【帝国】ヴェルターゼン奪還戦 新市街編
革酎
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シナリオID:1152
オープニング
帝国南部都市ヴィントは一大軍事都市である。
その周辺には衛星小都市、或いは衛星市街が環状に散在しており、そのうちのひとつが工房街ヴェルターゼンだ。ヴィントから見て東北東に位置し、半日程度、馬車で旧街道を突き進めば簡素な外壁に挟まれた街門に到達することが出来る。
帝国崩壊前のヴェルターゼンはその呼び名の通り、多数の工房が半数以上の路地にひしめき合う職人達の町であった。各種紋具工房や商業用道具工房、生活雑貨工房等の他、木材や金属材を扱う資材加工工房等も充実しており、この町そのものがひとつの巨大工房という様相を呈していた。
勿論食料を買い求めることが出来る市場や初等教育学級もひと通り揃っており、ひとびとは安定した生活を送ることが出来ていた。
人口はおよそ5000人程。小都市としては中程度の規模といえるだろうか。市街の中央を河川が貫通している為に生活用水の確保には事欠かず、地盤は強固且つ水はけの良い平地の為、市街形勢条件としては上等の部類に入る。
だが、市街そのものの構成は少々特殊だ。中央部は数十年前に区画が新たに整備され、新市街と呼ばれるようになった。この新市街には工房職人の中でも師匠クラスの熟練者が多く住み、また一方では工房経営者、或いは帝国の役人等が多く住んでいた。工房の所在地も、大半がこの新市街に置かれている。
一方、新市街を囲む形で旧市街が外縁部を形成している。こちらは下級職人や農耕従事者、一般の商店経営者等が多く生活しており、昔ながらの下町の風情が残されていた。
新市街と旧市街では町並みの構造そのものが著しく異なり、新市街は整然、旧市街は雑然という言葉がぴったりと当てはまり、実に対照的な光景を見ることが出来た。
だが帝国崩壊直後、このヴェルターゼンも他の都市や町と同じくクリーパーや魔獣の侵攻に見舞われ、今は無人のゴーストタウンと化している。
そこでヴェルターゼン奪還の為に立ち上がったのが、ロモズ歩兵団であった。
ヴィント奪還戦を契機に、帝国南部各地でその他の小都市や町、村、集落といった生活圏の奪還戦が相次いでいる。ヴェルターゼン攻略も、それら生活圏奪還戦の一環として進められる運びとなった。
●奪還計画
旧街道からヴェルターゼンを望む小高い丘の上に攻略拠点を置いたロモズ歩兵団は、幾つもの天幕を張り、ここを臨時駐屯地として運用することにした。
中央の天幕が指令所とされ、ロモズ歩兵団長リーヴァー・シュランドル帝国子爵が常時詰めている。
その傍らには専属秘書カレンディアの姿もあった。
「ウォレス伯爵への連絡はついたか?」
「はい。伯爵閣下からは麾下の私兵団をヴェルターゼンに派遣し、周辺のクリーパーや魔獣等の一掃に動いて下さる旨のご回答を頂いております」
ウォレス伯爵からの返書を読み上げるカレンディアの声を受けて、リーヴァーは満足げに頷いた。
次いで、その視線が指令所の中央に陣取る大卓上へと落ちた。
「新市街は街路も整備されているし、各区画面積も広い。となると中型クリーパーが徘徊していると見た方が良さそうだな」
大卓上に広げられたヴェルターゼン見取り図の新市街部分を、リーヴァーは手にしたペンの柄先でこつこつと軽く叩いた。
「重兵と弓兵を多めに投入した方が良さそうですな」
大卓の対面から図面を覗き込んでいるのは重兵2番隊長のアーギス・マーレイ。新市街は頑丈な建物も多く、少々派手に暴れたところで損壊等の被害が出るのは少ない、と見ている。
「逆に旧市街は路地が複雑に入り組んでいる上に、古い建物が多い。乱戦には不向きだな」
遊兵1番隊長ディーグ・ディオロンが丸太の様な豪腕を組んで、低く唸った。旧市街では遊兵を主力として投入した方が良さそうだ、と野太い声で続ける。こちらは恐らく小型クリーパーが多数徘徊しているだろうから、局地戦的な市街戦になることが予想された。
ここでリーヴァーはカレンディアに振り向いた。カレンディアには国境付近の町カーケルスの冒険者ギルド支部で、ヴェルターゼン奪還戦の為に冒険者の援軍を募らせておいた。
「まだ多くの冒険者が検討中とのことで、明確な参戦回答はありません」
「まぁ良いさ。作戦開始までに駆けつけてくれれば、それで良い。歩兵団各隊長及び副長、臨時兵長にも召集はかけてあるな?」
それは勿論、とカレンディアは頷き返す。尤も、彼ら全員が招集に応じる必要は無い。新市街も旧市街も、歩兵団の全兵力を投入出来る程の広さは無い。いずれも多くて10~15個部隊までだろう。
「攻略順は旧市街からだ。まずは外堀を埋める。新市街はその後だ」
新市街攻略戦の作戦開始時間は、旧市街攻略戦開始から数時間後。時刻にして正午辺りを想定している。
旧市街を攻める部隊は街門前での集合だが、新市街攻略部隊は旧市街の戦闘を横目に見ながら一気に新市街付近へと突入し、その入り口となる工房通り西区画前に集結することとなる。
「旧市街攻略戦がある程度落ち着いた頃合いからの作戦開始だ。一部の者には連戦になるかも知れないだろうから、少々キツくなるぞ」
リーヴァーの厳しい表情に対し、アーギスは分かってますよとばかりに肩を竦めた。
解説
マスターより
リプレイ
工房街ヴェルターゼンの中央部を形成する新市街。
碁盤の目の様に整然とした大通りが幾つも交差する比較的規模の大きな都市部で、大邸宅や工房が集中している区域だが、規則的な配置はあらゆる意味での余裕を感じさせる。
そんな中にあって新市街最西端に当たる工房西区では、爬虫類を思わせる六本足の中型クリーパーがロモズ歩兵団を相手に大立ち回りを演じていた。
その初期配置から西獣と呼ばれるそれは、工房西区の広い噴水公園で何故か激しくもがいている。走り回ろうにも、同じ位置から余り動くことが出来ない。
「そのまま、じぃっとしておいでなさいな!」
縦ロールの金髪を上下に揺らして甲高く笑いながら、バンビは更に別の術式を恐ろしい速さで完成させ、西獣を魔霞の中に包み込んだ。
近隣の建物の屋上には、弓兵の姿が見える。彼らはいずれも弓兵2番隊員だ。隊長ジェフ・ディアーと副長リディリディ・トゥラ・イェレミースの両名が隊を半分ずつ受け持ち、ディアー班が西獣への集中射撃、リディリディ班が他の中型クリーパーへの警戒を担当していた。
「私は今回、フォローに徹しますので……皆さんが実戦経験を積むことも、目的のひとつですし……」
勿論、リディリディ自身も副長としての経験は積みたい。そこで行軍がスムーズに進むようにという目的意識を持った上で俯瞰位置からの視点情報を隊員達に伝え、重兵3番隊との連携タイミングと射撃配置、別個体への足止め対処等は自ら率先して指揮を執ることにした。
高い位置に於ける弓兵配置は、リディリディとディアー隊長の指揮で滞りなく進められる。その一方で地上の攻撃主力は主に遊兵二個部隊と重兵一個部隊が受け持つことになった。
西獣から見て左手側には、遊兵3番隊長サフィラ・アズラク・ナハルハルアリーブ率いる第一分隊が、逆側には同副長ドゥバ率いる第二分隊が配置を終えている。
「ドゥバっちも配置に着いたね……」
手信号で両分隊に最初の攻撃目標を素早く伝えてから、通りを突き進んでくる重兵三個部隊と遊兵一個部隊の突撃に視線を転じた。
その先頭には重兵3番隊長、ひと呼んで壁エルフのお姉さんことコルネリウス・アーラの姿が。その左右には高い防御力を誇る重兵10番隊長サマエラ=フォリウムと、攻撃力に優れた重兵2番隊長アーギス・マーレイの姿がある。
「私とサマエラさんで最初の一撃を受け切ります。アーギスさんは反撃の戦斧を」
「おぅ、心得たッ!」
頷き返すアーギスから、今度はサマエラへと視線を返すコルネリウス。西獣は耳障りな雄叫びを上げながら間合い内に突進してくるコルネリウスとサマエラに鋭い鉤爪を振り下ろした。
だがその直前に、サフィラ分隊の近くで待機していたミツキ・アインホルンの術式が発動し、西獣の体表を覆っている硬い鱗がばらばらと剥がれ落ちていった。
「私は相手の長所を打ち消す……それで皆が高いパフォーマンスを発揮出来るようにするわ」
西獣への突撃開始前に、ミツキはロモズ歩兵団の主だった面々に告げていた。
魔術は火力こそ大きいが、立て続けに放てばいずれ出がらしになる。だが物理攻撃には使用回数上の限界は無い。ならば敵の防御を根こそぎ奪い、前面に立つ戦士達の補助に徹する方が得策だ、と考えたのである。
その方針からまずは西獣の全身を覆う硬い鱗を剥ぎ取った。敵の防御は目に見えて落ちている。それでも西獣は構わずコルネリウスとサマエラを同時に叩き潰そうと、鉤爪を鋭い勢いで振り下ろしてきた。
●西獣撃破
「さぁ、やってみろ。出来るものならな」
サマエラの挑発が通じたのかどうか。西獣の鉤爪はサマエラの盾と鎧に大地を響かせる程の衝撃を与えたが、しかしサマエラは倒れない。コルネリウスがサマエラと並んでこの一撃を受け止めた為、破壊力が双方に分散していた。
ふたりは恐ろしい一撃に、耐え切った。バンビの魔術効果で急所への打撃を上手く躱すことが出来たのも大きかったが、ふたりの隊長がクリーパーの強力な破壊力に真っ向から立ち向かい、完全に受け切ってみせたという姿は歩兵団員達に勇気を与えた。
西獣は渾身の力を込めて初撃を放った為か、次なる動作に向けての出だしが遅い。この隙を見逃す歩兵団ではなかった。
敵の左右に控えていた遊兵3番隊が一気に突撃を仕掛けた。狙いは、後ろ足。直立歩行だろうが六本足だろうが、前足で攻撃を仕掛ける際には腰に近い位置の足で踏ん張りを利かせることが何より重要だ。
「バランス崩すよッ!」
サフィラの号令直下、遊兵3番隊は怒涛の勢いで西獣の後ろ足二本をものの十数秒で破壊した。腰砕けとなった西獣は重心が後ろに傾く。巨大な尾が地面に横たわった。
「喰らえ! 必殺! テイルチョッパー!」
熱気を伴うサフィラの咆哮。だが西獣の尾の付け根を狙って放たれた彼女の一撃だけでは、完全切断には至らなかった。
そこへ――。
「助太刀する、よ」
飛来する角弾を全力で躱しながら、遊兵7番隊長ティトが駆け寄ってきた。二刀流に構えた刃が交差する様に一閃し、尾の付け根に更なる打撃が走る。
半ばまで切れかかった巨大な尾がこの時初めて、反撃の気配を見せた。
「薙ぎ払い、来るよッ! 皆、気を付けてッ!」
サフィラの警告を受けて、他の遊兵達と共にティトも素早く後退する。だが巨大な尾は結局、機能することはなかった。それまでに蓄積した打撃を無視して無理に歩兵団員達を薙ぎ払おうとした為、繋がっていた組織が耐えられなかったのだ。
巨大な尾が体躯から離れて、ぼとりと落ちた。
その直後、無数の矢と共に極大に近い爆光の破壊波が西獣の体躯を包み込んだ。
後方に控えていた重兵3番隊副長イズレンディル・パラリムが、ここが勝機と読んで弓兵達と共に火力を集中させたのである。
そして、西獣はその場に突っ伏した。その巨大な体躯は瞬く間に塵と化し、照りつける陽光の中で影朧の様に消え去ってしまった。
●苦戦開幕
次に狙うのは、比較的近い位置に居る南獣である。
攻略部隊は東側に陣取る二体のクリーパーに悟られないようにと、なるべく音を消し、気配を殺して新市街南側の邸宅区へと移動を開始した。
その道中、ミツキが全体の作戦指揮を執るイズレンディル、防御の要であるコルネリウスとサマエラ、攻撃主力のサフィラ、ティト、リディリディといった面々に積極的に話しかけた。彼女は連携や配置についての再度の認識合わせに余念が無かった。
元帝国軍人として都市奪還への想いは非常に強いミツキ。
だがロモズ歩兵団とは日頃から余り縁が無い為に、この作戦に於いても客将という立場でしかない。
歩兵団の隊長副長同士ならば言葉を交わさずとも互いの腹は読めるだろうが、ミツキは声に出した上での会話でなければ、彼らの考えは完全には理解出来ないと考えていた。
そこでミツキは現状の理解レベルを一致させることで複数の想定パターンを伝え、連携精度を向上させることに努めた訳である。
「基本線は、作戦開始前にお話しした通りです」
イズレンディルの穏やかで静かな声には、武勇ではなく知将の響きがある。常にコルネリウスや隊員達の安否を最優先に考え、同時に作戦成功の鍵となる状況分析を進める冷静さが強みだ。
しかもイズレンディルには、勝負所で敵の息の根を止める極大火力の魔術という切り札がある。他の誰を差し置いても、このイズレンディルとだけは明確に意思の疎通を図るべきだというのがミツキの判断だった。
ミツキは新市街攻略戦に於ける友軍の利点と不利点、一体ずつ攻略する際のリスク、作戦の肝について問いかけてみた。これに対しイズレンディルの方針は極めてシンプルだった。
「一点集中、即時攻略ですね。他の個体による妨害はひとまず足止めによる寸断。これ以外にあり得ません」
愚直な程の分かり易さ。だが集団を率いるには、この単純明快さが何より大事なのだ。
ならば、余り深く考え過ぎるのは却って拙いか――ミツキの思考がある程度固定され始めたその時、先行偵察に出ていたティトと遊兵7番隊が引き返してきて、南獣の現在地を告げてきた。
「居た、よ。共用運動場だ、ね」
各隊の隊長と副長達を呼び集め、ティトが広げた地図に南獣の現在地とそこに至るまでの複数のルート候補を指先でなぞる。
最初に動くのは弓兵2番隊だ。高めの位置を確保しなければならない。次いで支援魔術担当のバンビとミツキがそれぞれの配置を確認する。共用運動場には障害物が無い為、早い段階で足止めと弱体化を仕掛ける必要があった。
「今度の足止めは、私も一緒に仕掛けます……場所、かなり開けてますし……」
「それは有り難いですわ。これで開幕から遠慮無くタイダルの一発でもぶちかまして差し上げられますし」
リディリディの申し出を受けて、バンビは嬉しそうに笑った。矢張り地道な支援ばかりでは少し退屈していたらしい。
かくして弓兵2番隊は半月状の配置へと走った。会戦でいえば鶴翼陣形に近い射撃位置である。真っ直ぐに射線が通る為、上空を経由しての放物射撃は無用だった。
対南獣戦では、然程に苦戦することは無かった。
もともとの戦闘区域が広かった為、ロモズ歩兵団側も十分に機動力を発揮することが出来たし、弓兵や魔術による火力投入に於いても視界が開けている為に何の支障も無かったからだ。
だが、終盤になって問題が発生した。
半東獣が対南獣戦の最中に、共用運動場へ接近して来る姿が見えたのである。ここから、ロモズ歩兵団と冒険者達の苦難が始まったといって良い。
●全個体討滅
遊兵3番隊サフィラ分隊、同隊ドゥバ分隊、そしてティト率いる遊兵7番隊が遊撃的に左右後方から一撃離脱での波状攻撃を仕掛けている最中。
屋根上のリディリディが半東獣接近の報を流した。
「ここは任せろ。重兵3番隊は半東獣の足止めに向かってくれ」
サマエラの申し出を受けて、コルネリウスは配下の隊員達と共に半東獣の足止めへと向かう。元帝国軍人のふたりの班長がコルネリウス支援の為に付き従ったが、彼等とて、この時点ではまだ事態はそこまで重くはないと踏んでいた。
「クリーパーなんぞに主導権を握られるなんて真っ平御免ですのよ」
バンビも足止めへと走る。獰猛な勢いで大通りを駆け抜けて来る半東獣の鼻先に鉄壁を召喚し、盛大な正面衝突を誘発させた。半東獣は一瞬怯んだもののすぐに勢いを取り戻し、共用運動場への急速接近を再開した。
リディリディ率いる足止め担当弓兵班が屋上伝いに半東獣の侵攻ルート脇へと走り、頭上から鏃の雨を降らせたことで漸く、その進撃速度が弱まった。更にリディリディも魔術を駆使して半東獣の足を止める。
ここで更に想定外が生じた。東獣までが南獣撃破戦、半東獣の足止め戦に誘発されて共用運動場へと向かい始めたのである。
三連戦は流石につらい。だが、迫ってくる以上は対処しなければならない。
「総員、攻撃に転じろ。こいつの攻撃は私が一手に引き受ける」
サマエラは回復術を最大限に駆使して、自らを単独の盾役とした。一瞬でも早く南獣を仕留める為には、重兵10番隊も攻撃火力に加える必要があったからだ。
「弱点箇所の看破どころではないな……来い、全て受け切ってみせる」
部下達には薙ぎ倒し警戒の為にと過度の密集を避ける指示を出しつつ、サマエラはひたすら敵の攻撃を受け続けた。
一方、半東獣足止め戦でもコルネリウスがふたりの班長達と共に鉤爪と牙による攻撃を耐え忍んでいる。そして新たに接近して来る東獣に対してはバンビとイズレンディルで鉄壁を形成し、一時的な足止めとした。
南獣はミツキの徹底した弱体化支援とサフィラ、ドゥバ、ティトらの活躍と弓兵の集中射撃で何とか仕留めることが出来た。だが当然ながら休憩時間など取れる筈も無い。彼らはすぐさま半東獣への対処に廻った。
しかし流石に、サマエラはすぐには動けなかった。
半東獣に対してはバンビとイズレンディルがありったけの魔力を投入して早期討伐へとこぎつけた。東獣が加わる前に斃し切ることが作戦成功の絶対条件だった為、ここで火力の出し惜しみをしている場合では無かったのである。
そして残るは、東獣のみ。後はここに全兵力を集中すれば良かった。
「この個体で最後ですが、皆さんどうか無理はされないように。班長さん達も頼りにしています。無事、この街を奪還しましょう」
コルネリウスが気力を振り絞って呼びかけた。
イズレンディルもかなり消耗していたが、ここが踏ん張りどころだ。
「コルネさん、頼らせて頂きますが……怪我はされないよう、無理なら退がって下さいね」
東獣正面へと走り込むコルネリウスに対し、イズレンディルは回復施術を集中させる。何が何でもコルネリウスを守り切る覚悟だ。
そこへサマエラが戦線に復帰してきた。残り一体となった以上、少々辛くても気力でカバーするのみだ。
サフィラ、ドゥバ、ティト、リディリディ、ディアー、アーギスらは全攻撃力を一点に注いだ。東獣の様々な攻撃力に対し、半ば防御を無視しての極端な攻撃偏重戦術である。
大勢の負傷者が出たが、それでも構わず、ひたすらに攻め続けた。
少なくない数の兵が次々と倒れる中――歩兵団と冒険者達の数を頼んだ集中攻撃で、遂に斃し切った。
東獣討伐直後、サフィラは仲間達に無理をするなと説教するつもりだったが、やめた。今回ばかりは無理をしなければ打開出来ない局面だったからだ。
バンビも、弓に矢をつがえた姿勢のままでその場にへたり込んでいた。魔力を使い切った後は弓兵として頑張っていたが、流石に最後は危なかった。
「中型相手の物量戦では、余り深いことを考える余裕は持てなかったな」
作戦開始前は色々と考えを巡らせていたサマエラ。だが結局はイズレンディルが宣言した様に、細かいことよりも明確な大方針の方が重要であることを、今回改めて実感した。
それでも、何とか全ての敵を斃し切れた。コルネリウスは細かな指示を出しながらの盾役に肉体と頭脳をフル回転させていたし、イズレンディルは作戦全体を統括しつつも主火力の一端として精神を削り続けた。
サフィラとティト、リディリディ、そしてバンビも支援と主力の役割を時々に応じて切り替え、臨機応変で対処した。気力が持ったのが不思議な程であった。
「これはまた随分と死にそうな顔ばかりだな」
しばらくして、団長リーヴァー・シュランドル子爵が勝利の祝いと、激戦を労う為に姿を見せた。
確かに、皆一様に疲れている。だがリーヴァーの次のひと言で、彼らの苦労は多いに報われた。
「ご苦労だった、諸君。旧市街に続き、新市街の攻略戦も成功だ」
ヴェルターゼン奪還行程は、遂に軌道に乗り始めたのだ。
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:標準8 / 4〜8人
2021年07月19日 00時23分46秒 公開
参加者
コルネリウス・アーラ
ミツキ・アインホルン
- イェレミース トゥラ リディリディ
イズレンディル・パラリム
サフィラ・アズラク・ヴォルファング
バンビ
サマエラ=フォリウム
ティト
相談掲示板
にゃ!ロモズ歩兵団遊兵三番隊隊長のサフィラだよっ!よろしくねっ! 今回は中型クリーパー四体とガチンコ勝負って感じだねっ あたし達は街の北から進入して三方のクリーパーと対峙する形になるのかなっ?(かくり)
重兵3番隊長、ウォーリアのコルネリウスです。宜しくお願いします。 敵の配置がないのは北のようですが、入り口となる工房通り西区画前に集結、とありますので入るのは西からかと思っていました。 それぞれバラけた箇所に居るようですので、邪魔が入らないよう順繰りに対応するか、手分けして対応するかなどの方針を決めたいですね。
ハイスピードキャスターのバンビですわ。 ただの傭兵ですので、どなたかの下で戦うことになりそうですわ。 手分けするにはいささか手ごわそうな相手ですので、1隊か2隊で当たるのがよいかもしれませんね。
キャスターのミツキよ。よろしくおねがいするわ 中型相手に分散は危険だと思うわ。 準繰り対応が妥当かしら。 勿論不意をつかれたりしないよう、相手してない個体の位置の把握はしておくべきだと思うけど……。
重兵3番副長のイズレンディル・パラリムと申します。 宜しくお願いしますね。 初期位置は西区画前、ですから私も西の認識ですね。 私も基本的には順繰りの対応が良いかと思っております。 懸念は敵の動き方ですね。 初期位置付近に留まって頂ければありがたいのですが、全敵が接近してくるということもあり得ますので。 敵が動かないのであれば、全員で1体にあたる。敵が接近してくるようであれば、主力の攻撃班と足止め班で分担して1体ずつ倒していく形が良いのかなと思っております。
ゴブリン、ヒーラー。重兵10番隊長、サマエラだ。 よろしく頼む。 視界も戦闘区域も開けているということで、連携取るに問題ない広さがあるのなら、 私も全員で1体に対応し、近い個体からでも順繰りに片付けてゆく形が良いと思う。 薙ぎ倒しが範囲攻撃のように見えるので、兵の密集には少々気を付けたいところだろうか。 対応中以外の敵の動きについては、確かに寄って来られるとかなり厳しいな……。 遠隔攻撃もあるならば、その範囲に主戦場が含まれるまでには止めておきたいので、 分担していざという時の足止め役も用意しておくのに、賛成しよう。
No.8
弓兵2番隊の副長となっているリディリディです。 あ、あの・・・、よろしくお願いします。 本来中型は1体で授恵者5名から10名で相手をするのが常ですからね。 バラバラになるとスキルも体力も尽きてしまう心配があります。 ですので、私も全員で1体ずつ相手にするというのに賛成です。 それと、中型以上のクリーパーは基本的に群れはしないとは思いますが、新市街という1区画にクリーパーが4体も居るので、なんらかの協力体制を組んでくるというのは可能性に入れるべきでしょうね。 複数のクリーパーが現れた際に足止めが必要ならば、私を含めた弓兵2番隊が対応します。 フォリウムさんも心配されていますが、味方への誤射というのは避けたいですから、弓兵で足止めするのが無難でしょうし。
シーフのティトです。よろしく、ね。 むっ、遊兵でも後方の防御で役に立てるかと思った…けど、ちょっと難しそう、だね。 部隊のみんなにはお留守番しててもらおう。 一体ずつ相手にするのは了解した、よ。 そうだね。同種そう?だから、なんらかの連絡手段があってもおかしくなさそう…だね。
そうですね。分担と言ってもバラけるのは適切ではないと思いますので。 現状出ている様に、基本は順繰り倒していきながら状況に応じて攻撃と足止めで対応というのは、私も異論ありません。 サマエラさんの仰るように兵の密集についても注意したいです。 重3隊の具体的な動きはまだ検討中ではありますが、足止めなど防御を中心とした動きで考えていますので、前衛としての抑えやカバーは行う予定でいます。
すみません、暫く慌ただしくなってしまい間が開いてしまいました。 では、「全員で1体に対応して順に撃破。他の敵が接近した場合は少数の隊で足止め」の方針で大丈夫そうですね。 後は役割の分担をどうするか、ですね。 主力班と足止め班、とひとまず呼ばせて頂きますね。 >主力班と足止め班の分担 総戦力は10~15隊ですので、足止め班は3~5隊ぐらいで良いかなと思っております。 足止め班は…リディリディさんと弓兵2番隊に手を挙げて頂いていますね、是非お願い致します。 基本的には射撃で足止めとして、接近された場合の対策として重兵も備えておきましょうか? NPC重兵隊だけでも良いですし、重兵3番隊が入るのも良いかなと思います。 >コルネさん 上記の通り、重兵3番隊で足止め班に入るのも良いかなと思いまして。いかがでしょうか? >敵の薙ぎ倒し対策 集団戦だと攻撃の受け方も通常の戦い方とは勝手が違ってきそうですよね。 授恵者は単体で問題ないと思うのですが、歩兵団の隊員には数人がかりで盾を構えて受ける、等の動きがあると良いかもしれませんね。
ああ、方針はこれで決めて問題なく思う。 足止め班の方、接近されてしまった場合に重兵を備えておくのも、了解だ。 重兵は2隊ほどが担当し、消耗具合に応じてスイッチするのもありかと思ったが…… 集団戦について考えるのは不慣れゆえ、運用し辛い提案だったなら、済まない。 重兵10番隊は、主力班と足止め班どちらでも問題ないが、どちらにしても、 コルネリウスに同じく、前衛で防御主体の動きにしようかと思っている。 個人行動の方は、足止め班の場合は同様に、防御・回復に集中。 主力班の場合は、合間合間に破鎧砕あたりで支援もできればと、考え中だ。 薙ぎ倒しは、往なせたなら良いのだが、これだけの集団だとある程度には当たるものな…… 塩梅が難しいが、やはり過剰に巻き込まれるのも避けられたらと思うので、 戦いながらでも、「この人数なら受けられる」との見極めを続けて、 陣形調整なり、行っていくべきだろうか。
一体ずつ倒していくのと 足止めと主力に分けるの了解だよっ! なら、遊兵三番隊は主力に行こうかなっ。重兵隊が引き付けてる横から殴る感じで動くよっ! しっぽの薙ぎ倒しもだけど、角飛ばしてくるのも厄介だよねぇ しっぽを切り落として薙ぎ払いを封じた上で、近距離からふるぼっこにするのが安全かなぁ?
負担が集中しすぎないことも大切ですし、消耗が大きければしたらローテで動く事も含めて主力と足止めの比率についてはイズさんの案で良いかと思います。 >イズさん そうですね、重3隊については足止めに回る方針で私は問題ありません。隊の先頭には私が立ちながら、指揮を行いますね。 >サマエラさん 重兵10番隊に防御に回って頂けるのは非常に助かります。 足止め、主力どちらでも頼もしいです。 >敵の薙ぎ倒し対策 そうですね、尾が切り落とせたら良いのですけれど、難しい場合には既に出ているように、耐えきれる人数を見極めながら陣形を組み、授恵者が主体となりつつ隊員達のダメージを軽減出来たらと思います。
>コルネさん、サマエラさん では重兵3番隊で足止め班を担当しましょうか。 サマエラさんと重兵10番隊には主力班で防御主体で動いて頂けると助かります。 消耗具合で前後のスイッチは行いたいですね。 隊単位でも良いですし、負傷者は一旦後ろに下がる、等でも良いかと思います。 受け止められる人数を見極めるのも賛成です。 >攻撃対策 尾の斬り落としが出来ると大きそうですね! 角は弓兵に飛ばされるのが厄介そうで…遊兵が攪乱したり、一部の重兵は弓兵を護ったり、といった形が良いでしょうか。 >射線確保 弓の射線を確保するために、弓兵隊は左右に展開した方が良いかもしれませんね。 集中攻撃が出来る体制を整えて他の敵が動く前に倒したいところですので…。 提案としてプレイングに記載してみますね。 >方針 隊分けの方針は私のプレイングに以下のように記載しておきたいと思います。 何かありましたらご指摘頂けると助かります。 *** +方針 主力班と足止め班の2班体制 1体ずつ順に撃破 全隊の集中攻撃で他敵接近前に迅速に撃破 戦闘中に他敵が接近した場合は足止め班が敵を足止め ***
No.16
>重兵3番隊で足止め班 そう・・・、ですね。 私は今回弓兵2番隊の指揮で動く手筈で・・・、あとはBSの付与など、フォローの行動で攻撃は隊員に任せようかと思っています。 ですので、いざという時にカバーして下さる重兵の皆さんが居て下さるのは正直有り難いです。 >射線確保 お申し出は有り難いですが、こちらは問題ありません。 射線が塞がれるようでしたら、放物線状に射掛けますので。 以前にえっと・・・、カルケリウスの廃坑ででしたか。そこで実用出来ていますし。 字数を割いて頂くのは申し訳ないです・・・。
>射線確保 動きの提案は、NPCのみの隊についてですね。 PCの隊に関して私が口出しするの変な話ですのでお任せするつもりです。 放物線状に射掛けるのが問題ないようでしたらその方が良さそうですね! では、他のNPCの弓兵隊についても放物線状に射掛ける提案だけ入れておきますね。
了解だ、それでは重兵10番隊と共に、主力班に向かおう。 こちらの方が付き次第、なるだけ急いで参戦するので…… 敵接近時の足止め班の守りについては、重兵3番隊に、どうかよろしく頼む。 ああ、敵の射線は塞ぎつつ、味方の射線は空けたいな…… 後ろを庇う位置取りもしつつ、弓兵の攻撃に合わせて身を屈めるようにも、してみようか。 放物線状に撃つなら不要かもしれないが、もし多少なりとも連携し易くなりそうであれば、 私もNPCの重兵へ、提案してみよう。(文字数的にも大丈夫そう) 方針の記載、感謝する。問題なく思った。 その内容に従うよう、初めに一文入れておこう。
イズは方針の記載ありがとうなんだよっ! 遊三は二方面から撹乱して、角が飛ばされないように動いてみるねっ! しっぽの切り落としは破砕鎧で防御落としながらタナトスバイトで切り落としてみるねっ! >射線確保 にゃ!事前に合図か何か決めておくと、NPC弓兵隊が射撃するときに動きやすいかも?
ん、それでは取り急ぎ、破鎧砕があるならば、私の方は破脚砕に変更しておこうか。