花鳥園でそれぞれのひとときを
岩岡志摩
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シナリオID:3487
オープニング
●花鳥園
エラトゥーン都市同盟に属する都市ベールコートは、都市同盟の南東に位置する。
比較的温暖な土地とされるこの都市は特産品である「百合茶」を大陸各地に輸出しており、住民の暮らしはとても穏やかで安定している。
そのような都市ベールコートの一角に、コルネリウス・アーラが経営する花鳥園は存在する。
この花鳥園には様々な季節の花やハーブが植えられており、様々な手段を駆使して可能な限り適温を保つことができるようにした温室、そして外の庭園に分けられている。
元々この花鳥園はフェアロス・アーラ・アスプロスという人物が管理を手掛けていたが、コルネリウスが冒険者になったとき、その家族にあたるフェアロスは花鳥園の管理や経営といった全てをコルネリウスに譲渡し、今に至る。
そのコルネリウスも最近はパンクリアース学園の学生寮に住んでいるため、花鳥園の管理を信頼できる人物に任せていた。
そのような経緯のある花鳥園を、今回コルネリウスは訪れるつもりでいる。
●依頼要素追加
コルネリウスが冒険者ギルド支部を訪れ、ベールコートにある自身の花鳥園に向かう旨を伝えたところで事態は動く。
応対した冒険者ギルド支部職員アルヒ・ラスカスは、コルネリウスの話を聞いて何か思い当たるものがあったようだ。
コルネリウスに断りを入れてからアルヒは一度奥に引っ込み、引っ張り出してきた資料の中身を確認していく。
そして資料から顔をあげたアルヒは、コルネリウスにある話を持ちかける。
「ちょうどベールコートに向かう人が、現地までの護衛を募っている」
依頼人との話を詰める必要はあるものの、条件が合うならベールコートまで依頼人を護送した後、コルネリウスや依頼に応じた冒険者達が花鳥園に向かう形にもできるとアルヒは提案した。
メリットとしては、今回コルネリウスや依頼に応じた冒険者達がベールコートに到着するまでの間、護衛の役目を全うできればその後花鳥園でどのように過ごしても問題ないこと。
そして報酬が支払われることだ。
アルヒからの提案に対し、コルネリウスは少し思案してから「お願いします」と承諾の意を返した。
「承知した。今から話をまとめてくる」
アルヒはコルネリウスの意向を確認した後、今回ベールコートに向かう依頼人のもとへ向かう。
その後アルヒから連絡を受けたコルネリウスは再び冒険者ギルド支部に足を運び、アルヒから必要な情報を得る。
今回護衛依頼を持ち込んだ依頼人はパイスという名で、主に香辛料を取り扱う商人として各地を渡り歩いているという。
パイス当人はエラトゥーン都市同盟に属する都市の出身なので、ベールコートは通い慣れた場所でもあるが、道中の護衛は必要だと考え今回の依頼を持ち込んだようだ。
「パイス氏から承諾を得ることができた。ベールコートについた時点で報酬を支払うから、その後ならどう動いても問題ないと確約も得ている」
パイス自身は到着後もやることがあるので、ベールコートへの到着をもって依頼を完了扱いにするつもりでいるようだ。
「報酬以外にも百合茶とシフォンケーキを用意するから、受け取ってほしいと言っていた」
百合茶はベールコートの特産品にあたる。
アルヒの説明では、シフォンケーキも百合茶と同じくパイス氏が自身の商売を通じて手に入れたものらしい。
「受け取るか否かの判断は任せる」
アルヒは無理強いすることなく、1つの資料をコルネリウスに見せる。
資料には、今回の護衛依頼に関する情報が一通り記載されていた。
「この内容でよければ、このまま依頼の斡旋に移る。それでいいか?」
アルヒから資料を受け取ったコルネリウスはその中身を確認し始める。
一通り内容を確認したコルネリウスは、アルヒにこう言った。
「追加で1人、同行してもらいたい人がいるのですがよろしいでしょうか?」
「依頼自体に支障がなければ誰を呼んでも大丈夫だ。パイス氏からそう聞いている」
アルヒからの答えを聞いたコルネリウスは、追加で同行を希望する人物としてフェアロス・アーラ・アスプロスの名を挙げる。
その後もコルネリウスとアルヒ、そしてアルヒから連絡を受けて駆け付けたパイス氏も含めて話し合いが行われ、互いに条件をすり合わせたうえでベールコートへ向かう依頼が斡旋された。
●やること
今回皆様は護衛という名目で出された依頼に応じ、依頼人と共にエラトゥーン都市同盟に属する都市ベールコートまでやってきました。
無事到着したことで護衛依頼の方は完了扱いとなりました。
今回の報酬は達成した護衛依頼に対するものになり、追加報酬として依頼人側から百合茶やシフォンケーキも渡されています。
そして皆様は依頼人と別れた後、花鳥園に到着しています。
この花鳥園は温室と庭園で構成され、いずれの場所でも多種多様な花々やハーブが植えられています。
花鳥園の温室内では小鳥が多数飛び交い、咲き誇る様々な花々が皆様を迎えてくれます。
外の庭園でも花々やハーブが各所に植えられていて、訪れる人の目を楽しませてくれます。
なお庭園には皆様の他にも雄の孔雀が動き回っていますが、管理者によるとこの孔雀は凶暴な性格の持ち主とのことなので、接する場合は注意が必要とのことです。
なおこの花鳥園内は小鳥がいるため猫の同伴はNGですが、花鳥園に隣接する居住コテージ内で遊ばせることはできます。
温室と庭園内にはそれぞれ複数の人たちが寛ぎ、飲食を楽しむことができるよう複数のテーブルや椅子が用意されています。
この花鳥園内で皆様は思い思いの形で過ごすことができます。
温室内にいる小鳥と触れ合うこともできますし、温室や外の庭園にある草花を見て回り、触れることもできます。
各場所に用意された椅子に座り、護衛依頼完了の際にもらった百合茶やシフォンケーキを味わいながら、ゆったりとした時間を過ごすのもいいでしょう。
あるいは今回同じように花鳥園を訪れた冒険者達との間で、未来の話をしながら過ごすこともできます。
ベールコートに存在するこの花鳥園にて。
思い思いの時間を過ごしてみませんか?
エラトゥーン都市同盟に属する都市ベールコートは、都市同盟の南東に位置する。
比較的温暖な土地とされるこの都市は特産品である「百合茶」を大陸各地に輸出しており、住民の暮らしはとても穏やかで安定している。
そのような都市ベールコートの一角に、コルネリウス・アーラが経営する花鳥園は存在する。
この花鳥園には様々な季節の花やハーブが植えられており、様々な手段を駆使して可能な限り適温を保つことができるようにした温室、そして外の庭園に分けられている。
元々この花鳥園はフェアロス・アーラ・アスプロスという人物が管理を手掛けていたが、コルネリウスが冒険者になったとき、その家族にあたるフェアロスは花鳥園の管理や経営といった全てをコルネリウスに譲渡し、今に至る。
そのコルネリウスも最近はパンクリアース学園の学生寮に住んでいるため、花鳥園の管理を信頼できる人物に任せていた。
そのような経緯のある花鳥園を、今回コルネリウスは訪れるつもりでいる。
●依頼要素追加
コルネリウスが冒険者ギルド支部を訪れ、ベールコートにある自身の花鳥園に向かう旨を伝えたところで事態は動く。
応対した冒険者ギルド支部職員アルヒ・ラスカスは、コルネリウスの話を聞いて何か思い当たるものがあったようだ。
コルネリウスに断りを入れてからアルヒは一度奥に引っ込み、引っ張り出してきた資料の中身を確認していく。
そして資料から顔をあげたアルヒは、コルネリウスにある話を持ちかける。
「ちょうどベールコートに向かう人が、現地までの護衛を募っている」
依頼人との話を詰める必要はあるものの、条件が合うならベールコートまで依頼人を護送した後、コルネリウスや依頼に応じた冒険者達が花鳥園に向かう形にもできるとアルヒは提案した。
メリットとしては、今回コルネリウスや依頼に応じた冒険者達がベールコートに到着するまでの間、護衛の役目を全うできればその後花鳥園でどのように過ごしても問題ないこと。
そして報酬が支払われることだ。
アルヒからの提案に対し、コルネリウスは少し思案してから「お願いします」と承諾の意を返した。
「承知した。今から話をまとめてくる」
アルヒはコルネリウスの意向を確認した後、今回ベールコートに向かう依頼人のもとへ向かう。
その後アルヒから連絡を受けたコルネリウスは再び冒険者ギルド支部に足を運び、アルヒから必要な情報を得る。
今回護衛依頼を持ち込んだ依頼人はパイスという名で、主に香辛料を取り扱う商人として各地を渡り歩いているという。
パイス当人はエラトゥーン都市同盟に属する都市の出身なので、ベールコートは通い慣れた場所でもあるが、道中の護衛は必要だと考え今回の依頼を持ち込んだようだ。
「パイス氏から承諾を得ることができた。ベールコートについた時点で報酬を支払うから、その後ならどう動いても問題ないと確約も得ている」
パイス自身は到着後もやることがあるので、ベールコートへの到着をもって依頼を完了扱いにするつもりでいるようだ。
「報酬以外にも百合茶とシフォンケーキを用意するから、受け取ってほしいと言っていた」
百合茶はベールコートの特産品にあたる。
アルヒの説明では、シフォンケーキも百合茶と同じくパイス氏が自身の商売を通じて手に入れたものらしい。
「受け取るか否かの判断は任せる」
アルヒは無理強いすることなく、1つの資料をコルネリウスに見せる。
資料には、今回の護衛依頼に関する情報が一通り記載されていた。
「この内容でよければ、このまま依頼の斡旋に移る。それでいいか?」
アルヒから資料を受け取ったコルネリウスはその中身を確認し始める。
一通り内容を確認したコルネリウスは、アルヒにこう言った。
「追加で1人、同行してもらいたい人がいるのですがよろしいでしょうか?」
「依頼自体に支障がなければ誰を呼んでも大丈夫だ。パイス氏からそう聞いている」
アルヒからの答えを聞いたコルネリウスは、追加で同行を希望する人物としてフェアロス・アーラ・アスプロスの名を挙げる。
その後もコルネリウスとアルヒ、そしてアルヒから連絡を受けて駆け付けたパイス氏も含めて話し合いが行われ、互いに条件をすり合わせたうえでベールコートへ向かう依頼が斡旋された。
●やること
今回皆様は護衛という名目で出された依頼に応じ、依頼人と共にエラトゥーン都市同盟に属する都市ベールコートまでやってきました。
無事到着したことで護衛依頼の方は完了扱いとなりました。
今回の報酬は達成した護衛依頼に対するものになり、追加報酬として依頼人側から百合茶やシフォンケーキも渡されています。
そして皆様は依頼人と別れた後、花鳥園に到着しています。
この花鳥園は温室と庭園で構成され、いずれの場所でも多種多様な花々やハーブが植えられています。
花鳥園の温室内では小鳥が多数飛び交い、咲き誇る様々な花々が皆様を迎えてくれます。
外の庭園でも花々やハーブが各所に植えられていて、訪れる人の目を楽しませてくれます。
なお庭園には皆様の他にも雄の孔雀が動き回っていますが、管理者によるとこの孔雀は凶暴な性格の持ち主とのことなので、接する場合は注意が必要とのことです。
なおこの花鳥園内は小鳥がいるため猫の同伴はNGですが、花鳥園に隣接する居住コテージ内で遊ばせることはできます。
温室と庭園内にはそれぞれ複数の人たちが寛ぎ、飲食を楽しむことができるよう複数のテーブルや椅子が用意されています。
この花鳥園内で皆様は思い思いの形で過ごすことができます。
温室内にいる小鳥と触れ合うこともできますし、温室や外の庭園にある草花を見て回り、触れることもできます。
各場所に用意された椅子に座り、護衛依頼完了の際にもらった百合茶やシフォンケーキを味わいながら、ゆったりとした時間を過ごすのもいいでしょう。
あるいは今回同じように花鳥園を訪れた冒険者達との間で、未来の話をしながら過ごすこともできます。
ベールコートに存在するこの花鳥園にて。
思い思いの時間を過ごしてみませんか?
解説
●目標
花鳥園にて思い思いの形で楽しむ
登場
フェアロス・アーラ・アスプロス
以前花鳥園を管理していたエルフ。皆様に同行する形で久しぶりに花鳥園を訪れた。
基本的には花鳥園の中を散策してのんびりと過ごす予定。
パイス
今回の依頼人。護衛依頼は完了しているのでこの場にはいない。皆様には報酬の他、百合茶やシフォンケーキを提供した。
アルヒ・ラスカス
今回の増援。皆様の指示に従う。汎用スキルはテレパス。必要なものがあれば頼めば大概のものは用意できる。
状況
都市ベールコートに存在する花鳥園。現地時刻は正午で快晴。
皆様は上記パイスの護衛という名目でベールコートに到着し、護衛依頼を完了させてからここ花鳥園を訪れた。
今回の報酬は皆様が完了させた護衛依頼からのものという扱いになる。
なおこの花鳥園内は小鳥がいるため猫の同伴はNGだが、花鳥園に隣接する居住コテージ内で遊ばせることは可能。
リプレイは花鳥園内で動くところからスタート。花鳥園内で皆様がそれぞれの形で楽しむことができれば目標は達成扱いとなる。
マスターより
こちらはリクエストされたシナリオになります。
皆様は護衛依頼を完了してからこの花鳥園を訪れたという流れになります。
花鳥園で皆様は思い思いの形で過ごすことができます。
花鳥園で過ごされた時間が皆様にとって楽しい思い出となれば幸いです。
ご不明な点がございましたら、出発36時間前まででしたらアルヒが答えられる範囲のことは答えます。
リプレイ
●いざ花鳥園へ
護衛依頼を済ませた冒険者達は、冒険者ギルド支部を出ると花鳥園へと向かい始める。
「コルネちゃんからたびたび話に聞いていた花鳥園。一度行ってみたかったんだ」
ディレイン・オールドケイジはまだ花鳥園を訪れたことがないようだ。
そのためディレインは今回の花鳥園訪問を楽しみにしていた。
「花鳥園行くの久しぶりだから楽しみ~! なにか変わっているかなっ?」
一方サフィラ・アズラク・ナハルハルアリーブは、過去に花鳥園を訪れたことがあるらしい。
「シフォンケーキもあるけど、百合茶にはスコーンも合いそうだから買ってくねっ!」
サフィラはそう言うと一度仲間達から離れ、買い物に出かける。
(他にも果物とかティースタンドも買ってちょっとしたアフタヌーンティーの準備っ!)
今回冒険者達は護衛依頼を終えた時、百合茶やシフォンケーキを受け取っていたが、サフィラはもう少し増やそうと考えたらしい。
そして買い物を終えたサフィラが再び仲間達に合流し、冒険者達は花鳥園に到着する。
「いろんな草花の匂いがする……」
レピド・クロサイトは周囲を物珍しそうに見渡し、草花の香りを楽しんでいる。
予めこの花鳥園についてはレピドもコルネリウス・アーラより説明を受けていたので、レピドはまずコテージに向かう。
「そーいや、コルネんとこに来るのは初めてだったな♪」
ハヤト=ガラン=ヴォルファングはコルネリウスが管理するこの花鳥園を初めて訪れたこともあってか、周囲の光景をじっくりと見渡している。
「アルヒさんも宜しければ、花鳥園でゆっくり過ごして欲しいです」
そして花鳥園の現管理者コルネリウスは、同行していた冒険者ギルド支部職員アルヒ・ラスカスにも声をかける。
「ありがとう。そうさせて頂く」
コルネリウスからの申し出をアルヒは承諾し、花鳥園で過ごすことにした。
花鳥園に隣接する居住コテージを訪れたコルネリウスは、自身の愛猫「まるこげ」の他に、レピドや猫のショウガがいるのを確認する
(まるこげさんと仲良く出来るといいが……)
コルネリウスが見守る中、レピドは内心そのように思いながら動物のおやつを取り出し、ショウガに近づけてみる。
するとショウガはレピドが差し出した動物のおやつへと駆け寄ると、あむあむと食べ始めた。
その食べっぷりに触発されたのか、まるこげもレピドのいる方角へとまっしぐらに走り出し、レピドが追加で差し出した動物のおやつに飛びつく。
「しばらくの間、ふたりでいい子に遊んでいて下さいね」
コルネリウスはまるこげにそう声をかけると、花鳥園に戻る。
(大丈夫そうだな)
動物のおやつをもくもくと平らげたショウガとまるこげが、一緒に駆け回る様子を見たレピドも花鳥園に戻ることにした。
●温室と庭園
温室内では透明な材質がはめ込まれた天井から暖かな光が差し込まれ、中にある植物を柔らかく照らしていた。
「父さんも此処に来るのは久しぶりですよね」
コルネリウスは温室内を歩きながら、今回同行してくれた父ことフェアロス・アーラ・アスプロスに顔を向ける。
「どうでしょう? 勉学の間に手入れに来てはいるのですが、ちゃんと管理は出来ているでしょうか?」
コルネリウスはパンクリアース学園の寮生活が続いているため、管理の大部分はコルネリウスより委任された人が担っているが、コルネリウス自身もできる範囲で管理や経営を行っている。
コルネリウスに問われたフェアロスは、穏やかな笑みと共に「頑張りましたね」とコルネリウスの尽力をねぎらう。
そんなフェアロスに、それまでサフィラを伴う形で花々を見ていたハヤトが声をかける。
「うちの親父が世話になったそうで、感謝しているぜ!」
ハヤトはまず感謝を口にすると、周囲を見渡してからフェアロスに何かを耳打ちする。
近くにいたコルネリウスやサフィラには半分くらいしか聞き取れなかったが、何かの大きさについてハヤトはフェアロスに質問していたようだ。
「どうやったら――の大きさを手に入れられるんだ?」
ハヤトに問われたフェアロスは、笑みを崩さず「ご想像にお任せします」とだけ応じていた。
「フェアロスさんとも、じっくり話してみたかったんだ」
すると今度は別の方向からディレインがコルネリウスに声をかけてくる。
「この温室が一番楽しみだったんだ」
今回ディレインはこの温室内での散策を楽しみにしていたとコルネリウスに語る。
「医者として薬草はいつも扱っているものだし、自分でも育てた経験があるからね」
そういう意味では、ここで育てている植物にディレインは興味がある。
今も温室には天井より差し込む光の他にも草木のざわめき、鳥の会話などが侵入を試みている。
「……あ、鳥がいるから、もしかして受粉もしやすい環境なのかな?」
鳥もいることに気づいたディレインは、温室の環境についてそのような推測を立てる。
「気候や土地に左右されやすい貴重な薬草も、生育条件を常に整えてあげられるところでまとめて育てられたなら、ずいぶん助かると思うんだ」
ディレインは自身の観点から温室の有用性を語る。
「どんな植物があるかな。植物ごとに気を付けていることを教えてほしいくらい」
「わかりました。それでは――」
コルネリウスは温室内にある植物のもとへディレインを案内しながら、1つ1つ説明する。
「説明ありがとう。この後はできればみんなで卓を囲めたら嬉しいなあ」
ディレインはコルネリウスに礼を述べると、この後についてそのような提案を出す。
「植物とか設備とか、見てきたものの感想も語り合えたらいいよね」
その後庭園に到着したディレインは、サフィラに協力する形でアフタヌーンティーの準備を進める。
「ティースタンドにケーキやマフィン、果物を並べて準備完了っ」
準備を終えたサフィラは、仲間達をテーブルに呼び寄せる。
「せっかくの報酬だからね。ケーキもお茶も、もちろんいただきたい」
「百合茶はコルネかフェアロスパパに淹れてもらおっかなっ」
同じく準備を終えたディレインは、護衛依頼の御礼にもらった百合茶やシフォンケーキも取り出すと、サフィラも賛意を示す。
そしてアフタヌーンティーという形で冒険者達は歓談を始めた。
「今は春の花に植え替えたばかりなんです。ミモザやフリージア、黄色いお花が多いですね」
庭園に咲き誇る花々について、コルネリウスは説明していく。
その中でレピドは仲間達とともにいる今を大切にしながら、自身の百合茶やシフォンケーキを味わっていた。
(この先、コルネリウスとは学園で会えるけれど、旅に出るディレインや、仕事で駆け回るだろうハヤトやサフィラ、そしてアルヒとは会う機会が減ってしまうから)
人生は駆け足で過ぎ去り、今この場にいる仲間達と共に同じ時間を共有できる機会は今後少なくなることは、レピドも理解していた。
「今、このひとときをしっかりと覚えておこう」
――今度は失くしてしまわないように。
●孔雀と悲喜こもごも
サフィラは百合茶とテーブル上にある菓子を味わいながら、穏やかな時間を楽しんでいた。
すると周囲から時折聞こえてきた小鳥の声が徐々に増えていき、サフィラが気づいたときには無数の小鳥達が周囲に集まっていた。
「えっと、さすがにマフィンあげたら良くないかなっ? 小鳥さんの餌はある?」
サフィラは周囲にいる仲間達に尋ねると、フェアロスより「こちらをどうぞ」と鳥用の餌を渡されたので、それを撒くことにした。
「めっちゃ可愛い~!」
(鳴き声や仕草の可愛さにキュンキュンしちゃった!)
サフィラは撒かれた餌へと舞い降り、一生懸命ついばんでくる小鳥たちを見ながら歓声をあげる。
「ん? なんか今派手派手なカラーが見えたような……?」
サフィラが視界の隅に何かを捉えると、派手な色合いの何かが小鳥たちを蹴散らす勢いで寄せてきた。
「あ、孔雀!」
サフィラの言葉を裏付けるように、それは大きく鮮やかな飾り羽を広げて自身の存在を激しく主張していた。
「これが孔雀か……随分と派手な鳥だな!?」
近くにいたハヤトも扇状に広げられた飾り羽を見て、そのような見解を口にする。
(つよそうなくじゃくがあらわれた)
孔雀を見たレピドの脳裏に、そのような言葉が駆け抜ける。
(たしかコルネの羽根ペンも孔雀だったよね? もしかして……?)
そう思ったサフィラがコルネリウスに視線を向ける。
「そちらの孔雀は――」
サフィラから視線を向けられたコルネリウスは、孔雀に関する説明を始めた。
「あ、この子とも遊べるのっ? 名前なんって言うのかなっ?」
コルネリウスからの説明を聞いたサフィラは、さっそく孔雀との触れ合いを試みたものの……。
「ギャー! なんかめっちゃ凶暴なんだけど!?」
孔雀はサフィラに対する威嚇を続け、蹴りや嘴を繰り出してきた。
その様子を見ていたディレインは、やや距離を置いて孔雀を観察する。
(孔雀は……怖いもの見たさはあるよね……)
――後ろから狙われないようにだけ、気をつけないと。
警戒しながらディレインは孔雀の観察を続ける。
「どちらが上なのか分からせる時がき――」
なおも孔雀との触れ合いを続けるサフィラだったが、何かを察知してテーブルに視線を向けると――。
「あーーーーーっ! あたしのシフォンケーキ食べられてる!?」
サフィラは悲鳴を上げてその場に膝をつき、その声を聞いたハヤトがサフィラを庇うように割り込んで孔雀と相対する。
「ほほぅ……なかなかやんちゃな奴らしいが」
ハヤトは軽く半身を退いて孔雀の蹴りをかわす。
「おいおい、誰を相手にしていると思ってんだ?」
挑発することでハヤトは孔雀の戦意(?)を自身に向けさせ、サフィラより孔雀を引き離していく。
「相手の猛攻を回避し続けられるか、で勝負を挑むつもりだ」
レピドも別の方角から孔雀へと接近し、触れ合い(物理)に参戦する。
「それにしても立派な羽根だな……カッコいいな……」
攻撃の軌道を瞬間的に見定め回避行動を取り、孔雀に虚空を突かせたレピドはその飾り羽を称賛する。
(もし抜け羽根があったら、持ち帰ってもいいか聞いてみようかな……)
ハヤトと連携する形で孔雀の攻撃をいなしていたレピドは、内心そのような算段を立て始めていた。
「仲良く戯れていますね」
ハヤトやレピドの様子を見て、コルネリウスは思わず笑みを見せる。
自身は百合茶やシフォンケーキを味わいながら、時折鳥用の餌を手に乗せて小鳥たちを近くまで集め、楽しんでいた。
●今後のお話
ある程度穏やかな時間を楽しんだところで、コルネリウスは周囲の仲間達に話を振る。
「では皆さんのこれからの話も聞かせてください」
――この先離れ離れになっても、皆のことを思えるように。
コルネリウスに問われた仲間たちの内、まずサフィラが反応を見せる。
「あ、そういえば……」
サフィラは一度ハヤトに視線を向けると、ある宣言を出す。
「実はね、あたし……ハヤトと結婚することにしたんだ……!」
サフィラの宣言を聞いた仲間達がハヤトに視線を集めると、ハヤトも「実はそうなんだ」と肯定し、話が徐々に盛り上がっていく。
その中でコルネリウスはディレインとフェアロスに向け、自身の今後を話し出す。
「私はこれから先、王国で過ごしていくつもりです。出来るだけ近くで、大切な人の力になりたいから」
コルネリウスは今後リーンエス王国での活動がメインになると打ち明けた。
「そうしたらきっと、今以上にベールコートに戻ってこられなくなってしまうから……」
コルネリウスの言う通り、そうなればこの花鳥園に関わる機会も時間も少なくなる。
「これから先の花鳥園の管理を、お手伝いさんと父さん……そして、ディレインおじさまにも宜しければお願いしたいのです」
そのためコルネリウスは花鳥園の今後をフェアロス、そしてディレインに委ねたいと言った。
「おじさま、近くに立ち寄る時があれば、時々見に来てくれませんか?」
コルネリウスからの要望をフェアロスは頷きで応じ、ディレインも条件付きで承諾する。
「これから遍歴医として各地を旅することになるから、時々しか来られないと思う。それでもよければ。任せてもらえるのは嬉しいよ」
引き受ける旨を伝えたディレインは、もう一つ条件を付け加える。
「旅先で珍しい植物を見つけたら持ってくるね。交換条件ってわけじゃないけど、ここで薬草育ててもいいかな?」
「はい。お好きなハーブやお花を植えて、お薬の調合などにも役立てて欲しいのです」
ディレインの出した条件をコルネリウスは快諾した。
「皆さんには、甘えてばかりになってしまうのですが……それでも、此処は父さんがくれた大切な場所だから、ずっと残していきたいのです」
そう言ってコルネリウスがディレインとの間で細かい条件を詰め始め、フェアロスはその様子を温かく見守る。
「少し、話をいいだろうか」
ここでレピドがフェアロスに声をかけ、近くの椅子に腰を下ろす。
「なんでしょうか?」
「その……アンタは沢山の子供を拾って立派に育ててきた、と聞いて。その話が聞きたくて」
フェアロスは「理由があれば伺いましょう」と応じたので、レピドはその理由を明かす。
「……それは俺がこの先叶えたい夢に、とても近いから」
レピドは自身の夢を語る。
「俺の『夢』は孤児達を守り、生きる為の術を教え、導くこと。けれど、今の俺には足りないものがまだまだ沢山ある」
そういう意味では、フェアロスがこれまで培ってきたことや経験は重要だとレピドは考えていた。
「実際の子育てでの経験を聞けたなら嬉しく思う」
レピドの話に、それまでコルネリウスと話をしていたディレインも便乗する。
「コルネちゃんが子供のころの話、聞きたいなあ」
「それは――」
ディレインはコルネリウスが制止の声を上げるよりも先に、周囲にいる仲間達も巻き込む。
「コルネちゃんは恥ずかしがるだろうけど、皆も聞きたいよね?」
ディレインの言葉に反応したのか、周囲から椅子を近づけてくる音が複数響いてくる。
どうやら仲間達もその手の話に興味があるようだ。
その後ディレインやフェアロスと、制止しようとするコルネリウスの間で賑やかな攻防があったとか、なかったとか。
●未来へ
ベールコートにある花鳥園で、楽しいひとときを過ごした冒険者達はそれぞれの未来へと向かう。
今回花鳥園で共有できたひとときが、皆様にとって楽しい思い出となりますように。
護衛依頼を済ませた冒険者達は、冒険者ギルド支部を出ると花鳥園へと向かい始める。
「コルネちゃんからたびたび話に聞いていた花鳥園。一度行ってみたかったんだ」
ディレイン・オールドケイジはまだ花鳥園を訪れたことがないようだ。
そのためディレインは今回の花鳥園訪問を楽しみにしていた。
「花鳥園行くの久しぶりだから楽しみ~! なにか変わっているかなっ?」
一方サフィラ・アズラク・ナハルハルアリーブは、過去に花鳥園を訪れたことがあるらしい。
「シフォンケーキもあるけど、百合茶にはスコーンも合いそうだから買ってくねっ!」
サフィラはそう言うと一度仲間達から離れ、買い物に出かける。
(他にも果物とかティースタンドも買ってちょっとしたアフタヌーンティーの準備っ!)
今回冒険者達は護衛依頼を終えた時、百合茶やシフォンケーキを受け取っていたが、サフィラはもう少し増やそうと考えたらしい。
そして買い物を終えたサフィラが再び仲間達に合流し、冒険者達は花鳥園に到着する。
「いろんな草花の匂いがする……」
レピド・クロサイトは周囲を物珍しそうに見渡し、草花の香りを楽しんでいる。
予めこの花鳥園についてはレピドもコルネリウス・アーラより説明を受けていたので、レピドはまずコテージに向かう。
「そーいや、コルネんとこに来るのは初めてだったな♪」
ハヤト=ガラン=ヴォルファングはコルネリウスが管理するこの花鳥園を初めて訪れたこともあってか、周囲の光景をじっくりと見渡している。
「アルヒさんも宜しければ、花鳥園でゆっくり過ごして欲しいです」
そして花鳥園の現管理者コルネリウスは、同行していた冒険者ギルド支部職員アルヒ・ラスカスにも声をかける。
「ありがとう。そうさせて頂く」
コルネリウスからの申し出をアルヒは承諾し、花鳥園で過ごすことにした。
花鳥園に隣接する居住コテージを訪れたコルネリウスは、自身の愛猫「まるこげ」の他に、レピドや猫のショウガがいるのを確認する
(まるこげさんと仲良く出来るといいが……)
コルネリウスが見守る中、レピドは内心そのように思いながら動物のおやつを取り出し、ショウガに近づけてみる。
するとショウガはレピドが差し出した動物のおやつへと駆け寄ると、あむあむと食べ始めた。
その食べっぷりに触発されたのか、まるこげもレピドのいる方角へとまっしぐらに走り出し、レピドが追加で差し出した動物のおやつに飛びつく。
「しばらくの間、ふたりでいい子に遊んでいて下さいね」
コルネリウスはまるこげにそう声をかけると、花鳥園に戻る。
(大丈夫そうだな)
動物のおやつをもくもくと平らげたショウガとまるこげが、一緒に駆け回る様子を見たレピドも花鳥園に戻ることにした。
●温室と庭園
温室内では透明な材質がはめ込まれた天井から暖かな光が差し込まれ、中にある植物を柔らかく照らしていた。
「父さんも此処に来るのは久しぶりですよね」
コルネリウスは温室内を歩きながら、今回同行してくれた父ことフェアロス・アーラ・アスプロスに顔を向ける。
「どうでしょう? 勉学の間に手入れに来てはいるのですが、ちゃんと管理は出来ているでしょうか?」
コルネリウスはパンクリアース学園の寮生活が続いているため、管理の大部分はコルネリウスより委任された人が担っているが、コルネリウス自身もできる範囲で管理や経営を行っている。
コルネリウスに問われたフェアロスは、穏やかな笑みと共に「頑張りましたね」とコルネリウスの尽力をねぎらう。
そんなフェアロスに、それまでサフィラを伴う形で花々を見ていたハヤトが声をかける。
「うちの親父が世話になったそうで、感謝しているぜ!」
ハヤトはまず感謝を口にすると、周囲を見渡してからフェアロスに何かを耳打ちする。
近くにいたコルネリウスやサフィラには半分くらいしか聞き取れなかったが、何かの大きさについてハヤトはフェアロスに質問していたようだ。
「どうやったら――の大きさを手に入れられるんだ?」
ハヤトに問われたフェアロスは、笑みを崩さず「ご想像にお任せします」とだけ応じていた。
「フェアロスさんとも、じっくり話してみたかったんだ」
すると今度は別の方向からディレインがコルネリウスに声をかけてくる。
「この温室が一番楽しみだったんだ」
今回ディレインはこの温室内での散策を楽しみにしていたとコルネリウスに語る。
「医者として薬草はいつも扱っているものだし、自分でも育てた経験があるからね」
そういう意味では、ここで育てている植物にディレインは興味がある。
今も温室には天井より差し込む光の他にも草木のざわめき、鳥の会話などが侵入を試みている。
「……あ、鳥がいるから、もしかして受粉もしやすい環境なのかな?」
鳥もいることに気づいたディレインは、温室の環境についてそのような推測を立てる。
「気候や土地に左右されやすい貴重な薬草も、生育条件を常に整えてあげられるところでまとめて育てられたなら、ずいぶん助かると思うんだ」
ディレインは自身の観点から温室の有用性を語る。
「どんな植物があるかな。植物ごとに気を付けていることを教えてほしいくらい」
「わかりました。それでは――」
コルネリウスは温室内にある植物のもとへディレインを案内しながら、1つ1つ説明する。
「説明ありがとう。この後はできればみんなで卓を囲めたら嬉しいなあ」
ディレインはコルネリウスに礼を述べると、この後についてそのような提案を出す。
「植物とか設備とか、見てきたものの感想も語り合えたらいいよね」
その後庭園に到着したディレインは、サフィラに協力する形でアフタヌーンティーの準備を進める。
「ティースタンドにケーキやマフィン、果物を並べて準備完了っ」
準備を終えたサフィラは、仲間達をテーブルに呼び寄せる。
「せっかくの報酬だからね。ケーキもお茶も、もちろんいただきたい」
「百合茶はコルネかフェアロスパパに淹れてもらおっかなっ」
同じく準備を終えたディレインは、護衛依頼の御礼にもらった百合茶やシフォンケーキも取り出すと、サフィラも賛意を示す。
そしてアフタヌーンティーという形で冒険者達は歓談を始めた。
「今は春の花に植え替えたばかりなんです。ミモザやフリージア、黄色いお花が多いですね」
庭園に咲き誇る花々について、コルネリウスは説明していく。
その中でレピドは仲間達とともにいる今を大切にしながら、自身の百合茶やシフォンケーキを味わっていた。
(この先、コルネリウスとは学園で会えるけれど、旅に出るディレインや、仕事で駆け回るだろうハヤトやサフィラ、そしてアルヒとは会う機会が減ってしまうから)
人生は駆け足で過ぎ去り、今この場にいる仲間達と共に同じ時間を共有できる機会は今後少なくなることは、レピドも理解していた。
「今、このひとときをしっかりと覚えておこう」
――今度は失くしてしまわないように。
●孔雀と悲喜こもごも
サフィラは百合茶とテーブル上にある菓子を味わいながら、穏やかな時間を楽しんでいた。
すると周囲から時折聞こえてきた小鳥の声が徐々に増えていき、サフィラが気づいたときには無数の小鳥達が周囲に集まっていた。
「えっと、さすがにマフィンあげたら良くないかなっ? 小鳥さんの餌はある?」
サフィラは周囲にいる仲間達に尋ねると、フェアロスより「こちらをどうぞ」と鳥用の餌を渡されたので、それを撒くことにした。
「めっちゃ可愛い~!」
(鳴き声や仕草の可愛さにキュンキュンしちゃった!)
サフィラは撒かれた餌へと舞い降り、一生懸命ついばんでくる小鳥たちを見ながら歓声をあげる。
「ん? なんか今派手派手なカラーが見えたような……?」
サフィラが視界の隅に何かを捉えると、派手な色合いの何かが小鳥たちを蹴散らす勢いで寄せてきた。
「あ、孔雀!」
サフィラの言葉を裏付けるように、それは大きく鮮やかな飾り羽を広げて自身の存在を激しく主張していた。
「これが孔雀か……随分と派手な鳥だな!?」
近くにいたハヤトも扇状に広げられた飾り羽を見て、そのような見解を口にする。
(つよそうなくじゃくがあらわれた)
孔雀を見たレピドの脳裏に、そのような言葉が駆け抜ける。
(たしかコルネの羽根ペンも孔雀だったよね? もしかして……?)
そう思ったサフィラがコルネリウスに視線を向ける。
「そちらの孔雀は――」
サフィラから視線を向けられたコルネリウスは、孔雀に関する説明を始めた。
「あ、この子とも遊べるのっ? 名前なんって言うのかなっ?」
コルネリウスからの説明を聞いたサフィラは、さっそく孔雀との触れ合いを試みたものの……。
「ギャー! なんかめっちゃ凶暴なんだけど!?」
孔雀はサフィラに対する威嚇を続け、蹴りや嘴を繰り出してきた。
その様子を見ていたディレインは、やや距離を置いて孔雀を観察する。
(孔雀は……怖いもの見たさはあるよね……)
――後ろから狙われないようにだけ、気をつけないと。
警戒しながらディレインは孔雀の観察を続ける。
「どちらが上なのか分からせる時がき――」
なおも孔雀との触れ合いを続けるサフィラだったが、何かを察知してテーブルに視線を向けると――。
「あーーーーーっ! あたしのシフォンケーキ食べられてる!?」
サフィラは悲鳴を上げてその場に膝をつき、その声を聞いたハヤトがサフィラを庇うように割り込んで孔雀と相対する。
「ほほぅ……なかなかやんちゃな奴らしいが」
ハヤトは軽く半身を退いて孔雀の蹴りをかわす。
「おいおい、誰を相手にしていると思ってんだ?」
挑発することでハヤトは孔雀の戦意(?)を自身に向けさせ、サフィラより孔雀を引き離していく。
「相手の猛攻を回避し続けられるか、で勝負を挑むつもりだ」
レピドも別の方角から孔雀へと接近し、触れ合い(物理)に参戦する。
「それにしても立派な羽根だな……カッコいいな……」
攻撃の軌道を瞬間的に見定め回避行動を取り、孔雀に虚空を突かせたレピドはその飾り羽を称賛する。
(もし抜け羽根があったら、持ち帰ってもいいか聞いてみようかな……)
ハヤトと連携する形で孔雀の攻撃をいなしていたレピドは、内心そのような算段を立て始めていた。
「仲良く戯れていますね」
ハヤトやレピドの様子を見て、コルネリウスは思わず笑みを見せる。
自身は百合茶やシフォンケーキを味わいながら、時折鳥用の餌を手に乗せて小鳥たちを近くまで集め、楽しんでいた。
●今後のお話
ある程度穏やかな時間を楽しんだところで、コルネリウスは周囲の仲間達に話を振る。
「では皆さんのこれからの話も聞かせてください」
――この先離れ離れになっても、皆のことを思えるように。
コルネリウスに問われた仲間たちの内、まずサフィラが反応を見せる。
「あ、そういえば……」
サフィラは一度ハヤトに視線を向けると、ある宣言を出す。
「実はね、あたし……ハヤトと結婚することにしたんだ……!」
サフィラの宣言を聞いた仲間達がハヤトに視線を集めると、ハヤトも「実はそうなんだ」と肯定し、話が徐々に盛り上がっていく。
その中でコルネリウスはディレインとフェアロスに向け、自身の今後を話し出す。
「私はこれから先、王国で過ごしていくつもりです。出来るだけ近くで、大切な人の力になりたいから」
コルネリウスは今後リーンエス王国での活動がメインになると打ち明けた。
「そうしたらきっと、今以上にベールコートに戻ってこられなくなってしまうから……」
コルネリウスの言う通り、そうなればこの花鳥園に関わる機会も時間も少なくなる。
「これから先の花鳥園の管理を、お手伝いさんと父さん……そして、ディレインおじさまにも宜しければお願いしたいのです」
そのためコルネリウスは花鳥園の今後をフェアロス、そしてディレインに委ねたいと言った。
「おじさま、近くに立ち寄る時があれば、時々見に来てくれませんか?」
コルネリウスからの要望をフェアロスは頷きで応じ、ディレインも条件付きで承諾する。
「これから遍歴医として各地を旅することになるから、時々しか来られないと思う。それでもよければ。任せてもらえるのは嬉しいよ」
引き受ける旨を伝えたディレインは、もう一つ条件を付け加える。
「旅先で珍しい植物を見つけたら持ってくるね。交換条件ってわけじゃないけど、ここで薬草育ててもいいかな?」
「はい。お好きなハーブやお花を植えて、お薬の調合などにも役立てて欲しいのです」
ディレインの出した条件をコルネリウスは快諾した。
「皆さんには、甘えてばかりになってしまうのですが……それでも、此処は父さんがくれた大切な場所だから、ずっと残していきたいのです」
そう言ってコルネリウスがディレインとの間で細かい条件を詰め始め、フェアロスはその様子を温かく見守る。
「少し、話をいいだろうか」
ここでレピドがフェアロスに声をかけ、近くの椅子に腰を下ろす。
「なんでしょうか?」
「その……アンタは沢山の子供を拾って立派に育ててきた、と聞いて。その話が聞きたくて」
フェアロスは「理由があれば伺いましょう」と応じたので、レピドはその理由を明かす。
「……それは俺がこの先叶えたい夢に、とても近いから」
レピドは自身の夢を語る。
「俺の『夢』は孤児達を守り、生きる為の術を教え、導くこと。けれど、今の俺には足りないものがまだまだ沢山ある」
そういう意味では、フェアロスがこれまで培ってきたことや経験は重要だとレピドは考えていた。
「実際の子育てでの経験を聞けたなら嬉しく思う」
レピドの話に、それまでコルネリウスと話をしていたディレインも便乗する。
「コルネちゃんが子供のころの話、聞きたいなあ」
「それは――」
ディレインはコルネリウスが制止の声を上げるよりも先に、周囲にいる仲間達も巻き込む。
「コルネちゃんは恥ずかしがるだろうけど、皆も聞きたいよね?」
ディレインの言葉に反応したのか、周囲から椅子を近づけてくる音が複数響いてくる。
どうやら仲間達もその手の話に興味があるようだ。
その後ディレインやフェアロスと、制止しようとするコルネリウスの間で賑やかな攻防があったとか、なかったとか。
●未来へ
ベールコートにある花鳥園で、楽しいひとときを過ごした冒険者達はそれぞれの未来へと向かう。
今回花鳥園で共有できたひとときが、皆様にとって楽しい思い出となりますように。
マスターコメント
お疲れ様でした。
花鳥園でのひとときが少しでもお楽しみ下さる内容でしたら幸いに存じます。
このたびはご参加下さりありがとうございました。
ショートシナリオR易しい 報酬:標準5 / 4〜8人
2024年03月26日 09時59分07秒 公開
大成功
相談掲示板
コルネリウスです、よろしくお願いします! 花鳥園に遊びに来てくださり、ありがとうございます。 父さんとアルヒさんにも、ゆっくり過ごして頂けると良いですね。 小鳥さんは人馴れしてると思いますが、孔雀さんは……ちょっと啄かれると痛いかなと思いますので戯れる際はご注意ください。
ディレイン・オールドケイジ、よろしく。 話に聞いてた花鳥園、一度行ってみたかったんだ。 薬草を扱ってる身として、温室もあるのはすごく気になるからね。 楽しみだなあ。 孔雀に後ろから狙われないよう、気をつけないとね。
レピド・クロサイトだ、よろしく頼む。 ……孔雀、相手にとって不足なし(反復横飛び) ショウガもコテージで遊ばせてやりたいな。
にゃ!サフィラだよっ! コルネの花鳥園に行くの久しぶりだから楽しみ〜!! 孔雀は初めましてかな?あたしも挨拶しよっかな!
おーっす! ハヤトだぜ!! そーいや、コルネのやってる花鳥園ってのにゃいったことなかったからな! 孔雀ってのも面白そーだし近くで見てみっかな♪