春の苺スイーツフェス!
椿油
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シナリオID:769
オープニング
「ねぇ聞いた? エドゥノーグダンジョンでイチゴが採れるらしいわよ」
「えっ、カカオの次はイチゴ?」
「それも大粒の!」
「甘いって聞いたぞ」
……などなど、噂が広がる、とある冒険者ギルド。
「折角だし、この前みたいにフェスにしない?」
一人の受付嬢が人差し指を立てて提案する。
「でも、そんなに採れますかね……?」
「採れなかったら責任は私が持つから」
少々あやふやな情報ではあるが、確認したという人もちらほらいる。賭けてみたいのだろう、彼女は。
「よーし! そうと決まったらチラシ作って配るわよ!」
「はっ、はい!」
受付嬢達が準備を始めたのが、春が始まる丁度この前の話だった。
●そして今
「苺スイーツフェス開催中で~す!」
受付嬢が、『イチゴ普及度』と書かれた紙を指さしながら宣伝している。どこかで見たようなピンクと薄茶色のチラシにイチゴ型のマークが、フチだけ書かれていた。
「エドゥノーグでイチゴが採れるかもしれないこのビッグチャンスに乗りませんか? 持ち帰って下されば、なんとイチゴのスイーツを我々受付嬢が作っておもてなししちゃいます!」
そしてこそっと耳打ちする受付嬢。
「個数限定なので、早い物勝ちですよ……!」
かもしれない戦法は、吉と出るか凶と出るか? それはエドゥノーグダンジョンの神のみぞ知る。
解説
マスターより
リプレイ
「春一号……はるいちごー……はるいちご……?」
ネーミングの仕掛けに気付いてしまったのはマタリキー・T・ヒーロー。
「確認なんすけど、春一号の苗を持ち帰る? のではなく、イチゴそのものすか?」
念の為ギルドで聞いておく事にした。
「あっ、苗が持ち帰られるのであれば是非お願いします!」
とある受付嬢はそう答えた。つまり苗は任意であると、マタリキーは認識した。
「チョコの次はいちごか……ま、息抜きには丁度いいかもな」
ただのいちご摘みだと思っているケン・Z・ブラッドリー。
「……エトゥノーグのダンジョンは何でもありだな。ここ最近は頭を使わねばならん事ばかりで疲れてきている所だ。脳の栄養補給、が出来れば嬉しいがね」
ナタリア・フィッツジェラルドも、軽いストレッチの気分で収穫したいとは思っている。だが、懸案事項は……イチゴに擬態した、魔物の存在であった。
「上層の浅い場所とはいえ、油断は禁物でございますよ」
念の為ゴリラを連れて来たハリーヌ・ヨツユビ。高所に生えていたりしても、ゴリラに背丈のカバーをしてもらう事が出来そうだ。
「普通のイチゴと同じ外見なのかな?」
月はそこが気になるが、ダンジョン内での目撃者がイチゴイチゴと言っているのだからほぼ同じなのだろうとは見当がつく。
「美味しそうですね、これはぜひとも一枚噛まなくては」
美容と健康に効くイチゴを求めて。シャロン・ラ・モリエールが揃った所で、いざエドゥノーグダンジョンの目撃地点へ出発だ。
●イチゴ群生地
「おー、本当にダンジョンにいちごがなっているのか」
ケンもびっくり、見てすぐ分かる範囲にイチゴらしき低木が見える。素晴らしいぞこのダンジョン。
「よしそれじゃあ収穫す……実が無いぞ、これ」
ハズレだったらしい。既に誰かに取られたのか、魔物が食べたのか。まぁこれが魔物じゃないだけマシかと割り切り、次のイチゴを探しに歩くケンだった。
「匂いは……普通のイチゴすね」
マタリキー曰く、匂いは普通のイチゴ。ただそれが魔物かどうかは別である。
「ひとまず確かめるとしましょう。この小石を……」
ハリーヌがイチゴの葉っぱに小石を投げてみる。特に何の反応もない。そろりそろり近づくも、やはり何の反応もない。どうやら本物のイチゴだったようだ。
「面倒すねこの作業……」
「魔物でしたら大変でございますからね」
バンダナにくるみ、麻袋にくるみ、さらにマジカルポケットで収納する三重構造のハリーヌ。
「しかし、目撃情報通り 妙な場所から生えているのもあるな……」
壁と天井の間から生えているのを発見したナタリア。
「イチゴなってるすか?」
「のようだが」
見える範囲にはイチゴが一粒。ハズレの株でない事は確かなので、とりあえずハリーヌの収穫作業を終えた頃合いを見て、ゴリラの肩車で採取してみる事に。
「こんな時のゴリラでございます……おっと?」
イチゴだったところがぱっくりと割れてキシャーと唸る。
「魔物か!」
ナタリアが声をあげる。ハリーヌも急いで後ろに下がるようゴリラに指示し、その場は事無きを得た。
「イチゴを摘み取ろうとしたら指喰われてアウトって事すね」
「指が減る所でございました、危ない危ない」
ただでさえ小さい手指がこれ以上無くなったらビジネスなどやっていられなくなると思ったハリーヌだった。ヒヤヒヤものである。
「……離れれば攻撃はしないみたいだな」
射程範囲は冒険者一人分といったところだろうか。
「ささ、次を探しましょう」
ゴリラから降りたハリーヌは次の苗を探しに行くのだった。
●ランナーを求めて
月とシャロンは二人でイチゴとその苗を探す。
「おっ、ありました」
「真っ赤で大きいね~」
無事、魔物じゃないイチゴを発見。ひときわ大粒だ。
「普及にはこれが肝心ですよ!」
事前に用意しておいた料理用の入れ物に、掘ったイチゴの株を土ごと入れる。根付いた頃に取りに来ればオッケーだ。
「ついでに受粉させとこうか~」
指で花粉を移し、人工授粉。イチゴがより多く実る事を願って。今なっているイチゴの方に栄養が行かないよう、赤くて熟していそうな物から少し長めに切断する月。
「あと……あっちにもあるね、行く~?」
「多い方が終わった後の楽しみも多いですからね!」
イチゴを柔らかめの布を敷いた鍋に入れつつ、シャロンは向かってみる。
「キシャー!」
「あっ」
左には魔物イチゴ、右には二株目のイチゴ。
「採取中に襲われてもいけませんし、倒してから収穫しましょう!」
「だね~」
シャロンが蛇のように動く魔物イチゴを《見切り》でかわし、月は魔物イチゴの口に魔矢を放つ。イチゴ部分が潰れると、ぐったり動かなくなった。
「……なんかすごい勿体ないように見える」
「とりあえず、思ったより弱い事は分かりましたね……」
噛まれなければいいのだよ、噛まれなければ。というわけで引き続き採取に励む二人だった。
●イチゴ狩りは甘くない
ケンは未だにイチゴをゲット出来ずにいた。
「これもハズレか……ん? 何だこの狼?」
それは月が探索の為に連れてきていた狼、バルバトス。
「わう!」
「こっちに来いって?」
「がう」
バルバトスに先導されて一緒に行くと、シャロンと月を発見した。
「バルバトス、ケンを見つけて来ちゃったのか〜」
「ははは、やっぱりいたなシャロン」
ペットだと分かったバルバトスに干し肉をやりつつ、シャロンをからかうケン。
「えっ、やっぱりってなんのことですか?」
「そういや、二人共どれくらいイチゴ見つけたんだ?」
シャロンが両手を使って数え始めた。
「そんなにゲットしてるのか! 負けてられねぇ」
ケンも意地でイチゴの苗を探す。ようやく実が沢山なっているのを見つけたが……ケンは知らなかった。魔物イチゴの存在を。
「キシャー!」
「キシャー!」
「キシャー!」
「なっ!?」
「あ、そうそう 魔物イチゴ気をつけてね~」
魔物イチゴが三体現れた。
「なるほど……イチゴ『狩り』というわけか、いいだろう……狩ってやるよ!!」
半分キレながら《闘気槌2》でイチゴ頭をぺっちゃんこにする勢いで叩き斬ったケン。まさかイチゴ狩りがここまで手間取るとは思わず、息切れぎれである。
「ああ疲れたぁぁ! 何でイチゴ狩りで魔物のイチゴ狩りしなくちゃいけないんだよ!」
「お疲れ~。あ、これジャーキーのお礼!」
月がその間に採っていたイチゴを口にねじ込まれたケン。
「むぐっ!?」
「私からも残念賞です」
シャロンからも口にねじ込まれる。
「もぐっ、これは……甘い!」
イチゴ狩りは甘くなかったが、春一号は美味しいと一足先に感じられたのだった。
●イチゴが先か魔物が先か
マタリキーは、道中で何回か出会った魔物イチゴを見つめていた。
「どうされました? 次のイチゴはこちらでございますよ」
マタリキーは考え込んでいた。
(こいつが今回のイチゴに似たのではなく、コイツからこのイチゴが生えるようになったりしたのでは……?)
やけに形が瓜二つである。そう思うのも無理はないかもしれない。
「農家的にみて、ここまで形質が似るのはまあまあ珍しいんすよね……一応、魔物の死骸持ち帰ってみていいすか?」
「どうぞ、ワタクシはスイーツに相応しい量を採っておきますので」
というわけで、壁から生えている魔物イチゴを《衝撃刃2》でちょっきんしておく事に。頭を潰さなければ、まぁまぁぐったりしているだけのイチゴである。
「まさかトレントの系譜じゃないすよね……」
木の魔物がいるのだから、イチゴ株が魔物だったって……実際の所どうなのだろう?
「確かに、言われてみれば似すぎているな……」
ナタリアも納得。そういえば今まで生えていた魔物イチゴの半分近くが妙な場所から生えていた気もしたが、関連しているのだろうか。そう思いつつハリーヌの周りを警護するのだった。
●総計と報酬の甘いスイーツ
数時間後。
「さて、どれ位集まった?」
ナタリアが数えてみる。ざっと大粒が20個以上あるのでオーケーだろう。ランナーはシャロンの分と他にもハリーヌが採った分含めて15本程度だ。
「シャロン様は頭が良いでございますね。もしこれが栽培できれば、迷宮に潜らずとも美味しいイチゴが食べられるでございます!」
称賛の拍手をぺちぺちぺちと贈るハリーヌ。
「あとこの魔物イチゴのランナーは数えなくていいすからね」
ついうっかり混じりそうになっていた。危ない、食べる所だった。
「やけにぐったりしてると思った~」
あらかた採り尽くした。さていよいよご褒美スイーツタイムだ。ちなみにダンジョン内に残してある株もあるのだが、変動して消えてしまわないようにシャロンは半分ほど持ち帰る事にしたのである。
ダンジョンから出てギルドに戻り、受付嬢達にイチゴを渡す。
「わぁ、こんなに! しかも苗まで!」
「頑張りました!」
シャロンが微笑む。
「皆さんはスイーツの希望、ありますか?」
別の受付嬢が伝票っぽい紙を用意してきた。
「特になければイチゴパフェにしますけど」
「じゃあそれで~」
数十分後、人数分のイチゴパフェがドンと席に置かれた。
「出来立てです! 召し上がれ!」
冒険者達の目が輝く。
「こんなオシャレな食べ物は初めてでございますね……!」
ハリーヌが一口、まず食べてみる。
「こ、これは……! お高く売れるイチゴに違いないでございます! ぜひ、栽培してみてほしいでございます!」
ハリーヌも興奮する美味しさ。
「既に苗はギルドの庭に植えておきましたので、次の収穫をお待ちください!」
と受付嬢の一人が言う。これからはダンジョンに潜らなくとも、路地イチゴが楽しめる。
「根付いた頃に、今度こそイチゴ狩りするぞ!」
頑張れケン。シャロンが楊枝にイチゴを刺して分けてくれたので、美味しく頬張ったのだった。
「どうです? 甘いですか?」
「甘い……!」
ケンも感涙する甘さ。
「本当に甘いすね、ところで魔物イチゴの生態、その死骸で分かるすか?」
「研究しておきますね」
魔物イチゴの一つは好奇心旺盛な受付嬢の一人にお持ち帰りされたのち、いずれイチゴが先か魔物が先か分かるだろう。
「疲れた脳に効くな……!」
ナタリアの全神経に染み渡る甘酸っぱさ。
「今の時期ならではだね~」
じっくりと味わい、完食する頃には全員至福の笑みを浮かべていた。
「また次のイチゴの時期にパフェを食べましょう!」
シャロンも言う通り、旬の時期はそう長くない。次の収穫を楽しみにしつつも旬のイチゴが待たれるのであった。
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:標準6 / 4〜6人
2021年04月12日 21時32分51秒 公開
相談掲示板
次はイチゴでございますか? 品質のよいイチゴは高値で売買されるとか…このイチゴはお金になるのでございましょうか? 是非とも、この目と舌で確かめてみたいでございますね。
ルナだよー。よろしくね。 イチゴ食べたいねー! 魔物が混じってるみたいだけど植物交感で絞れるかなー。
シャロンです。シスターをしております。 スイーツフェスと聞いて! よろしくおねがいしますね。
これは幸運の星(未取得)が輝く気がするっすね……マタリキーす。よろしくお願いするすよ。
皆さま、よろしくお願いいたしますよ。 イチゴを見つけるのも重要でございますが、傷つけないように持ち帰るのも大変そうでございますね。 バンダナでくるんでバックパックに入れると良いでございましょうか? 魔物がいるそうでございますから、マジカルポケットが安全でごさいますかねぇ。
今更で悪いのですが、取ってくるのは実を10個でしょうか? だとしたらハリーヌ様のおっしゃるように一工夫要りそうですね。 苗といいますか、ランナーなのかなと思っていました。 普通に考えたら実ですよね……。 一応ランナーも取ってきます。
…確かに、実を10個ではワタクシ共のお腹も満足できなさそうでございますね。 迷宮の外で育てられるのか不明でございますが、ランナーも採ってまいりましょう! 魔物はどう見分けるのが良いでございましょうねぇ。 石をぶつけて反応をみる…でも多少はわかるのでございましょうか。
ランナー取得、ご協力ありがとうございます! みんなで試せば誰か一人くらい正解を引け……たらいいなあ。 戦闘はどうしましょうね。 戦ってイチゴを踏んづけたりしたくないので、攻撃されたら防ぐくらいの気持ちでいました。 シーフの方や高レベルのシューターの方がいれば捜波で行けそうですけど……
そうすね。攻撃は避けつつ、でいいかと。耐える分にもそんなに辛くはなさそうすから、いちごの品質重視で。ランナーも了解す。 そういや、マジカルポケット、ハマりそうすね。取ったあと、バンダナで包む間に攻撃されたりすると敵わないので、そのあたりのタイミングをフォロー出来るようにしてみようと思うす。
では、魔物に関しては慎重にまいりましょう。 マジカルポケットはワタクシ、持っていくでございます。 バンダナでくるんで麻袋に入れ、さらにマジカルポケットに入れれば完璧でございましょう!
ヒーラーのナタリア・フィッツジェラルドだ。 滑り込みの参加で失礼するが、宜しく。 チョコの次はイチゴと、甘味尽くめと聞いて参じた次第だ。 持っていく一般スキルは、1つは看破でもう1つは採集にするつもりだ。 採った分はマジカルポケット持ちに任せるだけ任せて貰おうとも考えていてな……採集の代わりに私もマジカルポケットを持っていくのもアリだが。
同じくギリギリ参加のウォーリアーのケンだ なんか変わった敵がいるみたいだし楽しんでいこうかな