【CP】陽のあたる角度
棟方ろか
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シナリオID:585
オープニング
風が眠った森は驚くほど静かなもので、その静けさゆえに声や音は響く。
はじめに気付いたのはエルフだ。村の仲間と分かれて警邏していた彼は、狗人と呼ばれる亜人が八体、獣道でもない森をゆく様を目にした。「迷い込んだ」で済ませるには、あまりに足取りがはっきりしている。目的をもって森を進んでいるのは明白だ。
生活圏内へ踏み入るなら、牽制する。
その心意気で構えていた青年はしかし、出鼻を挫かれた。狗人の群れは領域を避けるかのように立ち止まり、数体が辺りの木を石斧で叩き、低木を薙いでいく。幹への衝撃で冷えた実や濡れた葉が次から次へと転がり落ち、低木で成っていた甘い花は摘まれ、枝は切り落とされていった。弓を持つコボルトが周囲の見張りを務めている辺り、慣れた様子だ。
エルフの青年は眉根を寄せた。そこへ、少しばかりの騒がしさと共に後背へかかる声がある。
「兄貴! 近くにいた二人を呼んできたぞ!」
声の大きな少年が呼んできたのは、同じ集落の仲間だ。
「コボルトがいるとボレアスから聞いた。それとノトス、悪い報せがある」
駆けつけたエルフの男性が、険しい顔になる。
「向こうに外のニンゲンたちがいた。こっちに気付くのも時間の問題かもしれん」
彼の話す『こっち』は、今自分たちがいる場所を指していた。コボルトを発見するのが先かもしれないが、戦などで騒ぎになれば感付くであろう距離にいたらしい。そして、枝木や落ちた実を中心に森の恵みを集める人間――冒険者たちは、集落のある方へ近付く素振りも、領域内へ入る気配もなかったと彼は言う。今のところは、という補足と一緒に。
これまで幾度も見かけた難民と同じで、食材や薪集めに来ているのだろうとノトスたちは考えた。
――ノトスたちは、森の外からやってきた人により、難民キャンプと呼ばれる集いがあることを知った。目にしたわけではないから、話をそのまま信じてなどいない。あくまで情報として耳に入れただけだ。そして新たな情報よりも、古くから培ってきた感情や教えの方が勝ってしまうものでもある。
ただ、冒険者はこれまで、エルフの領域を侵さぬよう注意を払って採集してきた。難民キャンプの意向は「森のエルフたちとの衝突は絶対に避けたい」というもの。だから依頼を請け負った冒険者も、キャンプの方針を守って動いてきたのだが。それをエルフ側が理解し、受け入れてくれるかはまた別の話。
「ボウケンシャか!? それともナンミンかな!? おれ会いにいきたいなあ」
ただ一人、期待と興奮を隠さないボレアスは、先日冒険者に救われた少年だ。しかし周りは冷静で。
「いい加減やめとけボレアス。関わるとろくなことにならん」
「そうよ。たまたま助けて貰えただけなんだから、外のことはもう諦めなさい」
諭す物言いの年上たちに、ボレアスが分かりやすく頬を膨らます。
幼さを残す彼が次に喋るよりも前に、兄であるノトスが喉を開いた。
「何が違うというのだ?」
ノトスの問いは、まるで己へかけるもののように低く、静寂を湛える。
「自身らの欲のため、必要以上の木々や実を……命を奪うニンゲンと、狗人で」
兄の眼差しはコボルトから逸れぬまま、声は確かに弟や仲間へ向いていて。
「森と共に生きていないからこそ、奴らは森をぞんざいに扱える。違うか、ボレアス」
「おれもよくわかんないけど、ナンミンに必要だからじゃないか?」
怪訝そうに眉間の谷を深めた兄へ、ボレアスは唇を尖らせる。
「このまえ話しただろ兄貴。ナンミンがキャンプってトコで一緒に暮らしてるらしいって」
「……ニンゲンの話を鵜呑みにしたアレか」
ボレアスも冒険者たちから聞いただけで、実際に目にしたわけではない。それに外界の知識も殆ど持たずに育った少年は、難民キャンプが『故郷を追われた人々の拠り所』だと理解していても、何が頑固な兄を説得させる材料となり得るかは理解できずにいた。
見えている角度が違うのだ。陽の当たり方が、時間やそのとき置かれた物で異なってくるように。
陽の射し方によって変わっていく表情を――知らないかのように。
溜め息をひとつ吐いて、ノトスは弓を握り直し前へ出る。
「狗人の動き、不穏極まりない。侵入される前にすべて落としておこう」
「ニンゲンはどうするの? 追い払うんでしょ?」
女性からの質問に、彼は迷わず放っておけと告げる。
「今は奴らが先だ。ニンゲンはその後に」
「了解。ほらいくぞボレアス。強くなるって言ってたろ、しゃんとしろよ」
先ゆくノトスを追いながら、仲間のエルフが少年の頭をぽんと叩いていく。膨れ面をしていたボレアスは、わかってる、と不満げに言い放って大人たちについていった。そうして彼らが、未だ森を荒らし続けて帰ろうともしないコボルトと戦いになり――コボルトの叫び声や武器のぶつかり合う音は、まもなく冒険者たちの耳に届いた。
解説
マスターより
リプレイ
身を低くして茂る森を進むアウル・アンサラーが、仲間へ片手で合図を送った。呼応したイズレンディル・パラリムとリサ・ベイカー、そして蒋・璃龍が、彼の示す方角から植物の隙間を縫う。
急ぐ冒険者たちの頭上で、森がざわつく。リサや璃龍の胸中でも不穏当な揺らめきが渦を巻き、足裏には熱が篭った。まもなく、あれは、と言葉に換えるより早く、璃龍の足が動く。光を這わせた槍が濡れた葉も大地も照らし、殺界を拡げていく。
仲間の足が早まるも、アウルの研ぎ澄ませた感覚が位置や距離を見定めたおかげか、コボルト勢はエルフに夢中なままだ。好戦的な様相を醸し出すコボルトの群れを前に、アウルは苦々しさを噛む。
(楽な仕事と思ったが、そうもいかねぇみたいだな)
採集という名の、労せず報酬が貰える仕事の筈だったが。
(犬コロ退治は依頼にねぇってのによォ)
肩を竦めつつ間合いを詰める。提示されていなかったとはいえ、コボルトを叩きのめすだけなら、入念に敵を追い詰めて始末すればいいだけの話。だが此度の問題は――ちらりとアウルが目的地を瞥見する。
そう。問題は、かの『森のエルフ』たちが居合わせている点だ。
「ボレアス! 周りを見ろ!」
突如として声が響く。矢を確実に当てるのに集中していた少年エルフが、背丈のある雑草に紛れつつ前へ歩み出ていた。
(危ない……!)
反射的にイズレンディルが飛び出す。彼とほぼ同時に、樹上から一人のエルフがやってきた。二人して少年ボレアスの盾となり、コボルトたちからの強撃を防ぎきる。
「兄貴! えっ、イズ兄も!?」
叫んだボレアスの声音に、イズレンディルと並び立ったエルフ――ノトスが瞠目して。
「お前は……」
「ゆっくり話す時間を持てないこと、お許しください」
イズレンディルが敵を押し返しながら返答する。
「共に戦わせて頂きます。私たちは弓兵から落としますので」
冒険者たちの方針は明瞭だった。無言のまま合流する道を、彼らは選ばない。だから集落のエルフたちへ共闘を提案する者と、コボルトを攻め立てる者とで分かれ、行動に移した。
そしてイズレンディルは、同行する冒険者の中で唯一のエルフ。吸う森の空気は違っても、同じ種族というだけで敷居は下がりやすい。ノトスも例に漏れず、身を呈したのが人間ではなくエルフというだけで、拒む意識は薄れている。
「な、なんだお前ら!?」
ぎょっとするエルフへ会釈したのはリサだ。
「突然すみません、勝手ですが支援させて頂きますっ」
「支援ですって!? ニンゲンが!?」
女性のエルフも露骨に嫌悪の情を出す。けれどリサは諦めない。
「ええ、そうです。お怪我はありませんか?」
そっと緩めた眦がリサの人柄を物語るも、エルフは困惑を顔に塗ったままだ。ふと目線を外し、リサは気付く。矢に射られたのだろう。彼女の腿から血が流れていた。
「痛いですよね、回復しますから、少々お待ちください」
「いらないわ、ニンゲンの施しなんてッ」
しかめ面のエルフと対照的に、リサは静かに瞼を落とすだけだ。まもなく、波打つ光が森の風景を鮮やかなものに変えた。
「あ、温かい……? なによこれ」
腹の底から湧くような感覚は、エルフたちが覚えていた鈍い痛みを取り払っていく。
「まずは、コボルトを倒す、です!」
優先するべきものを見失ってはならない。璃龍の一言はエルフへ向かいながらも、眼差しは敵を射抜く。
それらの一部始終を、ノトスたちも目撃していた。
「イズ兄ありがとう助けてくれて! あっちにリー姉もいる!」
見知った冒険者の姿に、ボレアスが嬉々として跳ねる。その分、兄のノトスは怪訝そうな顔を深めていった。
「ボウケンシャだよ兄貴! ほら、おれを助けてくれた!」
懸命に訴える弟へ、知っているとばかりにノトスは息を吐き、矢を番える。
「……間違いなく弓兵を落とせるのだな?」
「! もちろんです」
ノトスの問いは、イズレンディルたちが求めた答えでもあった。リサが治癒を担っている間に、イズレンディルが手を掲げて仲間へ結果を報せる。すると、濃緑に身を沈め狗人を狙い定めていたロゼットとアウルが首肯し、動く。
なびく金色にも構わず、逸早くロゼットが腕を突き出す。彼女の指先に光が燈り、矢を編み上げた。
(行って……!)
ロゼットの思念は、一矢をより輝かせる。
アウルも短弓をぐっと引き、弧を描き宙を舞うエルフの矢を視界に入れていた。鏃へエーテルを宿し、ロゼットの魔矢に合わせて解き放つ。鮮やかな緑も、濡れて黒ずんだ色彩もよそに、ただ敵を貫くために翔けるアウルの矢を。エルフが射る弓矢の邪魔にならぬよう、側面から。
「日が暮れる前にやってやらァ」
狗人の弓兵めがけた二種の矢が、慌てふためく一群へ新たな動揺を刻む。
「ギァェ!」
悲鳴とも言語とも呼びがたい声が転がる。
冒険者による急襲は、狗人にとって想定外の出来事だった。
●
「璃龍さん、こちらをどうぞ!」
淡雪ほどの柔い光を、リサが璃龍の防具へ纏わせる。
「ありがとう、です」
小さな頷きと共に一礼した璃龍は、エルフたちの射線を認めた。この森を知り尽くした彼らもまた、人間へむやみに近付こうとはしない。おかげで互いに一定の距離を保ったまま、蝟集するコボルトと対峙できている。
それに緑溢れる野も、璃龍の視線を邪魔するに値しない。ふ、と呼気一つ吐く間に彼女の陣地へ入ってきた狗人の体毛がぶわっと逆立つ。驚きに臥した敵が奇声をあげ、群れを成して璃龍へ飛び掛かるも、少女は崩れるどころか、揺らぎもせずに。
ここから先には通さない――頑強なる璃龍の意思が、エルフの元に狗人を寄越さなかった。
彼女が道を塞いでいるうちに、増幅した魔力をイズレンディルが宙空へ飛ばす。
(森よ、どうか力をお貸しください)
はらりはらりと木の葉が降るであろう世界に、光の流星が落ち――閃光が爆ぜた。そこへ。
「弓使いはあと一体ね……!」
ロゼットが紡いだ光の矢は、エルフばかりを狙撃していた射手を落とす。
「グォォア!」
弓兵が崩れ、後方からの援護を失ったコボルトは雄叫びを轟かせる。幹や低木が傷つこうとお構いなしで石斧を振り回し、草花も容赦なく踏み荒らす。なるほどこういう行為を含めてエルフは苛立っているのだろうと、アウルも察した。
鋭い眼光でコボルトをねめつけ、飛び込んできた斧刃を避けながら弓矢を構える。
「おい、犬コロ」
呼びかけは狗人の眼前で成されて。
「粗末な弓捌きで俺をやろうなんざァ、百年早ぇ」
片頬をもたげ、零距離から射抜く。
「迫撃してきたのが間違いだったなァ」
朽ちゆく命へそう言い置くと、アウルは四辺を見回した。強靭なる増援に、残りの狗人が一目散に逃げ帰っていく様が遠目に映る。しかし追撃はせず、冒険者もエルフも場に留まっていた。
●
「勝手に森に入ってしまってゴメンなさい」
速やかにエルフたちの元へ走り、頭を下げたのはロゼットだ。
戦いを終えた直後の思いがけない態度に、エルフたちが面食らう。
「なるべく森の木々から直接には取らないようにしたのだけど……」
彼らの心境を推し量って紡ぐロゼットに、男女のエルフが明らかに当惑していた。
一方、少し振りの再会を果たした面々は。
「ボレアスさん、お元気そうで何よりです」
「この間ぶり、です。ボレアス、元気そうでよかった、です」
イズレンディルと璃龍が挨拶を連ねると、ボレアスが飛び跳ねて駆け寄る。
「二人とも元気そう! よかったっ、とわ!」
有り余るワンパクっぷりを示した少年は、その余った分に足を縺れさせた。どてっ、と鈍い音を立てて転んだボレアスに、璃龍が慌てて手を差し伸べる。だがノトスの凝視が異様に強く、立ち上がるボレアスを助けるには至らない。若いエルフとばかり会話をするのも疑われそうだと、璃龍はノトスたちに向き直る。
そこで、柔らかな蜂蜜色の髪を揺らして会釈し、リサが微笑む。
「わたし達は、この先の難民キャンプを支援している者です」
胸に手を当てて一例するという、穏やかな始まりだ。
「私はノトス。集落の守りを担う者。……先日は愚弟が面倒をかけた」
「愚弟ってなんだよ兄貴! おれはンググ」
黙っていろと言わんばかりに、ノトスが弟の口を塞ぐ。冒険者たちへ顔を向けたまま。
彼の面差しは未だ張り詰めた糸のごとく、緊張と猜疑とで結われてあった。
無理に話を進めても糸の数が増えるだけだろうと、ロゼットは釈明を始める。
「ここは貴方たちが守護する森。その森で私たちが採集したのは事実よ。ただ……」
言いながらロゼットは背負い袋の紐を解き、中身を披露する。
木の実に枯木、小さな枝を詰めた袋は、難民たちが生きる上で必要とするものだ。
「木々を傷つけないように拾い集めたの。コボルトとは違うわ」
「難民キャンプは、貴方がたの領域を侵す意思はありません」
ロゼットに続き、リサも意志をしかと伝える。
すると逡巡するような一拍を置いたのち、ノトスはあえかに呟く。
「……どうやらそうらしいな」
「「え?」」
ロゼットとリサが瞬いでも、彼は遠慮せず淡々と話す。
「戦いの間、お前たちを見ていた。森を傷つけまいとする動きも」
「けどノトス、俺たちの信用を得るための演技だったらどうす……」
「あれが演技でしかないのなら、私の目は潰した方がいいな」
疑念を拭わぬ仲間のエルフに対しても、ノトスの態度は揺らがない。
もしかしたら、とリサを始め冒険者たちは思う。
これまで人づてに聞くばかりだった彼は、先の戦いを経て、冒険者たちの人となりを垣間見たのだろう。己の目で。己の意識で。炎など、森への被害を連想させる魔法や作戦を、冒険者が用いなかったのも大きかった。
機を逸さず、イズレンディルが話題を繋ぐ。
「森の資源を守るため、相談させて頂きたいことがあるのですが」
「なんだ」
突っぱねる素振りはないが、ノトスの声色は冷たいままだ。
「森の保全と資源確保を両立するため、難民側と集落側、両者で取り決めを行いたいのです」
それからイズレンディルは仲間と一緒に、改めて伝えた。帝国崩壊から、難民発生に至る経緯を。
「キャンプに案内、します。見てもらう、早いと思う、です」
百聞不如一見だと璃龍が話すと、ノトスは顎を撫でで沈思した。
それと、と璃龍は大粒の眼で彼らを眺める。
「こういう表現は、嫌うかもしれない、ですけれど……」
僅かな躊躇いはあったが、彼らに分かり易く伝えるのに適切だろうと考えて。
「故郷を追われた人々は……住む森を失ってしまったエルフ、みたいなものだとも、思う、です」
考え込むノトスを除き、ボレアスもエルフも微妙な表情だ。
(頭の固ぇヤツらは面倒だなァ)
アウルはがしがしと頭を掻いて、エルフたちに告げる。
「例えばよ、この森が一晩で燃え尽きてなくなったら、アンタらはどう生きるんだ?」
「森が一晩で燃えて無くなるだって? ありえないだろ!」
男性エルフがすぐさま返せば、アウルはそれを足がかりに繋げて。
「解ってんじゃねぇか。難民キャンプに居るのはそう信じてた連中だ」
そう、帝国の崩壊など誰一人として夢にも思っていなかった。すべてを失い、難民として他国へ逃れなければならない人生など、微塵も想像していなかったのだ。いま正にエルフの青年が放った一言こそ、かつての帝国人の心境だろう。置き換えてみれば、想像に難くない――かれらエルフが、現実を目の当たりにしていないだけで。
「俺も依頼があるから手ェ貸してるだけだがなァ」
アウルは億劫そうに続ける。
「森でしか生きてねぇヤツが、森以外の何を知ってんだっつー話だ」
「そーだ! 怖い兄ちゃんの言う通りだぞ兄貴!」
ここぞとばかりに、外に出たがっていたボレアスが加勢してきた。
「真正面から言ってくれるじゃねぇかチビ」
怖い兄ちゃん呼ばわりにアウルが口端を上げると、ボレアスはさっとノトスの後背へ隠れてしまう。
そこで改めて、イズレンディルが話を結んでいく。
「皆さんの安寧を乱すことは重々承知しております。ですが……」
「おれたちのアンネーを乱してるのは、コボルトとかの悪いヤツだけだろイズ兄」
口を挟んだのはボレアスだ。
顎に指先をトントンと当てて考えていたロゼットが、ふと唇を震わせる。
「こちらの事情ばかり押し付けたら、公平とは言えないわよね」
難民やキャンプについて説明を終えた今だからこそ、ロゼットは切り出す。彼らエルフの話も聞きたいのだと、真っ直ぐに。話を伝えるだけでなく、聞くために――それはロゼットの思う彼らとの『対話』だ。溝が深い両者を歩み寄らせるべく、言語を持つ存在ゆえに採れる手段でもある。
顔を突き合わせたエルフたちが、神妙な面持ちで目配せし出す。言の葉を結わえずとも互いの意図を察したらしく、まもなく互いに頷きあって。
「……冒険者。コボルトはお前たちの領域……キャンプも荒らしているのか?」
「はい。戦闘回数も目撃情報も、俄に増えました」
イズレンディルが速やかに返せば、そうか、とノトスが唸る。
「本当にごく最近、です。キャンプの近くで、コボルトの出現頻度がここまで高まったのは」
不穏な気配を唇に刷いた璃龍へ、一拍置いたのちにノトスは首肯して。
「私たちの所も状況は同じだ。ならば尚更、必要になる」
「どういうことだよ兄貴」
首を傾ぐ弟に、兄は飾らず告げる。
「お前も言っただろう。今、安寧を乱しているのはコボルトだ」
言い聞かせるかのような発言ののち、ノトスは冒険者たちの表情を眺め、確かめていく。
「難民キャンプと話し合い、手を組む必要がある。私たちは森を、彼らはキャンプを守るために」
「そうね、対コボルトの共闘も含めて、話し合う機会を作っていきたいわ」
笑顔を咲かせたロゼットに、眉間にしわを寄せてノトスが付け足す。
「勘違いはしないでくれ。ニンゲンを信用したのではない。お前たちとは話せると感じただけだ」
「貴方のように疑問を持てる人とするからこそ、対話の意味があるのよ」
ロゼットもロゼットで芯を削がぬまま接したおかげで、ノトスは「うむ」と呻いて以降、大人しく口を噤む。陽が当たりつつある。かれらとの関係性に。かれらとの交流に。
会話に耳を傾けていたリサはそこで、長い睫毛を揺らし、こう話す。
「難民キャンプは、貴方がたの森と良き隣人で有りたい。そう願っています」
――隣人。森に住まう彼らにとって縁が遠く、けれど何処か懐かしい響きだった。
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:標準5 / 4〜5人
2021年02月26日 23時24分39秒 公開
相談掲示板
エルフのキャスター、イズレンディル・パラリムと申します。 成立人数にもまだ至っておりませんが、後から来て頂ける方に支障のない範囲で少しずつ相談を進められればと思います。 宜しくお願い致します。 まず相談する事はコボルトをどう扱うかということになりますでしょうか? 上手く大人エルフへの説得に繋げられれば良いのですが、あまりそのあたりは良い案は浮かばずでして……ひとまずいきなり戦闘に入るよりは、エルフの方々と会話してから協力して戦う形に出来た方が良いかなと思うぐらいです。 勝手に戦闘をし始めてしまうと、森でよそ者同士が暴れている、と思われてしまう恐れがありますしね。 大人エルフ達に対しては、私個人は誠心誠意、状況の説明や協力を求めることをお願いすることになりそうですが、もしも話の持って行き方などで案があればぜひ協力させて下さい。
ヒーラーのリサです。 よろしくお願いしますねっ はい、わたしも戦いに入る前に、 お手伝いが必要かどうか、 被害を少しでも減らすために手伝わせてほしい旨をお尋ねしたほうが良いかなと思います。
アウル、シューターだ。 よろしくなァ。 ま、「森のエルフたちとの衝突は絶対に避けたい」ってのが基本的なオーダーだしなァ。 取り合えず話をしてみるのはアリかもな。 協力を拒まれる可能性もある…っつーかその可能性の方が高そうだが、その場合でも、コボルトを放って置くと難民キャンプへの被害が懸念されるから…だとか何とか理由を付けて仕掛けるとかになるか。 拒まれたのでじゃあサヨウナラ、で済ます気はねぇんだろ? 俺ァ目や耳を活かした索敵、必要なら捜波も使える。 接敵前でもある程度の位置や数の把握は出来ると思うぜ。
ヒーラーのロゼットよ。よろしくね。 今のところ策は思いつかないのだけど、 オープニング最後の様子だと、私たちが現場に着くころは コボルとエルフの戦いはもう始まってる、のよね? そうなると数で不利なエルフ側は、ゆっくり話してる状況じゃ なさそうだし、助太刀と交渉を同時に行った方が良いんじゃない? 例えば、アウルにコボルトの配置を調べてもらって、エルフとは コボルトを挟んだ反対側へまわって、挟撃をかける人を何名か。 いきなり並んで戦おうとするよりは、警戒されないかなと。 同時にエルフの方へ歩み寄って、挟撃の効果で余裕ができた エルフに共闘の申し出をする人を何名か。 善意だけってのも、かえって信用されなさそうなら、 分けてもらった恵みの対価を払うって感じでも良いかも。
依頼出発の人数になりましたね、良かったです。改めてよろしくお願い致します! そうですね、協力を拒まれる可能性は確かに高そうですね、この地のエルフからはコボルトも私達も共に外敵扱いのようですから…。仰る通り、拒まれても参戦はしますから、少なくとも敵意が無いということを示せればと思います。トラブル回避のためですね。 ロゼットさんの仰る通り既に戦闘中ですね。 私も交渉するほどの時間はないと思いますので、敵意が無い事を示す意思表示程度の会話で良いと思います。 >挟撃 挟撃でしたらコボルトには弓兵4体が居ますからこれを狙うのはいかがでしょうか? 集落のエルフを交えての乱戦のようになると警戒心も強く持たれそうな点が心配だったのですが、弓兵なら離れているので大丈夫でしょうから。 敵対していると思う相手が急に近づくのは怖いですからね…。 その間に上記の通り敵意が無い事を示せればひとまずは十分でしょうか? 私個人の希望としては、差し支えなければ集落のエルフに声をかける担当をさせて頂ければと思っていますが、希望が被るようでしたらご相談させて下さい。 >コボルトを利用する 一応、集落のエルフがピンチになるまで見守ってから助けに入る、というのは考えたのですが、私個人としては出来るならやりたくないですね…。誠意をもってあたりたいと思っております。
>挟撃 あァ、わざわざ書類を用意して丁寧に頭下げてから手続きを踏んで…何て暇はねぇからなァ。交渉と仕掛けるのはほぼ同時くらい、にはなるか。 完全に挟むよりは、コボルト共を側面か斜めから突く形の方が良いんじゃねぇかとは思ったがなァ。 キッチリ連携が取れる相手ならまだしも、そうじゃねェ。 コボルトを狙った流れ弾が相手を襲う…って事態が懸念されねぇか? どっちにせよ索敵はして、位置の共有はしてやるさ。 声かけってのは、共闘の申し出を…って事か? 俺ァ別に構わねぇよ。オトモダチになりに来たワケじゃねぇしなァ。 >コボルトを利用する 俺もそれは考えたが…PL情報のメタ発言になるが、エルフはこっちの存在を把握してる。どう動いてるかまで常に把握してるかは分からねぇが、暫く前からそこに居たヤツが危なくなってから「助けに来たぞ」って来たらどうよ?俺だったら撃つな。ハハッ! ま、駆けつけたらピンチだった…ってなら別だが、わざわざ狙うのは上手くねぇんじゃねぇかァ?
理想的なのは、コボルトを共闘で撃退して、 その後で改めてエルフと話せれば1番良いかな? >挟撃 なるほど。アウルの言う通り、コボルトの真後ろからだと、 流れ矢の的になっちゃうか。なら側面か斜め後方から、 コボルトの後衛に居そうな弓使いを叩く、でどうかな。 >コボルトを利用する 考えはしたんだけど、どうしてもマッチポンプみたいな 印象になってしまって、自分でやってて良い気はしないわね。 いきなり万事解決を目論むより、私たちの行動を見た上で、 エルフ達がどう受け止めるかに任せて良いんじゃないかな。 エルフへの共闘交渉役と、コボルトの後衛攻撃役の分担ね。 私はどちらでも出来るわ。他の人の希望次第だけど、 ひとまずコボルトの後衛攻撃役に手を挙げておこうかな。
〉声かけ そっか、断られるかも知れないんだね… そうなると、見てるだけって訳にもいかないし、「手伝います!」ってだけでもいいのかもですね。 コボルトは、普通に協力してささっと倒して…敵意がないよって事を伝えられれば…少しはお話出来るのかな?って思います。 エルフのイズレンディルさんがまずはお話してもらうのは、先方も応えてくれやすいかもですね。 わたしは、とりあえず、エルフさん達が怪我してたら回復させて貰おうかな… あと、戦い方ですけど、森の木々とか荒らさないで済む形にしたいですね。
途中からですが、参戦、します。ウォーリアの蒋・璃龍、です。 よろしくお願いする、ます。 相談の流れを確認した、です。確かに、助けはいらないといわれる可能性もあるので、手伝う、じゃなくて、弓兵はこちらで攻撃する、と宣言して多少、勝手に戦い始めるのがよさそう、です 助けにはいるタイミングも、相談されてるとおり、さっさと戦いに入り込んだ方がよさそうだと思う、ます コボルトを利用するとしたら、一体ぐらい生け捕りにして、情報を聞き出すとか、そういう方面でならもう少し、意味があることになるかもしれない、です あとは、エルフたちの敵対感情について、どう話を持っていくかが大事だと思う、です 森を荒らされたくない、こちらの言っていることを一方的に信じられない、ということが前提にあると思う、ますので、難民キャンプがあることが真実であることを、ちゃんと知ってもらうために、一度、こっそり見に来てもらうとか、伝聞じゃない情報を手に入れてもらえば、と思う、です あとは、伝え方次第で、逆に硬くなになってしまうかも、です、けれど『故郷を追われた人々』というのが、『自分たちの森を失ったエルフ』のようなものだと、伝えられれば、感覚として通じやすいのかなと思う、ます
そうだな。取り合えずコボルト共を処理しねぇと、まともに話も出来ねぇだろ。 ・戦いを察知した時点で駆けつける ・索敵し配置を確認した上で、コボルトの後衛(弓兵)を狙い攻撃を仕掛ける者、エルフに対し共闘交渉をする者に別れる ・コボルトへは側面、ないし斜め方向から攻撃を仕掛ける(流れ矢を避ける為) ・なるべく森への被害も抑えるように立ち回る ・戦闘後、改めてエルフとの対話を試みる こんな所かァ? 俺も交渉役じゃなく、攻撃を仕掛ける側になるかねェ。 >コボルトを利用する あァ、『亜人語適正』の汎用スキルがあればコボルトと会話出来る可能性もあるなァ。 俺は持ってねぇが、誰か覚えてるヤツはいるか? >エルフとの対話 俺も蒋みてぇに「この森を失ったらどうする」っつーような事を言うつもりでは居たなァ。 後は「森でしか生きてないヤツが、森以外の何を知ってるんだ」とかな。 考えの凝り固まった頑固者は、一発ぶん殴った方が良いんじゃねぇか?ハハッ! ま、流石に実際に殴りはしねぇが、煽って考えと感情を揺さぶる位は出来るかと思ってなァ。 キレイにまとめるのは、他のヤツに任せる事になるがよ。
アウルはまとめ、ありがとう。合ってると思うわ。 >『亜人語適正』 まだ覚えていないわ。これ亜人の言葉は理解できても、 こっちの言葉は通じない…で良いのかな?(自信なし) そうなら「聞き出す」って可能なのかしら。疑問で。 あと生け捕りすると、後で殺すか逃がすか、エルフに引き渡すか、 処遇を決めなきゃいけないと思うけど、大丈夫かな。 襲ってくるなら自衛として戦えるけど、生け捕った後のを用が 済んだらズバッとは…ちょっと抵抗が。反対まではしないけど。 だから撃退はするけど、逃げるなら今回はそれで良いかって。 甘くてゴメンなさい。まだ亜人への態度がハッキリしなくて。 >リサ なんならイズレンディルと一緒に、エルフへ声かけに行く? そのままエルフ側で参戦して、エルフの傷を癒しちゃうとか。 >エルフとの対話 まあエルフの側から見れば、自分たちで自給自足していたところに、 他所からきた連中が勝手に資源を持ち去ってる訳だから…ねえ(汗) 私としては、互いの実情を知ってもらうための人の行き来や、 採集させてもらう上での取り決めなんかを話す機会を、 作っていけるように持っていきたいかな。 幸い、こちらに興味のあるエルフは居るみたいだし。
>『亜人語適正』 確か、言ってる事が何となく解る。くらいだったと思います。こっちの話は伝えられないっぽかったかなと。 〉エルフ側で うーん、そうですね。回復支援とか考えると、そのほうが良いかも。 対話というか、お互いの事をよくわかって無いから、すれ違いが起きてると言う事はあると思うので、そう言う話を伝えられればいいかなと… いきなり全部理解してもらうのは無理でしょうから。 コボルトへの対応は、状況次第かな… 逃げるコボルトがいて、エルフ達が追わないなら追う必要ないと思います。 逆に、エルフ達が逃さない様に動くなら、それに合わせるのが無難かな?と…個人的には思ったりしますね。
アウルさん、まとめて頂きありがとうございます! 同様の認識でおります。 >声掛け では集落のエルフには、敵意は無く共闘をしたい旨と弓兵をこちらで倒す旨、を伝えるように致しますね。 先方の反応はどうあれやることは変わらない認識です。 >コボルトを利用する そうですね、仰って頂いているようにやはりどうしても印象が悪くなりそうです。 下手な策は弄さずに、信用を得られるよう嘘偽りない行動を示したいですね。 亜人語適正は他の依頼でもリサさんのご指摘通りでした。 私も取得はしていないのですが、会話は出来なくとも、あればコボルトの会話から情報を拾える可能性はありそうですね。 >エルフとの対話 まずは話を聞いて貰えるようにしないといけないですね。 その為には最初に先方の興味のあるテーマ…森の資源の保全について相談したいという旨を投げかけてみようとは思っております。 その後は既に話されている通り、お互いのことを伝えあってすれ違いの状態を解消するというのに賛成です。 それでも、協力できない出ていけ、という対応をされる可能性はありますが…… その場合は、コボルトへの対処を共同で行う事をメリットとして提示いたしましょうか? コボルトが怪しい動きをしているのは確かなのでエルフにもメリットになるかと。 >コボルトへの対応 私も集落のエルフ側の方針に合わせるで良いかなと思います。 ……そういえば、今回はエルフ側からコボルトに仕掛けていたのでしたね。 一応、他の森でコボルトが悪さをしていることを共闘の理由に挙げておきましょうか? 亜人だからといきなり攻撃をするのは心証が悪い、かもしれません。
>『亜人語適正』 あァー…やっぱそこまでしか出来ねぇスキルなのか? 確かに前見かけた時も「亜人が理解できる言葉が話せないから会話までは出来ない」って感じだったんだよなァ。 …悪いとは言わねぇが、ハンパなスキルだな。亜人同士の会話を盗み聞く、相手の掛け声から作戦を見破る、って使い方なら出来るっつー感じか。 今後研究とかが進めば、会話も出来るようになるのかねェ。 生け捕って用が済んだら殺るのは、俺は別に構わねぇが。 まァそもそも話を聞くのが難しいなら、生け捕るメリットが薄いな。 そうだな。エルフ側の対応次第、で良いんじゃねぇか? 俺らの依頼は、コボルト退治って訳じゃねぇからなァ。 >エルフとの対話 確か、今回のエルフ共の中に授恵者は居ねぇんだったな。 ならこっちの戦力を示す…冒険者たちならばコボルト共への対処も容易である、っつー事を示せれば。そこに利用価値を見い出す可能性はあるなァ。アリなんじゃねぇか? 森の資源云々に関しちゃ、そっち任せになるがなァ。
>亜人語適正 話がちゃんと聞けないとなると、あんまり捕まえても、うまく情報を聞き出せないので、確かにメリットが少ない、です コボルト側がどう考えているのかとか、まだはっきりとはわかってないですけれども、襲ってくる以上は対応して、でも、逃げる相手に対しては、無理をする必要はなさそう、です >エルフとの対話 今のところ、コボルトの動きは斥候として情報を集めている段階だと思う、ます。どれくらいの数がいるのか分からない、ですけれど、もし、想像以上にたくさんいた場合、エルフたちだけだと、手に負えなくなるかもしれない、ということを、伝えても良さそうだと思う、ます
出発まで2時間を切ったな。 取り合えずこっちは、問題なくプレイング送信済みだ。 大体の話はまとまってるし、後は個々でやりてぇ事やっときゃ何とかなるだろ。 んじゃま、よろしくなァ。