【秋祭】おいでよ、イタズラ屋敷!
白葉うづき
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シナリオID:90
オープニング
風は涼しく空高くなり、ロスガリア大陸に収穫期が訪れた。
農村では収穫作業に追われる日々。日の出から日の入りまで、穂を刈る小気味のいい鎌音や脱穀の音が絶えず響いている。
村から町をつなぐ道には収穫を積んだ荷馬車が行き交い、町側もまたそわそわと気忙しさに包まれていた。
収穫が一段落すると何が行われるか――そう、収穫祭である。
多種多様な風土や宗教が混在するロスガリア大陸でも、この時期になるとそれらの枠を超え、各地で一斉に収穫祭が行われるのだ。
元々は秋の恵みに感謝する純然たる収穫祭だったが、いつの頃からか魔物除けや鎮魂祭としての側面を持ち始めた。
実りの季節であると同時に、夜闇が日毎濃く長くなり行く時期でもある。悪しきものに憑かれぬよう魔物や亡者に仮装をしたり、死者の魂を慰める催しをしたりと、祭りの内容は村や町により様々だ。
ここ、辺境都市群にある学術都市ヴェルクリエの一角も収穫祭で賑わっている。奇人変人とも呼ばれる人々がひしめくこの都市での収穫祭は、ひとクセもふたクセもあり――
●おかしくてたのしいイタズラ屋敷!
ロスガリア大陸北東部に位置するイェルノー荒野。学術都市ヴェルクリエはそこに散在する辺境都市群のひとつだ。種族を問わず大陸中から技術者が集まり、良質な制作物や技術を取引することで発展を遂げてきた。種族に限らず多種多様な人々、それも飛びぬけて独特な面々が集まるこの都市は、訪れた者ならその景観を口にする者が多い。
ヴェルクリエの西にあるキャンティ地区はその景趣を体現したかのような街並みを持ち、個性的なその場所は今、より色彩豊かな場所になっていた。
赤に白に青に黄色に黒に緑に――家と家とが道沿いに密接して建ち、壁や屋根が色とりどりといった鮮やかな色に彩られた街並みがまず目に飛び込む。道端や屋根の上などへはカボチャやイモといった作物のオブジェが置かれていた。家の壁や家々の間にさまざまな色のフラッグ・ガーランドがかかり、他にも動物などを模した飾りがいたるところに装飾されていた。家の形も個性的なものが多い。街中には川も走り、よく見ると建物や橋といった建築物には歴史的を感じさせる古さも残っている。
道行く人々も負けてはいない。仮装であったり元々の個性的な普段着であったり、系統だった服を着ていないため仮装かそうでないかを見分けることも難しいだろう。視覚的にも年中賑やかな街が、お祭り騒ぎでさらに賑やかになっていた。
目の前にある屋敷もそうだ。両脇に柱の立つ入口、煤赤茶の煉瓦で造られた壁に格子取られた窓が嵌まり色褪せた濃緑の屋根と、重厚な建物――だったのだろう。
今は猫、犬、熊から鳥といった生物が柱に彫刻され、壁には思い思いのアートが施され、窓からは藁や布で造られた人形がはみ出し、屋根の上には作物のオブジェが置かれていた。
「やあ! 観光客さん? イタズラ屋敷『ビリキーノ』へようこそ!」
屋敷を眺めていると、一人の青年が声をかけてきた。二股に分かれた帽子に片側のみが長いローブにとちぐはぐした仮装に、顔の上半分を道化師の仮面で覆っていた。肩には丸々とした黄色い小鳥が乗っている。
「ここはヴェルクリエの有志が協力して作ったイタズラ屋敷なんだ。ここにはいろんな楽しい紋具が仕掛けられてるんだよ。どんなのかは入ってからのお楽しみ! だって先に教えちゃったらつまらないよ、岩と岩の裂け目の中を覗く時も岩を砕く時もそこまでの瞬間が最高にワクワクするじゃない?」
彼なりの例えを語る青年が補足する。
紋具とはエーテルを含んだ物質、多くは鉱石を触媒として作られるエーテル器具のことだ。これを使えば火を起こす、光を灯す、物を冷やすなど、授恵者でなくともささやかな魔法効果を得ることができるため、ロスガリア大陸に住む人々の生活には欠かせないものだ。
ここヴェルクリエではさまざまな紋具が――役に立つものから意味の解らないものまで幅広く――開発されているらしい。
「スタートはそのドア。入ったらまず右回りに一階を周って、玄関ホールに出たら2階に上がって。そこにドアがあるから、その部屋を周ったら終わり! 1階も2階も楽しいよ! あ、紋具だけじゃなくて彫刻とか絵とかもある!」
楽しそうに次々と話し続ける青年は、あ、と小さく声を上げる。それから口元ににぃと三日月を作った。
「ねえ、せっかくだからオレも驚かせちゃうね! あと出てきたら記念に壁へ何か書いてくと喜ばれるかも! オレが喜ぶ! 絵でも文字でもいいよ、おかしなものは大歓迎! フェスタ・ラスバブのイタズラ屋敷、めいっぱい楽しんで!」
解説
マスターより
リプレイ
屋敷を前にしたシニング・W・テュパラはフードの中で考える。せっかくのイタズラ屋敷、これを存分に味わうには――
「どうしたの?」
心配そうなバクル・バスリーに、シニングは意図的に声を震わせた。
「ああ……ちょっと怖いなー……とか」
「なら、ぼくが一緒についていってあげるよ」
「本当か!」
「任せてよ! 暗い所はダンジョンで慣れてるからさ!」
胸を張り、笑顔を見せるバクル。シニングは一緒に笑う。
(わりぃな、目いっぱい楽しませてもらうぜ)
「わぁ、いい感じの空気感だね……大丈夫?」
躊躇なく屋敷の扉を開けると、玄関ホールではたくさんの人形が出迎えてくれた。可愛らしい動物おどろおどろしい怪物まで全てがこちらを見ている。
「おう。バクルがいるから平気だ」
実際シニングは少しも怖がっていなかった。けれどその言葉を受けたバクルはやる気に満ちる。
「何かあったら言ってね」
人形たちを横目に一階の扉を開ける。中はほんのり薄暗く、絵画や彫刻が置かれ迷路のように進む部屋だった。辺りを見回しながら二人は進み、シニングが袖を引っ張る。
「お、おい。あれ」
「え……!?」
絵画の目が動いている。まるでこちらを見ているかのように視線が追ってくる。あの彫刻も今動かなかったか?
『フハハハ……!』
「わっ、び、びっくりしたんだよ……!」
突然響いた笑い声に飛び上がり、自然とバクルの進むスピードが速くなる。気のせいだと必死に振り切って出口へと辿り着いた。
「シニングさん、平気? む、無理はしなくていいからね?」
「ああ、大丈夫だ。バクルは頼りになるな」
シニングは笑う。二階はもっと楽しそうだ。
●アルム・フィーレン・サマエラ組
「イタズラって子どもがやる奴ですよね、大人が怖がるなんてないですよね、大丈夫ですよね?」
もふもふとした尻尾を緩く揺らしながらアルム=ラントは入り口前で深呼吸。大丈夫、よし!
覚悟を決めたアルムは目を閉じながら扉の中へ。そして目を開けると――天井にいた溶けかけみたいなクリーパーと目が合った。
「キャイン!」
伝統的な収穫祭から一風変わったものまで独特だ、とフィーレン・ステオラーズはキャンティ地区に来て感じた。このイタズラ屋敷も興味深い。
「紋具を使って動かしているのかな。こういうイタズラが多いのかもしれない」
俺はちょっとやそっとじゃ驚かないけど、とフィーレンは目の動く絵画の前で右に左にと動いてみた。ささやかだけど気付いたら怖い人は堪らないだろう、彫刻の首が動く仕掛けも良く出来ている。
「キャワーン!」
「うおッ……!?」
突然扉が開き何かがフィーレンの背中に激突した。振り向いて毛玉の塊――走り込んできたアルムを宥める。
「大丈夫か? 怖いなら戻ってもいいと思うぞ」
「こ、怖くないですよ! みんな平気そうだし自分だけ棄権とか男として恥ずかしいじゃないですか!」
そう話すアルムの声は震え尻尾は股の間に挟まっていた。フィーレンが気遣うのも構わずアルムは進み――彫刻の光る眼と響く笑い声に遭遇した。
「キャウーン!」
「何があるか分からない屋敷……か。そうか、つまり精神修行の場、だな?」
「そうかも!」
適当なヴィンツ・ラッテの返事に我が意を得たりとサマエラ=フォリウムは深く頷く。ならば、精神の成長を存分に楽しませてもらうとしよう。
屋敷の扉の前に立つサマエラは思考する。何があるかわからないとはいえ、ここの仕掛けを前触れなく受け止めた方が修行になるのではないだろうか。
――超聴覚、自己封印!
――暗視、自己封印!
「これでよし」
受け入れ態勢は整った。不意の刃が来ようがクリーパーの襲撃があろうが屋敷が崩れようが地に穴が空こうが恐れることはない。ヒールの準備も万端だ。
扉を開くと人形たちが出迎えた。このくらいなら問題ない。一階の扉を開けたサマエラは――弾丸のように飛んできたアルムに横から突撃された。
●セドラ・ギド 組
「一緒にいっていいんでしゅか……あっいえ、いいんですか!」
「構わない、一緒に回るのも面白そうだから」
乗り越えてきた冒険の気分転換というセドラ・メルディア、これも一つの芸術かと興味と好奇心を持ったギド・フェルミ。玄関ホールで出会った二人は一緒に二階へ。ギドは一階に仕掛けられた悪戯を純粋に楽しんだが、セドラは自分の想像力に恐怖心を煽られていた。
扉を開けると、そこは入り組んで配置された壁が迷路のような通路を作りだしていた。複雑に曲がった道の先は薄暗く見通しが悪い。
「色々試してみよう。気付かずに通り過ぎるのも失礼だもんな?」
探索することに自信はあるが、ギドはあえて意識せず進むことを選択していた。こういう遊びに持ち出すのはナンセンスだ。
「すべての仕掛けを体験してみたいですもんね……ひっ!?」
「冷たっ」
セドラとギドにひやりとしたものが触る。見ると両壁にいくつか穴が開き、そこから冷気の塊が押し出されたようだ。
「なるほど、背丈で当たりづらくなるのを数でカバーか」
「ゆ、ゆっくり行きましょう!」
慎重に進むセドラ、ギドは床に何かを見つける。丸いカーペットだ。
「ふ、踏んでみますね……ふああっ、わあっ!?」
カーペットが口を開けてセドラの足をぱくり。痛くはないが動けない、そこに水が飛んできて顔をびしょびしょにしていった。
「二段構えか」
「うう、冷たいです……」
●怖がり組と楽しむ人
「紋具の街で、紋具の出し物だなんて素敵な話じゃないか」
歌うように紡ぐテス・クラルスは期待に瞳を輝かせた。もし屋敷の中で自分の気を引くほどの素晴らしい紋具が見つかれば、惰眠ライフを抜け出せるかもしれない。仮装で着けた銀の狼耳をぴんと立てる。
「それにしてもイタズラ、だなんて可愛らしい。村のお子がよろこ……」
扉を開けたテスを、可愛らしい人形から不気味な人形までがおもてなしした。
「おこ、おここ……」
一階の扉を開く。薄暗い中で絵が、彫刻がテスのことを見ている。
「わ、私に脅かしなんて効かない……紋具は、紋具はどこに……」
勇気を絞り摺り足でテスは進む。心なしか狼耳は萎れ尻尾は丸まっていた。
「イタズラ屋敷だって? 面白いことするんだな」
だけれども俺は冒険者。無様に驚かされたりとかあるわけなーい、とアルマン・アルスターは余裕を滲ませた。
「まあでもほら。チャレンジしたいなぁ~って思ってるけどこここ怖くて無理とか言う人がいたら一緒に来たっていいんだからなって誰もいない!? どうして!?」
見回しても一人。案内をしていた青年すらいない。
「いやいや大丈夫だって! 怖かったら走り抜ければいい、大丈夫大丈夫……ぁ。ああ……」
深呼吸をし、励ましの言葉を贈って自分を落ち着かせる。その自分は屋敷の扉を開け、溶けかけクリーパーの人形と目が合った時点で急激に萎んでいった。
「大丈夫、俺は暗視も出来るし感覚もえいびッ!?」
その鋭敏な耳が擦れるような音を拾った。恐る恐る振り向くと――首が回転した彫像と目が合った。
「それでも怖いものは怖いイヤァァァァ!!」
「ひきゃぁあ!?」
テスは文字通り飛び上がり、体当たりで出口を抜けた。いまの悲鳴は何? だれか死んだ? こんな怖い所にはいられない!
「……待て」
玄関の扉に手をかけたテスにテスが声をかける。先に館から出ていた年端もない子たち(※テス基準)は平然としていた、それにリタイアすれば、あの青年も紋具を見て貰えずガッカリするかもしれない(※一階も紋具盛り沢山でした)。
「よし!」
テスは再び気合いを入れ直す。
「皆、楽しそうで何よりだわ!」
聞こえてきた悲鳴にアンネエルカはふわりと微笑む。イタズラ屋敷を思いきり満喫してくれているのだろう、それは大好きなヴェルクリエで育ち、フェスタ・ラスバブを心待ちにしていたアンネエルカにとっても嬉しい。
楽しみを抑えきれず、彼女は一番に屋敷へ飛び込み堪能していた。人形や絵画、彫刻をじっくり見て回り、仕掛けを見つけるたびに悲鳴を上げるのも楽しくて仕方がない。
「きゃー! 足を掴まれたわ、それに冷たい! 床もふにゃっとしたわ! あら、ここから暗くなるのね。後ろから音もするわ、誰かが走ってきてるのかしら?」
二階も終盤かという場所で、アンネエルカは青年のイタズラに出会った。彼女は目を輝かせながら感動を口にする。
「びっくりだわ……! すごいのね!」
そして彼女は考える。このドキドキを、お返ししてあげたい――
●ごちゃまぜ全部組!
「な、何か触った……!?」
「暗いからわかんねえな。あ、そっち」
「わぁあ! びっくりした……大丈夫だよシニングさん、ぼくが守るからね!」
シニングを後ろに進むバクルは、度重なる悪戯に緊張の糸を張り巡らせていた。対するシニングは仕掛けを看破しながら巧みにバクルを導く。
「そこ、何かいるぞ」
「え……あ、ひよこ……?」
進んだ先の壁に現れた丸々としたひよこ。バクルが手を伸ばすと、
「ぴよ」
「うわあ!?」
「おお」
増えた。ぽんぽんと凄まじいスピードで増えていき、あっという間にバクルとシニングの全身を覆ってしまった。
「ぴよよよよよよよよよ」
「シニングさんどこ!? 大丈夫?! わああっひよこ、ひよこがー!」
(幻覚か)
恐らく近付くと発動するタイプ。黄色い幻覚に包まれながら、シニングは薄暗い中で笑みを浮かべ、しばらく声を潜めることにした。
二階を進むのはサマエラ、アルム、フィーレンの三人。混乱するアルムをサマエラが宥めていたところ、フィーレンも合流していた。
「暗いな……っ寒」
「何だ、これくらいならへっちゃらですよ!」
「待て、そこに」
冷気は自前の毛が防いでくれた。アルムは意気揚々と歩きだし、カーペットに足を噛まれる。
「キャワ!」
「つ、冷たいぞアルム」
続け様の水に思わず硬直し、それからぶるぶると身を震わせて水を払う。思いきりかかったフィーレンは水を拭ったが、サマエラを見ると微動だにしていなかった。
「――ん?」
フィーレンは振り返る。誰もいない。そして視線を前に戻すと、進む先がぼんやりと霞み出した。よくよく目を凝らすと――壁と天井、床に目のようなものが生えていた。血走ったそれはぐりぐり動いている。不意にフィーレンの身体を半透明の影が通り抜けたのに思わず悲鳴を飲み込んだ。半透明は壁を出たり入ったりを繰り返し、心なしか赤く染まった通路はまるで地獄の入り口のようだった。
そして。
「やってくれ~た~わ~ね~~……」
こつ、こつと奥から足音が響く。長い髪を垂らした女が腕を伸ばして迫りくる――
「キャウーーン!!」
パニックになったアルムは止める間もなく全速力で駆けていった。お化けに扮したアンネエルカは顔を上げ、朗らかに微笑む。
「なんちゃって! どうかしら、私も驚きをプレゼントできたかしら……あら?」
「見事だった。どうした?」
「な、なんでもないよ。うん。……なかなか、面白いじゃないか」
口元を押さえながら深呼吸を繰り返すフィーレン。サマエラはやはり泰然自若としていた。
「暗くなりましたフェルミさん!」
「落ち着こう、特に何が来るわけでも……」
来る。後ろからぼんやりと光る何かが早足で近付いてくる。
「おいセドラクン……っ!?」
振り返ると下からランタンに照らされたセドラがいた。そして背後から何かがギドに衝突する。
「うおわーっ!」
「ヒィッ!? お、お化け!!!」
咄嗟にテスは杖を振り、周りへ浮かび上がらせた光の球を『おばけ』に向けて放とうとした。けれどそのまま光は消えてしまう。
「魔法が……幽霊に効かない……!?」
「もう怖いでしゅ!」
「ちょ、ちょっと落ち着けアンタら!」
駆けだすセドラとテスと追うギド、そして三人は地獄の入り口に辿り着いた。
「目! 目がっ!!」
「おばけ! やっぱりおばけだ!!」
「何かいるぞ!?」
「き~た~わ~ね~~」
前には髪の長い女がいた、そして後ろからは――
「イヤアアアアアアアアアお母さぁぁぁぁぁん!!!! 助けて無理ぃいいい!!!!」
髪も何もかも振り乱したアルマンが泣きながら全力疾走してきた。
「っあああ!!!」
「ふあああああ!!??」
「うおおおおおっ!!??」
――その後、アンネエルカに連れられ戻ってきたサマエラとフィーレンは死屍累々を発見する。ここでは惨劇が起きたようだった。
●お疲れ!
「ふはははっいやー良いモン見せてもらったよ」
笑うシニングにバクルは目を瞬かせる。ネタばらしを受けたバクルは安心して息を吐いた。
「怖いって言ってたの、嘘だったんだね。誘導されたなぁ……!」
「わりぃわりぃ、でもおかげで楽しめたぜ。ありがとな!」
「もう。楽しかったならいいけど!」
感想を交わしながら、バクルは屋敷の壁に『ドキドキの大冒険だったぞ』と足しておく。
「こういうのも、たまには面白いね。でもリトライは来年でいいかな……」
「ほら、行こうぜ。詫びと礼も兼ねて奢ってやるよ」
「うん!」
「うっぐ……ひっぐ……えっぐ……げふごふっ」
連鎖で膨れ上がった恐怖に出会った面々はひどい有様だった。アルマンは色々と垂らしながらヴィンツに抱き付き、耳も尻尾も縮こまったテスは『この屋敷……絶対幽霊が、幽霊が居るっ!』と壁に書き残し、恋人の名前を叫んで駆けていった。
セドラは震える手でなんとか羽の生えたカエルを、ギドは髪の長い人を描く手を止め『ドッキリはもうこりごりだぁ!』と小さく残し、アルムに至っては震えてペンも持てず尻尾をインクに浸して尻尾拓を描いていた。
「むり。もう無理ぃぃぃぃぃぃ……怖かった! 気合い入れすぎだよ……! 小さなお子様や、俺が泣いちゃうでしょ!」
「じゃあ次はキミが泣かない紋具を作るね!」
「えっあっ、よろしく頼むよ!?」
アルマンは色々をヴィンツの服で拭いた後、震える手で『怖かったよぉぉぉぉぉ……』と段々へろへろになる文字を残し、しばらく壁に縋りついて泣いていた。
「とっても楽しめたわ!」
お気に入りマークという星柄のモコモコをまとった羊のイラストを楽しそうにアンネエルカは描き、『楽しい夢をありがとう!』と最後に添えた。
「いや……うん、本当に個性的だな……」
これがヴェルクリエ……と感想を抱きながらフィーレンは壁に自分の手形をぺたり。その横に小さく文字を残した。
『やばいこのイタズラ屋敷やばい』
「修業は……達成、で良いのだろうか。その記念ということならば、何か壁に記すとしよう
」
悲喜こもごもを尻目にサマエラは悠然と壁へ。そして力強い字で『我が精神、ここに成熟せり』と壁の一部を堂々と飾った。
――彼女の去った場所には、こんな言葉も綴られていた。
『という姿勢を装うイタズラなつもりだったのだが、気付かれただろうか? ともあれ楽しい、良いアトラクションだった』
マスターコメント
ショートシナリオ易しい 報酬:少ない10 / 4〜10人
2020年11月04日 10時14分56秒 公開
相談掲示板
おお〜?色んな紋具があるんだね。 楽しみだ。 ふふん、脅かしなんて私には効かないよ?(効きます) 私はエルフのキャスター、テス・クラルス。 とりあえず1人での参加だよ。 よろしくね。
イタズラされにやってきたぞ! どうせ挑むならなら全部の仕掛けをコンプリートしてみたい、シーフのギドだ。 よろしく頼むねー。
No.3
アルマン・アルスターだよろしく。 はっはっはっは、どんなイタズラが用意されてるかはわからないが、俺には効かないぞおおお(フラグ) ま、気軽に行ってくるぜ! い、行ってくるからな! こここここここわかったら誰か一緒に来たっていいんだからな!(チラッチラッ
ゴブリン、サマエラだ。 こういうものは精神修行に良いと、どこかで聞いた。 様々仕掛けもありそうだが、既に精神が熟した者にとっては、余裕も見せられる程度のものなのか……。(効かないという方々を見やりつつ) なるほど。私もその域を目指そうと思う。よろしく頼む。
アルムです、よろしくおねがいします。 楽しい紋具と仰ってましたし、きっとそんなそれほど怖いものでは、大丈夫でしょう。……ですよね(尻尾を足の間に隠しながら)
セドラ・メルディアです。 よろしくお願いします。 少し怖いけど、ちょっと楽しみです。 ど、度胸が鍛えられそうですし(目が泳いでいる)
私はアンネエルカ、アンネって呼んでくれても大丈夫。 私、ヴァルクリエの出身なの。だから皆が街に来てくれてなんだか嬉しいわ。 もちろんイタズラ屋敷にもワクワクよ!全力で挑みたいわ!! 一人でも行くのも、誰かと一緒でも楽しそうだから迷っちゃうわよね。
っと、遅くなったな アタシはテュパラだ。よろしくな アタシもどんな仕掛けがあっか楽しみだぜ 何もなけりゃ一人で回るかなーって感じだが……そうだな あー、怖いなぁー、アタシ一人だと不安だなー(棒 誰かついてきてくんねぇかなぁ? (同行者がいたらその方を驚かす方に誘導したいと思います(
フィーレンだ。宜しく。 イタズラ屋敷ね…まあ、試させて貰おうかな。 建物に仕掛けられた紋具にも興味あるし。 1人でも問題ない。うん。 (Cにチャレンジ予定)
あ、おそくなっちゃったね。 ぼくはバクル・バスリーだよ。よろしくね。 >シニングさん あれ? 怖いなら一緒についていってあげるよ!(純真) ※もし良かったら、ガンガン驚かしてください
せっかくだし誰かと行くのも悪くないよな、誰か一緒に行くか? 特にいなかったら一人でCに挑戦するつもり。 屋内探索ならそこそこ自信あるしな、ドッキリなんかに絶対負けない!(フラグ)
お、バクルか。OK、一緒に行こうぜ 頼りにしてるかんなー?
No.13
俺の一応Cで行く予定だなー。 どれだけのものか見てやろうじゃないか。 ははははは。 ハハハハハハハハハハ(固い笑い声) 大丈夫絶対大丈夫。 怖くなったら走って逃げたらいい大丈夫ダイジョウブ(ぷるぷる (※唐突に走り出したり、状況によっては前や後ろのチーム等に泣きつく可能性がありますので、NGな方はお手数ですがお伝えください)
やべ、どこ行くか決めてなかった バクルどうする?B,C?
あ、そうだったわ。イタズラ具合も決めなきゃなのよね。 私もCに挑むつもりよ!折角だもの、やっぱり全力を楽しまなくっちゃ! ……実はね、仕掛け人を驚かせてみたくって。 顔が無く見えるように髪を前に降ろした状態で探検してみようと思ってるの! だからえっと、もし鉢合わせた時にビックリさせちゃったらごめんなさいね。 それでもよければ絡みとかは全然問題ないわ、むしろ歓迎なくらい。 ちょっと時間がギリギリになっちゃったけど、この相談場所も日付が変わるまで ちょこちょこ見てると思うから何かあったら気軽に声を掛けてくれたら嬉しいわ。 現地で皆に遭えるのも楽しみにしてるわね。
あっ、どこに行くか決めてなかったね。 じゃあBにしようか。
そうだ同じ建物の中だもんな、出会う可能性もあるわけか。 道中で会ったらよろしく頼むねー俺も絡みどんとこいだぜ! いやーまさかイタズラ人が増えるなんてそんなことあるわけないよなーハハハ。(なんでもいけます!)
私も、C予定にて。……そうか、内部での邂逅もあり得るのか。 では一層、何があっても良いように。心構えをしておこう。 (特にNGなく、何でも受け入れな姿勢で行きます)