『小さな』脅威
夜団子
コメント 15
シナリオID:616
オープニング
リーンエス王国北部。王国内でも内陸に位置するこの街は、争いとは基本的に無縁の地域だ。それは領主の政がよいからか、単純に立地がいいだけなのか……住人達には知る由もないことだが。
それでもどうしたって、『不運』は発生するもの。そして大抵の不運は、最も弱い者へ降りかかってしまう。
「おにぃちゃん……まってぇ……」
「おまえが勝手について来たんだろー」
「だって、だって、森にいくっていうから……」
小さな妹の手を引く、まだ幼さの抜けきらない少年。子どもだけで歩くには“森”という場所はいささか不安が残る場所。だが、彼らにはその脅威を把握しきれてはいなかった。というのも、街の郊外に住む彼らは木こりの子どもであり、父がいつも森に入っていくのを見送ったり、弁当を忘れた父へ届け物をしたりと日常的に森に近づいているのだ。そしてそれを大人たちが止めないのは、この森は安全であるという認識があるから。
狂暴な魔獣も、バルバロイもいない小さな森。獰猛な肉食動物も少なく、採取にくるには最適な場所であるため、薬草や果実を採りに中へ入る者も多い。
大人が警戒しなければ、それは子どもたちにも伝播する。特に冒険心の強い男の子がここを遊び場にするのは、ごく自然な流れだった。
「おまえがいたらみんなを誘えないじゃんかー……今回だけだぞ?」
「うん……っ! おにぃちゃん、今日はどこまでいくの?」
「うーん奥まで行ったら僕がよくてもおまえは体力が持たなそうだし……近くの泉くらいにしよう。それで満足しろよー?」
「はーい!」
手を繋ぎ少年少女は森を進む。程なくして開けた場所に、小さな泉があった。小動物たちが喉を潤すような、小さな泉。初めて見たそれに、少女は歓声をあげる。
「すごい! 井戸のお水みたいにすきとおってる!」
「危ないから水の中には入んなよー」
少年は手を離した。水の中に入らなければ、溺れる心配もないだろうと思って。初めて見る泉を、妹に覗き込ませてやろうと思って。
手を離した。
「おにぃちゃん! 泉のお水、すごくつめたくてきもちい」
水柱。少女にかかる影。突如現れた大きな蟲。イモムシのようなそれは、先端の口を大きく開けて。
少女へ食らいついた。
●『小さな』脅威
「それでは今回の『小型』クリーパー討伐依頼についての説明を始めます」
眼鏡をかけた、ハーフリングの女性ギルド職員が、淡々とした声色で依頼内容を読み上げた。その口ぶりは無機質に感じるが、その瞳には明らかな怒りの炎が揺らめいている。
依頼内容は単純だ。とある森にて発生した小型クリーパーの討伐。王国北部に位置する街の郊外にあるその森は元々危険度が低い割に薬草が良く採れる、優秀な採取場所だと知られていた。しかし、あるときから『行方不明者』を出すようになる。
「ギルドの方で調査を行ったところ、『行方不明者』……いえ、はっきり言いましょう。『犠牲者』は把握しているだけですでに六人。そしてそのすべてが、幼い児童です」
彼らは当初、小さな『不運』として片付けられていた。人さらいに遭ってしまったのだとか、誤って街の外へ出てしまったのだとか。だが六人目の被害が出たとき、その不気味さから調査が行われた。その結果判明したのは、彼らはすべて、森に消えていたということだった。
「唯一最後の足取りがつかめているのは最も始めに被害に遭った兄妹です。彼らは森の浅い場所、泉にて靴のみが落ちていたことで消えた場所の把握がされました。しかし、その泉には何度も人が訪れており、帰って来た者の方がほとんどであることから、泉に脅威は見られていませんでした」
六人目になるまで原因が特定されなかったのはこのためだ。多くの者が森に入っても問題はなく、子どもたちが入ったときのみ脅威が牙を剥く。その法則に気が付いたとき、調査団はひとつの結論を出した。
「今回のクリーパーは『小柄の者を襲う』特性がある。実際、調査のためハーフリングとドワーフの冒険者を少数派遣したところ、クリーパーが現れました。イモムシのような体を持つ『小型』クリーパー。集団で森の中を巣食っているようです」
一息。そして彼女は眼鏡を直して冒険者たちに向き直る。
「このことから、流れ者や旅人のハーフリングやドワーフが『把握されていない犠牲者』になっている可能性が高いと判断されます。近隣の住人はヒューマンがほとんどだったために児童が狙われたのでしょう。……このような悲劇をもう繰り返さないために、お力添えください」
彼女は、身長が140㎝ほどしかないハーフリングの彼女は、深々と頭を下げた。そして強い意志をこめて冒険者たちを見まわす。
「僭越ながら私、オクタヴィアが囮となってクリーパーをおびき寄せることが許可されております。無論、皆様の中に条件が当てはまる方がいるならば、私は足手纏いでしょうし留守番いたします。そのあたりの判断もまとめておまかせします」
危険に晒されるとしても事態解決を優先する。そんな意思が、彼女の瞳からは感じ取れることだろう。
冒険者たちは討伐依頼のため、話し合いを開始した。
解説
マスターより
リプレイ
「大丈夫か? 視界も悪いし気を付けろ」
「は、はい、すみませんありがとうございます、御堂さん」
御堂・秀哉に抱き留められシャルロッテはその頬を少し赤らめたものの、依然その表情は固い。それは秀哉も含む冒険者たち全員が同じだった。
強敵への不安、ではない。相手はクリーパーの中でも小型、油断さえしなければ後れを取ることはない。彼らの心を重くしている、もしくは怒りに駆らせているのは既に出てしまっている犠牲者たちのことだ。
「犠牲になってしまった子供たちの事を思うと胸が痛みます……」
「ああ。所詮知性の無いクリーパー相手だ、怒るのは筋違いなのかもしれんが……まだ年端もいかない子供達ばかり狙うってのは許せねぇ」
小さく拳を握ったシャルロッテにうなずき、ディアンも憤懣やるかたないといった様子だ。ヴィノニスも「子供や小さな人ばかりを狙うクリーパー……ちょっと、許しがたいのよね」と怒りを露わにした後、「特に子供を狙うだなんて、とんでもない!」と吐き捨てた。孤児院で子供たちの世話をしその成長を見届け続けている彼女にとって、それはなによりも許しがたい蛮行だ。
「子供達の将来を奪うなんて……許せないわね」
「ああ……子供が死んでるって思うと気分が滅入るぜ。別に大人なら犠牲になってもいいってわけじゃねぇけどよ。オレにも小さい弟妹がいるからどうしても重ね合わせちまう」
もし、『不運』に出くわしたのが自分の弟妹だったら。そう考えるだけでぞっとする。だからこそ普段はビビり……用心深いギャメルはその信条を捻じ曲げてでも囮としてこの討伐戦に参加した。子供を食い殺された、人々のために。
「予測しろってのが無理な話だけど、原因を知った周りの大人たちの心情はいかばかりかー……」
そう呟きながら同じく囮組のアルマ・ヴァレンタインは出発前のことを思い返していた。
アルマたちと同じ、ハーフリングのギルド職員オクタヴィア。彼女は自分が囮になることも覚悟していたらしい。だが、戦うすべを持たない彼女を戦場に連れて行くのはリスクが高すぎる。
それは出発前の出来事。
「オクタヴィアさんにはボクたちに任せて待っててほしいな」
サイズ的には要件バッチリだし! アルマはそう胸を叩いてオクタヴィアに笑いかけた。自分たちを信じて安全な場所で待っていて欲しいと。
「今回のケースならわたしでも囮になるし、気にしなくていいわ」
ギルド職員の仕事はわたし達のサポート。身体を張るのはわたし達の仕事。そうアヴェラ・ウッチェロが重ねればオクタヴィアは素直に引き下がった。戦う力のない自分が足手纏いになることを、口惜しく思っているようではあったが。
「あんたの思いはある程度理解できるつもりだ。母親として真っ当だし、あんたみたいな母上なら子供も立派に育つだろう」
そんな彼女をなだめるように秀哉が声をかける。「だからこそ、母上が傷だらけで帰ってきたら、旦那も子供も悲しむだろ?」。そう続ければオクタヴィアは肩の力を抜いて「そうですね」と答えた。
「ここはひとつ、僕たちの顔を立てると思って、さ。任せてよ」
「ん、全部撃破してくるよ。それに、もしかしたら他にも似たような事が起きてるかもしれない。情報の拡散? 共有? みたいなの出来るなら任せてもえぇかな」
もう犠牲が出ないように。そうフリューリングスルフト=ティエラが最後に笑いかければ、硬かった彼女の表情は少し和らぎ、「お任せください」と出発する冒険者たちへ頭を下げていた。
彼女とした約束のためにも。この森の脅威は排除しきらねばならない。
「これ以上被害を出さないために、オレたちでクリーパーを倒すぞ!」
「おう! 俺らで根絶やしにしてやらぁな!」
「みにまむ級のボクにとっても他人事じゃない気がするしね」
「ええ。これ以上子供も、小柄な大人も、誰も犠牲にしないように……かならずクリーパーを全て倒しましょう」
意気込む彼らを前に、フリューはぽりぽりと頬を掻く。フリューも長く、食う為に罠を仕掛け武器を持ち生きてきた。だから許す許さないというのはよくわからない。
「一応、理にはかなっちゃいるんだろうな。喰える大きさだから喰うってのは」
「……そうだねぇ~生きる為食う為に狙う獲物を絞って、身を潜めて動くのは自然なことさぁ」
「なら、僕たちだってやる事をやっても、向こうだって文句はないだろ」
生存競争だ、と真剣な面持ちの秀哉に、フリューはんふふと笑った。その通り。依頼だからこの刃を全力でもって振るうのだ。遠慮なんてする気もない。
「敵は食われる側になったちゅうことさぁ。ぜーんぶ狩ってこようさぁ♪」
それぞれの士気が高まっていく。それと比例するようにして、目指す泉との距離も縮んでいった。
「……向こうと、こちら側にも数体。正確な数まではわからないけれど、水中にも潜んでいるわ」
「音を聞く限り、水の中には一体くらいしかいないと思う。でもそいつもおびき寄せないとね……」
「そっちにはオレが行く。幸い相手の技量を確認する頭はないみたいだしな」
ブランケットを括り付けた右腕を掲げて、ギャメルはニッと笑う。念のためな、と呟いて己を含む囮三人に防御を固める魔法をかけた。三人はうなずき、警戒しながらそれぞれの担当エリアをゆっくりと歩く。
他の五人は茂みに体を隠し、息を潜めてその時を待っていた。クリーパーたちが姿を現し、囮の彼らが襲われるその瞬間を。
ガサガサッ
葉をかき分ける音が、アルマの真横から、アヴェラの頭上から、響き渡る。敵の位置をつぶさに確認し不意を突かれないよう警戒しつつ襲いやすいようゆったりと歩く二人。
ギャメルも少しずつ泉へ近づいていった。泉の淵へたどり着き、その清らかな水を覗き込む。緑色の良く見慣れた顔が、そこに映った、瞬間。
———バッシャァァッ!
水柱。ギャメルにかかる影。突如現れた大きな蟲。芋虫のようなそれは、先端の口を大きく開けて。
ギャメルに食らいつい、
「っお出ましだなクリーパァー!!」
クリーパーの牙は未だギャメルの肉を裂くことはなく。何重にも巻き付けたブランケットを噛ませてギャメルはその一撃を受け止め切った。
時を同じくしてアルマ・アヴェラの方にも襲撃があった。ギャメルの方でクリーパーが出現したことで一瞬二人の気が反れたタイミング。そこを狙って彼らは飛び出す!
「さて、出て来たわね」
奇襲を警戒していた二人はそれぞれ初撃を危なげなく躱した。その体を地面に転がし、掠れたうめき声を上げたクリーパーたちは、その体を歪めて口のある先端を持ち上げる。くば、と開かれたその口には鋭い牙がびっしり。生理的嫌悪を催す醜悪さを持ってアルマとアヴェラに迫る。
ズズ……ズ……
土と湿った体が擦れる耳障りな音がいくつも重なって響き始める。ぼとり、ぼとりと大地を打つ音も。久しぶりの食事を見つけて、隠れていた他のクリーパー達も姿を現し始めたのだ。計画通り———そう呟きながらアヴェラは煽るように両手の爪で素早く目の前の芋虫をひっかいた。
「のろまね、おいつけるかしら?」
知能はなくとも、馬鹿にされたことはわかったのだろう。クリーパーは低く吠え威圧しながら、愚直にアヴェラのあとを追った。
「ギャメルさん! 大丈夫!?」
「おう! 回復は自分でする、だからもういいぜ! やっちまってくれ!」
囮組三人が一カ所へ集う。彼らが引き付けたクリーパー達は彼らにたかっていき森の開けた空間を埋め尽くしていった。ギャメル達が無力な者達であったら絶望的な光景だが。
彼らは、“狩る者”だ。
「光縛封!」
祭刀を掲げエーテルを編むアルマ。その力は光となり、強固な壁となった。集まった三人をまとめて、とり囲うように光の檻が展開する。六角柱のそれは三人を閉じ込めているようでありながら———その実、彼らをまとめてクリーパーたちの狼藉から守り抜いた。
そして同時に、その目立つ光柱は仲間たちへの反撃の狼煙となる!
「うおおおお!!!」
雄たけびを上げて茂みから飛び出したディアン、その斧による一閃がクリーパーたちに叩きつけられる。巨大な光塊を勢いよく叩きつけられた芋虫どもは口から黒緑の液体を吹き出しぺっしゃんこに潰れ倒れ込んだ。小柄なアルマ達を襲おうと我先にと集っていたのもあってその光塊に轢き潰された数は多く。無事だったモノも戸惑ったようにその身を捩り歩みを止めた。
致命的な隙だ。
「ちょっと眩しいかもしれないけど、大丈夫。安心して。味方は巻き込まず、敵だけを———チリ一つ残らないぐらい燃やしてあげる。わたし、怒ってるのよ?」
戦場に魂の輝きがきらめく。ヴィノニスが生命力を糧に魔力を高め———その力を注ぎ込んだ星と見間違うほど大量の光弾。それが彼女の怒りに呼応するように、容赦なくクリーパーへ降り注いだ。
ぎゅうぅあア゛ア゛ッッ!!
光弾がその身に穴を開けその体を焦がし。クリーパー達はやっと悲鳴らしい悲鳴をその大口から奏でた。だが未だチリには程遠い。有言実行と言わんばかりに、ヴィノニスがもう一度命を燃やそうと杖を掲げるが。
「傷つく者へ癒しの光を———ヒーリングオーラ!」
それよりも早く、清廉な声が戦場に響き渡る。祈りの込められた光はオーロラのように美しく周囲を満たし、その下にある者達の傷を癒していく。囮となって受けた傷も、敵を滅するため己で削った魂も、一様に。
「シャルロッテ!」
回復に夢中になっていたシャルロッテへ迫る影。それにいち早く気が付いた秀哉は素早くシャルロッテとクリーパーの間に体を滑り込ませた。その食らいつきの攻撃を大太刀で受け止め、ギリッと歯を噛みしめ耐える。
「ちぃ……! ヒトの女に……手ぇ、だすなって……!」
思わず漏れたその言葉、背中に庇われたシャルロッテに届かないはずはなく。
「御堂さん……っ」
「あ、いや、今のは……な、何にも言ってない、言ってないって、ほんとほんと……!」
「こらこら、いちゃつかないの」
秀哉の大太刀に食らいついていたクリーパーが、バラバラに引き裂かれ地へ転がる。飛び込んできたアヴェラは二人に小さく肩をすくめてみせた後、軽やかな足取りでクリーパーの攻撃範囲から逃れた。
「全滅させないとね。有利な場所に引きずり出しましょう」
アヴェラが戦場を駆けまわる———それは、囮組がその身を守る檻をすでに解除していることを意味する。
「レゾナンス・オブ・ヴァロー!」
齧られたくない口の形してるからね、とアルマは淡い光で仲間たちを包み込んだ。身体を強化し、心を奮い立たせるエーテルの輝き。それによって戦場で戦う仲間たちの動きが格段に上がった。
しかし輝きによって目立ったことで、アルマはクリーパー達に目を付けられてしまう。ただでさえ狙われやすい彼女に向かい複数のクリーパー達がその牙を向け———
「小さいものを狙う、せやね。それは食うための知恵さぁ。でも」
その顔面にナイフを突き立てられ、真横に蹴り飛ばされた。
「ざぁんねん、今度はお前らが食われる番さぁ! 木の葉の下になんか隠れんほど刻んでやる!」
もう一方、利き手に握った剣を間髪入れずにその体へ叩き込む。短剣のダメージで唸るばかりだったクリーパーにそれが避けられるはずもなく。真っ二つに分かれたクリーパーはしばらくその体をうねらせていたが、やがて動かなくなった。
アルマのお礼に軽く笑い返すも、フリューの脚は止まらない。早く、速く、疾く。
「疾く走れ。一歩で敵より速く。二歩で風より速く。三歩で貫け我が刃」
口にするは呪いの言の葉。言い聞かせるようにそれをこぼせばフリューのスピードはますます跳ね上がる。
見付けたクリーパーの位置を叫べば、近くにいた秀哉がその息の根を止めた。
「こっちにいる敵はいくらか受け持つ。きみは変わらず遊撃を続けてくれ」
大太刀の血を払い、周囲のクリーパーへ殺気をぶつける秀哉。彼の傷を癒しながらシャルロッテも頷いて見せた。この二人ならば、他を掃討するまでの時間稼ぎは十分にできるだろう。
一方で、泉付近。泉の水を濁しながら、いくつものクリーパーが吹き飛ばされてはその命を散らしていた。
「エーテルブロー!」
「オラッ! 逃がすかよ!!」
近づけばディアンの光り輝く斧とアルマのエーテルを纏った祭刀が次々とクリーパー達を無残な姿に変えていく。それを目の当たりにした一部のクリーパーは恐れを成して、泉に逃げ込もうとこそこそ移動を始めた。そしてそのまま。
ドォォンッ!!
入った瞬間雷撃に焼かれた躰が泉にぷかりと浮かんだ。
「逃げようったってそうはいかねぇぞ! これで少しばかりは祓い清められるといいんだけどな」
祈雷を召喚していたギャメルがそう呟く。本来は穏やかで子供の遊び場にすらなっていた場所。そこへ巣食い彼らを襲ったクリーパーどもに、確かな怒りを籠めながら。
「……終わったわね」
静かになった森の中で、改めて索敵していたアヴェラが頷いた。クリーパー達は全滅。今回現れた脅威は取り除かれた。
「子供達の遊び場に、本物の危険が混じった。これが今回の悲劇ね」
今後も同様のことが起きないとも限らない。だが、大人が調べても見つからない脅威は対処が難しい。
「定期的に捜波で見まわるしかないかしらね」
「現実的には難しいと思うよ……でも、似た習性の敵が出るかもしれないし、改めて脅威を周知してもらわないとね」
「オクタヴィアさんにも頼んだし、森の危険さを再確認してもらうしかないさぁ」
二度と同じ悲劇を繰り返さぬよう。悲しむ人々を増やさぬよう。
「……あ」
犠牲になった子供たちのことを思い辺りを調べていたシャルロッテが小さく声を漏らす。彼女が見つけたのは折れた玩具の剣だった。きっと探検好きの息子に、親が木を削って与えたのだろう。消えゆくクリーパーの中から出て来たそれを、飲み込まれた子供は最後まで手にしていたのだろう。
「怖かったね……痛かったですよね……」
ぽろぽろと涙をこぼしてそれを抱えるシャルロッテの背を秀哉がゆっくりと擦る。そして人形や服の一部——これも子供たちの遺品だろう——を抱えたヴィノニスが彼女たちへ声をかける。
「せめて、弔いましょう? 彼らが迷わずにマトリクス界に辿り着けるように」
シャルロッテは頷き、木剣を抱えて立ち上がる。花を摘んで集めていたギャメルと共に遺品を運び、彼らはそっと花と遺品を並べた。
「ビスケット、子供なら好きだろ? これ食って、ちゃんとマトリクス界まで行ってくれよ」
肉体を失った死者は正しく天に昇れないことがある。そう言われているのは知っている、それでもどうか。そんな思いを噛みしめてギャメルは犠牲者たちへと祈りを捧げた。
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:標準8 / 4〜8人
2021年02月27日 10時35分59秒 公開
相談掲示板
ヒーラーのギャメルだ! よろしくなー! 囮は複数でいく? 誰か一人に決めるか? 複数だと敵の攻撃が分散して、各囮の負担が減らせそうだな。この敵の知能的に、囮が複数だと警戒して出てこないってこともなさそうだしよ。 囮一人の場合は、オレは遠距離攻撃手段があるし、離れて待ち構えておこうと思うぜ。
シーフのアヴェラよ。よろしくお願いするわ 囮については、複数希望者がいれば複数で構わないと思うわ。 もし他に希望者いなけばワントップでわたしが引き付けでもいいわよ。 一応、隠れて奇襲が基本戦術のようだし、捜波で隠れてるの探して奇襲に備えるわ。 オクタヴィアさんは不参加でいいわよね?
ヒーラーのアルマだよ、どーぞよろしくー。 見事にサイズを満たしためんばーだけで成立しちゃったねー… オクタヴィアさんは不参加でよさそうかな 防御は固めてあるしボクは囮の方に回ろうかなと思ってるよ 寄ってきたのをそのまま祈雷でズドーンする予定 敵の数も10~15っていうし囮が複数でもよさそうだけどね
ヒーラーのシャルロッテ・レッフラーです。 宜しくお願いしますね。
じゃあ、ひとまずアルマさんとわたし、そして他にも希望者がいればその人が囮役として引きずり出し、残りのメンバーが攻撃して倒す感じかしらね。
ほい! オレも囮で動く。 敵の数が多いが、囮も多けりゃ攻撃も分散されんだろ。 オクタヴィアを危険にさらすことはないってのは同じ意見だぜ。
作戦りょうかいー オクタヴィアさんお留守番と、囮役3人で釣り出して叩く感じでぷれいんぐ出してくるね
あら、顔出しが遅くなってごめんなさい。 方針については理解しました。 >オクタヴィアさん これはアルマさんから留守番の由はお伝えいただけるって思っていて大丈夫かしら? >分担(敬称略) 囮:アルマ・アヴェラ・ギャメル 攻撃:ヴィノニス・シャルロッテ(確認待ち)・御堂(確認待ち) 確認待ちのお二人は、もしかしたら回復支援とかそちらに回る可能性もあるかしら?
おっす、ウォーリアの傭兵やってるディアンだ! 手が足りないと見て参戦しに来たぜ! >攻撃タイミング 俺は身長がデカいから、必然的に攻撃役として待機する形になるとして…攻撃役が飛び出すタイミングはどうする? 囮役に負担がかかっちまうが、その判断と合図のアクションを三人の誰かがやってくれりゃ確実ではある。
>オクタヴィアさん いま出してるプレイングでは任せて待っててほしい的な感じで書いてるよー 文字数に余裕があったら他の人にも追加しててもらえるとより安心…? >攻撃タイミング 初手祈雷の予定だったけど、釣れた敵が寄ってきたら光縛封で囮組保護と合図を兼ねようかなと 20めーとるくらいの光る柱だから多少離れれてもたぶん見えるはずー…
>アルマ オクタヴィアへの連絡ありがとうなー! >ディアン 凄腕の傭兵がきてくれて心強いぜ! >攻撃タイミング 敵がある程度(一人あたり四、五匹)出てきたら普通に声で助けを頼むつもりだ。 それで逃げたり警戒態勢をとるような敵じゃねぇっぽいしな。 オレは防御集中か回避集中して積極的には攻撃はできねぇと思うから、攻撃役に敵をバンバンやっつけてもらえるとありがてぇ。よろしくな!
>オクタヴィアさん じゃあわたしの方でも書いておくわ。 >攻撃タイミング わたしも十分釣れたら、声で伝えるわ。
>配置と攻撃のタイミング 遅くなってわるかったね 流れと役割は了解してるよ 何かやばくなればかばうようにもしておく
ギリギリ飛び入り参加で失礼するさー! シーフのフリューっていうさぁ、よろしく! 囮と攻撃のタイミング了解したよ 最初は隠密して、合図とか声かけてもらったらバンバン攻撃していこうと思ってるよ
すみません、遅くなりました。 攻撃側に回りつつ、状況次第で回復支援を行いたいと思います。