青薔薇の芸術祭
岩岡志摩
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シナリオID:1843
オープニング
リーンエス王国にカペル侯爵領と呼ばれる一帯がある。
そこは王国首都に程近く、ここに領地を構えるカペル侯爵家は始まりの百家に連なる家柄である。
その領地は『花の領地』とも呼ばれ、季節ごとに様々な花が咲くという。
そこで暮らす領民たちの気質はと言えば、温厚でありお祭り好き。
その領都には大きな劇場があり、その周辺には各地より集った芸人や楽器職人達が暮らしている。
これはカペル侯爵領が芸術の保護活動を行っているためだ。
そしてこの時期のカペル領では『青薔薇の芸術祭』が開催されている。
もともと青薔薇とは『存在しない花』を指すが、カペル家では『芸術には不可能を可能にする力を持つ』と信奉されている。
そしてこの領都には、その名を冠する芸術家集団も存在している。
今開催されている『青薔薇の芸術祭』では、前述の劇場で華やかな舞台が続く。
力強い歌声が空間に叩きつけられたかと思えば、どこか作り物めいた歌声も混在し、精密な動きとダイナミックな動作をする演者が同じ舞台でぶつかり合い、それぞれの魅力を披露する。
著名な芸術家だけでなく芸術家の卵たちもこの祭りの場に集まり、芸術家の卵達は街の至る所でパフォーマンスを行い、自身の『作品』を観客へと売り込んでいく。
そんな熱気に包まれた祭りの中を。
カペル領から大きく離れた場所に領土を有する貴族――フローラ・ウォレス伯爵が歩き、様々な『芸術』を眺めていた。
●楽しみましょう
フローラ・ウォレス伯爵がこの『青薔薇の芸術祭』を見に来たのは、ある冒険者からの提案がきっかけとなる。
――芸術の保護活動を行っているという点で、畏れながらウォレス領とカペル領には共通点があると感じています。
――今後も末永いお付き合いが出来ればと願っております。
その提案に興味を持ったフローラは、実際に自分で確かめた方が早いと判断し、『青薔薇の芸術祭』が行われている時期を選び、領都へと足を運んだ。
ここにある劇場で演じられるのは、芸術としての檄や音楽だけでなく『正確な情報』であることが特徴だという話もある。
「依頼の名目は私の護衛という形になっていますが、皆さんには思い思いの形で動いて下さって構いませんよ」
ここでフローラは同行していた皆様に向け、自由な行動をとることを認める。
「せっかくのお祭りですから。思い思いの形で楽しんできて下さい」
どうやらフローラ伯爵は、当初から冒険者達に祭りを楽しんでもらうつもりで依頼を出したようだ。
「皆さんがこの祭りを楽しむことができれば、それでこの依頼は達成ということにします」
なおフローラ伯爵は、この『青薔薇の芸術祭』が行われている領都でやることがあるらしい。
「私はこのあたりにいますので、何か用事があれば声をかけて下さい」
そう言ってフローラ伯爵は皆様に対し、自分のいる場所を記したメモを渡していく。
そしてフローラ伯爵は笑みを残し、自身が領地より連れてきた護衛と共に祭りの雑踏へと消えていく。
フローラ伯爵からは、全員がこの祭りを十分楽しむことができたと言われた時点で帰還の途につくと説明があった。
ここから先は冒険者である皆様の自由時間。
既にフローラ伯爵は、皆様がこの祭りの行われている場所でどのように行動してもいいように、ある程度根回しを済ませているようだ。
そのため皆様は劇場の舞台に立ち、何かをすることもできる。
この祭りでの芸術と冬薔薇を眺めたり、楽しんだりしながらホットワインを飲むこともできる。
楽しむために必要な資金は、事前にフローラ伯爵から皆様に渡されている。
飲食に使ってもいいし、パフォーマンスをやっている芸術家の卵達へと渡すチップにしてもいいだろう。
どうぞこの機会に、この『青薔薇の芸術祭』を楽しんで欲しい。
●やること
今回皆様はフローラ・ウォレス伯爵が出した護衛の依頼に応じ、現地までの護衛という形で、『青薔薇の芸術祭』が行われているカペル侯爵領の領都に来ています。
そこで皆様は今回の依頼に隠された目的として、依頼に応じてくれた冒険者達が『青薔薇の芸術祭』を楽しむことにあったとフローラ伯爵から説明を受けました。
芸術と言っても、その解釈は様々で舞台での劇の他にも、それぞれの解釈による『芸術』が、この『青薔薇の芸術祭』では披露されています。
皆様はそれらを見て回って楽しむもよし。特産品であるワインを使ったホットワインを楽しむのもいいでしょう。
購入するための資金は既に皆様へとフローラ伯爵は渡しています。
希望があれば劇場の舞台に立ち、何かの芸術を皆様が披露することもできます。
楽しみ方も人それぞれです。
フローラ伯爵は皆様に自分の居場所を伝えていますので、何かあれば伯爵に頼むのも手です。
よほど特殊なものや、希少なものでもない限り、伯爵の方で大概なものは揃えることができます。
フローラ伯爵は冒険者達に恩義があり、貴族の中では冒険者達に対し好意的な姿勢を見せる方ですが、話をするときは注意点があります。
それは『ウォレス伯爵家やその領地、そこで暮らす領民を見下す、または危険にさらすような言動をしない』ことです。
フローラ伯爵は自身への非難や誹謗中傷には忍耐強いですが、自分が庇護すべき対象を侮辱されることや、危険にさらすことをほのめかす言動には厳しい態度で臨みます。
また、これは当たり前の話ですが『青薔薇の芸術祭』をぶち壊すような真似をすれば、カペル侯爵領で暮らす人々も決していい顔はしないでしょう。
そのあたりを気を付けてもらえれば、皆様は心行くまで祭りを楽しむことができるはずです。
それでは皆様。
振り返って『楽しい』と思えるような思い出を残すことも兼ねて。
『青薔薇の芸術祭』を楽しんでみませんか?
解説
マスターより
リプレイ
キオルティスがカペル領を訪れるのは、今回で2度目になる。
以前は初夏の頃、ラベンダーの咲き誇る芸術祭で。
その時にはキオルティスの他に、シルヴィア・A・カペル、ヴィナスやカッシア、ネーヴェ・グラヌローザ、そしてリゼット・ブランも参加した。
「シルヴィさん、相変わらず貴女もカペル領も独特のムードで素敵だね」
キオルティスはシルヴィアに向け、改めて招待してくれた礼を述べる。
「今日はお招き有難う。此方は実妹のアステル。可愛いレディだろう?」
此処はとても素敵で。街が音に、芸術に、魂に溢れていて、素敵な場所だから。
大切で最上の実妹にも、この空気に触れて欲しくて。
「始めまして。今日はルティスお兄ちゃんに連れて来てもらいました。どうぞ宜しくお願いしますっ!」
キオルティスの紹介を受けたアステルは、シルヴィアや周囲にいる冒険者達に向け、元気よく頭を下げる。
「シルヴィア・A・カペルだよ。キオの妹なの? こちらこそよろしく」
シルヴィアはアステルに返礼する。
「皆はどんな『芸術』を持ってるだろ。それを見れるのも凄く楽しみ!」
――見て、感じて、楽しんで……素敵なお祭りだね!
挨拶を終えたアステルは、この芸術祭の雰囲気に興味を示す。
「良ければ一緒に回りませんか?」
その中でリサ・ベイカーはリゼット・ブランを誘い、共に芸術祭の場へと繰り出す。
「わたしとしては、自分が絵を描くので、絵画を中心に見たいですね」
リサが特に目を止めるのは、絵画の置かれた空間。
繊細なタッチのものや進歩的な抽象画など、様々な思想と技術が並んでいる。
そういった作品の数々を楽しむ中、リサは刺激を受けたのか、画材を置く出店で品質の良いものを購入する。
「よろしければ、リゼットさんの見たいものも一緒に拝見したいです」
リサがリゼットに話を向けると、リゼットもある出店へとリサを案内する。
「シルヴィアさんたちが舞台に立つなら、私は準備万端で応援に望むのです」
リゼットはフローラ・ウォレスからもらった『予算』を使い、出店で目的のものを購入する。
なお衣類についてはフローラ伯爵の手配もあり、無料で借りることができた。
「素敵な劇場にちょっとおめかししていくのも、特別な楽しみの一つですよね」
リゼットが選んだ衣服は、白やアイボリーに近い色のワンピース。
青い薔薇を模した造花のコサージュを胸元に飾れば、良いアクセントとなった。
●一幕
そして劇場の舞台で、冒険者達がそれぞれの『芸術』を披露する。
「わたしは、皆さんの歌唱や演奏を鑑賞させて頂きますね」
リサは観客の側に回り、用意された席に着く。
「折角だし、アステルが横笛を披露したいなら舞台に上がろうか」
「うん、私もルティスお兄ちゃんと舞台に上がるよ」
キオルティスはアステルを舞台の上まで導き、アステルも舞台にあがる。
「今日までにどう成長したかな、アステルの横笛は」
そんなキオルティスの期待に応え、まずはアステルが演奏スキルを駆使して横笛を吹く。
この芸術祭で自身が感じた楽しさを、その雰囲気を旋律にして、観客達へと送る。
(楽しい、嬉しい……そんな色々な喜びの感覚を、より広げる様な演奏が出来れば良いな)
アステルはそんな気持ちで横笛を奏でる。
――音楽に合わせて皆が楽しめればこっちまで楽しくなっちゃう。
この芸術祭の雰囲気を表現するため、アステルの笛から明るく軽やかな音楽が流れ出る。
「もうすぐ例のチョコレートの祭り」
――甘くてほろ苦くて……でも体温に自然に溶けて行く……。
アステルの旋律は、キオルティスにその祭りを思い起こさせる。
「そう、チョコレートのような曲を1曲、奏でようか」
――チョコレートモチーフの色合いを元にした素敵な衣装で、ね。
キオルティスが演奏スキルを駆使して竪琴に指を走らせ、発した音色が聴衆を優しく包み込む。
(アステルの笛の音。俺の竪琴と足首の鈴。そして歌……)
さらにキオルティスは歌唱スキルを駆使して、アステルとの演奏に歌を添える。
奏でる竪琴と時折挟まれる鈴の音も相まって、華やかな楽曲へと変わる。
音楽には興味津々のネーヴェも、キオルティスとアステルの旋律に合わせ、足でリズムを刻む。
(感情や空気感、性格。内面を現す外見。そして魂。良いね)
――もっと、曝け出してみてよ。
演奏の中、キオルティスはアステルを導く。
一方のアステルも笛を吹きながら、キオルティスの『演奏』に内心感嘆する。
(ルティスお兄ちゃんの演奏も姿も、やっぱり凄く綺麗)
私も何時かルティスお兄ちゃんみたいに見目だけじゃない美しさを持ちたいな……。
やがて2人の音楽が終わり、周囲から拍手が寄せられる。
「ルティスお兄ちゃん、今日の私の音、如何だった?」
「アステルはかなり腕を上げたね! 音色が『アステルのモノ』になってる気がするよ」
拍手の中でアステルはそんなことを尋ね、キオルティスもアステルの上達ぶりを褒める。
――個々の芸術。それはきっと個々の魂の音色や色、そして空気……。
キオルティスは『芸術』をそう捉えていた。
「そんな素敵な魂たちに出会えるのは、とても幸せなことだね」
キオルティスは拍手を送るシルヴィア達に一度顔を向け、アステルと共に舞台から退く。
「思わず笑顔になる演奏だったよ。二人は仲の良い兄妹だね」
シルヴィアはその言葉通り、笑顔で2人を見送った。
●二幕
次に舞台へあがるのはヴィナスとカッシア。
ラベンダー芸術祭のとき、2人は共にこの舞台で曲を披露した。
「はじめまして、または、お久し振りです」
ヴィナスはカッシアと共に観客へ一礼する。
「前回の芸術祭ではカペル領の春と夏を歌ったから、今回は秋と冬を披露するよ」
カッシアは観客に向け、演目を告げる。
「ラベンダー芸術祭と同じように、俺が作詞したカペルを歌います」
そう言うとヴィナスは演奏スキルを駆使して、追憶のハーディングフェーレを弾き始める。
共鳴弦の発する『倍音』がヴィナスの音色を深め、カッシアの歌唱スキルを駆使した歌声が続く。
――豊穣の秋、匂い立つ薔薇。
――薔薇の姫君は、秋と葡萄を踏みしめる。
――青天に黄金の麦、心躍るは豊かな実り。
――歌えや歌え、豊穣を歓び共に歌え。
――春を待った夏の約束に報いるため。
――春を待つ冬の誓いを託すため――。
カッシアは秋を歌う。ヴィナスは秋を奏でる。
やがて間奏に移るとカッシアが演奏スキルを使い、リュートの弦を弾く。
柔らかく、繊細な音色がヴィナスの奏でるフェーレの旋律へと寄り添う。
そして今度はヴィナスが歌唱スキルを使い『冬』を歌う。
――約束の冬 六花寄り添う南天。
――南天の姫君は、一年を歌う。
――感謝捧ぐは旧き一年。願い奉るは新しき一年。
――願えや願え。花の心を抱き新年を願え。
――この地の一年を、花で満たすため。
――花と共に咲き誇り。約束と誓いの豊穣を歌うため。
そしてヴィナスとカッシアが息を合わせ、合唱する。
「「黄金の太陽は、青き湖を煌めかせ」」
合唱しながら、カッシアは朗々と歌うヴィナスに一瞬視線を向ける。
「「白き心に、情熱の赤を灯す」」
(練習通り。でも舞台上での輝きを見れるのは本番のこの日だけ)
歌う中、カッシアの思考も巡る。
「「巡れや巡れ。豊穣を祝う麗しの花姫の地」」
(多くの人が彼を見る中でも、その隣で歌う権利があるのは俺だけ)
これ以上はこの場に相応しくないとカッシアは意識を引き戻し、合唱を続ける。
「「巡れや巡れ。世界彩る青薔薇の地」」
四季は巡り、2人の歌が終わった。
カペル領を歌ってくれた2人へと、大きな拍手が沸き起こる。
「この歌は俺達の親愛なる友人にして、カペルの皆様にとっては大切な花の姫君。シルヴィア・アルヴィン・カペル嬢へ日頃の感謝を込めて」
ヴィナスはそう言ってカッシアと共に観客へ一礼する。
「そして、次は寄る辺の紡ぎ手と六花の舞姫の共演……皆様ご自身も花の調べとなってお楽しみください」
最後にヴィナスはそう言ってカッシアと共に舞台袖にいるシルヴィア達へ恭しく一礼し、舞台を退場する。
「素敵な歌だった。故郷の季節を彩ってくれて本当にありがとう」
シルヴィアは観客と一緒に拍手しながら、2人の歌に感激していた。
●三幕
そしてシルヴィアとネーヴェによる歌劇が始まる。
歌劇の内容は、伯爵令嬢と騎士による恋物語。
「私はローザ。いつもそばに居て私を守って下さるあなたは、私の幼馴染であり、私に仕える騎士」
青薔薇を思わせるドレスを纏ったネーヴェが、歌唱と舞踏スキルを駆使して伯爵令嬢『ローザ』を演じる。
――幼き日の約束は、今も私の胸の中に眠っている。ずっと……ずっと、好きでしたの。
「ああ、私とあなたは結ばれぬ身。ですがせめて、この恋心だけでも伝えたい」
『ローザ』は何かを取り出す。
「チョコレートに愛を込めて、想いを伝えると言う風習が出来たと伺いました。これなら密かに伝えられるかもしれません」
『ローザ』はそれを手に叫ぶ。
「さぁ、薔薇のチョコレートよ、私の想いを届けて!」
ネーヴェの叫びの後、やや離れた場所で白銀のマントと騎士の装束で身を固めたシルヴィアが、騎士ウォルターとして登場する。
シルヴィアは歌唱と舞踏スキルを駆使し、『ウォルター』を歌い上げる。
「幼い頃の約束、貴女はきっと覚えてはいらっしゃらないでしょう。それでもその約束は、私の胸に星のように輝き続けている」
そして『ウォルター』は何かを掲げる。
「チョコレートに愛を込めて想いを伝える風習が出来たらしい。忠誠は尽きることなく。ただ、烏滸がましい願いではありますが」
自身の想いに苦悩しながら『ウォルター』も訴える。
「私の恋心への餞にどうかチョコレートを受け取っていただきたい。さあ、薔薇のチョコレートよ。私の想いを届けておくれ」
ともに幼き頃に約束した日に。お互いに愛を告げるため、舞台の上で2人は奮闘する。
すれ違い、会えない2人の様子がコミカルに演じられ、観客の笑いを誘う。
それでも互いに愛を告げるため、約束を交わした同じ日。
2人はついに巡り会う。
「ようやく逢えましたのね。10年前の今日、交わした約束を覚えていますか?」
「ローザ様……覚えていて下さったのですね。ええ、忘れた日はございません」
青い空、風に揺れる花々、薔薇を受け取って下さった貴女の微笑み。
「あの日から私の心は貴女のものになった。――私は恋心を殺さなくても良いのでしょうか?」
そう言ったウォルターに向け、『ローザ』は『それ』を差し出す。
「これは今の、私の気持ちです」
ほぼ同時に『ウォルター』も跪き『それ』を差し出す。
「許して下さるのであれば……どうか、これを」
2人が互いに差し出したのは、同じ薔薇のチョコレート。
「薔薇の、チョコレート。……貴方も同じだと、そう思っていいのですか?」
『ローザ』は感激する仕草を見せ、『ウォルター』も立ち上がり頷きを見せる。
「ああウォルター、私もあの日からずっと、貴方を……」
そして舞台中央で2人は抱き合い、顔を寄せる。
そこで終幕となり、称賛の拍手が舞台上の2人を包みこむ。
「とても楽しいひと時だったよ。私のお嬢様に感謝を」
「ふふ、こちらこそ。騎士様、楽しゅう御座いましたわ」
舞台からの去り際に、シルヴィアとネーヴェは密かにそう囁きあった。
●宴
そして冒険者達は宴会へと移行する。
まずシルヴィアが音頭を取り、それぞれ思い思いに飲み物を手に取って乾杯する。
「改めて招待してくれたことに感謝する」
「この度はご招待ありがとう。ラベンダーの芸術祭の続きを披露できてよかったよ」
ヴィナスとカッシアがそれぞれシルヴィアに礼を述べ、そのまま2人で隅の方に移動する。
「今日は楽しかった」
(好きな人と舞台で世界紡げたからね)
ヴィナスの内心を読んだのか、カッシアも「俺も」と返し一方でこう思う。
(でも、もう練習はいらないのはちょっと惜しいな)
面と向かって言えず、カッシアは冗談交じりにヴィナスへこう言った。
「なかなか様になってたよ。吟遊詩人に転職するかい?」
「いいね、楽しそう」
カッシアとヴィナスの間に、穏やかな時が流れる。
「ルティスお兄ちゃん、今日は連れて来てくれて有り難う!」
アステルはキオルティスに感謝を伝えた。
――色んな芸術を楽しめたのも嬉しいけど、何よりルティスお兄ちゃんが誘ってくれて、一緒に楽しめた事が嬉しいな。
「急な誘いに乗ってくれて有難う。……って、何故笑ってるんだい?」
キオルティスもアステルに感謝しつつ、楽しそうなアステルに首を傾げる。
「ん、何でもないよ。楽しかったね!」
そう言うとアステルは購入した画材を使い、今日の様子を思い浮かべながら絵画を描き始める。
――皆と楽しみながら、今日の様子を思い出して絵を描くよ。思い出を残す一つの手段。綺麗な色でいっぱいになりそう。
「青薔薇の芸術祭……何か手応えがあったようだね」
――その素敵な色達の饗宴が、一番アステルの魂を示しているようだ。
キオルティスはアステルを微笑ましく見守りつつ、皆が揃ったことを記念して即興の歌を披露する。
「シルヴィア先輩、お誘いありがとうございます。今日一日お祭りを楽しませて頂き、改めてカペル候爵領の豊かさを感じました」
仲間達が披露したその全てにもリサは感動し、シルヴィアに感謝する。
「芸術家の皆さんが、伸び伸びと才能を表現しているなぁって感じました」
芸術だけでなく、商売としても上手く回っていて。
「商人としてもちょっと学ぶ所がありました」
リサは「勉強になりました」と礼を述べた。
「皆さん本当に素敵でした! 本当は公演後に渡そうと思ったんですけど、折角だからご一緒した皆さんに渡したいので」
リゼットはそう言うと、自身が手を加えた様々な冬薔薇を仲間達へと贈る。
シルヴィアには、白。
ネーヴェにはごく淡い紫。
キオルティスには深い紅。
アステルには鮮やかなピンク。
ヴィナスにはオレンジ。
カッシアには紫。
リサには淡い黄色。
仄かな香りも付けられ、リゼットが織り込んだ銀糸やリボンがそれぞれの美しさを引き立てる。
「お疲れ様でした。ご一緒できて嬉しいです」
なおリゼットの手元には、フローラ・ウォレス伯爵に贈ったものと同じ、青に染められた薔薇がある。
贈られた仲間達がそれぞれ感謝を伝える中、リサは別件でもお礼を述べた。
「先日はファッションショーのお手伝いありがとうございました。お陰様で大好評でした」
最後にシルヴィアはフローラ伯爵に頭を下げる。
「カペル領に来て頂いて光栄です」
そしてシルヴィアは、フローラ伯爵やアルヒ・ラスカスを祭りに誘う。
「祭りはまだまだ続きます。どうかお楽しみ下さい」
芸術祭は、これからも続く。
マスターコメント
ショートシナリオR易しい 報酬:標準8 / 4〜8人
2022年02月11日 11時21分59秒 公開
相談掲示板
シルヴィアだ。皆、お祭りのお誘いに快諾してくれてありがとう。魅力的な依頼にして下さった岩岡志摩さんにも心からの感謝を。今回はよろしくね。 (ご参加どなたでもご自由に。良い一日になりますよう願いを込めて) >お誘い 折角のお祭りだから、皆と一緒に楽しめたらと思っている。各自個人行動の後に、フローラとアルヒも誘って街でホットワインや食事を楽しむか、劇場で合奏・合唱するか……やりたいこともあるかもしれないし、参加するかどうかは勿論お任せするよ。参加しても良いと思ってくれる人は、何方が良いか教えて貰えると有難い。是非検討よろしくね。
ヴィナスだよ。 シルヴィアはお誘いありがとう。 予定は、今の所、ラベンダー芸術祭の続きを歌おうかなって所。 その後だったら顔出せると思うよ。
カッシアだ。 この度はお誘いありがとう、シルヴィア。 予定としては、ヴィナとラベンダー芸術祭の続きを披露できたらいいなって思って準備してる。 演奏の後で挨拶に行けたらいいな。 どうぞよろしく。
リサです。宜しくお願いします。 カペル候爵領、とても豊かで文化的にも栄えていると噂の街のお祭りと言うことで、商売人としても見識を広げるためにもお邪魔させて頂きますね。 シルヴィア先輩、宜しくお願いします。
>ヴィナスとカッシア 二人ともお誘いにOKしてくれてありがとう。 ラベンダー芸術祭の歌の続きを聴ける……今から待ち遠しいよ。 楽しみにしているね。 >リサ リサ、来てくれて嬉しいよ。故郷を褒めて貰えたことも光栄だ。 君にとって素敵な一日になるよう願っている。当日はよろしくね。 >宴会のお誘い よく考えたら、舞台に参加するより街の観光に行きたいという人もいるかもしれないと思って。演奏後・観光後の乾杯というのも素敵だし、宴会のタグにしてみたよ。 ▼ 【宴】 祭りの後半NPC二人も誘ってタグ参加者と乾杯 冬薔薇や街の芸術を楽しみつつ宴会 ▲ 多少言葉を弄るかもしれないけど内容は変えないつもりだ。 もし良かったら参加よろしくね。
連続で申し訳ない……! 当日、私は舞台で演奏か歌唱をしたいと思っている。 もし共演してくれる人がいたら大歓迎だから声を掛けて貰えると嬉しい。
ネーヴェ・グラヌローザと申します。 シルヴィアさんはお誘い頂きましてありがとうございました。 皆様どうぞ宜しくお願い致します。 宴会の件は承知致しました。皆様どうぞ楽しいひと時が過ごせますよう。 >シルヴィアさん 私も舞台で芸事を披露したいと思っておりましたの。舞踏か歌唱かは悩むところに御座いますが。 もし宜しければご一緒致しませんか?
>ネーヴェ ネーヴェ、お誘いの快諾感謝だ。一緒に芸術祭を楽しもう。宴会でもよろしく頼むよ。 舞台のお誘いにも応じてくれてありがとう。 是非共演して貰えると嬉しいよ。ネーヴェが舞踏か歌唱なら、私は演奏に集中しようかな。楽器はフィドルかリュートの予定だ。
吟遊詩人のキオルティス。キオでもルティスでもお気軽に。 どうぞ宜しくね。 シルヴィさんはお誘い、有難う。この素敵な領地を見せたくてね、 今回は俺の愛する妹も連れてきてみたんだ。彼女も音楽やら何やら 大好きな可愛いレディだから、楽しんでくれると思ってね。 兄妹共々、宜しくね!
>キオ キオ、お誘いにOKしてくれてありがとう。 アステルは妹さんなんだね。ふふ、確かにとても可愛らしい子だ。 二人にも故郷のお祭りを楽しんで貰えたら嬉しい。 素敵な一日になりますように。
流石にわたしは舞台に上がって披露できる事はないので、 皆さんの演奏や歌唱を楽しませて頂きますね。 【宴】、参加させて頂きます。 個人行動としては、絵画に興味があるので、いろいろとまわってみたいなと思っています。
>リサ 【宴】に参加してくれてありがとう。舞台も乾杯も今から楽しみだ。 素敵な絵画との出会いがあるよう願っているね。
No.13
えと、ルティスお兄ちゃん…キオルティスお兄ちゃんに誘われたから来させて頂きました。 乱入みたいだけど、どうぞ宜しくお願いしますっ!(ぺこり えと、私は横笛が出来るから披露したいかな? 絵も大好きだからそっちも気になるなぁ。 みんなで楽しく過ごせると良いね!!
ご挨拶が遅くなってごめんなさい リゼット・ブランです シルヴィアさんいつも素敵なお誘いをありがとうございます! 何をして楽しもうか迷っている所ですが 皆さんの演奏や歌は楽しみしています 絶対に見に行きますね 【宴】の参加も勿論っ 宜しくお願いします(ぺこ)
アステルも無事、ご挨拶出来たみたいだね。 そんな訳でシルヴィさん、兄妹共々仲良くしてくれると嬉しいな。 勿論、此処に集まった皆もね! さて、俺たちも【宴】にはちょこっと顔を出させて貰おうと思う。 場に居たら、構ってくれると嬉しいよ。 それじゃ、カペル領にて。楽しい一刻になると信じてるよ(微笑
ネーヴェと私はミュージカル風の舞台にしようと思っているよ。 >アステル 初めまして、シルヴィアだ。君のお兄さんには何時もお世話になっている。 乱入なんてそんなことは無いよ。故郷のお祭りに来てくれてありがとう。アステルの横笛、楽しみにしているね。 >リゼット 此方こそお誘いにOKしてくれて感謝だ。君とまた一緒に楽しめる事が嬉しい。 リゼットやリサが観に来てくれるなら、ミュージカルを一層張り切らないとね。【宴】でもよろしく頼むよ。 >キオ 私の方こそ仲良くしてもらえると嬉しいよ。二人とも、改めてよろしくね。 キオとアステルも【宴】に参加してくれると聞いて喜んでいる。街の音楽や花を楽しみながら乾杯しよう。皆にとって楽しい一日になりますように。