【呪輪】森で暮らすにゃキレすぎて
馬車猪
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シナリオID:1202
オープニング
エルフの少女が逃げている。
緑が豊かすぎる森を、非授恵者が平地を走るのと変わらない速度で駆けている。
豪快に育った木の枝も盛り上がった根も、追っ手を阻むには十分過ぎるはずだった。
「ぴぃ」
枝が折られる。
地上に出た根がかみちぎられる。
肉食獣のような口を持つ蟻型魔獣が、剣先の如き歯をぎらりと光らせた。
「もうやだー、ママー!」
黙っていれば神秘的な美少女も、ここまで焦ると表情は崩れるし隠しておきたい顔も表に出る。
最近作ったばかりの弓も矢筒もその場に投げ捨てて、少しでも体を軽くして生き延びようとしていた。
「ままぁっ!!」
「私はママではないよ」
落ち着き払った声と同時に、鉄塊が飛んで来て、外れた。
衝撃と轟音が発生する。
大量の木屑が舞い上がり、銀に近い金の髪が猛烈に揺れて髪型が滅茶苦茶になる。
幹の根元がなくなった大木が、エルフと魔獣の間に勢いよく倒れた。
「里の子……ではないね」
その女には角が生えていた。
見た目はエルフに近いからこそエルフには絶対に見えない。
女は、ゴブリンであった。
「はいっ!」
本能的に頭を下げていた。
女ゴブリンは表情も言葉も穏やかなのに、実際そうとしか思えないのに、少女の本能が最大級の警告を発している。
「わたしは、あのっ」
「少し待っていなさい」
振り抜いた鉄の塊を片手で引き戻し、倒木をひょいと跳び越え無造作に振り下ろす。
固い外皮が砕け、汁気のある中身が潰れる。
衝撃で飛び散った残骸が、森と殺戮者を禍々しく彩った。
「さて」
女が振り返る。
エルフは空を見上げ、透き通った表情で涙を流す。
「飴を食べなさい。疲れていると良い考えは浮かばないよ」
手拭いで綺麗に指を拭き、腰の物入れから飴を取り出す。
エルフの少女が全く反応しないので、手慣れた動作で砂糖と蜜の塊を口の中にねじ込んだ。
「甘ぁっ!?」
豊潤な甘さが逃避していた心を現実に引き戻す。
甘いだけでなくおいしい。
無心に舐めて舐めて、ずいぶん小さくなってしまってからようやく現状を認識した。
強力な魔獣を文字通り粉砕した危険人物。
そして逃げるのも忘れて飴を舐めている自分。
(命乞いしなきゃ……飴おいしい)
女ゴブリンは無言だ。
怒りも笑いもせず、若い授恵者の骨格と筋肉とエーテルを静かな目で観察している。
「そろそろいいかな?」
「はい」
覚悟が決まった。
大森林に属する伝令として、少しでも情報を引き出し可能性が極小でも逃げるだけだ。
「君は冒険者かな?」
「伝令です。冒険者ギルドに増援を依頼したことを伝えに来ました」
「それは助かるね」
「……あの」
伝令少女は5メートル以上離れたのに、鼻先にハンマーの頭があるように感じている。
要するに、生きた心地がしない。
「私はゴブーナ。傭兵だよ。大森林まで来たところで路銀が尽きてね。この先の村から依頼をうけて魔獣を狩っていた」
目の前のゴブリンは穏やかに笑っているのに本能からの警告は止まらない。
少女は警告に気付かないふりをして、改めて自己紹介をする。
最近した仕事についても話してしまったが、情報漏洩ではないと思いたい。
「努力家だね。若いのに感心だ。しっかり食べなさい」
今度は干し肉をくれた。とてもおいしい。
村に案内されるまでに、後2つ貰うことになった。
●
「大森林での依頼になります」
夏服に切り替えた冒険者ギルド職員が説明を始めた。
大きな地図を広げ、何もないのが特徴という集落を示す。
「このあたりで強力な魔獣が現れました」
形は蟻。
大きさは全高1メートルで全長3メートル。
全体的に丸っこいが、口は肉食獣に似て、しかも剣のような歯が大量に生えた異形だ。
「熊も木も短時間で壊してしまうようです」
壊すというより、肉片や木片に変えると表現した方が正確かもしれない。
「確認された数は3です。全て同程度の大きさですので、まだ繁殖は始まっていないと思われます」
エルフの集落から多少離れているとはいえ、現時点でも森が荒らされているし数が増えれば集落まで襲われかねない。
「問題は……」
森の移動が困難なことだ。
地面は草と木の根が移動を邪魔し、人間の頭や胸の高さには枝や葉っぱがある。
それらが邪魔で速度が半減するだけでなく、遠くが見えなくなるので敵の接近に気付くのも大変だ。
「この蟻魔獣は基本的に単独行動です。各個撃破するのが最も安全ではあるのですが」
目撃情報のある範囲が広いのだ。
木が食われたり壊されたりした場所を調べれば比較的簡単に見つかるだろうが、ある程度手分けして探さないと依頼期間中に2、3体しか倒せない可能性もある。
「敵も、敵がいる場所も危険です。皆さんなら手分けしても問題ないかもしれませんが……十分に気を付けて下さい」
職員はそう言って、冒険者達を送り出した。
解説
マスターより
リプレイ
軽量な栗鼠が下草をすりぬけるようにして現れ、ノックス・マグナの足下近くで停止した。
ノックスは栗鼠に水と餌を与えた後、ダガーを使って枝葉の切り落としを再開する。
緑の密度は予想以上に高く、特に重装備のアルベルト=V=シュタールシュヴェーアトはノックスの支援がなければ脱落しかねないほど速度が落ちていた。
「高みの見物とはあまり良い趣味とは思えないな」
ゴブリアが足を止めて振り返る。
一行の最後尾に見慣れぬ人影が1人分ある。
邪魔はしないが助けもしない。自らの身を危険に晒して仕事中の冒険者にとっては、好意的に見るのは難しい相手だ。
「あんたゴブーナってんだっけ。オレはギャメルだ」
ギャメルはロード種の女から目が離せない。
小動物が肉食獣を警戒するかのように、理性もそうだがそれ以上に本能が警告を発していた。
(確かにオレはビビりだけど、なんでこの人を怖いって思うんだろ?)
無意識のまま恐怖心の原因を探り続ける。
強さも冷酷さも強者なら多くの人間が持っている。
しかしこれほど強く死を感じることは滅多にない。
「すまない。驚かせてしまった」
ゴブーナが軽く頭を下げ、緑の髪が揺れる。
すると死の気配が急に薄くなり、だからこそギャメルの危機感は急上昇した。
(これ、殺気ですらねーのかよ! 手で払った枝や幹がぶっ壊れてるし、特殊能力とかじゃなく単純に強いだけ!?)
ノックスは警戒を顔には出していないがギャメルと同じかそれ以上に警戒している。
(無条件での信用は出来ませんね。エルフの村を助けたのだからある程度は信用すべきなのでしょうが、言動も特徴も怪しすぎる)
冒険者の最上位層より強そうな授恵者傭兵がたまたま依頼中の冒険者にいる確率は0と断言してよいほど小さい。
まだ害があるかどうかは分からないが、何かの企みがあるのは間違いなかった。
バンビは、ゴブーナとエルフの村で初遭遇しいくつか質問した後は警戒するだけで話しかけもしない。
今は不審者より仕事だ。
「またありんこですか、最近多いですわね」
冒険者が来る前から破壊されていた草や枝から破壊者の特徴を調べる。
「見たことのない蟻ですわ」
破壊の痕跡から、剣の切っ先のような歯と体格を推測する。
知性の薄いただの魔獣。
そして、この森に適合して移動速度が落ちない相手だ。
それを伝えられたサマエラ=フォリウムが眉間に軽く皺を寄せる。
(速度差がありすぎる。時間内にどれだけ討伐できるか)
「ねえゴブーナさん。このままあたしたちの魔獣退治に協力してくれない? 索敵する範囲が広いから助かるなあ」
コルリスが持ち前の外面の良さで提案する。
「君は……ハーフリングか」
ゴブーナはコルリスをじっと見る。
悪意も善意もない無機質な視線を直接感じ、コルリスは微かではあるが嫌悪の情を抱く。
ゴブーナは差し出すつもりだった干し肉をポケットに戻し、徐々に近付く魔獣の気配を感じながら返事をする。
「私は傭兵だ。無料で腕を貸すことはしないよ」
「ゴブーナさんも一緒にがんばろーよー」
コルリスは即座に精神的な間合いを詰める。
相手に無視させず、しかし反発はさせない絶妙な距離だ。
ゴブーナの瞳に興味の色が混じる。
無害な小動物と思っていたものが毒を隠し持っていたことに気付いて喜ぶ色に近い。
「見物料は支払うよ。本当に」
楽しみだと微笑んでいるのに、それを笑みと感じられる者はこの場にはいなかった。
●
無数の小さな刃とダマスカス鋼の盾の間に火花が散った。
「ここは任せろ。他の敵を追え!!」
戦闘の音が大きすぎて目前の敵の位置しか分からない。
しかしアルベルトの実戦経験と戦術眼は、大戦力に気付いた魔獣が逃げ散る告げている。
「逃げ切れると」
魔獣の脚が精妙な動きをする。
アルベルトの体格でも移動が難しいのに、もっと大きな魔獣が素早く後退してアルベルトから距離をとろうとした。
「思ったか?」
温存していたエーテルを加速に使う。
初撃で深い傷を刻んだ前面装甲目がけて、威力重視の鋭い一撃を振り下ろす。
大太刀の進路上の葉は斬れずに押しのけられ、しかし重く固く逃げ場の無い装甲は歪んで壊れて中身ごと切り裂かれる。
魔獣の思考が切り替わる。
クリーパーと違って、魔獣は人類殺戮より生存が大事なものも多い。
この魔獣も、抗戦は諦めて逃走に全力を注ぐ。
「道案内ご苦労」
アルベルトは魔獣の通った直後の森を行く。
相変わらず歯も枝も根も邪魔だが、他の場所よりはずっと通りやすい。
「牙持つ蟻め! 俺の太刀の餌食になれ!!」
チャージングがなくなる前に追いついて、圧倒的な攻撃力で以て頭から胴までを切り裂き止めを刺した。
「こっちだよ!」
コルリスが持つ連絡手段は特別製だ。
緑で視界と移動が徹底的に邪魔されている状況でも、別の班からの連絡が正確に届く。
「こえぇ……」
ギャメルの鼻は、急速に近づいて来る巨大アリの臭いを捉えている。
樹液と腐敗臭が混じった、肉食獣よりずっと危険な敵だ。
(後ろを気にしてる余裕はないよな)
どことなく授業参観風のゴブーナも気にする必要があるが、今は魔獣に専念するしかない。
エーテルを防御に使い、その数秒後にはアリ魔獣の重さと速度で木々が激しく揺れだした。
「ほんとにこえぇっ!!」
ゴブーナが嬉しげに目を細め、ギャメルが歯を食いしばり、噛んだのにかみ砕けないことに気付いた魔獣が混乱する。
(ふりじゃなくて怖い、けどっ)
怯えは隠さず、冷静さを隠す。
防御しながら後退するギャメルを、空腹に苛まれる魔獣が荒々しく追った。
(天然の迷宮だね)
チャージングで加速して木が邪魔で前にも横にも進めない場所でコルリスが止まる。
しかし突撃槍からエーテルの刃が5メートルも伸び、木々の合間を通して届く巨大な武器と化す。
「ノックスさん追撃して~」
敵の行動を予測した上での指示だ。
光で出来た穂先がアリ魔獣の上半身を貫通。
致命傷には至らないが、傷口から入り込んだエーテルが魔獣の対物理防御を阻害した。
(この程度ですか)
ノックスは敵の能力を見切った。
歯や枝や木に邪魔されても、ノックスの技量なら確実に当てられる程度の回避能力でしかない。
つがえたままの矢にエーテルを収束させる。
そして、射って、射って、ひたすら射続ける。
木が邪魔なのは前衛と同じでも武器の射程が根本的に違うので、ノックスは移動せずに攻撃に専念できるのだ。
何より威力が大きい。
エーテルで向上させた分がそのまま魔獣の命を削り取るほどの高威力であり、アルベルトほどではないが驚くほどの短時間で魔獣1体を削り切った。
「後1つは倒すよ!」
コルリスはギャメルを連れて駆け出す。
もともと狩りは得意なのだ。
ノックスの耳と栗鼠とギャメルの鼻と、別の班からの情報まである状況で逃がすわけがない。
巨大アリの分厚い装甲にノックスの矢が矢羽根まで突き刺さる。
(時間との勝負ですね)
戦闘で負ける気は皆無だ。
敵が逃げても矢で射殺す自信があるし、ノックスに向かって来るなら手間が省けて嬉しいほどだ。
だが標的全てを見つける自信はない。
森は海のように広く、いくら冒険者でも8人では探しきれない。
(うわっ、怖い顔)
コルリスはゴブーナをちらりと見て後悔した。
獲物が育つのを喜ぶ顔にしか見えない。
「サマエラさんの側に追い込もう! ノックスさん!」
コルリスは射撃を要請しつつ会話を行う。
(大丈夫、ゴブーナさんは暴れてないよ。魔獣を1頭追い込むから……)
気配に気付く。
アリ魔獣という脅威が減ったことに気付き、森の害獣が現れ冒険者を遠くから見ているのだ。
「参りましたね」
単独なら敵ですらなくても、魔獣と戦っているときに乱入されると危険ではある。
ノックスは数本の矢を放ってその数だけ死体を増やした後、かなり離れてしまった魔獣を追っていった。
●
緑の気配で他が圧倒されている。
ゴブリアは耳を頼りに敵の動向を探り、位置感覚と鍛えた足腰を活かして迎撃に成功した。
エーテルを纏う妖刀が振るわれる。
鉄の刃はなくても破壊力は十分以上であり、物理よりは魔法に弱い装甲を貫通して魔獣の中身に深手を負わせた。
「敵地ということを甘く見たか」
戦果をあげたゴブリアが警戒を強めている。
1度探索したことを味方に知らせるための染色済ロープが、残骸として蟻型魔獣の装甲にひっかかっていた。
「片方だけが自由に動けるいかさまチェスですわね」
キャスターにしては珍しい軽装装備のバンビが、ゴブリアに守られている間に用意していた術を使う。
白い蛇を思わせる雷が地面を這い回る。
数は無数と表現したくなるほどで、膨大な障害物も関係なく戦場を支配して魔獣の移動速度を激減させる。
「これで五分」
敵が向かってきたので敵味方の距離が近いタイミングで使うことができた。
これなら敵がアーケインから逃れる前にこの1体は倒せるはずだ。
バンビの攻撃はまだ始まったばかりだ。
わざと行動を遅らせるのを止めて、全速で駆けて2体目に向かう。
無傷のアリ魔獣は一瞬驚き、しかしバンビなら突破できると勘違いした。
鉄の壁がにょきりと生える。
バンビを挽肉に変える可能性すらあった魔獣の歯が突き刺さり、しかし突破も破壊もできずに引き抜かれる。
霧状のエーテルが撃ち込まれて命中を下げられてしまい、魔獣はバンビに対する強烈な敵意を抱いた。
(時間がないか)
サマエラは覚悟を決めて攻撃優先の構えをとる。
敵の牙は鋭く、サマエラの重厚な防御すら貫く。
しかし撃退ではなく撃破を狙うなら、危険を承知で攻めるしかない。
鉄壁を迂回しようとした魔獣の前に立ちはだかる。
剣先のごとき歯は予想の通りに強烈で、攻撃優先の今のサマエラは浅くない傷を負ってしまう。
(この程度なら死にはしない)
朱殷の霊盾による防御から霊刀による攻撃に切り替える。
エーテルを帯びた刃はアリ魔獣の装甲には有効であり、攻撃優先にして増加した攻撃力がそのままアリのダメージに加算される。
猛烈な反撃がくる。
サマエラは回避は諦め盾で防ぎ、逆手に持ち直した霊刀の刃を深々とアリの頭に埋め込んだ。
獲物を仕留めるのは今だ。
本能で即断した魔獣がサマエラに食い付こうとして、にょきりと現れた鉄壁に邪魔される。
2枚目も非常に頑丈だ。
バンビは続いてアーケインテンペストを発動。
森という悪路に慣れたアリでも難渋する空間に変えた。
魔獣が苛立つ。
鋭い歯を酷使し、いくつか欠けるのと引き換えに鉄壁を破壊する。
そこには、直前のダメージがなかったかのように元気なサマエラが、輝きをさらに増した刃を手に待ち構えていた。
淡々と攻め、淡々と刃で突き刺す。
被害はサマエラの方が多いが、1度リヴァーオブヴァイタルで完全回復したサマエラの方が余裕がある。
しかもバンビも攻撃に参加しているのだ。
双方深手を負い血が流れても、魔獣の方が明らかに不利だった。
アリの足がそれまでとは代わった動きをする。
無理矢理後ろに向かって加速して、アーケインの効果が消えた土地から逃げ出そうとする。
「シルク! 連絡は任せた!!」
サマエラは声を張り上げ仲間に連絡する。
そして、盾を下ろして素早く詠唱を終えた。
魔矢。
特に威力が高いわけでもなく、単体の敵にしか効果のない、しかし射程は60メートルに達する攻撃術だ。
敵も味方も速度が出し辛い戦場では、60メートルという距離は戦場の端から端まで届くのと変わらない。
魔矢がアリの下半身に着弾。
見た目は小さな穴が開いただけでも中身への被害は深刻で、着弾は5秒に1度の頻度で延々と続く。
術者のサマエラはアリを追いながら撃ち込んでいるので、彼我の距離はなかなか離れない。
20秒もかからず、散々森を食い荒らしてきた魔獣の死体が地面に転がった。
●
「ゴブリアさん!」
シルク・メイプルリーフの声が響くと同時にゴブリアが斜め後ろへ跳ぶ。
直後に急進したアリ魔獣が、ゴブリアがいた場所の背後の木を一撃で破壊した。
「魔獣より害獣が気になるんですけど……ね!」
犬というより大型狼、猫というより純粋な肉食獣にまとわりつかれても、回避優先に切り替えたシルクならほとんど回避可能だ。
「ヒーリングオーラとサイドヒールです!」
輝くエーテル波動で自身とゴブリアを癒やし、速度優先で作った光の玉でゴブリアを治療した。
(逃げる気か)
動きの微かな変化から魔獣の意図を把握する。
妖刀「血啜」がエーテルを注ぎ込まれて微かにきしみ、燃えるような光をまとってアリの片脚を切断し脇に深い傷を刻む。
だがまだ生きている。
アーケインの稲妻が消えると同時に、急加速してゴブリアから一気に離れた。
「魔獣は魔獣で脅威なんですよね」
シルクは害獣の相手を諦め魔獣の予想進路へ向かう。
害獣達はシルクを追うのに集中しすぎて魔獣に気付けない。
犬が1頭上半身をズタズタにされてようやく気付けたがもう遅い。
(酷いものだ。放置すれば森が壊されかねない)
ゴブリアが駆ける。
シルクは高レベルヒーラーらしい高威力魔法攻撃で、魔獣に打撃を与えると同時にその意識を引きつける。
「後片付けを大変にしてっ」
魔獣の歯で傷を負い、白く健康的な肌を鮮血が伝う。
けれどシルクの集中は途切れない。
害獣の残骸が転がる地面の上で回避に集中。
魔獣からの攻撃をそらして回復術で傷を消して時間を稼いだ。
濃厚なエーテルが籠もった妖刀が、アリの背部装甲を破壊し神経と内臓を破壊し、かき回した。
ここまでしても魔獣は生きている。
生きる望みを無くしても、仲間のために外敵を殺そうとゴブリアに刃を向ける。
ゴブリアはダマスカス鋼の盾で冷静に防いで被害を軽減。
何度も魔獣の反応がなくなるまで魔法攻撃を繰り返した。
「次は」
ゴブリアは手のひらに残る感触に耐えながら、冷静にシルクへたずねた。
「難しいかもしれません。時間が……」
葉と葉の間に見える空を注視すると、いつの間にか夕焼けの色が混じるようになっていた。
●
魔獣と害獣の残骸を片付けた冒険者は、報告のためにエルフの村へ戻る。
「ゴブーナって人に会ったぜ。不思議な雰囲気の人だよな」
「独特、ですませていい人なんでしょうか」
大森林の伝令が、ギャメルの感想を聞いて表情をひきつらせた。
「なんといいますか作物を愛情をもって育ててる農家のおじさまの視線を彼女から感じる気がしますね。悪い人じゃなさそうですけど」
悪意がないからもっとタチが悪い人間がいることを、シルクももちろんよく知っている。
(随分と杓子定規に見える。秩序を重視する人格とは思えないが……)
最後まで警戒を解かないゴブリア達を、ゴブーナは遠くから満足そうに見守っていた。
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:標準8 / 6〜8人
2021年08月04日 08時40分14秒 公開
参加者
相談掲示板
参加予定のPCまちがった~。 即製ウォーリアのコルリスだよ、宜しくねー。
ゴブリン、ヒーラー。サマエラだ。 よろしく頼む。 とりあえず、どう手分けするか……からに、なるだろうか。 伝令の少女も含めれば、現状6人。最大が9人。 単独とはいえ強敵なので、最低3人を基準に、2~3手くらいに分かれるか? 戦闘面は、理想的には、 特に物理防御に長けた盾役と、魔法攻撃に長けた火力役が欲しい、か。 とはいえ生命値が突出していないなら、 破鎧砕など叩き込みつつの物理攻撃でも、削り切れる範囲かもしれない。 と、不審人物は…… 不審とはいっても、今のところ集落を守ってくれていただけだしな…… 明確に危害を加えられそうになれば別だが、私は特に手出しの予定はないな。
こんばんわー。 破鎧砕はあるよー、あたしの攻撃は原則魔法攻撃だし。 バンビさんのほうが、大火力だと思うけどねー。
No.4
シスターシルク 魔力で殴るのが得意な体力のある囮役と聞いて参上です。 ヒールも常備してますよ
シューターのノックスです。よろしくお願いします。 方針としてはサマエラさんに同意します。 不審人物に背後を刺されないように気をつけたいですね。
ヒーラーのギャメルだぜ。よろしくな! 3チームに分かれるんなら、ヒーラー3人は別々の方が良さそうか。 祭刀装備で前に出るか、杖装備で範囲魔法攻撃するかは、同じチームのメンバー次第だな。 漁夫の利狙いの肉食獣が地味にうっとうしそうだぜ。 不審人物は気になるけど、サマエラが言うようにこっちから攻撃する理由がねぇよなぁ。 あわよくば飴をもらいたいぜ! 戦闘後に徒歩一時間のエルフ集落に向かって、情報収集でもしてみるか?
ゴブリアだ。よろしく頼む。 不審人物については魔獣の相手が終わるまでは放置していいのではないか? 現状、敢えてそちらへも攻撃を加える理由がない。 蟻への対策が必要なのはもちろんだが、肉食獣も数が多いからこれへの警戒を怠るのは危険だと思うぞ。こちらの9人の戦力を均等割りに三分するのではなく、役割を分担させて各人の得意を活かすという手もある。
おお、満員だな。 ありがたい、あらためてよろしく頼む。 そうだな、肉食獣のこともあるので、あまりギリギリの戦いを行うと後が辛いやもしれない。 先に気付けているなら、それも勘定に入れて戦えば良いが…… 不意に現れた場合でも対処できる程度には、余力に気を付けたいところ。 役割分担での手分けと言うと、例えば『索敵役』『肉食獣対処役』『魔獣対処役』 みたいな、感じだろうか? ただ今回は捜索範囲が広い上、適宜役割持つ者が向かおうにも移動にも制限が掛かるからな。 広さをカバーしていこうと思うと、完全にチーム分けしてそれぞれの方向で捜索かな、と。 そう思ったのだが、何か意味を取り違えていたら、済まない……。 では不審人物の方は、対処の理由がない内は手を出さない、で良さそうだな。 交戦以外の形で接触したり、集落にて話を聞いてみるのも、良いと思う。 私も正直気になるので、何か情報でも引き出せないか、後で会話でもしてみようか。
うーん、発言伸びないね。 あたしテレパス取れるけど、2組に分かれて連携出来ないかな? 狩猟も取る~?
分担について、すこし誤解を招いてしまったようだ。すまない。 某が考えていたのは、壁と後衛火力、遊撃のような三班構成を考えていた。 壁・火力・回復の役割を三班それぞれに割り振るとなると、九人を均等に役割に当てる必要がある。それは難しいのではないかというのが理由だ。 役割ごとの班としておけば、多少班の間で人数が偏ったとしても対応はできるのではないか?
ふんふん。 索敵と移動力に長けた「遊撃」チームが、「壁」「火力」の位置まで敵を誘導。 依頼期間中に4体以上を達成するまで「遊撃」チームは戦線離脱し、再度索敵に向かう。 っていう認識で齟齬はねぇか? 何か読み違えてたら指摘してくれ。
No.12
では私は壁役としておいてください。 近くに居る方のヒールもしやすいですし
>テレパス 良い考えだとは思うのですが、射程が100mなので森の中での捜索となるとあまり向かないのではないでしょうか。 半数ぐらいがテレパスを持っていれば話は変わるのですが。 >班分け 確かに三班に分けるのは難しそうですね。 ただ、壁と火力が分かれて動くことは無いでしょうから行動単位のまとまりとして本隊としても良いと思います。 しかし遊撃班が敵を見つけて誘導するとなると遠くの敵であればあるほど誘導に時間が掛かってしまうのではないでしょうか。 代案として本隊が森の浅いところから捜索と撃破を行い、その間に遊撃隊が森の深いところで捜索するというのはどうでしょうか。 エーテルリンクを使えば捜索班の情報を確認出来るので広い範囲での行動が出来ます。
ウォーリアのアルベルト=V=シュタールシュヴェーアトだ。 よろしくな。 俺は、近接攻撃特化だが壁役として行動しようか?
>連絡方法 テレパスほどくわしい情報のやり取りはできねぇが、楽器を合図に使うか? 敵がきたって合図に鈴を鳴らすとか。 >シルク、アルベルト 壁役ありがとうな! 頼りにしてるぜ。 >班分け 今出てる案だと、オレは「壁」か「遊撃」が向いてそうだ。 オレより防御面が安定したメンバーは多いから、「遊撃」の方が良いかな? 遊撃の場合は移動力確保の都合で武器が貧弱になる。ほとんど攻撃せず全力移動で敵を引き連れることになると思う。 役割的には「誘導」とか「囮」って表現の方がしっくりくるか。
分かれ方は二班でも三班でも、それ以外でも、 皆が分かれ易い形で構わないとは、思うのだが…… 私もまず、時間の方が気になるな……分担は、そこの短縮が目的なので。 遊撃と本隊の場合でも、何れにせよ戦闘自体は合流してからになるので、 敵が1体ずつ、広い範囲でばらけていそうな今回だと、 合流のための時間はやはり、それなりに掛かると思う。移動速度半減もあるしな……。 もう1点、遊撃が誘導する際だが、 遠方に行き過ぎると、先の移動速度半減から、合流前に敵に追い付かれる可能性もないだろうか。 敵もまた全力で移動してきた場合、こちらも相当に移動を確保せねば、厳しそうな……。 バランス感覚なりで緩和できるかもしれないが……未確定ゆえ、頼るのも少し怖い。 少なくとも、伝令の少女はそちらに回し難い気がする。 ただ、この形で決まったならば、その上で確りと尽力はしよう。 役割は……遊撃は何ともだが、壁と火力はどちらもほどほどには、行えるかと思う。
囮に出た時の行動を頭の中で考えてたんだけど、敵の動きによっては広範囲の森が荒れることになるかも? ってのがちょっと懸念点として出てきた。 エルフの人は不必要に森が荒れるのを嫌いそうだぜ。 色々と悩む要素はあるが、そろそろ班分けは決めとかないとキツイか。
なるほど、依頼時間の観点か。 活動期間に制限があるのは間違いがなさそうだが、その理由が今一つ分からないのがつらい。 移動が困難で、遠くへの見通しが悪いとなるとここの選択が非常に重要になりそうだな。 当初案の通り、各班で索敵と殲滅を担えるように分かれるとなると、班ごとの連携は出来ない可能性がある。 一方で、某が挙げた通り役割を明確にし、連携距離を保って索敵と殲滅を行う場合には探索できる範囲が限られる可能性がある。 依頼目標が4体以上の撃破とするならば、多少の被害を受ける危険は負った上で索敵範囲を広げた方がよいだろうか?
時間については恐らく、タイムリミット、というほど明確な区切りではないやもしれないが、 読む限りは、森が荒れ過ぎないように、と、魔獣の繁殖が始まらないように…… 今後を考えると、特に後者が大きいだろうか? そうだな、分かれて事に当たる場合、どうしても相応のリスクは発生しそうだ。 そこも踏まえてギルド職員も、分かれるなら十分に気を付けろ、と言ったのだと思う。 分かれた上で、なるだけリスクを下げるなら…… 痕跡さえ見付かれば、索敵は難しくなさそうなのと、 私含め、壁役も可、が4名いるので、 単純に、壁役×2と火力役×2の二班構成ならば、少なくとも簡単には押し負けないと、思う。 と、そろそろ決めねば危ういのもそうだな。 私はどちらかというと、リスク込みでなるだけ魔獣の数を減らしたいが、 そのあたり希望を伺えたら、幸いだ。
広範囲の索敵戦闘となれば分かれての行動は避けて通れませんわね。 途中邪魔が入る可能性も考慮するなら2班くらいが妥当と考えますわ。 確実に仕留める以上森も無傷というわけにはいきませんので状況次第だと思いますわ。
No.21
4人ずつに分かれて斥候役と班員の誰かがテレパスを持ってはいかがでしょう。 範囲外に出たら離れすぎということで 100M範囲なら誘導も何かミスった時のリカバリーも容易かと
No.22
一応私もテレパスの準備はしてあります
今の話し合いだと2班分けが良さそうだな。 オレはSPがなくて、テレパシーは習得できねぇ。他の人に頼むことになる。お願いしまっす!
>ノックスさん 意見ありがとです。 確認出来なかった間に、せっかくの代案が置き去りなってる_。 狩猟を置いて、バランス感覚持ったらあたしついて行けそう? 遊撃について、もう少しお話聞かせてほしー。
うん、時間が厳しいな。 暫定で、4人ずつの2班とするなら、で班分けを行うと。 壁役は、特に必要そうな物理防御を基準に、バランス良く分けて。 火力役は、コルリスに破鎧砕を所持してもらえるならば、物理火力と組むのが良さそうで。 伝令の少女は、もし共に来てくれるとしたら、 戦闘より索敵に長けるということで、シューターのいない方へ組み込むとして。 それでいくと―― A:アルベルト、ギャメル、ノックス、コルリス B:シルク、サマエラ、ゴブリア、バンビ、(伝令) こんな感じ、だろうか。 特に拘りはないので、他基準で分かれるなら、それに合わせよう。 と、班内で短距離通信としてのテレパスは、良いな。 多少でも、手分けを効率化して損はなさそうだ。 私も所持しているので、持って行こう。
ノックスさんのお返事聞きたーい >サマエラさん たぶんA班3B班5がいいんじゃないかな?? そしてA班には、ゴブーナさんにも参加をお願いして。 A班はね、バンビさん・ノックスさん・コルリスがいいと思うの。 バンビさんには及ばないけど、INIの関係ね。 あとはノックスさんが、エーテルリンク使ってくれるっていう話だし。 効果105点だけど、あたしもヒールできるよ。
ん……ゴブーナは意図も分からないし、頭数には入れず考えるべきかと思う。 もちろん、好意で手伝ってくれるなら拒絶しなくて良いとも思うが。
明日朝直せないと思うー。 A班バンビさん・ノックスさん・コルリス とゴブーナさんに要請って書いてる B班から100m弱先行して行動 敵発見時は連絡してから攻撃 敵単体ならチャージング破鎧砕 複数ならバンビさんのアクションお願いして チャージング闘気槌2 その後ノックスさんに追撃要請の感じ
いや、それは流石にゴブーナはおろか、 私達の中でさえ意図の統一ができていないので、拙いかと。 今、書かねばならないなら…… では決まり次第、私の方で班分けの配分や各班の方針は記載しておくので、 そちらは『サマエラの記載に準拠』あたりにしてもらって、 書く内容は、索敵や戦闘の具体行動等で埋めてもらうのは、どうだろうか。
うーん……ゴブーナをパーティメンバー前提とするのは……どうなんだろうな? めちゃくちゃ不審者って強調されてるぞ? そもそもゴブーナへの依頼料は誰が出すんだー!? ゴブーナが好意でタダ働きしてくれるってんなら、まぁ拒絶はしねぇけど……。タダより高いものはない、とも言うがな。 オレは壁役としてサマエラの班分けで動くつもりだ。コルリスには申し訳ねぇけど……。ごめんな。 サマエラはよろしくな、色々発案したりまとめてくれてありがとう。助かるぜ。 コルリスの班分け案には反対したけど、自分はシナリオでこう動きたい、っていう気持ちまでは否定できねぇとも思ってる。 コルリスがゴブーナに協力を持ちかけること自体は、オレに止める権利はねぇかな。 参加者同士で意見が割れても、なるべく各自の満足がいくようになるといいな。
>コルリスさん バランス感覚があればついていくことは容易ではあると思います。 しかし、私の想定する遊撃隊は索敵を主としたもので、現在進められている方針とは異なるものです。 現在は班を2つ作成し、それぞれが独立して捜索と撃破を行う認識です。
ギャメルは、ありがとう。 後半発言が増えてしまい、無理に進めていないかと、申し訳なさもあるが……。 なるべく各自満足いくようにと、その通りだ。私もそれが一番だと思う。 ひとまず、先に言った諸々の記載は朝方行うので、それまでは意見待ちにできたらと。 個人行動としては、テレパスでの通信と、バランス感覚も役立つようなら活用。 戦闘では壁になりつつ、回復と火力補助、手が空けば追撃にも動こう。 魔獣・肉食獣と一度に交戦した際などは、戦況を見つつになるが、 光縛封にて魔獣の一時隔離も、行えるようにしておく。
話アイに あまり来れなくて申し訳ありません。 サマエラ案が推されているようなので俺もそれに従いますわ。 コルリス様案だと逆撃を受けた際の立て直しが厳しそうなので。 又、正体不明のゴブ―ナ様は無視することを推奨いたします。 俺の行動としましては火力足止め担当として最速で敵を拘束支援しますので、 料理の方はお任せいたしますわ。
それでは、先の班分けと方針で記載しておこうか。 ゴブーナについては、私からは特にアクションは起こせそうにないな…… 何か行うも無視するも、どちらも正しく思う。お任せしよう。