【CP】世にトラブルの種は尽きまじ
東山秋治
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シナリオID:1281
オープニング
ガソル商会がリーンエス王国内に持つ支店の中でも最も大きい支店……その地下。
優雅な仕草で椅子に座るのは商会のトップ、アーガトン・ガソル。その前には、アーガトンの部下である屈強な男たちに囲まれて傷だらけの男が転がっている。
商売の邪魔をした者への制裁とも見える。
「……困るのよね。こういうことされると」
「なんの……話だ……」
「あらやだ、意外と忠誠心あるのね。せっかく私が育てた牧場に、勝手に牛やら羊やらを紛れ込ませるような真似……してくれたでしょ?」
倒れたまま自分を睨みつける男に対し、手に持った包みの中身――掌に収まる程度の小瓶に入った乳白色の液体――を見せつけてため息をつく。
「キャンプに転がり込んで、クスリ使って難民やエルフを自分達に都合がいいように操ろうと思ったんでしょうけど、考えが甘かったわね」
そう、男達が上前を撥ねようと手を出した場所が悪かった。ガソル商会が物資や生産品の流通を援助している集落が含まれていたのだ。
「潰すのは簡単だけど、火消しが面倒ねぇ。……そうだわ、正々堂々正義の鉄槌を下してもらいましょう」
ポンと手を叩き、楽しそうに笑って腰を上げるアーガトン。
「じゃ、始末は任せるけど、コトが終わるまで発覚はナシよ?」
部下に告げると、地上への階段を上っていく。
「こんなモノ、ドコから流れたんだか……やれやれだわぁ」
などとボヤきながら。
少し離れた町の水路から身元不明の死体が発見されるのは、この事件が解決してからとなる。
●
「ええと……今回の依頼は、犯罪組織の捕縛……場合によっては壊滅でも構わないそうです。それと、調査になります」
冒険者ギルドの受付嬢が依頼書を読み上げる。
一部の難民やエルフの集落で禁制の薬物による被害が出ているという報告を受けた軍が調査した結果……。
複数の商人が扱っていた商品に、薬物を混ぜた商品が混入していた事が判明。
アジトが帝国との国境近くということが判明したものの、国境付近の安定しているとは言い難い状況を考慮した結果、正規の軍よりも冒険者を動かす方が得策と判断されたため、軍から依頼が回ってきたという。
「調査と捕縛、どちらが先になっても構いません。混入前の現物を押さえられればなお良し、とのことです」
そして、カウンターに置かれる小瓶。乳白色の液体が半分ほど入っている。
「これが現物のサンプルです。皆さんが出発したらすぐに返却するので、持ち出すことは出来ません。ごめんなさい」
そして、再度依頼書に視線を落とし、一瞬固まる。
「こちらを入手した商人ギルドの肩からの伝言だそうです……」
読み上げず、冒険者達に差し出される依頼書。そこには……。
――舐めてもいいけど、トぶから覚悟しておきなさい。今回は大マジよ――
解説
マスターより
リプレイ
「一見普通の店だね。さて……」
目的の商店の前をうろつくのはキオルティス。普段の煌びやかな恰好ではなく、周囲の住人の溶け込めるような地味な恰好である。
商店で干し肉を買いつつ、間取りを確認して店を出る。そして、人目の無いのを確認すると、店の裏手に回り込める路地に身体を滑り込ませる。
「表通りに比べると、裏路地は狭いね……」
その上、木箱や樽が雑多に積み上げられている場所もいくつか存在していた。
ここで鬼ごっこはしたくないね、と思いつつ歩を進めると、少し開けた場所に出た。
店舗のほぼ真裏に当たるその場所は、荷の搬入用の入り口となっているようだった。とはいえ、入り口と言っても扉は無く、門番と思われるハーフビーストが一人立っているだけではあるが。
門番はキオルティスに気づくと、不躾な視線を向けてくる。そんな視線をかわして、建物の配置やを確認し、反対側の路地から出てくる。
「この時間はこんなところかな。火が落ちてからもう一度来よう」
キオルティスが表立って調査をする一方、ナハティガル=ラーは徹底して潜み、調査をしていた。
長身の体躯を見事に隠し、探波で目的の建物の構造を探る。
裏口の状況や、その周辺の地形を確認するため回り込むと、物陰から裏口を観察しているエルフの姿。
「シェオル」
「やあ、ナハティガル君。今、裏口を観察しているところだよ」
「近辺の地形の確認も任せていいか? やってくれるなら俺は表を張る」
「了解だよ」
「頼む」
短いやり取りの後、二人は即席で決めた持ち場につく。
そして、閉店と潜入予定の時間の間に再度訪れたキオルティスの帰りを待ち、冒険者達は潜入計画の確認を行った。
●
冒険者達が街に到着して2日目の昼。
ギルドから紹介された宿で情報の共有を行う冒険者達。ここなら、外部に滞在が漏れることも無い。
「構造はこんな感じだ。2階より上の窓にはご丁寧に格子が嵌ってる」
ナハティガルが調査した商店の見取り図を描いた紙をテーブルの真ん中に広げる。
主な建物は店舗を兼ねた母屋、加工場、倉庫。それぞれ、構造自体は複雑ではない。
「現物があるとしたら……加工場かな?」
エルゼリオ・レイノーラが加工場を指差しながら仲間を見回す。
「あとは倉庫かな。加工前の在庫を保管してる可能性もあるね。薬って保管場所も大事だから」
シェオルが同じように倉庫を指差して答える。
「レディ? 先から難しい顔をしているけど、どうしたんだい?」
キオルティスに尋ねられたエリザ・A・ミシャールが口を開く。
「相も変わらず――と言ったところか……と思ってな」
『伝言』の物言いが引っ掛かる。
「……それって、依頼人じゃなくて、サンプルを入手した”商人ギルドの方”? そんなに怪しいの?」
「まあ、ね……」
エルゼリオの問いに、目に見える尻尾は捕まえ切れていないが、と苦笑するエリザ。
「とまれ、アタシは建物の上から監視と万が一の場合の対応を」
栗鼠をリンクさせてシェオルにつけるよ、と続ける。
「俺は単独で。あとの三人は……」
キオルティスがナハティガルに視線を向ける。
「3人で動くさ。……計画については問題無いか?」
ナハティガルの問いに頷く4人。
「決行は今夜。月は出てるが、かなり細くなっているから都合がいい」
●
冒険者達が現地に到着して2日目の夜。弓の形の月が西に傾き始めた頃。
5つの影が動き出す。
5人の姿は裏の入り口に近い物陰にあった。裏口を挟んで、倉庫側にキオルティスとエリザ、加工場側にナハティガル、エルゼリオ、シェオルの3人が潜む。
キオルティスの昨夜の調査通り、裏口は2人のハーフビーストが固めていた。装備からしてウォーリアだろう。
エリザが路地の反対側の建物を伝って倉庫の屋根に上り始めたのを合図に残る4人も行動を開始する。
簡単なハンドサインで意思疎通を行うキオルティスとナハティガル。
影を伝うように見張りの死角に接近する二人。
直後、鈍い音共に倒れそうになる見張り。2人はそれを支えると、路地の物陰に引きずり込んで縛り上げて猿轡を噛ませる。
そうして、見張りを処理した4人は潜入を果たす。
●
「近場から行こう。まずは加工場だ」
加工場の脇に積まれた箱や樽の陰に身を潜めるナハティガル、エルゼリオ、シェオル。そしてシェオルの足元にはエリザがエーテルリンクを行った栗鼠。
倉庫の方に目をやると、物陰に潜みながら母屋に向かうキオルティスが視界の端を横切る。
加工場に窓はあるものの、少々位置が高い。そして、入り口には見張りが1人。見張りは定期的に建物周囲を回るのは昨夜確認済みだ。
(大丈夫だ。中に見張りは居ない)
「見張りは1人と……それじゃ」
透視で加工場内を確認したエリザからのテレパスに頷くシェオル。
見張りが加工場周囲の見回りに動くのを確認すると、ナハティガル、エルゼリオと顔を見合わせて互いに頷く。直後、彼らの周囲から音が消えた。
しばし後、エリアサイレンスによる無音の中ピッキングを行うシェオル。気絶させた見張りは先程まで彼らがいた場所で箱の死角に転がされている。
「ボクは入り口を見張っておくよ」
そう言ったエルゼリオとエリザの栗鼠に見張りを任せ、シェオルとナハティガルは加工場の捜索を行う。
●
他方、母屋。
見回りであろう男が二人、品の無い会話をしながら廊下を歩いていき……角の向こうに消える。
ややあって、壁を歩いて降りてきたのはキオルティス。[捜波・改]でマーキングした連中の気配を感じ、[壁歩き]を使って天井に潜んでいたのだ。
「やれやれ。思いの外厳重だね」
そう言いつつ忍び込んだのは、売り上げの帳簿などが収められた部屋。
直近の日付が記された帳簿を棚から見つけ出して目を通す。
「これは表の……だね。まあ、取引先の情報もあるし、貰っておこうか」
[マジカルポケット]に帳簿をしまい込み、改めて帳簿がしまわれていた棚の付近を見回す。
特に怪しい場所は見当たらない。となると……。
「店主の部屋か、書斎みたいな部屋は無いかな」
部屋の入り口で[捜波・改]を使い、周辺を確認すると物音を立てない足取りで目的に定めた部屋の捜索に動く。
同じ頃、倉庫の屋根ではエリザが母屋と見張りの動向を注視していた。足元の倉庫の扉前に居る見張りは動く様子は無い。
動きを観察しながら、残りの敵の人数を確認する。事前の情報では10人程度という話だった。裏から潜入する際に2人、加工場に潜入する際に1人……。
「少なくともまだ7人ぐらいいるってことかい」
戦わずに無力化出来ればいいんだが……と、考えていたところで、母屋から裏に男(ゴブリン)が一人出てくる。見張りの男と二言三言言葉を交わすと、そのまま加工場の方に歩いていく。
「まずいね……」
(シェオル、アタシだ。そっちに一人向かってる。授恵者かどうかはわからない)
(ありがとう。こっちで対処するよ)
「エリザ君から。一人こっちに来るよ」
「俺が対処する。シェオルは捜索を続けてくれ。エルゼリオ、フォローを頼む」
扉の両側に分かれて身を潜めるナハティガルとエルゼリオ。シェオルは奥に身を潜めつつ、捜索を続けている。
エリザの警告からしばしの間……「あのバカ、どこでサボってやがる」などとボヤく声と共に、ゴブリンが加工場内に入ってくる。
身を潜めている二人の間を通り、奥へと足を踏み入れていく。
――そこでナハティガルが動いた。
「!? テm……」
素早い身のこなしでゴブリンの背後に回ると、気づいたゴブリンが声を上げる前に腕を首に絡めて持ち上げながら締める。ゴブリンはしばらく足をばたつかせて抵抗していたが、やがてぐったりと動かなくなる。
「……殺したの?」
「いや、締め落としただけだ。拘束しておこう」
(エリザ君? こっちは片付いたよ。でも、こうなると……)
(ああ、戻らないのを不審に思う奴が出てくるだろうね。時間制限が付いちまった)
「さて、キオルティスが上手くやってくれてるといいんだけどね……」
エリザは呟くと、先程よりもいっそう母屋の動きへの警戒を強める。
加工場内では時間のこともあり、今度はエルゼリオも加わって捜索が続けられていた。
そして……。
「見つけた。加工前のものだ」
出発前に覚えていた薬物の匂い。加工場内では他の食材の匂いに混ざっていたものの、素材置き場となっていた部屋に踏み込んだナハティガルの嗅覚が捉えたのだ。
「エリザ君には連絡しておくよ」
「あとは母屋かな?」
「キオルティスが潜入しているはずだ。アイツなら何かしら見つけてくるだろう。俺達は倉庫に向かおう」
●
同じ頃、母屋では、キオルティスが店主の部屋(書斎)を探して2階部分に上がり、廊下の角の天井に[壁歩き]で張り付いて角の向こうの様子を窺っていた。
彼の視線の先には、とある部屋の前の見張りが一人。それだけなら商家であればありそうな光景だ。
今まで見てきた他の部屋の前には見張りは居なかった。そして、昨夜調べた際に、部屋の位置の窓から明かりは漏れていなかったのだ。
にもかかわらず、見張りがいるということは……。
「……わかりやすいな……でも、動いてくれないか。なら……」
[壁歩き]をしたまま、静かに男の死角から近づき……。男の纏っていた空気が弛緩する、その一瞬を狙って飛び降り、予備動作すら見えない一撃を食らわせる。
不意の一撃を食らった男が、目の前に現れた影を敵と認識した瞬間、男の後頭部は背後の石壁に叩きつけられ、男の意識は闇に沈む。
音を立てないように男を床に転がすと、扉を確認。鍵は無い。
「不用心だね」
こっちには都合がいいけど、と男を引きずって部屋に入り込む。手早く男の手足を封じ、動けない状態で転がし、捜索を始める。書斎というよりは、仕事中に居る部屋のようだ。
「……この手紙は……。ふむ……?」
手紙をまとめた箱を探っていたところ、見つけたのは封蝋がされていた手紙。
文面こそ取引のための手紙であるが、文章中に名前が無い。名前が入っていて然るべき部分にあるのは”指”などの単語。
顎に手をやり、意味を考えようとしたところ……外から怒鳴り声が聞こえてくる。
「考えるのは後だ。潮時だね」
他に、証拠になりそうな手紙をいくつか[マジカルポケット]に放り込んで部屋から出ると、店の裏手を確認できる窓を探して走る。
●
「あの野郎! 戻ってこねぇってことはキメてやがんのか?」
「でもアレ、原液飲んじまったらヤバいヤツでしょ? いくらあのバカでも……」
シェオル達3人が倉庫に入ったのを確認したエリザが、母屋の方から聞こえた声に目を向けると、得物をぶらさげたハーフビースト2人を引き連れてヒューマンの男が加工場に向かうのが見える。
口調や物腰から、前を歩く男がここのボスなのだろうと予測できる。
そして、言っていたことと雰囲気からして、ゴブリンの戻りが遅いのを訝しんだのだろう。
「マズいね……(時間切れだ。連中が加工場に向かってる)」
(わかったよ。皆に伝える。……キオルティス君は?)
(……居た。母屋の二階の廊下だ)
「っと……」
透視でキオルティスの動きを確認したエリザ。ちょうど窓を見つけて外の様子を窺っていたキオルティスと目が合うと、彼は指で”〇”を作る。
「そういうことかい。なら遠慮はいらないね」
(シェオル、キオルティスも仕事を終えた。制圧できるよ!)
「と、いうことだよ」
「まだ母屋に居るのはエリザ達に任せて、俺達は表に居る3人を片付けるぞ」
「おっけ、サポートは任せてよ」
倉庫に身を潜めていたナハティガル、シェオル、エルゼリオは、男達が加工場に入っていくのを確認すると、加工場の扉脇に移動。連中が飛び出してくるのを待ち構える。
「畜生! 起きてる奴全員出て来い!! 侵入者だ!」
お決まりの台詞を吐きながら、男達3人が加工場から飛び出して辺りを見回す。
「――御用だ! 観念してお縄に付け……!!」
エルゼリオの言葉に振り向く男達。
「出てきてくれるたぁ好都合だ! やっちまえ!」
ボスが下がり、ハーフビーストの2人が冒険者達の前に立ち塞がる。その後ろでは、下がったボスが杖を取り出して構え、その周囲には無数の光の粒が出現する。
「あいつキャスターだよ!」
シェオルが声を上げる。
頭が冒険者達に[メテオライト]を放とうとしたその瞬間。
――背後で光が弾けた。
「な……」
「やれやれ……気づいてないとはいえ、アタシに背中を向けるなんていい度胸じゃないか」
光を放ったのはエリザ。[炸光矢3]による一撃だ。ボスは背中を強かに焼かれて膝を突く。
[炸光矢3]の炸裂に気を取られたハーフビースト達。その隙を逃さずナハティガルが動く。
「ここから先は……壊滅だ!」
翻る剣閃が3つ。斬りつけられたハーフビーストは胸から血を流し、ナハティガルを睨んで唸り声を上げ、切りかかる。
しかし、傷つけられ、冷静さを失いつつある攻撃ではナハティガルを捉えることは出来ず、剣は空を切る。
祭刀を構え、術を発動させるための呪文を呟くエルゼリオ。すると、シェオルの部分鎧に淡い光が宿る。
「気を付けて。アイツら、不意を打てたけど多分結構強いよ」
「助かるよ」
短く礼を言うと、もう一人のハーフビーストの懐に飛び込むシェオル。エーテルを纏わせて突き出した細剣は空を切る。反撃に振り下ろされた剣は盾で防ぐも、僅かに腕に痺れが残る。
(……ナハティガル君があっちを倒すまでは持ちこたえないとね)
痺れた手を軽く振りながら、隣で戦うナハティガルをちらりと見やる。
「っ! やっぱりまだ居たかのかい!」
打ち合う二組を視界の端に置きながら、母屋からの増援を警戒するエリザ。案の定、戦いが始まって間も無く、弓を持ったヒューマンとゴブリンが母屋から裏への出口に陣取り、弓を構える……。
「そいつは無しだっ!」
放たれる[炸光矢3]。今度は母屋から飛び出そうとした2人の目の前で炸裂。衝撃で尻餅をつかせる。
尻餅をついた2人の目の前に突如現れる影――キオルティスだ――。エリザの[炸光矢3]の炸裂で2人が弓を取り落とすのを見て、[疾風足]で一気に接近したのだ。
そのまま、取り落とした二人の弓を蹴り飛ばす。
細剣をヒューマンの喉元に突きつけ、ゴブリンには視線で「動くな」と圧をかける。
そして……。
「お宅らも運の尽き、だね」
そう、淡々と告げた。
一方、外では。
「シェオル、もう少し耐えてくれ! すぐに……終わらせる!」
ハーフビーストの一人と切り結ぶナハティガル。彼とて歴戦の冒険者である。それと互角に切り結べているハーフビースト、その技量は推して知るべし。
声をかけられたシェオルは、エルゼリオとエリザの援護もあり、余力を残しながら立ち回ることが出来ている。[毒撃]を撃ち込み、相手の体力を削ることに成功していたことも大きい。
そんな折、ナハティガルを光の雨が貫く。先程はエリザに妨害されたが、今度は発動に成功したボスの[メテオライト]だ。
「この……っ!」
エリザの放った矢がボスの肩に当たる。
「助かったぜボス! 死ねやぁっ!」
「このぐらいで……!」
大振りで振りロされた剣を、痛みに耐えながら避けるナハティガル。見れば、彼の腕に無数の傷。
しかも、今の回避でバランスを崩している。続けての攻撃には……。
「母屋の方の無力化が間に合った……なによりだ」
[疾風足]による踏み込みからの予備動作の無い一撃。意識の外から踏み込んできた攻撃を避けることは出来ず、ナハティガルに追撃をかけようとしたハーフビーストは、カウンター気味にキオルティスの一撃を食らって倒れ込み、地面に鼻先を強かに打ち付けても動かなかった。
「殺ったのか……?」
「多分大丈夫だと思うよ。俺よりは頑丈だろうし」
「母屋は無力化……? クソっ!」
キオルティスの言葉に状況を悟ると、刺さった矢を抜くこともせずにボスは唐突に裏門に向かって走り出した。
シェオルと切り結んでいたハーフビーストも、シェオルに蹴りを入れて作った隙に、ボスを追って走り出す。
「あ、逃げるな!」
エルゼリオの言葉も耳に入らず。ボスは全力疾走で裏門を目指す。
ボスを狙って矢を番えるエリザ。番えた矢には風のエーテルが収束する。
「……逃がすと思ってるのかい?」
頭上から降る声。直後、ボスの足は撃ち抜かれ、地面に縫い留められる。
追いかけていたハーフビーストは、目の前でボスが射抜かれたのに驚いて速度が緩む。その瞬間、シェオルとエルゼリオの癒しを受けたナハティガルに回り込まれていた。
[疾風足]による加速がそれを可能にしていたのだ。
縛り上げたボスの前にはキオルティスとエルゼリオがいた。
「背後関係、吐いた方が楽だと思うよ? こうなった以上、切り捨てられるだろうし」
と、エルゼリオ。
それに対して、ボスは地面に唾を吐いて不敵な笑みを浮かべる。
言葉を変え、尋問材料を変えてもボスの態度が変わることは無く。
「指……これって、やっぱり?」
しかし、キオルティスの一言にボスの顔色が変わる。
「…………もしかして……メドゥ?」
思い当たったエルゼリオの言葉で青ざめ、歯の根が合わないほどに震え出した。
その後、犯人たちを改めてきつく拘束した冒険者達は、再度母屋を捜索。
いくつかの帳簿を回収し、犯人共々、冒険者ギルドを経由して軍に引き渡した。
後日、店に踏み込んだ軍の捜索によって、残りの薬物も無事回収されることとなった。
かくして、難民やエルフ達を標的とした薬物蔓延は、冒険者達の活躍により食い止められることとなった。
●
以下は、後日、軍からギルドに回覧された文書の抜粋である。
『回収された帳簿について、取引先として記されていた商人に確認。いずれも、帳簿通りの商品取引であり、後ろ暗い部分は見当たらず。
しかし、他の証拠品よりメドゥの指先との取引を示すと思われる物が発見された。
冒険者ギルド各位にも、重々警戒するよう注意喚起されたし。』
マスターコメント
ショートEX難しい 報酬:多い5 / 4〜8人
2021年08月24日 11時26分39秒 公開
相談掲示板
エルフのシーフ、シェオル。 禁制薬物という言葉に釣られて参加させてもらったけれど、さてどうしようかな。 こちらの目的はアジトの調査と、組織員の捕縛or壊滅、と…… 調査はともかく戦闘力はまだ全くだからなぁ……もうちょっと、待っていようか。
揃ったようだな。 シーフのナハティガル=ラーだ。今回は宜しく頼む。 >調査/捕縛 どちらが先になっても良いとの事だが―― 現物の確保を最優先とするのなら、セオリー通りに調査(現物確保)⇒捕縛の順で行った方が良いだろうか? >調査方法 アジトとなっている『国境付近の町の商店』に潜入する必要があるが、手段はどうする? 客や出入りする業者を装い敷地内に入り込む、ストレートに『忍び込む』等。 俺は御覧の通りの風体で目立つ為、後者を予定しているが。
おや出発確定だね、ありがたいな。 どうぞよろしく頼むよ。 >調査/捕縛 これは、そうだねぇ…… 混入前の現物があれば尚良しということで、それをどこまで目指すかにもよるかな? なるべく目指す場合、混入作業に入ろうとしている時は早めに対処した方がいいのかも。 あとは、どうあれ逃がさないようにもしないとだし、 逃げ道を塞いだり、孤立したのがいるなら先に捕らえておいたり、 戦闘は極力迅速に済ませたり……とか、考えられたら良さげかなぁ。 >調査方法 到着時の時間帯っていつ頃だろうね? 特に記載はなさそうだから、日中想定でいいのかな? 僕も忍び込む方で予定できればと思っているから、 誰かに見られないよう注意しつつ、エリアサイレンスを使ってひっそりといこうかな。
エルフのエリザだ。よろしく頼むよ。 ガソル商会の依頼を以前にも受けた縁で、今回も参加させてもらった。 >調査/捕縛 ここは臨機応変の方が良さそうに思える ・アジト内部の構造や規模感が分からない ・敵方の一般人/授恵者比率が分からない 現物が先に確保できれば確保したいところはあるが、さすがに帳簿なんかを細かくみつつ重要証拠を抑えるのは難しそうだ。先に全員無力化してしまってからゆっくり検分した方が確実という考え方もあるんじゃないかね。 とはいえ、中途半端に仕掛けると証拠を隠滅されたり、逃げられたりする可能性があるというのも分かる。 >立ち回り 屋内にはなろうから、アタシはペットを連れていくかソロ構成でいくか悩みどころだねえ。 現状でシーフが3人もいるってことなら、アタシは戦闘力メインで動いてもいいのかもしれない。 >エリアサイレンス 潜入にはもってこいの特技だね。 一つ注意するとすれば、外からの音も聞こえないということだ。 周囲を囲まれていても、音では気配が探れない。 特技の範囲内外でテレパスなんかを併用できると安全性が増すんじゃないかね。
ヒーラーのエルゼリオ・レイノーラです。今回はヨロシクね! >調査/捕縛 実際に踏み込んでみないと不明な部分が多いから、 基本は調査&現物確保で行動して、アジトの構成員に発見された時はその場で全員撃破→調査続行。 構成員に増援呼ばれた時点で壊滅=捕縛に切替え、って方針はどうかな? >活動時間 特に記載はないけれど、昼間だと人の出入りが多そうで目立つかも。 ボク的には潜入するなら夜中の方が良いかな?って思ってるよ。 >個人 暗視と罠解除を持って行く予定。 それとシーフズツールで施錠とか罠(あれば)解除出来ればなと。 戦闘時は隊列前方で盾役を務めつつ、エーテルブローで攻撃。 負傷者はヒール&ヒーリングオーラで回復するね!
シーフのキオルティスと言うよ。キオでもルティスでもお気軽に。 初めての方もそうで無い方も宜しくね。 >調査/捕縛 混入前の現物…か。確かにそれを求められてるなら、調査→捕縛、だね。 構成員は撃破出来ずとも、無力化はしたい所…。 と言うか、初めから見付からないようにするのが得策かな、と。 >調査方法 俺は…そうだね、普通に忍び込む予定。 忍び込むならあんまり固まって動くのも良くないね…。 折角敷地内に調査個所が広がってるし、自分が主に回る場所を 決めてその場は任せる感じでも良いんじゃないか、と。
>調査/捕縛 そうだね、決め打ちし過ぎても不測の事態に対応できないかもしれないし…… 散開しての調査なら、構成員に対して個人での対処可能範囲を超えた時点で捕縛or壊滅に切替、 で、僕も異論ないよ。 そうすると、エリザ君の言うテレパスのように連絡を密に取れる手段は尚更欲しくなりそう。 僕も取得はできるけれど、誰か連絡取り合える人はいるかな? >活動時間 今回って、時間をかけても良い案件なのかな? 薬物を混入したり商品を捌いたり、が進んでしまうのかなと思ったけれど、 大丈夫そうなら僕も待機時間込みでの夜中前提、良いと思うよ。潜入し易いのも確かだよね。 >個人 捜波と探波で思い切り探索に寄せようかなと。 戦闘面は火力よりも、疾風足やフェザーステップも使いつつ逃げ道を塞いだりとか、 その手の動きが中心になるかな……もちろん、対処できる部分は対処するけれど。 エリアサイレンスについては、言葉足らずでごめんね。 指摘の通り自分にも不利な面があるし、これは何かを乗り越える時とか扉を開ける時とか、 音が出そうな行動を取る際に使用できたら、と思うよ。
>調査/捕縛 では、遭遇した構成員を取り逃がした(増援を呼ばれた)時点で捕縛or壊滅に切り替える方向で了解した。 テレパスは持って行きたい所ではあるが…枠の問題で難しそうだ。 >活動時間 特に急ぎの案件ではない筈なので、潜入するのは夜間で良いかと。 >個人 暗視/超嗅覚/探波でアジトを探索。 全員バラけるのも危険かと思う為、 単独で動く予定のないメンバーが居る場合、そのメンバーと行動を共にする予定でいる。
>テレパス オーケィ。アタシが持ってる。 受け手側としてエリアサイレンスの外側での安全確保を担当しようじゃないか。 >活動時間 夜間で了解。異論無いよ。 >流れ エルゼリオの書き方が分かりやすいね。これに一票だ。 >組み分け シェオルと組むのは誰になるかね? テレパスの関係上、私は別行動になる。 戦闘能力に少し不安って話だから、誰か組めるかい?
>組み分け ボクは索敵能力に不安があるし、出来るだけ纏まって行動したいと思ってるよ~。 えっと。表明があるのは―― ※敬称略 ●別行動 キオルティス エリザ ●纏まって行動 ナハティガル エルゼリオ ――ってカンジになるのかな?勘違いがあったらゴメンね! シェオルさんが単独での行動を希望されない場合、 ボク・ナハティガルさん・シェオルさんの3名で動く事になるのかな?
>組み分け あ、組んでもらえるなら是非にお願いしたいなぁ。 エリザ君は気遣いをありがとう。エルゼリオ君もまとめをありがとうね。 それならエリアサイレンスの範囲にも、ナハティガル君とエルゼリオ君を含むようにするよ。 先の通り要所でのみ使うつもりだけれど、他に欲しい瞬間とかもあったら合わせるね。
>組み分け えーと…個別行動って意味じゃなく、個人的には母屋と加工場の 2組に分かれて捜索。人が増えたらペアでの行動くらいを考えてたよ。 分かり難くてごめんね。 エリザさんの『別行動』って言う言葉もテレパス使用の都合上 『シェオルさんとは別行動』って意味じゃないかな? 勘違いだったら申し訳ないけれど。
>組み分け 最初から母屋と加工場に分かれての捜索は、既に割り振りが難しい(出発時刻が迫っている為)と思うので、 個別で動くか、纏まって動くかの判断は個人の裁量に任せる形となるだろうか? 取り敢えず、俺は母屋or加工場の指定はせずに裏口から潜入すると記載している。
ぎりぎりだけれど、それなら僕も合わせて裏口にと書いておくよ。 あとは……光源を持って行くものの、危うい場面では消して、暗視に頼らせてもらおうかなと。 他行動は、相談中に言ったままになるかな。調査面中心にがんばらせてもらうね。