【CP】ガナパティという男
韮瀬隈則
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シナリオID:583
オープニング
「先日、壊滅したエルフどもの集落があっただろう?」
深夜の難民キャンプの一角。
いくつかのボランティア団体が出入りする待機所で、一人の男が同じ団体の仲間と思われる男達に声を潜めて手招きした。
面白くなさそうに、待機所のスミに積まれた物資と持ち込んだ団体の旗を見て、同意を求めるかのように鼻を鳴らす。この男がことさら不機嫌さを隠さなくなったのは、かの亡国の皇子レイウェストがこともあろうにゴブリンと手を組み、帝国復興の為ならいかなる勢力とも手を結ぶと公言したあたりからだ。
難民キャンプ設立当初から出入りする、王国や同盟の商人ですら腹に一物あるに決まっているのだ。
なのに今度は亜人と手を結ぶときた!
事実――。エルフとの抗争が勃発しかけた時だって、あの腰抜けの売国奴の薫陶を受けたらしい冒険者ギルド手配のやつらは、へこへこと和平交渉どころか協力体制とまで言い始める者まで居る始末。
「こういう時にこそ立ち上がるのが任侠というものだ。他国がなにをしてくれる? 貴族? 肝心の皇族があのザマだ。人情と民族自立という気概なくして帝国復興も在りはしないだろうが!」
この男、ガナパティ。
帝国の威光健在なりし頃はチンケな田舎で任侠を気取る半端者であった。その言動は山賊と紙一重ゆえ、良識あるむねからは「またお前か」とセコい悪さの度に鼻つまみ同然に見られてはいたものの、しかし――柄は悪くても愛嬌と人情には篤く、変なところで人望はある。そんな武侠カブレの憎めない兄ィが、帝国崩壊に一念発起して兄ィと慕う舎弟らと共にここ難民キャンプに乗り込んではや、数か月になる。
「それで、その集落が?」
舎弟の一人が、待機所に居るのが自分たちの団体だけだと見回して、ガナパティに先を促す。
「人類に喧嘩を仕掛けた隙をつかれてクリーパーにやられた間抜け集落だがな、どうやら物資はそのまま放置されているらしい」
勿体ないと思わないか?
指折り数えてニヤリと笑う。
手付かずの武器庫には戦略物資、結構裕福な集落だったようだから金目の物だってあるだろう。このまま森に埋もれて無駄になるよりは、人間様が有効活用してやるのが物資も喜ぶと思わないか?
「久しぶりに……なぁ?」
ガキの頃のヤンチャを思い出すなぁ。
そう笑う任侠気取りの男が4名。
「荷駄用の馬を連れて行こう」
森はまだ闇が色濃い。夜明けとともに拝借した馬数頭を連れて向かえば良い。
●
夜明けの冒険者ギルドの難民キャンプ出張所。
受付嬢が集まった冒険者数名に、詳細をまとめた書類を手渡した。
「といっても、地図と目撃情報くらいしかないんだけどね……」
机上の地図を指さし、このエルフの村って自業自得で壊滅してるし、と付け足す。
既に生き残りは敗走しているか難民キャンプに身を寄せているか、の数名のみ。
このまま廃村にしてしまうのが簡単だろうというギルドの見立てなのだが、昨日、近隣を通りかかった冒険者が集落周辺をうろつくコボルト数体を確認している。
「ここを棲家にされたらまずいって事になってね。斥候コボルトの討伐か廃屋撤去か、どちらか好きな方を選んで?」
後で本格的な討伐隊は出すけれども、と、最近とみに増えてきた対コボルト依頼の張り紙を振り返る。
集落はおおよそ300m四方。
森近くに点在する十数軒のあばら家は既にクリーパーによって破壊され、拓けた中心部100m四方にかたまる比較的頑丈な建物が、そのまま放置されているのだという。
「一番大きい2階建てが集会場兼用の砦みたいなカンジ。あとは平屋の集合住宅とか倉庫とか? 目ぼしいのはそのくらい」
地図にバツ印と丸印。丸印は砦含めて3棟。
重ねて出されたコボルト勢力図。
「目撃されたのがこの集団の斥候だとすると、最低80体がここの集落をねぐらに狙ってるかもしれないってわけ」
大問題でしょ?
受付嬢が厭ぁな顔をする。
ことわっとくけど、最低80だからね? と念を押す。棲家が出来たら増えるわよ? と言外に言っている。
――そこに。
「ちょっ! 大問題っスよ先輩!」
新人の受付員が血相かえて飛び込んでくる。
「なによどうせたいしたことないわよ」
出来のよくない後輩にするように受付嬢が軽くあしらうが、次に続く言葉に「はぁぁあっ!?」と目を剥く。
「コボルトの一団が既に廃村に向かってるらしくって? なのに荷駄用の馬を持ち出して勝手に廃村に向かった一団が居るぅ? 何しに行くのよバッカじゃないのってかコボルトと鉢合わせじゃないのよどうすんのよ!」
暫く悶えた後……。
「に、20分。20分だけバカどもを保護して持ちこたえて? すぐ増援を組織して向かわせるから!!」
受付嬢の必死な目が、冒険者たちになんとかしてよと訴えかけていた。
解説
マスターより
リプレイ
誰何と、続いてすぐに怒号が響く。
「要救は会敵直後! 急いで!」
道筋の草むらを踏んだ跡と怒号の内容。全員、駆け足を更に速め、集落入り口から罵声のする中央を目指す。
「倉庫周りを調べに向かったところを、敵の斥候と鉢合わせ、か?」
テテリカは眉を顰め、まずいな、と続ける。
「コボルトに仲間を呼ばれた。今は10体足らずだがすぐ来るぞ」
これまでの経路に敵は居なかった。ならば――と、テテリカは団体が連れ出した馬を探し顔を顰める。装備の馬具は荷駄専用だ。逃がすしかない。
「割って入るわ。あと敵の増援前提で退避路の確保お願いね!」
テテリカの報告を受け、ミツキ・アインホルンはエルゼリオ・レイノーラと、一瞬、顔を見合わる。
「間違いなくガナパティさん達の風貌ですね。全員ちゃんと揃ってますよ」
散開せずに済むのは不幸中の幸いだとエルゼリオは頷いて、頷き返すミツキとともに武器を構えて怒号のただなかに飛び込んだ。背後でテテリカの矢を放つ音。初撃の斧を振り下ろし初の矢をつがえたコボルトを二人が始末した時には、周囲は濃煙炸弾による濃霧のただなかにあった。
「ガナパティさんよね? 一緒に亜人達を殲滅するため協力をお願いしたいの。無策では危険すぎる。貴方も貴方の仲間も。帝国の民が死ぬ所はもう見たくないの」
濃霧の晴れる前に――。
ミツキは怒号の主、手斧を振り回す男に声をかける。説得に時間はかけられない。すぐ言葉を継いでエルゼリオが状況を説明すれば一考してくれるだろうか。この男は一応……仲間を庇っていたのだから。
「ボク等は冒険者ギルドから派遣された冒険者です。コボルト最低80体。それが集落を狙っています! 孤立する危険より、どうかボク達と共同戦線をお願いします…!」
80体!
舎弟らから悲鳴のような叫び。
縋るように兄ィを見る舎弟が頼る男なのだ。短慮だが自負も人一倍だろう。そこに賭ける。
「……で?」
何をしてやればいいのだ?
ガナパティの舎弟の前を意識した態度は、ニーラ・メッコの明るい声に吹き飛ばされた。
「あっ! ボランティアの人、おひさしぶり。一緒に集会所兼砦まで全速力で走ってついてきて! すぐにギルドから応援が駆け付けるからそれまでの辛抱だよっ!」
舎弟に既知が居たのだろう。再会を喜ぶ声と、途中でガナパティへ笑顔の会釈。手はもう顔見知りらしい舎弟の腕を引っ張っている。
この機に乗じて――。
「「ご協力、ありがとうございますっ!」」
「一旦籠城ですよ」
「急いで!」
既成事実化だ。ミツキとエリゼリオも会釈と同時にガナパティと舎弟の背を押し、集会所兼砦まで急き立てる。
薄れる濃霧の中、冒険者達が来た道へ荷駄馬が駆け去ってゆく。
馬を逃がされ、ゴブリンであるテテリカに手を引かれた舎弟の一人が抗議の声を上げるが、霧の向こうに潜む無数の影を認め途中から悲鳴に変わる。
「ベニテング、牽制だ」
相方のペットと連携するテテリカと、先んじて放たれたミツキのスタティックフィールドにコボルトが囚われれば、殿は引き受けたとエルゼリオがダマスカス鋼の盾を構える。周囲を睨む二人の背に、先頭を行ったニーラの「鍵かかってる!」との声と、「貴方が頼りなのだ」と断言するテテリカの声。
じり……とまた別の方向から距離を詰めるコボルトを、アーケインテンペストで足止めしたミツキの耳に、不機嫌なガナパティの唸り声と鍵の破壊音が重なった。
●
「鉄壁を扉前に展開するよ! 2回分だけだから窓と扉の補強はお願いねっ!」
善意の人だ、頼れる人だ。だからボランティアの人もお願い! ……と断言するニーラのいい笑顔は、砦内部でも止まらなかった。
「やった! 砦機能、活きてますよ!」
「では窓は仕掛けとバリケード併用で、扉は……とにかくたくさん家具積み上げて」
次々に窓に侵入防止の仕掛けを施すエルゼリオが舎弟たちを手招きすれば、ミツキはニーラに習い勢い任せで舎弟達に砦に残る什器をおしつける。
「二階の安全確保がてら、先行して敵の指揮系統を看破しておきたい」
テテリカは自身の扱いに舎弟が困っているのに苦笑しながら、やはり階上を見上げるミツキに同行を誘う。ベニテングは既に階段上方から階上を睨んでいる。
「ガナパティさん。上階籠城のときに階段をすぐ落とせるように、土台を破壊して欲しいの。手斧を持つ貴方にしか頼めないから」
お願いします。と再度。テテリカもミツキに併せて目礼し階段を駆け上がる。
(それで感触はどう?)
扉方面の窓にとりつき、小声でミツキが聞く。
(コボルトの方なら号令が聞こえる。指揮系統は雑多で練度は低そうだ)
人物評なら受付嬢の通りと思ったが? と、テテリカは所感を述べ、避けろ! とまぐれ当たりの矢を放った弓持部隊を貫通衝撃射の餌食とばかりに片付ける。
(善意が暴発しそうな元チンピラ兄ィ、皆に認められたいのかも? ってのに同感だわよ受付嬢)
射撃攻撃に乗じて接近仕掛けた近接武器持ちどもに、戦術眼を働かせたミツキは近寄らせるものかと小さな光弾を降り注がせる。
バリケードが設置完了したのだろう。階段を上がってくる複数の足音。
「四方の窓に各々で張り付いて、敵接近阻止の手だ。敵はお粗末だが指揮系統と前衛後衛での連携概念がある……」
機能しているとは言い難いが……とテテリカは付け加える。
「ガナパティさん有難う。階段を落として昇降口もそこの家具でふさいでくださいね」
それが終わったら私を助けて、とミツキはガナパティを呼ぶ。この男は、善意で頼られたくて強がりだが……危ういのだ。おそらく。
●
「あ、ガナパティさーん。階段からの侵入も一応は気にしててね!」
頼れる兄貴って舎弟さんに聞いたんですよ。ねー?
ニーラは自分の隣に引きずり込んだ舎弟の一人と仲良く話しながら、じりじりと距離を詰める弓持ちと近接の混合部隊に、光輝くエーテルの氷嵐を見舞っている。
そろそろ扉の前に時間差で二重置きした鉄壁の、有効期限が切れかけるころだ。
万一侵入されたら……外からも中からも冒険者も要救助者も攻撃されるのだ。
(アーケインテンペスト改、温存しておかないとね!)
「この前聞いたお兄さんの尊敬するボランティアのリーダーって、ガナパティさんの事だったんですね。あ、お兄さん、その節はお世話になりました」
大きく明るい声はわざとだろう。
とある隊商護衛で顔見知りになったのだ、と少し離れたガナパティに聞こえる様に。
「昔っからヤンチャで鳴らしてた兄ィだけど、理想高くて仲間思いで情に厚くてさぁ」
「やっぱりそんな感じです、です! あ……危なっ!」
窓に乗り出し、こっそり浸透しかけた斧持ちを突入支援の弓持ちごと始末するが、行違った矢が、ニーラの耳の先を掠めてピンクの髪を一束散らす。
慌てて引き寄せてくれた舎弟の視線がニーラのエルフ特有の耳にかかる。
「お兄さん有難う! 籠城中、頼りにしてるね」
一瞬。舎弟の瞠目。
ニーラがエルフなのは以前出会ったときに知っていた。けれど、いまの自分は敵対集落だからとエルフを気に入らない対象と見ていて、けれどこの素直で明るい少女が人間以外のパーツを持つことを改めて意識して。けれど――。
返ってきたのはニーラの、人種なんか私は気にしないよ。とばかりの笑顔。
ニーラはまた、勢い任せでまた次の敵を迎撃しようと身を乗り出し、舎弟に引き寄せられるのを繰り返す。
「危ないっていったって、隙あらば近づいて来ようとするのだもの。こりゃがんばって当てるしかないっしょ!? ね、お兄さん?」
――前言撤回。彼女の明るさは天然かもしれない。
(だって信じたいじゃない。ガナパティさんも舎弟さんも、仲間思いで理想がボランティアなんでしょう? 今は空回りだけどいつかは、きっと)
「またぁっ! 入口の鉄壁が消えた時点で敵が浸透や吶喊、目論んできてるみたいー」
ニーラが何度目かの敵吶喊を阻止し、二階全体に警報を促すよう声を張り上げる。
「統率のとれた集団という調査だったけど、リーダー格の一匹が系統だった総て指揮統率してる、ってわけでもない様子……よね!?」
警報をうけてエルゼリオは天眼と超視覚に今まで以上に意識をむけ、状況分析の裏打ちを、テテリカに求める。この窓に張り付く前に全ての窓から見回ったコボルト達の布陣と、いま眼下に見て仲間から聞く粗雑な吶喊のさま。
「ほとんど聞き取れないが、号令は相変わらず雑だな。サブリーダークラスらしい何匹かの罵声ばかりだが、有象無象への指揮系統は破壊すべきだ」
「了解。リーダーでもサブリーダーでも構わない。先ずはソイツを狙う……!」
応。……とニーラとテテリカの意見を受けてのエルゼリオの方針に、冒険者達から返答の声が上がる。
(そこの集団っ。なにを悪だくみしているのかしらね?)
エルゼリオの祈りが霧を呼び、稚拙な陣形を整え進むコボルトの一団を捉える。――直後、激しく眩い雷の嵐。
「キミは亜人の命令に従うのか?」
祈りの詠唱が途切れた合間、エルゼリオの補助でコボルト集団を見張っていた舎弟が、驚き責めるような口調でエルゼリオに問う。
「作戦なら当然。あと亜人ではなくて仲間だし、命令ではなく意見や情報提供だしね?」
そんなことより、無駄口しないで、腰落として避ける態勢でっ!
と、飛来する矢から舎弟を盾で庇う。
少し間に合わずに弾かれた矢が舎弟の肩先を掠めてしまった。
「治療は20秒ほど待ってね。あの偉そうなのを墜とすから」
エルゼリオの祭刀から放たれる光の矢。どこかの鉱夫から奪ったらしいひときわ豪華なツルハシを持つコボルトは、自身の攻撃が届かぬ罵声と悲鳴を上げてひっくり返った。
その後に――。
(……本当に20数えたら皆を治療してくれたのか)
籠城していても皆の被弾率は無いとはいえない。だからこそ。
人間と亜人、冒険者とボランティア、なんら分け隔てなくエルゼリオが放つ光輝くエーテルの波動に癒されてゆく。
「貴方も敵接近に気を付けて。白兵戦の用意はしてあるけれども……ね?」
そしてこともなげにまたエルゼリオは、眼下を睨むのだ。
手鏡をかざし、テテリカは死角を睨む。
(なるほど、単純な陣形を組み隙あらば吶喊……程度の統制なのだな。だが、数集まれば厄介なのに変わりはない)
浸透し、突破口が開かれれば、一気呵成に突撃する頭はあるのだろうから。
「ベニテング、弓の射程に気を付けて魔法攻撃。届く相手なら何でもいい」
テテリカ自身は先程からやたらがなり立てる弓持ちの個体を、最優先目標と定めて射撃の照準をあわせる。
――鋭い風切り音。続いて衝撃波の着弾音が後を追う。
「五月蠅いのが無能な取り巻きを連れていてくれて助かるな」
偉そうな個体が恐怖心からぎゃあぎゃあ役立たずの斧持ちツルハシ持ちをなじり、盾になる板切れを拾わせるのを、むしろ無駄な行動ごくろうさん、とテテリカはほくそ笑んで次の矢をつがえる。
「亜人の言葉がわかるんだな。亜人同志だからな!」
ニーラやエルゼリオと情報交換中から、テテリカの隣に這いつくばるこの言葉を吐いた舎弟は、信じられないモノを見る目で嫌悪感も隠そうとしていなかった。
「わからんな、学習無しでは」
敵が右往左往で手数を無駄にする機会を逃すテテリカではない。衝撃波、そしてまた衝撃波。撃ち尽くして、次は頭上からの光の破片を炸裂させてやろうかと息も絶え絶えの一団を睨む。
「俺はゴールディのゴブリンだ。今はまだならず者かもしれんが、熱意と志を持って大樹海を出た者たちの子孫だ」
舎弟がまたなにか言おうとする。
(だから亜人とは違うと言いたいのか)
そう睨んだ舎弟の言葉は、結局、テテリカの呟きを前に発せられることはなかった。
「帝国復興への熱意で行動している貴方達と同じだ。朽ち果てるなよ。窮地に立ち向かうために立ち上がったのだろう?」
ミツキの放つ光弾も氷の嵐も止んだ。
ボロボロになりながらも盾になる板切れを被って這いつくばりしゃがみ込んでいたコボルトの群れが、この隙に乗じて武器を構えてにじり寄る。おっかなびっくり、ミツキの護る同じ窓を狙っていた別の群れも、物陰から這い出してそろりそろりと合流する。
赤い房付きの斧を構えた個体が、矢をつがえた弓持ちを従えて、斧を高く掲げて窓から姿の覗くミツキを指した。勿体ぶった仕草は処刑勧告のつもり、なのだろう。
「おいっ! まさか弾ギレなのか? おい!」
焦り、苛立たし気に、しかし怯えた声音もにじませながら、ミツキの後ろでガナパティが喚く。それでも手斧を握りしめて、見張れと頼まれた階段昇降口のバリケードを気にしているのは、任侠の意地と兄ィと呼ばれている自負だろうか。
「……やっと仕掛け通り纏まってくれたわね」
なにを言っている?
そんなガナパティの表情をうけて、ミツキは答える。
「帝国の国是、『征竜の盾』ってご存知よね?」
――次の瞬間。
機をはかり温存していたミツキの攻撃、岩石の巨弾が放たれ石礫がコボルトの一団を激しく撃ちしだく。
その後に立ち上がるコボルトは居なかった。
「来るべき時まで征竜を刺激することなく、その時が来たらば『人類の盾』たらん。それと同じよ。準備とタイミングを誤れば、なにより大切で可愛い仲間を失いかねない」
「俺は、俺は……」
「ガナパティさん、そこをくれぐれも気を付けて」
ふぅ、と息をついてミツキは窓から離れ、「まぁ私も残弾ギリだったけどね」と呟く。
●
「ギルドの増援を視認。欲張って挟撃狙いの布陣やっても、あと2分で合流見込みってところだね」
ときおりキャンプ方面を確認していたエルゼリオが、皆に届けと声を張り上げたのが、ミツキが窓を離れる数秒前。
敵殲滅にはほど遠いが、間違いなくコボルト共は損耗し、そして冒険者とボランティア 達は籠城戦をやり遂げた。
「良かったぁ! ギルドの受付嬢さん、予定より急いでくれたんですね。これもガナパティさんと仲間の皆さんが期待のボランティアだからですよ、きっと。今回はちょっと早まっちゃったけど……っとっとっとぉおお!?」
ニーラの語尾が焦っているのは、性懲りもなく半壊の窓へ再突入を図ったコボルトに、とっておきのアーケインテンペスト改を見舞おうとし落ちかけたのだ。
「長い20分だったが生き延びて重畳だ」
テテリカの言葉に舎弟が戸惑いつつ頷く。
無断侵入した集落で会敵し、亜人混じりの冒険者と共闘してからまだたったの20分。
けれど違う終わりが訪れたかもしれない20分だ。
「まだよ。キャンプに元気で還るまでが、冒険者とボランティアの仕事よね」
ミツキがパンッと頬に気合を入れた。
――その後。
報告書には該当コボルト群殲滅が記された。
ガナパティ達はボランティアを続けている。
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:標準4 / 4〜4人
2021年02月26日 22時57分42秒 公開
相談掲示板
キャスターのミツキよ。よろしくね 面倒な状況ね。 まずは四人を探して、説得して手伝ってもらう感じかしら。 流石に手が足りないから、最前線で切った張ったしてもらうのは難しくても、後ろからの攻撃だったり、遮蔽を作ってもらう位はできるんじゃないかしら。 その上で、どうやって持ちこたえるかね……。
シューターのテテリカだ。よろしく頼む。 俺の捜波と相棒の動物に探し回ってもらって、捜索に協力できそうだ。 持ち堪える場所として、集会所兼砦が向いているように思う。窓があるので弓や魔法も撃てそうだ。ただ、頑丈な作りのようだが、木造という点が気がかりではある……。
ヒーラーのエルゼリオ・レイノーラだよ。 初めての人も、そうじゃない人もヨロシクね! 戦力差がスゴいし、真っ向勝負は不可能だよね。 そうなると援軍到着までの20分間(240ターン!?)をどう凌ぐか…って所かな? ここはやっぱりテテリカさんが言ってるように、 集会所兼砦を利用して籠城戦を展開するのがベストだと思う。 その場合、ボクは祈雷2を設置したり、魔矢で遠距離攻撃しようかと。 >ガナパティ 彼等と廃村で鉢合わせしたら、短的に状況説明して協力して貰うしかないよね。 授恵者と非授恵者が居るらしいけど、戦闘に関しては素人らしいからアテには出来ないけど…。 戦闘以外で出来そうな事だと―― 集会所兼砦の内外にバリケードとか作って貰うのはどうだろう?
キャスターのニーラ・メッコです。 よろしくね! 集会所兼砦に立てこもって籠城戦するのね。 私も賛成です。 まずはガナパティさん達を探し出して合流 そのあと集会所兼砦に入る感じかな? 私は捜索系のスキルは持っていないから、スキルによる手伝いはできないけど がんばってガナパティさん達を探すよ。
>ガナパティ ガナパティ達とは 『リプレイは、冒険者と自称任侠団体の4名とコボルトが、廃村で鉢合わせしたところから始まります』 …って解説に記載されてるから、 合流の為の捜索はしなくっても大丈夫な筈! >コボルト 鉢合わせした所をどうやって切り抜けて、 集会所兼砦まで行くかが最初の難関かなぁ?
(ハッとした顔で) 教えてくれてありがとう、エルゼリオ。 (大鼬のベニテングは、失敗した時のネコみたいに熱心に毛づくろいを始める) すでにコボルトと鉢合わせしている状況なら、弓持ちの射線を遮るために煙幕を使って、ガナパティ達と一緒に全力移動で集会所に向かう、というのはどうだろうか? シューターの煙幕スキルはサブ行動なので、メインで移動すれば俺も一人取り残されはしないはず。 ガナパティ達はエルフさえ人類とは見なしていないようだな。ゴブリンの俺の言葉に彼らが耳を貸してくれるかどうか、ちょっと自信がない……。 彼らに避難を呼びかけるのはお任せしても良いだろうか……?
>捜索不要 あっ……。これは私が勘違いして書いてしまったわね。ごめんなさい。 エルゼリオさんは指摘ありがとう。 >集会所で籠城戦 私もこれでいいと思うわ。 テテリカさんが懸念されてるのは「木造だから火責めが怖い」という事かしら。 「知性は人間の幼児や賢い動物程度とされます(ワールドガイドより)」という事のようだから、さすがに火責めするほどの知性はないんじゃないかと思うけど、どうかしら? >鉢合わせからの脱出 非授恵者もいるし、何も手を打たずに逃げ切りは難しそうね。 テテリカさんの煙幕で、弓使いの射線封じはいいアイデアだと思うわ。 じゃあ、斧持ちとツルハシ持ちは私がスタティックフィールドで機動力を削ぐわ。 これで遠距離攻撃も、接近して襲われることにも対応できるはずよ。 >ガナパティ達への声掛け どう説得したものかしらね。妙な正義感で突撃させないよう、上手くコントロールしないといけないわね。 「一緒にあの亜人達を殲滅しましょう。協力して」「無策での突撃は貴方の仲間も危険よ?」位でいいのかしら。
>鉢合わせからの脱出 テテリカさんの煙幕で射線を遮って、ガナパティ達と全力移動で集会所に向かう、って案で良いと思う。 ボクは参加者の中では頑健な方だとは思うから、盾を構えながら殿を受け持つね。 >ガナパティ達への声掛け ミツキさんが挙げてくれてる様な方向で良いんじゃないかな? あまり時間もないし、危険が迫っている事・協力しあった方が生き残れる確率が上がる事…とかを端的に訴えて納得して貰うしかないよねぇ。 >籠城 集会所への進路に祈雷2を設置しておこうかな…って考えてるよ。 祈雷2が発動した後は、2階から魔矢での攻撃を予定。 特性スキルは【祈雷2】【ヒーリングオーラ】 アクションスキルは【魔矢】【ヒール2】(後2枠は考え中)
そうか、鉢合わせしたところからか。 私は足が速くないからなー。 頑張って走るよ! ガナパティさんへの説得は、任侠の心をくすぐるような言葉でいったらついてきてくれるかなぁ。 いまはまだ思いつかないけど。 集会所兼砦は約10m四方。2階建て。窓は四方にある。 四方それぞれ手分けして受け持った方がいいのかな? コボルト達がどの方角から攻めてくるかにもよるだろうけど…… 80体以上いるから、同時に四方から攻めてくるかもしれないよねぇ。
そうね。少なくとも誰かが見てないと、その窓から入られて内と外の両方で戦う羽目になりそうね。 四人で窓をそれぞれ分担するのが良いのかしら。
>ガナパティへの声掛け ミツキの言う感じで良いと思う。ありがとう。 俺の方でも頃合いを見計らい、ゴールディのゴブリンだと彼らに告げておく。 ヒューマンではないので微妙な反応をされるかもしれないが、敵対的なゴブリンと誤解されさえしなければ良い。 >集会所 火に弱い点と単純に石より耐久度が低いかもしれないという点で少し心配していた。 ただ、倉庫は倉庫でサイズが小さいなどデメリットもあり、コボルト側の知性も鑑みると、集会所に籠るのが安全そうだな。 エルゼリオの祈雷2も心強いな。 >窓 四方の窓をそれぞれ担当する形だな。了解した。 窓以外に警戒する必要のある場所は、ガナパティ達4人と俺の大鼬で見られるか。
じゃあ、四方の窓の一個は任せておいて! それと、入口も守らないといけないのか。 四方の一辺に入口の扉?はあるだろうから、四人で大丈夫だとは思うけど。 なんか家具があれば入口に置いてバリケードの代わりにしたらいいのかな? 私は最初、1階でがんばろうかな。 もし建物内部に攻め込まれたら2階に撤退するよ。 そしたら1階から2階に上がる階段も守らないといけないよね。
>荷駄用の馬 馬達は遠くに逃がしておくか? 砦の中に避難させるのはちょっと大変そうだ。 >バリケード 屋内はニーラが言ってくれた案で家具でバリケードを作るのが良さそうだな。 ガナパティ達は力がありそうだから、彼らが協力してくれるならスムーズにいきそうだ。 敵は早めに二階の窓に向かって、集会所に近づくコボルトを弓で追い払おうと思う。 そういえば、キャスターの魔法でアイアンウォールがあったな。もしあの魔法を使える人がいるなら、とても心強い。
ああ、間違えた……。 俺が早めに二階の窓にいく、と言いたかった……。
>集会所兼砦 1階の出入口と窓は全部塞いで(家具があるなら即席バリケード)、 2階の出入口も同様に塞いじゃう感じで良いと思う。 バリケード作成にはガナパティ達にも頑張って貰う方向で。 >ニーラ・メッコさん 序盤は1階部分の外(?)で動く予定なのかな? それだと集会所の出入口の何処かは開けておかないと、 集会所内部に入れなくなっちゃうけど…どうする? コボルト達に集会所内部に攻め込まれてから、 出入口封鎖するのは難しいと思うし…。 >窓 四方の窓から全周警戒しつつ、 コボルトの動き次第で臨機応変に移動する形で良いんじゃないかな? >行動 ボクは集会所に到着するまでの間に【祈雷2】を設置。 その後は2階に立て籠もって【魔矢】【衝撃刃2】で、脅威度の高い敵から攻撃して行くよ。 2階に踏み込まれた時は、【エーテルブロー2】での白兵戦に移行するよ。 >スキル 特性:【祈雷2】【ヒーリングオーラ】 アクション:【ヒール】【魔矢】【衝撃刃2】【エーテルブロー2】 …この組み合わせで行く予定~。
1階の窓から攻撃しようと思ってた。 集会所兼砦の中からね。 2階からだと窓の真下の敵を狙いにくいかな……と思って。
>ニーラ・メッコさん そうなると、ニーラさんが2階に退避するまでは2階の出入口は塞がない方向で良いのかな? でも、それだと2階にバリケード作る時間がないかも…うーん…。 ガナパティ達に超頑張って貰う、とか…?
……う~ん なら仕方ない。 私もはじめから2階で戦うかぁ。 プレイングは書き直しておくよ。
始めから二階に陣取るのね。了解したわ。 窓についても四人で分担ね。
スキルは弓の範囲攻撃と、長期戦に備えてヒールを用意した。 俺の行動は逃走時や砦の籠城時に敵を近寄らせないことが主体で、バリケード作りや屋内戦の戦法は盛り込めていない。 一応室内でも戦えるように安い剣は持っていく……。 明日の夕方に出発だな。 少人数の戦いだが、皆で頑張ろう。
>ニーラ・メッコさん 行動変更させちゃってゴメンね! 援軍到着までガナパティさん達含めて、皆で何とか持ち堪えよう…! ――それじゃ、現地ではヨロシクね。