【嵐竜】兵器開発~竜巻を打ち破るために
岩岡志摩
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シナリオID:3112
オープニング
その兆候は、『預言の魔女』オペラが見た予知夢から始まった。
オペラが見たという予知夢は、エラトゥーン都市同盟の都市リブラネスタが壊滅するという衝撃的なものだった。
その予知夢において、都市壊滅の原因となったのは、外洋より出没した超大型級クリーパーだった。
予知夢が示したリブラネスタ壊滅は、2ヶ月後。
オペラが見た超大型級クリーパーは、嵐(竜巻)を纏う巨大な竜のような姿をしていた。
このクリーパーに遭遇した者達は、まずこの竜巻に呑み込まれて死んだ。
運よく竜巻から逃れ、生き延びた者達もこのクリーパーが起こす大津波に呑まれて死んでいく。
そのような光景が、予知夢の中で広がっていた。
予知夢の情報を受け取った者達は、超大型級クリーパーからリブラネスタを守るために立ち上がる。
●作るしかない
リブラネスタを襲うとされる超大型級クリーパー、仮称『嵐逆巻く魔海竜』との戦いに向け、慌ただしく準備が進められていく。
リブラネスタ市内で対抗策を話し合う者達の中には、オペラが見たという予知夢の情報から『嵐逆巻く魔海竜』本体よりも、周囲に渦巻く嵐にも対策が必要だと考える者もいた。
「予知夢の内容が事実である場合、その竜巻によって攻撃を弾かれてしまうことは十分考えられる」
相手が超大型級クリーパーである以上、竜巻によって遠距離攻撃を防ぐことはするだろうと、有力者の1人は推測を述べる。
「だが冒険者達に接近戦で倒してもらうのは危険すぎる」
いくら授恵者である冒険者達が頑強でも、超大型級クリーパーを纏うほどの竜巻に飛び込ませるなど危険すぎると、別の有力者が懸念を示す。
なおも話し合いは続いたが、竜巻を排除する重要性については一致したものの、有効な策を見いだすことはできなかった。
事態打開のため、有力者は市内の職人街で工房を構える『神匠』ヴィンダールヴルに使者を送り、『嵐逆巻く魔海竜』の竜巻を排除できる方法はないか相談する。
「話を聞いた限り、既存の武器では無理だな」
使者より一通り話を聞いたヴィンダールヴルが言った。
これまで授恵者たちが振るう特殊な武器の作成を担ってきただけに、その見解は確かなものだろう。
しかしヴィンダールヴルは不敵な笑みと共に、言葉を継ぐ。
「だったらその竜巻をどうにかできる武器を作ればいい話だ」
「できるのですか!?」
意気込む使者に、ヴィンダールヴルはこう返す。
「できなければこの都市は滅びるんだろう? だったら意地でも完成させる。分かりやすい話だ」
使者を介し、ヴィンダールヴルからの答えを聞いた有力者達が相談を重ねた結果、リブラネスタ市はヴィンダールヴルの意見を容れ、竜巻を排除できる兵器の開発に取りかかる。
なおヴィンダールヴル自身もリブラネスタ市からの依頼を受ける形で兵器開発に参加し、協力することになった。
「ああそうだ。冒険者ギルドにも人手の派遣を頼んでおいてくれ」
既にリブラネスタ市は冒険者ギルド支部へ様々な依頼を持ち込んでいたが、ヴィンダールヴルからの要請に従い、兵器開発に参加し、協力してくれる冒険者達の募集もあわせて行った。
●追加
そして市内のある工房にヴィンダールヴルと様々な分野の職人達が集い、仮称『嵐逆巻く魔海竜』の竜巻を排除もしくは無効化できる武器について意見を出し合う。
「恐らくその竜巻めいた嵐は壁だ」
ヴィンダールヴルはこれまでに集まった情報から、その竜巻が『嵐逆巻く魔海竜』によって形成される防壁のようなものと分析していた。
「必要になるのは壁に攻撃が届き、破壊できるような武器だろうな」
ヴィンダールヴルや工房内にいる職人達は知恵を絞り、熟慮の末に1つの武器へと辿り着く。
それは巨大なハンマーだった。
仮の設計図に記された内容によると、この武器はエーテルを込めることで雷を纏い、使い手となる授恵者がこの武器を使うことで、その破壊力を竜巻に叩きつけ、破壊するというもの。
ただし今の設計図通りだと、その威力を発揮するためには課題が残る。
まずこの武器を使うには、複数の授恵者が必要になる。
次に、参加する授恵者の人数に応じてこの武器は破壊力が増す一方、参加した授恵者は雷による反動ダメージを受ける。
このため破壊力を高く設定するほど、その反動によるダメージも大きくなる。
必殺の一撃を放つ武器を作るなら、大ダメージを与える利点がある一方、武器を行使するために必要な授恵者の人数も多くなり、反動で受けるダメージも大きくなる。
逆に攻撃力をおさえ、使用する授恵者達への反動を少なくする場合は、少数の授恵者でも行使できる。
ただしその分攻撃力は低いが、反動は少ないので授恵者達が繰り返し行使し、攻撃を重ねることは可能になるだろう。
必要な人数や反動には目をつむり、一撃で破壊可能とするか。
反動をおさえ少人数で繰り返し攻撃できるようにするか。
まずは威力の面を決めなければならない。
「あとはどう使うかだな」
ヴィンダールヴルは、この武器で竜巻を破壊する状況にも目を向ける。
この都市が壊滅的な被害を受けないようにするには、『嵐逆巻く魔海竜』が都市に到達するよりも前に叩くしかない。
想定される戦場は海上となる可能性が高く、その場合この武器を接近してから使うなら船に乗るなど、移動手段が必要となる。
距離を置いたまま、竜巻を破壊する場合は投擲してその威力をぶつけるやり方になるだろう。
近距離まで近づいてから攻撃する形をとるか。
投擲という形で距離を置いても使用できる形をとるか。
距離を詰めての攻撃は危険が大きく、どうやって近づくかを解決する必要はあるものの、確実にその威力をぶつけやすくなる。
逆に投擲して武器をぶつける場合は、近づくよりも危険は少なくなるものの、外した場合どうやって回収し、再度攻撃できるようにするかを解決しなければならない。
「間に合わせるなら一種類に絞るしかないだろうな」
ヴィンダールヴルは、これから開発する武器を実戦に間に合わせる場合、1個が限度と考えている。
よって複数の武器を作るという選択肢はない。
なおも職人達の間で議論が続いたが、ヴィンダールヴルは一つの断を下した。
「それなら実際の現場で武器を使う者達に、どんな武器がいいか意見を募ればいいだろう?」
既に冒険者ギルド支部には、兵器開発への手伝いとして冒険者達の派遣を要請している。
その段階で冒険者ギルド支部には、実証実験において武器にエーテルを込める作業が最も重要になると説明してあるが、やってほしいことは他にもある。
武器の素材を必要な場所へ搬送する作業は、冒険者達に頼むことができるなら、その分職人達は他の作業へと集中できる。
また職人達が開発作業に集中すれば、どうしても現場に物が散乱するため、散乱した物の回収や整理整頓、清掃作業も冒険者達にやってもらえると、事故の発生を抑制できるはずだ。
これ以外にも手助けが必要な作業は多く存在し、兵器開発を『嵐逆巻く魔海竜』の襲来に間に合わせる以上、冒険者達の協力は必須だった。
「熟練とか不慣れとか関係ねえよ。全員の力で完成させるんだ。報酬の出し惜しみなんかするんじゃねえ」
ヴィンダールヴルからの要請を受け、リブラネスタ市は冒険者ギルド支部に追加の使者を派遣し、依頼内容の追加と報酬の増額を伝えた。
解説
マスターより
リプレイ
依頼に応じた工房へ到着した冒険者達は、中にいる『神匠』ヴィンダールヴルや職人達と挨拶を交わす。
挨拶の後、トーラは言った。
「オペラさんの予知夢なら間違いは無さそうですし、備えは万全にしておきたいですね」
トーラはヴィンダールヴル達の開発が必要なものだと認識している。
「何だかとんでもない事になりましたね」
ヴィルヘルミナはオペラの予知夢によって判明した、2か月後この都市に超大型級クリーパーが襲来するという事態に、内心ため息をつく。
「一難去ってまた一難……慌ただしい事で」
つい最近までリブラネスタは【北乱】事件に巻き込まれ、ようやく騒動が沈静化したばかりだ。
「エーテルを込める以外の作業も手が足りなければ手伝いましょう」
――職人も開発に必要な人数は確保しておると思われますので、無理にとは言いませんが。
ヴィルヘルミナは、できる限りのことをして今回の開発に協力するつもりでいる。
そしてバル・ヌール・スケアクロウやシルク・メイプルリーフも、ヴィンダールヴルや職人達との顔合わせを済ませる。
「一撃必殺というよりも一撃必壊、が理想といえば理想ですよね」
バルは兵器に求められる性能についてそう呟くと、近くにいたシルクも頷きを返す。
「やはりパワー。パワーはすべてを解決します」
シルクもまた今回開発する兵器は、威力を重視したものを推すつもりでいるようだ。
そしてヴィンダールヴルは現在開発を進めている兵器について、冒険者達からの意見を募り始める。
●意見
大きなテーブルを挟み、ヴィンダールヴルと冒険者達が向かい合う形でそれぞれ席についたところで、ヴィンダールヴルはテーブルの上に兵器の図面を広げる。
「お前たちの意見を聞かせてもらおうか」
図面を見せながらヴィンダールヴルが冒険者達に話を向けると、トーラが武器の種類について質問する。
「その前にハンマーにする意図を教えて貰えないでしょうか? 複数の人で扱うハンマーというのが想像し辛くて……」
依頼を受ける際に兵器の話は聞いていたものの、トーラとしてはその意図を測りかねていたようだ。
「ああ。それはだな――」
ヴィンダールヴルはトーラの疑問に答える形で説明する。
今の段階で兵器をハンマーとしたのは、『嵐逆巻く魔海竜』が形成する竜巻を破壊する武器として、最もイメージしやすかったからなど、いくつか理由があるようだ。
複数の人が必要となるのは、その威力を高めるためエーテルを兵器に込めるとき等に限定されるため、実際にその武器を冒険者達が振り回すわけではないと、ヴィンダールヴルは言った。
戦場が海上と想定されているため、今の段階では船のラム(衝角)に兵器を固定する形で『嵐逆巻く魔海竜』へと突っ込ませ、その威力をもって竜巻を破壊するという前提で開発を進めているようだ。
「私も同じようなことを考えていました」
ヴィンダールヴルの話を聞いたシルクは、水上を高速で走る船船首に破城槌型の兵器を備え付け、乗船した授恵者達の力で攻撃力と船の速度を増幅し、船ごと壁にぶつかる方策を勧めるつもりだったと明かす。
ヴィンダールヴルの説明を聞いたトーラは少し思案の後、自身の意見を述べる。
「威力を上げるために人数を多くした方が良いと思います」
トーラはそう思った理由についてもヴィンダールヴルに説明する。
「個人での攻撃はドワーフ王国からの対邪竜武器等もありますし。それらと連携しての運用なら一撃必殺が良いのではと思います」
トーラの話は他の武器との連携も視野に入れたもので、ヴィンダールヴルも「そうだな」と頷きを返す。
「個人的には威力がある方が望ましいですね。そう何度も叩き込む余裕があるかわかりませんし」
ヴィルヘルミナもトーラと同じく、威力重視の意見を述べる。
「超大型級クリーパーの攻撃はそう何度も受けられないこともそうですが、武器が一つしかないので。使う側がやられればそれまでですし」
ヴィルヘルミナは実際に『嵐逆巻く魔海竜』と戦う際、兵器を使用できる機会が少ないことや、使用者達も『嵐逆巻く魔海竜』からの攻撃を受ける可能性について言及する。
「恐らくそうなるだろうな」
ヴィンダールヴルもそうなることは想像できたようだ。
「そうした理由から一撃の破壊を目指したいため、威力(破壊)重視を選びました」
ヴィルヘルミナが理由を述べる中、シルクは許可を得て廃棄予定のブロックの中から手ごろなものを引っ張り出す。
何をするつもりなのかとヴィンダールヴル達が見守る中、シルクは言った。
「弱い攻撃を繰り返すより一撃で粉砕するべきです。――このように」
シルクはその場で真・シスターブリーカーによる見事な鯖折りを見せ、廃材を一撃で破砕した。
その行動に意味があるのかという疑問は横に置き、シルクの言いたいことはヴィンダールヴル達にも伝わった。
「問題はその壁を打ち破るための予測が立たない、ということなのでしょう」
ここでバルがある懸念を指摘する。
――人の纏う鎧ならその材質や常識的な範囲で動作が可能な部分から、おおよその防御性能が分かる。
――城の石壁であれば耐久性能はその厚みから計算できる。
「しかしクリーパーの用いる《《壁》」はどこまで硬いのかはわかりません」
バルは『嵐逆巻く魔海竜』が構築する竜巻について、未知の部分が多い点を挙げる。
「到着してしまえばその災害がどこまで及ぶのかわからない以上、全力を対応するしかないと思うのです」
――受けた衝撃に対して超大型級クリーパーが壁を直さない、強化しないとは限らないのですから。
バルは攻撃を受けた場合、『嵐逆巻く魔海竜』は何らかの対処をしてくると予想していた。
「相手が警戒していないうちに最大の破壊力をぶつけておくのが良い気がします」
その場合使用者達が受ける反動についても、バルはこう言った。
「反動につきましては、そもそも私達自体が受ける損傷であれば度外視するべきだと思いますので」
最大限の威力を兵器に持たせることが必要と、バルはヴィンダールヴルに自身の意見を告げる。
「必要な人数が多ければ多いほど威力が上がるのであれば、私は多いほうを勧めます」
そしてシルクも多人数での使用に賛意を示す。
「一撃必殺。多人数での使用という方向性を私も推します」
シルクの意見も含め、冒険者達の意見を聞き取ったヴィンダールヴルは職人達と短くやり取りを交わし、兵器の威力を大人数が使う形で最も強いものにすると決めた。
続いて兵器の使用方法についても冒険者とヴィンダールヴル達は話し合う。
――距離を詰めて使用するか、投擲など距離を置いて使用するか。
「接近と投擲どちらにするかについてですが、多人数で反動があるなら、使用者の安全のためにも距離を取って使用出来る投擲型が良いのではないでしょうか」
トーラは安全面から距離を置いて使用できる形が望ましい旨を伝える。
「投擲武器なら、遠くからでは命中しないようなら接近して投擲という手も使えますし」
トーラは投擲武器なら状況に応じて『嵐逆巻く魔海竜』との距離を調整できると、その利点を挙げる。
「個人的には投擲を前提としたいです」
バルも距離を置いての使用に賛成票を投じる。
「近接の場合と距離を置くことのできる場合で、それぞれ威力がどのように伝わっていくのか。その知見は次の機会に得ることができると思われますので」
バルは投擲を選んだ理由をそう説明した。
――類似した事例が今後ないとは限りませんので。
その部分はバルも内心の呟きに留めた。
「投擲してその後回収となると、柄頭の方に頑丈な紐縄で括り付ける形になるのでしょうか?」
ヴィルヘルミナは投擲後の兵器を回収可能な方法として、思いつくやり方を挙げる。
「簡単なものだと鎖などを付けて引き揚げる……とかでしょうか?」
トーラも「竜鉄かダマスカス、入手できるなら神材を使って強度を確保することができれば良いのでは」と使用する素材を例示した上で、鎖での回収を提示した。
「閃光塗弾に使用されている発光剤のようなものを塗るなどして、発見しやすくするとかでしょうか?」
バルは投擲後の兵器がどこにあるのか識別しやすくなるよう、そのような塗料の塗布を提示する中、ヴィルヘルミナは兵器の運用方法についても意見を出す。
「反動を受けるとの事なので、本番は範囲回復ができるヒーラーの方でもいないと怖いですね」
――壁を砕いた後に冒険者達が反動でダウンして、敵の追撃を受けるとか洒落になりませんし。
仲間達の話を一通り聞いたシルクは、あえて接近戦での使用を主張する。
「船ごと一撃で仕留めるか。もしくは一撃離脱の後、ヒーラーによる回復を行い再度突撃するのかは船の耐久力次第ですね」
懸念される部分についても言及しながら、シルクは別の攻撃方法も口にした。
「一度突き抜けて壁の内側から受恵者が全力攻撃するやり方もあるかと思います」
壁の内側から攻撃するというシルクの提案も含め、冒険者達の意見をヴィンダールヴルや周囲にいた職人達は全て記録し、整理していく。
「貴重な意見、感謝するぞ」
職人達を代表する形で、ヴィンダールヴルは冒険者達に頭を下げた。
●作業と検証
冒険者達から寄せられた意見をもとに、ヴィンダールヴルと職人達は図面に修正を加え、兵器開発を本格化させる。
慌ただしく職人達が駆け回り、冒険者達もぞれぞれの作業に従事する。
「作業の邪魔になりそうなゴミは――」
ヴィルヘルミナは職人達の邪魔にならないように動きながら、麻袋やマジカルポケットを駆使して不要なゴミを外まで運び出す。
「手が足りないようでしたら、手伝います」
ある程度ゴミを片付けたヴィルヘルミナは、職人達に鍛冶の手伝いを申し出ると、ちょうど手助けが必要だった職人が「こっちに来てくれ」とヴィルヘルミナに声をかける。
そのままヴィルヘルミナは鍛冶スキルを駆使して職人達と力を合わせ、部品の作成を進める。
「足りない道具があれば、私の方で作業を行います」
あわせてヴィルヘルミナは、職人の道具箱より道具を取り出し、手が足りなそうな作業にも携わる。
出来上がった部品の類は、バルやシルクが職人達の指示に従い、必要な場所へと搬送していく。
「武器を使うときに必要となる小物はありますか?」
トーラはヴィンダールヴルに小物の作成が必要か確認する。
「例えば武器が雷を纏うのなら、電気が通りにくい素材で手袋を作るとか、そういった小物です」
「あれば便利だろうが、そうした小物で反動によるダメージを抑えこむのはまず無理だろうな」
ヴィンダールヴルによれば、反動によるダメージはそれほど大きなものらしい。
「ただ幾つか小物が必要なのは確かだ。手伝ってくれ」
「承知しました」
助力を乞われたトーラは承諾すると、ヴィンダールヴルの指示のもと、手細工スキルを駆使して必要な小物を作リ出す。
「それでは食事の作成に回ります」
小物を作り終えたトーラは職人に頭を下げると、工房内にある厨房へと向かう。
「熱い工房での作業は体力の消耗も激しくなりますので、夏野菜をたっぷり入れた料理で体力をつけてもらいましょう」
トーラが当初作ろうとした料理は必要となる香辛料の一部が非常に貴重で、この工房にも少量しか存在しなかった。
このため現在この工房にいる職人達全員にその料理を行き渡らせるのは不可能と判明し、トーラはそれ以外の香辛料や野菜と調理スキルを駆使して、似たような料理を作成していく。
「あとは飲み物の差し入れや、休憩する時に甘くて冷たいものを出してリフレッシュしてもらいましょう」
調理スキルを駆使して全員分の料理を作成したトーラは、飲み物や甘味の作成にも取り掛かる。
やがてヴィンダールヴルの指示により、職人達と冒険者達は交代で休憩をとり、トーラが作成した料理や飲み物によって一息つくことができた。
こうした冒険者達の手助けにより、ヴィンダールヴルや職人達は効率よく作業を進めていく。
やがて製作工程は兵器にエーテルを注ぎ、その威力を試す段階へと移行する。
「手伝います」
トーラは職人達の指示を受けながら、兵器にエーテルを込めると、柄より先にある頭部部分が雷のようなエーテルで包まれる。
「エーテルを込めたときや、実際に使用したとき得られた感触をもとに、細かい調整をかける方がいいかもしれません」
――受ける反動もどれくらいかわかりませんから。
ヴィルヘルミナもエーテルを込める作業に加わった後、細かい調整が必要になる可能性を口にした。
バルやシルクも職人達の指示を受けながら、器となる部分にエーテルを込めていく。
そして冒険者4人分のエーテルが込められた状態から、兵器は仮組の状態で廃材を的に使用される。
兵器の威力はすさまじく、命中した瞬間に込められたエーテルが解放され、爆発的な衝撃力と化した一撃が廃材を微塵に粉砕した。
「やはりパワーはすべてを解決します」
その威力を前に、シルクは持論を熱く語る。
そしてシルクは反動によるダメージを受けた仲間に向け、自身と装備よりエーエルを引き出して増幅した強い治癒の光を放ち、その負傷を癒す。
「あれもこれもと詰め込んだ欲張りセットは難しいと思われるので、意見をまとめた後はどこまで妥協点を探すかですね」
ヴィルヘルミナは治癒の光を飛ばして仲間の生命を回復しながら、どこかで折り合いをつける必要があると職人達に助言する。
――妥協せずに全てを詰め込んだ結果予算が膨大になって、それを見た発注側が青ざめるというのもそれはそれですが。
ヴィルヘルミナが内心そう呟く中、バルはヴィンダールヴルに対し改良版の開発も進めることを提案する。
「壁の再構成などで超大型級クリーパーの足が止まれば、改良版を開発する余裕も作ることができますからね」
バルの提案に対し、ヴィンダールヴルは少し思案した後こう言った。
「改良が必要になることは確かだが、それが済む頃には超大型級クリーパーは討伐されているか、この都市が壊滅しているだろうな」
ヴィンダールヴルは、超大型級クリーパーが竜巻を破壊されても、その動きを止めることはないだろうと予測していた。
●依頼終了
そしてある程度作業に目途がついたところで、ヴィンダールヴルは今回出した依頼を完了扱いとした。
「ここまで助力してくれたことに感謝する。後は俺達の方で完成させる」
ヴィンダールヴルは冒険者1人1人に向き合い、感謝を伝えていく。
今回冒険者達の意見や助力がなければ、兵器の開発もかなり遅れていたことは容易に想像できた。
『嵐逆巻く魔海竜』からリブラネスタを守り抜くため、ヴィンダールヴルや職人達は冒険者達の意見を可能な限り取り入れながら、兵器の作成を急ピッチで進めていった。
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:多い4 / 4〜6人
2023年07月30日 22時24分29秒 公開
参加者
- メイプルリーフ シルク
ヴィルヘルミナ
トーラ
バル・ヌール・スケアクロウ
相談掲示板
No.1
シスターシルクです 今回は一撃必殺についてヴィンダールヴルさんに語ろうと思います
トーラです。 よろしくお願いします。 それぞれの案に利点と欠点かありますけれど、間に合わせるためにはひとつに絞らなければならない訳ですね。 現在ドワーフ王国から対邪竜武器の輸送依頼なども出ていますし、多撃はそちらに任せてこちらは威力を上げた多人数での一撃必殺武器の方が分かりやすいかなと思いました。 射程については悩ましいところですけれど、遠距離用として作っておけばいざという時に接近しての使用も出来るかなと。 近接用だと絶対に近づかなければ当てれませんし。
バル・ヌール・スケアクロウです。 よろしくお願いしますね? >一撃必殺 の考えについては賛成、ですね。 あちらだって攻撃されていると分かれば何か対策をしないとも限りませんし 気づかれないうちに(油断していているうちに)最大の一撃を叩き込むのは間違っていないと思うのです。
ヴィルヘルミナです。今回はよろしくお願いします。 用途としては相手の張った防壁を破壊する感じですか。 複数撃ち込んでいる暇があるのか考えると、一撃で破壊できればそれに越した事はありませんが、懸念もありますし私はその辺りを洗い出していこうかなと。 モノを複数用意できるなら多撃も一つの手かなとは思いますが。
ん-、前提が「一種類しか作れない(期間的に)」なのでここをどう読み取るかですよね。 私個人といたしましては「反動は幾らあっても構わないので過剰なレベルでの威力を求める」というところです。 使用するのに必要な人数(エーテル量)も限界まで盛ってしまうように。もうこれで破壊できなかったらどうしようもないと諦められるくらいに。 壁どころでなく本体まで潰せる、あるいは損傷させられればその甲斐もあるでしょうし? 今回、後ろにあるのは沢山の人々が生活しているリブラネスタ市なのです。 我々の反動は無視してしまっても、やる価値はあるかなあと思います
よく見たら一個だけしか作れませんか。悩ましいですね。 私は鍛冶があるので、制作の手伝いをしようと思います。その為に参加したようなものですし。 威力を追求するなら船に乗っての近接戦仕様になると思うので、問題は壁に接近までの過程になりそうですね。 接近する前に船をダメにされればそこで終わりですし。この辺りは武器の問題より作戦行動の問題ですけど。 射程を持たせるなら投擲…と、その場合は回収手段をとの事ですが。 遠距離攻撃で弩などの矢を飛ばす案が出ないのは何か問題があるのでしょうね。
No.7
そうですねチャンスはそう何度も訪れないと思いますので城壁を破壊して更に奥の本城まで打ち壊す最強で究極のハンマーを金輪際現れない様に叩きつける方向で提案させてもらいましょう
一応私のイメージとしては投げるハンマーというか、トマホーク的な投擲武器をイメージしております。