帰郷は、祭りの調べに誘われ……?
菊華 伴
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シナリオID:3501
オープニング
●とある乙女の悩み事。
あるところに、エルフの乙女がおりました。
その乙女には将来を約束した相手が居ました。
その人を両親に紹介したいのですが、彼女にはなかなか踏み出せない事情がありました。
乙女はかつて、外の世界に憧れていました。
その中で巫女の徴が発現し、10年の約束で巫女を務めました。
しかし後継者は現れず、父親はあれこれと続投させようとします。
約束を破られそうになった乙女は父親と大喧嘩。
最期には母親の手を借り、故郷の里を出奔し憧れていた外の世界へ冒険に出ていたのです。
冒険の中で出会った、最愛の人。その人と結婚したいと両親に伝えたい。
けれど父親の事を考えると一歩が踏み出せない。
そんな折、故郷でお祭りが開かれる事を知りました。渡りに船だと思った乙女は、それに便乗し同行者を募る事にしたのです。
●護衛ついでの里帰り
「と、言うわけで、今回はサフィラ・アズラク・ナハルハルアリーブさんが、里帰りへの同行者を募っております」
とある冒険者ギルド。
サフィラと同種のギルド職員がリュートっぽい楽器片手にそう言った。
このギルド職員もサフィラの故郷に近い地域出身らしく、そのお祭りにも行ったことがあるらしい。なんでも、その時期は星の形に似た花々が見ごろであり、その頃に合わせてちょっとしたお祭りを開いているとの事だった。
「近隣の他の氏族もその花を見に来るんです。大道芸人が来たり、とっておきのお料理やお酒を振る舞ったり、歌ったり、踊ったりしますね」
その他にも周辺の氏族と民芸品のやり取りを行ったりもしているらしく、観光客だけでなく商人もそれを求めに向かう事もあるらしい。
この職員も里帰りをするつもりらしく、サフィラの故郷までは共に向かうらしい。また他にも数名の一般人が里帰りや観光等で向かうらしくその護衛を兼ねて、なのだそうな。
「サフィラさんとしては、お祭りを楽しんできてもいいそうですよ。まぁ、彼女自身は喧嘩別れした父親との和解が目的なんで、なんかこう励ますのもありかとは思います」
ギルド職員はそう言うと「よろしくおねがいします」と言ってぺこり、と頭を下げた。
●その頃、ナハルハルアリーブ氏族の里では
金の髪を編み上げたエルフの男性が、物凄く重い空気を背負って遠い場所を見ていた。
「……サフィラにはきちんと謝らなければならないんだが……、里帰りしてくれるか……」
一見頑固そうな美男子に見えるこの男性――アクバルはサフィラの父親で、実を言うと気弱である。
彼は掟や仕来りを重視していたが、それが故に、サフィラは家出をし、後悔していた。どうにか謝罪したい気持ちはあるようで、星に毎日娘の無事を祈っているようだ。
里の人々も、サフィラの家出に驚き、巫女として縛り付けてしまった事を申し訳なく思っている、という事もアクバルは知っており益々申し訳なく思っているようだ。
そんな彼の様子に、同じく金髪のサフィラによく似た女性――母親のシャフィーカはおっとりとした微笑みで肩を叩く。
「確かに蟠りがあるのはわかるわ。でも、二人できちんと話すことが、大切だとおもうのよ。……あの子もそれが分かっているから、大丈夫」
シャフィーカは時折娘と手紙のやり取りを行っていた。その為今回の里帰りも知っており、楽しみにしていた。
果たして、父と娘は和解できるのだろうか?
あるところに、エルフの乙女がおりました。
その乙女には将来を約束した相手が居ました。
その人を両親に紹介したいのですが、彼女にはなかなか踏み出せない事情がありました。
乙女はかつて、外の世界に憧れていました。
その中で巫女の徴が発現し、10年の約束で巫女を務めました。
しかし後継者は現れず、父親はあれこれと続投させようとします。
約束を破られそうになった乙女は父親と大喧嘩。
最期には母親の手を借り、故郷の里を出奔し憧れていた外の世界へ冒険に出ていたのです。
冒険の中で出会った、最愛の人。その人と結婚したいと両親に伝えたい。
けれど父親の事を考えると一歩が踏み出せない。
そんな折、故郷でお祭りが開かれる事を知りました。渡りに船だと思った乙女は、それに便乗し同行者を募る事にしたのです。
●護衛ついでの里帰り
「と、言うわけで、今回はサフィラ・アズラク・ナハルハルアリーブさんが、里帰りへの同行者を募っております」
とある冒険者ギルド。
サフィラと同種のギルド職員がリュートっぽい楽器片手にそう言った。
このギルド職員もサフィラの故郷に近い地域出身らしく、そのお祭りにも行ったことがあるらしい。なんでも、その時期は星の形に似た花々が見ごろであり、その頃に合わせてちょっとしたお祭りを開いているとの事だった。
「近隣の他の氏族もその花を見に来るんです。大道芸人が来たり、とっておきのお料理やお酒を振る舞ったり、歌ったり、踊ったりしますね」
その他にも周辺の氏族と民芸品のやり取りを行ったりもしているらしく、観光客だけでなく商人もそれを求めに向かう事もあるらしい。
この職員も里帰りをするつもりらしく、サフィラの故郷までは共に向かうらしい。また他にも数名の一般人が里帰りや観光等で向かうらしくその護衛を兼ねて、なのだそうな。
「サフィラさんとしては、お祭りを楽しんできてもいいそうですよ。まぁ、彼女自身は喧嘩別れした父親との和解が目的なんで、なんかこう励ますのもありかとは思います」
ギルド職員はそう言うと「よろしくおねがいします」と言ってぺこり、と頭を下げた。
●その頃、ナハルハルアリーブ氏族の里では
金の髪を編み上げたエルフの男性が、物凄く重い空気を背負って遠い場所を見ていた。
「……サフィラにはきちんと謝らなければならないんだが……、里帰りしてくれるか……」
一見頑固そうな美男子に見えるこの男性――アクバルはサフィラの父親で、実を言うと気弱である。
彼は掟や仕来りを重視していたが、それが故に、サフィラは家出をし、後悔していた。どうにか謝罪したい気持ちはあるようで、星に毎日娘の無事を祈っているようだ。
里の人々も、サフィラの家出に驚き、巫女として縛り付けてしまった事を申し訳なく思っている、という事もアクバルは知っており益々申し訳なく思っているようだ。
そんな彼の様子に、同じく金髪のサフィラによく似た女性――母親のシャフィーカはおっとりとした微笑みで肩を叩く。
「確かに蟠りがあるのはわかるわ。でも、二人できちんと話すことが、大切だとおもうのよ。……あの子もそれが分かっているから、大丈夫」
シャフィーカは時折娘と手紙のやり取りを行っていた。その為今回の里帰りも知っており、楽しみにしていた。
果たして、父と娘は和解できるのだろうか?
解説
今回は、サフィラさんの里帰りに同行し、ナハルハルアリーブ氏族の里で行われるお祭りを楽しむシナリオです。
彼女は『父親と大喧嘩して出奔』という過去故に里に一人で帰るのはちょっと心細いようで、同行者を募っております。それに偶然その祭りに行く為の護衛を募集していたギルド職員&一般人がいた為、護衛も兼ねる事になりました。
リプレイは、里に着いた所から始まります。
このシナリオではこんなことが出来ます。
>サフィラさんのご両親の元へ
喧嘩別れした父親との和解が目標です。実は気弱な父親は娘が無事に帰ってきたとなれば喜びますが、まだ怒っているのではないかとも考え複雑な心境を見せている状態です。なんか変な事をしなければ和解できると思われます。
母親はおっとり暖かく見守っていますので何かあれば相談に乗ってくれるかと思います。
>お祭りに行く
今、ナハルハルアリーブ氏族の里周辺では星の形をした花が沢山咲いています。この時期に合わせお祭りが開かれており、近隣の別の氏族の人や観光客もちらほら来ているようです。
料理やお酒が振る舞われているのでそれを食べに行ってもいいですし、花を見に行くのもいいでしょう。歌ったり踊ったりしている人たちに混ざるのもありです。
その他大道芸人が来て居たり、小規模ですが市がたっていたり。普段よりも賑やかな里を散策することが出来ます。
それではよろしくお願いします。
マスターより
里帰りと聞いて。
今回はほのぼの&ちょっとしんみりテイストになるかと思われます。
よろしくおねがいします。
リプレイ
●里帰り……なんだけど足が重いのは
星の形に似た花が、里周辺に咲き乱れていた。
ほんのり甘い香りがするような気がして、冒険者達を和ませる。ただ一人、里に戻ってきた乙女……の表情だけが曇っていた。
「凄く、足が重い」
「……まぁ、喧嘩して、飛び出してきちまったもんな」
「70年分の重みだよぉ」
「サフィラ……」
大きなため息を吐くのは、今回の依頼者であるサフィラ・アズラク・ナハルハルアリーブ。そんな彼女を支えるように、ハヤト=ガラン=ヴォルファングが隣を歩く。
彼は普段とは違うサフィラが気になり、〈洞察〉を使いながら彼女から話を聞いていたのである。
「まぁ、この際色々吐いちまいなよ。そしたら少しは心が軽くなるんじゃねぇか?」
「……そうだね。特にハヤトには話しておいた方がいいかもね」
ハヤトが優しい眼差しで心を支えるように言うと、サフィラは苦笑して過去の事を簡単に話始める。それを聞いた面々の反応は僅かに目を見開いたり、表情を曇らせたり、と様々だった。
「家出かぁ。……ん? 『家出した娘』が『旦那を連れて帰ってきた』ら……お父さん泣いちゃうんじゃ……」
と、ぽつりと漏らしたのはディレイン・オールドケイジ。ふと浮かんだ可能性に一同妙に神妙な顔つきになる。
その一方、コルネリウス・アーラはサフィラの話を聞き、なんだか他人のように思えなかった。というのも、彼女自身も冒険者になった際、父親に辛い言葉で当たって勢いのように家を飛び出してしまった経験があったからだ。
「でも、父さんはその後もいつでも快く迎えてくれました。毎日、私の無事を空に祈っていたそうですよ」
「……そう、なの?」
コルネリウスの話を聞き、サフィラは僅かに表情を明るくする。コルネリウスは、優しい笑みで1つ頷いた。
「後で尋ねてみたら、こう言っていました。『例え喧嘩をしても遠く離れても大切な娘を思う気持ちは、変わることは無い』と。……血の繋がらない私の父でもそうなんです。サフィラさんのお父様も同じかもしれませんよ?」
「だと、いいけれど……」
彼女の話に胸の中が暖かくなったサフィラだが、やっぱりまだ、ちょっと家に戻るのが怖い。コルネリウスは優しく笑い、ハヤトの手を借りていってらっしゃい、と背中を軽く押した。
(親子喧嘩か……)
傍らで様子を見ていたホムンクルスの青年、レピド・クロサイトはちょっと心配そうな顔で愛猫を抱えていた。
彼は親子喧嘩というものをした事がないが故、『どうサポートしたら良いか』わからなかった。それでも、何かいるだけでも力になれるならついていきたい。そう考えていた。
「確かに、『親父さんと喧嘩して飛び出して来た』ってのは気まずいんだろーけどよ、親父さんもきっとサフィラに会いたいと思ってると思うぜ?」
自分がついているから、今思っている事を素直に話してみてはどうだろうか。そう提案すると、サフィラは「そうだね!」と漸く前を向いた。
「よし! 入るぞ〜!」
サフィラは、自分の家のドアをノックし……「ただいま」と声をかけた。
「いってらっしゃい」
コルネリウスは、サフィラたちが家に入るのを見守ると、一足先に祭へと足を向けた。
●家族会議+娘婿(予定)と仲間達
「は~い」
ドアを開けようとしたら、既に開けられていた。現れたのはほのぼのとした雰囲気を纏った美女。サフィラとそっくりなのは母親だからだろう。サフィラが燦々とした陽光のような溌溂美女なら、母親は春の木漏れ日を思わせるおっとり美女だった。
「あら、サフィラ! 帰ってきてたのね〜!」
「お母さん……、相変わらずマイペースだね……」
サフィラは思わず苦笑する。どうやらこの女性がサフィラの母親、シャフィーカなのだろう。
何か言おうとしたサフィラだったが、その後ろに父親の姿を見て複雑な心境になる。というのも……一見頑固そうなエルフの美男子……に見える父親は、涙で目を潤ませていたからだ。
(えっ?! お父さん泣いてる……?)
驚きで言葉が詰まったサフィラの肩を、そっとハヤトが叩く。サフィラは「ありがと」と小さな声で礼を述べ、父親にも「ひさしぶり」と言った。
「お父さん、ただいま。家出して、70年も帰ってこなくてごめんなさい」
「サフィラ……、おかえり。帰ってきてくれたんだね」
頭を下げ、謝罪するサフィラ。父親は無事に娘が帰宅し、今にも嬉し泣きしそうな雰囲気だ。
(なんか、ちょっと肩の力抜けたかも……)
サフィラは、少し強張った身体から音もなく力が抜けるような気がした。
(……この調子なら、抉れなさそうか?)
レピドは、僅かに安堵の息を吐き……いつの間にかちょっと緊張していたことに驚いた。
「サフィラの母、シャフィーカと申します」
「サフィラの父、アクバルです。……お恥ずかしい所をお見せしました。どうぞ、こちらに」
サフィラの両親に促され、テーブルを囲むようにして椅子に座った一行。
ここで、アクバルはようやくサフィラに寄り添うようにいる青年――ハヤトに気付く。
「サフィラ、こちらの青年は誰だ……?」
「うんとね……。あたしの、大切な人」
サフィラはハヤトと頷き合い、彼は立ち上がる。
「ブレイブファング傭兵団という傭兵団を率いるハヤト=ガラン=ヴォルファングと申します。この度はお嬢様を妻に迎えたくご挨拶に参上仕りました」
と丁寧に挨拶し、渡しそびれてしまった手土産を渡す。シャフィーカは「あらぁ、ありがとうねぇ」と穏やかに受け取ったが、アクバルは顔が強張っていた。
「え? さ、サフィラ……結婚するのかい?」
「うん」
父親の問いに、サフィラは花が咲くような笑顔で頷く。
(やっぱり驚くよね……)
黙って見守っていたディレインは、アクバルの情緒が荒ぶった場合落ち着かせようと考え比較的近い場所に立つ。
「少し、あたしの話、聞いてくれる……?」
サフィラは、両親に今までの事を話して聞かせた。
冒険者になってからの日々を、そしてハヤトと出会い、共に冒険を重ねていくうちに想うようになり、共に人生を歩むパートナーとなりたいと考える仲となった、という事を。
ハヤト自身も歴戦の傭兵として堂々と振る舞い、冒険の話を経て、己の出自――自分がシャルガネ生まれでゴールディには母方の実家がある事、健在の両親が新生帝国軍の軍人に召し抱えられた事などを簡単に語った。
その間、サフィラはハヤトがゴブリンとハーフビーストの混血であることを理由に結婚を反対されないか不安を抱えていた。しかし、ハヤトの笑みと母親の様子に勇気を貰い、背筋を伸ばし、父親を見つめる。
そこにディレインもハヤトの友として、ハヤトがどれだけ強いか、彼がいかにサフィラを深く愛しているかを語って聞かせる。
(ハヤト君が他の女の人を追いかけがちなのは、黙っておいた方がよさそうだ)
内心で苦笑いもするが、他の面々は気付かない。
レピドはディレインの話を聞き、「凄いな」と漏らしたアクバルに対し頷いた。
「あぁ、ハヤトは凄いぞ、あのヨゼフにトドメを刺したくらいだ。そして、サフィラはもっと凄いぞ、組手ではハヤトに必ず勝っている」
「へっ?!」
レピドの言葉にアクバルが間の抜けた声を出し、ハヤトとサフィラがちょっと顔を赤くした。シャフィーカは「あら~」とのほほんとした声を出す。
「……何か、おかしなことを言ったか?」
「いや……。うん、何もおかしくないね」
不思議そうに首を傾げるレピドに、ディレインは苦笑して頷いた。
「ともかく、仲睦まじい二人だという事は保証するよ」
ディレインの言葉に、アクバルは静かに頷いた。
「サフィラは、とても素敵な人と仲間に出会い、成長したんだな……。やはり、古い仕来りに拘ってばかりでは、いけないな……」
アクバルは、静かに頷くとハヤトを見る。
「ハヤトさん」
「! はい」
「……娘を、末永くよろしくお願いします」
アクバルはそう言うと、深く頭を下げた。
どうやら、無事に許しをくれたらしい。シャフィーカは笑顔で二人を祝福した。サフィラとハヤトは顔を見合わせ、安堵し、微笑み合う。その様子みたレピドもまた幸せそうに目を細める。
「うんうん、どうやら無事にまとまったみたいだね」
ディレインがおめでとう、と拍手をすればハヤトもにっ、と笑う。
「ありがと、な。……あとでコルネリウスにもお礼を言わねぇとな」
「そう、だね!」
サフィラもこくん、と頷いた。
●忘れ物
「サフィラは、素敵な人に出会ったんだな……」
涙ぐみながらも、娘の幸せな様子に安堵するアクバル。そんな夫にお茶を注ぎながら、シャフィーカがぽつりと呟く。
「そういえば、あなた、サフィラに謝罪したかったんじゃないかしら?」
「……あぁ、そうだった!」
サフィラの結婚話で、大事なことを忘れていた……と、アクバルは彼女の後を追いかけた。
「サフィラ!」
急に駆けてきたアクバルに、サフィラは目を丸くする。結婚の話だったら無事に収まった筈ではないだろうか? ハヤトが不思議に思いサフィラの前に出ようとしたが、彼女は「まって」と手を出す。
「お父さん、どうしたの?」
「いや、大事なことを忘れていたんだ」
娘の問いに、アクバルは息を整え、頭を下げた。
「約束を破ろうとして、すまなかった」
「それって……」
サフィラは、思い出したように笑い……「もういいよ」と父親に顔を上げさせる。ハヤトが振り返ると、レピドとディレインが安堵の笑みで頷き、漸く全て綺麗に収まった気がした。
サフィラたちの背中を見送った彼女は、一先ず里に咲く星のような花を見ていた。青みがかった白や淡い黄色、桃色など様々な色の花が咲いており、さながら『星の花畑』のように見えた。
他の地域では咲かないのだろうか、と里の者に聞くと、大体この辺りでだけ咲いているらしく他の地域では見かけたことが無いという。
(どういう仕組みなのでしょう?)
不思議に思いながら、記憶に残そうとよく観察する。
そうしているうちに、甘い香りが鼻を擽った。思わずくしゃみしそうになったが、それもまた思い出になるだろう。
暫く周辺を散策し、花をめでたりしていたコルネリウスは祭の音色に惹かれてサフィラの家近くまで戻ってきていた。
「あら?」
コルネリウスが顔を上げると、サフィラたちが笑顔で出迎える。そして、サフィラと同じ肌の色をした、金髪のエルフに気付いた。
(もしかして、サフィラさんのお父さん?)
ふと、彼女は、その金髪のエルフ……サフィラの父と目が合った。
「コルネリウスちゃん、紹介するね! 私のお父さんだよ!」
サフィラは、にっこりと笑い、父アクバルは穏やかな笑みで一礼した。
(よかったですね、サフィラさん)
コルネリウスは、サフィラと父親が和解したことを喜びながら、微笑んだ。
●改めて、お祭りへ
「二人とも、うまくいったみたいね。おめでとう」
「いや、お礼を言うのはこっちだ」
コルネリウスと合流したハヤトは、サフィラ共々真っ先に礼を述べる。
「改めて、お祭りを楽しもうか! 賑やかな音楽も聞こえてくるし」
ディレインがそう言えば、レピドも愛猫のショウガを撫でながら頷いた。
里の中心部付近にステージが作られ、幾人もの里の子ども達が笛や太鼓、鈴の音に合わせ踊っていた。演奏者の中にレピドは混じり、この里の祭独特の旋律を学ぼうとしている。
(不思議な旋律だ。しかし、暖かい)
胸の中を優しい何かが満たしていくような音色に、レピドは小さく微笑んだ。
客席にはコルネリウスとサフィラ、ディレインがいる。彼らも楽しんでいるようで、レピドの表情も柔らかくなった。
子ども達の踊りが終わり、拍手がおこる。そして、曲は先ほどの賑やかな物から力強い物へと変わる。ステージに上がったのは、ハヤト。彼は傭兵としての戦いぶりを演舞で表現しようと考えたらしい。力強い舞に、観客達も盛り上がる。
(なるほど)
演奏を続けながら、レピドは彼の動きを見る。そして、サフィラがきらきらした目でハヤトを見つめていることに気付いた。
レピドは、『結婚』を『とても仲良しな二人が一生一緒にいると約束する事』とギルドで習い、そう認識している。
いつまでも、二人が仲良く暮らせるように、と彼は祈りながら笛を奏でた。
演奏が終わると、ハヤトはお礼を兼ねて料理を奢ることにした。
祭で振る舞われた料理の他、屋台で買ってきた軽食や甘い菓子などが目の前に並び、ディレインが「これはまた豪勢だね」と息をのむ。
「まぁ、みんながサフィラの為に付き添ってくれたこと、感謝してるんだよ」
ハヤトが少し照れたようにいい、サフィラがくすぐったそうに笑う。彼女は一人一人の目を見、「故郷まで付き添ってくれた、本当にありがとう」と頭を下げた。
「うまくいって、よかった」
レピドはそういい、「だよな?」と言って愛猫と頷き合う。
「最初はどうなるかと思ったけど、思いのほか自然とうまくいった気がするよ」
ディレインがやんわりと微笑みながら相槌を打つ。
「それで……、どんな事を話したのですか?」
コルネリウスが問いかければ、サフィラ達はことの顛末を簡単に話す。改めて報告を受け、彼女は安堵の息を吐いた。
「ほら、いった通りでしたよね? 無事に解決できてよかったです」
サフィラは改めて「ありがとう」と笑みを返した。
食事を終えれば、ゆっくりと祭で賑わう里を歩くことに。
里の中にも星型の花は咲いており、それを見ながら、コルネリウスはふと、養父の事を思う。
(王国で暮らすようになれば、きっと私はこれからあまり実家に帰ることが出来なくなりますね)
仕事で何度も顔を合わせているが、父親の顔が恋しくなった。コルネリウスは苦笑しつつも、思う。
(今のうちに、家族に会いに行きましょうか……)
その時に、土産話が沢山出来るといいな、と彼女は瞳を細めた。
「あっちには市もあるみたいだな」
「じゃあ、寄ってみようか」
ハヤトの言葉にディレインが頷き、早速その1つを覗いてみる。彼は思い出に残るような物を買うのもいいだろう、と考えたようだ。
彼はコルネリウスには花の意匠が付いた髪飾りを、レピドには愛猫の布団になるようなハンカチを選ぶ。そして……。
(今まで頭の中に入れてた診療記録を、これからは文字に残していかないと……)
と、ペンを選ぶ。彼は「旅先で手紙も書きたいし」と小さく微笑んだ。
ふと顔を上げれば、複数の里の者がサフィラとの再会を喜び、彼女も蟠りなく懐かしそうに会話する。
本当に、うまくいって良かった、とディレインはそっと瞳を細め、頷いた。
サフィラは里の仲間たちから「いい仲間に出会えてよかった」と彼女の幸いを喜ぶ。サフィラは「えへへ……」と、幸せに満ちた笑みで頷いた。
「本当にいい友達と、旦那さんに出会えて幸せだよっ!」
(終)
星の形に似た花が、里周辺に咲き乱れていた。
ほんのり甘い香りがするような気がして、冒険者達を和ませる。ただ一人、里に戻ってきた乙女……の表情だけが曇っていた。
「凄く、足が重い」
「……まぁ、喧嘩して、飛び出してきちまったもんな」
「70年分の重みだよぉ」
「サフィラ……」
大きなため息を吐くのは、今回の依頼者であるサフィラ・アズラク・ナハルハルアリーブ。そんな彼女を支えるように、ハヤト=ガラン=ヴォルファングが隣を歩く。
彼は普段とは違うサフィラが気になり、〈洞察〉を使いながら彼女から話を聞いていたのである。
「まぁ、この際色々吐いちまいなよ。そしたら少しは心が軽くなるんじゃねぇか?」
「……そうだね。特にハヤトには話しておいた方がいいかもね」
ハヤトが優しい眼差しで心を支えるように言うと、サフィラは苦笑して過去の事を簡単に話始める。それを聞いた面々の反応は僅かに目を見開いたり、表情を曇らせたり、と様々だった。
「家出かぁ。……ん? 『家出した娘』が『旦那を連れて帰ってきた』ら……お父さん泣いちゃうんじゃ……」
と、ぽつりと漏らしたのはディレイン・オールドケイジ。ふと浮かんだ可能性に一同妙に神妙な顔つきになる。
その一方、コルネリウス・アーラはサフィラの話を聞き、なんだか他人のように思えなかった。というのも、彼女自身も冒険者になった際、父親に辛い言葉で当たって勢いのように家を飛び出してしまった経験があったからだ。
「でも、父さんはその後もいつでも快く迎えてくれました。毎日、私の無事を空に祈っていたそうですよ」
「……そう、なの?」
コルネリウスの話を聞き、サフィラは僅かに表情を明るくする。コルネリウスは、優しい笑みで1つ頷いた。
「後で尋ねてみたら、こう言っていました。『例え喧嘩をしても遠く離れても大切な娘を思う気持ちは、変わることは無い』と。……血の繋がらない私の父でもそうなんです。サフィラさんのお父様も同じかもしれませんよ?」
「だと、いいけれど……」
彼女の話に胸の中が暖かくなったサフィラだが、やっぱりまだ、ちょっと家に戻るのが怖い。コルネリウスは優しく笑い、ハヤトの手を借りていってらっしゃい、と背中を軽く押した。
(親子喧嘩か……)
傍らで様子を見ていたホムンクルスの青年、レピド・クロサイトはちょっと心配そうな顔で愛猫を抱えていた。
彼は親子喧嘩というものをした事がないが故、『どうサポートしたら良いか』わからなかった。それでも、何かいるだけでも力になれるならついていきたい。そう考えていた。
「確かに、『親父さんと喧嘩して飛び出して来た』ってのは気まずいんだろーけどよ、親父さんもきっとサフィラに会いたいと思ってると思うぜ?」
自分がついているから、今思っている事を素直に話してみてはどうだろうか。そう提案すると、サフィラは「そうだね!」と漸く前を向いた。
「よし! 入るぞ〜!」
サフィラは、自分の家のドアをノックし……「ただいま」と声をかけた。
「いってらっしゃい」
コルネリウスは、サフィラたちが家に入るのを見守ると、一足先に祭へと足を向けた。
●家族会議+娘婿(予定)と仲間達
「は~い」
ドアを開けようとしたら、既に開けられていた。現れたのはほのぼのとした雰囲気を纏った美女。サフィラとそっくりなのは母親だからだろう。サフィラが燦々とした陽光のような溌溂美女なら、母親は春の木漏れ日を思わせるおっとり美女だった。
「あら、サフィラ! 帰ってきてたのね〜!」
「お母さん……、相変わらずマイペースだね……」
サフィラは思わず苦笑する。どうやらこの女性がサフィラの母親、シャフィーカなのだろう。
何か言おうとしたサフィラだったが、その後ろに父親の姿を見て複雑な心境になる。というのも……一見頑固そうなエルフの美男子……に見える父親は、涙で目を潤ませていたからだ。
(えっ?! お父さん泣いてる……?)
驚きで言葉が詰まったサフィラの肩を、そっとハヤトが叩く。サフィラは「ありがと」と小さな声で礼を述べ、父親にも「ひさしぶり」と言った。
「お父さん、ただいま。家出して、70年も帰ってこなくてごめんなさい」
「サフィラ……、おかえり。帰ってきてくれたんだね」
頭を下げ、謝罪するサフィラ。父親は無事に娘が帰宅し、今にも嬉し泣きしそうな雰囲気だ。
(なんか、ちょっと肩の力抜けたかも……)
サフィラは、少し強張った身体から音もなく力が抜けるような気がした。
(……この調子なら、抉れなさそうか?)
レピドは、僅かに安堵の息を吐き……いつの間にかちょっと緊張していたことに驚いた。
「サフィラの母、シャフィーカと申します」
「サフィラの父、アクバルです。……お恥ずかしい所をお見せしました。どうぞ、こちらに」
サフィラの両親に促され、テーブルを囲むようにして椅子に座った一行。
ここで、アクバルはようやくサフィラに寄り添うようにいる青年――ハヤトに気付く。
「サフィラ、こちらの青年は誰だ……?」
「うんとね……。あたしの、大切な人」
サフィラはハヤトと頷き合い、彼は立ち上がる。
「ブレイブファング傭兵団という傭兵団を率いるハヤト=ガラン=ヴォルファングと申します。この度はお嬢様を妻に迎えたくご挨拶に参上仕りました」
と丁寧に挨拶し、渡しそびれてしまった手土産を渡す。シャフィーカは「あらぁ、ありがとうねぇ」と穏やかに受け取ったが、アクバルは顔が強張っていた。
「え? さ、サフィラ……結婚するのかい?」
「うん」
父親の問いに、サフィラは花が咲くような笑顔で頷く。
(やっぱり驚くよね……)
黙って見守っていたディレインは、アクバルの情緒が荒ぶった場合落ち着かせようと考え比較的近い場所に立つ。
「少し、あたしの話、聞いてくれる……?」
サフィラは、両親に今までの事を話して聞かせた。
冒険者になってからの日々を、そしてハヤトと出会い、共に冒険を重ねていくうちに想うようになり、共に人生を歩むパートナーとなりたいと考える仲となった、という事を。
ハヤト自身も歴戦の傭兵として堂々と振る舞い、冒険の話を経て、己の出自――自分がシャルガネ生まれでゴールディには母方の実家がある事、健在の両親が新生帝国軍の軍人に召し抱えられた事などを簡単に語った。
その間、サフィラはハヤトがゴブリンとハーフビーストの混血であることを理由に結婚を反対されないか不安を抱えていた。しかし、ハヤトの笑みと母親の様子に勇気を貰い、背筋を伸ばし、父親を見つめる。
そこにディレインもハヤトの友として、ハヤトがどれだけ強いか、彼がいかにサフィラを深く愛しているかを語って聞かせる。
(ハヤト君が他の女の人を追いかけがちなのは、黙っておいた方がよさそうだ)
内心で苦笑いもするが、他の面々は気付かない。
レピドはディレインの話を聞き、「凄いな」と漏らしたアクバルに対し頷いた。
「あぁ、ハヤトは凄いぞ、あのヨゼフにトドメを刺したくらいだ。そして、サフィラはもっと凄いぞ、組手ではハヤトに必ず勝っている」
「へっ?!」
レピドの言葉にアクバルが間の抜けた声を出し、ハヤトとサフィラがちょっと顔を赤くした。シャフィーカは「あら~」とのほほんとした声を出す。
「……何か、おかしなことを言ったか?」
「いや……。うん、何もおかしくないね」
不思議そうに首を傾げるレピドに、ディレインは苦笑して頷いた。
「ともかく、仲睦まじい二人だという事は保証するよ」
ディレインの言葉に、アクバルは静かに頷いた。
「サフィラは、とても素敵な人と仲間に出会い、成長したんだな……。やはり、古い仕来りに拘ってばかりでは、いけないな……」
アクバルは、静かに頷くとハヤトを見る。
「ハヤトさん」
「! はい」
「……娘を、末永くよろしくお願いします」
アクバルはそう言うと、深く頭を下げた。
どうやら、無事に許しをくれたらしい。シャフィーカは笑顔で二人を祝福した。サフィラとハヤトは顔を見合わせ、安堵し、微笑み合う。その様子みたレピドもまた幸せそうに目を細める。
「うんうん、どうやら無事にまとまったみたいだね」
ディレインがおめでとう、と拍手をすればハヤトもにっ、と笑う。
「ありがと、な。……あとでコルネリウスにもお礼を言わねぇとな」
「そう、だね!」
サフィラもこくん、と頷いた。
●忘れ物
「サフィラは、素敵な人に出会ったんだな……」
涙ぐみながらも、娘の幸せな様子に安堵するアクバル。そんな夫にお茶を注ぎながら、シャフィーカがぽつりと呟く。
「そういえば、あなた、サフィラに謝罪したかったんじゃないかしら?」
「……あぁ、そうだった!」
サフィラの結婚話で、大事なことを忘れていた……と、アクバルは彼女の後を追いかけた。
「サフィラ!」
急に駆けてきたアクバルに、サフィラは目を丸くする。結婚の話だったら無事に収まった筈ではないだろうか? ハヤトが不思議に思いサフィラの前に出ようとしたが、彼女は「まって」と手を出す。
「お父さん、どうしたの?」
「いや、大事なことを忘れていたんだ」
娘の問いに、アクバルは息を整え、頭を下げた。
「約束を破ろうとして、すまなかった」
「それって……」
サフィラは、思い出したように笑い……「もういいよ」と父親に顔を上げさせる。ハヤトが振り返ると、レピドとディレインが安堵の笑みで頷き、漸く全て綺麗に収まった気がした。
サフィラたちの背中を見送った彼女は、一先ず里に咲く星のような花を見ていた。青みがかった白や淡い黄色、桃色など様々な色の花が咲いており、さながら『星の花畑』のように見えた。
他の地域では咲かないのだろうか、と里の者に聞くと、大体この辺りでだけ咲いているらしく他の地域では見かけたことが無いという。
(どういう仕組みなのでしょう?)
不思議に思いながら、記憶に残そうとよく観察する。
そうしているうちに、甘い香りが鼻を擽った。思わずくしゃみしそうになったが、それもまた思い出になるだろう。
暫く周辺を散策し、花をめでたりしていたコルネリウスは祭の音色に惹かれてサフィラの家近くまで戻ってきていた。
「あら?」
コルネリウスが顔を上げると、サフィラたちが笑顔で出迎える。そして、サフィラと同じ肌の色をした、金髪のエルフに気付いた。
(もしかして、サフィラさんのお父さん?)
ふと、彼女は、その金髪のエルフ……サフィラの父と目が合った。
「コルネリウスちゃん、紹介するね! 私のお父さんだよ!」
サフィラは、にっこりと笑い、父アクバルは穏やかな笑みで一礼した。
(よかったですね、サフィラさん)
コルネリウスは、サフィラと父親が和解したことを喜びながら、微笑んだ。
●改めて、お祭りへ
「二人とも、うまくいったみたいね。おめでとう」
「いや、お礼を言うのはこっちだ」
コルネリウスと合流したハヤトは、サフィラ共々真っ先に礼を述べる。
「改めて、お祭りを楽しもうか! 賑やかな音楽も聞こえてくるし」
ディレインがそう言えば、レピドも愛猫のショウガを撫でながら頷いた。
里の中心部付近にステージが作られ、幾人もの里の子ども達が笛や太鼓、鈴の音に合わせ踊っていた。演奏者の中にレピドは混じり、この里の祭独特の旋律を学ぼうとしている。
(不思議な旋律だ。しかし、暖かい)
胸の中を優しい何かが満たしていくような音色に、レピドは小さく微笑んだ。
客席にはコルネリウスとサフィラ、ディレインがいる。彼らも楽しんでいるようで、レピドの表情も柔らかくなった。
子ども達の踊りが終わり、拍手がおこる。そして、曲は先ほどの賑やかな物から力強い物へと変わる。ステージに上がったのは、ハヤト。彼は傭兵としての戦いぶりを演舞で表現しようと考えたらしい。力強い舞に、観客達も盛り上がる。
(なるほど)
演奏を続けながら、レピドは彼の動きを見る。そして、サフィラがきらきらした目でハヤトを見つめていることに気付いた。
レピドは、『結婚』を『とても仲良しな二人が一生一緒にいると約束する事』とギルドで習い、そう認識している。
いつまでも、二人が仲良く暮らせるように、と彼は祈りながら笛を奏でた。
演奏が終わると、ハヤトはお礼を兼ねて料理を奢ることにした。
祭で振る舞われた料理の他、屋台で買ってきた軽食や甘い菓子などが目の前に並び、ディレインが「これはまた豪勢だね」と息をのむ。
「まぁ、みんながサフィラの為に付き添ってくれたこと、感謝してるんだよ」
ハヤトが少し照れたようにいい、サフィラがくすぐったそうに笑う。彼女は一人一人の目を見、「故郷まで付き添ってくれた、本当にありがとう」と頭を下げた。
「うまくいって、よかった」
レピドはそういい、「だよな?」と言って愛猫と頷き合う。
「最初はどうなるかと思ったけど、思いのほか自然とうまくいった気がするよ」
ディレインがやんわりと微笑みながら相槌を打つ。
「それで……、どんな事を話したのですか?」
コルネリウスが問いかければ、サフィラ達はことの顛末を簡単に話す。改めて報告を受け、彼女は安堵の息を吐いた。
「ほら、いった通りでしたよね? 無事に解決できてよかったです」
サフィラは改めて「ありがとう」と笑みを返した。
食事を終えれば、ゆっくりと祭で賑わう里を歩くことに。
里の中にも星型の花は咲いており、それを見ながら、コルネリウスはふと、養父の事を思う。
(王国で暮らすようになれば、きっと私はこれからあまり実家に帰ることが出来なくなりますね)
仕事で何度も顔を合わせているが、父親の顔が恋しくなった。コルネリウスは苦笑しつつも、思う。
(今のうちに、家族に会いに行きましょうか……)
その時に、土産話が沢山出来るといいな、と彼女は瞳を細めた。
「あっちには市もあるみたいだな」
「じゃあ、寄ってみようか」
ハヤトの言葉にディレインが頷き、早速その1つを覗いてみる。彼は思い出に残るような物を買うのもいいだろう、と考えたようだ。
彼はコルネリウスには花の意匠が付いた髪飾りを、レピドには愛猫の布団になるようなハンカチを選ぶ。そして……。
(今まで頭の中に入れてた診療記録を、これからは文字に残していかないと……)
と、ペンを選ぶ。彼は「旅先で手紙も書きたいし」と小さく微笑んだ。
ふと顔を上げれば、複数の里の者がサフィラとの再会を喜び、彼女も蟠りなく懐かしそうに会話する。
本当に、うまくいって良かった、とディレインはそっと瞳を細め、頷いた。
サフィラは里の仲間たちから「いい仲間に出会えてよかった」と彼女の幸いを喜ぶ。サフィラは「えへへ……」と、幸せに満ちた笑みで頷いた。
「本当にいい友達と、旦那さんに出会えて幸せだよっ!」
(終)
マスターコメント
こんにちは。菊華です。
この度は、サフィラさん、ハヤトさんおめでとうございます。
そして、里帰りのリプレイ、少々お待たせして申し訳ありません。
今回はほのぼの里帰りということで、アットホームな雰囲気で書かせていただきました。皆様のプレイングに温かな物をいただき、私もほっこりしました。
MVPは迷いまして、なし。ちなみに文句なしの大成功となっております。
それでは、この辺りで。
これにて、『アニエピカ』では最後の執筆となります。
どこかで縁がありましたら宜しくお願いします。
菊華 伴
ショートシナリオR普通 報酬:少ない5 / 4〜8人
2024年04月13日 13時16分50秒 公開
大成功
相談掲示板
にゃ!サフィラだよっ! 今日は集まってくれてありがと! この時期は花も綺麗でお祭りで賑やかになるから、みんな楽しんで行ってね! あたしは…はぁ…気が重いけど お父さんと話つけてこなきゃ…(しわしわ)
ディレインおじさんですよ、っと。 サフィラちゃんは頑張ってね! …まあ、お父さんは帰郷を喜んでくれるんじゃないかなあ。多分だけど。 お祭りはみんなで楽しめるといいよね。
コルネリウスです、よろしくお願いします。 星の形をした花がとっても気になります! サフィラさんがお父様とお話できるよう、少しだけお手伝いできたらいいな、って思っています。