大食い獣の宝物

九蓮宝燈

コメント 16

シナリオID:954

オープニング

●鈍重な獣と勇敢な少年
 リブラネスタにほど近い森に、とても長生きな魔獣が住んでいた。
 魔獣は人の間では、発見者の名をとってカービィキャトルと名付けられた種で、かつては数多くいたが乱獲により数を減らした生き物だ。
 大きな体と分厚い脂肪。毛足の長いもふもふの毛皮。そして優しく大飯食らいなのが特徴だ。
 そして外見からはわからないが、喉に囊(ふくろ)を持ち、口を通してモノをそこに貯蔵できる。

 このカービィキャトルは番(つがい)も持たず、たった一頭で長い長い年月を生きていた。
 あるとき、カービィキャトルは一人の物怖じしない少年と知りあった。
 人間とは、カービィキャトルの肉や毛皮を見ると目の色を変えて襲ってくるものだが、少年にはそれらの価値はわからなかった。
 それよりも、大人しく、自分を背中に乗せてゆっくりと歩いてくれることのほうが大事だった。
 カービィキャトルと少年は友となり、毎日日が暮れるまで遊んだ。
 少年は覚えたての文字でカービィキャトルと自分の名を板に書き、カービィキャトルのねぐらに釘で打ちつけた。これは二人の友情の証だった。

 しかしいつしか少年はカービィキャトルを訪問しなくなった。
 人にとっては長く、カービィキャトルにとってはそうでもない年月が過ぎた。
 釘は錆びて朽ち、名札は地に落ちた。カービィキャトルは名札を喉囊に大切にしまった。

 そしてカービィキャトルは決めた。
 少年を探しに行こうと。

●道を塞ぐ腹ペコ魔獣
 リブラネスタから北に進路を取り、馬車で数日行ったところにある街、カンパリ市。
 そこの冒険者ギルドに「魔獣が道を塞いでいて困っているので、どうにかしてもらいたい」という依頼が舞い込んだ。

 義足の受付嬢アルミレア・A・アンダーソンが現地へ出向くと、街道の切り通しのところに巨大な魔獣が座り込んでいるのが確認できた。
「なるほど、これは邪魔ね〜」
 切り通しの先には、ここを通らないと大変遠回りになってしまうという村がある。早くなんとかしないと流通が滞ってしまう。
「これはカービィキャトルね。珍しい……まだいたんだ。で、依頼内容は討伐ってことでいいのかしら」
 元冒険者であるアルミレアはその魔獣の種族名を知っていた。当然、能力も。倒すのに必要な人数と正当な報酬額を検討していたら、一人の老婆が介助者に腕を支えられながら進み出た。
「どうか、この魔獣を殺さない方法で退かせていただけませんかのぅ」
「おばあさん、どういうこと?」
 老婆が言うには、こういうことであった。
 老婆は授恵者。今は体が弱ってもう戦うことはできないが、いくつかのスキルはまだ使うことができる。その中に『動物交感』があり、魔獣の気持ちがわかった。
「この子に敵意はありません。怪我をして、お腹を空かせとります。それに、怯えておるようです」
 それで老婆は憐れになってしまったらしい。
「う〜ん……カービィキャトルは強い魔獣なの。人を襲ったら大変なことになるわ。だから……いざとなったら倒せるだけの人数を呼ぶのは必要なことなの」
 アルミレアが説明すると老婆は悲しそうな顔をした。
「おばあさんの言ってることは冒険者の人たちに伝えておくわ。最終的には彼らの判断にまかせることになるけど、おばあさんの希望を汲んでくれる人が来るかもしれない」
 おばあさんはアルミレアに何度も頭をさげ、重ねて同じことを頼み込んだ。

解説

※全てPC情報 ●目標  魔獣カービィキャトルの退去  撃破してもよいし、それ以外の方法でもよい。  魔獣は怪我をして怯えている。優しくしてあげて心を開かせれば事態は好転するかもしれない。 ●敵(?)情報  カービィキャトル<食獣>  体長10メートルほどの大型魔獣。  皮膚の下に分厚い脂肪の層をもつ巨体。黒いもふもふの毛皮。お腹の方は白くてきめ細かい。何気に採れる素材は貴重だったりする。  ステータスは生命がとても高い。移動はしない(できない)。  手負いであるが、PCから攻撃を加えない限り交戦しようとはしない。  ただし持ち上げるのは難しい。  のみこむ(メインアクション)  射程4。舌を伸ばして対象一体を丸呑みする。脱出するにはメイン・サブアクションの消費が必要。  いやななきごえ(メインアクション)  自身を中心とする直径7ヘクス内の対象全てに【防御低下50%】を付与。付与性能20。  ビッグバンインパクト(セットアップ)  そのターン他の一切の行動がとれなくなり、行動順が最後になるかわりに、最寄りの対象1体に極大ダメージを与える。 ●NPC  リプレイには必要時登場。 ・アルミレア・A・アンダーソン  ギルド職員。 ・おばあさん  近所の村に住む高齢の授恵者。  動物交感スキルで食獣に敵意がないことを知り、可哀想だから倒さないでほしいと言っている。 ●状況  リブラネスタ~カンパリ市間にある切り通し。  晴天、日中。  道幅ぴったりを食獣が塞いでいる。

マスターより

 九蓮(ハートフルのすがた)です。  リクエスト依頼です。  OPの『●鈍重な獣と勇敢な少年』はPL情報ですが、食獣から宝物を見せてもらうことでPCたちはその出来事について知るきっかけを得ることができます。  食獣を倒してもいいですし、生かしたまま退かしてもいいです。  また、さっさと退かして終わりにするか、その先までつきあうかは皆様の自由です。  お好きなようにロールプレイしていただければと思います。

リプレイ

●おばあさんの思い出
 巨大な魔獣食獣(カービィキャトル)が街道を塞いでいるとして招集された冒険者たち。
 可能なら魔獣を殺さず穏便にどかせてほしいという追加注文があったが、呼ばれた人員は何かあったときに魔獣を討伐できるだけの戦力を有している。これはギルド職員アルミレア・A・アンダーソンが、人命とインフラへの損害を懸念して、万が一のときの戦闘を前提として人員と報酬を設定したためである。

 Alexandra(アレクサンドラ)・Hexe(ヘクス)・Claudia(クラウディア)は荒っぽい中年男性の相手をしていた。
「何を考えてやがる! さっさとソイツをやっちまえ!」
 魔獣は生態系の一部であり、必ずしも遭遇即斬せねばならないものではない。人間、自分が悪者(わるもの)になることは避けたいものなので、不必要な殺しをしたいものは少ない。
 しかしこのような状況において、この中年のように「殺せば早いのに」と考えるものは少数ながらいた。
 この中年は食品を扱う商人である。迂回できるとはいえ、その時間差で商品が傷めば、自分が損するどころか、購入者の中から食中毒になる者が出てしまうかもしれないので怒っているのだ。

 他の冒険者たちは、食獣に先んじて接触したという授恵者のおばあさんに話を聞いていた。
 サマエラ=フォリウムとララノアが護衛を申し出、本人も希望したことから、おばあさん本人が現場に来ていた。
「ご老体。改めて、詳しくお聞かせ願えないだろうか」
 サマエラは、おばあさんが食獣が『敵意なく』『空腹で』『怪我をして』『怯えている』と言ったことについて、詳細を求めた。
「私がこの子に会うのは初めてでございましたが、そばに行ってもうなり声ひとつあげませなんだ。なでても嫌がるそぶりはなく、動物交感を使うことができたのです」
 その結果はっきりとわかったのは空腹と苦痛。おばあさんの視力は弱く、医療の知識もないため怪我についてはよくわからなかったそうだ。
 怯えている、については。
「なんと申し上げればよいか……。動けなくなったこともあろうと思いますのじゃが。不安、寂しい、のような……」
 動物交感で読み取れるのは感情だけ。獣と正確な思考をやり取りすることは難しいようだ。
「お心当たりは、ございませんか?」
 育ての親と同じ年配の女性が相手なら落ち着いて話せるララノアが尋ねた。
「ございませんのじゃ。かような珍しい獣がこの森にいるなどとは……いや」
 おばあさんは言い淀む。
「この婆(ばば)が童(わらべ)であったころ、おとぎ話に聞かされたような……」
 おばあさんの食獣への愛着は、そのおとぎ話が理由であるらしい。
 しかし現在の食獣の状態や事情のヒントにはならなさそうだ。
「どうか、どうか。このかわいそうな獣にお慈悲をくださりませんでしょうか」
 交通が滞り困っている人がいることをおばあさんは理解している。だがそれでも強い思いがあるようだ。
「任せて、絶対傷つけたりしないでその子にどいてもらうから」
 ララベル・サン・ディーベルが暖かい太陽のように微笑んでおばあさんに約束した。

 おばあさんから離れたところで食獣を観察していたストレガ・L・リベルガストラは、別の理由から食獣を生かしたままどかすことに賛同していた。
「強いが大人しく、そして意思疎通はできる魔獣が道を塞いでるだけ。ならば穏便に帰してやるのが安全なのだ」
 食獣は本気で戦えば冒険者六人がかりでやっと倒せるほど強い。狭い切り通しで戦えば崩落などの危険があり、復旧に余計な時間が取られるかもしれない。
「生かして帰すことが魔獣学的にも希少な資料になるのだ」
 ゴールディの学舎の主、叡智を集めしストレガの名を継ぐ者として、個体数の少ない食獣の血を絶やさぬことの価値もまた大きいと考えていた。

●もふもふとむしゃむしゃ
 最初に接触を成功させたおばあさんの姿を見せ、ストレガがまず身振りで敵意のないことを示したので食獣は冒険者たちを受け入れた。
 ストレガの身振りは通じたかはわからないが、動物交感を使う前段階としての挨拶の効果はあったようだ。知らない者にいきなり触られたら、感情しか読み取れない動物交感では『驚き』が他の感情を塗りつぶしていただろう。
「僕達は怖くない、怖くないよ」
 ララベルが武器を持っていないことを手のひらを見せて示しながら、優しく声をかけた。食獣がぶもぉ、と鳴く。ララベルは声帯模写でその声を真似ると、食獣の耳がくるりとララベルの方を向く。
 そうして完全に冒険者たちの存在を認識した食獣は、少なくない人数の冒険者が近寄っても動揺を示さなかった。

「うわあホントにおっきい魔獣だねー。なんとかどいてもらえないかなー?」
 ベアトリーチェ・カロッサは食獣の横腹を優しくむにむにともみながら言った。
 高級素材と言われるだけあって極上の手触りである。臭いも獣臭くはなく、いわゆるお日様の香り。顔をうずめてすーはーしたくなるほどかぐわしい。
 おばあさんの言う通り、人に触られることを嫌がらないようだ。
 ベアトリーチェはもふりながら怪我の場所を探す。もし怪我が他の獣や人による加害であったら、なんらかの配慮が必要になるかもしれない。
「怪我はここだよ!」
 ベアトリーチェが食獣の後ろ足が腫れているのを発見した。長い毛におおわれてわかりづらいが、反対側の足に比べて太い。
 怪我が人為的なものであったら触られたくはないだろう、と考え、ベアトリーチェより行動が遅れたサマエラだったが、持ち前の洞察力で他の部位の診断を終えていた。
「全身に擦り傷や打ち身はあるが、武器による傷はないようだ」
「そうなんだ。毛皮を狙った人にやられたわけじゃないんだね」
 サマエラの診断を聞いてベアトリーチェは安心した。
 最も大きな怪我は後ろ足らしい。治療のためにサマエラが触れると、食獣がぶるるといなないて嫌がった。
「なでられると落ち着くようなのだ。ずいぶん人になれているのだ」
 動物交感での意思疎通を優先していたストレガが指摘した。
 ヒールを持っている者は多かったが、サマエラのリヴァーオブヴァイタルだけで間に合いそうだった。スキルの使用はサマエラに任せ、他の者は治療の間に食獣が暴れないようになでて落ち着かせるという形で分担することになった。
「大きいもふもふさんです……」
 ララノアはてのひらの感触を楽しみながら、動物交感で食獣の恐怖が少し薄れたことを確認していた。
 治療を終えたサマエラは毛皮の白いところを触った。こちらの毛足はおよそ三センチほど。食獣の巨体に似合わぬ毛の細さで、手触りはミンクに近い。この質の毛皮が、この面積を継ぎ目なしで採れるとなれば乱獲されるのも納得できるというもの。

 次なる問題は空腹。
 サマエラとララノアはそれぞれ食べ物を持ち込んでいた。
 ララノアがマジカルポケットから箱を取り出した。中身は付近の村で分けてもらった、旬の果物のジュースの搾りガラ。人は食べないが、肥料や家畜の餌にするものだという。
 おいしそうな果物の匂いに食獣は勢いよく食いついた。
 ララノアの箱の中身が少なくなったら、サマエラがバックパックに詰めていた野菜や果物を継ぎたす。

 食獣の食べる勢いから、まだまだそれだけでは足りなさそうなので、他の者もそれぞれ食べ物を入手に動いた。
 ストレガはカンパリに戻って購入、ララベルとベアトリーチェは森の中に入って、普段食獣が食べているのと同じものを集めることに。

 ララベルが森に入った理由は、食べ物の採取の他にもう一つ。
 壁歩きで高木に登り、周囲を視認。そして探波。
(――あそこだ!)
 あの巨体が移動してきたのなら跡が残っているはずとララベルは考えていた。
 あの切り通しから折れた木をたどったところに、崖の一部が削れ、何本もの木が倒れている部分がある。
 食獣が転んだらちょうどあんなふうになるかもしれない。
 あれが怪我の理由だろうとララベルは考えた。
(戻ったらみんなに伝えよう)

 ベアトリーチェはバックパックに木の実などをかき集めながら、位置感覚で現在地をしっかりと記憶しておく。
 これには迷わないためだけでなく、別の意図もあった。

 サマエラが食獣にやるための水を汲んで戻ってきたとき、ララノアは小さくか細く歌っていた。
 おばあさんと食獣が静かにそれに耳を傾けていた。それぞれ食べ物を得るために動いており、他には誰もいない。
 しかしサマエラの帰還に気づくと、ララノアは歌をやめた。
「わ、私の歌は人に聴かせるようなものではございましぇんので……っ」
 サマエラはとくに気にした様子もなく、食獣の顔のそばにバケツを置いてやる。
「食うか?」
 動物のおやつを手のひらにのせて差し出すと、食獣はサマエラの手のひらをベロベロなめるようにして食べた。
 食獣はかなり元気になってきているようだ。

 やがてララベルとベアトリーチェが戻ってきた。
 動物交感でどいてほしいという意思を食獣に伝えようとしながらもなかなかうまくいっていないところだった。
「もう動けそう? なら、僕に考えがあるんだ」
 ララベルはにこっと笑うと、青々と茂った草を一束、食獣の顔の前で振る。
 食獣がはっきりと興味を示したところで、少し遠いところに置く。
 それにつられて、食獣は一歩動いた。
「よしよし、うまくいきそうだね」
 そして少しずつ距離を空けて少量ずつの食べ物を並べる。
「あとはそこに置いてくれるかな?」
 ベアトリーチェと戻ってきたストレガの持ってきた食べ物は、道の脇の広くなっているところへ山と積む。
 食獣は食べ物で作られた線に従って、道の脇に移動した。

●宝物とかつての少年
 すっかり元気になった食獣は背中にララベルを乗せて、寝そべったまま尾をぱたぱたを振っていた。
 動物交感で汲み取れた感情は『安らぎ』と『困惑』。
「人心地、ついたか……と、思ったが」
 食獣の額をなでながらサマエラは思案する。
「なにか、出てくる理由でもあったか?」
 すると食獣は数度えずくと、地面の上に木片を吐き出した。
 その朽ちた木片にはなにかの文字列が二文書かれている。稚拙な文字であるが、サマエラにはそれのうちひとつが人名であるということがわかった。
「これは……なるほど、尋ね人……?」
「これに対してできることは、獣が覚えている限りの情報と本獣の特徴をもって、クエストボード隅にでも探し人として貼り紙しておくくらいなのだ……ん」
 ストレガがそう言いながらサマエラの目線の先を見て、言葉を止める。
「この名前は見たことがあるのだ」
 視線がストレガに集まる。
「どっかで読んだ本の作者が、たしかこんな名前だったのだ」

「オバ……お婆様……このお名前をご存じですか?」
 ララノアがおばあさんに木片の名前とストレガの記憶にあった名前を告げると、おばあさんはしわくちゃのまぶたをくわっと持ち上げて驚いた。
「この婆(ばば)が童(わらべ)であったころ……村に住んでいた方でした……」
 おばあさんが言うには、村に時々来るおじさん、という印象の人物だったという。おじさんの家族は村で暮らしていたが、おじさん自身は普段は住んでいなかった。
 帰ってくるたびに近所の子供たちにお土産を配りながら、自分は君たちくらいの年のころ魔獣と友達だったのだよ、と話していたが、誰も信じず、『ほら吹きおじさん』と呼ばれていた。
 そのおじさん本人はすでに故人であるが、ひ孫の少年が現在村に住んでいるということで、ここに呼んで食獣に引き合わせることになった。
 そのひ孫の顔を見ると食獣はぶもぉぶもぉと鳴き、ひ孫に鼻先をすりつけた。
「人が怖いはずなのに勇気を出して……それだけ大切な方だったのですね」
 ララノアは食獣の尋ね人がすでにこの世の人でないことに悲しみを覚えた。
(寿命の違い……それでも好きになってしまったら……)
 森で隠れ住んでいたララノアが冒険者なって出会った大切な人たち。その中には長命種(エルフ)とは違う時を生きる種族の者もいた。

 食獣の望みは可能な限り最大限叶えられただろう。このあと、どうするか。
「カンパリのギルドで預かれるとか手はあるのか?」
 ストレガがアルミレアに聞いてみる。
「人になれてる子とは言え、授恵者六人で当たるほど強い魔獣を飼育する余裕はウチにはないわね」
「だろうな。言ってみただけなのだ」
「報告はしておくわ。やんわりでも生息地ごと保護できれば、それにこしたことはないものね」
 ストレガを含め、多くの冒険者が食獣は元の住処に戻るべきだと考えていた。
「ご飯がたくさんあった場所はこっちだよ!」
 ベアトリーチェが先導しながら、食べ物を多く見つけた方向へ誘導する。
 食べ物を探しながら、食獣が住処に帰る道中、食べるものに困らないようにルートを選んでいたのだ。
「また会いにきますと……約束の証に」
 別れ際、ララノアは新しい木片を食獣に渡す。それには、もともと食獣の宝物に書かれていた二つの名前に加え、ララノアの名も記されていた。

 カンパリ市の高級住宅街、本の城と呼ばれる富豪の館。
 そこには当たり前のように例の著者の記した本があった。
 牛系魔獣の研究をするならまず読むべき本としていくつか挙げられるうちの一冊がこれであるらしい。
 その本には著者が牛系魔獣の研究の道に進んだ理由が書かれていた。
 ――少年時代、森の中で会った『友達』のこと。一緒に遊んだ日々。
 縁あってパトロンがつき、学校にいくことになって、友達とはもう会えなくなったこと。
 言葉の通じない友達のことを知りたくて、牛系魔獣研究にのめり込み、執筆した論文の数々。大陸じゅうを飛び回って出会った、たくさんの牛たちのこと。
 長じてのちまた森を訪れたとき、昔と変わらないままの友達は、自分の匂いをフガフガと嗅いでいぶかしそうにしていた。
 長く会わない間に声も姿も変わった自分を見分けられなかったのかもしれない。だが友達は、あの日と変わらず、温かい毛皮の手触りを楽しませてくれた。

 著者はその友達の居場所や、珍しく価値のある種族であるということはわからないように描写していた。
 村の子供たちにほら吹き呼ばわりされていたのも、わざと本当かどうかわからない言い方をしていたのだろう。
 すべては友達を猟師から守るために。

 これが冒険者たちの知ることになった、食獣の物語のすべてである。

マスターコメント

 ご参加ありがとうございました!  少年の正体については、食獣に会いに来なくなった理由とあわせて最初から構想していました。設定的にストレガ様はご存じだろうな、と思い……。決めつけてしまう動きになるかと思いましたが、知っていたということにさせていただきました。  相談卓でせっかく色々提案されていた方が白紙でして……。規約的にがっつり描写してさしあげることができなかったので心残りです。  が、白紙はいろいろご事情あるでしょうし、気にやまないでいてくださればいいなぁと思います。  リクエストシナリオだったのですが、ご希望の内容を自分なりにかなり味付けしてしまったので、気に入っていただけていたらいいなと思います。  魔獣にどいてもらうだけでは、目安箱の情報からネタが割れていて目新しさがないし、やるべきことが少なくてプレイングかけづらいなと思ったので、前後のストーリーを肉付けしてみました。  MVPはどこを重く見るかで迷ったのですが、目標に対して最も効果的な行動をしてくださったララベル様と、細かい部分が理由ではありますが全体の流れを良い方向に持っていくプレイングがいくつかあったストレガ様を選出しました。
ショートシナリオR

ショートシナリオR普通 報酬:標準6 / 4〜6人

2021年06月04日 09時03分39秒 公開

大成功

相談掲示板

  1. ストレガ・L・リベルガストラ

    ストレガなのだ。よろしくなのだ。 魔獣と呼ばれる生物にも妖精のように意思を交わせるのがいるのがわかってるので とりま殺さずにどいてもらう方向でいきたいのだ。

  2. ララノア・グラヌローザ

    ぇと、あの…ッ ヒ、ヒーラーの…ララノアでしゅッッ よろしくお願いしましうで!(がばちょ礼 わ、私も…そのまま…帰してあげたいと思いまし…… 依頼人の…お、お婆様は… 一度、接触があるようなので…ご一緒していただけたら… カービィさんも…安心していただけるでしょう…か…(ぅぅん

  3. Alexandra・Hexe・Claudia

    キャスター、クラウディアです。よしなに。 …件の魔獣を帰すこと自体は否定しませんが、動機と理が必要です。 『一人物の言で情を動かされた』 『手負いで大人しく見えるから』 では、私達個人で事足りても周囲が黙ってはいません。 目的は"流通路を塞ぐ魔獣の撤去"。 ただの道でなく多数の民間人の生活を支える通路です。 手間取ればそれだけ損失は嵩みます。 手早く済ませる《排除》でなく敢えて時間をかける対応を選ぶのなら、相応の理由がなければ利用者は納得しないことを予めご理解ください。 ―さてと。

  4. ララノア・グラヌローザ

    ぇぇと… 10mの巨体の…強い魔物と…街道での戦闘となりましと… そ、その…道が壊れてしまうのではないかと… それはそれで…修繕にも時間と人手、お金もかかりますし…流通にも支障が出るのではと… それでしたら…ひとまず道からどかせば良いわけで……ということでは…理由にはなりませんでしょうか…(おろおろ

  5. Alexandra・Hexe・Claudia

    【質問】です、アルミレアさん。 内容は二つ。 第1に、魔獣カービィキャトルについての、能力以外の詳しい情報はありませんか? 今回の依頼はおよそ突発の内容ですが、その割に魔獣の能力に関して情報が明瞭です。 ギルドで過去にかの魔獣についてこれだけ調べる程の理由があったはずです。 …気性が大人しく人里に出ない性質なら、魔獣に由来する希少素材 ですとか。 第2に…先の質問への回答を前提にお聞かせください。 外部から冒険者が、直接依頼を受注することは可能ですか? 特に報酬が現物による、"身元不明の依頼者"からの依頼の是非。 …"依頼者"は本来隠居していればよいはずのところ、単身でここまで移動してきた。 察するに住居周りの問題か、住居を出なければ解決出来ない問題があるものと推測します。 請け負えないとして"依頼者"の口を封じるのも手ですが…最大利益を考える上でご一考いただければと。

  6. サマエラ=フォリウム

    ゴブリン、ヒーラー。サマエラだ。 よろしく頼む。 狂暴な個体ならば、即座に討伐すべきだが……敵意がないと分かっているならば、そうだな。 私も、退かせるに留めて良いのではと、思う。 手強い魔獣だ、というのは情報からも分かっているので、 必ずしも討伐が無難かつ最短とは言えないだろうか、とも。 ただ、どうにも退いてくれない、退かせられない時の善後策に、 戦闘準備そのものも、整えてはおくべきと思う。 優先は依頼の達成、流通経路の確保であると、それは分かる。 ともあれご老体には改めて話を聞いてみたいのもあり、先に接触はしておきたいな。 そのまま同行願えるならば、私も頼んでみたい。万一のため、安全確保は徹底しつつ。

  7. ララノア・グラヌローザ

    あぁ、ぁの…アルミレア様も…ょ、よろしくお願いいたしましで(がばちょ 【質問】 Q3.カービィキャトルの好物を教えて下さい。 食べる量も参考までに… 続け様で…皆さま申し訳なく…(あせあせ これだけ… く、空腹なようなので…時間をかけぬ対処法なら…ご、ご飯で… というのもいいかと思いまして… 満足する量、まではいかぬとも…それで森へ誘導してしまえば…あとはなんとかなるような気もいたしまし… 戦闘の準備自体は…万一や…不測の事はある故… 私も異存はございませんで…そ、そうならないようには…したいでしね…

  8. アルミレア・A・アンダーソン

    みんなよろしくね。 みんないい人だから大丈夫だと思うけど、もし意見が割れて胃が痛くなる子が出たら呼んでくれていいからね。 【回答】 第1. 意図を間違えてたらごめんね。欲しい情報からずれてた場合、再質問してくれたら重ねて回答するわ。 まず魔獣はクリーパーと違って、WT的な「異世界からの侵略者、絶対悪」ではないのよね。 この世界に元々いる生物の種で、イヌやネコと同じ。違うのはエーテルを扱うことができるって点よ。 だから博物学的な理由でカービィキャトルのことは研究されているわ。 情報は冒険者ギルドが、というよりは、図鑑に載ってるからという理由で誰でも調べればわかること。 素材と言えばそうね。 昔はたくさんいたけど、毛皮や脂や肉なんかが高く売れるから乱獲されて、今では現実でいう絶滅危惧種みたいな扱いになってるわ。 たくさん捕まったからデータが潤沢で詳しいことがわかっているともいえるわね。 第2. うーんこれは返答が難しいわね。 ギルドはなんでも引き受けてくれるわけじゃないから。内容や条件が妥当かとか世界観的な部分もあるし。 個々のシナリオ運用上の理由で、オープニングにない要件が課されることでシナリオ条件が変わっちゃわないかとか、色々考えることがあるわね……。 もしかしたらそもそもMSに回答権限がないことかもしれないわ。 したいことはなるべく汲みたいけれど。 Q3. 嗜好には個体差があるけど、草食性で、野生の環境下では雑草や木の葉、果実、根っこなんかを食べているわ。 食べる量はわかんないけど……体が大きいから、相当多いんじゃないかしら。

  9. ララベル・サン・ディーベル

    僕は、シーフのララベル・サン・ディーベル。 みんな、よろしくね! 僕もどいて貰う方向で行きたいな。 まず落ち着いて貰う様に色々働きかけて、怪我してるのが分かったら回復してあげたら心開いてくれないかな? 食べ物上げるのも良さそうな手だね…最初少し上げて、どいて貰いたい方向に沢山おいておくとか。 おばあさんの話も、詳しく聞いてから動きたいね。

  10. ベアトリーチェ・カロッサ

    シーフのベアトリーチェだよ、よろしくね! アタシも倒さずにどいて貰う方向で行きたいな。 怪我は回復スキルでなんとかなりそうだけど、ご飯はみんなでかき集めるしかなさそうだよねー。

  11. ストレガ・L・リベルガストラ

    動物交感で意思疎通でき、敵意はないのがわかってるから、どうしたいのかを本獣に聞いてみるのが良。 何がしたかったのかも聞けるだろうし。 その目的が叶えられるものであるかは知らないが。 草食か。動ける程度に野菜等与えられればよいのだな。

  12. サマエラ=フォリウム

    アルミレア、詳しい回答や気遣いなど、ありがとう。 草食、大食い、空腹か……ひとまずの食事でも、結構な量を平らげそうだな。 私も野菜なり果実なり、持てるだけ持って行ってみよう。 そうだな、ご老体に会ったり、私達とも動物交感で感情を伝え合ったり、 食事を与えたり……これで無事こちらに慣れてくれれば、怪我を癒してやりたいな。 リヴァーオブヴァイタルでも、用意しておこうか。 万一戦闘になってしまっても、ビッグバンインパクトあたりへの対策になる…… 極力は、後味良く終わらせたいが。

  13. ララノア・グラヌローザ

    ぇと…アルミレア様は…回答…ありがとうごじゃましでっ(ぺこー お腹が少しでも満たされれば…不安な心も…わずかばかり…減らせるでしかね… 空腹は…つらいでしゅ…(へこー お怪我も…治してさしあげたいでしね… な、何かあれば光縛封で抑えて…その間に…落ち着かせられたらいいなと… 考えましたが…(はむ ばんじ良くおさまりますように……。

  14. Alexandra・Hexe・Claudia

    ともかく、総意は『魔獣の"退去"』。 これにあたり、諸々のケアを計画する必要がある点まで、決定事項のようですね。 となると、気になるのは件の魔獣が手負いであるという点。 現在の状況に至った要因は何なのか…もっと言えば、怯える対象とその理由は…?

  15. ララノア・グラヌローザ

    ぅぅん…転んでしまって…などの怪我なら…安心なのでしがね… お婆様が…接触していらっしゃるので…人ではないと…思いたいでしゅが…

  16. サマエラ=フォリウム

    クラウディアが言うように、怯えてもいるようだからな……。 とはいえ確かに、先に人が接触しても襲わなかったのならば、 人為的なものではない、とは……思いたい、な。 そのあたりも動物交感で探れないか、試してみよう。

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0