【呪輪】命の輪、冥い棘

ウル・ヘルバ
目がちかちかするし、鼻が気持ちが悪い、気色わりぃ……。
グレイオンス
大森林の異変について、いくつか情報は集まってきたが……。それより、具合が悪いのか? 医者やヒーラーがいるか?
ウル・ヘルバ
質問多い……。具合は悪くねぇ。森が枯れた場所に漂ってるもののことだが、あれは霧じゃねぇよ。たぶん花粉か胞子だぞ。バンダナ巻いているとしても、吸ってること自体が気持ち悪ぃんだよ!
グレイオンス
なるほど……授恵者にはさほど悪影響はないと聞くが、非授恵者ではそうもいかないだろう。ともかく、今後の調査は森の奥に向けてということになるな。
フィルエス大森林南東部で、更なる調査が始まるようです――。
(8月17日より 【呪輪】連動シナリオ公開開始!)
フィルエス大森林の木々や他の植物が枯れる原因の調査が始まり、その結果はグレイオンスの下に集められていた。
被害範囲は概ね、大森林の南東部一帯である。
原因は不明のままだが、外部からやって来たドワーフやヒューマンが森を枯らしている可能性は考えなくて良いようだ。
枯死現象は大森林外縁部より内部の方が激しいため、そこに何かがあるのだろう。
森の奥地に進むにつれ、胞子と思われるものが多数ただよい、視界を遮る状況だという。
キノコの胞子にも、植物の花粉にも見えるが、それにしても異常だった。常に目に見えるほどそれらが漂っている状況は、グレイオンスをはじめエルフたちにとって異変以外の何物でもない。
メドゥの指先の幹部の目撃情報。
メドゥの指先の介入は枯死の原因に直結するか、その情報も不足している。
そもそも、彼らが大森林に現れたという事実そのものに、不穏な空気が漂う。
被害地域で目撃されていた不審人物の情報。
30年ほど前、とある氏族の集落で植物の研究をしていた人という情報が出ている。
情報提供者は氏族の名前を忘却しているということだが、その方向にある里は限られているため、確認すればいい。
その人物が枯死現象にかかわっているのかどうかは、わからない。
可能性は一つずつつぶすしかない。
今まで大森林では見られなかった、植物型の魔獣の存在。
これは複数の場所で発見されている。
大別すると、緑葉の植物の形とキノコの形のものだ。
「そういえば、ウル」
パンを茶と食べていたウル・ヘルバに、グレイオンスは声を掛ける。
グレイオンスは発言の続きは止める。ウルの狐耳がピコンと反応したのを見たので、彼がパンを飲み込むまで。
「例の胞子については、何かわかったか?」
報告書でも上がってきてはいる。その中では、冒険者たちの行動を阻害するほどの影響はないと感じられたとある。
「……気持ち悪りぃ……報告書でもあっただろ? あのまんま」
「毒性はないということか?」
「うーん、それはわからねぇ。俺たちは短期間しか現地に入ってねんだぞ? あくまでその時間は影響がなかったと書いてるし」
ウルが慎重に言う。
「近くの里のエルフは、元気がねぇ。そりゃ、漂う胞子で日差しも遮られているし、気分も良くねぇだろ」
グレイオンスが理解を示しうなずくとウルは続けた。
「胞子だろうが何だろうが、吸い込むのは俺にとっては気持ち悪いし、エルフも同じだろう?」
ウルが確認を取りながら話す。
「俺は被害地域に出たり入ったりできるから、常時吸い込んでねぇわけだ。あいつらは外に出ればずっと吸ってる。家の中にだって入り込んでないとは限らねぇ」
ウルたちは現地のエルフ全員を見てきていない。彼らの具合が悪いとしても、光が薄いし、気分が滅入るからその影響と考えてしまう可能性はある。
「それに、俺たちは授恵者であるってことだ。非授恵者には影響が強く出るかもしれねぇ」
グレイオンスがウルが慎重な点に納得した。
グレイオンスが渋面になる。
早く状況を解決しないと、被害は日々拡大していく。このままでは、誰も住めない森となりかねないということだ。
結論が出ない状況のため、詰めの調査が必要なことには変わりなかった。
●????
胞子が漂う森の中。フィルエス大森林の一角。
緑をまとっていた樹木は、腐樹とでもいうべきものに変貌している。
土を覆うものも、白や黄や様々な色合いの細かい綿毛のようなもの。
コケのように見えるけれども、異質な物。
甘ったるい独特な匂いが漂う世界。
外から来れば、それは森が腐る匂いだとわかるかもしれない。けれど、ここにいれば常にそれはある。
その中を歩くのは、人ではなかった。
見た目は植物であるけれども、動くそれら。
緑の茎に葉や花を持つ植物たち。
笠を持ったキノコたち。
そんなものが動いている。
のんびりと、動いているか否かわからないものもある。
その人は、動く植物たちの中に躊躇なく立っていた。
「皆元気ね? よかった」
フードの奥で暗く微笑む。
植物やキノコたちは喜び勇んでやってくる。
「メリデもピンジも元気にごはんを食べているかしら?」
根っこを器用に動かしメリデと呼ばれたものが動く。
キノコのような姿でピンジと呼ばれたものが動く。
「もっと、もっと強い子を育てないと。せっかく……そう、もう、二度と奪われはしない」
その人はうつむく。ローブのフードの下の顔は見えない。
「だから、もっと、もっと、もぉおおっと強い子を育てるの! ねぇ、ケアイデ、おいしいご飯を探しておいで」
大木のような緑色のそれは、うごめいた。
その人の言葉を理解しているかのように。
親の許可を得た子のように、里の外に向かっていく。
「そう……だ、我もでかけよう。せっかくの我が子を見せてあげないといけないから」
その人は決めた。
森の命もエルフもどうでもいい。
復讐は全く考えてはいない。
ただ単に、エルフたちと自分の望むものが異なるだけなのだ。
それが対立するならば、薙ぎ払ってでも進むしかない。
かつて、自分がされたことを考えれば。
その人にとって大切なのは、我が子である。自分の子を産み、育てる、それが望みだ。
何をしてでも我が子を守る。
だから、自分の邪魔をするエルフの命など、どうでもよかった。
執筆:狐野径
assignment【呪輪】命の輪、冥い棘 概要 特設ページ
【呪輪】命の輪、冥い棘連動とは、フィルエス大森林の南東部で発生した植物が枯れる現象を調査し、原因の排除を行う一連の出来事を指す。自然と共に生きるエルフにとって森の存在は必要不可欠である。生命の輪の正常に戻すため、大森林に住まうエルフの最古老の一人であるグレイオンスは、冒険者ギルドに協力を求めた。
assignmentここまでの流れ
フィルエス大森林の南東部で、次々と木や草が枯れる奇妙な現象が発生。被害は急速に拡大し、彼の地に長く住まうエルフたちの目から見てもその原因は不明である。現地のエルフたちは生活をおびやかされ、長年守り続けてきた里を捨てる選択を迫られている者たちもいる。グレイオンスは森が枯れる現象の原因を探るため、また、動揺する現地のエルフたちのケアを行うため、冒険者ギルドに依頼を出すことにした。
(8月16日追記)
調査の結果、大森林内部で異変が強く起こっていると確認された。なお、動く植物型の魔獣が多く見受けられるため、何らかの関連があるものと思われる。
person_pin関連NPC
フィルエス大森林のエルフの最古老の一人であり、まとめ役。部族間のもめごとなどが起きた際に調停にあたったり、他国や他種族に対してはフィルエス大森林を代表した立場で外交を行うこともある。
《本連動での動き》
原因究明、解決のための前線での情報集約および指揮を行う。異種族との交流が乏しく保守的なエルフたちをまとめ、彼らと冒険者たちの間に立つ。
様々な植物を見るために旅をしていたハーフビーストの授恵者。赤子の時に拾われてグレイオンスに預けられ、大森林のエルフの里で育てられた。故郷のエルフに恩義を感じているが、種族間において複雑な感情も持っている。
《本連動での動き》
冒険者とともに原因の究明および排除を行う。
白銀虎のハーフビースト、メドゥの指先の幹部『青の中指』。
片刃の特殊な剣を二刀流で操る他、握り手部以外は全て刃となっている巨大なブーメランによる遠隔攻撃を得意とする。
掴みどころが無く、いつも飄々としている。
《本連動での動き》
フィルエス大森林南東部で目撃された。現状のところ何を目的にしているかは不明。
リーンエス王国のとある貴族に秘密裏に雇われた道化師。言動が芝居がかっている。
魔獣使いの顔も持ち、メドゥの指先に属しているらしい。
《本連動での動き》
フィルエス大森林南東部で目撃された。現状のところ何を目的にしているかは不明。
menu_book関連用語・情報
フィルエス大森林
大陸西部に広がる大森林、エルフが住まう地。ここに住まうエルフたちの暮らしは、大森林に現れるクリーパーなどの『外敵』を鑑みても長く安定している。彼らにとってそれは、外部の種族や国家との交流を不要と判断するには十分な根拠となっていた。
気候は穏やかで、年中暖かく寒さに凍えることもない。常春の森というにふさわしい環境である。ほとんどの氏族で農耕や牧畜は行っておらず、自然の恵みの中で暮らしている。
フィルエス大森林のエルフ達
エルフとは、大陸各地の森の中で暮らし、その森における調和を保ちながら暮らす種族である。伝統や生活、価値観は異なっても自然を愛し、保守的。
他種族にはない長命性や美貌を誇るものの彼らに選民思想はなく、彼ら自身は"森"という複雑な生命体系に属する一因子、という姿勢が根本にあり、基本的には謙虚な種族である。
環境を破壊し収奪する各国家・都市やドワーフという種への軽蔑は長い歴史の中で綿々と形成され、特にフィルエス大森林においては一部の氏族を除いて他種族との交流が乏しい。歴史的に友好関係を築いてきたリザードマンくらいしか交流がないエルフも、大森林では多数を占める。
氏族について
フィルエス大森林のエルフ達は入植当時から存在する「五氏族」を源流とし、現在ではたくさんの氏族に分かれている。彼らの社会では、各氏族の長が合議によって意見を出し合い、ときに長老が助言を述べる。速断には向かないものの、もとより外部からの干渉を拒む同地域にとっては大きな支障を来たすことはなかったようだ。
各氏族の多くは、【ハイアルヴ】と呼ばれる霊的存在を頂いている。その姿や存在の描かれ方、受け入れられ方は氏族ごとに異なるが、【ハイアルヴ】と交感することができた者は『覡』・『巫女』として氏族の方針決定のキーパーソンとして扱われている。
胞子
フィルエス大森林の南東部、森の奥地に向かうと多く漂っている。現状、授恵者の行動を阻害するほどの悪影響はうかがえないが、大量に漂っているため、視界が悪くなり、太陽の光も届きにくなくなる。発生源は不明。
動く植物
フィルエス大森林の南東部、森の奥地に向かうと現れる魔獣。森が枯れ始める以前に大森林で見かけられたことはなく、未知の存在。
葉物の植物の姿をしているものと、キノコの形状をしたものが目撃されている。