【CP】水路を守れ!

紀藤トキ

コメント 24

シナリオID:200

オープニング

 帝国崩壊後、行き場を失った民のいくばくかは南を目指した。その多くは途上で斃れたかもしれない。運よく、国境のヴァイセントラフ砦までたどり着けた者たちは、更に別の場所へと振り分けられることとなった。係累などを頼れる者や、自活できる程度の資産を持ち出せた者は良い。あるいは腕一つで新天地での生活を賄える者も。
 だが、そうではない多くの民は自らの行く先を選ぶことはできなかった。いくらかは周辺の町村が引き受け、それ以外は急ごしらえの仮住まいへと送られる。そういった急増の避難場所の一つ、通称『難民キャンプ』は、増え続ける難民に悲鳴を上げかけていた。

「水がない。飯もない。住処や衣服は無くてもなんとかなるが、飲み食いできなきゃ人は生きていけないっすよ、隊長」
「いや、暖かい衣服や雨風を防げる住まいも必要ではあるよ。……何を捨てて何を救うか。ここでも優先順位の問題か」

 難民キャンプに関わる者の間でも、手を貸せる範囲など限られている。帝国軍から警備のためにと派遣されたある小部隊も、警護の時間外に何かしてやりたいと思ってはいるようなのだが、何から手を付けていいのか分からない状態だった。

「軍人さん、今から水汲み、行ってきます」
「あ、俺の分隊が当番なんで、ついていきますよ」

 難民の若者から声を掛けられた4人の兵士が腰をあげる。このキャンプは水利が悪く、飲み水は少し歩いた川へ向かわなければ手に入らなかった。井戸を掘ろうとした形跡はない。もしかしたら、場所が悪いということなのかもしれない。

「派遣の冒険者にも連絡を忘れるな。一般人で太刀打ちできない相手も出る」
「了解です」

 別の兵士が駆けだしていく。冒険者ギルドから派遣されている者たちと共同で作戦に当たることも多くなってきた。帝国軍人であるシュタイナーには、帝国の国土や民を守るのに手を借りねばならぬ現状に忸怩たる思いがありはするが、心中の折り合いは付けている。関わっているすべての者が、お互いのベストを尽くすしかないのだ。それが国難というものなのだろう。

「……ふむ。水路を引く手はあるかな?」

 と、思い付きを口にしては見たものの。シュタイナーには水路敷設の知識などないし、何を作れるわけでもない。ただまあ、周辺の地理を確認してどっちが高いだのと測っておくことだけはできる。いずれ工兵が来ることがあれば、役に立つかもしれない。あるいは冒険者に知恵を分けてもらっても良いだろう。彼らには、様々な出自の者がいるようだから。

「よし、では非番の際に希望者で手分けをして……」
「化け物だ! 川から化け物が出た!」

 見計らっていたかのように、事件の知らせだ。駆け込んできた難民が、声をあげた。どうやら、川を上ってきた奴がいるらしい。話を聞くにクリーパーだろう。せわしない事だが、生活のための戦いだけではなく、戦闘もこの場所の日常だった。

「小隊員は民間人の保護を優先しろ。私は冒険者と共に迎撃に当たる」
「は、ご武運を!」

 民の生活環境について思いをはせるよりも、まず。彼らが今を生きるために必要な事を為さねばならない。まあ、少なくとも、民を守るために迷わず武を揮えるのは軍人の本懐ではあった。

解説

●依頼内容 帝国軍のシュタイナー小隊と共同して、難民キャンプの安全を守る事。 それ以外の時間に協力してあげる事はお仕事に含まれてはいませんが、歓迎される事でしょう。 ●戦場 戦場になるのは川に向かう細い道で、左側が森、右側が荒れ地です。森は薪や木の実を取ったりするのに使われています。 森の木は端なのでまばらです。荒れ地は凹凸は少なく平らです。 兵士が声掛けしているので、採集に来ていて巻き込まれてしまうようなうっかり難民はおりません。 ●状況  水汲みに行こうとした難民を護衛していたら川からクリーパーがやってくるのにでくわしました。  先に逃がした難民と一般兵を巻き込まないで、足の遅いクリーパーを待ち構えている状態です。  30ヘクスほど先にクリーパーがいます。 ●敵 クリーパー×3 土饅頭のような胴体に、トゲトゲした触手がものすごく多数生えたクリーパーです。色は鮮やかな赤。 触手を使って歩いたり跳ねたりします。攻撃を防ぐのにも使います。万能触手です。移動速度は遅いです。 攻撃にも触手を使います。先端は棘状で筒になっており、刺さると吸われます。棘部分を射出してくることもあります。 あまりいやらしい感じの絡み方はできない刺すタイプの触手です。 触手攻撃(刺)  射程3ヘクス、直径3ヘクスの範囲攻撃です。複数の触手で面攻撃をしてきます。 触手攻撃(飛)  棘を飛ばして射程20ヘクス。単体攻撃です。ダメージと同時に刺さる判定を行います。  刺さるとサブアクション消費で抜かない限り筒から血が流れます。 ●味方 帝国軍人シュタイナー(シューター)  20歳の若造ですが、授恵者になったことで小部隊の隊長になりました。  先日は突発事態にも負けず冒険者と共にワイバーンを狩ったことで砦の偉い人に褒められたようです。  少し(2+1D6ターン)遅れてやってきます。待たずに倒してしまっても良いですよ。

マスターより

帝国軍人的には民を守るためのお仕事というのは、やりがいのある良いお仕事だと思われます。 どちらか片方だけを救えるとか。切り捨てて進めとかに比べれば。 そんなこんなで、名誉の戦死を遂げた羊(肉)を届けた縁で警備任務についた軍人がいます。 彼ら的には、何かしら難民キャンプのためにしてあげたいようではあります。 戦闘はちゃんと判定しますが、プレイングの重みによってはフレキシブルな執筆体制を取る所存です。 ものすごくキャンプのために働くプレが多かったら、戦闘の終わった後から書き始めるかもしれません。 皆様のやりたいことを詰め詰めしたプレイングをお待ちしております。

リプレイ

 狙ってかたまたまか、授恵者達の足の速さはほぼ同じだった。途中ですれ違った難民と一般兵には、マリイ・パルティスの狼であるコルデラが念のために同行する。後方での不測の事態の備えもできたところで、敵にご対面だ。

「キモいっす! キモいっす!! キモいっすー!!!」

 三段活用で派手に騒ぐのは、カルミーの知的な作戦だ。これで相手の気を引き、迂回して背後に回っているノノアの奇襲を成功しやすくするという寸法である。アホっぽい口調はあくまで、っぽいだけなのだ。多分。

「なんだかのっぺりしているのですけれど……」

 観察していたマリイが困惑したように耳を揺らした。カルミーの声に反応して向きを変えたようではあるのだが、見える限りでは目も耳もない。弱点になりうるような特徴は見受けられなかった。まるで饅頭に触手が生えたような風体だ。つまり、カルミーでなくてもキモイ。

「思ったよりも、射程が長いな」

 様子見で距離を測っていた海神・江流が、飛んできたトゲを見ながらつぶやいた。だいたい射程は見切れた、と言う彼の近くで、リディリディ・トゥラ・ イェレミースが身震いする。魔法を撃つにはその射程に踏み込まざるを得ない。防ぐ手段は持っているが、飛んでくるのを目の当たりにすればやはり怖いものだ。

「大丈夫、できる限りぼくが引き受けるよ!」

 と、お困りのリディリディに胸を張るバクル・バスリー。リザードマンとしてはやや小柄な彼も、種々雑多な今日の構成では真ん中位。鉄製の甲冑と盾に身を固めた小さなナイトである。

「これの切れ味も試したい。畳みかけさせてもらおう」

 と、江流もなかなかに意気軒昂。

「そろそろ、頃合いだろう?」

 と、見計らっていたようにベルク・オスマットが言う。ノノアの迂回に掛かるのは、せいぜい10秒か20秒。会話していればあっという間のことだ。ベルクの言葉を合図に、冒険者たちは行動を開始した。

●
 見た目同様に、クリーパーの反応は鈍い。一気に接近するベルク、江流、カルミーに対応しきれず、接近を許した。カルミーが正面から、ベルクが右に回り込み、江流は左手へと綺麗に分かれた事も理由だろう。それでも一体がベルクめがけて棘を射出したが、弾丸はむなしく荒野へと消えた。

「ぼくが相手だ! 皆はやらせないよ!」

 遅れて、駆け寄ったバクルが勇ましく声をあげる。エルゼリオ・レイノーラが右側に入って、クリーパーたちの進路正面を塞いだ。ようやく追いつけそうな敵が現れたと思ったか、二体分の触手が嵐のように打ち付ける。バクルの鉄の甲冑と盾は良く攻撃を防いだ。エルゼリオも輝く光をまとって突き刺す棘をしのぐ、が。

「ぼくを倒すなら、全然足らないよ!」

 まったくもって、その通り。バクルについた傷は毛ほどのものだし、エルゼリオは多少の血を流してはいるがヒールを使うまでもない。後衛も射程内へと歩を進め、全員が配置についた。さあ、本格的な戦いはここからだ。

 防御を固めたバクルがシーザーロアで敵の注意を引き付け、さらに引き付け。もう一匹はベルクをまだ狙ったが当たらない。カルミーの縛糸刃が効果を発揮している。

「ここは、メテオライトを使わせていただく方が、いい場面ですよね」
「隙だらけ。消えなさい、『不要物』」

 乱戦気味の戦況を見て、リディリディがメテオライトで削りを入れ、背後からノノアが強襲したところにマリイの矢が突きたった。早くもここで一匹、死亡。残る二匹はやっきになってバクルへ己の最大の攻撃である棘射出を行う。一発は当たり、一発は避けて。

「く、さすがにちょっとは……痛いけどっ」

 ほかの人だったら当たっただけでかなりまずい筈なのだが、バクルは気丈に笑う。刺さった棘を自分で引っこ抜き、傷はエルゼリオが治癒を施した。その間も、範囲攻撃を受けないように気を配りつつ、状態異常を絡めたヒットアンドアウェイを繰り返すベルクにカルミー。同様の動きのノノアは状態異常ではなく、戦士と見紛う打撃力で削っては離れる。江流はといえば、他のシーフトリオとは別の先読みで宙を踏み、相手の行動の隙間に距離を取った。

「頭数はこちらが上、戦況もこちらがコントロールしている。焦らずに確実に仕留めよう」

 クリーパーの狙いがバクルに固定されていたのは、クリーパーにとって攻撃が殆ど効かないという意味では不幸であり、目を回さないで済むという意味では幸運だったのかもしれない。いずれにせよ、クリーパーは激しいが短い戦いののちに何を為す事もできず力尽きるのであった。

 狼に先導されてシュタイナーがやってきたのはちょうどその時で。

「シュタイナーさん、クリーパーは倒したよ」

 と傷跡が明らかな状態にも関わらず、朗らかに言うバクルに苦笑を返す事となる。

「やれやれ、これでは帝国軍人の面目丸つぶれだが……、ありがたいな」

●
 戦闘後、難民達は元の予定に戻って水汲みを行った。クリーパーが出たばかりだというのに逞しいことだ。その一助となっていたのは、バクルの同行だろう。

「大丈夫、もっと持てるよ」

 と、成人男性二人分くらいの水袋を軽々運ぶリザードマンの少年が一緒とあれば、また怪物ができても怖くないと思えたのかもしれない。一方、もう長期的な視野で考える者もいる。

「何もかもが足りないけれど…。その中でも特に飲み水の確保は急務だよね」

 エルゼリオが言うように、必要なものとしては水。その為には地図がいる。その認識はシュタイナーも一致しており、話は早い。

「前の依頼では、水汲みのタイミングで野犬に襲われることがあったんだ。井戸や水路ができれば危険は減るからね」

 周辺情報を集めて整理する役を江流が請け負った。探波で地形を確認し、いざとなれば天眼で俯瞰もできる彼はとりまとめにうってつけだ。地図作成の司令塔はエルゼリオが受け持つ。作られた簡易地図から、何処を重点的に見るべきかを決めるのが彼の役割だ。地形、それに地層の情報から、井戸が掘れそうな場所がないかをまず考える。

「これは、父上に感謝かな」

 将来のために、と息子に学ばせた地質学がこんな形で役に立つとは、彼の父も想像だにするまい。ほどなくして、井戸の設置が決まった。

「本当に水が出るのか?」

 難民達も、当初は幾度かあてずっぽうに掘ってはみたものの、諦めていたらしい。

「貴様達の中に経験者はいるか? いない。ならば我が指示を出そう」

 ベルクには、土木建築についての知識があった。見せられた希望に、難民達のいくらかも作業に加わっていく。実は任務前に江流が掛け合って、もともと難民キャンプへ運ぶ予定だったスコップなどを預かっていた。数本とはいえ、あるとないでは大違いだ。

「しかし、井戸一つではさすがに賄いきれないな」
「心配はいらないよ、シュタイナーさん。そっちも皆で考えてるからね」

 キャンプの状況を確認していたシュタイナーが、エルゼリオの返事に首を傾げたところで。

「シュタイナーたいちょー! 地図描いて来たっす!」

 と、カルミーが走ってきた。川からキャンプまでのルートを重点的に、自身の位置間隔と照らし合わせながらまとめてきたのだ、という。まだ概略だが、この調子で調べればすぐに詳しい図面ができるだろう。それをエルゼリオの手元の地図に江流が繋ぎ合わせる。完成すれば、水路の検討材料には充分な地図になりそうだ。

「でも、ずいぶん早かったね」
「川までは、ノノアちゃんやリディリディさんとも一緒だったっすからね。手分けしたっすよ!」

 ちなみに、現地でリディリディの姐御と呼ぼうとしたら嫌がられてこの呼び方に落ち着いたらしい。

●
 カルミーと別れて川の方角へ残った彼女たちが何をしていたかと言えば。

「さすがに湖はなかったわね。でもこれなら十分……」

 と、水辺をのぞき込むノノアの目の前でばしゃりと川魚がはねた。彼女はまず、今必要な食料を融通すべく、川幅が良い感じに広がって魚がいそうな畔を見つけた。手近な材料で簡単な竿を作り、エサも現地調達だ。

「虫が嫌いでなくてよかったわ」

 と、自画自賛の出来の虫団子である。さっそく掛かった魚を処理して袋へ詰めていたところに、下流に向かっていたリディリディが戻ってきた。

「どうでしたか?」
「近くは大丈夫でした、が」

 リディリディの懸念は、クリーパーの分布だった。さっきのクリーパーはそこそこ大きめとはいえ小型種。群れの残りがいてもおかしくはない。そう考えて少し足を延ばしてみたところ。

「別のクリーパーか魔獣、でしょうか。暴れたような跡が遠くに見えただけですけれども……」

 この近辺は決して安全とは言えないようだ。できるだけ、難民が遠出をせずとも食料が得られるように、とリディリディも願う。

「でも、森の方は、パルティスさんが皆さんにお声掛けしていましたし……」

 森に生きる先達として難民に対しては教えられることも多々あろう。が、同じ森の民相手だと、生来の自信の無さが少し顔を出す。後から合流しては迷惑では、などと考え出すと耳もへんにょりだ。そんな悩める様子を、ノノアの目が目ざとく捉えた。

「もしも、良ければ魚の調理をお願いしたいの」

 採るのは良いし、解体もできるが、教わったサバイバルに美味しく食べる方法は含まれていなかった。含まれていたかもしれないけど、忘れた。そういうわけで、得意そうな人がいるなら。使うしかない。

「え、あの。お肉じゃなく、お魚、ですか?」
「肉も後で獲れるわ。たぶん」
「わかりました。任せてください」

 かくして、川辺の契約はなされたのである。なお、肉を獲るのがノノアだとは言っていない。

●
「こんな罠で、動物が捕まるのか?」
「そう思いますよね? その通り、簡単にはいかないんですよ」

 動物は怖がりですからね、と教えるマリイに、難民達は真剣な顔で頷いた。森にいる動物を自分たちで捕らえられるようになれば、冬がだいぶ楽になるのだ。

「静かに、静かにですよ」
「す、すまん」

 狩人でもない彼らにとって、聞くこと為す事全てが初体験である。時に枝を折ったりすることもあるが、だからこその罠猟。動物ごとに好む餌や場所、通り道の見つけ方。彼らにはマリイのいう事の半分もわからないかもしれないが、半分わかるだけでも良い。

「俺も何もできないよりは、何かできることをしてぇんだ」
「気楽に、ですよ。罠は仕掛けたら待っていればいいだけですからね」

 待っている間に他のこともできる。罠を作るのは力のない者が分担してもいい。罠猟はとても効率の良い狩りなのだ。言われたことを胸に刻むように頷く難民の若者に、マリイは頷き返し。そして人差し指を自分の唇に当てた。

「しー、ですよ。……せっかくだから、害獣も間引いておきましょう」

 素人さんはそこで果物を採っていてもらいたい。などと言いはしないが、ちょうど良い場所に果実の茂みもあった。狙うは、猪。一般人が出会うと危ないし、人間の食べるような木の実や根菜を食べてしまうし、食べ甲斐もある。まさに、今の状況で出会ったならやるしかない相手だった。これよりマリイ、罠師から弓狩人へ。

●
 そんなこんなで。もともとの依頼の期間が過ぎるころには、難民キャンプの食糧事情は若干の改善を見せていた。劇的に、とはいかない。ハンターマリイや、後からやっぱり手伝うことにしたリディリディの指導があっても、やはり付け焼刃ではある。だが、彼らがいる間には確実に、そして彼らが離れてからも幾ばくかは、森の幸が食卓に増えたことは間違いない。

「お肉が欲しければ、自分で獲れば良いのです」
「おお、お肉の為に! 罠を仕掛けろ!」

 リディリディが教えていたのは木の実や薪の効率の良い取り方だったはずなのだが、それ以外の何かも伝わっているようだった。

「困っている人がいたら、助けるのは当然だよ!」

 と、バクルは言った。シュタイナーが任務の終わる前日に彼に感謝の意を表したときだ。力持ちで良く気が付くリザードマンの少年は、作業に当たる難民の中に寂しがる者がでるくらいに打ち解けていた。

「間に合わなかったけど、見張り台も作ってね!」

 少年の言葉に、シュタイナーは善処すると答えた。実際のところ、大きな木は住まいに優先されがちなのだ。ノノアが簡単なテントの作り方を教えていたが、しっかりしたつくりの家に住みたいと願う者も多い。とはいえ、重要性も理解できる。順番の問題にすぎない。いつかは、見張り台を手掛けられるだろうか。

「水路は、やはり道に沿うルートが良いだろう。ここだけは高低差がもう少し知りたいが」
「最後にもうひとっ走り、行くっすか? 行くっすよ?」

 井戸の方に掛かりきりになったベルクは、最後に水路の計画へも少しだけ意見を述べた。水車を使った本格的な水路も考えにはあったのだが、さすがに時間が足りない。せめて後に敷設を行うであろう者のために、と言う彼の声に、カルミーが走り出した。

「よくわかんねっすけど、あたしの仕事もたぶん役立つ……かもしれないっす!」

 そういう彼女は川とキャンプの間の情報をずっと集めていた。水路の予定に情報面でもっとも寄与したのは、彼女だろう。図面に落とし込む部分では、間違いなく江流だ。カルミーだけでなく、非番の時の帝国兵が持ってくる情報やエルゼリオの依頼で集められた土などを、時に現地近くで天眼を利用して落とし込んでいくのは、地道だが必要な作業だった。それも、ほぼ一段落ついた。

「俺は、そろそろ次の任務に向かおうかと思う」
「そうか。今まで感謝する」

 彼や、彼女達。短い間だが頼もしかった戦友たちを見送るシュタイナーの側には、二人の少年少女が残っている。

「井戸の作成の目途が付くまではボクは残らせてもらうよ」
「わたしも、残るわ」

 エルゼリオとノノアの申し出に、シュタイナーは感謝した。難民はもっと感謝しただろう。エルゼリオは彼らの境遇に深く同情し、その改善に何ができるかを考えた末の決意だった。ノノアの心情は、もしかしたら帝国軍人のシュタイナーにこそ近いものだったかもしれない。難民は同じ祖国の民であり、彼らを救いたいとの思いは当然のように浮かぶのだ。

「大切な民と、帝国の未来の為に、です」
「失われた物は取り戻せずとも、ただ未来の為に動けるのか。……君は、強いな」

 シュタイナーの疲れたような本音を、ノノアの狐耳が静かに聞いていた。

マスターコメント

戦闘判定を行う前、データを見た時から生暖かい笑みがこぼれて止みませんでした。 クリーパー、別にそこまで弱くなかったと思うんですけれど。範囲攻撃が狭いのを見切られ、大ダメージの棘飛ばしはキャスターを撃つこともなく終了。はかないクリーパー生でした。 戦闘についてと戦闘後、双方ともに(戦術的と心情的意味で)密度の濃いプレイングで、とても楽しく書かせていただきました。ありがとうございます。なんかシュタイナーさんは毎回成功させてもらってるくせに、勝手に思い悩んでしまうようで、書いている私にも良くわからない奴です。乙女か。 MVPはプレイング部分では甲乙つけがたく、使いどころが難しそうな知識系スキルを状況に合わせて準備・活用してくださったお二方に。称号は思い浮かんだ皆様に、それぞれ送らせていただきました。 ご参加、ありがとうございました!
ショートシナリオ

ショートシナリオ普通 報酬:標準8 / 4〜8人

2020年11月17日 14時42分14秒 公開

大成功

相談掲示板

  1. バクル・バスリー

    ウォーリアのバクルだよ。よろしくね。 とりあえず、前に出てシーザーロアで引き付ける予定だよ。

  2. カルミー

    シーフのカルミーっす! よろしくっす! なんかキモい敵が相手な予感がするっす……! そんじゃあたしはバクルくんを狙った範囲攻撃に巻き込まれないようフェザーステップでヒット&アウェイするっすね。【執着】の効果時間が切れた奴が後衛を狙えないように遮蔽にもなれるっす。

  3. ベルク・オスマット

    狐の半獣が一尾、オスマットのベルクだ。 よろしく頼む。 我も一撃離脱で撹乱を担おうと思う。

  4. ノノア

    ノノアよ。よろしくね。 わたしはキャンプの為に何かしたいので、そちらが重点になりそうです。 戦闘は隠蔽状態から一撃必殺を狙って、早めに数を減らす予定ね。

  5. No.5

    キャスターのリディリディです。 その・・・、よろしくお願いします。 射程が20ヘクスとかなり長いんですね。 こちらの魔法の効果範囲に入ったらストーンブラストを撃つつもりです。

  6. 海神 江流

    シーフの海神江流だ。 はじめての人ははじめまして、初めてじゃない人もお久しぶり。って訳で今回は宜しく頼むよ。 戦闘については左手の森の中に逃げ込まれないようにして、きっちり討伐しておきたいってトコかな。 クリーパーの襲撃は一過的な物だから、キャンプの今後について助力出来る事があると尚いいんだろうけど…何が出来るかなとそっちは現在進行系で考え中。

  7. マリイ・パルティス

    シューターのマリイと申しします。よろしくお願いいたしますね。 戦闘> 後衛として遠距離からちくちくしようかなと思います。距離の利点は取れませんが、足は遅いようですし……態勢を整える余裕もありそう。 落ち着いて対処すれば問題なさそうですね。 キャンプ> 私もちょっと考え中ですね。何かしたいなーとは思います。

  8. ベルク・オスマット

    現状の発言を纏めると バクル殿が壁役として敵の引付。 我とカルミー殿がヒット&ウェイで撹乱と囮 ノノア殿が一撃必殺狙いで削り役 マリイ殿とリディリディ殿が遠距離から火力役 注意としては森に逃げ込ませないこと。でいいのかな?

  9. ノノア

    戦闘に関してはベルクさんの纏めで大丈夫わ。敵は移動が遅いので、距離を詰めるのに相当ゆっくりでなければ大丈夫そうね。 キャンプに関しては何もかもが足りてない感じね。私の予定は防護柵、簡易住居、雨や泥水を綺麗にするろ過器など考えていましたが、他にも何か出来そうな事は考えてますね。後は井戸を掘ろうとした形跡はないみたいですが、シーフの探波でもしかしたら地下に水が溜まってる場所もあるかもなので、それも考えているわ。

  10. カルミー

    ベルクちゃんまとめありがとっす! よく見れば今回シーフ多いっすね……せっかくなんであたしは今回は付与特化にして【縛糸刃】でのBSメインにすんすね。ショップの品ぞろえ更新とか出発前に帰ってくるリプレイ数にもよるっすけど、今くらいの回避をキープしてもそこそこの付与にはなるはずっす。 あたしも探波持ってくっす! 汎用スキルの位置感覚と合わせて川の形や深さを調べておこうかと思ってるっす。水路を引くことになったらなんかの役には立つ……はずっす!

  11. 海神 江流

    探波は足りてそうだから、天眼を用意しておこうか。 俯瞰視野で図面を引く感じの事はできそうな気がするから、水路引くとか柵を立てたりするならいくらか役に立ちそうかなとか。 シーフツールは持参するけど、大掛かりな工具やスコップなんかって現地で借りたりできるかねぇ?

  12. バクル・バスリー

    ベルクさん、まとめありがとう! まとめの内容で異論はないよ。 >井戸掘り、水路ひく 知識とか技術の面ではあんまり役立てないから、力作業で手伝えそうな所は手伝うね。 >大がかりな工具・スコップ 大がかりな工具は、彼ら自身が持ち込んだり、兵士が持ってきてるかと言われると、ちょっと難しそうな気がするね。 スコップ位ならありそうだけど……。

  13. ノノア

    カルミーさんは探波で地形の調査などね。川と難民キャンプのどちらかが高いかで、川からの水を引き込みやすくなりそうね。場合によってはそのまま工兵が来る前にある程度は作るとか出来そうね。 海神さん。キャンプにいるのは難民と小部隊の派遣された兵だけなのと、いずれ工兵が来るなどと書いてあるので、最低限の物で生活してる感じがしますわ。 心配でしたら依頼を受けてから向かう前など、事前に「バックパック」などに「工具やスコップを入れていた」など、行動(プレイング)すれば、もしかしたら現地に持ち込んだ状態でいる事も出来そうね。 それに私達の武器を使う事でも、現地で作業用の道具を作る事は出来そうね。 わたしでしたら短剣(ナイフ)で、現地にある木やキャンプにある廃棄物(壊れた鉄系の物)などを加工して簡易スコップなどを作ることは出来そうなので、色々と試してみる予定よ。 何かありましたら一緒に作業は出来そうなのと、兵もいるので指示すれば手伝って頂けると思うわ。

  14. エルゼリオ・レイノーラ

    顔出しが遅くなってゴメンね! ヒーラーのエルゼリオ・レイノーラだよ。 今回はヨロシク☆ >戦闘 ベルクさんの纏めに異論ナシだよ。 ボクも前衛として戦ったり、回復したりする予定。 >キャンプ 専門的な知識とかないし、力仕事のお手伝いになるかなぁ~? もうちょっと考えてみるね!

  15. ノノア

    (最後に来た一人を見て)エルゼリオさん、よろしくね。 わたし達はギルドで依頼を受けてから、踊る子熊亭のテーブルなどで相談してる感じなので、この相談中にも海神さんが少し街へ出て工具など用意していても不思議では無いわ。 他の依頼では出発前ではお酒を飲んで、少し酔っ払って依頼に行った猛者の噂もありましたが、それが本当かどうかは不明ね。(てへっ) わたしも今のうちに必要な小道具系は用意しておきますわ。

  16. 海神 江流

    道具の調達を可能な範囲で、と考えていたんだけど、明日、ショップに色々新製品が並ぶらしいね。 金属製の武具とかが出るようならスコップやツルハシの代用に出来るかも?なんてちょっと期待してみたり。 水脈が見つかりそうなら井戸を掘る。 そうでなければ水路を引けないか頑張ってみるってあたりで水回りの支援が今のところは主流になりそうかな?

  17. ノノア

    (踊る子熊亭のチラシっぽいのを見つつ)そうね。明日の道具屋さんの内容では、今回の依頼に大いに役立つのもありそうね。無かった時は事前用意(プレイング)かしら。 今ある鉄鍋でも地面は掘れそうですが、効率を考えるとスコップ、ツルハシ、シャベルなどの代用品のが、わたし達が疲れづらくなりそうね。 カルミーさんが探波などで地面の調査か、私達シーフが探波して水脈発見はよさそうね。後は難民キャンプに人が溢れているので、食糧難は川で魚や貝類とったりなど考えていたわ。住居は時間がかかるので、する場合は簡易的な雨よけ類になりそうね。後は……他の皆さんの意見も聞いて見たいわね。 最後にですが、このお仕事が終わってもわたしは数日は滞在して、難民キャンプのお手伝いを考えているわ。

  18. マリイ・パルティス

    色々考えましたが私も食料の方の確保に回ろうかな。 森の奥の方も何か狩れそうな動物がいないか探してみようと思います。害虫駆除も兼ねてで。 最低限ロープさえあれば罠も作れますが…………とりあえずお店の更新に期待ですね。

  19. ノノア

    マリィさんは食料の確保ですね。軽く纏めておきますわ。 (ショップを覗いてきて戻ってくる) 見てきましたけど、武器と防具ぐらいが新しい感じでしたね。 今回で具体的に使えそうなのがこれぐらいかしら? ・バックパック(中身は事前準備のプレイング次第) ・ロープ ・小型ハンマー ・シーフズツール ・他は武器や現地サバイバル知識などで対応 【戦闘:(ベルクさん発言) バクル殿が壁役として敵の引付。 我とカルミー殿がヒット&ウェイで撹乱と囮 ノノア殿が一撃必殺狙いで削り役 マリイ殿とリディリディ殿が遠距離から火力役 森へ敵が行くのに注意。 【難民キャンプへの内容】(相談によっては変更有り) カルミーさん:探波で水路などの調査 マリィさん:森の方で食料探し ノノア:川などの食料、もしくは仮設住宅など考え中 バクルさん:力仕事(補助?)

  20. エルゼリオ・レイノーラ

    >ノノアさん ――わわッ!今回はボクの方こそヨロシクね!(照 >戦闘 序盤は前衛陣に輝刃付与したり、接近戦したりする予定。 怪我人が出たらヒールで回復するよー。 >難民キャンプ 最初は力仕事を手伝うつもりでいたんだけれど―― 飲み水の確保が急がれる状況みたいだから、ボクもその辺の調査のお手伝いをしたいなと思ってるよ。基本的には足を使って地質を調べて周る感じになるかな?

  21. No.21

    間を開けてしまいました。 すみません。 出発までもう日があまりありませんが、難民キャンプの方で私でも何かできるか探してみます。

  22. ノノア

    エルゼリオさんが照れているわ。(可愛いと思いつつ見ている) 全員がキャンプの為に何かしたいわけではないので、出来る方だけで大丈夫ですわ。 わたしはこんな感じに行動(仮?)だけを置いておきますわ。何かあれば調整など出来るので、遠慮なく言ってね。 ・行動 隠蔽状態から敵の側面や背面を狙う為に、少し味方と離れて迂回。味方の攻撃後に敵の注意が逸れた時に二刀流で攻撃後に距離を取る。触手が硬そうですが切れるなら切る。少しでも敵の攻撃方法を削ぐ為にね。 棘が飛んで来たら反応強化で反射的に避けるが、棘が刺さったら抜きながらヒールね。 敵の処理が終わり次第、川や少し下った所に湖が無いか確認。湖があればそちらで無ければ川ね。ロープと針金で簡易的な釣り竿を作る。餌はその辺の岩場や草木付近の虫や蚯蚓よ。虫嫌いな人なら叫びそうですが、私は大丈夫ね。無事に釣れたらナイフで血抜きをして麻袋に入れて、キャンプに戻るわ。 料理は焼くなどしか出来ないので他の人に任せて、余裕があれば簡易的なキャンプの設立ね。布等があればロープや針金で、木々に結びもう反対を地面に木を削った杭で固定ね。形的に三角になれば良いわね。 最後に他の仲間が帰っても、わたしは数日から1週間程度は難民キャンプに残って作業よ。お金より大切な民の為に、少しでも安心して過ごせるようにですね。そして帝国の未来の為に……

  23. カルミー

    明日のお昼に出発っすね! 予定通り戦闘は付与特化で縛糸刃メイン、戦闘後は水路敷設の下準備として探波で川の地形情報収集でプレイング出してきたっす。

  24. ノノア

    明日には出発なので、皆さんよろしくお願いしますわ。(出発前に準備が出来たので休んでいる)

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0