研究資料を回収せよ!
ゆうきつかさ
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シナリオID:776
オープニング
冒険者ギルドにやって来たのは、ボロボロの白衣を着た研究者パラケルスであった。
パラケルスは解毒剤を調合している途中で、中型クリーパーに襲われ、命辛々逃げてきたようである。
幸い、中型クリーパーの狙いは、解毒剤の中に含まれていた何かであったため、命を奪われる事はなかったものの、二度の襲撃によって研究施設は破壊され、灰まみれになりながら冒険者ギルドまでやってきたようである。
「中型クリーパーのせいで、色々なモノを失った。だが、吾輩が生きている限り、研究を止める事はない。まあ、依頼されていた解毒剤の方は間に合わなくなってしまったが……。それでも、吾輩を必要としている者が、この世に存在している限り、ここで諦める訳にはいかないのだ。そこで吾輩の研究跡地から、可能な限り研究資料を回収して欲しい。まあ、それっぽいモノを何冊か持ってきてくれれば、それでいい。正直、何もないよりはマシだからな」
パラケルスが荒々しく息を吐きながら、コップに並々と注がれた水をグイッと飲みほした。
「ただし、ひとつだけ気を付けてほしい事がある。おそらく、研究所の跡地には、中型クリーパーがいるはずだ。別に倒す必要はないが、場合によっては戦う事になるだろう。ただし、中型クリーパーは強い。迂闊に戦えば、大怪我をするほど危険なヤツだ。だから研究資料を回収する班と、中型クリーパーを相手にして時間を稼ぐ班に分かれた方が良いかも知れない。まあ、吾輩は研究資料さえ回収してくれれば、それでいいのだが……。それじゃ、よろしく頼むぞ!」
そう言ってパラケルスが、報酬の入った袋をテーブルの上に置くのであった。
解説
マスターより
リプレイ
「パラケルスさん、だいぶボロボロになっていましたね。それだけ酷い目に遭ったのかも知れませんが……」
エヴァン・ピオネロは仲間達と共に、依頼主であるパラケルスの資料を回収するため、研究所跡地にやってきた。
その場所は中型クリーパーに襲われ、瓦礫の山と化していた。
そのため、問題の資料が何処にあるのか、まったく分からない状態であった。
「どうやら、中型クリーパーに襲われたようすからね。そのせいで、積み上げてきた実験資材とかが壊れちゃったのは、マジでかわいそうす……。農民的には収穫前に畑がヤラれたみたいなもんすものね」
マタリキー・T・ヒーローが、同情した様子で口を開いた。
実際に、被害は甚大。
元通りにするためには、莫大な資金が必要となるだろう。
「確かに、研究施設を破壊されたのは痛手ですが、パラケルス様が生きていれば、まだ研究を続ける事が出来ます。とにかく、研究資料を回収せねば研究もおぼつかない事でしょう。ちなみに、掲示では『こういう博士は、やがて大変な事をしでかすのがテン=プレ』と出ていますが、何か意味があるのでしょうか?」
そんな中、フリーダ=ブロムヴィストが、不思議そうに首を傾げた。
噂では、リーンエス王国で活動をしているアットホームな慈善団体が、パラケルスに対して資金提供の話を持ち掛けているようである。
あくまでパラケルスから聞いた話なので、何処まで本当の話なのか分からないが、その団体は人類の平和と救済のため活動しているらしく、団体員は家族と同じ扱いらしい。
この時点で普通なら『あ、これヤバイヤツ』と思うところだが、パラケルスはノリノリであった。
「まあ、妙な連中が近づくようであれば、またその時に対処すればいいだろう。それよりも、これだけのダメージを受けて、まだ研究を続けようとしている熱意は買わねばなるまい。私としてもパラケルスのメソッドが如何なるものか気になるのだ」
ナタリア・フィッツジェラルドが、警戒した様子で辺りを見回した。
パラケルスの話では、中型クリーパーの外見は岩石に酷似しているため、擬態して身を潜んでいる可能性が高かった。
実際に、瓦礫の山と化した研究所跡地には、幾つも岩があるため、そのうちのどれかが中型クリーパーであったとしても、おかしな話では無かった。
「とにかく、急いで資料を回収しましょう。中型クリーパーが、いつ現れるのか分かりませんし……」
そんな中、エヴァンが採掘道具を使って、研究所跡地をザックザクと掘り始めた。
研究所跡地は大量の灰に覆われていたものの、研究資料等は壊れた本棚の下敷きになっていたため、見つけ出す事は思ったよりも難しい事ではなかった。
その中には、中型クリーパーが暴れた影響で破れてしまったモノや、灰で汚れてしまったモノもあったが、何とか読む事が出来るため、別の紙に書き写す事は出来そうである。
「いや、もうここにいるようだな」
その途端、アルベルト=V=シュタールシュヴェーアトが、ただならぬ気配を感じ取り、チャージングで瞬間加速しつつ、ダマスカス鋼の大太刀Reを握り締め、一番大きな岩に向かっていった。
その岩は他の岩と比べて不自然なほど大きく、今にも動きそうだった。
「グガァァァァァァァァァァァ!」
次の瞬間、岩に擬態していた中型クリーパーが、勢いよく飛び上がり、力任せに拳を振り下ろした。
「遅いっ!」
間一髪で、その攻撃を避け、躊躇う事なく斬り掛かると、中型クリーパーの反撃を警戒して、その場から飛び退いた。
「シャアアアアアアアアアアアアアア!」
しかし、中型クリーパーは諦めておらず、大量の灰が積もった地面を削り取る勢いで拳を振り回し、物凄い勢いで迫ってきた。
「……そこまでだ!」
それを迎え撃つようにして、ナタリアが光縛封で祈りと共に、光輝を放つ六角形の柱を作り出し、中型クリーパーを足止めした。
「お前がパラケルスさんの研究所を! ……ここはお前の縄張りではないですよ!」
それに合わせて、エヴァンがメテオライト2を発動させ、大量の小さな光弾を雨の如く降り注がせた。
「ピギャアアアアアアアアアアアアアアアア……!」
そのため、中型クリーパーは逃げる事が出来ず、大量の小さな光弾を喰らって、悲鳴を上げた。
それでも、この場所が自分のナワバリだという気持ちが強いのか、殺気立った様子で唸り声を響かせた。
「よほど、この場所から動きたくないようですね。ならば、こちらも力を示すだけです……!」
そんな空気を察したフリーダがシーザーロアを発動させ、言葉と共にエーテルを叩きつけ、中型クリーパーの怒りを呼び起こした。
「キィシャアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
その挑発に乗った中型クリーパーが引き寄せられるようにして、フリーダの後を追って研究所の跡地から離れていった。
(さすがに、この人数で中型クリーパーの相手をするのは荷が重いか。それに今回の目的は、資料の回収。それまでの時間を稼ぐだけであれば……!)
アルベルトが覚悟を決めた様子で、紫電一閃と戦士の一断を繰り出し、中型クリーパーを斬りつけた。
「ギギ……ギギギギ……ギィィィィィィィィィィィィィィィィィイ!」
だが、中型クリーパーはまったく怯んでおらず、傷つく事も恐れず、自らの拳をハンマーの如く振り下ろした。
幸いアルベルトには当たらなかったものの、中型クリーパーの身体を包み込む勢いで、大量の灰が舞い上がった。
「掲示では『特化した相手は、特化した故に対処が簡単』と出ています。ならば、やる事はひとつ」
その隙をつくようにして、フリーダが毒撃2を仕掛け、ダマスカス鋼の大剣に光を纏わせ、中型クリーパーに斬り掛かった。
その影響で中型クリーパーの肉体が蝕まれ、異様なニオイが辺りに漂った。
「これ以上……、邪魔はさせません! これでも喰らって、溶けていなくなれ……!」
そこに追い打ちをかけるようにして、エヴァンがアシッドブリットで緑色の光弾を飛ばし、中型クリーパーを牽制した。
「……グ……ギ……ギ……」
続けざまに攻撃を喰らった事で、中型クリーパーの身体は脆くなっており、まるでタマゴがヒビ割れるようにして、星形の傷が胸元に広がった。
それは中型クリーパーの心に、恐怖の種を植え付け、芽生えさせるのに十分な出来事だった。
「さっきまでの威勢は、どうした? 俺達を殺すつもりでいたんだろ? だったら、全力で掛かってこい!! ……死ぬ気でな!」
そんな空気を察したアルベルトが鋭撃を繰り出し、中型クリーパーの肉を抉って、大量の返り血を全身に浴びた。
「……ピギャア!」
その事に危機感を覚えた中型クリーパーが、悲鳴にも似た鳴き声を響かせ、飛び跳ねるようにして逃げていった。
(……ここで深追いは禁物か)
アルベルトが、その場にグッと踏み止まり、ダマスカス鋼の大太刀Reについた血を払った。
あくまで今回の目的は、研究資料の回収。
その事を思い出したため、中型クリーパーの追撃を諦め、回収作業を手伝う事にした。
「持ち運べる数に限度があるすから、優先順位を設けておくす。これで、ある程度、厳選できるはずすから……」
その間、マタリキーは瓦礫の山の中から資料を回収し、それに優先順位をつけていた。
優先したのは、最近まで使っていた形跡のあるモノ。
パラケルスの話では、中型クリーパーに襲われるまで、とある解毒剤の研究をしていたため、それに関係ありそうなモノを優先して、マジカルポケットの中にしまい込んだ。
次に優先したのは、クリーパーに関する書物であった。
クリーパーに関する資料は、パラケルス独自の考察があるため、使い物になるのか怪しいところだが、とりあえず麻袋に放り込む事にした。
「どうやら、大半の資料を回収する事が出来たようですね。ぼくも手伝いますから、残りの資料を回収しましょう」
エヴァンがマタリキーに駆け寄り、一緒になって資料を分類し始めた。
資料の中には、原型を留めていないモノや、ボロボロになっているモノもあったが、可能な限り集める事が出来たため、パラケルスから文句を言われる事はないだろう。
「ある程度、回収すれば良しと言っていたが、どれも重要そうだな。とくに、これは大事なモノのようだ」
そんな中、ナタリアが残留思念反応を使いつつ、書物に残されたパラケルスの思念を読み取ろうとした。
残念ながら、だいぶ時間が経ってしまっているため、その反応は乏しかったものの、パラケルスの熱意だけは感じ取る事が出来た。
「これが一番大事なモノすか。確かに、他の書物と比べて、大事にしているようすね。えーっと、何々……強化鎧……変身……ん? なんすか、これ……」
マタリキーがパラケルスの書物をパラパラめくり、沢山のハテナマークを頭上に浮かべた。
どうやら、パラケルスの夢と希望が書かれたモノで、どれも妄想の域を脱していなかった。
その途端、脳裏に過ったのは、黒歴史……という言葉であった。
おそらく、パラケルスにとって、見られたくないモノ。
資料としての価値はないかも知れないが、パラケルスにとっては大切なモノだった。
「それは……とりあえず見なかった事にしておいた方がいい」
ナタリアが複雑な気持ちになりつつ、マタリキーから書物を受け取り、バックパックの中にしまい込んだ。
「そ、そうすね。何も……見なかったす。正直、何も分からんかったす」
マタリキーが納得した様子で、先程見たモノを心の奥底に封印した。
「それにしても……これだけ崩壊している状態で、どうやって研究を続けるんでしょうね? 誰かしらパトロンを見つけないと辛そうな気がしますが……まさか妙な連中と絡んだりしませんよね……?」
そう言ってフリーダがパラケルスの言葉を思い出し、瓦礫の山と化した研究所跡地を眺めるのであった。
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:多い5 / 4〜10人
2021年04月13日 18時26分55秒 公開
相談掲示板
キャスターの…エヴァン・ピオネロです。 パラケルスさん…暫くぶりにお会いしたらボロボロです…。 研究資料を…少しでも無事に掘り起こせるように… クリーパーは引き離しましょうか? 人手が多ければ倒せるでしょうし…ともかく頑張りますね。
ヒーラーのナタリア・フィッツジェラルドだ。宜しく。 全身が岩石の如く硬質化している、ともなれば物理攻撃の通りは悪そうなうえに殴りや体当たりの威力が書かれているだけに接近戦に際してはこれらに注意するべきだろう。 ただ主な目的は研究資料をある程度回収する事だから、目安と言える3ターン分だけでも時間稼ぎが出来れば十分じゃないかな? 私からは動きを制限されそうな所に追い込む事が出来たら、光縛封で足止めを試みるくらいか。 持っていく一般スキルは、資料検索と看破だ。
>何となく、それっぽい事をしていれば、見つけ出す事が出来るので、難しい事を考える必要はありません。 これありがたいすね。ウォーリアのマタリキーす。今回はよろしくす。 皆さん顔見知りで気楽さ抜群すね。へへ。 研究資料の回収、すね。 こっちにも人手がいりそうな気がするんすけど、確かに資料検索とかがうまく効きそうな気がするすね。 俺は……フリーダ先輩がいらっしゃるなら、とりあえずウォーリアは2枚いる、と考えると、研究室側に回るのもいけそうす。 一応、マジカルポケットもあるんで、がっと色々麻袋に詰め込んでガガッと持ち帰る感じのムーブはできそうす。 倒すなら慌てて資料周りでガチャガチャしなくてもいいし、資料以外の試薬なんかものんびり回収したり使いまわせたりするんで、そっちがいけそうならそっちでも良い気はするす。
確定…ですね!ヨロシクお願いします。 ぼくは誘き出す(倒す?)役に回るつもりです。 物理攻撃持ちの人が多く居たら、アシッドブリットをしますし 少ないなら足止め系の魔法を使おうと思ってます。 倒せるか…どうかは別として(倒すつもりで挑みますよ) 現状の4人なら、足止め役が3人、掘る役が1人位でしょうか?
ウォーリアのフリーダです。よろしくお願いします。 基本的な流れとしては囮役・回収役に分かれる形ですね。 それでは私は囮役として行動したいと思います。 方針としてはシーザーロアで注意を引いておびき寄せ、 後は回収完了まで耐えうる形をと考えています。 今回の相手は物理攻撃に特化している以上、 こちらも物理防御を固めていけばそれなりに耐えうるかと。
解毒薬の中に含まれた何かが狙いだそうだから、マタリキーが仮に資料検索を担ってくれるというなら私は残留思念反応を使ってみよう。 解毒薬のサンプルというか、使った材料の類があればそれでクリーパーにとってその材料はどういう意味があるのかを確かめられるのだから。 足止めというか、願わくば倒すつもりで臨みたいか…… 囮役をも担うのならば、指示さえ飛ばせば最適な場所に光縛封を設置しておくぞ。
ウオーリアのアルベルト=V=シュタールシュヴェーアトだ。 よろしくな。 締め切りギリギリの参戦すまない 俺は、囮役として参戦するつもりだ。 スキル等は攻撃に特化しているぜ、中型クリーパーは倒すつもりで攻撃するぜ
アルベルトさん…! 物理の方が更に増えたのでアシッドブリットを持ちますね。 光縛封があるなら、もう1枠はアイアンウォールにして クリーパーが研究所側に向かったら、これ以上粉砕させないように壁ドンで止めますよ。 物理防御を固めるのは難しかったので、後衛に徹させて貰います。 改めて…宜しくお願いします。
資料検索、準備できたす。 麻袋もたくさんもちこんだんで、運び出すのは任せてほしいす。 パラケルスさん、今後も研究ができるといいすね……。