這い寄るねっちょり
九蓮宝燈
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シナリオID:811
オープニング
迷宮都市エドゥノーグ、冒険者ギルド。
掲示板に貼られたさまざまな依頼書。
その中から今日はどの仕事を受けようかと選んでいる四人組。
リーダーのニックネームから、勇者パーティーと呼ばれている探索者達だ。
「今日はこれにしないか?」
ブレイブ・レオンハートが指したのは、近頃別枠組が大量投入されている一人用の枝場に出てくる、狭い穴にはまった冒険者にセクハラしていると思しき生物の調査。
なんでも、件の一人用の枝場の狭い穴の近くに、直径十センチ程の小さな穴が空いていて、その先は別の枝場に繋がっているのではないかという可能性が先日指摘されたのだとか。
その小さな穴の先はここではないか、と言われている枝場の調査依頼である。
「俺はこっちが気になるんだけど」
レイン・カミナギは別の依頼書を指す。
植物型魔獣の討伐とドロップ品の回収。ドロップ品はどちゃくそ美味しいいちごらしい。
「いや、こっちの方が報酬がいいぞ。いちごが食いたきゃ普通に金出して食えばいいじゃねぇか。これの報酬で十分食えるだろう」
自分の意見を推すブレイブ。
「このいちご、普通のより美味しいらしいよ」
レインも諦めきれない様子。
二人のやり取りをあわあわしながら見ているヒルダ。
ヒルダはいつもならブレイブにひたすら賛同するのだが、今回ばかりはレインに味方したくなった。いちごの魅力には抗えない。
「こっちにしましょ」
ノーレッジがブレイブの選んだ依頼書を指す。
「無防備なお尻を撫でまわす最低なヤツ! 乙女の敵は滅するのが正義よ」
ノーレッジの意見を聞いて少し考え込むレイン。ノーレッジはさらに一押し。
「終わったらいちごパフェ食べに行きましょうよ。私、おススメのお店があるの」
「ん……」
ちら、と隣を見るレイン。ヒルダと目が合う。
「ヒルダも、それでいい?」
急に話を振られてあわあわするヒルダ。
依頼はセクハラの犯人捜しで、終わったら一緒にパフェ、という話かなと、頭では話の流れを察しながらも、それとは無関係に脊髄反射で「はいそれでいいですっ」と返事。
「じゃ、セクハラのやつ受けよう」
レインが納得。そういうことで話はまとまった。
●不穏の足音
現地についた四人は一様に違和感を覚えていた。
妙につるりとしたチューブのような通路の洞窟。
洞窟タイプの枝場は珍しくはないが、こんなになめらかな壁のところは見たことがない。
水によってえぐられた跡もなければ、コケや茸などの生物の痕跡もない。
ところどころに黒灰色の泥のようなものがこびりついている。少し生臭い程度で特に異常はない。
「なんにもないのね。暗くてよく見えないから見落としてるだけかしら?」
ノーレッジが言う。
斥候役が立ち止まる。
「横穴あるよ。小さいけど」
ようやく見つけた通路以外のもの。四人の注目が集まる。
聞いていたような、人一人が這って通れそうなくらいの狭い穴だ。
軽く調査した結果、捜波が穴の奥の方に何かがいることを感知。
探波で探ったところ、穴の突き当たりは範囲に引っかかってこない。かなり深いようだ。
これ以上調査するには穴に入る必要がある。
しかし……別枠組は「狭い穴にはまって動けなくなり、救出されるまで執拗に尻を撫でられた」と揃って証言しているのだ。なんとも嫌な感じがする。
「俺、見てくるよ」
レインが名乗り出る。
レインは手慣れた様子で体にロープを結わえる。
セットしてある汎用スキルは暗視とテレパス。受信者であるノーレッジと二言三言やり取りして、正常に通信が可能か確認。
「不味いことが起きたら合図する。ロープ引っ張って」
悲壮にレインを見送る三人。この時皆はレインの尻しか心配していなかった。
●なんとかの呼び声
残った三人が周囲を警戒しながら、レインが戻って来たとき、着衣が乱れでもしていたらどう声をかけよう……のようなことを相談していた最中。
『逃げて』
ノーレッジがレインからのテレパスを受信。
「レインに何かあった! 引っ張って!」
逃げろと言われてもレインを置いてはいけない。まずはロープを引っ張る。
引きずり出されたレインは、手足をしびれさせ、酷く呼吸を乱して話せない状態だった。
「過呼吸です!」
ヒルダが素材回収用の袋をレインの口に当てる。
そしてブレイブがレインを担いで、少し離れたところに一時退避。
「レイン、説明して。話せないならテレパスで」
レインは度胸のある方だ。その彼がこんなに強いストレス反応を示すような何があったのだろうか。
「……すごく恐ろしい外見の魔獣だかクリーパーだかがいたみたい。もしかしたら何かの精神干渉スキルを持っているのかも」
ノーレッジから報告を聞き、ブレイブは撤退を宣言。
「レインがこうなった以上、深追いはできねぇよ。情報は得たんだ、切り上げるぞ」
「待って」
ノーレッジが覚悟を決めたように言う。
「撤退前にこの穴を拡げるわ。スキルを全部消費してでも」
現状の一人しか通れない穴は、その先にいるモノにコース料理を供するようなもの。
しかもその一人ずつが、レインのようにいちいち無力化されるかもしれないのだ。
対象無差別範囲攻撃を使えば、周囲の構造物を壊せることもある。次につなげるためにはこの行為が必要、とノーレッジは考えた。
「だがお前が例のものを見るかもしれないぞ」
「怖いモノがいるって私は知ってる。ノーヒントだったレインとは心構えが違う」
ブレイブが止めてもノーレッジは聞き入れない。
なので、ノーレッジにブレイブが不意の反撃への備えとして同行。ヒルダはレインを連れて、見えないところまで離れて待機ということになった。
ノーレッジは爆炎の使用回数を全部使って穴を内部から爆破。そして、壁の残骸をタイダルストリームで砕きながら押し流す。一度で流しきれず、こちらも使用回数を全部使い切ってしまった。
そしてノーレッジとブレイブは、『それ』の姿を目撃する。
ノーレッジは、予めレインから聞いた情報を持ち前の知識に照らし合わせ、相応の心構えができていたため恐怖に打ち克った。
ブレイブは気合いと根性、故郷の弟妹への思いで耐えきった。
その名状しがたき巨大な異形は、粘液を吐き出して岩壁を溶解。奥の方に逃げていった。
溶けた穴の向こうは、なんとも禍々しい遺跡だった。嫌な予感がしたノーレッジはブレイブを引っ張って引き返す。
勇者パーティーはギルドに帰還し、報告。
彼らの仕事はここで一区切りとし、追加の人員を募ってさらなる調査と、可能なら討伐。例の生物が逃げないうちに、この場で急募をかけて今すぐ出発。
余力のあるブレイブとヒルダは、情報共有がてらその第二陣を現地まで案内するために同行。精神的ダメージの大きいレインとスキルが枯渇したノーレッジは待機、ということになった。
「レイン、大丈夫か?」
「なんかだるい。けど、俺も行く」
気遣うブレイブと、同行を希望するレイン。
しかしレインの顔色はまだよくはない。
「いや。無理せず待ってな。帰ってきたら、俺もいちごパフェ付きあってやるからよ!」
ブレイブは泥にまみれたレインの頭を撫でる。
レインは嫌そうな顔をしつつも、椅子から立とうとはしなかった。
解説
マスターより
リプレイ
エドゥノーグ冒険者ギルド。緊急の募集に応じた六人。
フリーダ=ブロムヴィストとクローリカがブレイブ・レオンハートとヒルダに相談する。
「まずは遭遇した方々からどんな見た目だったのかを確認したいのですが」
「ああ……そりゃそうだよな。一人は具合がよくねぇんだが」
正確な情報を提供するにこしたことはないが、メンバーの体調管理もリーダーの仕事。ブレイブは考えこむ。
「思い出すのが苦痛なようなら無理強いはしません」
クローリカは配慮する姿勢だ。
「ぁ、あの……ぐ、具合の悪い方とは……?」
ぷるぷると涙をためてララノアが尋ねる。
ブレイブは可能ならララノアに余計な心配をかけたくなかった。だが依頼内容からバレているのでごまかすことはできない。
「あぁ。レインだ……」
勇者パーティーの二人、ノーレッジ・レオンハートとレイン・カミナギが待機する控室。
「レイン様! ご無事ですかッ?!」
「……ララノア? なんで君が」
事情をブレイブが説明。
「ブレイブ。俺も……」
「お前は待機。ララノアは行く。これは決定したことだ。わかるな?」
きっぱりとブレイブ。レインは渋々納得。
ララノアに触れようとして手が汚れているのに気づき、引っ込める。
「無事に帰ってきてね」
それだけ告げた。
「あの……お二人はどういう関係なんですか?」
様子を見ていたヒルダが尋ねた。
「ララノアは、俺の大事な人」
鳥の枝場。レインの人生の間でそう何度もないような重要な岐路で、力を添え、心を繋いだララノア。その上、レインでも判別できるとなれば、特別な存在になるのは当然の流れだった。
フリーダとクローリカがレインとノーレッジに聞き取りを行う。
しかしレイン、説明下手。言葉では埒が明かないので図に描かせてみたら、お芋さんのような楕円にピッピッと謎の線が刺さった下手くそな絵ができた。
「記憶の抑制してます?」
クローリカが訝しむ。
「してないよ」
涼しい顔でレインが答えた。
「似てなくはない」
ノーレッジが助け舟を出す。
「形状は芋虫っぽくて、頭にたくさん触手が生えてたわ。ちょうどこの図みたいに」
レインの絵を指先で示しながらノーレッジが説明。
「すごくグロテスクなの。サイズも大きくて十メートルくらいあったわ。だからクリーパーじゃないわね。上層だし」
「能力はわかりますか?」
フリーダが問う。
「出会いがしらに精神干渉スキルっぽいものを使われた……と思うわ。不自然なくらい怖かった。それと、粘液を吐いて岩壁を溶かして逃げたわ」
ノーレッジから引き出せる情報はこのくらいか。
「ブレイブ様はいかがでしたか?」
フリーダが今度はブレイブに水を向ける。
「すげぇキモかった! 俺は長男だから我慢できたけど」
語彙力が酷い。あるいは記憶の抑制かもしれない。
事前情報はこのくらいだろうか。
「あの謎のねっちょり生物の被害を受けた友人のためにもなんとかしたいですね」
と、クローリカ。
「乙女のお尻をなで回した報いを受けさせてあげます!! 被害を受けた知人のために」
ぐっとコブを握るトーラ。
ちなみに今日は杖をメインにした魔法使いコーデ。緑が似合ってとてもかわいい。
「君らは友達思いなんだね」
レインは美しい友情だなぁと思っていた。
●神性が夢見る遺跡
一同は目的の枝場へ。
「ただのセクハラかと思ったら、もっと厄介な存在がいたわけですわね」
歩きながら、レナ・フォルトゥスがねっちょりの前評判との落差を指摘する。
「なんていうか、何かしらが作ったかのような感じのダンジョンでしたわね」
レナは手前のエリアの構造の違和感が気になっていた。
つるりとした壁面、残留した黒灰色の泥。
粘液で岩盤を溶かす巨大魔獣が掘った巣穴と仮定すれば辻褄があう。泥は粘液の残滓であろう。ならば洞窟の断面と魔獣の胴回りはほぼ同じになりそうなもの。体長十メートルの芋虫のサイズにしては、天井高がありすぎるような……?
フリーダの神の啓示では『いあいあはすたあとか割と有名ですよね』とあったらしい。
「見ると精神ダメージを受けるとは厄介ですね。皆様頑張りましょう」
よくわからないが、とりあえず皆を励ますフリーダ。
「見えると拙い、か……」
サマエラ=フォリウムは事前情報を受けていくつか見ないで済む方法を用意していた。
(レイン様は心配ですが……ぃ、今は集中です!)
ララノアは杖を握りしめる。
「って、ひぃぃっ……何ここ既にとても怖い!」
ララノアの松明が照らした、壊れた壁の向こう。幾何学的に狂った線と形で構成された異様な遺跡。奥からむわっとした熱気が流れてきている。
感受性の強い者なら見ただけで狂いそうな空間だが、標的はここに逃げ込んだのだ。入るしかない。
「熱さで空気が揺らいでるせいでしょうか。遺跡の建物が四角にももっと多い多角に見えるような……?」
目で理解できないならエーテルで。トーラは探波で周囲の構造を把握しようとするが、物理法則を無視したような奇天烈な感触が返ってくるばかり。
「エーテルが上手く通らないというか、わたしが上手く認識できない感じです……」
得体の知れぬ不調を感じたトーラはそれ以上のスキル使用を控えた。
「遺跡の調査は本筋ではないですね。魔獣を追跡しましょう」
気を取り直したトーラは、今度は捜波で敵性存在の反応を探る。
「二時の方向に三体の反応があります」
「よし……いきますわよ」
レナが気を引き締める。魔術知識により恐怖への抵抗を試みる。
全員が臨戦態勢で敵へ接触する。そこにいたのは体長一メートルほどの芋虫だった。
グズグズの表皮、悪臭、伸び縮みする卑猥な粘液塗れの触肢。誰かが小さな悲鳴を漏らす。
「気味が悪いだけでなく、悪寒がする外見ですね……。あんなのがわたしのお尻をなで回し……」
トーラに集まる視線。
「間違えました知り合いのお尻です」
被害にあったのは知り合い。いいね?
幼体との遭遇で発狂した者はいない。
(容赦はしないわ)
レナがエーテルを練り始める。
サマエラはサーマルアイを解除し超聴覚一本に。敵は変温動物らしく、温度で感知するよりも視覚のほうが早い。しかし粘液の音はサマエラの耳に敵の位置と動きを伝えてくれる。
サマエラの光塊を纏った祭刀が振り下ろされ、レナの爆炎が幼体を薙ぎ払う。
トーラが無数の光球を流星のごとく降らせ、気味の悪い幼体は動かなくなった。
あっさり倒せたのはいい。しかし。
「聞いていたよりも小さかったですわ。きっと今のは幼虫。別の個体……親がいると考えるのが妥当ですわね」
レナが考察を述べる。
「ああ。俺達が見たのはさっきのとは別のヤツだ」
ブレイブが肯定。一同は探索を続行することに。
●炎熱の獄
平衡感覚を狂わせる遺跡を抜けたら、真っ赤な空洞に出た。
「敵の反応は溶岩の中です」
トーラが捜波の結果を共有する。
フリーダとサマエラがサーマルアイを発動。クローリカが衝撃刃で敵を刺激し釣り出す手筈となった。
レナが杖を握り精神を集中する。
(どんな奴が来ようとも確実に倒すわ)
人の可聴域を超える奇声。盛り上がるマグマ。敵が姿を表す。
レナの意識はそこで暗転した。
サーマルアイを用意していた者含め、同行者の殆どが正気を手放してしまったのを見てブレイブは動いた。
「俺が皆を守るッ!」
巨大な芋虫に殺気をぶつけ、横に回り込む。動けない者から敵を引き離す作戦だ。
ブレイブを注視している芋虫は汁気のある音を立てて触肢を蠕動させる。熱く重い巨体を直立させ、ドシンとブレイブにのしかかる。
「やめろぉ! そんなところに入って来るな!」
ぬめりのある触肢がベルトの隙間を探りブレイブの服の中に侵入する。はい、服の中です。
最初に正気を取り戻したのはヒルダ。
「わ、私が頑張らないと……! 役に立たなきゃ……レインさんの大事な人を守らなきゃ」
見ればブレイブが大変なことになっているではないか。慌ててヒールをぶっぱ!
「ブレイブさんを助けないと……! ほ、他の皆さんは……?」
危機に直面したフリーダは神との繋がりが深化していた。
「視聴者の皆さんもご覧の通り(この能力以外は大したことは)ないです」
「人に戻れなくなりますぅ!」
ヒルダのツッコミを他所にフリーダはRTAを続行。
「じゃけん前衛として敵を殴り飛ばしましょうね~」
その台詞は不思議なイントネーションだった。フリーダの表情はまるで淫夢を見ているかのように恍惚としている。
ヒルダが見たとき、クローリカは正常そうに思えた。
しかしその目は焦点があっていなかった。
「こんな冒涜的な存在は一刻も早く駆逐しなければならない」
ぶつぶつと繰り返されるのは呪詛か祈りか。
エーテルを纏った細剣を芋虫に振り下ろす。
その仕草は細剣のような繊細な武器に向いたものではなく、やたらめったらに棒で打ち据えるような、本能的で野蛮な動きであった。
引きつった笑いが空洞に反響する。
サマエラは胎児のように丸まって夢の中にいた。ここはぽかぽか温かくて気持ちいい、短時間なら。
「あんねい……。あんねいは、しずかなねむりにおとずれる……ぐぅ」
サマエラの恐怖への反応は嗜眠だった。
戦況はカオス。執着切れでブレイブをねちょるのをやめた芋虫は粘液を吐き散らかしていた。
前衛のフリーダの服は粘液を浴びて紐状。ヒルダが癒やすので怪我は治っているが服の穴は塞がらないのだ。少女の瑞々しい肌が赤熱した溶岩に照らされて艶めいている。
「ヒールが足りないんです! 起きてください!」
「いやだ、まだねる……でもいちごぱふぇは、あとでたべたい……ぐぅ」
サマエラは起きてくれない。このままではフリーダが裸になるだけでは済まなくなってしまう。
涙目のヒルダは思い出した。もう一人ヒーラーがいたことを。
ララノアは恐怖の絶頂にいた。
オババ様が言ったとおり森の外は怖いところだった。
怖すぎて、怖すぎて――ぷつり、と音がした。
――――全て、壊れればいいのに。
「……ふふ。……ねぇ……。私の愛しい人に……意地悪したのは……お前ですかぁ?」
溶岩に投げ込まれた松明がボッと燃え上がる。
「……そうです……怖いものは全て……壊してしまいましょう……」
声は妙に凄みがあり、危険な色気すら孕んでいる。
ゆらり、と傾ぐ身体。その足さばきはいつものドジっ娘ではなく、瞬きの間に芋虫との間合いを詰めて。
「ディバインストライク」
「びえぇレインさぁんレインさぁぁん!」
ヒルダ、無様に号泣。
だが言霊はララノアの心を揺り戻す。
「ハッ! 私は何……を? ちょ、近っ! 気持ち悪い! いやぁっ」
「まーだ時間掛かりそうですかね~?」
硬い芋虫に、もう限界突破で謎の光頼りのフリーダが焦れる。
「私の推理が正しければ、これでっ!」
正気を取り戻したクローリカが水袋を投げる。中は大量の冷えた水。
魔獣討伐にエーテルは必ずしも必要ではない。マグマに出入りするのを見て温度差を攻撃に使えるのではないかと推理したのだ。
目論見は当たって芋虫は収縮し黒化、動かなくなる。
「も、もう一人がおられませんでし!」
勝利の余韻もそこそこに、レナを介抱していたララノアがトーラの不在を指摘。
トーラは混乱し逃走、遺跡の中にいた。
「ダ、ダメ、ここに居たらお尻だけじゃなくあんなとこやこんなとこまでねちょねちょされちゃうー!」
しかし、成体から逃げたつもりが、幼体の群に突っ込んでいた。
囲まれ、触肢に押さえつけられたトーラ。
ふっくらしたほっぺたがベロベロちゅっちゅされる。次いで、ローブを捲くりあげた触肢が、コンプレックスである脚をねっとり這い上がる。
「嫌ああぁぁああ!」
太腿になすりつけられた熱い粘液の感触にトーラは混乱の極致へ。辛うじて対象識別が機能したメテオライトが幼体を次々ふっ飛ばしていく。
地熱で髪に寝癖、頬に岩の跡がついたサマエラが爆音を頼りにトーラを発見、回収。抱き上げてブレイブに渡す。
脇の下を手で支える縦抱っこでホールドされたトーラ。足はまだ逃げる動きをしており、ブレイブの脛を連続キック。
「いててて……全員無事か?」
人数確認。ブランケットを巻いている者などがいるが怪我人は回復済。
「脱水症状を起こさぬうちに、帰還するべきだ」
サマエラが提言。全員分の水分補給の用意はない。
「じゃ、帰っていちごパフェだな。皆もどうだ?」
標的討伐を以て作戦完了、帰投ということになった。
しかしレナは訝しんだ。
(本当にこれで全部倒したのかしら? それにあれが例のねっちょりだっていう証拠は出てないわ)
●いちごパフェ
地上、フルーツパーラー前。
ララノアはレインの背中の後ろで痛む頭を押さえていた。
「レイン様は……もう平気ですか?」
「うん。ララノアに会えたから」
レインは平常運転。
「私もいちごパフェを頂きます。(他人の後始末をしたんだから)当たり前だよなぁ?」
「ああ、いちごパフェでもアイスティーでも好きなもの頼んでくれよな」
若干狂気の残ったフリーダにブレイブが答える。ちなみに替えの服はノーレッジが貸していた。女にもラキスケにも縁のないブレイブはギクシャクしている。
「ここは本当にオススメなんですよ」
ノーレッジがサマエラとレナとクローリカ相手にオススメメニューを解説。
「あの……大丈夫でした?」
ヒルダがはぐれてしまったトーラを心配する。
トーラは憔悴した様子で無言だ。
この店は冷凍庫を持っている。美味しいいちごパフェのポイントは三種のアイスクリームだ。味はバニラ、ベリーヨーグルト、チーズ。季節の果物とジュレを多用していて見た目以上にさっぱりしているのが特徴。
甘すぎるのが苦手な人にはコーディアルがオススメ。
いちごパフェをかきこむトーラに、ブレイブが「もう一杯食うか?」と自分のを差し出す。食欲がなくて手を付けていなかったのだ。
「……洞窟の先には、何もありませんでした!」
一杯食べ終えたトーラが一言。忘れたいことがあったらしい。
レインはララノアを壁側に座らせその隣に自分が陣取っていた。
「パフェとは……大変美味でして……ッ! いちごも……。とろけてしまいますねっ」
「うん。美味しいね」
しかし今日は怖かった。今夜は暗がりに怯えそうだし、眠れてもうなされそう。
ララノアはポツリと弱音を吐いた。
「今日はもう……帰りたくないです……」
すかさずレイン。
「そう。じゃ泊まっていく?」
「加減しろ馬鹿!」
ブレイブの平手がレインの額をバチコンと叩いた。
レインは合理的判断をしたつもりだが、ブレイブが怒るならきっと何か間違えたのだろうと思い。
「送っていくよ」
と、言い直した。
後日。
また一人用の枝場で尻を撫でるねっちょりが出現したらしいという報告が入ったという……。
マスターコメント
ショートシナリオR普通 報酬:標準6 / 4〜6人
2021年04月26日 08時53分28秒 公開
相談掲示板
シーフのトーラです。 知り合いがねっちょりした何かにお尻をなで回されたらしいので敵討ちに来ました!( 身動きとれなくなったところをなで回すんだから弱い魔物だと思ってたのに意外と厄介みたいですね(ぶつぶつ)
ひ、ヒーラーの…ら、ララノアと…もも申しましで(あわ みみみみなしゃま宜しくお願い致しましゅるでしッッ!!(がばちょ ただのせ、セクハラさんでは…なかったようでしね… ぇっと、ぇぇっと…なんだかとても…怖そうな…?(カタカタ) 狂気とはどのようになるのでございましょう…(はわわわ 方針としましては…倒してしまうのか…そこまではやりきらないのか… ま、まずはそこにございましょうか…
ウォーリアのクローリカといいます、今回はよろしくお願いします。 例のモンスターはかなり曲者ですね…。 (どこからかメモ紙が飛んできた) …何でしょう、何か書いてありますが。 一時的狂気表 1 気絶あるいは金切り声の発作 2 パニック状態で逃げ出す 3 肉体的なヒステリーあるいは感情の噴出(大笑い、大泣きなど) 4 早口でぶつぶつ言う意味不明の会話あるいは多弁症(一貫した会話の奔流) 5 探索者をその場に釘づけにしてしまうかもしれないような極度の恐怖症 6 殺人癖あるいは自殺癖 7 幻覚あるいは妄想 8 反響動作あるいは反響言語(探索者は周りの者の動作あるいは発言を反復する) 9 奇妙なもの、異様なものを食べたがる(泥、粘着物、人肉など) 10 昏迷(胎児のような姿勢をとる、物事を忘れる)あるいは緊張症(我慢することはできるが意思も興味もない。 強制的に単純な行動をとらせることはできる ……これは?
クローリカ様、メモ…申し訳ありません…! とととりあえずご挨拶をと書き込みまして…読み切れておりませぬでした!(へこー ありがとうございまし(がばちょ)
そうでした。 目標を決めないとですね。 わたし的には根絶して二度とあんな目に遇わないようにしたいですけど、無理だった場合は情報を持ち帰らないとですね。 一時的狂気…これは行動できなくて場合によっては何も出来なくなりそうですね…。 抵抗を上げても一般判定なので意味はなさそうです…。サルベーションとかで回復できないものでしょうか?
ゴブリン、ヒーラー。サマエラだ。 よろしく頼む。 方針は、そうだな……倒せるに越したことは、ないな。 討つつもりで用意しつつ、危うければ見切りをつけられるよう、 消耗状況や狂気の状態などで、撤退に移行する条件も定めておくような、感じだろうか? と、不思議なメモも、あるようだが……何かの参考に、なるやもしれないな。 (提示、ありがとう)
相談中失礼するぜ! こっちはそこまで話題になってねぇけど一応な! OPに関わることでワールドガイドの更新があった。 なんか事情があって、このOPの公開のほうが早くなっちまって、遡及的な適用になって申し訳ねぇ……。 具体的には青銅級探索者記章に関してだ! ワールドガイド>都市や地域について>詳しくは辺境都市群もご覧ください>迷宮都市エドゥノーグ関連テキスト>探索者認定等級制度>授恵者向け探索者認定等級の配布ルールについて(2021/4/17追記) こっちを確認してくれると助かるぜ! 引き続きよろしくな!!
キャスター、森羅万象爆裂魔人こと、レナ・フォルトゥスですわ。 奇っ怪生物の調査…しかも、外見が精神にクル奴… 確認してから、状況次第で討伐ね。 とりあえず、よろしくですわ。
ウォーリアのフリーダです。よろしくお願いします。 普通に見てしまうと恐ろしい怪物の様ですね。 つまり、視界に頼らずに戦う事ができれば大部分は解決しそうですが… 何にせよ狂気に全員囚われると碌な事にならないのは間違いないようです。
でも、人類ってのは、視覚で頼る生き物だから、「見る」という行動は確実にあってしまうわね。 逆に言うと、「超嗅覚」や「超聴覚」および「ソナー」などなら、見ずに居場所を判断できるけど、やはり、攻撃の際にはつい見てしまうんじゃないかしらね。 それと、連中の弱点とかは、まだ把握できてない(メタ視点では分かっているけど)けど、攻撃を幾つか入れておこうかしらね。
うーん…タグを見るに…コメディにも…シリアスにも振り切れる…ということでしかねぇ…(メモ眺めながら Σぶ、ブレイブ様…ご連絡ありがとうございましで!(ぺこちょ >方針 では…基本的には討伐で…む、無理はせずに、危なくなったら撤退ということでしね…しょ承知いたしまして(こくこく さるべーしょん…念のため…お、お持ち致しますでしゅ!!
わたしは使えないんですけど、サーマルアイは通常の視覚と併用できないみたいですし、そちらの視覚で見れば大丈夫かもしれないですね。 ララノアさんサルベーションありがとうございます!
探索者記章、どこに記載があっただろうかと思ったら、公開順がずれてしまっていたのか。 確認した。ブレイブは、連絡をありがとう。 そうしたら、行動は撤退も考えながら……どのくらいまで、粘ろうか? 主目標が情報入手というのもあるので、2名も継戦困難になれば、もう撤退すべきだろうか? 狂気についても、最悪動けない間ブレイブがどうにかしてくれる、やもしれないが、 それも含めて、条件設定すべきか、否か。 と、敵については、サーマルアイで見え方自体を変えてしまうのは、なるほど。 それも情報になりそうなので、私の方で一度、試してみようか。 超聴覚も併用しつつ、でき得る限りは直視も避けるように、気を付けてみる。 戦闘面は…… 私は前衛寄りに位置し、ささやかながらレゾナンス・オブ・ヴァローで、 抵抗の底上げなどしてみようかと、思う。あとは回復と、手が空けば攻撃も。
>撤退条件 ぅぅーん…た、確かにブレイブ様が何とかしてくれるとのことで… 狂気での離脱はさほど考えなくても…いいのでしょう、か… せ、成虫相手だと…少し怖いようなきもしましゅるが… …幼体は…倒してしまいたいような…。そこでの消耗具合で…成虫へ挑むか決めるというのも… >個人行動 後衛にて…回復と…きょ、狂気にかかってしまった方へ…サルベーションいたしまし…っ ぁぁあとは松明を…投げてみようかと…思っていますでしッ
いざというときはブレイブさんを頼っていいと思います。 コメディですしね。 少しくらい羽目を外してみるのもいいかもしれません。 前衛はフリーダさんとクローリカさんに任せて、わたしは杖と範囲魔法を持っていきますね。 …ねっちょりに近付きたくないからジャナイデスヨー.
ふむ……そうだな、 それでは狂気の対処は、それもまた醍醐味ということで、ある程度ブレイブに頼ってみよう。 ならば、撤退条件については、 ・幼体撃破時点で戦闘不能者がいる ・戦闘不能者が2名以上となった ・スキル切れ等も考慮して継戦困難と判断すれば ……くらいで見ておけば、無理ないだろうか? 問題なければ、私の方で記載もしておこう。 もし文字数に余裕なければ、「撤退は撤退条件に準拠」等書いてもらえれば、 文字数削減にもなるかなと、思う。
ひとまずそのような感じで、プレイングは提出済みだ。 不足あった場合は……私は以降、確認が難しそうなので、 済まないが、誰か改めて記載を頼む。 味方と齟齬があれば味方に合わせる、とは書いておく。 それでは、現地でもよろしく頼む。
サマエラ様…いろいろと有難うござましでっっ(ぱたぱた ててて撤退については準拠と、か、書かせていただきましね! 私も提出いたしまして…現地でよろしくでしrっっ(ぺこー