カペル植物研究所で楽しいひとときを
岩岡志摩
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シナリオID:1859
オープニング
ここはリーンエス王国カペル侯爵領。
その領地は王国首都に程近く、領主であるカペル侯爵家は始まりの百家に連なる家柄である。
その領地は『花の領地』とも呼ばれ、季節ごとに様々な花が咲くという。
その領都には大きな劇場があり、その周辺には各地より集った芸人や楽器職人達が暮らしている。
これはカペル侯爵領が芸術の保護活動を行っているためだ。
その芸術に関わる植物の名前として『青薔薇』がある。
もともと青薔薇とは『存在しない花』を指すが、その青薔薇はカペル家の家紋章になるほど、カペル家では『芸術は不可能を可能にする力を持つ』と信奉されている。
そんな青薔薇を研究者達も信奉しており、カペル植物研究所という場所で日々研究を行っていた。
●依頼
カペル植物研究所は薬草や農作物、花や果樹の品種改良を主とした研究を行い、そこでの成果は王国へ様々な形で貢献している。
そしてこの研究所は観光地としての顔もあり、研究所が置かれている屋敷では、冬の間植物を避難させる目的で作られた、小規模ながら珍しいガラスの温室がいくつも並び、季節問わず咲く花を眺めることができるカフェも存在する。
王国に様々な貢献を行ってきた研究者たちだが、その最終目的は『青薔薇』の生成である。
しかし今の技術では試行錯誤を重ねても不可能だという事実が、研究者たちにのしかかる。
目標は定まっている。
しかしそこに至るまでの手段が足りない。
『不可能』という現実に落ち込む研究者たちを励ますため、最高権力者イザベラ・カペルより冒険者ギルドに依頼が出された。
――研究所で演奏会を開いたり、カフェで研究者たちの話を聞いたりして気持ちを和ませることができるなら、手段は問わない、と。
冒険者ギルドとの話し合いで、冒険者達にもカフェや温室に存在する花を楽しんでもらうなど、ある程度の範囲で自由な行動が認められた。
なおこの依頼を斡旋するギルド職員アルヒ・ラスカスによると、報酬も出る約束を取り付けたようだ。
「依頼人の話では、演奏会を行う場合でも必要なものや費用は向こうで用意するとのことだ」
アルヒは依頼人の使者から必要な情報を得ており、依頼に興味を持った冒険者達に向け説明を行う。
今回落ち込んでいるという研究者達が今の段階で不可能なことは、青薔薇を生み出すことだがそれ以外の研究は順調に進んでいる。
薬草や農作物、花の品種を改良することや、希少な植物を冬の間避難させる手段の確立など、彼ら研究者達によって成し得たことは大きい。
視点を変えれば研究者達は十分有能な部類に入るのだが、当の研究者達は職人気質というか完璧主義的な思考に陥っているという。
「依頼人の話では、少しでも至らない点があれば自分はダメだと評価して自信を失いやすい傾向にあるようだ」
またうまくいった事例があっても、「大したことはない」と捉えており、考え方が悲観的になりつつあると依頼人は判断し、今回の依頼を出したようだ。
ここでアルヒは「あくまで私の場合だが」と前置きして、対処の仕方を例として出す。
「例えばだが、その人の頭の中でモヤモヤしていることをひたすら紙に書き出させるというやり方がある」
その書いたものの中に、当人の評価と周囲の評価がずれているものがあるので、そういったものを拾い上げ、取り越し苦労の癖があると気づかせるのも一つのやり方だと、アルヒは説明する。
「これは対処策の一例に過ぎないし、そこまで真剣に向き合う必要はない。励ますことができれば、研究者達も本来の調子を取り戻すと依頼人は言っていた」
今の研究者達は一時的な視野狭窄に陥っているだけで、きっかけがあれば自分で立ち直ることができると、依頼人であるイザベラ・カペルは信じているようだ。
アルヒは様々な角度から物事を見ることができる冒険者達こそ、今回の事例には適任だろうと依頼人の意図を推測するが、判断は冒険者達に委ねている。
「落ち込んでいる研究者達を励ます、というのが依頼の主旨だが依頼内容をこなしてくれるなら、現場で楽しんできてもいいと許可も出ている」
難しいことを頼むつもりはない。
やりたいことをやって励ますことができれば、後は自由に動いていい。
そういってアルヒは冒険者達に頭を下げた。
●やること
皆様はカペル植物研究所に勤める研究者達を励ます依頼に参加しています。
励ます方法ですが、植物研究所で演奏会を開いたり、研究者達の話を聞いたりするなど、そのやり方は皆様に委ねられています。
もともと成功事例を多く積み重ねてきた研究者達なので、自分の中で折り合いをつけることができれば自力で立ち直ることができるでしょう。
それが達成できるのなら、植物研究所がある屋敷に設けられたカフェで寛ぐことや、カフェや小型の温室に存在する花を楽しむなど、観光地にもなっている場所を楽しむことも認められています。
なお依頼人であるイザベラ・カペルは多忙のため現場にはいませんが、依頼人の代理を務める使者は現場に残っていますので、何かあれば使者に声をかけて下さい。
冒険者ギルド側からはアルヒが窓口役として同行します。
皆様が演奏会を開くなど大掛かりなことを行うようでしたら、大概なものは用意できると使者もアルヒも確約しています。
ただし希少なものや珍しいものは用意できないと、使者からは言及されています。
演奏会を行う場合ですが、実現可能なところはカフェの他には小規模温室の中でも比較的広い面積を有する一室が候補として挙げられます。
なお皆様が立ち入ることのできる場所は、上記のカフェや小規模温室に限られています。
各温室にある植物も、触れるまでは認められていますが故意に傷つけたり持ち帰ったりする行為は禁止です。
また研究者から聞いた話も、外で誰かに漏らすことは禁じられており、依頼を受ける際はそれらを破らないよう誓約する書類にサインをしてもらう必要があります。
これは植物研究所内の機密を守るためです。
それさえ守ってくれれば、研究者達を励ますために何かをするとき以外の時間は、皆様の好きに動いてくれて構いません。
ということで一定の制限はありますが、この依頼に応じてくれる皆様を、カペル植物研究所ではお待ちしています。
解説
マスターより
リプレイ
コハクは事情があって来られなかったが、依頼に応じた冒険者達はカペル植物研究所に到着する。
「とても綺麗な場所だ。漂う花の香りが心を癒やしてくれる」
その中でシルヴィア・A・カペルは、小規模温室の1つに足を運んでいた。
この温室では冬に咲かないはずの花が各所に配され、硝子がはめ込まれた天井から差し込まれる太陽の光が、シルヴィアや花々を照らしている。
その中でシルヴィアは、温室に咲く花々を興味深く眺めていた。
それは花の香りを楽しんでいたルベア・ベルニも同じだったのか、「素敵な場所ね」と賛辞を口にする。
ルベアが植物共感スキルを駆使して温室内の植物を調べてみると、この温室を管理する者によって適正な状況に置かれていることがわかる。
「……健康状態は万全だろうけど、今の研究者たちの状態っていうのは、研究の為育てられている花にとってもよくないと思うし」
温室に咲く花に触れながら、ルベアは研究者達の状態をどう改善させるか思案していく。
一通り温室の花を眺め終えると、シルヴィアとルベアはカフェのある区画へと向かう。
そこには他の冒険者達が、既に集まっていた。
「シルヴィアさん、今回はお誘いいただきありがとうございます」
ミア=リゼルはシルヴィアに礼を述べると、周囲の冒険者達にも頭を下げる。
「皆さんも、よろしくお願いしますね」
一通り挨拶が済んだところで、ミアもカフェで注文したお茶をたしなむ。
「素敵な香りのお茶です。花と木……ここは心が落ち着きますね」
ミアの言う通り、カフェの周囲にも様々な花や木々が配され、安らぎを与える空間を演出している。
「ミアとルベアはパンクリアース学園編入おめでとう」
その一方でシルヴィアは、ミアとルベアの編入を祝った。
「ありがとう。……今更だけど、そうなるとシルヴィアさんは先輩ってことになるわね」
ミアと共に感謝を述べたルベアは、苦笑に近い表情を見せる。
「一番親しい先輩が副会長って凄い状況ね」
ルベアはその部分が気になるようだ。
そして冒険者達は今回の依頼内容である研究者達との話について、相談を始める。
「農作物や薬草のほうに興味があるが今回は花なのだ」
ストレガ・L・リベルガストラは、様々な分野に造詣が深く、この植物研究所が目指すものを否定しない。
「自然に存在していない物を作ってみようという試みは、立派だと思うのだ」
ストレガはこのカフェで、研究者達の話を聞ける範囲で聞くつもりのようだ。
「誰かに話をするだけで、いくつか試してない方法も頭に浮かぶのではないだろうか?」
――話を聞き、研究員達が問題にしている点を書き出してみよう。
ストレガは持参した紙を用意し、聞き役になる準備を進める。
(友人にしてライバルの手前、無様な真似も独り善がりも許されんな)
ナタリア・フィッツジェラルドは、一瞬視線をシルヴィアに向けると、内心そう呟く。
「世間で夢物語、不可能と言われているそうだが、我々を取り巻く常識や規範も、かつてはそれらのレッテルを貼られたものだ」
学者の顔もあるナタリアの言葉には重みがある。
今回ナタリアは自身の経験と知識をもとに研究者達へ解決策を示し、その発展を助けるコンサルティングを行うつもりでいた。
●話を聞く
シルヴィアや冒険者達がカフェをお茶会の場に整え、研究者達が集合したところでお互いに自己紹介を行う。
なおシルヴィアはこの場に依頼人のイザベラ・カペルからの使者や、アルヒ・ラスカスも招いている。
「自分で作ったのかい? とても美味しいね」
シルヴィアはミアの提供したレモンケーキに舌鼓を打つと、研究者達にも切り分けて試食を勧める。
恐る恐る口にした研究者達が一様に目を見開く。
レモンとブランデーの香りが研究者達の鼻を抜け、爽やかな甘味がその舌に広がっていく。
ミアのレモンケーキは、研究者達に美味と言わしめる逸品だった。
レモンケーキと注文したハーブティーで研究者達の緊張を解いたところで、冒険者達は研究者達との話を始める。
「このハーブはここで育てたものなのかな。良い香りだ」
ハーブティーの香りを楽しみながら、シルヴィアが話を切り出す。
(カフェでハーブティーを飲み皆と楽しく会話……女子会だね)
シルヴィアに話を向けられた研究者は、ハーブをどのように育てているのかを話し始め、続いてミアも起点となる話を口にする。
「私は花についてはそれほど……なのですが」
ミアはそんな前置きと共に、ある花を話題に挙げる。
「ペチュニアという花は、交配しやすいため自分だけのペチュニアを育てようという触れ込みで――」
ミアの話に、研究者達も興味を示す。
「交配で好みの色や柄、形のペチュニアを作るという……そんな園芸体験を、かつて病院に来た方がしてくれました」
花の種類こそ違うが、それは研究者達が作ろうとしている青薔薇の話によく似ていた。
「その時交配について教えてもらったのですが、いかんせん幼かったので、全ては覚えておらず……」
そこまで言うと、ミアは研究者達に頼み込む。
「もしよければ、教えてくれませんか。私、せんせいとレモン畑を作るのが夢なんです」
ミアが教えを乞い、研究者達もそれぞれの考え方や立場から答えになりそうなことを語りだす。
そこから話が広がるのは早かった。
研究者達の話に対し、ルベアは自身が話を切り出すことは得意ではないと考えているのか、聞き役に回る。
ストレガもまた、カフェで注文したパウンドケーキを食し、お茶で喉を潤しながらも仲間達が聞き出した話を紙に書いていく。
ナタリアは研究者達の許可を得た上で資料検索スキルを駆使して、青薔薇の研究を行ってきた研究者達がこれまで行っていた創意工夫の軌跡をたどっていた。
(熱意が過ぎればますます自信を打ち砕く可能性がある)
そう考えたナタリアは、研究者達の人となりを確認するため、まずはミアが話題とした交配を足掛かりに自身の培った知識も応用が可能か、研究者達に話を振り始める。
すると研究者達もナタリアの話に興味を持ったのか、徐々に口が滑らかになる。
「素人の意見なのだ」
一通り書いたところで、ストレガはそう前置きして研究者達にこう持ち掛ける。
「青色の色素というものは自然界に存在しているのだから、白薔薇に青色の染料を吸わせるのは駄目なのだ?」
その言葉に研究者達が真意をはかりかね、沈黙する間にストレガの話は続く。
「研究の一環として、どうして最初から青色を持った薔薇ができないかの繋ぎにはなるのではないかと」
ストレガも、そのやり方が研究者達にとって受け入れられそうにない話であることは承知している。
まがい物。邪道。プライドが許さないという言葉はあるが、ストレガはさらに言葉を継ぐ。
「成功すれば少なくとも『不可能』と言える事はなくなるんじゃないかと思うのだ。言葉が『不可能』から『奇跡』に変わるだけでも進歩だと思うのだ」
――人々の多くは目に見える『結果』に満足し、その過程にあったものを気に留めない。
ストレガが1つの真理を語ると、研究者達からは反論の声があがる。
ただストレガの言うことに思うところがあったのか、研究者達の中でも意見の食い違いが見られるようになった。
ここでナタリアが弁論術スキルを駆使して1つの提案を行う。
「リゼルのやり口に便乗する形になるが、研究者同士弁論のぶつけ合いめいたディスカッションを通じ、ブレインストーミングを行いたい」
――カペル家はおろか王国とは関係ない。帝国の学者である私ならば、インスピレーションの刺激に有用な切っ掛けを与えられるかもしれない。
ナタリアは研究者達の完璧主義を改善するには、研究者達と同程度の見識を持つ者や、部外者という異なるものの見方をする者達の意見も必要だと考えていた。
「それでも、研究者たちは理想と現実の差に悩んでる……か」
ルベアはナタリアの提案に応じた研究者達の話を聞きながら、そう呟く。
「自分の力が足りないんじゃ……と悩んじゃうことは私もよくあるし、気持ちはわかる気がするわ」
研究者達の焦る気持ちや不安といった気持ちは、ルベアも身に覚えのあるものだったのか、彼らの悩みに理解を示す。
――なんとか力になってあげられるといいけど。
だからルベアは、そんな研究者達に立ち直ってもらいたいと考え、引き続き聞き役を担う。
「私も君達とはもっと話したいと思ってるよ」
仲間達が研究者達の話を聞いている間、シルヴィアもまた時折研究者達が話をしやすいよう心を配り、研究者達の話に耳を傾けていた。
●演奏会と気持ちを贈る
そしてシルヴィアとルベアが仲間達と共に準備を終えたところで、カフェは演奏会の場へと早変わりする。
この演奏には、シルヴィアとルベアの他に、ナタリアも誘いを受け参加を決めている。
「演奏に関しては他と比べても趣味の領域だが、私でもOKというならポルカあたりの陽気な曲はどうだろうか?」
ナタリアは演奏する曲の種類について、そんなリクエストを出してみる。
「辛いときこそ陽気にアテて、明日も頑張れるように切り替えねばならんのだから」
なおナタリアが使う楽器は、アルヒに頼んで用意したものだ。
3人で話し合った結果、落ち着いた曲と陽気な曲の2本を演奏する形となり、演奏会はスタートする。
まずはルベアが演奏スキルを駆使して、フルートを吹き鳴らす。
明るく澄んだ音が、ルベアの緩やかな指使いでゆったりと流れていき、続いてナタリアの楽器演奏も後に続く。
そしてシルヴィアも持参した楽器のうちリュートを抱え、張られた弦を指で弾く。
シルヴィアは「妖精の友」の名を冠するリュートの弦を撫でるようにして音を奏で、さらに歌唱スキルを駆使して歌声も添える。
――皆の演奏や歌声を支え、活かすように。伸びやかに生き生きと。
そんな気持ちを添えたシルヴィアの弾き歌いに、ルベアの丁寧な演奏、ナタリアの演奏も加わり1つの音楽を成していく。
やがてルベアの選んだ曲も終わり、次はナタリアのリクエストした陽気な曲に移る。
ここでシルヴィアは楽器をフィドルへと持ち替える。
シルヴィアのために作られたというこのフィドルは、演奏スキルを駆使すれば、高い音域で奏でられた音色が澄み渡り、研究者達の鼓膜を心地よく震わせる。
――花に囲まれ、友と共に曲を紡ぐことを楽しんで。
そんな想いを乗せ、シルヴィアは旋律と歌を響かせ、ルベアやナタリアも曲に合わせた音色を合わせて曲に深みを持たせていく。
そして曲は終わり、夢を見ているような雰囲気だった研究者達はそこで目が覚めたのか拍手の波を広げ、演奏者たちを称賛する。
「とても楽しい演奏だったよ。ありがとう」
歌声も披露したシルヴィアはルベアやナタリア、聞いてくれたミアやストレガ、研究者達へと順に感謝を述べていく。
冒険者達の演奏会に心を動かされた研究者達へ、ストレガやミアがそれぞれの方向から助言を寄せる。
「研究に行き詰まったら、最初からやり直してみたり遠回りをしたりするものだ。私もそうしてるのだ」
ストレガは思考を基本に立ち返ること、最短の道を選ばないことも試してみては、と提案する。
この方法はストレガも行っていることで、研究者達も実現可能なやり方だ。
「薔薇だけでなく、他の青くない花で青色を作る実験をしてみるのもいいと思うのだ。薔薇と他の花の構造の違いも解るのだ」
研究者達が他の花や花の色の研究も進めていることを知ったストレガは、提案した後こう言い添える。
「そも研究とは1つの成功の下に多くの失敗が成果として積み重なるもの。根茎を除いて花だけを頂くわけではない。そうだろう?」
ストレガの言葉に、研究者達は頷きを見せる。
「進む為の失敗大いに結構。パトロンが成果を望み、研究予算が落ちる限り邁進するといいのだ」
多少現実的な部分にも触れながら、ストレガは研究者達を励ます。
「皆さんの弛まぬ努力は、その道程において最も人を助けているのだと……私は、そう思います」
ミアは研究者達がこれまで積み重ねてきた努力や、成し得たことは人の役に立っていると伝える。
「だから自信を持ってください。諦めないで」
今は失敗を積み重ねるだけかもしれないけれど、いつかは成し遂げられると信じること、自分自身を信じることが大切だとミアは訴える。
「夢は……夢を追う姿に、人は励まされると思っています」
ミアは研究者達の活動する姿が、周囲の人達に良い影響を与えると信じている。
ミアがそう言ったところで、演奏会の後片付けを終えたルベアも話に加わる。
「その実績も情熱も、アナタたちは凄い、と思う」
まずルベアは研究者達の『今』を認める。
「だからこそ、今ある自分たちをそんなにダメだと思わないで欲しい……かな」
ルベアの言葉に思い当たることがあるのか、研究者達は耳を傾ける。
「自分をダメだと思うのは良くない傾向だし、どこかで抜け出さなきゃ、ね」
ルベアは一瞬ミアへ視線を向ける。
――私にとっては彼女がその切っ掛けだから……とは、口には出せないけど。
そしてルベアは周囲にある花々を指し示す。
「アナタたちがそんなに下を見ていたら、ここの花たちが可哀想でしょ?」
ルベアがそう言ったところで、シルヴィアが後に続く。
「私は故郷の薔薇が好きだ。薔薇だけではなく、この地に咲く全ての花が好きだよ」
まずシルヴィアはこの地で咲く花の全てを肯定する。
「此処にいる研究者、そして花を育てる人々のおかげで『花の領地』と呼ばれているのだと思う」
それは研究者達がこれまで行ってきた品種改良や、植物を守るために必要な手段の確立も含まれると、シルヴィアは研究者達の功績を客観的な視点から述べていく。
「技術は進歩するもの。それは研究者達の努力あってこそだ。だから諦めないでほしい。『不可能』ではなく『可能』になるように」
シルヴィアは研究者達の成し得たことを称え、その意思が屈しないことを願う。
「挑まぬ者に勝利無し。折れないでくれよ」
そしてナタリアもまた研究者達に対し、そんな『期待』を寄せていた。
●終わりに
そして『お茶会』も終わり、カフェに集った研究者達もそれぞれの持ち場へと戻っていく。
ただその顔はいずれも晴れやかだった。
冒険者達との対話や演奏会によって、研究者達の心の中である程度整理がついたこともある。
冒険者達が行ったことは、研究者達の未来を照らす光になったはずだ。
――この地の人々を守っていきたい。
シルヴィアは帰還の際、今回の依頼主であるイザベラ・カペルが派遣した使者に向け、そんなことを伝えていた。
ここはカペル植物研究所。
研究所に集う研究者達は、冒険者達からの様々な助言や想いを胸に、これからも日々努力を重ねていく。
マスターコメント
ショートシナリオR易しい 報酬:少ない6 / 4〜8人
2022年02月19日 10時49分34秒 公開
相談掲示板
シルヴィアだ。皆、お祭りのお誘いに快諾してくれてありがとう。魅力的な依頼にして下さった岩岡志摩さんにも心からの感謝を。 研究者達を励ましつつ楽しもう。今回はよろしくね。 (ご参加どなたでもご自由に。良い一日になりますよう願いを込めて) >コハク、ルベア、ミア カフェでお茶会をするか、エルセントの街の時のように演奏会をするか……どちらにしようか? 演奏会の後にカフェで一息、というのも素敵だね。 演奏会の場合、私の楽器はフィドルかリュートになるかな。カフェのハーブティーも気になっているよ。
ミア=リゼルです。このたびはお誘いいただきありがとうございます。ストレガさんも、よろしくお願いしますね。 今回は研究者さんを励ます会…ということですね。演奏もお茶会も良い案です。 これは後ろの人の持論なのですが、「専門職や研究職というのは自分の研究について聞かれるとついつい楽しくなってしまってお喋りになるんだ(個人差はある」とのことですので、話を聞いてあげることで、研究への意欲を取り戻すことができるかもしれませんね。
ヒーラーのナタリア・フィッツジェラルドだ。宜しく。 シルヴィア、まずは手紙を通じて参加の許可をくれた事に感謝を。 私としては一応、演奏などの芸術に覚えが無い訳ではないが、他と比べれば腕はお察し(Lv1)といったところだ。 なので私からは、研究員達とは違う切り口で分析やトライアンドエラーにあたりたいと思う。 更に言えば彼らが職人気質にして完璧主義者ともなれば、リゼルの意見に言及するのであれば論争じみたディスカッションをすればプライドをも刺激する事にもなるんじゃないかとも思っている。 ましてや私はカペル家はおろか王国とも関係のない、帝国という部外者的なコンテンツに属する身だから。 とはいえ、上記のやり方ではますます自信を打ち砕くだけの可能性もあるから、人となりを見てから雑談交じりという穏便なやり方をも選ぶつもりだ。 であれば持ち込むスキルは医療薬学Lv5、資料検索Lv4、弁論術Lv4のどれか2つになるな。 メタな事を言ってしまうと、品種改良も遺伝子の学問に含まれるのだろうから、その意味で医療の知識も活きてくるんじゃないか?ってね。
ストレガもナタリアも故郷に来てくれてありがとう。 参加は誰でも大歓迎だ。研究者達の事を気にかけて貰えて嬉しく思う。何か手伝えることがあれば言ってね。 成程、話を聞く……皆でお茶会をするのも素敵だね。自分が好きなお菓子を持ち寄るとか。 カフェでも演奏会が出来るようだから、お茶会の合間に演奏するのも良いかもしれない。
(土下座まんまるけだま) 顔出し遅くなってごめんなさい…今ちょっと色々纏めてから改めて発言するわ
ストレガなのだ。よろしくなのだ。 素人質問でも何か研究の役に立つと思うのでとりあえず話聞こうかとなのだ。 青薔薇について、地道な交配でいけるんじゃないかなど。
大分遅れちゃってごめん。 ルベアよ、宜しく。今回はお誘いありがとう。 お茶会で話を聞きつつ、合間のどこかのタイミングで演奏会…かしらね、今のところ。 私も全然素人だけど、何かしら気付きを得てもらえたら良いな……。
皆、研究者達と話をしてくれる予定かな。 それなら一応タグを作っておこう。 ▼ 【茶会】 アルヒと使者も誘い、カフェで研究者達とお茶会 お茶会の合間に希望者が一緒に演奏会 ▲ タグは作ったけど、出発まであと二日だし、カフェ以外の場所で研究者と話したいという人もいるかもしれない。上記タグはあまり気にしなくて大丈夫だ。もし文字数削減に使えそうなら是非使ってね。
…演奏会だけれど歌っちゃ駄目かしらねこれ(演奏技術はからっきしだが歌は人並み以上に上手なコハク) 後はもう料理作るか話聞いてあげるしか…むむむ、基本脳筋はこういった所でポンコツに。 せめてお茶会用の焼き菓子位は準備させて、それ位なら出来そう。
>演奏会 前回と同じように誰かが歌うことを前提で考えてたよ。コハクは歌が上手いし、歌って貰えればきっと研究者達も喜んでくれるも思う。私はコーラスをするね。 お茶会のお菓子も楽しみにしているよ。