話の途中でワイバーン
広並 整
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シナリオID:517
オープニング
リーンエス王国北部の山岳地帯は比較的穏やかな気候をしている。
少なくとも、行商人が山間の集落へ向かえる程度には。
「いやぁ、あんたも物好きだなぁ」
「やー、ま、ボクの場合は仕事なんで」
比較的なだらかな山道を、馬を引いた人影が二人、呑気に歩みを進めていた。
片方は見るからに行商人である。形ばかり馬の轡を取り、自らも荷物を背負ってえっちらおっちら歩く姿はどこか人好きがする様子。人柄が良いのだろう、馬もよく懐いているようだ。
もう片方は、見るからに旅人である。
機能性のよそさそうな外套を見にまとい、必要最低限の道具だけ持ち歩いている様は、ともすれば冒険者にも見えそうだ。が、見たところ、武器の類は所持していない様子であるため、単なる旅人であろうと知れる。
現在地は、山裾から歩いて2時間ほど経過した森の中。荷物を持っているため通常より歩みは遅い。山間の集落まではまだまだ距離がある、山のほんの入り口といったところである。
「いやいや、物好きさね。帝国崩壊からこっち、みな己のことで精一杯で、こんな人里離れた集落に目を向ける輩なんざそう居ないさ」
「あー、まぁ、ボクの場合はちょっと仕事が特殊ってか、まぁ、好きでやってっから……」
「ご立派なことだよ本当に。儂はあの村の出身だからね、こんな金にもならん行商などやっていられるが、あんたさんはそういうわけでもなかろうに」
「そこまで言われると逆に居た堪れねぇんだがよ……」
暇を慰めるようにぽつりぽつりと会話をしながら、二人は順調に道を進んでいたのだが。
「あ?」
ふと、旅人が空を見上げて足を止めた。
視線の先には山の尾根と、ぼんやりと霞がかっているが、切り立った崖が見える。
「あー……」
「うん? どうしたね」
遠く見える景色に目立った問題はなさそうだが。
行商人が首を傾げたが、旅人は何やらよからぬものを発見したらしい。腰下のポーチから取り出した単眼橋を覗き込んで、歯切れの悪い呻き声を発している。
「あー、うん、おっちゃん、ちょっとこれは、一旦戻った方が良さそうだぜ」
単眼今日から目を離した旅人は、引きつった笑みを浮かべて。
「クソデカい飛びトカゲが崖に巣ぅ作ってやがる」
「は?」
行商人が思いもよらなかった言葉を言い放った。
●襲撃は唐突に
「あー、突然で悪いが、ワイバーン討伐に力を貸してくれる者はいないか?」
その日の夕刻、冒険者ギルドのとある支部に、一人の旅人が依頼を携えてやってきた。
このギルドは小規模で、宿屋兼酒場兼冒険者ギルドをやっているような場所である。依頼と言っても採集や害獣駆除、町の手伝いなんてものがほとんどで、大口の依頼などほぼないような場所だったのだが。
「ワイバーンだって?」
店の女将兼受付嬢が、ビールジョッキを両手に抱えたまま旅人を見据える。
「そりゃあ、けったいなことだね。どこだい?」
「山のほうの集落に行く道すがらの崖、って言やぁ通じるか? どうやらハグレ個体がそこで巣を作っちまったらしくてな……あの辺の集落に行く道が潰れた」
「そりゃあ大事じゃあないかい!」
ドン! とビールジョッキをカウンターに叩きつけ、女将が叫ぶ。
早めの酒盛りを始めていた地元の冒険者連中が何事かと集まってくるのを尻目に、女将は深刻な表情で旅人へと詰め寄った。対する旅人のほうも表情が硬い。
「そう、ヤベェんだよ。ボクは丁度行商人と居たんだが、話によれば帝国関連のゴタゴタでしばらくあの辺の集落に行けてないらしくてな……」
「一大事だね。こりゃあ悠長に人員を集めている暇はないか……」
騒がしかった酒場が急に静かになる。
皆、女将と旅人の話に耳を傾けているのだ。
行商人の存在というのは、辺境にあればあるほど命綱となりやすい。
特に、海から遠いこの場所では、行商人が運んでくる塩がなければ生活が成り立たないほど。あの行商人の親父も、自身の出身地に塩や鉄の農具などの生活用品を届けるため、金にならない行商ルートを辿っているのである。
山間部の集落に行商人が訪れなくなることは、命に関わる状態と言っても過言ではない。
「産卵期のワイバーンは気が立っていることが多い上、餌を求めて行動範囲が広くなる。アレがいつからいるのかはわからんが、すでに被害が出ていてもおかしくないとボクは踏んでるんだが」
「アタシも同感だね。よし、すぐ手を打とう」
パン! と女将が両手を打った。
その音で酒場にいた冒険者たちの注目を集めた女将は、割腹の良い肉体をさらに誇示するように腰に手を当て、店の外にまで響き渡るような声を発する。
「あんたたち、聞いてたね?! 動けるヤツはいますぐ準備おし! 依頼料は後から弾んでやるから、とにかくさっさと飛びトカゲを駆除してきな!」
威勢のいい女将の掛け声に、冒険者たちは大きく声を張り上げ応えるのだった。
解説
マスターより
リプレイ
「もし巣に卵がなくてもさ、この中の誰かが卵産めばそれがワイバーンの卵ってことにならない?」
「え゛っ」
罠を仕掛けるポイントまで向かう道中。突然そんなことを言い出したサニー・フォン・オルライトに、偶然隣にいたスフェーンがなんとも言い難い声を発した。
「いや……それは……」
「あーあ、この場にリザードマンさんが居ればなぁ」
「いやもしリザードマンがいてもそんなにすぐには卵産めないのだ」
言葉に悩むスフェーン、リザードマンがいたら卵をねだるつもりだったらしいサニー、あんまりにもあんまりな言い様に思わず横から口を挟むストレガ・L・リベルガストラ。
そんな会話を聞いていた周囲にも、なんとなく脱力した雰囲気が漂っている。
「やだなぁ冗談だよ!」
「め、目が本気だった……」
カラッと笑うサニーだったが、ティトの目は誤魔化せなかったらしい。青い顔をして若干震えているティトの姿が哀れみを誘った。
「まぁ、緊張が解れたのならなんでもいいのですわ」
呆れた目をしたバンビがぼそっと呟く。
目的地まであと少し。
●
ワイバーンが営巣している崖近くには、ぽっかりと木々が開けた場所がある。
一行は、そこに囮を使った罠を張ることにしたらしい。それぞれが分担して持っていたロープやずた袋、羊毛と羊の血を用いてて早く罠を組み立ててゆく。
「ワイバーンを回収してくれる人たちも一緒に来られれば、もっと荷物を持ってこれたのに。残念だわ」
「そればっかりは仕方ないよ。動く人数が多ければ、それだけ敵に見つかる確率も上がっちゃうもん」
手際良く作業しながらもどこか残念そうなミツキ・アインホルンに、ララベル・サン・ディーベルが宥めるような口調で肩をすくめて見せる。
「囮で釣れなかったら、巣に直接攻撃すれば戻ってくるかな?」
「そうね、いいと思うわ。まぁどちらにせよ、しばらく様子を見なければいけないけれど」
巣がある崖のほうを気にしているサニーに、イネス・エレディアが作業の手を止めず答える。
その後ろでリディリディ・トゥラ・イェレミースが半泣きでロープを木に結びつけていた。
「なんでワイバーン退治に参加してるんでしょう私……あぁハイアルヴよどうかご加護をお与えください……」
「アナタ大丈夫か?」
あんまりにも手が震えているので、見かねた蒋・璃龍が心配そうに背中をさすっているレベルである。
「だ、大丈夫ッスよリディリディの姉さん! 所詮は空飛ぶトカゲ……オイラの敵ではないッスね!」
「す、スフェーンさん……!」
「スフェーンさん、足震えているぞ?」
「そこは見逃して欲しいッス」
胸を張って宣言するスフェーンの足はリディリディに負けず劣らず震えている。璃龍がジト目で見やるのも仕方がない。
それでもリディリディの気休めにはなったようで、彼女の震えは多少おさまった。スフェーンの震えは止まらないが。
「む、崖向こうの方角、ワイバーンらしき敵影!! 攻撃の用意をするのだ!!」
『!!』
「ひぃ!!」
周囲を警戒していたストレガが敵影を察知。即座に皆囮を置いて森へ分け入り、木々の狭間に身を隠す。若干一名挙動がおかしかったが問題はなかろう。
「敵の動きが早いわね……もう少し待つと思っていたわ」
「何か理由があるのかしら」
イネスは弓をつがえ、ミツキは投擲用のロープを構え、上空を見据えている。
「わからない……旅人と行商人が見つけるまで情報はなかったみたいだし」
イネスはどうしても、つがいの存在が気にかかった。
営巣しているなら、つがいがいてもおかしくはなさそうなのだが……。
と。
――……ォォォォオオオオオオオ!!
「ぴぇ」
「ひょわ」
森の木々を揺るがすような咆哮が響いた。約2名から悲鳴が漏れたがような気配がしたがきっと気のせいだろう。
ワイバーンは巨大だった。
遠い空に黒い点が見えたと思ったら、次の瞬間には頭上にいる。そんな錯覚がするほどの巨体。
咆哮は鼓膜を突き破らんとするほど鋭く、爪牙は恐ろしいまでに鋭利。こちらへ向かって一直線に滑空してくる様はまさに絶望の権化である。
「えっデカすぎる。これと戦うとか正気ッスか?」
その正気ではない行いをしようとしている一行の一人が自分だということを忘れていないかスフェーン。
滑空するワイバーンは一直線に囮へと向かっている。どうやら罠にかかったらしい、が。
「速い!!」
「ロープ、届くか?!」
滑空のスピードが予想以上に速い。即席でつっくったボーラは片側を木に結びつけており、拘束力は強いが機動力に欠ける。滑空のスピードに合わせて当てるのは至難の技だ。
「まだだ! まだ引きつける!!」
バンビの魔力が高まっている。ほのかに発光するようなその挙動は輝く爆光――生命力を魔法攻撃力に変換するスキルだろうか。
高速詠唱を得意とする彼女は既に詠唱を始めていた。ワイバーンが囮を掴む瞬間を狙っているらしい。
囮は石で作っているため、見た目より重い。その重量にワイバーンが引き摺られるのを待っているのだ。
「援護するわ!」
シューターであるイネスもエーテルを練り上げている。狙うは動きの阻害。兎にも角にもあのデカブツの動きを止めない限り、攻撃を当てるのが難しいのだ。
ワイバーンが来る。
滑空からの低空飛行、翼を軽く折り畳んで一直線に囮へと向かい、その羊毛を掴んで、持ち上げようとした瞬間。
「ギッ?!」
予想外の重量に負けて、ワイバーンは上昇しきれず体勢を崩す。いくらかは上昇し囮を持ち上げはしたが、繋がっていたロープがそれ以上進むのを邪魔していた。ワイバーンは囮に引っ張られる形で一瞬動きを止める。
その瞬間を、バンビは待っていた。
「喰らいやがれ!! ストーンブラストォォオオ!!」
バンビの練り上げたスキルが、ワイバーンの頭上に放たれた。
獄炎は狙い違わずワイバーンの背を捕らえると、その計り知れないエネルギーを一気に解放。高められたエーテルが強烈な破壊力を持った爆発を巻き起こし、飛び散った礫と共にワイバーンの背を叩きつける!!
ガアアアアアアアアア!!!
腹の底を抉るような咆哮が轟く。ビリビリと震えた空気が森の木々さえ揺らした。
ドンッ!! 地面が揺れる。
ワイバーンがバンビの攻撃に煽られ、地上に墜落したのだ。5Mを超える巨体が地面に叩きつけられた衝撃は凄まじく、囮の石は砕け、――ワイバーンの片翼すら砕けていた。
「今よ!!」
ミツキの声に、衝撃から復活した者たちが、ワイバーンへと一斉に縄を投擲。簡易ボーラと化したそれらはワイバーンの四肢に絡みつき、その行動を阻害することに成功する。
Grrrrrrrrrr……
ワイバーンはもう飛べない。拘束が邪魔をして、その巨体で森を破壊することもできない。
まだ動く首と尻尾にさえ注意すれば、撃破は叶うだろう。
「は、ハ、ふ」
「バンビ殿、回復するのだ」
「あ、ありがとうなのですわ……」
強大な力の行使には代償がつきまとう。消費した生命エネルギーがあまりにも大きいため、バンビは少々息が荒い。気付いたストレガがすかさず失われた生命エネルギーの回復に回った。
「ひぃん怖い!!」
「泣きゴト言ってる場合じゃないぞ!」
飛び出して行ったのは、ウォーリアであるスフェーンと璃龍。
今回のパーティは盾2、近接3、遠距離5となかなかにバランスが取れている。盾役が二人いれば、ワイバーンを前後から挟撃して頭と尻尾を別々に担当できるだろう。
残るアタッカーは、ワイバーンの生命エネルギーが枯渇するまで攻撃するのみ。
「貫け……空刃!」
「えーいダブルエッジ!!」
「だ、ダブルエッジ……ッ!」
後衛陣が攻撃する隙を作るべく、シーフであるララベルとサニー、ティトがワイバーンを3方向から挟み打つ。片翼が折れて使えないとはいえ、もう片方と太い両足は健在である。体格差があるせいで足踏みされるだけでも危険なのだ。
ララベルとサニー、ティトの仕事は攻撃ではなく、弱点の発見と周囲の警戒。前衛の5人がワイバーンの注意を引きつければ引きつけるだけ、後衛5人の火力が強化されると言っても過言ではないのである。
「お腹側の鱗が背中よりちょっとやわらかい! 喉のほうはもっとやわらかい! と思う!!」
「大丈夫ちゃんとやわらかいよ!! 自信持ってサニー!!」
「うん、狩猟的にも、喉は、弱点……!!」
「うおおお死ぬ! 死んじゃうッス!! 助けて強い人!!」
「ここに至ってそれが言えるアナタ、十分強者だと思うぞ」
盾役のテンションが若干おかしい気がするが、仕事は全うしているので大丈夫なのである。
さて、後衛5人の仕事は、大火力でワイバーンを叩き潰すこと。
事ここに至れば、ワイバーンに狙いを定めるのは容易い。前衛の奮闘により、攻撃が飛んでくる心配も皆無。
「さぁ、弱らせて確実に倒すわよ」
技の構成が対人及び集団戦に特化しているミツキが、後衛陣の前面に立つ。彼女は魔錆、魔矢を用いて前衛を援助しつつ、後衛陣の用意が整うのを待っていた。
「妨害は苦手ですが、火力なら……!」
リディリディの周囲に立ち昇る濃密なエーテル。精密なエーテル操作を苦手とする彼女でも、今の状態ならば遠慮なく魔法をぶっ放せる。
「ちょうどドラゴンステーキ食べたいとか思っていたところなのだ」
「えっステーキ?!」
「ここでそんな反応されるとちょっと困るのだ」
アシッドブリッドで前衛を援護しつつエーテルを練っていたストレガの発した「ステーキ」という単語に反応したリディリディに、周囲の緩い視線が刺さった。我に帰ったリディリディがちょっと恥ずかしそうにしている。
「ワイバーン狩りは2度目ですわ。だからどれだけエーテルをぶち込めばいいかもわかっているのですわ」
バンビは再び自身の生命エネルギーを魔力へと転換させてゆく。
ワイバーンの鱗はとにかく硬い。あれを突き破るには、収束させたエーテルを一点突破でぶつけるに限るのである。
「それにしても、本当につがいはいるのかしら。あんなに叫んでいるのに、何もくる気配がない……」
「それは私も気になっていたのよね」
「貴方も? そう……私だけじゃなかったのね」
イネスは事前に示唆されていた「つがい」の存在が気にかかるらしい。ワイバーンに絶え間なくデバフをかけながらも、しきりに上空を気にしていた。
ミツキに肯定され、気を引き締めるようにワイバーンを見据える。
「なんにせよ、つがいを呼ばれないように、できるだけ早く倒すまでよ」
「同意見だわね」
膨大なエーテルを見事に制御しているバンビが、額に汗を滲ませながら頷いた。
斯くして後衛の準備は整った。
「魔法行くわよ! 3、2、1――発射!!」
ドゥッ!!
前衛が作った隙へと、とてつもないエーテルが一塊となって突き進んてゆく。
狙うは、喉元。伸縮性がある分、強度が低いその場所へと、とてつもないエネルギーが打ち込まれた。
一瞬の静寂。
GAAAAAAAAAAAAAA!!
次いで、鼓膜を劈くような爆裂音と、腹を食い破らんばかりの断末魔が響き渡る。
遅れて吹き荒れる爆風。そして、目も開けていられないほどのそれが去れば。
首が半ばから千切れ、息絶えているワイバーンの姿があった。
「かっ――!」
「オイラ生きてるー!!」
勝った! と発しかけたミツキの言葉を、スフェーンの雄叫びが遮った。一瞬あっけに取られたミツキだったが、スフェーンのあまりの喜びように何か言う気もなくなった。
「アノヒト、強いのか弱いのかわからないな」
「冒険者として今まで生き残っているのですから、お強いのでは……?」
「ワタシもそう思うんだけどナ……」
璃龍とリディリディが飛び跳ねるスフェーンをなんとも言えない顔で見ている。
「んっんー、さーてさてさて、お楽しみの解剖タイムなのだ」
「調査が先よ」
「ソンナー」
喜び勇んでワイバーンの死体へナイフを突き入れようとしていたストレガはイネスに首根っこを掴まれていた。
「なんにせよ、大きな損害がなくてよかったのですわ」
以前より準備が整っていなかった現状に若干心配していたバンビはホッと胸を撫で下ろす。
「ね、ね! つがいも来ないみたいだし、巣のほうに行ってみようよ!!」
「ぼ、ぼくも行きたい……!」
ララベルとティトは巣のほうに興味があるらしい。
「そうだな。調査はしておきたいぞ」
「つがいが来ないとも限らないわね。卵はあるのかしら?」
璃龍、及びイネスも巣の調査をしたいらしい。
「たまご……! 持ち帰って育ててみたい……」
「うまく慣らせば強そうだけど、エーテルリンクができたって話は聞かないわね」
ティトは仔ワイバーンに興味津々だ。イネス曰く、育てるのは難しそうだが。
「たっまごーたっまごー!」
サニーは足取りも軽く飛び跳ねている。
一行は、調査のために巣が確認できる崖上へと向かうことにした。
●
「ここから見えるかなー……? え……」
「どうかしたか? サニー?」
さて、たったかたーと崖上までやってきた一行。シーフであるサニーが先行して崖下を覗いたのだが、様子がおかしい。
危険はなさそうだと判断した璃龍が隣に立つと、震える指先で崖下を示される。
「あれは……」
「……死体、ね」
言葉を失う璃龍に代わり、イネスが後を引き継いだ。
「し、死体?!」
「死体って……どういう……?」
「貴方たちは見ないほうがいいわ」
まだ年若いララベルとティトには刺激が強すぎると判断したのか、イネスは二人が崖下を覗くのを止める。
「あー……そうッスね、見ないほうがいい」
「ひぇ」
どうやらかなりヤバそうだと判断して崖から顔を出したスフェーンまでも、真面目な声色でそう言った。予想外の事態にリディリディが涙目でか細い悲鳴を発している。
崖の中腹、張り出した岩棚を利用して作られたワイバーンの巣には、腹に大穴が空いているワイバーンの死骸と、噛み砕かれてぐちゃぐちゃになった動物の死体が散乱していた。死体の中には服のようなものも見え、人間の犠牲者が出ていることも察せられる。
「……ワイバーンのほうは、昨日までは生きていたようだな。周りの動物たちは、つがいが食べやすいように噛み砕かれた餌だろう。全てここ何日かで用意されたらしく、腐っているものは少ない」
後続部隊とともに現場を検証したヒロの意見はそのようである。
「……ご遺体は、状況からして近隣の村の誰かだろう。遺品はボクが責任を持って村まで届ける」
2体のワイバーンが丸ごと手に入り、ギルドとしてはこれ以上ない成果だろう。が、現場にいる人々の表情は優れない。
荷車に乗せられて回収されてゆく2対のワイバーンを見送る冒険者たちの胸中は、穏やかではいられなかった。
マスターコメント
ショートシナリオ難しい 報酬:標準10 / 4〜10人
2021年02月01日 11時01分22秒 公開
参加者
蒋・璃龍
ミツキ・アインホルン
サニー・フォン・オルライト
- イェレミース トゥラ リディリディ
ストレガ・L・リベルガストラ
- スフェーン
ララベル・サン・ディーベル
バンビ
ティト
イネス・エレディア
相談掲示板
No.1
その・・・、リディリディといいます。 よ、よろしくお願いします。 ええっと・・・、編成は ウォーリア2 シーフ3 シューター1(魔弓) キャスター4 でキャスターが多い形となっています。 それと目撃されたワイバーンは1匹ですが、巣があることからもう1匹いる可能性もあるみたいですね。
僕はシーフのララベル・サン・ディーベル。 みんな、よろしくね!
ウォーリアの蒋・璃龍、です。よろしくお願いする、ます 編成のまとめ、ありがとう、です。 相手が飛んでいるので、遠距離攻撃手段のあるキャスターがたくさんいてくれるのは助かる、ます 安全な森のほうがいいと思う、ますけれど、ルートの選定と、巣に接近したときにどう行動するかと、実際の戦闘方法とか、決める相談をしたいと思う、ます
ハイスピードキャスターのバンビですわ。 さくっとばきっと最速で退治していきましょう。 とはいえ、30メートルの崖下から魔法を撃っても届きませんので何らかの方策が必要ですわ。
妨害系キャスターのミツキよ。よろしくね リディリディさんは編成のまとめありがとう。 蒋さんも、考えるべき点についてまとめありがとう。 ・ルート(下から攻撃するか、上から攻撃するか) 私も下からでいいと思うわ。 地面からは20m程、つまりへクス換算では4ね。大半の遠距離攻撃は巣まで届くわ。 遠距離攻撃でおびき寄せてから、全員で叩くのではどうかしら。 森であれば、攻撃した後衛が木々に隠れて逃げて、前衛が下りて来たのを叩く事もできると思うし。
回避(仮)シーフのティトです。 どーぞよろしく… 餌とか用意して、罠にかける…とか? つがいが居るかの確認もしなくちゃね。
ストレガなのだ。よろしくなのだ。 デバフマシマシかなぁと思うのだ。フリーズボルトにアシッドブリットでいこうかと。 森を遮蔽に使うの賛成なのだ。
悪い、遅くなった。 今回作戦に同行するヒロだ。好きに呼んでくれ。 急かつ危険な依頼に参加してくれたこと、感謝する。 準備は万全とは言えんが、なんとかあの飛びトカゲをぶちのめしてやろうぜ。 ボクは授恵者じゃねぇから、戦闘には参加できん。 が、代わりにギルドとの連絡係や現地までの案内なんかの雑用はやらせてもらう。わからんことがあれば聞いてくれ、できる範囲で答えよう。 ギルドに対して要望があればボクに言って欲しい。可能ならば対応させる。 存分に使ってくれ。 (MSより:質問がございましたら、NPCへの問いかけ等で発言してください。可能な限りお答えします。)
エルフのシューター、イネス・エレディアよ。 よろしくお願いするわ。 翼を広げて5,6mの巨体とのことだしね。 こちらにとっては大きな問題はなくとも敵にとっては樹が邪魔になることもあるでしょうし、方針には賛成よ、 森を盾にするのには気が乗らないから、可能な限り速やかに討伐したいわね。 番がいればの話だけれど、そのまま巣にいくと2体を相手取ることになりそうだし、うまく引き離せる方法があれば試してみてもいいかもしれないわ。
ん、サニー・フォン・オルライト。クラスはシーフ よろしくねー 番が居るかどうかの確認だけなら、巣の位置に当たりをつけて捜波すればいいかなぁ 射程が20hexあるから届くだろうし 崖下で戦闘となると、滑空された状態で戦闘に入る事になるね なんらかの方法で撃ち落とせればそれが一番いいけど・・・・・・その辺はまぁ、追々かな
>ルート選定 今のところ、下側、森の中を通って接近の意見が多そう、です 一応、餌とかを使った囮作戦をやるなら、囮を崖上ルートの開けたところに置くのも、良いかもしれない、です >戦闘方法(飛行している敵をどう地上に落とすか) ティトさんが言っていた、餌を使った囮作戦、悪くないと思う、ます 餌として、羊、山羊、仔牛を食べるという情報、持ち運べるのは60kg、持ち上げられるのが120kgの情報がある、です 野生の小型の動物を捕まえるか、偽物の餌を使ってごまかすかをして、降りてきた瞬間に、重し付きの投げ縄を皆で投擲して、地上から飛び立てないようにすることができたら、あとは、地上戦に移れるので、戦いやすいと思う、ます 囮のほうも、倒木とかの重しにつないだうえで、偽物を使うのなら、中に石を詰め込んだ見た目以上に重いものにして、相手の速度が落ちた瞬間を狙って、墜落させられないかなと思う、ました 簡単には切れない丈夫なロープだけ、ギルドへの要望でだしてもよさそう、です?
No.12
>射程 そうでした、1ヘクスは5メートル。 射程1は1ヘクスのはずなので遠距離攻撃であれば十分届きますね。 >囮の餌 餌を使うのは良い方法だと思いますが、囮の餌と一緒に持ち上げられないように注意したいですね。 それと、崖下をルートとして通るのならば、肝心の囮の餌にワイバーンが気づくまで時間がかかりそうというのはあります。
No.13
ハーフリングのウォーリア、スフェーンッス! よろしく頼むッス! そうっスね、森の案は大丈夫だと思うッス。 番が居る、と仮定してもこっちには来づらいってのもあるッスし。 >囮の餌 あ、囮の案自体は賛成って事をあらかじめ言っておくッス。 んー。ワイバーンが来る、と仮定して。置く場所は「ワイバーンの感知範囲」かつ「森の開けた場所」ッスよね。都合よく岩や倒木があるとはちょっと考えにくいかな、と。それならまぁ複数人でロープを持ってる方がよい気はするッスね、その間戦えないのがネックッスが。
ぼくも経路は森でいいと思った、よ。 気になってたのは、こういう営巣する飛行系って、狩場みたいなものがあるんじゃないかな?って。そこを見つけ出して囮の餌を設置できればやり易いと思ったよ。 あとは、囮を襲いに来た瞬間を襲撃するんじゃなくて、巣に餌を持ち帰らせた後に効果を発揮させる攻め方、とか… 麻痺とか睡眠とか毒とか、そういった直接的にデバフをかけれそうな仕込みは出来ないかなーって… つがいが居たとしても、両方睡眠で眠らせられれば、安全に巣に接近して一網打尽とか出来そうかなーくらいに思ったよ。 でも、このままならロープでいい、かも…
>囮の餌 囮作戦をやる場合、場所については、前の発言でも言った通り、開けた場所で発見されやすい崖上ルートがある、ます 自分たちは森に潜んでおいて、囮だけ開けた場所においておけば、餌と勘違いして比較的早く、見つけてもらえると思う、ました ロープは、直接自分たちで引っ張るんじゃなくて、投げるほうだけ人の手で、重しとして倒木とか、立っている木に結び付けておけば、引っ張られて危ないとかはあんまり無さそう、です 囮を使うの事態は、あんまり反対がなさそうだと思う、ですから、囮を使って、具体的にどう飛行させないか、どう戦うかを相談できればと思う、ます 毒は、うまく効けばよさそうだとおもう、ですけれど、どれだけたくさん食べさせればいいのか分からないのと、時間がかかりそうで、ちょっと悩ましい、です
かなり巨体みたいだしそれに効くだけの毒を用意できそうか、というと難しいんじゃないかしら。そういう毒を気軽に調達できるなら普段から矢に塗って使いたいし、使わない理由がないもの。 存在していて調達もできるの試してみたいけれど、基本的に毒の類は調達できない前提の方がいいと思ったわ。 >ロープ 元々平地から飛び立つのは苦手とのことだし、ちょっとした妨害でも効果はありそうね、いいと思うわ。 確認なのだけれど、囮を使う場合は開けた場所に囮で誘き寄せて戦闘。その後森方面から巣を確認、番がいればそこで再度戦闘、ということでいいのかしら。
No.18
>囮とかまあいろいろ ふむふむ、わかったッス!ちょっと突っ込んでしまって悪かったッスね! >確認なのだけれど、囮を使う場合は開けた場所に囮で誘き寄せて戦闘。その後森方面から巣を確認、番がいればそこで再度戦闘、ということでいいのかしら。 あ、これオイラもこの認識だったッス。 勿論敵の横入も考えられるんスけど、『番且つ卵がある場合』こうなるよなって。
上組と下組がいるという事でよろしいのでしょうか? 上組は囮を用意して崖上から攻めているでろう番の片割れを引き受ける。 下組は巣を遠距離攻撃して番のもう片割れを倒す、もしくはいない場合は巣のみを 破壊するという想定になりますか?
No.20
すみません、間が空いてしまいました。 出発までもうそんなに時間がなくなってきていますね。 ちょっとわかっておらずすみません・・・。 私は、蒋さんの案は「崖上で囮の餌を仕掛けて、私たちは崖下の森に隠れる」と解釈してしまっていました。 ただそうなると、ロープを投げつける人は崖上にいる必要があるということになりますね。 ということは、バンビさんのおっしゃるように「崖の上を行く組と崖の下に隠れている組の2組となる」ということでしょうか。 えっと、ワイバーンは硬く、強いと言われていますし・・・。 分かれて人数が少なくなるのは、その・・・、不安ですね。 今から2組に分けるというのも、時間的に難しいかと思います。 ティトさんがおっしゃる「狩場」を見つけてそこに設置するのが良いかもしれませんね。
あんまり発言できてなくて、ごめんなさい。 私の認識になるのだけど、大体下記でいいのかしら。 ・森側に人員配置 ・飛んでいる敵をどうやって下すのか →「囮を使って下す」(重石付きの縄で地面に縫い付ける) ・囮の配置場所 →「崖の上」or「森の開けた場所」 →これは私は「森の開けた場所」という認識ね。蒋さんは「崖の上という選択肢もあるよ」という旨を言っているだけで、おそらく言及のある皆も崖下の森の開けた場所だと思って話してると思うわ。 ・つがい対応 →サニーさんの捜波で存在するか確認 →引き離す方法についてはここまで具体的な言及無し。 ひとまず、上記の通りだとすると、二匹目が来た際の対応が困る、って感じかしら。 囮は二度は効かないだろうし。
混乱させてしまって、申し訳ない、です >囮を使う場所 崖上だと、ひらけた場所があるので、ミツキさんの言う通り、囮を使う場所の選択肢の提示だった、です 時間もないので、崖下である程度ひらけた場所があれば囮を使うとよいと思う、です >囮の準備 野生の動物を準備するのは、大変かもなので、羊毛をギルドに依頼して、石とか詰めた袋に木の足をつけて、それをもこもこにして、動物のかわりにするのがいいかも、です ちゃんと、惹きつけるのなら、動物の血をちょっとしみこませておくとか、いいかもしれないと思う、ます >つがい対応 こまめに警戒する動きをして、不意打ちを受けないようにだけ気を付けたい、です つがいがいるのであれば、ワイバーンの鳴き声とかで仲間を呼ぶ動きをすると思う、です なので、不審な動作があったら、周囲警戒する感じ、です 引き離すことはあまり相談時間もなくて、難しいことはできなさそう、です 下側から行くのであれば、巣を狙っていることがばれると、卵がありそうなので、卵を守るために巣を優先するかもしれないと思う、ます なので、人手を分けるとしたら、囮の餌を使う班と、巣のほうでもう一体を呼び寄せる班だとおもう、ます 空を眺めてワイバーンが囮の餌を取りに行くのを確認して、囮餌班が捕獲したタイミングで、早めに巣のほうにいるかもしれないもう一体を引き付けることは、できるかも、です ただ、巣のほうの敵は囮を使えないので、遠距離攻撃で翼を狙ったり、BSを付与して動きを鈍らせて飛べなくするぐらいだと思う、ます >個人の動き 囮の餌、ロープで足止め全般の動きはプレイングに書くつもり、です
>囮の役割 1.ワイバーンを地上に下ろす。 2.ワイバーン同士を引き離す。(卵まで産んでいるのであれば、一匹はそれを守り、狩りに出るのは一匹だろうという想定) のつもりで言っていたわ。囮はつがいがいた場合に引き離す作戦も兼ねる認識よ。 あと「森の開けた場所」とか「崖下である程度ひらけた場所」というのは解説の▼状況に書かれた崖上に行く途中の「木が生えておらず見晴らしがいい場所」という認識でいいのかしら……? >班分け ここははっきりさせておきましょう。 私としては昨日書いたように班分けはせず、囮の餌で引き離して囮→巣の順に各個撃破。 もし囮にひっかからない、もしくは囮に対して二頭とも来た場合は二頭を相手に戦闘。 というのがいいと思うのだけれど。
>ひらけた場所 もし、崖上に行く途中の「木が生えておらず見晴らしがいい場所」以外で、良い場所があれば、そちらでもいいかもしれないと思う、ます、けれど、基本的にはこの場所がはっきりしてる、ですし、ここで良いとおもう、ます >班分け 連携がとりづらかったり、不意の事態に備えるのであれば、たしかに、班分けはないほうがよさそう、です
そうですわね。意味の薄い分散よりは集中していくのがよいと思いますわ。 では戦場はそちらで。 番をどうするかについては方策が見えませんが、鬼のいぬまにさっさと片親を倒してから 帰す刀でサクッとやってしまいましょう。 同時に相手さえしなければ勝てますわ。 以前のワイバーン退治では毒付き弩砲があったのですが、ギルドから借りれるちょっとしたものになりますかしら?
待たせた、ロープは大量に借りてきたから安心してほしい。 重りは……現地で石を調達するか、砂袋を借りているからそれを使ってくれ。 毒付きの弩砲は━━用意する時間がない、すまない。 何せ時間が足りていないんだ……準備は万全とは言い難いが、出発までもう間もない。 いろいろと準備が足りていなくて申し訳ないが、できる限りサポートはする。そちらも、どうか武運を。
らじゃー!、だよ。 ちょっと考えてただけだから気にしないで、ね。 そしたら、プレイングがんばる。