【帝国】ロモズ歩兵団、北へ -後編-

革酎

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シナリオID:1420

オープニング

●分かたれし幽界樹
 シルトラース帝国南部都市ヴィントに程近い小都市、工房街ヴェルターゼン。
 その行政庁舎内の大会議室では、ロモズ歩兵団長リーヴァー・シュランドル帝国子爵の端正な面が気難しげな色に染まっていた。
 同室には重兵1番隊長ホレイス・ゼイロノフや、ヴェルターゼン行政副長官ブライアッティ・カンディル伯爵の他、ヴィントやヴァイセントラフ砦から駆けつけてきた帝国軍の情報将校の姿もあった。
 彼らは先般帰還したロモズ歩兵団北方調査隊からの報告内容を受けて、次なる調査派遣を如何様にすべきかと議論を重ねていたのである。
「樹木型の大型クリーパーか……ヴィントで倒した同型のやつと比較すると随分小さかったという話だが、それでも相当な脅威であることに違いは無い」
 リーヴァーの唸る様な声に、同室内の面々は揃って渋い表情を浮かべた。
 北方調査隊が目撃したのは幽界樹の慣れの果ての様な姿の怪物だった。その様はまるで、巨木の幹が縦に真っぷたつに叩き割られたかの如き形状で、そのまま横倒しになり、無数の枝を素早く動かして多足獣を思わせる姿を見せていたのだという。
 そしてとある情報筋からの話によると、この巨木型多足クリーパーは『分かたれし幽界樹』と呼ばれているらしいことが判明していた。
「幽界樹……矢張りヴィントに根を下ろしていたあれと同種、ということですかな」
 カンディル伯爵が、卓上に広げられた地図を凝視する。そこには、件の分かたれし幽界樹の移動経路が記されていた。見たところ、ダルトート方面から移動してきた後、ヴィントを目指している様にも見える。
 更にこの分かたれし幽界樹は時折枝を地面に突き刺し、そのまま根の様に地中深くにまで潜り込ませて休息するという行動も見せていた。恐らく地中のエーテルを吸収しているものと思われる。事実、この分かたれし幽界樹が枝を突き刺した後の大地は、すっかり干からびてしまっていたらしい。
「帝国領内や王国北部で農作物の凶作が見られたり、土地の痩せ方が異常な程の広範囲に亘っているのは、もしかしたらこの分かたれし幽界樹とやらの仕業なのかも知れませんな」
 ホレイスの言葉には、誰も異論を唱えない。
 更に問題なのは、この分かたれし幽界樹と同様の行動を取っている大型、或いは超大型クリーパーが他に居ないのかどうかという点であった。もしもこの怪物と同種のクリーパーが複数存在するとなれば、それはロスガリア大陸全土に関わる危機といえるだろう。
「北方調査隊が発見した分かたれし幽界樹の片割れを探す必要があるな……未だ健在なのか、或いは既に斃されたのか」
 いいながら、リーヴァーは卓上に広げられた帝国地図の一点を指差した。そこにはダルトートの文字が刻まれている。
「矢張りダルトート……ここを調べないことには、何も始まりません。次の調査隊は、このダルトートを調べさせましょう」
 リーヴァーの下した結論は、全会一致で承諾された。

●ダルトートへ
 ヴェルターゼン新市街の中央広場で、ロモズ歩兵団遊兵1番隊長ディーグ・ディオロンが秋の陽射しを浴びながら昼食のサンドイッチを齧っていると、リーヴァーとホレイスが揃って姿を現した。
「よぉ、結論は出たのかい?」
「悪いが、もう一度調査派遣に出て貰うことになった。今度はダルトートまでだ」
 リーヴァーの応えを受けて、矢張りそうかとディーグは驚きもせずに小さく肩を竦めた。
 前回の調査では、数多くのクリーパーの姿も目撃しているが、その分布には大きな偏りがあった。ダルトートとヴィント間を結ぶ地域では相当数のクリーパーが徘徊していたが、ダルトートから見て南東部に於いては、然程の数は見られなかった。
 つまり、帝国領内の東側を大きく迂回していけば、比較的早くダルトートに到達することが出来る筈だというのが、現時点での推論だった。
「あの樹木型の動きからしたら、その推測は割りと当たってると思うぜ。まぁ、確証は無ぇけどな」
 ディーグはことも無げに、からりと笑った。
 だが例えクリーパーの群れが道中に立ちはだかるとしても、矢張り一度はダルトートを調べるべきだ。分かたれし幽界樹がダルトートから発生したという可能性を考えれば、これは避けて通れない道であろう。
「んで、出発はいつだい?」
「明後日だ。今回は準備を整え、人数も揃えたい」
 更に曰く、この第二回北方調査隊にはリーヴァーも加わる、というのである。直接その目で、ダルトートの現状を見ておきたいというのがその理由だった。
 その間、カルケルーア・ロモズ集落長代理はホレイスが務めるのだという。
「今回は歩兵団から20個部隊を投入する」
 本格的な調査派遣になるだろう、とリーヴァーは抑揚の無い声で付け加えた。
 同日夕刻、ヴィント及び王国北方各都市の冒険者ギルドに対して、第二回北方調査隊に随行する冒険者の募集告知が一斉に打たれた。

解説

状況:  PCの皆様は冒険者ギルド経由でロモズ歩兵団の第二回北方調査隊に随行する依頼を受けたところからスタートして頂きます。  今回もまた、目的は飽くまでも調査です。クリーパーや魔獣の殲滅ではない為、極力戦闘を避け、敵からの捕捉を躱しながら帝国東の都市ダルトートを目指します。  今回はダルトート到着を前提としており、調査内容は以下となります。  ・ダルトートの現状  ・分かたれし幽界樹に関する情報収集  ・その他、ダルトートまでの経路及びダルトート内の異常現象の有無の確認  尚、参加PCがロモズ歩兵団各隊の隊長、或いは副長、臨時兵長等の称号を持っている場合は、自隊や貸与された歩兵団員の指揮を執ることも出来ます。 敵:  基本的には敵との遭遇を躱しながらの調査となりますが、どうしても避けられない場合はクリーパーや魔獣との戦闘が発生します。完全に偶発的遭遇ですので、強さも数も現時点では全くの不明です。 NPC:  主なNPCはロモズ歩兵団長リーヴァー・シュランドル帝国子爵と、ロモズ歩兵団遊兵1番隊長ディーグ・ディオロンです。  その他、北方調査隊に組み込まれた歩兵団各隊の無名の兵が大勢登場します。

マスターより

 皆様、こんにちは。  連動『帝国奪還連動 枯朽の秋』でのシナリオをご提供致します。  今回は前回調査の結果を踏まえ、ダルトートを目指すという内容になっております。この調査結果が、分かたれし幽界樹との直接対決に大きな影響を与えることになるかも知れません。  ダルトートの現状を知り、そこから帝国各都市の状況を推測する為にも、非常に重要な調査任務となってくるでしょう。

リプレイ

●ダルトートを望む
 シルトラース帝国東部の都市ダルトートまでは、ルートによっては馬車での移動でも数日から十数日を要することが珍しくない。
 今回、二度目の北方調査隊を派遣することとなったロモズ歩兵団20個部隊は移動の足として大量の荷馬車と乗用の黒汗馬を用意し、隊全体の足並みを揃えた。
 工房街ヴェルターゼンを発った北方調査隊は、帝国領の東側を大きく迂回する移動経路を辿った。この方面は南下するクリーパーの数が圧倒的に少ないという情報を得ていたからだ。敵との遭遇を最小限に抑え、一日でも早くダルトートへの到着を目指すならば、多少遠回りしてでも東側を通るのが最善だという判断だった。
 そうしていよいよ、ダルトートの街壁を肉眼で捉えることが出来る小高い丘の上へと差し掛かった。
 陽が西へ大きく傾き、もう間も無く日没を迎えようという頃合い。先頭馬車の御者台に陣取っていた重兵6番隊長アリア・ティーダは、前方から迫ってくる複数の人影を認めて手綱を引いた。
「あ……帰ってきたみたいですよ」
 傍らを行く黒汗馬の鞍上に声をかける。ロモズ歩兵団長リーヴァー・シュランドル帝国子爵はアリアに頷き返しながら自身も手綱を引いて馬の足を止め、後続に対して停止の指示を出した。
 北方調査隊の本隊を離れて先行偵察に出ていた重兵2番隊副長ナタリア・フィッツジェラルドと、遊兵10番隊副長エミリア・シバの両名は、それぞれが率いていた部下に休息を与える為にと彼らを荷馬車の荷台へと上がらせる一方で、リーヴァーとアリア、そして馬を寄せてきた他の隊長達に対し、ここからダルトートまでの道中、及びダルトート近郊の状況を手短に説明した。
「魔獣が多少居たけど、クリーパーは皆無ね。もうヴィント近くにまで移動してるのかもね」
 小さく肩を竦めながら、エミリアは更に野営に適した地点を複数、候補として挙げた。いずれもダルトートまで徒歩で辿り着ける距離だ。
「それから、遠隔視認でもひとつはっきりしたことがあった」
 ナタリアは、ダルトート西門から南西方向へと走る巨大な移動痕を遠目に確認していた。先日、北方調査隊が遭遇した『分かたれし幽界樹』の這い出していった痕跡と思われるとの由。
「やっぱりあのおっきいの、ダルトートが発生源だったんだ」
 馬車を降りてエミリアとナタリアの報告に耳を傾けていた遊兵5番隊長アルマ・ヴァレンタインが、硬い表情でダルトートの街壁に視線を走らせる。彼女はこれから副長カミールと共に野営の準備に入る腹積もりだったのだが、アルマ自身は夜番の偵察隊に出る予定だった。
 この後、リーヴァーはナタリアとエミリアからの報告をもとに、拠点野営地の設営地を決定した。ダルトートから見て南南西の丘の麓だ。この丘の上にアリアの工兵隊が簡易物見櫓を設置することで監視拠点とする一方、丘の麓には防護柵で守りを固め、ゲルやテント、そして簡易小屋をも具えた本格的な野営地を設ける。
「私は夜間調査に備えて、お先に失礼するよ。少し仮眠を取らせて貰う」
 それだけいい置いて、ナタリアは手近の荷馬車の荷台内へと転がり込んだ。

●ゲルの中での宵先
 アリア率いる重兵6番隊が工兵隊としての力量を早々に発揮し、拠点野営地は驚く程の速度で設営が完了となった。そして重兵3番隊長コルネリウス・アーラとアルマ、ナタリア、エミリアらが用意したゲルを入り口部で繋ぎ合わせ、四棟連結としたゲルを指揮命令所として兼用する運びとなった。
 夜番のアルマとナタリアは仮眠の為に衝立で仕切られた寝床スペースに早々と引き籠り、それ以外の面々がこれまでの道中の調査結果報告と今後の方針を共有する為に、ランタンを据えた木卓を囲んだ。
 最初に議題となったのは謎の女傑クーネ・ルウがダルトートにて幽界樹を叩き割り、分かたれし幽界樹を生み出したという告白についてであった。
 だが意外にもリーヴァーは、然程の反応を示さなかった。
「原因はどうでも良い。クーネなる人物の処遇も含め、その辺はバルディオン将軍に任せれば良い。ここで我々が考えるべきは、今後何をどうするかだ」
「それもそうだな……ところでダルトートという都市について、改めて教えて欲しい」
 重兵11番隊長アーシェル・G・クラインは小さく頷いてからリーヴァーと、その傍らに腰を下ろしている遊兵1番隊長ディーグ・ディオロンに向けて少しばかり上体を乗り出す格好を見せた。
 リーヴァー曰く、ダルトートは人口規模こそヴィントと然程に変わらないものの、都市としてはこれといった特徴の無い平凡な町だったという。エーテル量も過去に調査等は行われたことが無かった為、一切不明との由。帝国崩壊前の行政上のトップも、特別に言及する程の人物ではなかったようだ。
「この地図見ても分かるけど、本当に平凡中の平凡な都市って感じだね」
 遊兵3番隊長サフィラ・アズラク・ナハルハルアリーブがアルマ提供の干物を齧りながら、卓上に広げられたダルトートとその周辺地図をじっと見据えた。彼女は四班に編成した自隊用にと、今回もスケッチブックを四冊用意していた。情報は矢張り五感に訴える内容が一番分かり易い。ダルトートで見たあらゆる視覚情報を絵図に落とし込むことで、今後の判断材料に活かそうという方針だ。
「分かたれし幽界樹と水に関する調査は、特段の結果は得られませんでした」
 一方でコルネリウスはサフィラの協力を得て、道中の河川や湖沼の配置を確認してきたものの、ダルトートとヴィント間の状況とは然程に変わらず、分かたれし幽界樹が水を苦手とするかどうかという可能性については結論が出せなかった。
 途中、クリーパーと遭遇することがあればアーシェルから借りた火打石を用いて、松明と蒸留酒を併用した敵の弱点調査もと考えていたのだが、ここに至るまでクリーパーは一体も現れなかった為に、その観点での疑問も未だはっきりとしていない。
「そういう意味では、オレの地中調査も不発だったかな」
 コルネリウスの隣りの席で、遊兵4番隊長ロイ・アウレアが腕を組んで首を傾げた。彼は地中に敵の親玉が存在する可能性を考慮してヴェルターゼン、ヴィント、そしてこのダルトート周辺や帝国領東部の地質を比較してみたが、特にこれといった変化は無く、怪しい気配も認められなかった。
 一見するとコルネリウスとロイの調査結果は空振りにも思えたが、ディーグは十分な成果だと笑った。
「余計な観点や疑問を潰すことも立派な成果だよ。それに分かたれし幽界樹が地面に枝を突き刺した理由も、ここまでの調査結果で大体絞り込めたな」
 多少の推測は残るが、と付け加えた上でディーグはひとつの結論を下した。即ち、分かたれし幽界樹が地面からエーテルを吸い上げていたのは、自身の存在を維持する為だったと。つまりは単なる栄養補給に過ぎなかったという訳だ。
「腹が減ったから飯を食った、というだけか……そういえば、オレ達もそろそろ晩飯といこうか」
 ロイの台詞に呼応してか、遊兵4番隊副長ジリアン・コルヴァが部下達と共に肉料理を運んできた。ロイが用意した肉の他に、アーシェルが持参した干し肉も一緒に調理したものらしい。ゲル内に旨そうな匂いが一気に充満した。
「不味い飯は意欲に直結するしな……遠慮無く食べてくれ」
 ジリアンと一緒に料理を運んできたアリアに、ロイは笑みを向けた。
 アリア率いる工兵隊がしっかりした簡易調理棟を完成させたからこそ、これ程の本格的な料理が準備出来たのだ。そういう意味では今回の調査隊に重兵6番隊が参加した意味は、非常に大きかった。
「わぁーい、お肉お肉ぅ」
 サフィラの嬉しそうな声。
「今回もしっかり情報を得て、全員必ず無事で戻りましょう……でもその前に、腹ごしらえは必要ですね」
 コルネリウスも豪勢な晩餐に笑顔が漏れる。壁エルフは何よりも、体が資本なのだ。

●敵を知り、己を知る
 翌朝。
 夜間のダルトート市街調査に向かっていたナタリアとアルマがそれぞれの部下を率いて拠点野営地に引き返してきたが、加えて別働調査に動いていたサニー・フォン・オルライトとノックス・マグナが合流する形で、共に拠点野営地に姿を見せた。
「へぇ、凄いなぁ。これ、ちょっとした簡易駐屯地だね」
 拠点野営地に足を踏み入れたサニーは、感心して目を丸くした。
 サニー自身は単独行動だった為に、移動中の生活必需品や食糧、水等も全て自身で揃える必要があった。特に水の確保には、サニーは随分と神経を使った。だがこの拠点野営地では、その点の心配は一切無い。北方調査隊の荷馬車には井戸水入りの樽が大量に積み込まれており、飲料水や生活用水には不自由を感じさせなかった。
 出迎えたリーヴァーとディーグが早速サニー、ナタリア、アルマらを指揮命令所へと呼び込み、ダルトートでの夜間調査の結果を求めた。
「小型クリーパーは、一匹も居なかったよ。でも、それ以上に厄介なのが居たけどね」
 サニーは渋い表情でナタリア、アルマと顔を見合わせた。曰く、巨人タイプの中型クリーパーが五体、ダルトート市街地内に居座っていたのだという。
 しかもこの五体、全てが肩や背中に毒々しい色合いの巨大な花を咲かせていた。幽界樹の種か実を埋め込まれている個体と見て良い。
「町の構造自体に変化は無かったよ。但し、ど真ん中に巨大な穴が開いてた以外はね」
 卓上に広げられた市街地図の中心付近を指差すサニー。幽界樹が根を張っていたと思われるポイントだ。中型クリーパー共から気配を捕捉されるのを避ける為、余り多くの地点からの観察は出来なかったのだが、この巨大な穴から南西と北西に向かって、ふたつの巨大な移動痕が残っていた。
 二体の分かたれし幽界樹が、それぞれ異なる方面に矛先を向けたと思われるひとつの証左だった。
「……中型クリーパーの敵捕捉限界距離調査と、北へ向かった分かたれし幽界樹の足跡を追う……今回のダルトート調査は大体、この二点が主要観点ってところかしら?」
 エミリアが水を向けると、リーヴァーは渋い表情で頷いた。
 特に前者は非常な危険が伴うだろう。
 幽界樹の支配下にあるクリーパーは互いに連携し合う。これが単なる小型クリーパーなら然程の問題も無いのだが、ただでさえ強敵の中型にこの特性が具わっているとなると、最早それだけで分かたれし幽界樹に匹敵する程の脅威と化す。
「中型の調査には授恵者と、一部の選抜隊員だけで向かいましょう」
 コルネリウスの提言は全会一致で採用された。
 ロモズ歩兵団は大半が一般人だ。20個部隊400名という大規模な戦力といえども、連携を取る特殊な中型クリーパー相手では分が悪過ぎる。下手に仕掛ければこちらが壊滅の憂き目に遭う可能性が高いだろう。
 この結果、重兵3番隊は拠点待機班と調査班の二隊に分かれ、コルネリウスが調査班を率い、ダルトート突入組の撤退防衛線構築を担当することとなった。
 一方、サフィラの遊兵3番隊は既に述べた通りの四班編成で行動。そのうちの一班がサフィラの指揮下だ。
 アーシェルと重兵11番隊副長マイジェロ・フェルーダ、ロイ、エミリアはそれぞれ一部の隊員のみを率いてダルトートへと向かい、重兵11番隊、遊兵4番隊、遊兵10番隊の残りの隊員は半数が北西方面に向かった分かたれし幽界樹の足取りを追い、更に残りの半数がアリア率いる重兵6番隊、アルマの遊兵5番隊、ナタリアの重兵2番隊と共に、拠点野営地で待機する運びとなった。

●明かされた脅威
 ダルトートは文字通り、廃墟だった。
 その中を五体の巨人が位置を変えずに、じっと佇んでいる。リーヴァーは位置と外観から各中型クリーパーをタイタンイースト、タイタンウェスト、タイタンサウス、タイタンノース、タイタンセントラルと名付けて区別することにした。
 種類はいずれも同じだから、敵捕捉限界距離調査は一体だけに絞れば良い。エミリアが西、サフィラが北、ロイが東、アーシェルが南の各個体の位置と互いの距離を調査した結果、タイタンサウスが比較的他の個体よりも離れていることが分かった。調査は、この一体に対して行われることとなった。
 限界調査に俊足のエミリアとサフィラが実施し、ロイとアーシェル、そして残りの面々が支援に入る。
 調査手順は単純だ。まずエミリアとサフィラが前後から距離を詰め、敵が反応した瞬間にロイ若しくはアーシェルが空に向かって矢を放つ。この矢を合図にして一気に撤退し、コルネリウスの防衛線にまで引き返すという算段だ。
 結果、敵が反応したのは正面方向から迫ったサフィラだった。
「にゃっ! 後ろを向いて全速前進っ!」
 ロイが放った矢を確認するや、サフィラは街門目掛けて全速力で駆けた。タイタンサウスは幾らか追跡する構えを見せたが、サフィラが街門を飛び出した頃には再び元の位置へと戻っていた。
 しかしその途中、サフィラとロイはある事実に気付いた。タイタンサウスとタイタンウェストの、真新しい足跡が南西方面に残されていたことである。
 地面の破壊度合と土の状態から見て、凡そ半月から一カ月前の足跡の様に思える。
 サフィラはまさか、とロイに視線を向けた。ロイは仏頂面を返してきた。
「第一回の北方調査隊が、分かたれし幽界樹と最初に遭遇した時期と一致するな」
 つまり、このダルトートに居座っている五体の巨人型クリーパー共は分かたれし幽界樹の後方待機戦力、という訳だ。いずれかの分かたれし幽界樹が強敵と遭遇した際には、即座に駆けつける役目を担っているものと推測される。
 二体の分かたれし幽界樹に決戦を挑む際には、ここダルトートに於いても五体の巨人型クリーパーに対して封じ込め作戦が必要となるかも知れない。
 一方、北西方面へと向かった調査隊も、分かたれし幽界樹がオルセン方面へと去ったらしいとの報告を携えて戻ってきた。途中で討伐された形跡も無かった為、二体の分かたれし幽界樹は未だ健在と見て良い。

 第二回北方調査隊はヴェルターゼンへの帰路に就いた。調査が完了した以上、サニーも別行動の必要性が無くなり、荷馬車のひとつに同乗することとなった。
 調査そのものは十分な情報を仕入れることが出来たが、その内容は決して好ましいものではない。
 分かたれし幽界樹は二体とも健在であり、一方はヴィント付近、もう一方はオルセン付近を徘徊しているものと思われる。
 ダルトートにはこれら二体の分かたれし幽界樹を援護する為の巨人型クリーパーが控えており、何の対策も取らずに分かたれし幽界樹へ決戦を挑めば、この五体が駆けつけて来て更なる脅威と化すことが想定される。
 ――授恵者達の間で、死闘の予感が漂い始めていた。

マスターコメント

 皆様、お疲れ様でございました。  調査結果は全てヴィントとヴァイセントラフ砦に報告書という形でそれぞれ伝達されます。  分かたれし幽界樹との決戦の際には、重要な情報として共有されることとなるでしょう。  尚、一点だけご注意頂きたい点がございます。  今回はクーネ・ルウがダルトートで幽界樹を斬ったという情報を有効な内容として扱いましたが、基本的には他マスターが執筆したリプレイの内容を参照する義務はございません。今回は革酎がそれらの情報を関連性のあるシナリオとして知っていた為、特別に採用しました。  今後、他のシナリオでも同様に採用されるかどうかは各マスターの判断となりますが、上記しました様に、基本的には他マスター執筆のシナリオ(OP、リプレイ含めて)は参照義務が無いということをご承知おき下さいませ。
ショートシナリオ

ショートシナリオ普通 報酬:多い10 / 4〜10人

2021年09月26日 21時34分23秒 公開

大成功

相談掲示板

  1. コルネリウス・アーラ

    ウォーリアのコルネリウスです、よろしくお願いします。 今回は幽界樹の片割れ探し、ですね。 調査内容はすでに提示されている通りですから、前回よりも明確に行動を絞れそうですね。 人数も多いですし、野営の用意も含めて分担しながらの調査となりそうでしょうか。

  2. サニー・フォン・オルライト

    ほい。サニー・フォン・オルライト、クラスはシーフ よろしくね? 今回の目的も調査。どちらかというと今回は道中よりもダルトートの方がメインって感じかな? 勿論道中の調査もしておきたいし、しておく事に越したことはないけど まぁどちらにせよ目的が既に明確に示されてるのはいい事だね。うん そだね。道中の野営準備とか見張りのローテーションとかもそうだけど、目的毎に分担して汎用スキルをその方向に特化させた方がいいかな。可能な範囲でだけど 今回はヴィントと違って戦闘調査は必要ない感じかな?

  3. ロイ・アウレア

    シューターのロイ・アウレアです。宜しくお願いします。 前回の調査結果を確認させて頂いてました。 >戦闘調査 極力避ける前提で、同行する隊員は状況判断(戦闘回避)に秀でたのを選ぶつもりです。 手分や他の件に関しては空いてる場に組み込んで貰えればと。 アクションスキルと特性は索敵系を中心にして、取得済みのなら何でも合わせ装備していくよ。 その上で枠に余裕が有ればショートスリーパーを持ちたいな。 野営の仕度は、まだ馬もゲルも入手してないので 確実に持てるのはD野営セット(テントが無い)と肉セットと購入品になります。 と、こんな感じで出来る範囲で合わせますね。

  4. コルネリウス・アーラ

    >野営 私はゲルが手に入りましたので、持って行きますね。 荷馬車や馬は今の所は保留にしていますが、必要そうであれば使用します。 >調査 拠点を置くのであれば、重3隊は班長が2名いますので、ダルトート到着までは彼らを中心に2班に分かれ交代で私と一緒に行動する流れで考えています。 >個人 極力戦闘は避けていく事と、ダルトート内部に入った後は常時撤退路の確保に努める予定です。

  5. サフィラ・アズラク・ヴォルファング

    にゃ!シーフのサフィラだよっ!よろしくね! んー…ダルルートとその道中の調査かぁ あたしと遊兵三番隊は幽界樹の捜索と ダルルートに先行して偵察しよっかなって考えてるっ! >スキル 【双波】を持っていくのと夜の捜索に備えて【暗視】、あとは【看破】を持っていこうかなぁ?

  6. アーシェル・G・クライン

    遅くなって悪ぃな。 重兵11番隊隊長のアーシェルだ。 よろしく頼む。 >野営準備 俺もゲルや馬を持っていないから、代わりに毛布や干し肉を持ってく。 ロイの肉セットは楽しみだな。 >連れて行く隊員達 前回と同じく副長のマイジェロ一人にするか、今回は全隊員を連れて行くかはまだ考え中だ。 >調査 ダルトートがメインになりそうだな。 戦闘調査は主ではないが、交戦した時は戦闘データを取るのも今後に活かせると思う。 個人として主に何を調査するのかはもう少し考えてみるな。

  7. アリア・ティーダ

    ヒーラーのアリアだよっ。重兵6番隊でお邪魔するよっ。 宜しくだねっ! 以前の兵団のお仕事で、部隊で簡易建築はやった経験があるから。 野営設置のお仕事に専念、特化しようかなーとは思ってるよっ。 ダンジョン野営セットはあるけど、当然それ単体では数も足りないだろうから、それを参考に部隊で集める感じで。 荷車とか小回りの利く探索には不向きだけど重量物載せられるものを集中運用すれば、活発に動きたい隊の負担を減らせるかもだし! 調査行動の際は、もともと小回りは苦手な隊だから地形把握に努めようかな。後詰め・退路確保って奴だねっ!

  8. エミリア・シバ

    シーフのエミリアよ。 前回と同じく馬と荷馬車とゲルは持っていく予定よ。 超視覚を持って行っての調査隊より少し先行しての安全確認と、 サフィラちゃんと被ってしまうかもしれないけれど、ダルトートの街を双派と看破での調査の二点を主としようかと思ってるわね。 暗視を持っていけない都合上、基本昼間の活動がメインとなると思うわ。

  9. ノックス・マグナ

    遅くなりました シューターのノックスです。よろしくお願いします。 弓兵三番隊を率いていきます。 個人の動きはまだ固まっていませんが、ダルトートでは一先ずは高所を確保しようと思います。

  10. アルマ・ヴァレンタイン

    ヒーラーで遊兵5番隊長のアルマだよ、どーぞよろしくねー ボクもお馬さんと荷馬車とゲル持ってくね 汎用スキルは暗視とー…もう1枠は考え中 野営や見張りのローテは夜番と 調査はー…戦闘は別としてヴィントの時のを参考にしてみようかなあと

  11. ロイ・アウレア

    ゲルの件を含め、野営関連で皆様のお世話に成る姿が見えました。 遊3番隊の隊員共々、宜しくお願いします。 食が美味いのは意欲に直結するので肉セットは張り切って持って行くよ>アーシェル 調査の方向は、もしや既に判明済(見落とし)かと、話すのを躊躇&再度確認中。 誰かと行動が被っても、その部分が入念なるだろうと、進めるつもりです。 被りが気になる方はこそっと教えて貰えれば、変更か、切り口を変えるとかしますね。

  12. ナタリア・フィッツジェラルド

    ヒーラーにして重兵2番隊副長、ナタリア・フィッツジェラルドだ。 こちらも遅くなって申し訳ない。 前回とやる事はそう変わらんが、ゲルの持ち込みを表明した者は3名…… 私達だけで行くなら3つもあれば十分かもしれないが、歩兵団数十名の引率も考慮すれば、彼らの寝食の為にも私も持っていくべきだろうな。 荷馬車はあれから交換を完了したので、馬と合わせて持っていこう。 なら私は情報収集面でのシバとの連携を考慮して看破と暗視にしておく。

  13. サフィラ・アズラク・ヴォルファング

    にゃ!知ってる人も居るかもだけど クーネちゃんとバルディん将軍の会談(『クーネとバルディオン』)で、分かたれし幽界樹が発生した原因が分かったんだけど… クーネちゃんが真っ二つに斬ったんだって… うん、何言ってんだこいつって気持ち分かるけど本当みたい… しかも、クーネちゃん帝都の東側を通ったって言ってたから、ダルトートの南東にクリーパーが少ないのはクーネちゃんがお掃除してくれたのかも…なんか規格外過ぎてすごいよね

  14. アルマ・ヴァレンタイン

    情報ありがとー、リプレイみてきたよー 出発前に見てはいけないナニカを見てしまったようなー…? いまから知ってる前提で修正するのもアレだしそのままプレイング確定させちゃうねー…

  15. サフィラ・アズラク・ヴォルファング

    まー、あくまでもダルトートまで安全なルートの確保とダルトートの現状調査だからやることはあんまり変わらないかな?(かくり)

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0