【鉄鱗】ひれ伏せ愚民ども
九蓮宝燈
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シナリオID:936
オープニング
「刀の素材まだぁ〜?」
ぼやいたのはこの街に滞在している重要人物の一人、『匠王』シグルラン。
鍛冶の腕を競い、最高の成績を叩きだした者を王に据えるというドワーフ王国の当代の王である。シャルガネ居住区で修行し『刀』の製法を甦らせた才媛だ。
ヴィンダールヴルが武器の素材を集めている。シグルランはその中に自分好みのものがないかちょくちょく見に行っているのだが、まだはしりであることもあってか気に入るものがない。
そこでシグルランはひらめいた。
待っているばかりではなく、適当な冒険者を捕まえて、モノを指定して取ってきてもらえばいいのではないか。
そうと決まればお忍びで探索支援ギルドに向かおう。
迷宮での実力は『記章』でだいたいわかるらしい。欲しい素材を決めたらそれが採れる場所に合った記章をつけている者に頼めばいいのだ。
●どうせ聞くなら美女のわがまま
なんでもいいから素材を納品してくれ。
そうは言われても、実際何を取ってくればいいのか。
探索支援ギルド、資料室。
「最初は質より量を優先して、弱い敵から手堅く集めるのがいいんじゃないかしら」
真朱色の髪に黄色いリボンのカチューシャの少女、ノーレッジ・レオンハートがいくつかの資料をひろげる。
序盤にヒールで治らないような怪我をしてしまえば、あとが続かなくなる。せっかくの特需なのだから長く戦っていきたい、とノーレッジは考えた。
「俺もそれがいいと思う。この中だと……これとか?」
彼女の意見に賛成したのは、幼さを残すシャルガネ系の青年、レイン・カミナギ。
彼らは『勇者パーティー』と呼ばれる四人組の探索者である。
このパーティーはノーレッジとレインで作戦を立て、リーダーのブレイブが決裁するという形で運用している。
もう一人のメンバーである、垂れ耳うさぎ獣人ヒルダは、意見を出すのは苦手なので成り行きを見守っていた。
「アンタら探索者ぁ~? ちょっとお願いがあンだけどォ~」
本棚の影からひょっこりと飛び出してきたのは、桃色の三つ編み。
勇者パーティーのメンバーに緊張が走る。
レインは空気が読めていなかったが、本棚の奥に幾人かの護衛がいるのを見て、その人物が要人であることを察する。
「俺らにできることなら。内容、お伺いしていいですかね?」
勇者パーティーのリーダー、ブレイブ・レオンハートが椅子から立ち上がり、姿勢を正して尋ねる。
シグルランは鉄記章をつけたブレイブが食いついたことに気をよくする。
「ヴィ爺は何でも~って言ってるみたいダケド、アタシとしてはやっぱ刀打ちたいっしょ~。だから刀の素材! それもチョ~ットいいヤツを、なるはやで欲しいワケ」
ブレイブの顔にぴらり、と一枚の資料を突きつける。
「コイツ狩ってきてくれね? 今日、これから♪」
ブレイブの背中越しに資料を見たノーレッジは眉を寄せる。そこに書かれていたのは、まだ倒したことのない上層ボス。言わずもがな強敵だ。十分に資料を精査して万全に対策を練らなければ勝ち目はない。
断れ! と念を送るノーレッジ。だがブレイブは運悪く他のことに気を取られていて気づかない。
身長一九〇センチのブレイブからは、ほぼ真上アングルから見えてしまうのだ。一四六センチのシグルランの、晒しに寄せられた胸の谷間が――。
「じゃ、ヨロシク〜♪」
ブレイブが断らないので、シグルランは了解されたと思って行ってしまった。
「ブレイブの馬鹿! ろくな準備もないのに。しかもこんなの四人じゃ無理なんだけど?!」
ノーレッジはシグルランに聞こえないように、たっぷり時間を取った上で小声で抗議した。
「すまん。だが、これくらいならまだ背伸びの範囲じゃねぇかな。刀匠王の目に留まるチャンスでもある」
従妹の責めにばつが悪そうにしながらもブレイブは乗り気のようだ。
ヒルダは険悪な雰囲気におろおろするばかりだ。
「臨時メンバー募集、する?」
言葉足らずにレインが提案する。もう受けてしまったのだから仕方がない。折衷案として、メンバーを加えて推奨人数に足るようにするのはどうだろう……と言いたいらしい。
資料に記された討伐推奨人数は八人以上。
「じゃ、四人募集しよう。それでいいだろう」
ブレイブがノーレッジに言う。
「六人! 準備不足だし、即席パーティーだから連携が心配だわ」
ノーレッジが反論。
「わかった、六人な。募集出しに行ってくるよ」
「わ、私も一緒に……!」
ブレイブと事務手続きが得意なヒルダが資料室を出て受付に向かった。
残ったノーレッジとレインで資料の精査と、適宜追加資料の検索をはじめる。
ブレイブが無理めの依頼を受けがちのは今に始まったことではないが、固定メンバーだけでは難しいレベルのものは珍しい。
「あいつ……刀匠王の胸見てたわ。苦楽を共にしてる仲間よりも、美人でスタイルのいい子の希望を優先するなんて」
ノーレッジはぽつりと愚痴をこぼした。
「俺はノーレッジも可愛いと思うけど」
レインはピントのずれた慰めを口にする。
「そういうのはあんたの大事な子にだけ言いなさい」
ノーレッジはレインが気を遣ってくれたことは嬉しかったが、素直に受け入れるには機嫌が悪すぎた。レインは気にした様子はないが、条件反射で憎まれ口を叩いた自己嫌悪で頭の中がぐるぐるする。
シグルランは可愛い以前にとても偉いのだ。
自分にだってシグルランの頼みを断る度胸はないのだから、ブレイブを叱る資格などないともわかっているのだ。
●姫のダンスホール
勇者パーティと募集に応じた冒険者達は主幹路のボス部屋前へ。
「うちで一番大変なところ受け持つよ」
ブレイブが冒険者達に言う。
これから挑む上層ボス緋緋色姫は、ボス単体はそこまで強くはないが、多すぎる取り巻きが厄介。しかし取り巻きが湧くポイントは一定であるため、そこに数人張っていれば攻略難度は下がる……というのがレインの見立て。
湧きポイントは二箇所。しかしそこは狭い階段の上であり、逃げ場がないので危険な役割でもあるとノーレッジが進言していた。
ならば迷宮に慣れた勇者パーティー固定メンバーがそれをやるべきだ、という作戦だ。
「左にレインとノーレッジ、右に俺とヒルダでいこう。中央の動きは俺は指揮しねえから、あんたらでやりやすいようにやってくれ」
ブレイブが軽く分担し、あとはそれぞれ相談を詰めようということになった。
「ブレイブ。今夜あいてる?」
班で分かれる前にレインが声をかけた。
「あいてるけど。どうした?」
「話せないかな、と思って」
仲間であっても一線を引いていたレインだが、そろそろ踏み込むべきなのかも、と考えた。
「無事帰れたらな。ノーレッジの言うとおり今日は準備甘ぇから」
「うん」
拳を合わせ、ブレイブとレインは左右に分かれた。
解説
マスターより
リプレイ
エドゥノーグ迷宮【武】の主幹路、上層ボス部屋前。
刀匠王シグルランの無茶振りに応え、この部屋のボス〈緋緋色姫〉討伐に挑む冒険者たち。
このボスは上層ボスの中でも強めということで、入念に装備の確認を行う。
シニング・W・テュパラはシグルランの奔放さに親近感を覚えていた。
「あのお姫様も結構自由だなぁ。欲しいもののために周囲の者をはしらせるとか割と子供っぽいしな」
無茶振りは勘弁だが、素材を手に入れられたら渡すときに話でもしてみたいと考えた。
「匠王の作る刀、どんなものになるのか、完成したら見てみたい、です」
シニョンの愛らしい蒋・璃龍もシグルランに好意的だった。
アルマ・ヴァレンタインは光量不足を懸念してランタンの準備をしていた。
洞窟なので多少は暗い。なくてもなんとかなるが、あれば有利になりそう、という程度。
「まー……経緯はともかく、また上層ボスと戦えるのはたのしみー」
アルマはすでに別のボスを倒したことがあるので、鉄級記章を持っている。
射手でありながら刀を振るう剣士でもあるノックス・マグナはシグルランの期待に応えようとしていた。
心証をよくすれば彼女自身に刀を打ってもらえるのでは、という下心もあった。
そして探索支援ギルドでもらったボスの情報を確認。
「しかしボスクラスにもなると取り巻きと言えど油断はできませんね」
資料を見てノックスが眉を寄せる。姫を守る豚。
「敵が金属の体? 姫も? 豚も? ……そっかー……」
アルマも横から資料を見てなにか納得したようにつぶやく。
「硬そうですから、刃を傷めることを覚悟しなければなりませんね」
ノックスは戦闘後のメンテナンスについて思いを巡らせていた。
サマエラ=フォリウムは豚の自爆能力を警戒し、回復スキルの最終確認をしていた。
「あ、そうそう」
ブレイブが思い出したように言う。
「気絶するほどのダメージを負っても、ちょっとの間なら案外動けるんだよな。このときにどう動くかでその後の展開が変わってくるということは少なくないんだ」
戦闘不能をくらい慣れている者の発言である。
「助言、ありがとう」
「なに。あんたらは今日はウチの臨時メンバーなんだからさ。ちょっとはリーダーらしいこと言いたくなっただけだよ」
そう言ってブレイブは階段の封鎖へ。
●開戦
ボス部屋中央のダンスホール。
赤みを帯びた金属でできた人形のような姫と、黒ずんだガラクタのような豚。
冒険者たちのとった作戦は火力偏重。
範囲攻撃を重ねることで複数の豚を一度に倒し、数の不利を覆す作戦。
姫はイニシアチブが低く豚もそう高くはなかったが、冒険者たちもテュパラをのぞきイニシアチブはそこそこ。
初動は連携の必要性もあったことから遅い者にあわせることとなり、行動順は敵味方がいりまじる展開となった。
バーネット・フォーサイスが天眼で半円形の広場を俯瞰する。
「敵の陣形は単純な横陣みたいだな」
味方はとくに盤面上の配置を相談しておらず、入り口から入ったままの中央位置。前衛は範囲攻撃を重ねるために密集陣形を敷いている。
ならばこの横陣が鶴翼と変じ、前と両側面を包囲されることこそ最も防がなければならない事態。
バーネットは澱嵐を召喚。荒れ狂う稲妻が片翼を封じる。
「先に範囲攻撃を撃ちこんでくれ」
同士討ちを警戒してテュパラが手番を譲る。
「わかった。まずは範囲攻撃を重ねて、一気に殲滅、です」
璃龍は槍をくるりと一回転。動きを止めた槍の穂先は一塊の光を纏っていた。
璃龍に続き、ノックスが前に出、三体の豚に相次いで闘気槌の集中砲火を浴びせる。
この攻撃はうまくいった――うまくいきすぎた。
「虫の息みたいだなっ!」
テュパラが三体の豚のうち中央の個体に斬りかかる。
一瞬の閃光が薄暗いダンスホールを照らし、短剣の先端が複雑に組みあわされた屑鉄の継ぎ目に食い込んだ。
耳障りな音を立てて積み木のように崩れ落ちる豚。
テュパラが最初に敵を討ち取った功に喜ぶ間もなく、彼女の左右を息も絶え絶えの豚が突進していく。
『『王国の礎となれ』』
どうせ刈られるのならばとばかりに、二体の豚が先ほど冒険者たちが使ったのとおなじ戦術を使う。
攻撃対象となったのは前衛の四人。璃龍、ノックス、テュパラ、サマエラ。
攻撃に集中していたノックスは、夜煌石の首飾りの光を反射する金属質の体の動きを察知。
咄嗟に反応強化スキルを発動。一撃目の自爆を回避するも、避けた先にもう一体の爆風が置かれていた。かろうじて耐えたノックスに、無傷の豚が接近。エーテルをまとった拳を腹に打ちこんだ。
璃龍は盾を構えるのが間に合わず、二回の自爆をモロに受けた。細い体はダマスカス鋼の甲冑に守られてかなりのダメージを軽減していたが、それでも一気に生命が削られる。
さらに爆風の向こうから黒い金属の拳が迫る。金属同士がぶつかった甲高い音ののち、絹の裙が固い地面に開花したように拡がる。
テュパラは不意打ちの一撃目は食らってしまうが、猫科のしなやかさで二撃目は回避。
ギリギリ膝をつかずにすんだと思ったのもつかの間、姫が放った光弾がフードをかぶった頭に着弾しはじける。その衝撃でテュパラは体勢を崩した。
薄暗い中、聴覚を研ぎ澄ましていたサマエラは敵の接近と違和感に気づいて咄嗟に朱殷の霊盾を構えた。
盾ごしに轟音と熱がサマエラを襲い、思わずその場に膝をつく。
「大変だー!」
自爆を警戒して中衛というポジションにいたアルマ。予定してた最初の行動はサークルプロテクションによる味方の防御バフであったが、戦術眼を駆使して行動を変更。
怪我が大きそうなのは璃龍とサマエラ。
この場での最適解は、癒やし手であるサマエラを立たせ続けること。
最大効率でエーテルを操りヒールとサイドヒール!
「自爆の脅威は、警戒していたのだが」
持ち直したサマエラは状況を把握。
璃龍とノックスに魔拳を打ち込んだ個体がいたように、いくらかの豚は追撃を行っていた。が、バーネットの澱嵐で足止めされているために全ては追撃に加われず、姫のそばに少し寄っただけ。
倒れているのは璃龍、テュパラ、ノックスの三人。いずれも自分の周囲に、取り囲むように。
――戦況は問題ない。
このような状況を予見して、万全の備えをしていたのだから。
サマエラを中心にエーテルの光輝がくるくると、つむじを描いて拡がっていく。
意識を手放しかけていた三人は癒やしの光に照らされる。
ヒーリングオーラはそう回復力の高いスキルではない。
備えと運とでダメージを軽減していたノックスは復帰したが、璃龍とテュパラは倒れたまま意識を手放していた。
「おいおい……コイツはまずいな」
バーネットの戦術眼が自爆条件にあたりをつける。豚は劣勢を悟ると、無駄死にするよりは刺し違えてでも敵を倒し、姫の脅威を排除するという判断をするのではないか。
「立て直すのが先決だな」
ノックスが追撃を防ぎつつ、サマエラとアルマで回復。
すると左右からどっかんどっかんと連続した自爆音が。
ゆるくカーブを描いた階段の石筍のバラスターの間から勇者パーティーの様子がうかがえた。あちらも派手に誘爆を起こしたらしく、慌ただしいヒールの光が見える。
●反撃
幾巡かの剣戟ののち、残る豚は二体。
姫の守りの穴を見逃さなかったテュパラが走る。
左右からテュパラに追いつこうとする豚の足が見えないエーテルに引っかかる。
「逃がさない、です」
璃龍の槍はエーテルの刃が継ぎ足されて伸長。拡大された必殺の領域は姫と豚の間を隔絶していた。
豚は倒れ込んでリーチを伸ばそうとするが、テュパラは地を蹴って跳び上がり上空へ逃げる。
「さっきはよくもやってくれたな!」
空中で回転と落下の勢いを乗せた三連撃が、守られるばかりで戦闘能力に乏しい姫の体にひびを入れる。
地に伏せ無防備な背中を晒した豚をノックスは見逃さない。馬乗りになり刀を突き立てる。
体を回してノックスの戒めを解いた豚と地面に伏せたままの豚に、アルマのメテオライトが降る。
四夷賓服勢に構えられた璃龍の槍がエーテルの光の尾を引いて舞う。花吹雪のように燐光を散らし、しなやかな体からは想像できないほどの強い震脚とともに一圏、そして一線。
ノックスの攻撃を受けて削られた方の豚はそれによって動きを止めた。
そして残ったほうの豚も次巡であえなく倒され、テュパラ以外の冒険者も姫への攻撃に加わる。
目の前の取り巻きをすべて倒され、金属質でヒステリックな鳴き声を上げる姫。
さらにいつまで待っても増援が来ないことにいらだち、地団駄を踏む。
逃げ惑いながら移動阻害のある光弾で最後の抵抗を試みるも、移動力の高いテュパラと射程のあるバーネットから逃げ切ることは難しく、徐々に追い詰められていく。
「予定が狂っちまったが、こいつで仕舞いだ」
垂直に構えられたバーネットの杖を中心に、高密度のエーテルが循環し暗い洞窟を照らす。詠唱にあわせて光は杖の先端、バーネットの頭上で収束していく。回転する無数の小さな光に取り囲まれた巨大な光球は、ダンスホールを華やがせるシャンデリアのよう。
最大サイズまで膨らんだ光球が、杖が水平に構えられるのに合わせて横転。
発射、炸裂は弾指の間。姫の喉は悲鳴をあげる間もなく焼ききれ、短く不快音を発したのみ。
光球が消滅したあとには、スイカ程度の大きさの赤い金属の塊がごろりと転がっていた。
「それでは、戦利品を持ち帰る、です」
璃龍が忘れずにドロップを回収することを提案。皆それぞれ持ち帰るための準備をしていたので、相当量が回収できそうだった。
姫の撃破と前後して、左右の階段で最後の爆発音が鳴り、しばらくして勇者パーティーが中央に合流。麻袋に素材を詰めて持参した前衛のレインとブレイブは、どちらも煤と土で酷く汚れていた。
サマエラが傷の深いレインに残っていたヒールを使用。
レインは流石に何度も会っているため、背丈や角、声からサマエラを『たぶん知っている人』程度に覚えていた。
「危険な役割の完遂、ありがとう」
「そっちもお疲れ。大変だったみたいだね」
レインはサマエラをねぎらい、そして、慰めるように。
「俺も今回は二回くらい……落ちたかな」
と、戦闘不能回数を告白した。
●シグルラン面会
探索支援ギルド。
むっちりした脚を組み、優雅にゴールディ産のタピオカなるスイーツを堪能しているシグルランの前に、バーネットがごろりと赤い金属の塊を転がした。
「ご所望の品ですよっと」
「マジで?! ちょっぱやじゃ~ん! ありがとー」
「次からはもっと、猶予をいただけると助かるんですがね」
両手で塊の目方を量っているシグルランにバーネットが皮肉を言う。バーネットは普段なら揉めると面倒な相手には丁寧に接するのだが、今回はいささかにじみ出る思いを隠せないでいるようだ。
しかしシグルランはそんなことは気にしない。素材を手に入れた喜びのほうが勝っているからだ。
「え~。だってアタシ早めに帰りたいし? どうせ打つなら『神の焔』使いたいし?」
神の焔。鍛冶技能評議会にて最優と認められた者――匠王にだけ使うことの許される炉である。
「しかし、この素材が刀に……完成品、機があれば見てみたいところ」
そう言ったサマエラに耳だけ向けて、シグルランは素材に夢中になっている。シグルランの目は子供のようにキラキラしていた。
「ん~。これだと一口ぶんの量しかないから、一発勝負になりそ~。打ってみなきゃわかんないケド、鍛えてる間に半分くらいになっちゃうんだよね~」
「完成したものを見る機会は、ないです?」
璃龍が問う。
「成功したら、次会うときに、みたいな?」
赤い鋼で打った刀はやはり赤いのだろうか。
大量に献上された豚の素材もシグルランは気に入った。これもまた質のいい刀の素材には違いないのだ。
「アタシ今、ちょっとしたお願いくらいなら、かなえてあげてもいい気分なんだケド?」
そこではいっ! とアルマが挙手。
「大工房ではありがとうございました」
ぺこり、とまずはお礼。
「おもち……じゃなかったスタイルの秘訣はー?」
冒険者たちはシグルランの胸部装甲をチラ見、もしくは目をそらす。
「ふっふ~ん。アタシの胸には情熱が詰まってるの。鍛冶への想いがおっぱいをおっきくするんだよー」
次はノックスが佩刀を外してシグルランの前に捧げた。
「硬い敵を斬ったので刃こぼれしてしまいました。見ていただきたいのですが」
シグルランはノックスの愛刀を鞘から抜いて刃を確認。
「ありゃーこれはかなりイッてるね。いいよ~、直してあげる」
刃こぼれの修繕とは、欠けた箇所にあわせて全体を削る行為。刀の寿命が短くなってしまう。つまり、シグルランはノックスの刀の換えが必要になる時期に見当をつけることができた。
(今回のことで実際アタシの好感度はちょいマシだけど、まだ新しいの打ってあげるほどじゃないかな)
そう考えた理由は、刀の寿命がまだ残っていたからという理由もあったのだが。
その他大勢の冒険者とは違う価値を示す者には、自身の作品を与えてもよいとシグルランは考えていたが、初対面のノックスの価値はまだはかりかねていた。
次はブレイブが、挙手した――というよりは、ノーレッジに脇腹を肘で打たれ、レインにふくらはぎを蹴られているのをシグルランに見つかったために発言することになった。
「俺はッ……また次も仕事を依頼していただきたいです」
「ふ~ん。コネがほしいってコト? じゃ、名前聞いといてあげる」
「ブレイブ・レオンハート」
「ブレイブね。忘れるかもだケド。もし覚えてたらまたコキつかってあげるね」
どうせダメ元。偉い人の伝手があれば大きな仕事ができる。今はか細い縁でもかまわないとブレイブは考えていた。
最後はテュパラが質問の許しを求めた。
「どうして今回のを思いついたッスか?」
テュパラの頑張って丁寧に話そうとする口調にもとくに不快を示すこともなく、シグルランは答えた。
「ヴィ爺に新しいコト教わったから、実践したいナ~って。でもせっかくエドゥノーグに来たんだし、地元じゃ出ない素材使いたいっしょ?」
シグルランの表情を見れば答えは予想できたが、テュパラは質問を重ねた。
「今、楽しいッスか?」
シグルランが破顔する。つられてテュパラも相好を崩す。
「うん! アタシ今サイコーに沸いてるよ~。いくらでも打てそう!」
冒険者たちが身命を賭して持ち帰った赤い金属塊は、腹黒い為政者を情熱的な鍛治師の表情へと変えさせた。
マスターコメント
ショートシナリオ非常に難しい 報酬:標準6 / 4〜6人
2021年06月09日 11時47分41秒 公開
相談掲示板
ウォーリアの蒋・璃龍、です。よろしくお願いする、ます ボスの素材が目的の依頼、ですけれど、取り巻きの特殊能力がZOCだったい、ボスをかばう能力だったりするので、先に取り巻きをなんとかしてから、ボスを狙ったほうが良さそう、です あと、敵の攻撃方法が割と魔法が多いみたいなので、魔法防御に対する備えが必要そうだと思う、ます
ゴブリン、ヒーラー。サマエラだ。 よろしく頼む。 ブレイブやレイン達に追加分の取り巻き、一番辛いところは受け持ってもらえているが、 それだけにこちらも、早めに方を付けてやりたいな……。 上手いこと囲いの突破さえ叶えば、ボス単体は比較的弱い方とのことで、 取り巻きは庇いで削れた個体に止めを刺す程度として、以外はボス集中も、ありやもしれない。 何れにしても、ボスが範囲回復持ちならば、取り巻きへの半端な削りは避けたいな。 先に倒すなら倒す、極力無視なら無視で、認識を合わせてしておきたい。 敵からは、確かに魔法攻撃が多めか。 自爆も大変厄介そうだが、先に取り巻きを集中処理する場合は、 魔防厚めの対応で、ボス相手に安定しそうだ。 【質問】 自爆攻撃について、少し確認を。 これは、仮に巻き込まれればボスとて損害を被る、 と思って、問題ないだろうか……?
みんな、よろしくね。 刀匠王、たぶんすごく楽しみにしてると思うから。がんばろうね。 【回答】 そう。 書いてないとこは毎回そうってわけではないけど、今回は対象無差別。
ヒーラーのアルマだよ、どーぞよろしくー。 自爆いがいは範囲攻撃がなさそう?なので どっちかの端に固まってアーケインとかのBSと別扱いの移動阻害をしいて 寄ってきたのから集中攻撃で落としてくのどーかなと思ったんだけど 戦場がそんなに広くないからボスごと群れて移動してきたら逃げ場がなくなるし、 庇って削れたのから落としてったほうがいいかもしれないー… あとは取り巻きの数が減ってきたらボスを光縛封で閉じ込めて、 回復できなくしてる間に範囲攻撃も交えて一掃するとか…? 【質問】 ノーレッジさんと調べた情報の中に取り巻きが自爆するトリガーはありましたでしょうかー? 生命値が一定以下になる。誉れでINI勝ちしたときの射程圏内に敵がいるとき。等 あとご褒美の庇いはカバリングと同性能なのかどうかも…? 攻略情報にあたりそうなのでアレならのーこめんとでおっけーです… (それはそれとして前回はお水ありがとうございました。深々)
【回答】 >『王国の礎となれ』トリガー ん。ボヤけた回答になるけど……上層ボスくらいになると、そこそこの知性はあるみたい。 スキルの使いどころは、それなりに状況判断するよ。 >『やりがいはご褒美』性能 カバリングとはちょっと違う。 姫のもとに駆け付けるんじゃなくて、射線に割り込む、だね。 >水 ……? (他人の顔を覚えられない)
>作戦 たぶん、手下だけ足並み揃えて寄ってきて、自爆されるのが一番たいへんだと思う、ますので、むしろ、ボスが爆発範囲に含めて爆死されないように、こっちから近づいていくのが良さそうだと思う、ます あと、かばうじゃなくて斜線に割り込む、なので、遠距離攻撃がほとんど無効化されるけれど、近接攻撃は割と通ると思う、ます でも、近接で近づこうとすると、連携して肉壁(ZOC)でこっちの移動を妨害してきそう、です 無理に突破しても、全員が突破できないと、一人二人が囲まれて集中攻撃を受けてしまうので、回復範囲外の敵がいれば、そこから堅実に一体ずつ、でも自爆されないように素早く倒して行くのが良さそう、です 幸い、ボス自身のイニシアチブは低めらしいので、一気に攻撃すれば回復される前にまとまったダメージは出せると思う、ます
キャスターのバーネット・フォーサイスだ。 まぁ、よろしく頼むわ。 >方針 個人的には、取り巻きを先に始末しておきたいとは思う。 半径3ヘクス(15m)の自爆となると、戦場の大半が攻撃範囲に入るだろうし、 最悪8連続で全員が自爆攻撃を喰らう事になるから、可能な限り早めに数を減らして、 全員がダメージを受ける様な事は避けたいところだ。 まぁ、対象無差別って事だから、ボスが巻き込まれない程度の距離を離してからでないと、 自爆しない可能性もあるが、状況によってはダメージ覚悟で自爆させるって事もありえる。 大まかな対処で言うなら、初手で火力を集中させて一気に削り切るか、 容易に回復されない強度の移動阻害で足止めして、1体ずつ各個撃破していくかって所か。
レイン、回答をありがとう。 自爆はボスも巻き込まれはするが、状況判断の上で使用決定と……承知した。 そうだな、積極的にはボスを巻き込まないにしても、 こちらを倒し切れると踏んだら、一斉爆破等もなくはないと思った方が良いか。 纏めて吹き飛ばされると非常にマズいな、確かに取り巻きは適宜処理するのが安全そうだ。 庇い行動については、遠距離攻撃に割り込んで来るならば、 削りついでに近接攻撃し易い位置へ釣るとか、誘爆範囲外に出しておくとか、 そのあたりに利用の目も、あるだろうか。 処理方針としては……集中攻撃で早めに数を、減らしていきたいな。 蒋の言うように、ボス行動前に都度片付けてゆくことも、可能かと思う。
シューターのノックスです。よろしくお願いします。 取り巻きが8体いることと、こちらにウォーリアが一人しかいないことから陣形を崩されやすいので注意が必要ですね。 私は今回は近接武器を持ち込んで戦おうと思います。 一回の攻撃で与えられるダメージや継続火力の面から見ても近接武器の方が優れていますから。
シーフのテュパラだ。今回はよろしくな 前衛の維持能力が不安だって―ならスキル構成も回避系に特化して来ようか? 火力はしょっぱくなるけど元から装備とか回避構成で大した火力でねぇし 前例もあっからそれなりに上手くはいくと思うぜ 構成としてもヒーラー二人で前衛さえいれば安定するだろうし 火力はそっち2人が十分なのだしてくれそうだしな 自爆攻撃辺りは回避関係なさそうだからちょっと心配だけどな ってーか割り込んでくれるんなら積極的に遠距離攻撃で狙ってやるのも手じゃね? 庇うじゃねぇから絶対じゃなくても向こうから当たりに来てくれるんだしよ 遠距離の完全な打ち合いは広さを考えるとできねぇけど 取り巻きから削ってく方向で行くんならありだと思うぜ 後、射線に入って妨害するってなら遠距離攻撃が飽和してるときに守りやすい形は護衛対象の近くにいるか、攻撃対象に張り付くだと思うから 上手く行くかわかんねぇけど攻撃によって敵を一ヶ所に集める……は流石に無理かな
個人的に危惧しているのは、殺界だけでは相手を抑えることが出来ず、後衛まで辿り着かれてしまうことです。 シーフには相手を抑えるスキルが無いので相手に知性があると無視される可能性があります。 というか実際に無視されたことがあります。 全力移動を行われて後衛に張り付かれて次のターンに集団自爆が私の考える最悪の展開です。 なので回避よりも攻撃を優先して欲しいと思っています。 余談としてNPCが湧いてくる取り巻きの相手をするそうですが、湧く度に自爆をされたらヒーラーのいない方は大変なことになりそうですね。
レインさん サウナのときも書いてあったね…お礼はボクが言いたかったからなので気にしないで大丈夫っ それからご回答もありがとうございましたっ えーっと、配置は未確定だけど集団自爆を警戒するならいっそ二手に分かれちゃうとか? 向こうもキレイに分かれればヨシ、だけど 片側に偏るようなら姫を庇わせる形で反対側で引っ張ってくればよさそうだし
前衛がたりているなら、二手に分かれるのも悪くはない、ですけれども、ウォーリアがワタシしかいないので、ちょっと大変そうな気がする、です ノックスさんの懸念の通り、後衛が狙われると危険なので、二手に分かれるのはリスクが高いと思う、ます ボス相手に遠距離攻撃を試してみても良さそう、ですけれども、ボス知覚の手下が順番に斜線に割り込んで来た後に、回復スキルを使われると、あまり効果が出なさそうだと思う、です なので、序盤で一気に火力を出して殲滅にかかって、残った敵を足止めしつつ一体ずつ倒して行くのが良さそうだと思う、ます
無限沸きの個体ゆえ、思ったよりも軽く自爆を選択してくる可能性はあり得るが、 前提がボスの取り巻きだからな……こちらの前衛を無視して後衛狙いというのは、 守るべきボスが無防備にもなり、少なくとも開幕では、あまり行わなさそうにも思える。 戦闘が進むとどう判断されるか分からないので、その意味でも早くに数を減らせたら、とは。 遠距離攻撃は、積極狙い……こちらの戦術にメインで組み込むのは、中々難しそうだが、 位置調節等の選択肢として取っておくのは、私も賛成したい。 とはいえ、スキルなど含め無理なく用意できる範囲なら、が良いか。 ウォーリア1、シーフ1、ヒーラー2、シューター1、キャスター1。 ヒーラー(及びノックス)も前衛可として見ても、 一塊としてのバランスはともかく、二手だと私も配分が難しい気はするな……。 自身の立ち位置については、守りを固めて前衛位置に立とうかと思っていたが、 ボスも遠距離攻撃持ちなので、前後衛共にヒール・支援をすぐ飛ばせる中衛あたりにも、 1人はヒーラーを置いて、良さそうにも思えてきた。不要だろうか? 特に立ち位置にも構成にも拘りなどは無いので、役回りは不足分を埋めよう。
そっかー…じゃあ普通に縦型の前(中)後衛の配置で 開幕に範囲連打してできるだけ数を減らすー…っていう形でいいのかな? いまのところ前衛やる人が3人?いるし ボクも中衛位置に回復と範囲攻撃をセットして入ろうかなと
>アルマ ん。ごめんね。 俺らの戦闘不能回数、心配してくれてる? ありがとう。 質問は出発24時間前で〆ようと思ってるから、聞きたいことは今のうちで。
あー、なるほどな。 あんときは数が少なかったしそういうのもあるのか 了解、攻撃よりで組んでくるぜ 序盤でどれだけ減らせるかにかかりそうだし火力上げねぇとか 後衛への直接爆破は言われてるみたいに序盤はあんまりないかと思うぜ 知性があるらしいし手下の供給が止められてる認識はするだろうから自分の身を守る事を考えるなら通常より大事に使うんじゃねぇかな 警戒するならそれこそ遠距離攻撃か近接で狙おうとする動作をして圧かければ後衛に送る余裕ないんじゃねぇかな
すまん……もの凄く今更ながら、戦場の広さの単位読み間違えてた。 半円の直径が20mじゃなくて20ヘクスだな。 戦場のほとんどが自爆の範囲に入ると勘違いしてた…… >方針 とりあえず、序盤から火力を集中させて一気に削る方向性だな。 積極的にボスも巻き込むような攻撃をしていけば、取り巻きにボスを庇わせて ダメージを蓄積させられるし、全員での突撃も躊躇させられそうだ。 >個人行動 今のところ、単純に魔法威力を重視した範囲火力で削っていくか、 付与を高くしたスタティックフィールドにアーケインテンペスト改を合わせて 可能な限り敵の移動を封じるか、のどっちかで方向性に悩んでる。 今回で言うなら、手っ取り早く敵を削れる威力重視の方が良さそうか?
>個人行動 火力を出すために、闘気槌2、衝撃波2、鋭撃と、移動の補助にチャージング、足止め兼一斉攻撃用に殺界&エーテルブレードで行くつもり、です 範囲攻撃を重ねて一気にダメージを出して、鋭撃で各個撃破するか、殺界&エーテルブレードで足止めし続けつつ攻撃する、です あと、多分キャスターしか無いと思う、ますけれど、範囲遠距離攻撃を使う場合、ボスを対象に含めると、射線妨害で起点がずれる可能性がありそう、です 識別できない魔法を使う場合、味方を巻き込まないように注意が必要だと思う、ました
ああ、それならば中衛位置からの回復は、アルマに頼っても良いだろうか? 良ければ私は前衛に加わり、序盤はやや攻撃寄りに。 以降は同前衛中心に回復補助と、生命値が十分なら攻撃に動いてみる。 仮にそうすると、 攻撃は、範囲攻撃に闘気槌、離れた個体にも止めを刺せるよう衝撃刃or魔矢。 回復にはヒールと、自爆された場合の立て直しにヒーリングオーラ。 それで間に合わないならリヴァーオブヴァイタルあたりで、考え中だ。 支援には、火力強化に輝刃を。魔防など、他の強化が良ければ持ち替えよう。 バーネットの構成は、私も威力重視が頼もしそうに思う。 火力を揃えて、自爆される前に爆殺してしまおう。 識別外の攻撃については、もし使う者がいるならば、 他は手番をその後にずらしたり等、多少調整して動くのもありか。
>中衛位置からの回復 うん、まかせてー、武器の都合で支援は開幕のプロテクションくらいになるけど 治療強化もつけて回復力はしっかり確保していくね 回復は手数重視でヒールとサイドヒールにする予定だよ 範囲攻撃は識別のできるメテオライトにしてプレイング出してくるね
それでは皆様に合わせて私も闘気槌での範囲攻撃を行いますね。 回避スキルも合わせて持っていくので敵の攻撃はそれで対処します。 スキルの使用可能回数は少ないですが孤高の零距離殺撃者もあるのでそこそこの火力は見込めるでしょう。
>個人行動 そんじゃま、俺は威力重視で行こう。 メテオライト3とストーンブラスト3を使い分けつつ、 敵の移動妨害にアーケインテンペスト改を挟んでいく感じだな。
そうだなぁアタシは結局トリプルファングで攻撃回数を増やすのが限界だから 可能な限り上げてきたけど範囲やら火力やらは任せることになっかな トリプルファング、バーストストライク改が火力用で 後はよっぽど大丈夫だけど保険の回避と移動系で打ち漏らし狩りと圧かけるかんじかなぁ
アルマはありがとう、それでは先のスキル構成で、私も行動送信済みだ。 極力皆と狙いを合わせて範囲攻撃、難しい場合は弱った敵への止めや削り、 攻撃が届かない場合は火力強化、生命値を見て回復と、凡そそれらで埋まったな。 それでは、あとは現地で。 改めて、よろしく頼む。