄かに光っていた。
●私の為の人生を
白い花びらを瞬く間に染めた碧寄りの青はシルヴィアに瓜二つの祖父の瞳の色だった。
それ故にシルヴィアの先生は彼女を友人である祖父の生まれ変わりとして扱い、祖父のように育てようとしたのだろう。
祖父の様な人間になれと十歳のシルヴィアに名付け、祖父の口調に矯正させ、祖父の服装をさせ、髪を切らせて。
未練から執着へ。それが吸血鬼の毒による呪いと気づかずに。
『自分と同じ白髪青眼の子孫が生まれたら、それは僕の生まれ変わりだから、どうか友人になってほしい』
祖父の声はきっと先生に向けられているのだろう。
初めて聞くその声に、体を流れる同じ血が懐かしさに震えるようだった。
『必ずまた、君に会いに来る』
リザードマンの輪廻転生という死生観を信じる祖父の再会の誓いは、永い時を生きる先生にとって『約束』であり『希望』だったのだろう。
シルヴィアは先日に届いた再会を願う手紙を思い出す。
『――良いんだ、きっかけになりさえすれば。人を嫌いにならないで欲しいんだ』
声色の変化に声をかけている相手が変わったのだと気づく。
その相手は恐らく――。
『広い世界を知って欲しい。僕と君の子孫にも。そうだろう、イザベラ?』
最愛の妻の名を呼ぶその声はどこまでも温かだった。
(皆、貴方を想っている。けれど私は貴方のようにはなれない。先生の望み通り貴方になろうとして無理だと分かった)
例え生き写しのようにそっくりな見た目でも。
生き方をなぞろうとしても。
(より自分が鮮明になっただけだった)
私は私。
祖父にはなれない。
●薄霧の中の過去
パヴェルが武骨な指で花びらに触れた瞬間、まるで岩のように低く重い声が耳に飛び込んできた。
(これは……ケンタウロス語か?)
『俺達が何をしたって言うんだ。どうして冒険者達に殺されなければならない!?』
亜人語適性で理解したその声は怒号に近かかった。
パヴェルの心臓が早鐘を打ち始める。酷く嫌な予感がした。
『あまりに多勢に無勢だ! 一度逃げて態勢を整えよう! このままじゃ全滅だぞ!!』
彼の必死の呼びかけは抗戦の意思を揺るがせない同胞達には届かなかったのだろう。
一人また一人と命を散らして行く様が目に浮かぶようだった。
『いつかはお前と旅に出て、お前を両親の元に返してやりたかった』
空白の過去が少しずつ明かされていく。
パヴェルは幼い頃にケンタウロス達に攫われたらしい。そして声の主は愛着を抱く程に大切にしてくれていたのだ。
『初めは怯えるように俺を見ていたのに……いつしか後をくっついて離れなくなってたお前が、堪らなく可愛かった……』
先程まで仲間に逃げろと伝え続けた熱量が声音から失われ、激しく咳き込む声はやがて苦悶の呻きに変わっていく。
最後まで聞き届けなくてはならないと思った。
小さく片膝で立ちその膝を包み込むように蹲るパヴェルの背中は、まるで小さな子供のようだ。
『叶うなら……お前にもう一度……会いたかっ……た……』
冒険者の討伐隊に襲撃され、薄い表情で身動きを取らず立ち竦んだその最期をパヴェルが目にする事はない。けれども声音に滲む悔恨の想いが胸に迫る。
「叶うなら俺も会いたかった――」
誰にも聞こえないように小さく独りごちる。精悍な頬を涙が伝い、白雪想花を揺らした。
角を持つ異端のケンタウロスの姿を、彼との思い出を、パヴェルはどこまで思い出せたのだろうか――。
●森が繋ぐ縁
(おばあちゃん……わたしはそう、呼んでた。どこまでも深くて、やさしい、森の色の目をした人。その目は、わたしの姿を、映してはいなかった、けれど)
記憶を無くして倒れていた所を救ってくれたのは盲目の老エルフだった。
共に過ごした時間は決して長くはなかったけれども、たくさんの温かな思い出がこの胸の中にある。
(……聞こえるか、な。おばあちゃんの、声)
躊躇いがちに花びらに触れると、サラの大好きだった瞳の色へと変わっていく。
『……サラ。進みなさい、サラ。どうか、立ち止まらないで。私は森に還る。ただ、それだけのこと』
エルフは皆、森に生まれ森に還る。
天寿を全うしたら森と一つになる。
『……もしも寂しくなったら、森を訪れなさい。森が……私が、あなたを癒やしてあげる』
(おばあちゃんの、声……まるで、お守り、みたい)
返事の代わりに一言一言を大切に心に刻み付けて。
役目を果たした白雪想花の花が雪が溶けるかのように消えていくのを、サラは静かに見つめていた。
(おばあちゃんが、森に還った時の、声が、聞こえた気が、する)
その時はとても悲しくて、たくさん泣いてしまったけども。
(優しい、声。また聞けて、嬉しかった、な。このお花は、記憶から声を、呼び起こすもの、なのかも、ね)
じんわりと温かくなった胸に手を当て他の皆はどうなのだろうかと視線を巡らせると、すぐ隣でユナと目が合う。
「お母さんの声、聞こえた?」
「……うん」
ユナはサラを見つめてもじもじとしている。
「良かった、ね。あのね、わたしの、おばあちゃん、ね。エルフ、だったの」
その様子を不思議に思いつつ、サラは言葉を続ける。
「わたしは、ドワーフ、だけど……ユナちゃんと、おともだちに、なりたい、な。どう、かな?」
素直な気持ちを伝えた瞬間、ユナが勢い良く抱き着いてきた。
「お母さんが言ってたのよ。お友達が出来るといいわね、って。だからね、とっても嬉しいのよ、サラちゃん!」
「わたしも、だよ、ユナちゃん」
嬉しそうに微笑み合う二人を見守っていたシルヴィアは、ユナの隣に膝をつき、その頭を優しく撫でた。
「お母さんを想う君はとても優しい子だ。けれど、ずっと悲しんでいてはお母さんが心配する」
愛しい我が子に望む、その表情は。
「どうか笑って。沢山の花を見つけて」
満開の花のような笑顔だろう。
ヴィナスは同じ痛みを知る者としてユナに伝えたい言葉があった。
「俺もあなた位の頃に母さんとお別れした」
(沢山泣いた)
「あなたの母さんはあなたをとても愛してたんだろうね」
(沢山泣いてる)
「沢山泣いたら、あなたの母さんの願いを叶えてあげて。あなたがありのまま、沢山笑って、沢山幸せを感じて、日々無理せず元気でいること。それ以上の願いはないよ」
ユナと自分が。ユナの母と自分の母が。
それぞれの想いが重なる気がした。
「あなたの母さんが遺してしまったあなたは『今』を生きているのだから」
ユナの目から大粒の涙が零れ落ちる。
遺された者達は遺していった者達の想いに守られ、生きていく――。
マスターコメント
ショートシナリオ易しい 報酬:少ない6 / 4〜6人
2022年02月06日 15時20分24秒 公開
相談掲示板
イズルです。よろしく。 とりあえず一番気になるのは、出発日の【27日は終日メンテナンス】でプレが送れないらしいので、実質26日が締め切りってことだな。とりあえず、俺はこの後すぐでも仮は出しておこうと思う。 相談することは特にない。強いてあるなら女の子との交流についてくらいだと思う。 何かあるなら、それに合わせられればと思う。
ごきげんよう。 ヒーラーのレティシア・レインフィールと申します。 皆様、よろしくお願い致します。 イズル様の仰られた点については確かに要注意でございますね……。 基本的にはそれぞれ思うままに行動される形となりますでしょうか。 ユナ様に関しては私は個人的にお話をさせて頂きますけれど 彼女とお話をなさりたいメンバーで交代されるのもよろしいかもしれません。 例えば別の方が彼女とお話をされている間、花の捜索をされるとか。
えっと、サラ、です。よろしくお願い、します。 わたし、も、ユナちゃんと、お話…したい、な。おともだち、に、なりたい、の。 みんなで、一緒にお話、してもいい、し…個別、でも、いいし。 それは、マスターさんの方で、上手くとりなして、くれる、と、思うの。 締め切り、26日、だね。気をつけ、る。
パヴェルだ。空に帰ったじぃさんや集落の奴の声が聞けたらまた前に進める気がするねぇ。 ユナの嬢ちゃんには厳ついのに声掛けられたら怖えだろうし、声に集中するぜ。
シルヴィアだ。今回はよろしく頼むよ。 各々故人に想いを馳せる依頼になりそうだね。締め切りについては気を付けよう。 私もユナと話してみたいな。個別でも皆と一緒でも大丈夫。 ユナと個人的に話がしたい人が彼女と話している時は、白雪想花を探しているね。
ヴィナスだよ。よろしくね。 俺は細かい箇所手直しはするかもしれないけど、締め切りが怖いので提出してる。 ユナにも声を掛けてるけど、声を掛けるタイミングはおまかせにするよ。 具体的に言うと、足りなかったからね…!