【魂禍】炎光剣の漆黒巨人

望月誠司

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シナリオID:1759

オープニング

 闇の底を灼熱するマグマが赤く輝きながら河となり流れている。
 発光する奇怪な植物がそこかしこに生えており、陽の光は差さねどもぼんやりと明るかった。

 ここは辺獄。

 ロスガリア大陸の北西部、シグモル火山の地下にある、その昔に神々とクリーパーとが激しく争った際に起きた地殻変動によって生じた空間である。
 大陸でも北部にあるが、この地の気温は高い。

 地獄のような光景が広がっている場所だ。

 地獄の地平の彼方から、蠢く巨大な漆黒が近づいて来ていた。

 人を象っている。

 だが、それは決して人ではありえなかった。

 十メートルを超える巨体、身体のすべては墨のような漆黒で形作られ、手には赤く炎のように輝く光を握っている。細く長く伸びてさながら剣のようだ。

 ギルドからの依頼によれば、あれを退治せよとの事だった。
 通常十メートルもの巨体のクリーパーともなればおよそ十人で倒せるような相手ではないが、このクリーパーは元となった生物の姿を真似ているだけで、実際に十メートル級の実力がある訳ではないらしい。

 しかし、それでも強力なクリーパーである事は間違いがなく、そしてこの漆黒のクリーパーを放置すれば、地上をも貪り尽くす程の怪物が出現する事になるだろうと神は言った。

 そう――神が言ったのだ。

 話は少し前に遡る……

●【魂禍】共通オープニング
 後の歴史書に“辺獄戦役”と記されるシグモル火山の異変は、その日初めて記録の上に登場した。
 しかし、その前兆は既に表れた後……。

●
「聞いての通り、シグモル火山の地下、“辺獄”と呼ばれる地にクリーパーが大量に現れ、魔獣と争っている。
 このクリーパーは、殺した相手の魂を喰らい、自分の力に変えてしまう厄介な力を持つ。クリーパーが魔獣と争うのは、その魂を我が物とする為だ。放置すれば今にも地下を平らげ、地上をも貪り尽くす程の怪物となるだろう。
 元来コイツは、私が封じていた存在なのだが――」

 さる冬の日、幾つかの仕事が冒険者ギルドに依頼された事を、歴史的な事件として当地のギルド員が伝えている。
 その理由は、依頼主が神様だったからだ。

「倒さず封印した理由は単純だ。奴は私でも倒し切れなかった。だから封じる他なかったのだ。ところで、肝心の依頼内容だが」
 少女の姿をした火神(ボルガニスク)は口元に弧を描き、事も無げにこう続けた。
「このクリーパーを、倒して貰う。最終的にはな。だが、方々の妙な動きも無視出来まい。従って、まずはこれら全てに対処し、戦果を挙げて来い。……期待しているぞ?」

解説

■状況  このシナリオにご参加のPCさん達は、冒険者ギルドから『漆黒巨人』と命名された巨人型のクリーパーを退治する事を依頼され、辺獄へと足を踏み入れた冒険者達となります。 ■漆黒巨人について  既に一パーティが一度戦いを挑み、蹴散らされ、ギルドに報告した経緯があります。  その為、以下の記述はPC情報として扱って問題ありません。 ●外見  体長10メートル程  皮膚から目玉からすべて墨のような漆黒で形成されている  手に10メートル程のサイズの赤い光の剣を持っている。 ●パッシブ能力  通常攻撃の射程が2hex  すべての攻撃が吹飛4  なお地面に叩きつけられる系はその分破壊力が増大する ●基礎ステータス  生命力が極めて高い  物理攻撃力が非常に高い  抵抗が高い  大振りな為命中力は並程度  INIは低い ●所持スキル ・薙ぎ払い  低い姿勢で独楽のように回転しながら赤光剣を水平に一閃し、自身を中心に直径3hexを薙ぎ払う ・怪光閃  口から閃光を吐き出す  射程3~10hex  物理攻撃属性 ・カウンター  1ラウンド中3回まで攻撃を受けた際に攻撃可能な射程にいる相手へと通常攻撃or怪光閃で反撃する ■迎撃点周辺の地形情報  遮蔽物になりそうなものは特に無い平坦な赤茶けた大地  発光する背の低い植物が点在しているので陽の届かぬ闇の底だが明るい   気温は暑い

マスターより

 火の山の底へようこそ、望月誠司です。  このシナリオは辺獄に湧いて出てきたクリーパーを、放っておくとマズイ事になるので退治するシナリオとなります。  まさかの神様からの依頼。  ご興味惹かれましたらご参加いただけましたら幸いです。

リプレイ

 灼熱するマグマの大河だ。
 闇の中に赤い光が溢れている。

「うーん暑いわねぇ……この時期にこの言葉を言うことになるとは思わなかったわ」

 夜空に似た濃紫色の長髪を持つ娘エミリア・シバが言った。

「確かに暑い」

 猫科の半獣人セリオス・オーガストが頷く。
 豪雪地帯出身で暑さに弱い彼はへにゃりとバテている――と思いきやしっかり『温度耐性』『肌温調節』スキルをセットしてきたようで、いつものように口を真一文字に結んだキリッとした精悍な表情をしている。

「地下なのに……いや、地下だからか。凄い熱気だね」

 赤髪の吟遊詩人キオルティスもまたマントを着用し直接の暑気が当たらないように対策していた。

「もう汗かき始めてるし手早く終わらせてお風呂でさっぱりしたいわ」

 手で顔を仰ぎつつエミリア。
 この地の気温は冬でも高い。

 神(ボルガニスク)からの依頼を受け、ギルドより派遣された十名の冒険者達は『辺獄』と呼ばれる地に降り立っていた。
 多くの者がここに来るのは初めてだったが、

「辺獄の敵との戦い、さらには支援となれば慣れたものよ、任せて貰おう!」

 わははと灰色髪の屈強なドワーフが豪放に笑う。
 ヴェイグ=ベーリング、シグモル火山帯の出身で、長くボルガニスク神殿に仕えてきた男だ。齢は128になる。
 授恵者として目覚めたのは最近だが、非授恵者の頃から授恵者を支援してクリーパーと戦っていたので慣れたものだ。

 今回討つべき標的は、

「――やれやれ、こいつァまた天を衝く様なデカブツだなァ。炎の神様も無茶を言いなさる」

 派手な着物を羽織った、美しい烏色の長髪の男が、手にした煙管をふかした。
 中村(なかむら)・右衛門佐(うえもんざ)・勘次郎(かんじろう)。
 シャルガネ出身の元歌舞伎役者が見つめる先、地獄のような地下世界の地平から十メートルを超える漆黒の巨影が、赤い剣状の炎のような光を握り締め迫り来ていた。

「大きいですね……これで本体ですらないのですか……」

 長い銀髪の少女戦士が金色の瞳で漆黒巨人を見つめ「少し、手こずりそうです」と呟く。イヴェール・イリュジオンだ。

「真っ黒な巨人……見た目通り火力は高そうだな」

 蒼碧瞳(オッドアイ)のエルフ傭兵シグルド・オルセンが唸った。
 日に焼けた肌を持つ精悍な体躯を持つ青年は思案しつつ、

「これで防御力まで高いとかなりキツかったが……前に戦ったパーティの話じゃ、頑丈さはそれほどでもないんだったか?」
「ああ、特に脆くもないらしいけどな。皮膚の強度は普通のクリーパーとそう変わらないらしいぞ」

 シグルドの言葉に黒髪黒瞳の男、海神(うみがみ)・江流(える)が頷く。

「やっぱり事前情報があるのは助かるわ。確りと情報を持ち帰ってくれた前のパーティには感謝ね」

 とエミリア。
 依頼の成功はもちろんだけれどやっぱり冒険者は生きて情報を持ち帰ってくるのも重要よね、と女は思う。

「彼らに報いるためにも確実に倒したいわね」
「そうだね、この事態、放っておいたら大変な事になるし……平和の為にもここで何とかしなくちゃ!!」

 赤髪緑瞳の美少年ララベル・サン・ディーベルがエミリアに同意する。

「シンプルに強い相手、です。気をつけて戦う、ます」

 黒に近い紫色の髪をシニョンで二つにまとめている娘が水筒から茶を飲んで水分補給しつつ頷く。
 アメジストのような明るい大きな紫瞳と細くしなやかな身を中華風の服装に包んでいる蒋(しょう)・璃龍(りーろん)だ。

「ああ、楽な仕事じゃなさそうだが、神にこちらを完全に信用させるためにも、何があっても守り抜いて、きちんと仕事をこなそうか」

 シグルドが頷き、かくて十名の冒険者達はボルガニスクからの依頼を果たすべく巨大クリーパーへと戦いを挑むのだった。

●
 遮蔽物の無い平坦な地平より迫る漆黒の巨人に対し、まず最初に仕掛けたのは長射程の飛び道具を持つセリオスだった。
 ダマスカス鋼の短弓に矢を番え、エーテルを全開に解放しつつ目一杯に引き絞る。
 鋼の弓身が軋む音を立て、光が収束して猛烈に眩く強く輝いてゆく。バスターアローだ。
 銀色の瞳で百メートル彼方の漆黒巨人を睨み狙いを定め撃ち放つ。
 太陽の如くに鮮烈に眩く輝く矢が、錐のように旋転しながら一瞬で空間を貫き、唸りをあげて巨人へと迫る。
 黒影は咄嗟に炎のように輝く剣を翳す。しかし光の矢は鋭く掻い潜り、漆黒の巨体へと深々と突き刺さった。凶悪な破壊力が炸裂する。

 イヴェールもまた今回は短弓を手にしていた。
 常は前衛に立つ事が多い彼女だったが、高火力の必要性、ヒーラーの不在、戦場の暑さから来る疲労への懸念、諸々への勘案がイヴェールに遠距離攻撃を選択させていたのである。

 銀髪少女はダマスカス鋼の短弓に矢を番えると、彼方より迫る漆黒の巨人を照準に入れ、エーテルを全開に撃ち放った。
 鋭い弦音を響かせながら矢が勢い良く撃ち放たれ。旋転しながら唸りをあげて飛ぶ。風を裂いて矢は巨人へと迫り、鈍い音を立てつつ黒肌へと深々と突き刺さった。痛烈な一矢だ。

 そしてヴェイグもまた128cmの己の身の丈に匹敵する120cmの魔弓を斜めに構えて矢を番え、月が満ちるが如くに引き絞っていた。
 今回は回復役にまわる事にしていたが開戦直後故に負傷者がまだいない。
 攻撃に精神を集中させている中年ドワーフは、片目を瞑り左手の人差し指を伸ばして照準を合わせると慣れた手付きで矢を撃ち放った。
 緩く放物線を描いて飛んだ呪矢が巨人の胴へと突き刺さり、破壊のエーテルを解き放つ。

『OOOOOOOOOOOOOOッ!!』

 マグマの赤光に満ちる地底世界に尾を引く巨人の不気味な咆吼が轟いた。
 弱小のクリーパーならば既に絶命している三連射を受けても歩みを止める気配なく、むしろ身を前傾に走り出し加速してゆく。
 冒険者達へと向かい地を揺るがしながら漆黒の巨人が一気に間合いを詰めて来る。

「でっかいし、ほんとに真っ黒……でも、負けるわけには行かないよ!」

 迫る巨体を見上げて駆けつつララベルは仕掛ける機を窺う。
 エミリアは真っ直ぐに駆け間合いを詰めると踊るように飛び込み、右手に握る剣と左手に握る短剣を高速で閃かせた。一刹那に三連の刃光が走り、巨人の黒肌が裂かれ漆黒の液体が噴出する。
 連撃を受けた漆黒巨人は咆吼すると一歩を後退しつつ右手に握る炎光剣を猛然とエミリア目がけ振り下ろした。
 夜空色の髪の女は爆風を巻いて迫る赤い光柱に対しエーテルを全開に解放、感覚を研ぎ澄まし瞬時に攻撃軌道を見切り飛び退く。赤い光がエミリアを掠める。大地に突き刺さり爆砕する。
 盛大に土砂を吹き上げてゆく中キオルティス、エーテルを全開にホライゾナルジャンプを発動した。漆黒巨人の頭上を取りたい。
 だがこのスキルは垂直方向へは5m程度しかジャンプが出来ない。10m相手ではその身体を駆け登る必要がある。
 加速した赤髪の男は漆黒巨人の膝上を目がけ跳躍、膝を足場にさらに蹴りつけ上へと跳ぶ。
 腕の部分へと足をつけ三度目、頭上へと向かい跳ぼうとした所で巨人が激しく身じろぎした。
 振り払われるように横軸の力が加わって吟遊詩人の身が宙へと放り出されてゆく。
 赤髪の青年は宙で身を捻りクルクルと回転すると態勢を立て直し脚から着地した。ちょっと万全の状態の漆黒巨人へと登るのは無理そうだ。

 他方、風の如く機動するララベルは漆黒巨人の背後に回り込み、その右脚の後ろ、アキレス腱を狙って、左右の手に握る1m程度のサイズの細剣を嵐の如くに突き込んでいた。

「喰らえ、烈風三連突き!!」

 目にも止まらぬ速度で破壊が連続して巻き起こり、穿たれた黒肌から漆黒の液体が噴出する。
 即座に飛び退いて間合いを広げんとするララベルだったが、風の如く機動する少年へと漆黒巨人は振り向くと右手に握る炎光剣を猛然と振り下ろした。

 迫る巨大光剣に対しララベルはエーテルを全開に神眼法・改を発動、素早く駆ける方向を切り返して回避する。
 炎光の巨剣が爆音と共に大地を爆砕し土砂が噴き上がる。

 セリオスが短弓を太陽の如く眩く光輝かせながら光の矢を撃ち放ち、イヴェールは後方へと駆けて間合いを広げながら鋭射を放つ。
 光の矢と剛矢が黒い肌を貫き、漆黒巨人は黒い頭を巡らせると顎を開き、暗黒の奥から燃えるマグマのような光を溢れさせた。

 赤い巨大な閃光が轟音と共に吐き出されセリオスへと迫る。猫科の半獣青年は咄嗟にかわさんとするも避けきれず、爆裂と共に百キロで爆走する大型馬車に轢かれたかの如く吹き飛んだ。
 僅かな滞空の後、大地に叩きつけられ数度転がり、身を起こさんとするも、意識が遠退いてゆき力が入らない。

「生きているか?! しっかりせい!!」

 ヴェイグが駆けつつ精神を集中させ癒しの光を放つ。

(今回は本職のヒーラーがいないから戦線維持を考えて動かないとヤバいな)

 シグルドもまた黄金の戦槌を振り上げるとエーテルを収束、癒しの光と成して後方のセリオスへと放った。
 二重のヒールがセリオスへと降り注ぎ、その身から痛みが和らぎ、青年はなんとか意識を繋ぎとめ身を起こす。
 蒼碧瞳(オッドアイ)のエルフ戦士は前線へと駆けてゆく。

 璃龍、紫髪をシニョンにした娘は、巨人の右手側へと回り込むように駆けつつ全長2m程の鋼槍を、中華風の服に包まれた細い身を捻りざま一閃した。弧を描く軌跡より空圧が唸りをあげて飛び出し、漆黒巨人が炎光剣を握る右手の指へと炸裂する。衝撃刃だ。黒い皮膚が爆ぜ、黒い体液が噴出してゆく。

「なるほど、鈍間で攻めも大振りだが、当たりャァ洒落にならんな」

 漆黒巨人の一連の動きを観察しつつ勘次郎が呟く。
 エーテルを全開に解放、爆発的に加速して機動しつつ、元歌舞伎役者は大太刀を渾身の力で振り下ろす。
 半月を描く斬線より唸りをあげて衝撃波が飛び出し、巨人の脇腹に炸裂して肌を割り、黒い体液を勢い良く噴出させる。痛烈な破壊力。

 江流は脇差と短刀を左右の手に携え、漆黒巨人の周囲を円を描くように駆けつつ、その一連の動きを良く観察している。
 戦術眼を用いて敵の次の行動への予測を立ててゆく。

 見るからに東方大陸にルーツを持つ風貌の男は、漆黒巨人へと踏む込むと神楽と囃子を素早く振るい、巨人の黒い皮膚が裂け黒い液体が噴出する。
 その時には既に江流は機動し巨人の側面へと回り込んでいた。
 漆黒巨人が一歩後退しながら江流へと向き直り炎光の剣を振り下ろす。剣が大地を爆砕して土砂を吹き上げ、無傷の男が軽快にステップしてまた回り込んでゆく。
 その隙にキオルティスが再度加速していた。巨人の足元へと超接し細剣と暗針を振るう。十メートルの巨人は首を回し赤髪の詩人を見据えると、炎光剣を手の中で回転させ逆手に持ち変え突き下ろした。
 赤髪の男は頭上を見上げ、エーテルを全開にその軌道を見切り、疾風の如く機動してかわす。エミリアが三連斬を浴びせ、巨人が反撃に振るった逆手の剣を神眼法でかわす。

 機を計っていたララベルが再度突撃した。右足アキレス腱へと重ねて三連突きを打ち込み、セリオスが剛矢を鋭く放ち、イヴェールもまた距離を取りつつ攻撃に意識を集中させ右脚へと痛烈な矢を撃ち放ち、勘次郎が辺獄の大地を駆けつつ大太刀を振るって衝撃波を飛ばし、ヴェイグが集中して癒しの光を放ちセリオスを回復させてゆく。
 漆黒巨人の身より黒い体液が噴出してゆく中、シグルドが突撃し両手で構える黄金の戦槌を振り上げながら踏み込み、全体重を乗せて振り下ろした。
 唸りをあげ炸裂した金降槌(ミョルニル)が巨人の脚部を叩き割り黒液を盛大に噴出させる。

 一連の猛攻に巨人は一歩を退き、身を沈めると独楽の如く激しく回転した。
 低い位置に構えられた赤い光が竜巻の如くに走って周囲の空間を断裂する。薙ぎ払いだ。

 機動するララベル、勘次郎は間合いを外して回避している。
 キオルティスは逆に前方へと再度踏み込んで、肉薄して回避した。
 エミリアは継続する神眼で軌道を見切り低く身を伏せてかわし、シグルドは身を傾斜させ蒼い籠手(ガントレット)を翳した。巨大な炎光剣に薙ぎ払われ轟音と共にエルフ傭兵が投石機(カタパルト)から放たれる石弾の如くに錐揉みながらぶっ飛んでゆく。
 しかし、男は宙で身を捌くと回転し脚から大地へと着地した。靴底が地を削って土煙があがってゆく。
 ピンピンしている。掠り傷だ。非常に固い。
 他方、攻撃に合わせて江流もまた機動していた。紙一重で炎光剣を掻い潜りざま大脇差しを一閃し巨人のその光の剣持つ拳へと斬りつける。
 罅割れていた巨人の小指が断たれ、黒液が勢い良く噴出した。

 他方、機を窺っていた璃龍が突撃している。中華風の服に細身を包む娘は巨人の背後へと回り込むと、全長2mの鋼槍を旋風の如くに鋭く振り回した。
 長柄の遠心力で加速した刃が、右脚裏のアキレス腱へと唸りをあげて迫り、ララベルの連撃でボロボロになっていたそれを、鮮やかに掻っ捌いた。
 黒い液体が盛大に噴出し、巨人の身が傾いで片膝をつく。

 漆黒巨人が怒りと苦悶の咆哮をあげ、冒険者達は手を緩めずに次々に攻撃を仕掛けてゆく。

「その攻撃は見切った……お返しにこれでもくらえ!」

 片膝をつきつつも巨人が薙ぎ払うように振り回した炎光剣をララベルは神眼法で紙一重で掻い潜って踏み込み猛連撃を加えた。
 璃龍は背後より槍を振るって斬りつけると同時に距離を取って間合いを外し回避し、江流、エミリアも薙ぎ払いとカウンターを回避しつつ斬り刻み、セリオス、集中し手を狙撃するイヴェール、やはり集中するヴェイグから放たれた矢が巨人の身へと突き刺さり、勘次郎が放つ衝撃波とシグルドの戦槌が炸裂する。黒い液体が盛大に噴出し、巨人の手から炎光剣が転がり落ちて霧散する。

 キオルティスはエーテルを全開に加速すると跳躍し、膝をついている巨人の肩を蹴ってさらに高く跳び上がる。
 赤光に照らされる地底の宙を高々と舞い、やがて落下し始め、加速度的に勢いを増してゆく赤毛の吟遊詩人は、細剣を手の中で回転させ逆手に構え直すと、己の全体重と膂力を乗せ、巨人の脳天へと鋼の切っ先を天雷の如く突き降ろした。
 凶悪に増大した破壊力が乗った刺突剣は、漆黒の体躯を貫いて頭部の中心まで深々と貫き、巨人がビクリと震えその動きが止まる。
 やがて、体長十メートルを超える漆黒の巨人は、ゆっくりとゆっくりと辺獄の大地に倒れていったのだった。



 かくて冒険者達は神に依頼された漆黒巨人の討伐に成功した。

「何だろうね、こいつら」

 キオルティスは細剣を一振りして黒液を払いつつ鞘に納め率直な疑問を口にする。

「いや、神様が倒し切れなかったヤツの内の一人なのは分かってるけどさ……もっと大きな……って、サイズじゃなくて……敵も居るのかな……」

 赤髪の吟遊詩人の問いに対し、いかにも居そうだと、何人かの冒険者――あるいは全員が――思ったのだった。



マスターコメント

 この度はご参加とプレイング、誠に有難うございました。  このような結果となりました。  ご満足いただける内容になっていれば幸いです。
ショートシナリオ

ショートシナリオ難しい 報酬:標準10 / 4〜10人

2021年12月31日 10時01分39秒 公開

大成功

相談掲示板

  1. シグルド・オルセン

    ウォーリア、シグルド・オルセンだ。よろしく頼む。 ヒーラーがいないな… 戦線維持とか立て直しは少々考えなければならんか。俺は武器をヒーラー武器に持ち変えてヒール3も持っていくようにしておこう。

  2. 蒋・璃龍

    ウォーリアの蒋・璃龍、です。よろしくお願いする、ます。 ヒーラーがいないので、回復があまりできない前提で作戦を考えないといけなさそう、です 火力が高い相手、ですけれど、命中が比較的高くなさそうなので、回避優先、防御は物理に偏った装備でも良さそうだと思う、ます

  3. ヴェイグ=ベーリング

    ウォーリアのヴェイグだ。 見ての通りの駆け出しではあるが、全力を尽くす所存、よろしく頼む! うむ、オルセン殿と同じく、ヒーラーが居ない点は不安材料と感じるな。 だが幸い、前衛を担える者は数多く居るようだ。 俺自身は、前に出て戦うのは皆に任せ、ヒールのみのスキル構成で回復に専念をしようと思うが如何か? 薙ぎ払い等の範囲攻撃がある中で、俺も前に混ざるのは足手まといになりかねんと思ってな。 敵の生命力が高い故、長期戦にはなろう。 こちらもなるべく被害を抑えて戦いたい所だ。となると、敵の命中が低い点が肝要かな? 前面には回避型の方々に出て貰えると戦いやすいかもしれんな。

  4. 海神 江流

    シーフの海神江流だよ。今回は宜しくね。 ヒーラーがいない。か。 幸い敵の命中精度はそこまで高くないみたいだから、シーフには相性がいいのかもしれないね。 回避は十分高めて挑もうと思う。 シーフの付与だと抵抗が高いみたいだからBS付与はちと厳しそうだし、基本的にはトリプルファング改で手数稼いでダメージ取っていく感じになるかな。 前に出るのは問題ないよ。

  5. 中村・右衛門佐・勘次郎

    よォ、ウォーリアの勘次郎ってモンだ。 よろしく頼むぜ。 癒し手どころか魔法を使える奴も居ねェとなると…こりゃァ中々骨が折れそうだな。 自前でヒール持ってくのとBSを付与出来る手段を引ッ提げて当ることにすッかねェ。

  6. セリオス・オーガスト

    ・・・ん、シューターのセリオスだ、よろしく頼む 回復がないというのが少々厳しいところだな。何とか各自自前でどうにかするしかないか あとは言われてる通り抵抗が高いようだからこちらが付与を高めでいくかぐらいだな 正直回復がおぼつかなそうだから短期決戦を狙いところだが

  7. キオルティス

    シーフのキオルティス。キオでもルティスでもお気軽に。 今回は宜しくね。 敵のステや攻撃手段、特徴が分かってるのが救いだね。 基本的に皆が言ってることに右へ倣え。 あとは思い付きが有り次第、そこに色んな要素をプラスして より良い方向に持って行ければ良いかな…と。 敵の大きさを逆手に取る、とかね。

  8. イヴェール・アーチボルト

    ウォーリアのイヴェール・イリュジオンです。 どうぞよろしくお願い致します(ぺこり) ウォーリア5 シューター1 シーフ4 見事にほぼ近接主体の集まりですね…ヒーラーもいないとなるとヒールの用意は必須ですね。 >作戦 今回ほぼ近接揃いという事で、意図的に装備を変えない限りは敵の間合いで近接戦をされる方が殆どだと思います。 無策で近接戦を挑めばINIからして行動タイミングを調整しなければ纏めて攻撃を受ける可能性が高く、回復の手が間に合わなくなる恐れがあります。 反撃を避けるなら回避力の無い方は敵が動いてからヒット&アウェイで戦っても良いかも知れませんね。 またカウンターの事を考えれば回避力に自信のある方から先制攻撃でカウンターを使い切らせ、無い方はその後に続いて攻撃する事になるでしょうか? それを踏まえると…回避力のある方達が張り付きで敵の注意を惹きつつ近接戦。 無い方はヒット&アウェイか武装を切り替えての回復か遠距離攻撃、となるでしょうか? 私はヒット&アウェイでも遠距離攻撃でも回復でも出来ますが、回復役はお二人手を挙げて下さっているので私は攻撃に回りましょうか。 >気温 マグマの河が近くにあるような場所なので暑さは軽視できないかも知れませんね… 場合によっては持続ダメージを受ける可能性もあると思いますので、長期戦にも限界があるかも知れません。

  9. エミリア・シバ

    シーフのエミリアよ、よろしくね。 回避主体で前に立つのは問題ないわ。 仮に神眼法系を使えば【応】の効果でそのラウンドは回避判定ずっと上がったままだしね。 カウンターはトリプルファングでも仕掛ければ3回分剥がせるかそうだから 神眼法使ったシーフが交代でそのラウンドのカウンター剥がしできそうね。 ただ、シーフって殺界・ZOCの形成や執着とかなかったと思うから 敵が目の前の当たらないのより他を先にとかいう考えをしないのを期待したいわね 運悪く(クリファンとかもあるし)倒れた人の回収も意識とか思ったけれど 全ての攻撃に吹き飛ばし吹飛4がついてるのがある意味では助かるわね。 イヴェールちゃんのヒット&アウェイは 敵よりも後に動いて接近攻撃、次ラウンド攻撃後離脱ということかしらね?

  10. ヴェイグ=ベーリング

    賑やかになって来たな!皆、よろしく頼む。 回避型の面々、前へ出る件の了承ありがたい!頼りにさせて貰おう。 回避型が先に攻撃し敵のカウンターを誘発、良いのではないか!回避型はINIも高い故、自然とその形にも出来そうだな。 ヒット&アウェイは悩ましい所だな。  1ターン目:敵の行動後に接近して攻撃を仕掛ける  2ターン目:敵の攻撃前に離れる という事だと理解したが、この場合は2ターン目に攻撃ができんので手数は減ってしまう。長期戦は否めんが、オーガスト殿と同じく可能な限り短期にしたいとは俺も思う。 であれば、防御が高い面々は敵に張り付き続け、低い面々はヒット&アウェイというのは如何が? …いや、うむ、個々の行動は当然各自の自由故、行動は任せるし反対はせん。一意見と思ってくれ。 >回復 問題は無さそうか、であれば俺は擬似的なヒーラーとして動こう。 スキルはヒール×4、武器は魔弓、敵には接近せず皆の回復に専念する。魔弓で射撃も可能だが、もはや回復しかせん勢いで考えている。 それでも瞬間的な回復量不足は否めんと思うでな。各自でも回復の備えをして貰えるのはありがたい。 >運悪く倒れた人の回収 担当しよう!吹き飛ばされたところを回収し素早くヒールで回復、戦線復帰出来るようにするぞ。

  11. 蒋・璃龍

    >回復手段 回復に専念してくださる方がいるのは助かる、ます。もちろん、ワタシも回復スキルを持って行くようにする、です。 >作戦 回避型の方が高いINIで先手を取って攻撃して反撃を使い切らせ、その他の方は遠距離攻撃か敵が動いてからヒット&アウェイは悪くないと思う、ます。 ただ、次ラウンド時点では敵の攻撃範囲内で、敵より先に行動できるとも限らないので、対策は必要になると思う、です ワタシは回避があまり高く無いので、同一Hex内に潜り込んで攻撃して、相手の攻撃はグロリアスアーマー3を使って被ダメージを減らすよう防御しようと考えている、です ただ、ずっとそのままだとダメージ量が多くなってしまうので、厳しそうな場合は完全遠距離ができるよう、遠距離攻撃ができる衝撃刃3を持ち込んで戦うつもり、です

  12. シグルド・オルセン

    ヒールはある程度皆持っていくだろうし、俺はやはり量より質を高めにするためにヒール2と3を持っていって戦線維持をメインに動こう。 あとはBS付与はあまり見込めないだろうから、カバリングで味方を守るつもりだ。 作戦自体は良いが、敵の防御力はわからんが生命力は高いとあるし、手数を序盤で打ち切ってしまうのはちと心配だな。余力を残せる範囲での全力、で動けるとなお良いが…

  13. キオルティス

    うーん…ちょっと懸念事項。 敵のカウンターって別にこっちの攻撃順…ってワケではないよね? 俺の読み間違いだったら申し訳ないんだけれど、もし敵が任意に カウンターを行っているなら、トリプルファングも形無しかな、と。 回避の低さでカウンター後に動く…って言うのは有りだと思うけど 先行して攻撃したから、それにオートで反応するのかは謎だよね。 仮にオートで反応しても、攻撃して来た相手ではなくて、条件が 『攻撃可能な射程にいる相手』って言う所も気になるな…とか。 …考え過ぎなら良いんだけど。

  14. ヴェイグ=ベーリング

    >接近戦 やはり前衛が多い故、薙ぎ払いが厄介よな。前兆が読めると楽にはなるのだが… 「低い姿勢で独楽のように回転」という大きな動きではある、何がしか読めるかもしれんのでプレイングで工夫をしてみるとしよう。確実性はないがな! >カウンターの順 キオルティス殿の懸念ももっともだな! 回避型に前面へ出ていく案にしても、シバ殿の懸念も同じく、他を先に狙う可能性もある。 これは敵の知能レベル次第ではあるが、OPから読み取れる情報な無い故な。ある意味では考えても詮無いことではあろう。 少なくともやっておいて損はない。その上で、狙い通りにならんことも考えて動いておく、が結論だろうとは思うぞ。 具体的には、生命が低い時は攻撃を仕掛けず一旦離れて回復を待つ、もしくは、蒋殿のように離れて遠距離攻撃に切り替える、等が良さそうよな。 回復手を先に潰しにかかる、という可能性もある故な、俺も警戒をしておこう。

  15. 海神 江流

    >カウンターについて 順番の操作が出来るのかはわからんとこだけど、C発動時に射程外であった場合は回数のみ消費されるルールだったはずだよな。 射撃攻撃を先に通してから、比較的リスクの少ないシーフから仕掛けていく感じにしておけば、そこまでの攻撃に対する挙動を見て、最後に仕掛けるウォーリアさん達の攻撃の時に、カウンターを警戒スべきかどうかの材料には出来るんじゃないかな。 カウンターは通常攻撃で射程2hex。 3hex以上離れての攻撃ならカウンターされても空振るはずだから、そういう攻撃ができる人はどんどん押して行っていいと思う。 >個人 俺もヒールは一応1枠用意しておくよ。 気休め程度だが、傷口塞げれば失血死とかにはならんだろし。 天眼とフェザーステップの攻撃後移動で、上手く間合いを外していきたいな。

  16. イヴェール・アーチボルト

    >ヒット&アウェイ この認識はシバさんの仰ってる通りで間違いないですね。 メインフェイズで攻撃、サブフェイズ移動で最低でも範囲攻撃の範囲から離脱するのが目的ですね。 これは任意の順でフェイズを処理出来た筈なので攻撃してから下がる、という事も出来るかと…?私が勘違いしていたら申し訳ないですが… >カウンター これは怪光線でも行えるのでこれを上回る射程を持つ攻撃手段で戦う方を除けば基本的に全員が射程内に入っているかと… なので射程外にいる方は大丈夫でしょうが、10hex内にいる方は常に警戒して頂く必要があると思います。 カウンター対象についても懸念されてます通り、別の方に行う可能性は否定出来ませんね…攻撃を仕掛けてきた相手にカウンター、とは書かれていませんし。 極端な話、トリプルファングのカウンターを別の誰かに3連射する可能性もあり得るかと思います。

  17. 蒋・璃龍

    >カウンター リアクションスキルは任意発動なので、相手の知能次第で使い方が戦闘中に変わることもあるかもしないと思う、ます 最初は様子見するのは賛成で、でもずっとそのまま大丈夫と油断しないようにだけ、注意する、です 比較的行動がわかりやすい動きとして、背面側から攻撃すれば、通常攻撃でも怪光線でも、振り向く動作後にカウンターしてくると思う、ますので、攻撃する際は背後側からできれば攻撃していくのも良いと思う、です

  18. 海神 江流

    >カウンター あぁ、ほんとだ。見落としてたみたいだ。 怪光閃でも今回の敵は可能なんだな。了解、認識更新しておきますわ。 ご指摘ありがとう。

  19. ララベル・サン・ディーベル

    僕はシーフのララベル・サン・ディーベル。 みんな、よろしくね! ごめん、既に出てた作戦とか心配事以外の事が浮かばなくて、今迄どうしても発言が出来ず。 取りあえず、神眼法や見切りを持って行って、なるべく避けつつ積極的に攻撃を加えに行ってみるね。 足とか集中攻撃して、転ばせたり出来ないかなぁ?

  20. ヴェイグ=ベーリング

    >ヒット&アウェイ おぉ、すまぬ!イリュジオン殿の言う通りだ! メインとサブは「任意の順」と明記されておるな、指摘感謝だ。 訂正も兼ねて再度記載させて貰うが、つまりこういう事だな。うむ、特に懸念はない。  1ターン目:敵の行動後に接近して攻撃を仕掛ける  2ターン目:敵の行動前に攻撃して離れる(メイン→サブ、の順で行動) >カウンター カウンターを誰かに集中させてくる場合は……困りものだが、うむ、そうであっても攻撃せんわけにもいかんな。既に出ている対策を実施する以上の事は思い浮かばんが…… あぁ、いや!怪光閃は遮蔽が有効だろう。射程外に逃れるのは厳しいだろうが、生命が低い時は誰かの後ろにサッと隠れておく、というのは良いと思うぞ。 後は回復よな!全員生命全快が理想、とプレに書いて専念しておくぞ。全快は無理だろうがな! >ディーベル殿 おぉ、来られたか!安心したぞ。よろしく頼む。 作戦や心配事を挙げねばならん…等とは気にせんようにな。俺としては雑談も楽しいのだ。どんなことでも遠慮なく声をかけてくれい。 相談の邪魔にならん程度にではあるがな!少しぐらいは良かろう!わはは! 足狙いは良いのではなかろうか!足を負傷して動きづらくなれば、背面側への反撃が難しくなる可能性もあるやもしれんぞ。そうなら随分と戦いやすくなるでな。

  21. イヴェール・アーチボルト

    悩みましたが私は弓での遠距離攻撃を中心にします。 前衛は足りていますし、高火力で守りをなるべく気にせずに攻撃し続けるならこちらの方が良いと思いましたので… 殺界やシーザーロアで足止めや狙いを逸らしてる訳ではないので安全確保は必須になりますが。

  22. 中村・右衛門佐・勘次郎

    あっしもあれから色々と思案したが、衝撃刃の遠距離攻撃を中心にチャージングでのヒットアンドアウェイで攻撃することにしたぜ。 万が一、シーフの前衛がカウンターの対象になる様なら殺界とシーザーロアで対象をこちらに移す形で動くつもりだ。 >温度対策 持ってる奴ァ、温度耐性もって行きャァちとばかりはマシになると思うぜ。

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0