【聖祭】想い花火
からすば
コメント 8
シナリオID:298
オープニング
ロスガリア大陸に住まうものたちにとって、12月は大きな意味を持つ。この時期に執り行われる祭りや催しを、聖霊節と呼ぶ。
その由来はハーフリングの英雄、ジド・ルウがその身をエーテルと成して世界に穿たれた大穴を塞ぎ、彼に小さな神々が続いたことが、今年までの平穏の礎を作った――という逸話に拠る。詳細な時期が定まっていないのは、この頃に暦が存在していなかったため、神代における『冬の時代』、という比喩的表現を、文字通りに解釈したためであるとされる。
由来はともあれ、ジド・ルウの英雄的行為を称え、名を失った神々に祈りを捧げることから始まった聖霊節は、様々な土地の風習や営為と重なった結果、亡き祖先や、近しい人々への思いを捧げることだけでなく想い人と過ごす特別な時期――という習慣が定着して久しく、特別信仰心の無いものであっても神殿や家庭でモミの木や柊を飾り立てて祈りを捧げる。街をあげて催しを行い、厳しい冬の中でもとっておきのごちそうを食すこの時期は、収穫祭に続く特別な時節といえた。ジド・ルウが好んでいたという、赤白の服装も今代まで続く伝統の一つとなっており、そこかしこに仮装をした人物も目立つ。
――実りの秋、収穫祭を終えた人々は、深まる冬の気配を感じながら、慰霊祭の準備を進めていた。
●
貴方達が依頼を受けて訪れたのは学術都市。
職人や芸術家が集まる賑やかなこの都市も、近づく聖霊節への準備で慌ただしい雰囲気だ。
「よぉ、あんた達が慰霊祭の準備の手伝いに来てくれた冒険者か? 俺が依頼人のロイエ、紋具職人だ。さぁ、入った入った」
工房へ着くと、ロイエと名乗った男は軽い挨拶と共に冒険者達を出迎え、工房の中へ入るように促す。
用意された椅子に冒険者達を座らせると、「寒かったろ、ちょっと待ってな」と人数分の紅茶を準備し、全員へ紅茶が行き渡った事を確認したロイエは、適当に置いてある箱へ腰をかけて本題へ入る。
「待たせたな、そいじゃ依頼内容の確認だ。飲みながらでも聞いてくれ」
依頼の内容はこうだ。
――聖霊節に行われる慰霊祭で使う紋具の試運転をして欲しい。
紋具の効果は、念じると空へ向かって火の玉が上がり、爆発して色とりどりの火の粉をばら撒く……といったものだ。
危険な効果に聞こえるが、実際には大した威力は無く、火の粉もすぐに消えてしまうらしい。
「紋具の製作を頼んできたやつが言うには、英霊を迎える為だとか、死者を慰める為に使うんだと」
地域の伝統的なものなのだろう、派手な慰霊も悪くないだろ? と言うとロイエは最後にこう付け加えた。
「今年は大事件もあったしな……それ以外にも冒険者をやってたら依頼やら過去やらで想いを馳せたい相手がいる奴もいるだろ? 聖霊節はまだ少し先だが、仕事のついでに伝統とやらにのっかってみるのもいいかもな」
その由来はハーフリングの英雄、ジド・ルウがその身をエーテルと成して世界に穿たれた大穴を塞ぎ、彼に小さな神々が続いたことが、今年までの平穏の礎を作った――という逸話に拠る。詳細な時期が定まっていないのは、この頃に暦が存在していなかったため、神代における『冬の時代』、という比喩的表現を、文字通りに解釈したためであるとされる。
由来はともあれ、ジド・ルウの英雄的行為を称え、名を失った神々に祈りを捧げることから始まった聖霊節は、様々な土地の風習や営為と重なった結果、亡き祖先や、近しい人々への思いを捧げることだけでなく想い人と過ごす特別な時期――という習慣が定着して久しく、特別信仰心の無いものであっても神殿や家庭でモミの木や柊を飾り立てて祈りを捧げる。街をあげて催しを行い、厳しい冬の中でもとっておきのごちそうを食すこの時期は、収穫祭に続く特別な時節といえた。ジド・ルウが好んでいたという、赤白の服装も今代まで続く伝統の一つとなっており、そこかしこに仮装をした人物も目立つ。
――実りの秋、収穫祭を終えた人々は、深まる冬の気配を感じながら、慰霊祭の準備を進めていた。
●
貴方達が依頼を受けて訪れたのは学術都市。
職人や芸術家が集まる賑やかなこの都市も、近づく聖霊節への準備で慌ただしい雰囲気だ。
「よぉ、あんた達が慰霊祭の準備の手伝いに来てくれた冒険者か? 俺が依頼人のロイエ、紋具職人だ。さぁ、入った入った」
工房へ着くと、ロイエと名乗った男は軽い挨拶と共に冒険者達を出迎え、工房の中へ入るように促す。
用意された椅子に冒険者達を座らせると、「寒かったろ、ちょっと待ってな」と人数分の紅茶を準備し、全員へ紅茶が行き渡った事を確認したロイエは、適当に置いてある箱へ腰をかけて本題へ入る。
「待たせたな、そいじゃ依頼内容の確認だ。飲みながらでも聞いてくれ」
依頼の内容はこうだ。
――聖霊節に行われる慰霊祭で使う紋具の試運転をして欲しい。
紋具の効果は、念じると空へ向かって火の玉が上がり、爆発して色とりどりの火の粉をばら撒く……といったものだ。
危険な効果に聞こえるが、実際には大した威力は無く、火の粉もすぐに消えてしまうらしい。
「紋具の製作を頼んできたやつが言うには、英霊を迎える為だとか、死者を慰める為に使うんだと」
地域の伝統的なものなのだろう、派手な慰霊も悪くないだろ? と言うとロイエは最後にこう付け加えた。
「今年は大事件もあったしな……それ以外にも冒険者をやってたら依頼やら過去やらで想いを馳せたい相手がいる奴もいるだろ? 聖霊節はまだ少し先だが、仕事のついでに伝統とやらにのっかってみるのもいいかもな」
解説
●内容
紋具(いわゆる打ち上げ花火)を使ってもらうだけの簡単なお仕事です。
試運転といっても、依頼人はきっちり製作している為、事故は起きません。
皆さんは紋具を使って発生する花火を楽しんでください!
普通に花火を見るだけでもいいですし、依頼人の言うように地域の伝統にのっかるのもいいです。
大切な誰か、救えなかった人……亡くなった相手を思い浮かべるだけでなく、何かしら決意を改めるのもいいかもしれません。
注意点としましては、死者や特定のPCへ想いを馳せる場合は『設定とプレイングのみを参照』させていただきます。
また、世界観的に厳しい設定や本シナリオに参加していないPCはぼかした描写となったり、描写できなかったりする事をご了承ください。
リプレイ上、会話形式で想いを話す場合がございますが、心の中だけにしておきたい内容は()で括る等、分かりやすく記載していただけると嬉しいです。
●人物
・ロイエ
ヒューマンの男性、年齢はアラサー。
学術都市の工房で紋具を製作する職人で、今回の依頼人。
授恵者であり、元冒険者だが、切欠がない限り自ら話すことは無い。
帝国崩壊という大事件の解決にあたるPC達を気に掛けており、
気分転換になれば良い、と普段は自分でやっている試運転をPC達へ依頼したようだ。
気のいい人物で、何か話したい事があれば聞いてくれます。
●ロケーション
時刻は夜、打ち上げ場所は学術都市近辺の人気のない広けた場所となります。
●紋具詳細
筒状をしており、触媒となる鉱石を中へ入れて念じる事で一定時間後に花火を打ち上げます。
花火は念じた際に抱いた感情や想いに影響され、色や形を変えます(プレイングである程度指定していただく事が可能です)
マスターより
オープニングを読んでいただきありがとうございます!
初見の方ははじめまして、からすばと申します。
今回は仕事のついでに花火を見て色々想うシナリオとなっております。
火薬は世界観的に存在しないので紋具で代用する形となっており、とても安全な花火です。
皆様の想いのこもったプレイングをお待ちしております!
リプレイ
●
「派手な慰霊というのも悪くない……ね。ロイエ君は面白い職人だね」
「生きてる間も笑ったり泣いたりするだろ? だったら死者を想うのもずっと湿っぽい必要はないと思ってな」
ロイエの返事に「そうだね」と笑うのはロベリア。
「死者を想う……」
二人の会話を聞いたコルネリウス・アーラは紋具を握る手に力が篭る。彼女は想う相手を決めたようだ。
受け取った紋具をジッと見つめるのはロサード・シュナイダー。
感情をあまり表に出さない彼女の考えを周囲が読み取ることは難しいが、それを自覚している彼女はボディランゲージを駆使する事が多い。
「……??」
どういった紋具なのかうまくイメージできないロサードは大袈裟に首を傾げる。
「戦闘用のものかと思えば、観賞に寄せたもの、なのか……」
同じくあまりイメージができていない様子を見せるのはサマエラ=フォリウム。
「爆発と聞くと物騒に聞こえますけれど、夜空に色とりどりの火の粉……きっと、とても綺麗ですよ」
「ああ、そうかもしれないな。まだいまいち想像に及ばないが」
「……頑張ってやってみよう」
二人の様子を見て話すのはスィーリーン。
サマエラとロサードは彼女の言葉に頷く。
「何やら面白い紋具だね」
「火球が上がるなんてホントに面白いよな!」
サロとリオネル・パストラルは紋具の効果に興味がある様子。
特にサロは「変化が気になるから二、三発打たせてほしい」と申し出る。
「ああ、連発できるかは俺も気になるから触媒は多めに持ってくよ」
と、ロイエは快諾。
準備を終えて皆が移動する中、アーシェル・G・クラインは工房を出ると、肌を刺すような寒さを感じながら空を見上げる。
「もうすぐ冬か……嫌な季節になるな」
アーシェルの目には雲一つない今の夜空ではなく、雪が降りしきるあの日の空が映っていた。
家族を失ったあの日、頭の中に響くのは兄の最後の言葉。『お前は生きて、幸せになれ』それは優しくも、呪いのようにアーシェルを蝕む。
自分が死ねばよかったと思わない日はない。それが叶わないならいっそ一緒に……
「おーい、皆いっちまうぞ」
ロイエの声に我に返るアーシェル。近づく冬の気配に過去を思い出し、足を止めてしまっていたようだ。
「……あぁ、悪りぃなボーっとして。言い忘れてたがロイエ、粋な誘いに感謝するぜ」
礼を言うアーシェル。「しっかり頼むぜ」と返すロイエは笑いながらも、彼が背負うモノを感じ、心配そうな目をしていた。
●
「慰霊……か」
ロサードは亡き祖父を思い出していた。
両親も親類も使用人達も……一つ年下の妹に愛情を注いでいた。
優秀な妹と比較され、何をしようと顧みられる事すらない。
そんな中でたった一人、自らに愛情を注いでくれた祖父。
家族の愛情も、貴族としての誇りも、全てをくれたのはあの人だ。
祖父が言っていた言葉はよく覚えている。
『辛い事があっても視線を下げているのではなく、顔を上げて空を見上げろ。きっと自分の事ばかりになっていて見えなかった色々な事が見えてくる。そうすれば、自分が何をすべきか見えてくるはずだ』
親の言う事を聞いていただけの私が、授恵者になったからとはいえ、冒険者として活動出来ている事。その活動の中で様々な人に出会い、僅かながら誰かの助けとなれた事も、きっと祖父のこの言葉がこの胸に残っていたおかげだと思う。
――ロサードは空いていた左手を胸の前で握りしめ、紋具に念じる。
『顔を上げて空を見上げろ』
ふと、祖父の声が聞こえたような気がして彼女は空を見上げる。
火球が破裂すると、一瞬遅れていくつもの色とりどりの菊のような火花が現れる。
それは彼女が祖父から貰ったモノ、冒険者となって得たモノ……沢山の想いが表されたかのようだ。
きらきらと光る色とりどりの火の粉に魅入られて、ロサードは目を丸くする。
「……きれい」
(あの人がこれを見たら、いったいどういう顔をしただろう)
彼女の疑問に答えはでない。
「綺麗じゃないかロサード君! これはボクも負けてられないな~!」
「これって皆それぞれ色とか形が違うんだよな!?」
ロベリアとリオネルが言う、他の皆も花火を見上げて驚きの声をあげたり笑顔を見せていた。
「……よかった」
ロサードの表情は変わらないが、安堵していた。
きっと祖父も悪い反応はしない。彼女はこれからも祖父の言葉を胸に抱き、誰かの為に自らの力を奮うだろう。
「では、私も打ち上げるとしようか」
続いてサマエラが紋具に念じる。
(慰霊……ならば、想うは母へ)
サマエラは終ぞ母を理解できなかった。
楽ではない日々、言葉に力に撃たれ、真面に生き抜くが困難な瞬間もあった。
(それでも貴女は、恨み節のひとつも遺してはくれなかったな。私を庇い、最期にもそうして、逝ってしまうものだから。私に向けた後悔も、怨恨も、悲哀さえ、置いてはくれないものだから……何も、分からないのだ、何も)
自分ではそれを受け止めるに不足であったのだろうか。それとも、本当に心に蟠りも抱かず、私を――
紋具を握る手に、より一層力が入る。
(しかし、だからこそ。今は貴女が遺した命として生きようと思う、ただ生き抜いてやろうと。同じだけを、それ以上を生きて……私も最期に何かを遺せるならば――どうか、それを祝福して欲しい)
サマエラの想いを籠めた火球が打ちあがっていく。
火球が破裂すると、煌めく白色の火の粉が、降り注ぐような軌跡を残す。
祝福を望む彼女に降り注ぐ光……それは彼女が願ったが故か、亡き母に彼女の想いが届いたのか。
「ああ、なるほど。確かにこれは、夜空に映えるものだ」
天に昇った、あるいは地に留まる死者にも届きうる光。
身に打ち響くような音は文字通り心まで震わせ、籠めた想いを決意に変えて浸透させてくれる……サマエラにはそう思えた。
「私は帝国崩壊で苦しんで、傷ついた……そして亡くなった人達を想いたいです」
コルネリウスは冒険者として目にしてきた出来事を思い出す。
死して尚も無理矢理命を与えられた人々を自らの手で弔った事。
難民キャンプで傷ついた人々の言葉を聞いて、その手を握る事しかできなかった事。
「兄さんだったら、もっと色んな事が出来たのかな」
自らと亡き兄を比べ、自身の無力さを呪う。
「……駄目ですね、慰霊の為なのに。私が落ち込んでいたら、亡くなった方を慰められなくなっちゃう」
世界は厳しくて、自分が無力で無知だと思い知らされる事ばかり。
兄が為せなかった事を代わりにすると決めても、まだ何も出来ていなくて。
今はせめて、こうして光を打ち上げて、空の向こうに想いが届けば。
(……祈る、とはこういう事なのかもしれない)
故郷を出る切欠となった、ずっと考えていた事の一つ。
願うだけでその命を救う事も、元に戻す事も出来ない。
でも、手が届かないからこそ、せめて想いが届くように神に願う。
(たとえ今の自分に何も出来なくても、想いが伝わって、未来に繋がる可能性を一つでも増やしたい。傷付いた誰かの心や命を癒したい……父さんも、そうだったのかな)
コルネリウスは両手を握り、空に祈る。
彼女の祈りと共に打ちあがった火球は、星々が遊んでいるかのような不規則な動きを見せる赤い火の粉をばら撒く。
それはもがきながらも未来へ進もうとする彼女の想いを表しているかのようだった。
「俺もあの事件で亡くなってしまった人達へ祈るぞ」
リオネルは数年前にクリーパーに襲われて亡くなったであろう家族や同族達にも届く様に祈りを込める。
あの時は自分の知らぬ間に事が終わっていた。
今もまだ大変な時だけれど、手を伸ばせば助けられる人達もいる。
全てを助ける事は出来ないけれど……あの時の後悔を繰り返さぬよう、出来る限り手を伸ばそう。
彼の決意と祈りが籠った火球が破裂すると、草原のような緑色をした火の粉が大きく広がっていく。
広がりきった先端は青と白が混じり、澄み切った空の様だ。
それを見て、リオネルは目を細める。
「懐かしい色だ」
沢山の羊や仲間達と過ごした草原の色。
妹の瞳と同じ色の小さな宝石と、空に上がる花火を見比べる。
(なあ、生きててくれてるのか?)
妹は生きているかもしれない、彼はそんな希望をずっと胸に秘めている。
「そういや聖霊節ではロイエが全部打ち上げるのか?」
感傷に浸り続けるのはらしくない、といつもの調子に戻ったリオネルがロイエに問う。
「俺は依頼されたら紋具を売るだけだな。頼まれれば引き受けない事もないが……ま、何処かでこの紋具を見かける事はあるかもな」
「そっか! 空にでっけぇ花を捧げてるみたいで気に入ったからな、聖霊節でも楽しみにしてるぜ!」
リオネルのエールに「ああ、楽しみにしてな」とロイエは笑った。
「どれも大輪の光の花が咲いたようでとても綺麗ですね……!」
スィーリーンは今まで打ち上がった数々の光に感動を漏らす。
「空に打ち上げるのは遠くからも見える様に願っての事でしょうか? だとしたら……」
出来るだけ高みへ打ち上げよう。亡くなってしまった帝国の人々へ届くように……そして、今を懸命に生きる人々に見える様に。
スィーリーンが願いを込めた火球は誰の火球よりも空高く上がり、満開の花のような大きな火の粉をばら撒く。
「美しい物は見る者の心を癒し、明日への活力を生み出しますよね」
(私もいつか、この様な紋具を作れるようになるでしょうか)
人々の心を反映し、時に心を動かす紋具を、スィーリーンは興味深く見つめる。
「来年もまた、仲間達と共にこの光の花を見られます様に」
そう願う心優しい竜人の少女は、未来へ歩んでいく人々の道を、打ち上げた光の花の如く明るく照らすだろう。
「ああ、来年も是非手伝いに来てくれ」
ロイエが言うと、スィーリーンは「勿論です」と微笑むのだった。
(決意の色、優しい色、悲しい色、願いの色……)
「どんな色でも、人の想いは綺麗だな」
皆の火花の彩りを静かに眺めるのはアーシェル。
瞳を閉じた彼は、家族の顔を思い浮かべる。
(幸せの象徴だった大切な人達。会いたくて堪らない、謝りたくて堪らない)
過去の彼は死ねなかった意味を、生きる理由を、簡単に導き出した。
(裏切り者をこの手で殺し、家族の無念を晴らす。その為に生きると決めたんだ)
アーシェルの悲痛な覚悟が込められた火球からは雪の様な白い火花が溢れ、やがて血の様な赤に染まっていく。
それはまるで彼の過去を再現するかの様で。
(一匹殺す度に誰かの未来を守れる、そう思うと許される気がした。何匹殺そうとも罪は消えないのに)
仇への憎悪を転嫁し、敵へと刀を振り下ろしてきた。
空っぽの心が満たされるのは、もはや敵を殺している時だけとなっていた。
赤に染まった光の中で儚く消えゆく金色の火花を見、アーシェルは悲し気に顔を歪める。
「兄貴……今更幸せになんかなれねぇよ」
過去に心を囚われたままのアーシェルの呟きは、光と共に冬の夜空へと消えていった。
サロは三発続けて紋具を使用していた。
「ふむ、しっかり念じた時に考えていた事に応じて色を変えている様だね」
一発目と二発目は黄色、三発目は青色の火の粉がばら撒かれた。
「賭け事に勝った事とか、買ったばかりの砥石を落とした事では複雑な色は出ないか。当時は十分心が動いたし、特に砥石はちょっと良いのを買った時だったから結構哀しかったんだけどね」
(こういった紋具は残酷なまでに己の心情を具現化してみせるモノだな)
考えるサロにロイエは「もっと心が動いた事とかないのか?」と問う。
「うーん、ちょっとした感傷よりも打ちあがった火花に対する愉快さが勝ってしまう気がするんだな! 現金だろう? でも、人間そんなものだよ」
「そこまで言ってくれると作った甲斐があるってもんだが」
サロの言葉にロイエが笑う。その笑顔を見たサロは亡き朋を想う。
(死ぬ時ですら笑っていた奴ならば……俺よりもはるかに紋具を使いこなし、それこそ千差万別七変化に火花を変化させただろう。だが、此処に居るのは俺で、奴の真似事をしてみてもこの程度が精々か)
「……それでも十分綺麗だから、この紋具はいいね」
そう呟き、何処か寂し気な様子を見せるサロ。
「ところで小型化とかしないの? 打ち上げないで石を棒につけたまま火花ブシャーとか楽しそうじゃない?」
「おぉ、ソレもいいかもな! 今度試してみるか」
すぐに普段の様子に戻るとロイエに新作のアイデアを提供するのだった。
「火が綺麗に咲いて散っていく様はまるで火の花。まさに「花火」と言ったところか!」
「悪くない名前だな、ソレを貰う事にしよう」
皆の打ち上げた火球を見ていたロベリアが紋具に名付けると、ロイエは気に入った様子だ。
「ところで、ロイエ君も想いを馳せるような相手が居たりするのかな? 気遣いの仕方がまるで自分が経験したかのようだったから気になってしまってね」
長く生きればその分だけ別れもあって、辛い経験も多くなる。冒険者なんて仕事をしてたら猶更って感じだろう? と、ロベリアは語る。
「エルフのあんたが言うと説得力あるな……幾つなのかは知らんが。俺は先立った妻を想う事は多いな」
「ほう、妻か……どうやらロイエ君も中々、波乱の人生を送っているようじゃないか」
ロベリアに「よくある話さ」とロイエは答える。
「そんな想いを馳せたい相手の為に……今更何かしてあげた所で生き永らえているボク等の自己満足なのかもしれないけど。ボクは悪い魔女だからねぇ」
そう言うと、ロベリアは紋具へ念じ始める。
(長い時間をかけて折り合いは付けたつもりだけど……家族や氏族の為に打ち上げようじゃないか)
キミ達の事は片時も忘れた事は無いさ、だけど……ボクは納得いくまで、悪い魔女としてまだまだ生き永らえようと思う。
今夜はせめて、キミ達もボクを思い出せるように派手な花を贈らせてもらうよ。
「――身勝手に騒がしく! 彼等の為と嘯いて夜空に想いを馳せながら! 夜を派手に飾ろうじゃないか!」
芝居がかった台詞と共にロベリアが打ち上げた花火は、大輪の花を模して広範囲に火の粉をまき散らす。
星々が顔を潜めてしまう程の巨大な光の花は、今は亡き大切な人々への悪い魔女の想いの大きさの表れだろう。
「良い紋具、良い機会だった」
それぞれが打ち上げを終え、サマエラがロイエへと礼を言う。
「え、サマエラ君? もう終わるのかい?」
ロベリアはロイエが用意していた触媒を再び手にしている。
「たしかに、まだまだ色々確認してみたいな」
サロも再び触媒を手に取った。
冒険者達は思う存分『花火』と名付けられた紋具で火球を打ち上げていく。
大量の触媒を消費したロイエは少し顔が青かった気がするが、途中からは吹っ切れた様子で自らも参加するのだった。
「派手な慰霊というのも悪くない……ね。ロイエ君は面白い職人だね」
「生きてる間も笑ったり泣いたりするだろ? だったら死者を想うのもずっと湿っぽい必要はないと思ってな」
ロイエの返事に「そうだね」と笑うのはロベリア。
「死者を想う……」
二人の会話を聞いたコルネリウス・アーラは紋具を握る手に力が篭る。彼女は想う相手を決めたようだ。
受け取った紋具をジッと見つめるのはロサード・シュナイダー。
感情をあまり表に出さない彼女の考えを周囲が読み取ることは難しいが、それを自覚している彼女はボディランゲージを駆使する事が多い。
「……??」
どういった紋具なのかうまくイメージできないロサードは大袈裟に首を傾げる。
「戦闘用のものかと思えば、観賞に寄せたもの、なのか……」
同じくあまりイメージができていない様子を見せるのはサマエラ=フォリウム。
「爆発と聞くと物騒に聞こえますけれど、夜空に色とりどりの火の粉……きっと、とても綺麗ですよ」
「ああ、そうかもしれないな。まだいまいち想像に及ばないが」
「……頑張ってやってみよう」
二人の様子を見て話すのはスィーリーン。
サマエラとロサードは彼女の言葉に頷く。
「何やら面白い紋具だね」
「火球が上がるなんてホントに面白いよな!」
サロとリオネル・パストラルは紋具の効果に興味がある様子。
特にサロは「変化が気になるから二、三発打たせてほしい」と申し出る。
「ああ、連発できるかは俺も気になるから触媒は多めに持ってくよ」
と、ロイエは快諾。
準備を終えて皆が移動する中、アーシェル・G・クラインは工房を出ると、肌を刺すような寒さを感じながら空を見上げる。
「もうすぐ冬か……嫌な季節になるな」
アーシェルの目には雲一つない今の夜空ではなく、雪が降りしきるあの日の空が映っていた。
家族を失ったあの日、頭の中に響くのは兄の最後の言葉。『お前は生きて、幸せになれ』それは優しくも、呪いのようにアーシェルを蝕む。
自分が死ねばよかったと思わない日はない。それが叶わないならいっそ一緒に……
「おーい、皆いっちまうぞ」
ロイエの声に我に返るアーシェル。近づく冬の気配に過去を思い出し、足を止めてしまっていたようだ。
「……あぁ、悪りぃなボーっとして。言い忘れてたがロイエ、粋な誘いに感謝するぜ」
礼を言うアーシェル。「しっかり頼むぜ」と返すロイエは笑いながらも、彼が背負うモノを感じ、心配そうな目をしていた。
●
「慰霊……か」
ロサードは亡き祖父を思い出していた。
両親も親類も使用人達も……一つ年下の妹に愛情を注いでいた。
優秀な妹と比較され、何をしようと顧みられる事すらない。
そんな中でたった一人、自らに愛情を注いでくれた祖父。
家族の愛情も、貴族としての誇りも、全てをくれたのはあの人だ。
祖父が言っていた言葉はよく覚えている。
『辛い事があっても視線を下げているのではなく、顔を上げて空を見上げろ。きっと自分の事ばかりになっていて見えなかった色々な事が見えてくる。そうすれば、自分が何をすべきか見えてくるはずだ』
親の言う事を聞いていただけの私が、授恵者になったからとはいえ、冒険者として活動出来ている事。その活動の中で様々な人に出会い、僅かながら誰かの助けとなれた事も、きっと祖父のこの言葉がこの胸に残っていたおかげだと思う。
――ロサードは空いていた左手を胸の前で握りしめ、紋具に念じる。
『顔を上げて空を見上げろ』
ふと、祖父の声が聞こえたような気がして彼女は空を見上げる。
火球が破裂すると、一瞬遅れていくつもの色とりどりの菊のような火花が現れる。
それは彼女が祖父から貰ったモノ、冒険者となって得たモノ……沢山の想いが表されたかのようだ。
きらきらと光る色とりどりの火の粉に魅入られて、ロサードは目を丸くする。
「……きれい」
(あの人がこれを見たら、いったいどういう顔をしただろう)
彼女の疑問に答えはでない。
「綺麗じゃないかロサード君! これはボクも負けてられないな~!」
「これって皆それぞれ色とか形が違うんだよな!?」
ロベリアとリオネルが言う、他の皆も花火を見上げて驚きの声をあげたり笑顔を見せていた。
「……よかった」
ロサードの表情は変わらないが、安堵していた。
きっと祖父も悪い反応はしない。彼女はこれからも祖父の言葉を胸に抱き、誰かの為に自らの力を奮うだろう。
「では、私も打ち上げるとしようか」
続いてサマエラが紋具に念じる。
(慰霊……ならば、想うは母へ)
サマエラは終ぞ母を理解できなかった。
楽ではない日々、言葉に力に撃たれ、真面に生き抜くが困難な瞬間もあった。
(それでも貴女は、恨み節のひとつも遺してはくれなかったな。私を庇い、最期にもそうして、逝ってしまうものだから。私に向けた後悔も、怨恨も、悲哀さえ、置いてはくれないものだから……何も、分からないのだ、何も)
自分ではそれを受け止めるに不足であったのだろうか。それとも、本当に心に蟠りも抱かず、私を――
紋具を握る手に、より一層力が入る。
(しかし、だからこそ。今は貴女が遺した命として生きようと思う、ただ生き抜いてやろうと。同じだけを、それ以上を生きて……私も最期に何かを遺せるならば――どうか、それを祝福して欲しい)
サマエラの想いを籠めた火球が打ちあがっていく。
火球が破裂すると、煌めく白色の火の粉が、降り注ぐような軌跡を残す。
祝福を望む彼女に降り注ぐ光……それは彼女が願ったが故か、亡き母に彼女の想いが届いたのか。
「ああ、なるほど。確かにこれは、夜空に映えるものだ」
天に昇った、あるいは地に留まる死者にも届きうる光。
身に打ち響くような音は文字通り心まで震わせ、籠めた想いを決意に変えて浸透させてくれる……サマエラにはそう思えた。
「私は帝国崩壊で苦しんで、傷ついた……そして亡くなった人達を想いたいです」
コルネリウスは冒険者として目にしてきた出来事を思い出す。
死して尚も無理矢理命を与えられた人々を自らの手で弔った事。
難民キャンプで傷ついた人々の言葉を聞いて、その手を握る事しかできなかった事。
「兄さんだったら、もっと色んな事が出来たのかな」
自らと亡き兄を比べ、自身の無力さを呪う。
「……駄目ですね、慰霊の為なのに。私が落ち込んでいたら、亡くなった方を慰められなくなっちゃう」
世界は厳しくて、自分が無力で無知だと思い知らされる事ばかり。
兄が為せなかった事を代わりにすると決めても、まだ何も出来ていなくて。
今はせめて、こうして光を打ち上げて、空の向こうに想いが届けば。
(……祈る、とはこういう事なのかもしれない)
故郷を出る切欠となった、ずっと考えていた事の一つ。
願うだけでその命を救う事も、元に戻す事も出来ない。
でも、手が届かないからこそ、せめて想いが届くように神に願う。
(たとえ今の自分に何も出来なくても、想いが伝わって、未来に繋がる可能性を一つでも増やしたい。傷付いた誰かの心や命を癒したい……父さんも、そうだったのかな)
コルネリウスは両手を握り、空に祈る。
彼女の祈りと共に打ちあがった火球は、星々が遊んでいるかのような不規則な動きを見せる赤い火の粉をばら撒く。
それはもがきながらも未来へ進もうとする彼女の想いを表しているかのようだった。
「俺もあの事件で亡くなってしまった人達へ祈るぞ」
リオネルは数年前にクリーパーに襲われて亡くなったであろう家族や同族達にも届く様に祈りを込める。
あの時は自分の知らぬ間に事が終わっていた。
今もまだ大変な時だけれど、手を伸ばせば助けられる人達もいる。
全てを助ける事は出来ないけれど……あの時の後悔を繰り返さぬよう、出来る限り手を伸ばそう。
彼の決意と祈りが籠った火球が破裂すると、草原のような緑色をした火の粉が大きく広がっていく。
広がりきった先端は青と白が混じり、澄み切った空の様だ。
それを見て、リオネルは目を細める。
「懐かしい色だ」
沢山の羊や仲間達と過ごした草原の色。
妹の瞳と同じ色の小さな宝石と、空に上がる花火を見比べる。
(なあ、生きててくれてるのか?)
妹は生きているかもしれない、彼はそんな希望をずっと胸に秘めている。
「そういや聖霊節ではロイエが全部打ち上げるのか?」
感傷に浸り続けるのはらしくない、といつもの調子に戻ったリオネルがロイエに問う。
「俺は依頼されたら紋具を売るだけだな。頼まれれば引き受けない事もないが……ま、何処かでこの紋具を見かける事はあるかもな」
「そっか! 空にでっけぇ花を捧げてるみたいで気に入ったからな、聖霊節でも楽しみにしてるぜ!」
リオネルのエールに「ああ、楽しみにしてな」とロイエは笑った。
「どれも大輪の光の花が咲いたようでとても綺麗ですね……!」
スィーリーンは今まで打ち上がった数々の光に感動を漏らす。
「空に打ち上げるのは遠くからも見える様に願っての事でしょうか? だとしたら……」
出来るだけ高みへ打ち上げよう。亡くなってしまった帝国の人々へ届くように……そして、今を懸命に生きる人々に見える様に。
スィーリーンが願いを込めた火球は誰の火球よりも空高く上がり、満開の花のような大きな火の粉をばら撒く。
「美しい物は見る者の心を癒し、明日への活力を生み出しますよね」
(私もいつか、この様な紋具を作れるようになるでしょうか)
人々の心を反映し、時に心を動かす紋具を、スィーリーンは興味深く見つめる。
「来年もまた、仲間達と共にこの光の花を見られます様に」
そう願う心優しい竜人の少女は、未来へ歩んでいく人々の道を、打ち上げた光の花の如く明るく照らすだろう。
「ああ、来年も是非手伝いに来てくれ」
ロイエが言うと、スィーリーンは「勿論です」と微笑むのだった。
(決意の色、優しい色、悲しい色、願いの色……)
「どんな色でも、人の想いは綺麗だな」
皆の火花の彩りを静かに眺めるのはアーシェル。
瞳を閉じた彼は、家族の顔を思い浮かべる。
(幸せの象徴だった大切な人達。会いたくて堪らない、謝りたくて堪らない)
過去の彼は死ねなかった意味を、生きる理由を、簡単に導き出した。
(裏切り者をこの手で殺し、家族の無念を晴らす。その為に生きると決めたんだ)
アーシェルの悲痛な覚悟が込められた火球からは雪の様な白い火花が溢れ、やがて血の様な赤に染まっていく。
それはまるで彼の過去を再現するかの様で。
(一匹殺す度に誰かの未来を守れる、そう思うと許される気がした。何匹殺そうとも罪は消えないのに)
仇への憎悪を転嫁し、敵へと刀を振り下ろしてきた。
空っぽの心が満たされるのは、もはや敵を殺している時だけとなっていた。
赤に染まった光の中で儚く消えゆく金色の火花を見、アーシェルは悲し気に顔を歪める。
「兄貴……今更幸せになんかなれねぇよ」
過去に心を囚われたままのアーシェルの呟きは、光と共に冬の夜空へと消えていった。
サロは三発続けて紋具を使用していた。
「ふむ、しっかり念じた時に考えていた事に応じて色を変えている様だね」
一発目と二発目は黄色、三発目は青色の火の粉がばら撒かれた。
「賭け事に勝った事とか、買ったばかりの砥石を落とした事では複雑な色は出ないか。当時は十分心が動いたし、特に砥石はちょっと良いのを買った時だったから結構哀しかったんだけどね」
(こういった紋具は残酷なまでに己の心情を具現化してみせるモノだな)
考えるサロにロイエは「もっと心が動いた事とかないのか?」と問う。
「うーん、ちょっとした感傷よりも打ちあがった火花に対する愉快さが勝ってしまう気がするんだな! 現金だろう? でも、人間そんなものだよ」
「そこまで言ってくれると作った甲斐があるってもんだが」
サロの言葉にロイエが笑う。その笑顔を見たサロは亡き朋を想う。
(死ぬ時ですら笑っていた奴ならば……俺よりもはるかに紋具を使いこなし、それこそ千差万別七変化に火花を変化させただろう。だが、此処に居るのは俺で、奴の真似事をしてみてもこの程度が精々か)
「……それでも十分綺麗だから、この紋具はいいね」
そう呟き、何処か寂し気な様子を見せるサロ。
「ところで小型化とかしないの? 打ち上げないで石を棒につけたまま火花ブシャーとか楽しそうじゃない?」
「おぉ、ソレもいいかもな! 今度試してみるか」
すぐに普段の様子に戻るとロイエに新作のアイデアを提供するのだった。
「火が綺麗に咲いて散っていく様はまるで火の花。まさに「花火」と言ったところか!」
「悪くない名前だな、ソレを貰う事にしよう」
皆の打ち上げた火球を見ていたロベリアが紋具に名付けると、ロイエは気に入った様子だ。
「ところで、ロイエ君も想いを馳せるような相手が居たりするのかな? 気遣いの仕方がまるで自分が経験したかのようだったから気になってしまってね」
長く生きればその分だけ別れもあって、辛い経験も多くなる。冒険者なんて仕事をしてたら猶更って感じだろう? と、ロベリアは語る。
「エルフのあんたが言うと説得力あるな……幾つなのかは知らんが。俺は先立った妻を想う事は多いな」
「ほう、妻か……どうやらロイエ君も中々、波乱の人生を送っているようじゃないか」
ロベリアに「よくある話さ」とロイエは答える。
「そんな想いを馳せたい相手の為に……今更何かしてあげた所で生き永らえているボク等の自己満足なのかもしれないけど。ボクは悪い魔女だからねぇ」
そう言うと、ロベリアは紋具へ念じ始める。
(長い時間をかけて折り合いは付けたつもりだけど……家族や氏族の為に打ち上げようじゃないか)
キミ達の事は片時も忘れた事は無いさ、だけど……ボクは納得いくまで、悪い魔女としてまだまだ生き永らえようと思う。
今夜はせめて、キミ達もボクを思い出せるように派手な花を贈らせてもらうよ。
「――身勝手に騒がしく! 彼等の為と嘯いて夜空に想いを馳せながら! 夜を派手に飾ろうじゃないか!」
芝居がかった台詞と共にロベリアが打ち上げた花火は、大輪の花を模して広範囲に火の粉をまき散らす。
星々が顔を潜めてしまう程の巨大な光の花は、今は亡き大切な人々への悪い魔女の想いの大きさの表れだろう。
「良い紋具、良い機会だった」
それぞれが打ち上げを終え、サマエラがロイエへと礼を言う。
「え、サマエラ君? もう終わるのかい?」
ロベリアはロイエが用意していた触媒を再び手にしている。
「たしかに、まだまだ色々確認してみたいな」
サロも再び触媒を手に取った。
冒険者達は思う存分『花火』と名付けられた紋具で火球を打ち上げていく。
大量の触媒を消費したロイエは少し顔が青かった気がするが、途中からは吹っ切れた様子で自らも参加するのだった。
マスターコメント
皆様の想いを込めた花火は打ちあがり、試運転は無事に終わりました!
また、色々のご意見等を頂いてロイエは新しい紋具を作る事でしょう。
花火に関しては飛遊星、千輪菊、柳等々…色々調べて想いに合いそうなモノを選びました!
皆さんの想いを出来る限り完全な形で描きたいと思った為、絡み等はあまり描写できませんでした……文字数め!
また、聖霊節の本番では皆様が派手に打ち上げた花火を見た人々の評判を聞きつけたお祭りの関係者が買っていった為、今回の紋具を使えるシナリオをリリースする予定です。
満足していただける物語となっていれば幸いです。
ご参加いただき、ありがとうございました!
ショートシナリオ易しい 報酬:多い8 / 4〜8人
2020年12月07日 12時17分38秒 公開
大成功
参加者
コルネリウス・アーラ
- シュナイダー ロサード
スィーリーン
ロベリア
サマエラ=フォリウム
アーシェル・G・クライン
- パストラル リオネル
サロ
相談掲示板
No.1
シーフのリオネルだ。よろしく頼む。 空に火の玉が上がる紋具とは面白いもんがあるんだな。せっかくだから試運転も試してみようかと思っているぜ。
派手な慰霊というのも悪くない…かぁ、ロイエ君は面白い職人の様だね! ボクはエルフのロベリア、見ての通り悪い魔女さ。 一緒に試運転をする皆はよろしくね。
スィーリーンと申します。よろしくお願いします。 夜空に色とりどりの火の粉……とても綺麗でしょうね。 試運転も是非やってみたいです。
コルネリウスです。よろしくおねがいします。 紋具で打ち上げる火の粉ってどんな感じなんでしょう…楽しみですね。 試運転、私もとっても興味があります。やってみたいです。
ゴブリン、サマエラだ。 よろしく頼む。 聞く分には本当に物騒に思えるのだが、観賞に適したものなのか……確かに、興味深い。 私もしっかりと、打ち上げてみよう。
どーもどーも。サロというよ。今回はよろしくね。 火の粉を打ち上げるなんて壮大だねえ。どんなものか楽しみにしておくよ。
アーシェルだ。よろしくな。 火の玉を打ち上げて爆発させるって聞くと物騒だが、実際に見てみると綺麗かもしれねぇな。 俺も試運転に参加するぜ。 英霊を迎え入れたり、死んだ奴らを慰める意味合いがある……か。 ……ロイエやあんた達が打ち上げる時に込めた想いが届くといいな。
No.8
ロサード・シュナイダー。よろしく。 …不思議な紋具。 試運転の、依頼? …私でよければ。 …伝統…そう、そんなものがあるの。 (何かを考えている)