砂漠の怖いおばけ

九蓮宝燈

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シナリオID:455

オープニング

●迷子
 夕日を背に荷馬車がのんびりと行く。
 御者台に乗る男は、イグノ砂漠に住まう砂漠の商人だ。
 オアシスで作られた農作物をリーンエス王国に運び、帰りに王国の安価で種類の豊富な食糧を積んで帰るのが男の仕事。
 男は妻に先立たれており、残されたまだ幼い一人娘を、目に入れても痛くないほどかわいがっている。
 後継者として育てる意味も含め、商いの旅にはその娘も同行させるのが常だった。

「さあ、ついたぞ。家に帰ろう」
 街に到着し、幌をめくりあげて男が荷台をのぞき込む。
 しかし娘はどこにもいない……!

 血相を変えた男は、街のギルド支部に飛び込んだ。
 そこで知ったのだが、このところ街道の近くにバルバロイがキャンプを張っていたのだそうだ。
 住民は不安に思っていたが、街や街道を行く旅人を襲うわけでもなく、狩りをしているだけだということで、手を出して余計な争いを起こすのも……と、無視していたらしい。
「うちの娘は、バルバロイにさらわれてしまったんだろうか」
 しばらくして冒険者が招集された。そのあたりの事情が説明されたうえで、娘の捜索の任務が発令。

●バルバロイのキャンプ地
 商人の娘はテントの中でぶるぶる震えていた。
 あっという間に連れてこられたこの場所には、獣の革を着た大男が六人。何かの死体を囲って作業している。

(お手洗いに行きたいって、お父さんに言えばよかった)
 娘は馬車を止めるのも……と思い、ほんの少しの時間、馬車を飛び降りて用を足し、走って追いつけばいいと思っていた。
 いつもはがたがた悪路だから、あんなに馬車は早くなかったのに……。

 だん! という大きな音とともに、こぶし大の何かがはねた。
 床に落ちたそれは、大サソリの尻尾の先端だった。それには、獲物を麻痺させる毒があるという。
 恐怖に娘はずりずりと後ずさり、テントを出ようとする。
「おっと、お嬢ちゃん。外には怖~いおばけがいるんだ。大人しくしてる方が身のためだぜ?」
 ぐへへへ、とバルバロイが笑う。
「こいつは上物だ。ヨダレが出るぜ!」
 別のバルバロイが嬉し気に言う。その手には包丁が握られている。
(怖いよぉ……お父さん……たすけて)
 娘は泣き出すこともできずに、白い顔で歯をカチカチ鳴らしていた。

解説

●目標  少女を親元へ帰す。  下記の<夜霊>を倒さず達成することは非常に難しい。 ●NPC ・少女  救助対象者。 ・バルバロイ  狩りのため砂漠にキャンプを張っている、バルバロイの成人男性6人グループ。  討伐は指示に入っていない。 ●敵情報 ※全てPL情報 ・ナイトゴースト〈夜霊〉 ×1  身長2メートルほどの人型の中型クリーパー。  実体のない幽霊。シルエットは指揮者のよう。青黒く、仄かに発光していて、地上30センチほどを浮いている。  物理攻撃は魔法より通りづらいが、特筆するほど効かないわけではない。  視覚ではなく、エーテルを感知して獲物の位置を把握しているため、隠れてやり過ごしたり奇襲をかけたりすることは非常に難しい。  PC達が街からバルバロイのキャンプに向かう道中に待ち構えている。  ただし過去にリーンエス王国内での目撃例のないクリーパーであるため、PCは事前に一切の情報を持っていない。  OPでバルバロイが言っていた『おばけ』とはこれのこと。  二重奏  1ターンにメインアクションが2回。  闇の手(パッシブ)  攻撃が全て【物魔撃】になる。  幽体(パッシブ)  移動時遮蔽やヘクスの占有を無視。  舞踏曲(メインアクション/シナリオ中最大2回)  射程8。  指定したポイントの地上1.3メートルほどの空中に浮く、カンテラ様の実体オブジェクトを召喚。  オブジェクトを中心とした直径4ヘクス内を照らし、その範囲に入ったPCに【執着】を常時付与。  光の色は昼白色。  5ラウンドの経過、または生命0以下で消滅。  スポットライト(メインアクション/【遮蔽無視A】)  射程8。  指定したポイントの地上1.3メートルほどの空中に浮く、カンテラ様の実体オブジェクトを召喚。  オブジェクトを中心とした直径12ヘクスほどの範囲を照らす。  光の色は電球色。  5ラウンドの経過、または生命0以下で消滅。  這い寄る手(メインアクション/【遮蔽無視A】)  戦場内の一定以上の濃さのある影より手を生やし、獲物を捕らえて攻撃。  与えたダメージ分の生命を回復。  最終楽章(特殊)  交戦開始より25ターン経過時、強力な全体攻撃。 ●状況  岩石砂漠。夜間。  月明かりがある。  ところどころ身を隠せる程度の岩あり。

マスターより

 九蓮です。  たまには純戦闘依頼です。  今回は敵が強くて難しいです。  見落としているとあっさり失敗しますが、ポイントさえ押さえられていれば大成功を狙えるバランスです。  解説をよく読んでしっかり対策してください。  それと、今回は特に数字よりもプレイングを重視した判定にしますので、よろしくお願いいたします。  

リプレイ

●消えた少女
 少女がいなくなった。敵対的異民族(バルバロイ)にさらわれたのかもしれない。
 情報は不確かだが、現場は過酷な砂漠。遅くなれば少女の命が危うい。
 捜索のために六人の冒険者が集められた。

「バルバロイか。上手く街からの攻撃を避けていた連中が、今更そんなことするのかという気も……」
 レオナルド・ピーフォウルはバルバロイの犯行であるかどうか疑わしいと思っていた。
「バルバロイがさらったことになってるけどぉ、どうなのかなぁ?」
 ミルク・タインも同じように疑念を抱いている。

「商人さん凄く心配してたし、女の子きっともの凄く怖い思いしてると思う……早く助けて安心させてあげなくちゃ」
「娘さんを、絶対に無事で救いましょう」
 ララベル・サン・ディーベルとアヴェラ・ウッチェロは、少女の身を案じて一刻も早く助け出そうと考えていた。

 かくして一同は、急速に冷え行くの夜の砂漠へと駆けだした。

●こわいおばけ
 教えられたバルバロイのキャンプに向かう道中、進行方向に不審な燕尾服の男らしき影が現れた。
 足元が融けるように消えていて宙に浮いており、ほのかに青く光るそれは、明らかに人ではないもの。
「……なんだこの幽霊!?」
 レオナルドが印象を口にする。
「類似する敵の情報も聞いたことがありません。即ち新種か『目撃者を全て始末してきた』個体ということ」
 グレイブ・ヤードが考察を述べる。仮面とフードのため、その表情はわからない。
 外見通りに悪霊の類と判断するならば、クリーパーであろう。
「前者であって欲しい所ですが、早期に始末してしまうべきと判断します」
「討伐依頼は出ていないが、撃破しなければ先に進めないだろう」
 グレイブの言葉に重ねて同意を示すナハティガル=ラー。その幽霊――夜霊(ナイトゴースト)はこちらをジッと見つめて動かないのだから。
「たしかに逃がしてくれる気はなさそうだ」
 レオナルドも同意する。
 まだ彼我の距離はあるが、夜霊はタクトを持った手を掲げて何らかの予備動作に入っていた。

 いの一番に動いたのはララベル。
「僕達は早く行かなくちゃいけないんだ、邪魔をするなっ!!」
 両手にそれぞれ細剣を構え疾走し、夜霊に三連撃を食らわせる。その次の瞬間、すばやくサイドに跳んで手近な岩の陰に身を隠す。
 少女の安否を思うと焦る気持ちがあるが、正体不明の敵ゆえに身を晒し続けるのは危険と判断したのだ。
 ララベルの方によそ見していた夜霊の後ろに爆発的な輝きが迫る。
「邪魔よ、クリーパー」
 鋼の爪の斬撃の後、夜霊の体の表面に残留した光(エーテル)が徐々に染み込んでいく。
「あまり俊敏ではない(回避は高くない)ようだわ。それにあんな外見だけど、物理が通らないわけでもないみたい」
 すばやく間合いを取り、味方全体に交戦によって得た情報を共有。
 次に夜霊に切りかかったのはナハティガル。暗針でダメージを与えた後、天眼で俯瞰した視点から後続の味方の射線を遮らない位置に離脱。
「僕達はお父さんの依頼で探しに来たんだ! いたら返事をしてくれないかい?」
 レオナルドは捜索対象の少女が近くにいないかまず確認。夜霊は何かを追っていたふうではなかったが、少女を食った後だった……なんてことがないとも言い切れない。
 が、少なくとも返事はないようだった。

 突如、冒険者達の視界に光があふれる。
 やや黄味がかった光が、夜霊と先陣を切ったシーフ達のいるあたりを照らす。
「――オブジェクト召喚か。早めに片付けないと不味いことになるかもしれん……!」
 間近にいたナハティガルが、その光の中心にカンテラのような形状の実体(オブジェクト)があることを味方全員に知らせた。
「おや、ご親切なことで。ですがクリーパーに善意があると思えませんので『結構です』」
 夜戦において、わざわざ自分達に光源を与えて利するようなことをするのは筋が通らない。グレイブは訝しみ、その光に飛び込んでいくことを一瞬躊躇した。

 その慎重さが正しかったことは、次の瞬間に証明された。
 岩陰に隠れていたララベルに、闇の中から数本の手が伸びてきたのだ。
 誰よりも真っ先に斬り込む勇気と、警戒を怠らない聡明さを併せ持つララベル。研ぎ澄まされた五感で触れられるよりも先に察知し、前転にて回避。
「殺気でバレバレだよ……でも、危なかった」
 回避できたとは言え初見殺しの攻撃だ。冷や汗が背ににじむ。
「夜闇に紛れず、逆に光で照らすのは何故だ? そして影の手――もしや、あのカンテラと連動している……!」
 コンボ(強力な効果を発揮する連続行動)。それが答え。
 授恵者が使う召喚は強力なものが多い。ナハティガルは敵側にもそれが当てはまると推測していた。
 ただ照らされるだけでなんの不調も起きないことに違和感を抱いていたアヴェラも、ララベルの動きを見て納得する。
「あのオブジェクト、放置はできないわ!」
 意味のないオブジェクトの召喚なんてあるわけがない。アヴェラもまた正しく予想していた。
(わざわざ明りを足すということは、月明かり程度で出来る影からは手は出せないはず)
 そしてその弱点もまた。
「嫌な予感、してましたぁ。早めに壊しちゃうほうがぁ、いいですよねぇ?」
 ミルクはカンテラの照らす範囲から二倍以上の距離を取り、魔弓でカンテラを攻撃。カンッ! といういい音が響く。
 破片が飛んで空にキラリと輝き、ダメージが通っていることが見て取れた。

「影を使う攻撃ということなら、逆にこれでも対応できませんかね」
 グレイブはフードを目深に被って目をくらませないようにしながらエンライトを発動。カンテラとグレイブが形成した光球の間にいる者の影が、複数の方向から照らされることで消えた。

 ララベルとアヴェラの攻撃でカンテラは破壊された。
 その隙にナハティガルとレオナルドが夜霊を攻撃。

 そして光源が一つになってグレイブの足元に濃い影ができており、そこから手が伸びてグレイブを襲う。
 が、咄嗟にグレイブがエンライトを消すと、それに合わせて手も消えた。
「危ない。自分で作った影じゃなくても使えるんですね」
 オブジェクトの出現と破壊に合わせてエンライトの形成をやり直す必要がある。
 が、エンライトの使用可能回数がある限りはこの対処法は使えそうだ。
 しかし夜霊のそばにいたアヴェラは見ていた。
 グレイブにダメージを与えるのとほぼ同時に、夜霊の傷がほのかに発光してふさがったのだ。
「回復する能力まであるのだとしたら、長期戦はまずい!」

 暗闇が復活したのも束の間、今度は夜霊とミルクの中間地点に白い光を放つカンテラが出現。
 すると弓を持っているはずのミルクがカンテラに可能な限り接近して攻撃した。
 執着の変調(バッドステータス)! ミルクの様子がおかしいことに気づいたグレイブが、光の範囲外から解呪を試みる。
「しっかりしてください」
 カリスマ性のある声でグレイブが気付けをすると、ミルクは首をぷるぷるっと振って正気を取り戻した。
 そして自身の状態を確認。変調の効果をもたらす敵のエーテルはまだ周囲にあるが、グレイブのエーテルで守られており自身に及んでいないことを感じる。
「つまりぃ……変調は範囲内効果ですけどぉ。普通の変調付与攻撃とかと同じで、解除してしばらくはぁ、耐性がぁ、つくってことですねぇ」
 スキルや時間経過で変調から回復した場合、しばらく同種の変調にかかることはない。これはこのカンテラも同様のようだった。
 敵のコンボは強力だが、崩せないわけではない。
 
 白い光のカンテラに照らされていたのはミルクのみであり、当のミルクも離脱がかなう状態にあることから、ララベルとナハティガルは夜霊本体への攻撃を優先。
 夜霊は新しい白い光のカンテラを召喚。
 レオナルド、ララベル、アヴェラが今度はその光にとらわれる。
 影から伸びる手の標的になったのはレオナルド。
「変調がなかったとしても優先して撃破すべきはこちらだわ」
「同じくね」
 アヴェラ、レオナルド、そして変調の効果範囲から脱出したミルクがカンテラを叩く。
 さすがに執着を付与して攻撃を集めるオブジェクトだけに硬くはあったが、この時点でかなりのダメージを負っていた。

 ニつ目の白い光のカンテラを壊した後は黄味がかったカンテラしか召喚されなかった。
 グレイブのエンライトで影を消し、標的をコントロールしながらカンテラを優先的に壊しつつ夜霊を削っていく。マネジメントされたダメージはレオナルドが主になって回復を受け持った。
 夜霊は一度に二回の攻撃ができるが、その二回ともを吸収に使える機が来ないまま、二分程(二十ターン超)――体感ではそうと思えぬような濃厚な時間――が経過したとき。
 ナハティガルが空を駆けて手から逃れ、すれ違いざまに夜霊の頭部を針で十字に引き裂く。
「お前に照らされなくても僕は自分で輝ける……喰らえ、疾風三連突(トリプルファング)!」
 カンテラの逆光の中、低く疾走するララベル。一対の細い剣が、内から外へと柳の葉のように煌めきの軌跡を引いて夜霊を三つに切り裂く。
 青白い燐光を散らして夜霊は消えた。

●バルバロイのキャンプ地
 冒険者は周辺の捜索をしながら進んでいたが、少女の痕跡は見つからなかった。
 ワジ(雨が降ったときしか水が流れない川)のほとり、浸食で抉られた崖の下に粗末なテントがある。
 あれが街で聞いたバルバロイのキャンプだろう。
「ここまで来ちゃいましたけどぉ、本当にぃ、いるんですかねぇ?」
 相手は略奪を繰り返す蛮族。戦闘もあるかもしれないという緊張をほぐすように、ミルクが間延びして言う。
「掛け値なしの悪人なら斬るしかないけれど」
 夜霊との戦いの後で消耗しているにも関わらず、少女や街の住民の安全を何より優先して考えるアヴェラ。
「悪事じゃない目的があるなら、邪魔しなくていいんじゃないかな」
 ララベルはバルバロイの事情も考慮している。
「平和的に解決するならそれにこしたことはないが」
 ナハティガルは中立的なスタンスだ。
「砂漠のどっかで迷子になってるよりはマシだろう。洞察力には自信があるから、僕が探りを入れてみるよ」
 レオナルドがまず挨拶してみることで話し合いはまとまった。

「こんばんは。夜分に失礼。僕はレオナルド・ピーフォウルという冒険者だ。聞きたいことがあるんだがいいかな」
 レオナルドが入口に向かって声をかけると、浅黒い肌の髭もじゃの、いかにもバルバロイという風情の男が出てきた。
「冒険者が何の用だ。俺達は後ろ暗いことはしてねぇぞ」
 訛りが酷いが言葉は通じるようだ。
「とある方の依頼で迷子の女の子を探していましてね」
 グレイブがあらかじめ依頼者から聞いておいた少女の特徴と名前を言う。
「その子ならここにいる。だが返すわけにはいかねえな」
 バルバロイの返事にピリリと緊張が走る。
「……要求はなんでしょう?」
「僕達にできることなら応じるよ」
 グレイブとララベルが交渉を申し出る。
「なあに、簡単なことだ…………ちょっとばかし待ってやってくれればそれでいい。今そのガキは、メシ食ってるところだからな」
 面食らう一同。
「中に入れて。無事を確認させてくれるかしら」
 アヴェラが言うとバルバロイは一歩横に退いて中を見せた。
 テントの中は複数の灯火が点けられ、中央の敷物の上で五人の男と一人の少女が鍋をつついていた。
「あー、いたぁ。元気そうでよかったですぅ」
 アヴェラの後ろから身長差でミルクが覗き込んだ。
「お前ら入っていいから、そこ閉めてくれ。寒くなる」
 バルバロイに促され、警戒しながらも冒険者達は中に入る。いろいろ聞きたいこともあった。

 アヴェラとララベルが少女に怪我がないか確認。
「お腹は減って……なさそうね」
「よく頑張ったね」
「冒険者さん達、迎えに来てくれてありがとう」
 酷い目にはあっていなかったが、怖かったのだろう。二人の笑顔を見て少女は少し力が抜けたようだ。 

「で、なんのためにキャンプを?」
 グレイブがバルバロイに目的を尋ねる。
「狩りだよ。このあたりにいる大蠍は冬の間の食料だ。尻尾の毒は矢毒に使える」
「この鍋の具がそうだ。久々に上物が捕れたんだ。お嬢ちゃんは運がいい」
 鍋の中には殻ごと煮込まれた蠍が。脱皮したての個体は殻ごと食べられ、身をほじくりだす手間をかけることなくその濃厚な旨味を堪能できるごちそうなのだとか。

「俺たちがこの娘をさらったとでも思っただろう。そう思われてもしかたない。が、こうするしかなかったんだ」
 バルバロイが言うには、ここと街の間あたりを縄張りとする新種のクリーパーが出た。
 少女を見捨ててクリーパーに殺された場合、本当にごく最近出現したばかりのクリーパーを街側が認知しているとは限らない。死体が見つかって自分達のしわざだと思われれば抗争は不可避。
 抗争とはとにかく経費がかかることで、入念な準備が必要。不本意なタイミングで勃発するのはバルバロイ達にとっても喜ばしいことではない。
 幸いクリーパーは夜にしか現れない。ならば一晩少女を保護して、秘密裏に街に帰すのが最良と判断したそうだ。

「ところでお前達はあのクリーパーを退治してきたのか?」
 そうだと答えると、バルバロイ達に感嘆の声があがる。
「貴方達はあのクリーパーについて何か知っているのですか?」
 グレイブが尋ねる。
「えらく強いが影がねぇと何もできねぇってことくらいだ。こうやってあらかじめいくつか明かりをつけておけば、影がぼやけて少しはマシだ」
「ここはもうあいつの縄張りじゃねえが、俺達は念のために一晩中灯りをつけて交代で見張りをして寝ている」
「灯火の油は貴重だ。蠍の数はまだ足りねえが、油が切れねえうちに引き上げるつもりだ」
 過酷な環境に生きるバルバロイはほぼ全員が授恵者に匹敵するほど強いが、彼らの中から幾人かの重傷者が出たらしい。
 レオナルドの洞察力をもって判断したところ、彼らは嘘をついているような兆候はなかった。

「ごちそうさま。おじさん達、ありがとう」
 少女が食事を終えたので冒険者達はキャンプを後にした。
 あのバルバロイ達とて略奪に手を染めたことがないわけではないだろう。ただ、この少女の誘拐という件において無罪だっただけ。
 情がうつる前に別れたほうがお互いのため。脅威が排除され、迎えが来たなら、少女は一刻も早く親元に帰されなくてはならない。

 帰還後、グレイブによって新種のクリーパーについての報告書が提出された。
 一部の情報はバルバロイによってもたらされたものであるという一文(メモ書き)は、嘱託ギルド支部から末端の直轄支部、さらに上位の支部……と伝聞される過程の事故により消失してしまった。

マスターコメント

 ご参加ありがとうございました。  今回は暗視ちゃんに比べて人気が低い(と思われる)エンライトさんにスポットライトを当てようと思い、ギミックを考えてみました。  一見地味なスキルが型にハマって無双というシチュエーションが大好きで。  それ以外にもいくつか対処法は想定できたのですが、一番MSが当ててほしかった正解はエンライトでの影相殺でした。よってMVPはそれを当ててくださったグレイブ様を選出いたしました。  バルバロイについて、ワールドガイド内に広義のバルバロイと狭義のバルバロイが混在していることを見落としており、わかりにくいOPだったようで申し訳ございません。  前者は『敵対する存在』ページに、後者は『リーンエス王国』ページにそれぞれ記載されています。今回は狭義のほうです。  流行の、見るからに悪人なモヒカンとかが実はいい人でほっこり……というあれをベースに、PBWなのでプレイングが空ぶってイラッとせず、かつロールプレイの余地があるバランスに調整したものでした。  お楽しみいただけたなら幸いです。
ショートシナリオ

ショートシナリオ難しい 報酬:標準6 / 4〜6人

2021年01月19日 14時18分12秒 公開

成功

相談掲示板

  1. レオナルド・ピーフォウル

    まさか6人いてクラスが2種しかいない状態になるとは……。 そういうわけでヒーラーのレオナルドだ。 なんだか難易度がさらに上がっちゃった気がするが、よろしく頼むよ。

  2. グレイブ・ヤード

    ある意味奇跡的ともいえるでしょうね 何をするかが重要になりそうです ヒーラー。グレイブ・ヤードです。

  3. ナハティガル=ラー

    ナハティガル=ラー。 不意討ち暗殺何でもござれのシーフだ。宜しく頼む。 クラスが大分偏ってしまったが、まぁ何とかなるだろう。 >夜霊 解説を読む限り、【スポットライト】が一見地味ながら放っておくと一番不味いスキルの様に思う。 出現したら早急に消滅させないと、【這い寄る手】から攻撃を受け続ける事になるかと…。

  4. アヴェラ・ウッチェロ

    シーフのアヴェラよ。よろしくお願いするわ。 まぁ、シーフとヒーラーの組み合わせなら、何とかなると思うわ。 >夜霊 そうね。「這い寄る手」による遠隔攻撃&回復がある状態だと、ダメージレースがかなりきつくなると思うわ。 「舞踏曲」もある以上、速攻よりかは確実に現れたオブジェクトを潰していくのがいいかしら。

  5. ミルク・タイン

    ヒーラーの、ミルクですぅ。 必要とあればぁ、前線で殴りますけどぉ。

  6. ララベル・サン・ディーベル

    僕はシーフのララベル・サン・ディーベル。 みんな宜しくね!

  7. グレイブ・ヤード

    >敵スキル なんというか、素晴らしくつながってるんですよね 舞踏曲で集結、スポットライトで影生成、はいよる手でダメージという。 スポットライトの影生成、これ逆に「下部に光源を作る」ことで影の濃度薄めれませんかね? 発光なり、こちらの照明を地面に落とすなりですけど。 >状況的に ここまでヒーラーいるんですからいっそダメージを食らうことさえ前提にフルアタック仕様というのも一つの手段かなとも思います。 >そのほか いるらしいバルバロイはどうしましょうかねぇ まだ何もしていないといえばそうなんですが

  8. レオナルド・ピーフォウル

    情報はすべてPL視点というのが地味に面倒だな……『敵が出した光だし警戒しよう』で動けなくはないだろうがね。 >敵スキル対策 下部への光源は、エンライトの操作性がわからないから不安定に思えるな……たいまつを下に落とすとかになるか。 発光の方は割と対策になりそうな気もするね。使わない者に攻撃が集中する恐れはあるが、ヒーラーが多いこのチームなら回復先がばらけずに済むかもしれない。 舞踊曲は出てきたら全員で袋叩きにした方が良いかな? まあ、全員射程が短い関係上、一度使われると全員が効果を受けてしまいそうだが。 >方針 フルアタック方針は僕も賛成だ。 最終楽章が来る25ターン以内討伐というのが目標になると思うし、火力重視で行きたい。 >少女とバルバロイ これがなぁ……僕らが接敵するタイミングだと何してんだろう。 キャンプでぐへぐへ言ってるだけならそれでもいいんだが、少女がこっそり抜け出してどこぞの岩陰にいるパターンとかが一番まずいんじゃないかと思う。 シーフの誰かには捜波を持ってきてほしいのだが、この辺りは他の人の意見も欲しいね。

  9. グレイブ・ヤード

    ふと思ったんですが、この「這いよる手」について 「身を隠すによさげな岩」からも発生するんですよね。 影があるなら関係ないようですし・・・そこも大きく罠な感じがします。 (事前情報がないので普通に考えたら隠れる) >疑問を持つなら 夜にわざわざ相手から光源を差し出すというのはおかしい、というのは十分に奇妙に思っていいものだと思います。 割と広範囲を照らすみたいですしね。 >スキルについて 大本が救助で場所が砂漠ですし 「状態異常の解除」はあったほうがよさそうですよね。 サソリなどもいるようですし? (執着の解除を兼ねて)

  10. ミルク・タイン

    今回、シューター用の魔法系武器所持して遠距離から対応する手もありかなぁ? こういう手の敵ってぇ、物理より魔法っぽい気がするんですぅ。 影に隠れたら、影の攻撃が影に消えて届かないって可能性もありそうですねぇ。

  11. グレイブ・ヤード

    しかしあれですね? 本来私たちの目的は救出ではあるので、 この障害を早期に倒そうとする動機という意味では十分にはあるんですよね。 バルバロイにさらわれた?という疑惑段階ですし どのような装備を扱うのも自由かと思いますが ジョブの偏りからあまり趣味に走るとしっぺ返しもありそうです。 要相談、の部類ですね

  12. アヴェラ・ウッチェロ

    >方針 「フルアタック」で火力重視で全員が攻撃に回るのは異議はないわ。 オブジェクト破壊しつつ、でいいのよね? >少女とバルバロイ PL目線の意見だけど、ナイトゴーストとの戦いの場には少なくともいないと思うわ。 私たちが不利になり、さらにもしいるとしたらそれを踏まえたプレイングを書かないといけないような事は、さすがにOPに匂わせ程度でも描写があると思うわ。 キャンプ地の描写から見ても、キャンプ地にいると思うわ で、バルバロイを実際に討伐するかだけど、娘さんに手を出している以上は討伐するべきじゃないかしら。 これまで旅人を襲ってなかったのは『反撃されうる大人の』旅人だけ攻撃しなかっただけで、か弱い子供には手を出すなら討伐した方が良いと思うわ。

  13. レオナルド・ピーフォウル

    >遠距離武器 そうだね、ヒーラーの内の誰かは舞踊曲にまとめて巻き込まれないくらいの距離を取る価値はあるかもしれない。 常時付与の執着を解除できるかは怪しいが、今にも倒れそうな仲間がいるのにヒーラーが全員舞踊曲を殴っている、なんて事態も起こりうる。 火力という視点でどれほど有効かは分からないが、行動の自由がききやすいかもという意味で有用かもしれないね。 >少女とバルバロイ 僕としては、マスターコメントにあった『見落としているとあっさり失敗しますが~解説をよく読んでしっかり対策してください』という文章が気になっていてね。 夜霊と純粋に戦って、それからバルバロイを討伐しに行くシナリオと考えると……連戦ゆえの難易度はあるかもしれないが、【見落とし】なんて言葉で警告するものかと。 で、解説ではバルバロイたちは夜霊が書かれた敵情報ではなくNPCの項だ。 まあ、敵対するNPCですと言われたらそれまでだが、OPの時点で少女に暴力を振るっている様子はない。拉致ってるけど。 少なくとも、『怖いおばけが居る』という点に関しては事実を語っていたようだしね。 あとこれは完全なメタ読みになるのだが、明らかに夜霊がボスであるシナリオでおまけのようにバルバロイ倒して面白いシナリオになるのかなって。 長くなったので纏めると、 『バルバロイは(討伐の必要があるほどの)悪人ではないのでは』、『戦闘中にNPCたちが乱入し、放っておくと倒されてしまうというのが【失敗につながる見落とし】ではないか』というのが僕の意見だ。

  14. グレイブ・ヤード

    >見落とし 私はそこを「参加者の大半がナイトゴーストのこと(戦闘)だけ書いて、バルバロイ関係をないがしろにしてたら、倒した後そのまま帰って『クリーパーの報告』をして終わる」 という内容での依頼未達成を指すのかなと思ってました。 そうですね、「バルバロイがなぜそこにキャンプをしているのか」理由を聞いてみるというのも私は行動に入れておきましょうか? 狩りとのことですけど、ほかにも理由があるのかもしれませんし

  15. アヴェラ・ウッチェロ

    「『最終楽章』見落として長期戦」や「這い寄る手が回復も含む事」、「PCは事前に一切の情報を持っていない(あまりにPL情報前提にしすぎるとボツ)」等、戦闘データでの見落としについての警告だと思っていたわ。 「解説をしっかり読んで」なので、たしかに「討伐は指示に入っていない」の一行は気にかけるべきなのかしら……。でも『人類の敵をくくる呼称』であるバルバロイって解説文にまで入ってるのよね……。(単に地元民がバルバロイと思ってるだけなら「バルバロイと目される」みたいな表現になるはず) まぁ、現時点では書いてある以上の事は分からないから、グレイブさんのいう通り、理由を尋ねる位はした方がいいかもしれないわね。

  16. レオナルド・ピーフォウル

    >バルバロイの定義 ああ、それは言われれば確かに。 アヴェラさんの言う通り、そもそも犯罪者でないなら、解説でまでバルバロイとは言われないか……。 とはいえ、個人としてはバルバロイの討伐にはやはり消極的かな。 無論、少女が捕らわれればそうも言ってられないが……単純に、夜霊と戦った後に元気な成人男性6人組とかあんま相手したくないです。 さて、仮プレイングを作成したので共有しておくよ https://pbwmemo.net/v/0QiSOOjb 夜霊戦闘は回復と攻撃バフ主体、オブジェクトが出てくればそちらを殴る流れだ。 バルバロイに対してはあまり踏み込んでいないが、洞察スキルはプレイングに盛り込んだので、他の人が質問した時にも役に立てるかもしれないかな。

  17. ナハティガル=ラー

    >バルバロイ いわゆる『アウトロー』である事は間違いないとは思うが、 OPでバルバロイが娘に対して危害を加えている訳ではない事から(結果的に夜霊から保護する形にはなっている)、 俺もレオナルド同様、バルバロイの討伐を積極的に行いたいとは思ってはいない。 娘を迎えに来た旨を伝えた時に『バルバロイが攻撃を仕掛けて来る様なら討伐』位で良いのではないか? >見落とし 『見落としているとあっさり失敗しますが、ポイントさえ押さえられていれば大成功を狙えるバランス』とのコメントから、 俺は単純に『スポットライト等の一見地味なオブジェクトを後回しにすると詰む』のだと考えている。 >行動 オブジェクトが召喚され次第、速攻で撃破を狙いに行く予定だ。 キャスターやヒーラーが召喚するオブジェクト(アーケイン・祈雷・光縛封)は厄介な物が多い事から、 敵側にもそれが当て嵌まると推測し、速やかな撃破を選択する…といった感じになる。 オブジェクト消滅後は夜霊本体の攻撃に移行。 スキルはダブルエッジ、フェザーステップ、疾風足をセット予定。 夜霊にBSが効くかどうか不明な為、基本は物理攻撃で殴る方向で。

  18. グレイブ・ヤード

    さて、あと一日ですが >見落としについて いろいろな考え方があると思いますので、どれが正解かというのはわからないでしょう。 なので、「その見落としと思われるものを各自で考えて潰す」という形でどうでしょうか? 『自分はここを見落とすと危ないと思うので、こう潰そうと思います』 という表明という感じで。 >プレイングについて 私はバルバロイとの話を入れてはみました。150字程度ですが。 また、「ナイトゴーストの情報を得ようとすること」は「しません」。 本来の目的(少女救出)がありますので、そちらを優先するようにはします。 後は終了後に新種の報告をギルドに入れるくらいですかね? 戦闘以外はそんな感じです。 >戦闘について エンライトでの自前の光源のセットと、回復関係はとりあえず入れておきます。 あとは奇妙に思ったことに関して自分なりの対策、でしょうか。

  19. グレイブ・ヤード

    しかしあれですよね。 このクリーパー(ナイトゴースト) PL情報の条件だけで見るなら日中なら文字通り「手も足も出ない」敵ですよね。 現状でもそうですけど、 夜霊自身が岩の中に隠れて(潜んで)延々と「這い寄る手」を使われたら・・・ 日中という影ができて当然の状態で、事前情報もなく襲撃され続ける・・・ 正確な探知ができないとまず負けます。 能力考えると「地中に隠れる」もできてしまうんですよねえ 遮蔽無視能力はそこら強いですよね

  20. グレイブ・ヤード

    あと10分程で出発です 装備やプレイングなど、最終確認ですね

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0