【嵐竜】死んだ筈じゃなイカ
革酎
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シナリオID:3088
オープニング
リブラネスタに危機が迫る――その一報を受けたエスト・ポーラ市議会は、即日でリブラネスタ支援の予算案を審議・可決した。
過日、エラトゥーン都市同盟内の南北内戦終結を受けて完全に市議会の主導権を握った穏健派は、休戦協定に応じてくれたリブラネスタ市議会に少しでも報いねばならぬと躍起になっており、今回の問題は大きなチャンスだと捉えていた。
いうまでもないが、エスト・ポーラはリブラネスタと並ぶ同盟内の二大海軍国家だ。
その海軍戦力はリブラネスタとの海上決戦に於いても互角の戦闘力を発揮し、双方痛み分けで終わったという事実はまだ記憶に新しい。
そして今回。
リブラネスタに襲い掛かろうとしている災厄は、海からの魔物だ。
ここでエスト・ポーラ海軍を使わない手は無い。既に市議会内に於いて対南部強硬派は一掃され、全ての海軍将兵は穏健派が掌握している。今更、リブラネスタ海軍との共同戦線に否を唱える者も居ない。
こうしてエスト・ポーラ海軍は穏健派議員主導のリブラネスタ支援へと乗り出す運びとなった。
ところが――。
エスト・ポーラ海軍の第四軍船隊を指揮するナイジェル・サンクルス海兵長は、自身が船長を務める軍船ディアシール号の船室内で奇妙な報告を受けた。
「妙だな……グールクラーケンは先日の海戦の際に、リブラネスタ側に撃破されたんじゃなかったのか?」
「ですが、目撃証言がこうも続くと、単なる噂では片付けられません」
若き副官イオ・コールズも訳が分からないといった調子で、畏まった姿勢のままで困惑の表情を見せた。
イオがエスト・ポーラ海軍の情報分析担当から聞き出した内容によれば、エスト・ポーラとリブラネスタを結ぶ海路上で、特大のイカらしき魔物が出没しているとの由。
しかもその魔物が繰り出す長大な触手はいずれも腐敗が酷く、とてもではないが生物のそれではない、というのである。
幾つかの軍船は撃退に成功しており、グールクラーケン本来の強さには全く及ばないとの報告も入っている。つまり、本物のグールクラーケンではないのだろうが、それでもまぁまぁな強さの何かが海中に潜んでいそうだという訳である。
「困るなぁ、これからリブラネスタへの増援派兵だって時に……分かった。冒険者を雇って調査しよう。必要なら彼らの力を頼って撃破する」
「承知致しました」
そんな訳で、イオはエスト・ポーラ市内の冒険者ギルドへと足を運び、ディアシール号へと乗り込む授恵者募集の告知を打って貰った。
●やってやろうじゃなイカ
同じ頃。
リブラネスタとエスト・ポーラ間の海路近くに浮かぶ小島の白い砂浜上で、メドゥの指先に所属する死霊術師トッド・マイケルズはひとりぶつぶつと不満の嵐の真っ最中だ。
「畜生……何がグールクラーケンだよ。あんなの反則じゃねぇか。海棲魔獣のアンデッドっつったら、やっぱりダイオウイカゾンビに決まってんだろう。ダイオウイカゾンビこそが正当な海棲魔獣アンデッドだ。オイラがきっちり証明してやるよ」
そのうち、文句ばっかりいってるのにも飽きたのか、トッドはパチンと指を鳴らして背後を振り返った。
すると白砂を割って、地面の中から巨大な何かが現れた。
それは超大型のカニだった。巨大カニ魔獣のアンデッドである。といっても、鋏に該当する足が左右とも取れてなくなっているので、戦闘能力はほぼ皆無。要は、トッドが海上移動する為の足に過ぎないのだ。
巨大カニ魔獣アンデッドは波間に平べったい体躯を横たえ、甲殻イカダの様にゆらゆらと漂い始めた。その上にトッドが飛び乗ると、巨大カニ魔獣アンデッドは残った足を器用に動かして、海上を進み始めた。
「いくぜ野郎共……ダイオウイカのクールでナイスでファンキーなゾンビっぷりを披露してやろうぜ」
トッドが右手の中指を立てて海中の下僕共に指示を出す。ファンキーというよりもファッキンだ。
やがて、数体のダイオウイカゾンビが海面近くにまで浮上してきて、トッドが乗るカニイカダに並走する形でリブラネスタとエスト・ポーラ間の海路目掛けて移動を開始した。
ところが、その時。
「おぉ~い! トッドよぉ! ちょっと待てってぇ!」
不意に海上の別方向から思わぬ人物の声が飛んできた。
メドゥの指先幹部『青の中指』ジルベルが、必死にボートを漕いで近づいてくるのが見える。
幹部なんだから手下でも使って中型船ぐらいチャーターすれば良いのに、などと呆れていると、ジルベルはぜぇぜぇと息を切らせながら何とかトッドのカニイカダ近くまで辿り着いた。
「何スか、中指兄貴。オイラ超忙しいんスけど」
「いやお前、そういう呼び方やめてくれよ。まるで俺こそがファッキンみてぇじゃねぇか」
などと文句をいいながら、ジルベルは懐から出来損ないのオカリナの如き楽器を取り出して、トッドに手渡した。
「趣味悪いデザインっスねぇ。これで何やらせようってんですか?」
「猟姫殿からの贈り物さぁ。何でも超特大サイズのダイオウイカゾンビを用意したんだってよ。その名も、イカクサーっていうらしいぜ」
トッドは物凄く微妙な顔を見せた。聞き方によってはイカ臭い、とも取れる。
「ふぅん……まぁ、折角なんで使ってあげるっス」
「おめぇエラく上から目線だな……兎に角、渡したぜ」
それだけいい残すと、ジルベルは再びぜぇぜぇと息を切らせながらボートを漕いで去っていった。
解説
マスターより
リプレイ
真夏の船上は、結構な暑さだ。
雲が出ていない為に陽光を遮るものはほぼ皆無で、痛さを感じる程の強烈な陽射しが容赦無く襲い掛かる。
そんな中で、
「海ぃー! 船ぇー! バカンスぅー!」
と、気分だけでもリゾートな空気を味わおうと努めたキラリ=マバユイだったが、周りの雰囲気が微妙に冷めており、クソ暑い筈の甲板が何故かうすら寒い。
結局、はいはい分かりました仕事ですよねとぶつぶついいながら、キラリは途中まで作りかけていた蟹型疑似餌の完成に向けて、手を動かし始めた。
「時に副官殿、他の航路では巨大イカのアンデッドは現れていないのかな?」
今回冒険者達が乗り込んだエスト・ポーラ海軍船ディアシール号の副官イオ・コールズに対し、クラルスが手にしていた海図を指し示しながらそれとなく訊いてみた。
これにはキラリも興味を惹かれた様子で、疑似餌制作に熱を入れながらも隣りで聞き耳を立てていた。
イオは、他所の航路ではその様な報告は聞いていないとかぶりを振った。ということは、イカのゾンビ共は一定の場所を根城にして、その行動範囲内で襲撃を繰り返していると見て良さそうだ。
「成程……じゃあ死霊術師が居るのかな。まぁイカはイカでも、グールクラーケン……ではなさそうだね」
実際、あんなのがうじゃうじゃ居ては困る、と肩を竦めたクラルス。
キラリも半ば安堵した様子でほっと息を漏らした。
「だよねぇ。まぁでも、海の安全はきっちり確保しておかないと、新作の玩具の流通にも影響が……」
そこまでいいかけて、語尾がごにょごにょとくぐもった。変なことを口走って、私利私欲まみれだと思わるのはちょっと困る。
「イカは光に反応する性質があるって聞いたけど、アンデッドにも通用するかな」
キラリの疑似餌制作をぼんやりと眺めていたハーヴィが、ふと思い出した様子で誰に問いかけるともなく、そんな疑問を口にしてみた。
もし効果がある様ならエンライトで釣り出してやろうと考えた次第。釣るといえば今回、ハーヴィは母蜘蛛糸のロープも用意しているので、可能なら本当に釣ってみようかと目論んでいるらしい。
「釣り上げることが出来たら、イカ焼きにでもしてやりましょうか」
炎の魔術を得意とするルアンナ・ミュラーが、自信ありげに含み笑いを見せた。
が、キラリが思わず手を止めて、それはやめた方が良いんじゃないかと渋い表情。
「いや、だって……ゾンビでしょ? 絶対臭いと思う」
「右に同じ。間違っても試食しようだなんて思わない方が良いかな」
クラルスもキラリに同調した。新鮮な死体なら兎も角、出現の第一報が流れてから結構な時間が経過していることから考えて、既に腐敗が相当に進んでいると考えた方が良さそうだ。
「イカ墨ぐらいは、どうかなぁ?」
ぼそりと呟いたハーヴィだが、矢張りそれも、健康上ヤバそうなのでやめた方が良いという意見の方が大半を占めた。
と、そこへエスト・ポーラ海軍の第四軍船隊を指揮するナイジェル・サンクルス海兵長が、リサ・ベイカーと連れ立って甲板に出てきた。
つい今の今まで、ベイカー商会の代表としてサンクルス海兵長と挨拶を交わし、今後の展望について意見を述べ合っていたリサだったが、現在のエスト・ポーラ海軍は市議会穏健派の傘下にあり、対リブラネスタに於いても無謀な行動を取ることはあり得ないとの言質を得て、少しばかり機嫌が良かった。
「ところで、今イカ墨の話してました?」
リサが訊くと、クラルスとキラリが揃って微妙な顔を返してきた。
●自称ファンキーでエクセレントな死霊術師
不意に、頭上から敵影発見の声が上がった。
マスト上の見張り担当が、海面直下を接近してくる複数の影を捕捉した模様。
「イカのゾンビ共! 貴様らを全て叩き斬ってやるぜ!」
ルアンナから水上歩行の補助魔術を受けたアルベルト・V・シュタールシュヴェーアトが、リサの支援による強化で全身を淡い金色に輝かせつつ、一気に海面上へと飛び降りた。
そのすぐ傍らに、同じくフロマーシュ・ダイヤドロップも黄金色の光に包まれて続けざまに降り立つ。
「もし死霊術師が居るのなら、ジャマーが有効かも知れませんが……」
低く呟いてから、フロマーシュは甲板の手すり脇で身を隠す様に上体を屈めているライナ・フレイヴァルツにちらりと視線を流した。
フロマーシュに水上歩行を施術したのはライナだったが、そのライナも死霊術師の存在を疑っており、必要であればジャマーを仕掛けるタイミングを狙っているらしい。
「まさか、グールクラーケンが? ……いや、それはないか」
フロマーシュが甲板から飛び降りる直前、若干心配げな顔を覗かせていたライナ。流石に、あんな化け物がそう何匹も居る訳が無いだろうとは思いつつ、それでも矢張り多少の不安は拭えないらしい。
ともあれ、敵は姿を現した。問題はこのまま真っ直ぐこちらに突っ込んでくるのか、それとも一旦海中に沈み込んで姿を消して別のポイントから仕掛けてくるのかが、はっきり分からないところであろう。
その時、キラリが甲板上から釣竿の先端を勢い良く振り出した。釣り糸の先には、少し前まで頑張って制作していた蟹型疑似餌が結び付けられている。その疑似餌内の空洞には錘が仕込まれており、からからと乾いた音が鳴り響いていた。更に、疑似餌のすぐ近くに撒き餌用の網籠も括りつけられており、これが中々強烈な臭いを発している。
やがて着水した蟹型疑似餌は閃光塗弾の塗料が塗られていたらしく、海中内で淡い光を放ち始めた。
「ダイオウイカゾンビ誘惑ルアー、名付けてゾンビホイホイ蟹号です」
得意げに胸を張ったキラリだったが、そのすぐ近くの海面では、降り立ったハーヴィが光球を輝かせて低い姿勢を取っていた。イカの性質を利用したエンライトでの誘引に加え、鉄の棒を海中に突き刺して超聴覚での音探知を試みる。
上手くいけば、イカゾンビ共を一点に誘い込んでアーケインストリームでの囲い込みが出来るかも知れない。そうすれば、一網打尽にするのも容易いだろう。
まず反応があったのは、キラリの釣竿だった。どうやら海中の何かが、疑似餌に喰いついたらしい。と思った次の瞬間には、数本の長大な触手が海上に飛び出してきた。
「そこか!」
アルベルトが一気に波間を走り、刃を一閃させた。子供の胴体程の太さがある吸盤だらけの長い触手が、一瞬にして三本、叩き斬られた。
「……胴体は、そこですね」
次いでフロマーシュが、触手の出現位置から胴部の位置を推測して、ひと息に大剣の切っ先を突き込む。手応えは、十分にあった。
「あー! てめぇ、何すんだよ! オイラの可愛いゾンビが!」
どこからか、悔しげに唸る奇妙な若い声が飛んできた。
見ると、巨大な蟹をイカダの様に乗りこなした死霊術師らしき若い男が、顔を真っ赤にして怒っていた。
矢張り黒幕が居たか――アルベルトは海中から次々と現れる触手の群れを躱しながら、死霊術師の乗るカニイカダへと猛烈な突進を見せた。
「貴様が……!」
と、そこまで吠えかけて、アルベルトはふと小首を傾げた。そういえば、相手の名前を知らない。いつもならその勢いで、叩き斬ってやるぜと一喝するところなのだが。
「よくぞ聞いてくれた! 俺様はトッド・マイケルズ! メドゥの指先随一のナイスでファンキーな死霊術師だぜ!」
別に訊いてもいないのだが、とアルベルトは物凄く微妙な顔を返した。おまけに恐ろしく自意識過剰な死霊術師らしい。イカゾンビ数匹程度を操っているだけでメドゥ随一など、普通はそこまで自信満々にいえる様なものでもないだろう。
●イカクサー見参
甲板上で、クラルスはリサ、ライナ、ルアンナ達と顔を見合わせた。
ダイオウイカをアンデッド化したものと思しき巨大イカゾンビ共は、ハーヴィが仕掛けたエンライトに引き寄せられて一カ所に寄り集まり、アーケインストリームに絡め取られて身動き出来なくなっていた。
そこにルアンナの爆炎、クラルスとリサの魔矢、ライナの夜剣といった強力な遠隔攻撃が次々と叩き込まれ、巨大イカゾンビ共は本当に文字通り、一網打尽にされようとしていた。
「この勢いなら、ジャマーを使う程でも無かったか……」
ライナがそんなことを考え始めた時、カニイカダ上の死霊術師トッドが懐から何かを取り出していた。どうやらオカリナらしい。
らしい、というのは、トッドがその謎の物体を手にしたまま奇妙な行動に出たからである。
「あれはオカリナ……と見て良いんだよな?」
クラルスが訊くと、
「形だけ見ればオカリナ、ですね」
リサもどう答えて良いのか分からないといった調子で、小首を傾げる。
「しかし、何か違うな」
ライナもやっぱり、どう解釈して良いのかよく分からないと腕を組んだ。
トッドはというと、オカリナらしき物体を渾身の力を込めてぶんぶんと上下に振り始めた。するとシャカシャカと音が鳴り始めたので、あれはオカリナっぽい形状のマラカスではないかという疑惑が冒険者達の間で流れ始めた。
しかし、呑気に眺めてばかりもいられない。トッドがオカリナ型マラカスを振り始めた直後、ディアシール号の船体が大きく揺れた。船底に何かが激突した様な衝撃だった。
嫌な予感を覚えたクラルスとリサが船員達に、甲板の中央に寄るか、船室内に避難する様に指示。
すると、程無くして恐ろしく長大な触手が船べり沿いに海中から伸びてきて、冒険者達に襲い掛かってきた。その光景はちょっと貧弱なグールクラーケンを連想させなくもなかった。
「はっははは! 見たか! これがスペシャルダイオウイカゾンビ、イカクサーの雄姿だぜ!」
トッドの哄笑はしかし、そう長くは続かなかった。アルベルトに追い掛け回され、逃げるのに必死にならざるを得なかったからである。
この時、フロマーシュがディアシール号の舷側へと駆け寄り、ダイヤモンドにも似た輝きのエーテル光を放って誓いの言葉を投げつけた。
「我が誓い、必ずや成し遂げて御覧に入れます」
すると触手の一部が、まるで引き寄せられるかの様にフロマーシュへと襲い掛かる。これで、船体の揺れが少しばかり穏やかになった。
ここでライナがジャマーを仕掛けた。規格外サイズの超大型イカゾンビは、フロマーシュとライナの二重の策を受けてディアシール号からほぼ完全に、脚を離した格好となっている。
「今なら、反撃出来そうだ」
「ライナさん、もう少しの間だけ、敵の動きを封じておいて下さい!」
クラルスとリサが舷側側へと駆け寄り、それぞれの得物を振るって半ば棒立ちに近しい状態で動きが緩慢になっている触手に反撃を開始。
一方、ルアンナはコモンブレイクを発動して渾身の一撃を最も太い触手に叩き込んでいた。
●イカは散った
ライナがジャマーを解除した頃には、イカクサーはかなり弱っていた。
クラルス、リサ、ルアンナらの攻撃は触手の群れを徹底的に破壊し、その威力が本体にも伝播したのか、相当な打撃を与えることが出来ていた。
もうあと一息と見たライナは、闇の鎖と闇の霧を放ってイカクサーの動きを完全に封じた。
「目玉、見えました!」
ルアンナの言葉を受けて、甲板上の冒険者達と海上のフロマーシュがとどめの一斉攻撃を仕掛ける。目が見えたということは、胴部がかなり海面上にまでせり上がっているということだ。
この一気呵成の攻撃を受けて、桁外れの巨体を誇るイカクサーはあっさり轟沈した。
「えぇ、嘘ぉ! マジかぁ!」
アルベルトから逃げ回りながら、トッドが情けない悲鳴を上げた。アルベルトはアルベルトで、
「このクソ暑い中で、ちょろちょろ逃げるんじゃない!」
と、本気の殺意を叩きつけている。余程に暑くて、相当頭に来ている様子だった。
一方、ハーヴィが一カ所にまとめて封じ込めたダイオウイカゾンビ共は、キラリのビー玉連弾攻撃とハーヴィの光弾の雨あられを散々に喰らいまくり、揃って撃破されつつあった。
「あっちも、そろそろ決着になりそうですね! 加勢しましょう!」
リサの言葉を受けて、クラルスとルアンナ、ライナ達も残るダイオウイカゾンビ共の一掃に注力することにした。
やがて、イカクサーと総勢五体のダイオウイカゾンビ共は、片っ端から撃破されてその死骸が海中へと沈んでいった。
残るは死霊術師のトッドのみ。
「アルベルトさん、暑そうですね」
「脱水症状起こす前に、手助けしてあげましょうか」
ルアンナとリサは、汗だくでトッドを追い掛け回しているアルベルトが気の毒になってきた。
ならば任せておけとばかりに、ライナがここでも闇の鎖と闇の霧を放ち、トッドの足止めを試みた。するとトッドを乗せて物凄い速さで泳いでいたカニイカダが、ぴたりとその場で動きを止めてしまった。
直後、アルベルトの刃が一閃し、トッドを乗せて散々逃げ回っていたカニイカダは一刀両断されて海中に散った。
トッドはというと、その場で海中に放り出されたが、アルベルトに引きずり上げられ、そのままディアシール号へと連行された。
ディアシール号の甲板上で、クラルスが用意していたロープでぐるぐるに戒められたトッド。すっかり観念したらしく、この周辺海域でグールクラーケンの真似事をしていた事実を、素直に白状した。
「それはそうと、あのデカいイカ達はどっから連れてきたんだい?」
クラルスからのこの問いに対し、トッドは普通に浜辺に漂着した死骸を利用した、と応じた。過日の騒乱で海上決戦が行われた際、ダイオウイカの群れがその戦闘に巻き込まれて死んだのが、そのまま近くの海岸に漂着しただけの様だ。
「じゃあ、もう他に海路上を妨害するアンデッドは居ないんだね?」
キラリが念を押すと、トッドは自分以外にはこの近辺で活動している死霊術師は居ない筈だと、すっかりしょぼくれた様子で頷き返した。
であれば、もうこれ以上の心配は無いだろう。
「ふぅ……これで、エスト・ポーラも少しは汚名返上が叶ったでしょうか」
リサが大きく吐息を漏らして、僅かに肩を竦めた。
後は、このトッドを冒険者ギルドに引き渡して終了である。
と、それまで大の字に伸びていたアルベルトがふと何かを思い出した様子で、のっそりと上体を起こした。
「あのオカリナ……じゃなかった、マラカスは誰から手に入れた?」
「あれかい? あれは中指兄貴からだよ」
メドゥの指先幹部『青の中指』ジルベルからの支給物だと語ったトッド。
またあいつか、と幾分呆れた様子のアルベルトだが、熱中症にやられた今は、怒る気にもなれなかった。
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:標準8 / 4〜8人
2023年07月23日 22時32分01秒 公開
相談掲示板
ライナ・フレイヴァルツ、キャスターだ。 皆宜しくな。 それにしても巨大イカ…今回はダイオウイカゾンビのようだがまさか、グールクラーケンがまた復活したりしないだろうな…? 私は遠距離攻撃ができるので、行動不能や束縛を与えつつ各個撃破しようと思う。 範囲攻撃は使えれば、かな。 密集しているだろうか。
ウォーリアのフロマーシュ・ダイヤドロップと申しますっ。皆様よろしくお願いいたしますっ! 私は遠距離攻撃はあまり多くは使えませんので、シーザーロアで引き付けて皆様をお守りしていこうと思いますっ。 引きつける際に海に引きずり込まれないように気をつけたい所ですがっ。
一応シューターやっているキラリです。 よろしくお願いしまーす。 今回は討伐もだけど、調査も大事ということで僕はそっちの方に力を入れようかな。 なんかうまい事イカちゃんをおびき寄せれるような方法でも考えてみるよ。 現状、何も思いついてないけど……。
キャスターのハーヴィだよ、よろしくね! えーと、とりまウォーターウォークはあった方が良さそう? 特にシーザーロアで引きつけるなら、あると便利かなって思ったり。 他にイカの引き寄せ方法があるといいんだけど、今のところ浮かぶものと言えば、アーケインテンペストを敵周辺を囲うように配置して囲い込み…….とか? PL情報になっちゃうけど、オカリナっぽいものを吹くことでイカクサーを呼び寄せるのかなって思ったから、僕たちもオカリナを吹いてみるのもいいのかな、って。
キャスターのルアンナです、よろしくお願いします。リブラネスタは絶対に護り切りましょう!! 私もウォーターウォークを持って行きます。引き寄せは…イカには光に反応する生態があるんですが、ゾンビになってしまった状態でも出来るかどうか…。 死霊術師は乗ってるカニから落としてしまえば簡単に無力化出来そうですし見つけたら狙ってみます。
ゾンビもののゾンビって反応するのが光だったり音だったりするし、ワンチャンいけるかも? これもPL情報だけど、主人?の死霊術師がカニに乗ってるから、カニに付いてくる習性とかあったりしないかな……? とりあえずカニの模型に音&光を出すようなものを作ってみようかな……。 あ、戦闘はちょっと僕は微妙な戦力なので、弓でちまちまと甲板に乗ったり船に張り付いている触手に向けて、剥がす程度の攻撃をしていきます。 船員とお船、大事。ってことで。
ウォーリアのアルベルト・V・シュタールシュヴェーアトだ。 よろしくな。 水中にいるイカ共を『衝撃刃4』で斬りまくってやるぜ、運良く姿を現したら『千鳥雷切斬』で叩き斬ってやるぜ! トッド・マイケルズが現れたら蟹もろとも斬ってやろうかな。 あと、キャスターの皆様には『ウォーターウォーク』をお願いします。
ヒーラーのリサです。よろしくお願いします。 エスト・ポーラの名誉挽回のためにも頑張ります。 わたしは、取り敢えず攻撃手段は魔弓ですかね。 回復も持っていきますが、より攻撃的な方が良いですかね?
No.9
すまん遅くなったな。ヒーラーのクラルス、よろしく。 ウォーターウォークはありがたいね、すまないけどお願いするよ。 俺も回復は持つが、現状で射程がないので弓を持とうかはちょいと考え中だな。
人数が埋まっているようだな。 改めてみんなよろしく頼む。 私もウォーターウォークを持っていくかどうか迷うな。 3人だと流石に過多だろうか? 其の辺りはハーヴィさんとルアンナさんと相談したい所。 それと、アンデッドや死霊術師相手ならジャマーが有効かもしれない。 確か死霊術の精度が落ちると記憶している。 2人以上いれば更に効果を増したと思うから、 特段持っていく汎用スキルがないなら持って行ってもいいかもしれないぞ。 死霊術師との繋がりもそうだが、ゾンビの動きも鈍って戦いやすくなるかと思う。 戦闘中でも使えるので攻撃の合間を見て使っていけたら。 (持続ラウンド5)
8人揃いましたね! 私からも改めまして、よろしくお願いいたしますっ! なるほど、ウォーターウォーク…! それも利用して引きつけていけば船への攻撃も軽減できそうですっ! また、ジャマーは私も用意できますので、ご入用でしたらその時はっ! あと、特性はシーザーロアの他には、殺界での足止めか、カバリングでもしもの時に皆様をお守りできるようにしていこうと思いますっ。
わ、8人揃ったね! 改めてみんな、宜しくね! そだなぁ、ウォーターウォーク×3は流石に多いかも? もしライナさんとルアンナさんが他に特別やりたいことが無いようなら、僕、ちょっとエンライトを試してみたいかも。 ルアンナさんの言う光での引き寄せ、やってみても良いんじゃないかなって思って。上手く行けば御の字だし。 他のスキルは今のところ、攻撃重視で揃えるつもり。 ジャマー良さそうだね。生憎と僕は持つことが出来ないから、他の人にお願いしたいな。 カニの模型とかも面白いなって思う。作業の手が必要そうなら手伝うから、遠慮なく言ってね。
確かに8人に対してウォーターウォーク要員が3人は多いですし、良いと思いますよ。 ハーヴィさんのエンライトに引き寄せられてきたら集中攻撃してみますね!
エンライトは試してみてもいいと思う。 そしたら私とルアンナさんでウォーターウォークを付与するようにしようか。 最初の付与まではいいが、効果切れのタイミングで再付与をしないといけない。 そのためにまた船まで上がってもらうと背中を見せることになりそうだから…、 私が下に降りよう。 なので下で行動し続ける人たちは効果切れが近づいてきたら近くに来てくれ。 効果切れのリミットは10分だ。 一応、万が一ということもある。船の上で行動する人たちにロープ等を用意してもらって 下で行動している人たちの引き上げの準備をお願いしたいかな。 多分、大丈夫だとは思うのだが…
ライナ様が再付与のために降りてくるのですか!? でしたらそのタイミングを狙われないように、カバリングで再付与してもらう方共々お守りいたしますっ! できるだけ急いで間に合うように、チャージングで駆けつけるようにもいたしますのでっ!
個人行動ですけど、まずは ウェイブ・オブ・インフィニティロア で支援させて頂きますね。 戦いは、取り巻きを狙う感じで動こうかなと思ってます。 あとは、臨機応変ですね。
明日出発で僕はこれが最後の顔出しかなー。 とりあえず、僕は宣言通りに調査とかおびき寄せとかを中心にして動くよー。 具体的にはでかいカニの模型を作って、それに蛍光塗料を塗ったり、中に錘を仕込んで音がなるように細工して、それをルアーみたいにする感じかな。 まぁ、力づくで引っ張られたりしたら危ないから、針は付けないけど。 なるべくアフターケアは出来るようにしたいかな、って感じ。 戦闘に関しては……甲板でちまちまと船員さん助けたり、張り付いてきた触手を攻撃したりぐらいしか出来ないかな。 そんな感じでよろしくお願いします
No.18
間が空いてすまないな。 ロープの用意ね、俺は船の上をメインでいこうと思ってたので用意しておくよ。 リサ嬢がインフィニティロアで支援してくれるようだし、被らないように俺は初手からは支援スキル以外でいこうかと思ってる。