【恋眼】来世の栄光は罪を秘める
岩岡志摩
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シナリオID:1714
オープニング
もう戻れない橋を我々は渡った。
あとは暴かれるのを待つだけ。
思慮も分別も、今は罪と知るべし。
●陽動再び
――リーンエス王国王子ウィリアム殿下、王国南西部にて行方不明になる。
その一報が届いてからというもの、王国内では行方不明となった場所を中心に調査が行われ、様々な依頼が冒険者ギルドへと持ち込まれた。
冒険者達が足を踏み入れた場所は、貴族派貴族が領有する小規模な領地で構成される地域で、以前からそのあたりでは若者が失踪したり、墓荒らしが発生したりと不気味な事件が起きている。
そういった事件への調査も行われ、おおもとの依頼主である王家――特にメアリー・リーンエス王女のもとには、これまで判明した情報を記した報告書が複数提出されている。
そしてこの日メアリーは、先日陽動を依頼したフローラ・ウォレス伯爵を呼び出していた。
型通りの挨拶を終えたウォレス伯爵に対し、メアリーは先日冒険者達に調査を依頼した宗教団体『来世の栄光』に関わる話をする。
「先日の調査でいくつか判明したことがございますわ」
メアリーによると、冒険者達が持ち帰った資料にはあるものを回収し、特定の領地へと運び込んでいることを示す内容が書かれていた。
「今回持ち帰った資料に他の調査結果の情報を加えますと、教団が隠していた罪の証拠になりましたわ」
「それは私めが伺ってもよろしいものでしょうか」
メアリーの発言に不穏なものを感じたウォレス伯爵が、予防線を張るような発言をすると、メアリーは頷きを返す。
「もちろんですわ。フローラ様には知っておいてほしい内容ですもの」
そう言われれば、ウォレス伯爵も従うしかない。
観念したウォレス伯爵は、メアリーの口から発せられたその内容に、自身の耳を疑った。
「死体の強奪事件に関与……でございますか?」
「もともと来世の栄光という教団は、死者を丁寧に扱うことを教義としていますから、運ぶこと自体は不自然でもありませんわね」
そう言いながらもメアリーは手元に届いた別の報告書を、傍に控える近衛騎士を介してウォレス伯爵にも見せる。
「ですが強奪に関与しているとなると、話は別になりますわ」
強奪してまで死体を集めるのなら、何か別の理由が考えられる。
「そしてそういった死体がヴァルザード侯爵領に運び込まれていることが、今回入手できた資料で明らかになりましたわ」
教団の意図は不明だが、ろくでもないものであることは推測できる。
「ですが今の段階で集まった証拠だけでは、教団の後ろ暗い部分を追求することはできましても、決定力に欠けますわね。もう少し確かなものが入用になると思いませんこと?」
そこまで話を聞いたウォレスは、メアリー王女が自分に期待している役割について、ほぼ予測がついた。
「その確かなものが得られるように、冒険者へ依頼を出す」
ウォレス伯爵はややためらいがちに、自身の役割を口にする。
「そして私は現地の貴族達の意識を別の方向へ引き寄せる囮役となる、ということですね」
ウォレス伯爵の言葉に、メアリーは「正解」とばかりに唇の端を吊り上げる。
「例の内通者からの密告で、来世の栄光が次にヴァルザード侯爵領へ死体が運び込む日程やルートが明らかとなりましたわ」
その日に合わせ、ウォレス伯爵はそのルートとなる一帯を治める領主達のもとへ向かい、できる限り注意を引き付ける。
その間に冒険者達は、教団から出発した輸送隊をヴァルザード侯爵領へ到達する前におさえ、運んでいた人間達の身柄を確保する。
「なるべく運んでいる荷への被害をおさえるよう、冒険者には言い含めておいて下さいませ」
メアリー王女の中では、既にウォレス伯爵が自分の要請に従い、陽動役となることが決定している。
「その教団の内通者というのは、信用できるのですか?」
最後にウォレス伯爵が確認する。
確か『ソク』という名前だと聞いているが、恐らく偽名だろう。
ウォレス伯爵の問いに、メアリー王女は笑みで応じる。
「既に素性はほぼ把握しておりますわよ。いまさら裏切る真似などさせませんわ」
やはりメアリー王女には、優秀な手足や耳目が揃っているようだ。
ウォレス伯爵は深々と礼をして、承諾の意を示した。
●拿捕作戦
その後ウォレス伯爵より冒険者ギルドへ依頼が持ち込まれた。
職員のアルヒ・ラスカスが窓口となって応対し、依頼の斡旋にあたる。
「表向きはウォレス伯爵の護衛という形で、現地へ向かってもらうが、実際の活動は現地に到着してからになる」
そう前置きしてアルヒは依頼内容を説明する。
「今回みんなにやってもらいたいことは、宗教団体『来世の栄光』がヴァルザード侯爵領に運び込もうとしている品物を確保し、輸送している者達を拿捕することだ」
そう言うとアルヒは依頼に応じてくれた皆様に向け、現地の地図を見せる。
そこは林の中を貫いて走る小さな林道が描かれていた。
「ここを問題の輸送隊が通る。みんなにはこの場所へ先回りして輸送を阻止してもらいたい」
アルヒの説明では、来世の栄光がヴァルザード侯爵領に運びこもうとしている品そのものが罪の証拠となるようだ。
よってその場で品物をおさえることができれば、輸送に携わった者達は現行犯としてその場で捕縛できる。
「なおウォレス伯爵より、現場で押さえた品物の中身は、現地に潜入させた私兵団が到着するまで見ないほうがいいと忠告が届いているが、判断は任せるとも言っていた」
そう言われると、教団の罪を示す品物というのが気にかかる。
冒険者の1人が尋ねると、アルヒは周囲を見渡して、近くに寄るよう手招きをする仕草を見せ、身を屈める。
それに従い、アルヒと顔を寄せ合う形になったところで、アルヒは小さな声で囁いた。
――強奪された死体だ。
その言葉の内容を冒険者達が反芻する中、アルヒは元の位置に戻るよう皆様に促す。
「私兵団は遺体を奪われた遺族も現場に連れてくるので、それが強奪されたものだと現場で証言してくれるようだ」
そうなれば運んでいた者達が無罪だと主張することはできなくなるので、捕縛は正当なものになる。
「そういうわけで、みんなには現場で押さえた品と運んでいた人々を、私兵団が来るまで確保し続けていてほしい」
――死者を丁重に扱い、来世での栄光を約束する。
教団が唱えるものは、確かに人々の心に響くものがあるのだろう。
しかし一方で、大切な人の遺体が強奪され、悲しみに打ちひしがれている遺族達が現地にいるという話も、アルヒはウォレス伯爵から聞いている。
そのウォレス伯爵はというと、以前『来世の栄光』絡みの案件で現地を治める領主達の意識を自身に向けさせる陽動役を担っていたが、今回もその役目を行うようだ。
私兵団を送り込むことで、現地一帯を治める領主達から抗議が来るかもしれないが、そのあたりは伯爵の方でどうにかするらしい。
「現地でのみんなの行動は、自分が責任をとると伯爵は言っていた。後のことも私兵団の方で行ってくれる」
改めてアルヒは皆様に依頼する。
「みんなには教団の罪を暴き、奪われたものを家族のもとへ返す手助けをしてもらいたい」
そう言ってアルヒは頭を下げた。
解説
マスターより
リプレイ
ハヤト=ガラン=ヴォルファングは事情があり来られなかったが、冒険者達は林の中で迎撃準備にとりかかる。
冒険者達が目標とするのは、宗教集団『来世の栄光』に属する者達で構成される輸送隊。
事前に得た情報通りなら、輸送隊はここを通るはずだった。
「栄光を約束しながら死体強奪か。教団ってつく奴等、こういうの好きだよな」
ナハシュの言う通り、冒険者達は教団が強奪された死体を運んでいるとの情報を得ている。
「内通者からの情報で見つけられたのは僥倖ですね。教団の罪を暴き出すチャンスです」
フリーダ=ブロムヴィストは、今回の作戦は行う意義があるという意思を示す。
フリーダはその内通者と直接顔を会わせてはいないものの、情報は信用できるものとして扱っている。
「啓示にも『ここで証拠確保できればタイム短縮に繋がる』と出ていますし」
謎の啓示を口にしたフリーダは、輸送隊が西へ逃走することを防ぐ準備を進める。
「是が非でも成功させたい所です」
フリーダが輸送隊の阻止を狙うのは、彼らが運んでいるものに問題があるためだ。
「敵が来るまでまだ時間がありそうです。ヴァルザード侯爵領へと抜ける道に落とし穴を作ってみます」
レイヤ・ダライ=カホールは、事前にアルヒ・ラスカスより借用した道具を使い、手早く穴を掘り進める。
穴を掘り終えたところで、レイヤは持参したブランケットで上を覆う。
「……何かあるってわかると、大体避けようとして注意を引けますし、焦ってそのまま嵌るならそれも悪くないです」
どちらになっても一行の足を止めることはできると、レイヤは分析している。
「俺は馬車及び御者の確保をメインにして動くつもりだ。馬車の速度を落とす作業は頼んだ」
レイヤの作成した落とし穴を確認すると、ナハシュはその近辺にある林の中へと身を潜めていく。
「私兵団の方から何名か私と同じ位置で、共に停止の呼びかけをお願いできませんか?」
グレイブ・ヤードは周囲で待機するウォレス伯爵私兵団に声をかける。
「一人で行うには違和感のある行動ですしね。お手伝いがあると、より説得力が増すと思っています」
グレイブと私兵団の兵士達は話し合い、呼びかけを行うことについては数名が協力するという形に落ち着く。
「正面から呼びかけることで、側面へ向ける意識をこちらに集めます」
――仮に邪魔だとして排除のために何名か引き付けられるなら、それはそれで側面の襲撃が上手くいくだけのことです。
どう事態が動いても結果は変わらないよう、グレイブは手を打っていく。
「オレはグレイブと連中が接触して、レイヤの足止めが成功したあたりでコレを使うつもりだ」
ナキルはそう言って持参した閃光塗弾を仲間達に見せる。
「オレがコレを使った後の方が、みんなもやりやすいだろう?」
ナキルは閃光塗弾を積み荷の破壊防止や馬の攪乱など、要所で使うつもりでいる。
「それと戦術眼で教団構成員と護衛の見分けを行うつもりだ」
ナキルは伝えるべきことを言い終えると、馬車の側面を突くことができる位置へと潜伏を始める。
やがて最も西側に潜伏したフリーダが透視を駆使して、東側に潜伏したナハシュと南側に身を潜めたナキルが駆使するそれぞれの天眼が、西側よりやってくる一行を発見する。
その一行は3両の荷馬車で構成され、その周囲を3人の護衛が守りを固めていた。
●接触
その一行が『来世の栄光』の輸送隊と見抜いた冒険者達は、行動を開始する。
「すみませんそこの方、少々お時間をいただけますか?」
まずグレイブが私兵団の兵士達と共に、荷馬車の前に立ち塞がり制止を求める。
グレイブ達のただならぬ様子に、馬車はその場で停止し護衛と思しき男がグレイブや兵士達に用件を尋ねる。
グレイブは王気も駆使して自身のカリスマ性を解放し、話術も活用して説明する。
――近隣の村で盗賊団による略奪があった。
――いまだ逃亡中ゆえに目撃情報などを求めている。
「そういうわけなので、協力をお願いできませんか?」
グレイブの話に、護衛達は顔を見合わせる。
(まぁ、嘘ではありませんしね)
グレイブが内心そう呟く中、敵の到来を察知したレイヤがアーケインテンペスト改を行使。
直後、レイヤが指定した場所に稲妻めいた光が荒れ狂う空間が出現し、レイヤが敵と定めた相手にのみ稲光が絡みつく。
「授恵者じゃない構成員や馬ならしっかり足止めできるはずです」
敵の捕捉を終えたレイヤが次の行動へと移る間に、馬車の側面を突く位置まで忍び寄っていたナキルが次の一手を打つ。
「テメェらをここから先には行かせねえ!」
仲間への合図を兼ねた叫びと共に、ナキルは閃光塗弾のピンを抜き、輸送隊のただ中へと放り込む。
少し間隔をおいて閃光が周囲にいる輸送隊員達を包み込み、護衛や荷馬車の馬、御者は一瞬閃光に視界を遮られて隙が生じる。
しかし他の冒険者達が輸送隊を包囲するには十分な隙だった。
「余裕があれば馬車の車輪を壊したいところですね」
そう言いながらも、レイヤは刀を振るう護衛(以下『刀員』と略)に向け魔蝕3を行使。
筋力を衰えさせるエーテルがレイヤより撃ち放たれ、刀員へ命中するとその攻撃力を低下させていく。
「テメェもオレの武勇伝にしてやるぜっ!」
チャージングを行使したナキルが一気に加速し、刀員に向け衝撃刃3を行使。
ナキルのエーテルが適合し、蒼い刀身が特徴の蒼剣アルサリアが振り下ろされる。
不可視の衝撃が刀員へと吹き伸び、まともに浴びた刀員は身を裂かれ、鮮血が宙を舞う。
ここで密かに西へと退路を断つ動きを見せていたフリーダも、輸送隊の背後より忍び寄ってくる。
フリーダが狙うのは護衛のうちヒーラー(以下『棍員』と略)。
「まず敵の継戦能力を断ちましょう。最大火力で狙います」
今その棍員は刀員への治療に回り、フリーダの接近には気づいていない。
そのままフリーダは、棍員との距離を徐々に詰めていく。
何かを察知したのか、後方へ振り向いた棍員に向け、フリーダの握る白金のパラッシュが電光の速度で突き出された。
肩口を貫かれた棍員は、一撃で瀕死の状態にまで追い込まれ、刃を引き抜かれた反動で血霧を噴き、片膝をつく。
「荷馬車が強行突破をはかるなら、馬を狙うことも視野に入れる必要がありそうですね」
フリーダがそう呟く中、棍員を守るべく刀員がフリーダに向けシーザーロアを使う。
これに対しフリーダは、白金のラウンドシールドを掲げて刀員の放ったエーテルを防ぎ、状態異常を打ち払う。
「よし、馬車の動きは止まったようだな」
荷馬車が向かう先に身を潜め、情勢を見定めていたナハシュも攻勢に参加する。
ナハシュは陽炎を行使するとその身がゆらりと揺れ、次の瞬間には馬車の先頭に到達していた。
「よう、下手に動くなよ? うっかり殺しちまうかもしれねえからな」
荷馬車の御者達に警告をした後、ナハシュは荷馬車の馬と荷車を連結する個所に向け、黒鬼悪戯を行使。
「木製のようだから、破壊できるよな」
ダマスカス鋼の剣とダマスカス鋼の短剣Reを交互に連結部分へと刃を突き立て、2撃目で深々と切り裂き、3撃目で破断する。
ここで突如キャスターらしき護衛(以下『杖員』と略)が杖を荷馬車に向ける。
しかしその前に私兵団の兵士達を下がらせたグレイブが、その荷馬車に向け光縛封を行使していた。
グレイブの祈りとともに、光り輝く六角形の柱が顕現して荷馬車を包み込み、檻と化して御者ごと荷馬車を閉じ込めた直後、杖員より放たれたエーテルの奔流が光の柱に激突した。
●制圧
杖員は荷馬車ごと冒険者達を倒そうとする意図があったようだが、グレイブの光縛封はその攻撃から荷馬車と後方の仲間を守り抜いていた。
「万が一がないように積み荷の防衛に入るつもりでしたが、正解だったようですね」
この事態を想定していたのか、グレイブは落ち着いた声で呟くと、瀕死の状態からヒーリングオーラを使った杖員のもとへ滑るように移動する。
そのまま肉薄したグレイブは、無銘祭祀刀の一撃を杖員に浴びせる。
回復したものの、その一撃で杖員は生命を削り取られ、戦闘不能となって昏倒する。
「ナハシュさん、作業中にすみません。この方の捕縛をお願いできますか?」
杖員を無力化したグレイブは、近くで荷馬車の連結部分を壊しにかかっていたナハシュに杖員の捕縛を依頼する。
「了解だ。そいつは手頃な場所に避難させておくつもりだ」
承諾したナハシュは、杖員をロープで縛りあげる。
「脚一本くらい破壊しても人間は死なねえから大丈夫だよ」
怯えた情報でこちらを見る御者に、ナハシュはそんな言葉をかけると、戦闘に巻き込まれそうにない場所へと運んでいく。
「構成員も含め、可能な限り死者はなく進めたいですね」
敵味方問わず、死者が出ることをグレイブは良しとしていない。
このとき刀員は杖員の救援に向かうつもりだったが、レイヤとナキルが連携して刀員を押さえ込んでいた。
「……死を悼むために。夢のために。魂を救うために。……本当にその行いが正しいと思いますか?」
レイヤは杖員が荷馬車を攻撃したことを把握し、眼前の刀員にそう問いかけるも、刀員からの答えはない。
レイヤは刀員との距離をとると、アイアンウォールを行使。
直後、鉄灰色の鉄で出来た壁が地面より屹立し、ヴァルザード侯爵領へと抜ける道の前に立ち塞がる。
そして後退するレイヤと入れ違いに、ナキルが前に出て刀員との距離を詰める。
刀員もナキルへと走り寄り、指呼の間に迫った刀員の刀が飛燕のごとく旋回し、自身の周囲を薙ぎ払う。
「そんな大雑把な攻撃、オレには当たらない。――今だ、レイヤ」
跳躍したナキルの真下を、刀員の刀が目標を失って空を切り、後方にいたレイヤはナキルが作った隙に乗じる。
「了解です。倒した敵は光縛呪で縛っておきましょう」
ナキルに頷きを返したレイヤは宿り木の短杖Reを突き出し、刀員に向け魔弾を行使。
その先より光球が射出されて宙を飛び渡り、刀員に命中して血飛沫をあげさせる。
その間にナキルは宙で縦に半回転し、頭が下を向く。
落下に転じたナキルは雷神剣/レグ・フルグスを行使。
落雷の如き鋭さで円月を描いた蒼剣アルサリアが、刀員の身を深々と切り裂き、宙に血霧が舞う。
ナキルの顔が、逆さになって苦痛の歪みを浮かべる刀員の顔と相対し、すれ違う。
半回転したナキルの足が地面を踏み、刀を落とした刀員の体が地面に突っ込むように転倒し、沈黙する。
「さっさと降参した方が身のためだぜ!」
刀員を倒したナキルはロープで刀員を捕縛しながら、近くで震えている御者兼構成員達に対して投降を促す。
「まだ処置は終わっていないが、先に術師を倒すのが妥当だよな」
その間に搬送を終えたナハシュが、連結部分の破壊よりも護衛を無力化したほうが妥当と判断し、先手必勝を行使。
エーテルを体内に巡らせて反応速度を高め、陽炎をさらに行使。
一気に加速したナハシュは、残る杖員へと突撃する。
そんなナハシュに呼応するように、フリーダが密かにナハシュとは反対方向から杖員へと忍び寄る。
「今だ、フリーダ。一緒に片付けるぞ」
「承知しました。このまま挟み撃ちと行きましょう」
それを見たナハシュはフリーダにタイミングを合わせるよう促し、フリーダも承諾を返すと杖員へと挟撃し、斬りかかる。
杖員はとっさにエーテルバリアを使い身を守ろうとするも、ナハシュとフリーダの攻撃はそれを上回った。
まずはナハシュより黒鬼悪戯が行使され、剣と短剣が斬り下ろし、刺突、斬り上げと交互に振るわれ、杖員の身を切り裂き、貫く。
「即殺を狙いますが、命はとりません。大人しく倒されて下さい」
フリーダも反対側から白金のパラッシュを繰り出し、すくいあげるようにして胴を薙ぐ。
そこで生命が尽きた杖員は斬られ、貫かれた箇所から鮮血の霧を噴き上げ、転倒して意識を失った。
●その罪をあばく
全ての護衛が倒れたところで、荷馬車に残る教団の構成員達は武器を捨てて降伏する姿勢を示す。
レイヤが光縛呪を行使して、杖員をエーテルの光の縄で拘束する間に、グレイブが待機していた私兵団を呼び寄せる。
「降伏したフリをして逃げるなよ? こいつらみたいな目にあうからな」
ナハシュは一か所に集めた構成員達に笑いかけながら、そう釘を刺す。
ただし、ナハシュの目は笑っておらず、逃げたら即時対応できる態勢を維持している。
そして私兵団の手によって、荷馬車より積み荷が降ろされていく。
その場で中身を改められ、私兵団の中から呻き声があがる。
積み荷の正体は事前の情報通り、死体だった。
ただちに私兵団の兵士達が、奪われた遺体の家族を呼び寄せるべく各所に伝令役を出し、現場は慌ただしくなる。
「……しかしあれだけの死体、一体どこから持ってきたのでしょうね?」
フリーダは事前に死体が強奪されたものとの情報を得ているが、その数の多さに疑問を抱く。
「本当に奪われた遺体だけなのでしょうか?」
フリーダが抱いた疑問が正しいか否かは、今後の調査で明らかになるだろう。
そして冒険者と私兵団は現場から撤退し、別の場所で遺族達と合流する。
そこで遺体の身元を判明させるべく、遺族による検分が行われる。
その結果、遺体全てが強奪されたものと判明し、それぞれ遺族のもとへ返されていった。
大切な家族の遺体を奪われた悲しみと、取り戻した安堵がないまぜになった遺族達の泣き声が、その場でいくつも響き渡る。
「来世を騙るなんて、リザードマンに連なるものとして許しがたいです」
「……ホント、理解できねェ」
レイヤやナキルは、積み荷の正体と教団の所業に対し嫌悪の表情を見せる。
「来世がどうっていうのも理解できないが。死体を盗むとはさらにヒドイ」
「なんだか……悍ましいものの予感がしますね」
ナキルの言葉に、レイヤも頷きこう呟いた。
「でも、それ以上に……気味が悪い」
――死体を盗ませてまで集めるとしたら……一体何のために?
レイヤの疑問は尽きない。
「もう辞めたいという方も、案外いらっしゃるのではないかと思いますよ」
グレイブは教団が一枚岩ではないことを匂わせる。
これは今回の内通者が、ここまで詳細な情報を単独で集めることは難しいと分析したからだが、グレイブの考えが正しいかどうかは今後明らかになるはずだ。
「経緯はどうあれ、死者は遺恨を生みますからね」
グレイブは今回の事件に関し、至言となる一言を残す。
(……つか、領主のオッチャンも苦労してそうだなぁ)
教団には嫌悪感を見せるナキルも、領主に対しては同情している。
ここに宗教集団『来世の栄光』が抱える罪は明らかとなった。
それが今後どのような事態に発展するのかは、今少しの時間が必要だった。
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:標準6 / 4〜6人
2021年12月22日 09時20分47秒 公開
相談掲示板
「ナキルだ、よろしくなっと。まだ誰もいねーけどっ! あの教団連中、人の死体盗むのかよ……胸糞ワリィな…。 あの貴族の人、今回も胃がつらそうな役回りさせられてんな…ちっと同情するぜ… 教団関連の前回のシナリオは https://alpaca-connect.com/world/world0/scenario/1609 で一応見れるぜ。 さて…今回はヒュプノシスだけじゃってカンジか… …のんびり考えるか。」
シーフのナハシュだ。今回はよろしく。あと3人か、揃うといいな。 とりあえず今回は ・護衛の授恵者3名の無力化 ・3台の荷馬車及び御者の確保と、荷物を破壊されぬよう護衛 の2点を同時進行で勧める形になるのか。破壊されねえようにしないといけないのが面倒だな。 出来れば荷馬車と3人の護衛は引き離したいところだが‥I側の林で待ち伏せる組を作っておきつつ、連中が少し進んだところで後方A側から解かりやすく戦闘を仕掛けたら、護衛連中先に馬車だけ逃がしてくれねえかね。
ウォーリアのフリーダです。よろしくお願いします。 大まかな目的はナハシュ様の2点で良いと思います。 基本的には正面側から陽動する役と側面や背面から奇襲をかける役の2手に分かれる形で良さそうです。 後はそうですね……馬車については強行突破を防ぐ意味でも馬を仕留めても良いかもしれません。 さすがに輸送目的である物資を自ら破壊するような真似はしないと思われますし。
「お、人が増えてる!よろしくな! >フリーダ あぁ、なるほどな。馬を仕留めるってのもアリだったか…馬にヒュプノシス効くかな?とか思ってたけど、そっちの方が確実っちゃ確実か… >ナハシュ 馬が本気で移動した場合に、それを上手く「止められるか」を考慮するとIの地点でどうこうするのは、ちっとリスクを感じる…。 フリーダの言う様に馬を仕留める…か、行動阻害か、進路妨害を仕掛けるなら H6あたりが待伏せには良さそうか…シューターが居れば弓射、キャスターが居れば鉄壁なんかで先頭の馬を止めれば、後ろの迂回とかを警戒…ってカンジにできそうか。 >対護衛 敵の「杖」が一番荷物を一撃で破壊できる気がするから、一番最初に抑えるならコイツだよな 仕掛けるなら「D3」か「E7」で待機して先に仕掛けて、杖と根の注意を逸らしてから「D3」が仕掛ける…ってのもいいかな。 ナハシュが言う様に、A側からその後攻めても良いと思う! とりあえず、潜伏と奇襲位置はこの辺で考えてみて…あとはこの後の面子次第かな。 とりあえず、足止めも兼ねてE7から行って殺界でも使うかな。」
ではこれで確定、ですかね。 ヒーラー、グレイブ・ヤードです。 >積み荷の保護 目的としては最優先、でしょうねえ。 「損壊」させるだけでも割と意味は大きそうですし・・・。 積み荷を中心に光縛封とか試しますか…?
>馬車の足止め位置 具体的な初期位置はやる奴が決めればいいんじゃねえかな。やり方や射程、移動力によるだろうし、要はI側右方面の、A側は左方面の林のつもりで話していた。分かりづらくてすまねえな。 移動阻害やオブジェクトによる障害など諸々異論はない。そのへん使えるやつが来てくれりゃいいんだが。光縛封はありがてえし、やるなら最後尾の奴が良い気もする。 最悪スピードさえゆるんだら、トリプルファングで3頭の脚を一本ずつ落として止めるくらいはできるかもしれねえ。 >対護衛 同じく杖優先で賛成だ。失敗条件に破壊されるとある以上、タイダルストリームはかなり厄介だしな。 注意そらして奇襲をかけるのもやれるならやりたいところだ。 後自分で言っといてなんだが、左右から攻めるなら後ろからはいらねえと思うな。最大来たとしても6人はかなりギリギリだし、左右から護衛を狙うのと馬車の対応とで普通に手一杯だと思うぜ。
レイヤ・ダライ=カホールです、よろしくお願いしますね! あの教団、わざわざ死体を盗むなんて…何が目的なんでしょう、薄気味悪いですね。 敵に荷を壊させないようにするとなると、追い詰めすぎないように、だけど一気に制圧したいですね。 足を止めるなら…何か不審なものを置いとくのもいいかも。 ブランケットとか敷いとくだけでもよけて通ろうとするかもですし、 落とし穴とかぬかるみとか作って、馬車の車輪をはめるのも悪くないかもですね。 >鉄壁 ナキルさんの案に乗せてもらいますね。アイアンウォールは持っていきます。 あとはアーケインも。授恵者じゃない構成員や馬ならしっかり足止めできるはずです。
>積み荷 とりあえず物理的に壊されることを防ぐために準備はしておきます。 光縛封 あとは補助と回復を重点にしておきましょうか・・・? だいぶ無理と無茶を通せるように。
「>グレイブ、レイヤ お!加勢が増えた!マジで助かるぜっ!! >グレイブ 光縛封はやっぱ頼りになるな、是非頼むぜっ! >レイヤ あの時も気味が悪いカンジあったけど、輪を掛けて気味悪くなったってカンジだぜ! 今回もよろしく頼むぜっ! なるほど…そう言うモノで意識を引くのもアリか…。 あー…突入前に「閃光塗弾(A)」でも投擲するか?手っ取り早く合図にはなると思った。 アーケインや鉄壁も助かるぜ。ありがとなっ! >ナハシュ あ、ワリィ。ちょっと勘違いしてたか… だな、とりあえず面子も揃って来たし。できる事で組み立てて行きたいトコだな。 改めて、とりあえずオレは「E7」辺りでスタート。全体が中央に差し掛かるタイミングで異論なきゃ、閃光塗弾(効果A)でも使って。その後は、護衛(刀)を抑えに行こうと思う。」
>初期位置について 私はあえてF5~Ⅰ5のどこかの位置で、話しかけることで注意を引いてみようかと思っています。 正面に誰かがいれば、側面に向ける注意は多少削げそうですしね。 今回の事実を含めた話(どうやら盗まれたものがあるとのこと)とかで、その荷物について知りたいとか
おーっす! 枠が空いてたんで最後に参加させて貰ったぜ!! ブレイブファング傭兵団のハヤト=ヴォルファングだ、よろしくな!! んじゃ、俺はF3の林にでも潜んでキャスター>ヒーラーの準で潰しに動くな!!
出発まで時間が迫ってきましたね!がんばりましょう! それじゃあわたしはG6あたりの林に潜みます。 馬の行き足をアイアンウォールやらアーケインやらで止めて、そのあとは敵のウォーリアを攻撃していきますね。 せっかくなのでウォーリアにBSを付与して、敵のヒーラーに解呪させて手番を消費させようとか目論んでます!
「>ハヤト おっ!ハヤトじゃん!これは頼もしいなっよろしく頼むぜ! んじゃ、そっちは任せたぜ! >レイヤ お。BS付与か、そん時はそっちの射線を取れるように気を付けて動くぜ! (戦術眼&天眼) >グレイブ っと、話しかけるのか。んじゃぁその様子を見ながら仕掛けて行くとするぜ。 閃光塗弾も、タイミングは一考だな。」
>初期位置 それでは私はE3付近から正面経由で行く手を阻む形で進もうと思います。 優先順位としてはウォーリアの抑えを最優先で行きます。 閃光塗弾に合わせて向かう形になると思いますが、 もし馬が暴走しそうであれば馬を先に仕留める形にします。
>初期位置 よく見たら前方側に偏っている可能性がありますかね? 念の為にA3辺りに隠れて背面から強襲を仕掛ける形に変更してみます。
そしたら現状荷馬車対応選任の奴がいなさそうだから、そっちにまわっておこうと思う。 ア―ケイン等で足止めされた馬の脚を落とすなり、御者の捕獲なりだな。 あらかた終わった後戦闘が続いていれば其方に合流する感じで。 初期位置はG6かH4辺りになると思うぜ。