【呪拓】疑うべきもの、来訪する人

狐野径

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シナリオID:3054

オープニング

●合流
 フィルエス大森林、灰火の氏族とある里。
 カカオを育てたいという子どもたちを連れて、シグモル火山帯での調査に行っていたウル・ヘルバは帰って来た。
 それぞれ家に送り届け、ここので滞在場所となるグレイオンスの家に向かった。
 ウルが赤子の時に拾った人がグレイオンスに押し付けた結果、ここで育ててもらったため故郷と言って等しい。

「ただいま、グレイ……いる?」
 ウルは扉を静かに開ける。
 グレイオンスは「お帰り」と迎える。
 ウルは、グレイオンスのテーブルの向かいに立つと、雰囲気から問う。
「何かあったのか?」
「話が長くなるから……まず、調査はどうだった?」
「神具なんてないから、温室作りやカカオ発芽の確認とか一つ一つクリアしていく必要がありそうってことでまとまった」
「そうか」
 ウルは荷物を置いたりして、話を聞く態勢を整えた。
 茶を淹れてグレイオンスの向かい側に座ったところで、話が切り出される。
「実は――」

 冒険者に頼んだ聖鳥の氏族の方に物資輸送の依頼であったことについてだ。
 荷物運び自体は問題なくできたのだが、里で、不審な行動をする老エルフがいたという。
 その人物は、大森林では珍しいが、外では一般的に流通する茶葉に毒を含ませ贈った。
 また、冒険者たちが運んだ荷物に、葉の付いた枝を複数入れていた。
 それと関連しているかわからないが、ヤギのような魔獣が現れたという、

「ウル、この葉に見覚えは?」
「あー、これ、森の南の方で見たぞ。珍しくもなんともない」
 ウルは「前、植物が枯れたときあるだろ?」と二年ほど前にあった、フェンヌ・ダーニが起こした事件のことを言う。
「あの辺にもあるぞ……まぁ、普通に生えすぎてわからないかもしれないけど」
 ウルの説明を聞いてグレイオンスは「なるほど」とつぶやく。

 不審な行動をとったエルフは魔獣に襲撃されたのか、瀕死でどうなるかわからないという状況だという。

「その枝の葉を魔獣が食べるということはありうるか」
「あるんじゃね? 家畜ヤギでいいなら、実験できるし、ここで」
 ウルに言われて、グレイオンスは里に放置されているヤギを思い出す。
 ヤギがいる理由は、赤子のウルを拾った人がヤギを買ったけど旅するから押し付けていったというもの。その結果、里の周辺でうろうろしている。

「これ以外に被害の情報はない」
 事件があった里や関連する氏族の者も動いてはいるが、まだめぼしい情報はない。
 グレイオンスは話が終わったところで、ウルに伝えるべきことを言う。
「ウル、モルアモの巫女が相談あるから来たと言っていた」
「え? どこにいる?」
「火山に行っていつ帰ってくるかわからないと伝えたら帰った」
「……そりゃ……そうだな。わかった、行ってくる。ついでに、枝取ってくるわ」
「今日はお休み」
「その前に飯!」
 ウルは台所を見て、グレイオンスをキッとにらみつけ、外に出るのだった。

●モルアモにある墓
 モルアモの巫女ファシオは眉間にしわを寄せる。
「嫌な話が多いのう」
 散歩がてら里の外れ、墓があるところに行く。
 木がなく、原っぱのようなところ。

 そこの外れ、目印となる石の前に立つ。
 冒険者にはフェンヌ・ダーニという名で通る女性の墓。
 近くには、その恋人だったハーフビーストの男と、生まれてすぐに死んだ子の墓もある。

「なんというか……あちこちにぎやかじゃ……」
 ため息交じりにいう。
 相手の生前、年齢が近いだけで友情をはぐくんだわけではない。
 しかし、事件があったことで考えることはたくさんあった。
 彼女の死後、何となく、話をしに来ることがある。

 世界樹がイダ・バルダスに乗っ取られていたという事態があった。
 ハイアルヴに伺いを立てていた巫女であるファシオにも影響はしている。
 イダのお告げだったとしても、ファシオやその周辺では、被害は出ていない。
 幸いだったと言える。

「力を失った世界樹が我らを力としたのは……なんといえばよいかはのぉ」

「それについてです」
 不意に、聞き覚えのない男の声がした。
「誰じゃ!」
 ファシオは声のした方を見る。
 そこには、自分と年代が近そうなエルフが立っていた。
 その背後には巨大なヤギが控える。

「世界樹の声を聞いて違和感を覚えない巫女、世界樹がしたこと、それをどう思いますか?」
「……嫌なことを言ってくるのう」
 ファシオは苦虫をかみつぶしたような顔になる。
「大体、ややこしいことが多すぎるのじゃ」
「そうですね!」
 あっさりと相手が認めたため、ファシオは疑わしそうに見る。
「結局、大森林の外から人が入ってこなければ、そういうことは起こらない、と思いませんか?」
「そういうこと……か?」
「そうでしょう?」
 一理ある、とファシオは考えたが、
「とはいえ、そう単純なことではないのう」
 と、冷たく言い放つ。
 フェンヌが愛したのは里や森の外の人間だ。
 ファシオ自身、里や大森林の外の人間に会って、助言をもらったり助けてもらっている。

 男は残念そうに笑う。
「ああ、あなたにもお誘いしようと思いましたが……無理そうですね」
 魔法を用い、近くの木から葉をたたき落とす。

 葉は舞う。

 巨大なヤギたちは鼻を動かし、喜びそれを食べようと動き出す。

「おい! 待つのじゃ!」
 ファシオは男を追おうとしたが、葉を食べるのを楽しみに来る巨大ヤギたちに押しつぶされそうになり、逃げるので精一杯になった。

●冒険者たち
 ウルは冒険者ギルドで人を募ってから、モルアモに向かった。
 冒険者に頼んだのは、ヤギが好む木の葉集めのためであり、魔獣との遭遇を危惧しているためだった。
 大森林のどこに魔獣がいるかわからないため、対応できる人が多い方がいいだろう、と。それに、ウルが動くだけではわからない情報を得られるかもしれない。

 何度か来たことあるため、里人も挨拶の後「ファシオさんは今あっちにいますよ」とすぐに教えてくれる。
「ありがと。俺のいないときに、ファシオが来たって」
「何か聞きたいことがあるとか言っていたけど……本人に聞いたほうが確実だね」
「わかりました。ありがとございます」
「いえいえ」

 ウルはそちらに向かおうとしたとき、何か音を聞いた。
「動物、結構、大きいのいっぱいいる?」
 里の人は「え? そんなのいませんよ」と驚く。
 ウルや冒険者には魔獣の件が過る。
「おい、頑丈な建物……というか、隠れてろ!」
 ウルは冒険者と共に先に急いだ。

 ヤギの魔獣だ。
 大きいのは牛くらい、中くらいいはポニーくらい、小さいのは中型犬くらい。
 それらは、一心不乱に落ちている何かを食べている。

 その真ん中当たりに見え隠れしているのは、人だ。
 大声で呼びかけたい気もするが、そうすれば気づかれてしまう。

 その人とどうコンタクトを取るか、また、どうやって魔獣を追い払うか。

解説

●目的・目標  ヤギのような魔獣の排除。  ファシオの保護。 ●場所  木が生えていない、原っぱのような所。  それなりに広いが、魔獣ヤギの数を考えると、冒険者やNPCが入り乱れる状態になる危険性が高い。  一応、墓があることになっている。自然に任せているため、例えば十字架が立っているとか、立派な墓石が立っているといったことはない。 ●魔獣ヤギ  ・巨大、3体  サイズ2に近い。  踏みつける、角または頭で付く。噛みつく。突進。  【???】何かスキルは持っていそう。  ・中くらい、6体   角当てや頭突き、噛みつく。突進。  【???】 何かスキルはもっていそう。 ・小さい、12体  突進してくる。軽やかに回避。噛みつく。  【じゃれつく】 攻撃しづらいという点だけでなく、BS「凶運」付与。抵抗可能。 ●NPC  ・ウル・ヘルバ 冒険者と行動を共にしている。  一対一での戦いや防御系は得意。  ・ファシオ モルアモの巫女。一般人と言って差し支えない。  住んでいる周辺の巫女や覡から聞いた噂について相談したかったらしいけれども、現在、魔獣に囲まれているし、核心に近そうな人物の接触を受けた。  ・??? エルフ、男。  魔獣ヤギをけしかけた後、立ち去っている。  現在明白な目撃者はファシオのみである。

マスターより

 こんにちは、狐野径です。  前回「【呪拓】老エルフの行方、魔獣の噂」、老エルフの行動の謎が残りつつも、里の人たちは守り切りました。  今回は何か情報を持っていそうなファシオが危険な状態になりました。  キーになりそうな人物はいましたが、立ち去っていますが、魔獣はたくさん残りました。安心のためにも討伐が大切です。  よろしくお願いします。

リプレイ

●接触
 ライナ・フレイヴァルツは里が近くなると、以前来た時を思い出した。
「モルアモに来るのは随分久々な気がする」
 フロマーシュ・ダイヤドロップも同意する。
「そうですね。モルアモ……こちらに来るのは久しぶりです」
「ヤギが好む木の葉集めの依頼ということだが……」
 二人は依頼が出た状況を聞いているが、状況を見てみないとわからない。
 魔獣自体が問題か、違う意味があるか――情報が不足している。
 依頼の状況としては、木の葉から何か手がかりから得られるといいということなのだろう。フィルエス大森林中を探し回るのではなく、捜索範囲を絞るために。
 のんびりした雰囲気は里に着くまでで、すぐに事態が動いた。
 何かが現れたらしく、そちらに行くと、魔獣のヤギがたくさんいた。

 その魔獣を以前見たトーラが断言する。
「聖鳥の氏族の里近くで見た魔獣です!」
 魔獣の生態が不明だが、戦闘になると数やパワーは厄介である。
 ウルも他の冒険者も伝聞という形でしか聞いていないが、状況がよくないことは明らかだった。
 ライナは「なるほど、こういう事態か」と臨戦態勢を整える。
 里の人の話によると、巫女のファシオがここにいるはずなため、フロマーシュは「魔獣に襲われている方がいるのですね!」と超聴覚や戦術眼で状況把握に努める。

 ファシオがいるならば救出も必要だし、魔獣を討伐または追い返す必要もある。里があるためだ。
 近づくにしても木はあっても、魔獣の周りにはあるとは言えない。
 ライナは思案する。
「ヤギたちは随分葉を一生懸命食べているようだが……その習性をうまく使えないか?」
 自分たちが近づく時に使えるかもしれないし、草の取り合いになれば魔獣ヤギ同士がぶつかる可能性もあるかもしれないと考えた。

 アンジェは魔獣の状況を見て、心が痛む。
 動物は好きだ。一方で、問題が起こるのも悲しい。
「……ヤギさん、大きい子と中くらいの子と小さい……魔獣だから、倒さないと、何ですね……」
 ウルが少し考える。
「いや、共存が可能なら、倒す必要もないんじゃね?」
 生きる場所が互いに侵食するともめる。
 今がその状況なのかもしれないし、違う状況かもしれない。
 里の方に魔獣が大挙することを防ぎ、ファシオの無事を確認することが重要である。
「つまり、状況的には全滅させなくていいわけだ」
 アンジェは「……はい」とうなずいた。
「……アンジェ、にも、できることがあれば……」
「あるからいんだろ」
 ウルがカラッと笑うと、前に出て盾と剣を手にした。

 トーラは「まずはファシオさんを助けましょう!」と声をかける。
 ヤギは食事を大いに楽しんでいるようなので、静かに近づき、状況を変えたかった。
 天眼を用い、使いたいスキルの距離を考えファシオを捉える。

●撃退
 ファシオは魔獣たちに囲まれてどうしていいか困った。
 攻撃はしてこないが、食事の邪魔と捉えられた瞬間、どうなるかわからない。
(ちっこいの一体ならどうにかなるが、このでかいのは……踏まれたらしまいじゃ)
 数も多いから、いつ因縁をつけられるかわからない。
(里に行かれても困るしのう)
 どうしていいかわからず、冷や汗をかきながらただたたずんでいた。
 里の方から誰か来たようだった。
 魔獣たちで見づらいが、見覚えのないエルフらが見えた。
「冒険者か……?」
 ファシオは冒険者に声をかけようとしてやめた。
 近くのヤギの角がこちらを向いた。

 ライナはウルに「ファシオさんを保護したら、ウルさんにそのあと頼めないだろうか?」と尋ねる。
「もちろん、それはする」
 ファシオだけでなく、アンジェの位置によっては守る必要あろう。
 ヤギの魔獣の大きなものは力も強そうだ。
 移動を始める前のトーラが念のために言う。
「それに、里の方に行くのを防がないとなりません」
 フロマーシュが「私はその前に出ますので、トーラ様も守ります」念を押した。
 この間に【堅甲】を自分にかけて置く。余裕があれば他の人にも掛けたいところだが、急を要した。
 アンジェが【ハウリング・オブ・ブルーフレア】を用いた後、冒険者たちは行動を本格化させる。

 ライナは前に進みつつファシオの位置を捉える。
「囲まれることになるな」
 トーラがスキルを使うとしても、危険が伴うかもしれない。それを防ぐ必要もあった。
 魔獣のヤギたちは葉を食べるのに夢中だが、周囲の動きに気付き出している個体もいる。
 トーラが「今、お助けするので、スキルに抵抗しないで身を任せてください!」とファシオと声をかけ【プリズムシャドウ】を発動させた。
「何があるんじゃ!」
 と、ファシオが驚いた直後、トーラがいた位置に移動していた。
 魔獣は驚き、トーラに頭突きをする。
 小さい個体は驚いて遠巻きになる。
 トーラは回避を試みる。
 ライナはそのタイミングで【晦冥の燐火】を放つ。トーラの安全を確保するために。
 フロマーシュはチャージングを用い、トーラのそばに寄り、守れるようにした。
 アンジェは様子を伺い、どうすると魔獣たちを移動させられるか考えた。
 また、ファシオが現れたところにウルがチャージを用い近づく。彼女をかばい、魔獣を警戒した。

 フロマーシュは後方に魔獣を行かせないように位置を整え【真殺界】を展開した。
 トーラは魔獣に触れて動物交感をしたいが、乱戦状態になっており難しい。
「操られているのか、ただ、木の葉を食べるのを邪魔されているから怒っているのか……」
 大きなものがトーラを踏みつぶそうと前足をあげる。
「落ち着いてください!」
 回避するが、激しい地響きと、周辺への衝撃が走る。
 フロマーシュが「範囲攻撃ですね」と反応を示す。
 範囲に入った物に対して、フロマーシュの殺界による攻撃が入る。
 すでにダメージが入っていたこともあり、小さな個体は倒れる。

 ウルはアンジェのところにファシオを連れて戻りたい。里への侵入経路を考えると、守るべきところはそこだ。ただ、近くにいる中型の魔獣が攻撃を仕掛けてくる。
「ちっ」
 応戦および防御が必要だ。
 ファシオは「わしはどうする!」と問う。
「アンジェのところに走るか、俺の後ろ」
「とりあえず、ここにおる!」
 移動せず、ウルの後ろに待機した。

 攻撃を受けていた魔獣ヤギたちは、近くの冒険者に向かう。
 一方で、離れているところのものは、様子を見ているようだ。

 大きなヤギが攻撃すると中くらいのヤギも追従する。
 また、小さなヤギも逃げないで冒険者に向かってくる。じゃれつくような動きだ。

 ライナは魔獣たちの関係性が見えてくると大きいもの同士ではどうだろうかと疑問もわく。ただ、冒険者より魔獣の数が上回っていることや、乱戦に近い状態である現在では、確認する余裕はなかった。
 里寄りにいる魔獣は倒すべく【晦冥の燐火】を放った。
 トーラが近くの魔獣にトリプルファングで攻撃し、とどめを刺す。
 また、フロマーシュは状況を考え、【闘気槌3】を放つ。弱っていた魔獣は倒れる。

 アンジェは食べている葉がどの辺りの物か考え、試しに、メテオライトで落としてみる。
 その音に驚いて、一部の魔獣ヤギが森に引っ込む。
「……え……?」
 一方で、落ちてきたものに気付いて、引き寄せられるのもいた。

 トーラは魔獣の状況を考える。
「この魔獣、戦いをしたいというわけではないのでしょうか?」
 ライナは眉を寄せる。
「だが……怒りを鎮めてもらうにはどうするか」
 すでに交戦状態になっているため難しそうだ。
 回避専念で対峙するとしても、数が少ないわけではない。
 また、魔獣自体の詳細が不明だ。例えば、鳴き声に魔法的な作用があるかもしれないと、トーラが特に鳴き声に注意を払っているように。

 冒険者たちは、魔獣ヤギに対して、森に逃げるものは追わず、里に向かうものは倒すという行動。
 その結果、徐々に状況は落ち着いた。

●情報
 トーラは倒れた魔獣を見て、状況を考える。
「あの魔獣は一体何なんでしょうか……?」
 葉で誘導されている形跡はあるが、魔法で操られている雰囲気ではない。
 食べ残されて落ちている葉をトーラは手にした。
 複数の種類の葉があり、その中に先日見た物もあった。
「これが好きなのでしょうか?」
 食べた跡を見ると、色々食べるようだけれども好きなものはあるはずだ。
 周囲の木を見ると、複数の種類の木がある。
 聖鳥の氏族が住まうところと植生は違う。

 アンジェはおずおずと「ファシオさんにお話し、聞くんですよね?」とウルたちに問う。
 ファシオがハッとして「あやつが連れてきた感じがするのだが」と唐突に言う。
 ライナが「あやつ?」と問う。
「そうじゃ! キツネ! 相談があったんだ」
「ファシオさん、まず、落ち着きましょう!」
 トーラがファシオの腕に触れた。
 ファシオは「そうじゃの」と言い、動きを止める。
 フロマーシュが「お怪我はありませんか?」と尋ねる。
 ファシオは「すまぬ、ありがと」と大きく息を吐き、しゃがみ込んだ。
 フロマーシュがしゃがんで様子を見ると、
「安心して力が抜けただけじゃ」
 と、ファシオは苦笑した。
「順を追って話そう」
 ファシオは考えを整理した。
「わしがウル(おぬし)を訪ねたのは、この辺りの巫女や覡仲間から妙な噂を聞いたからだ」

 世界樹への不信と外の世界への不審を語る――。
 また、少し前までは、世界樹(ハイアルヴ)を中心に外の世界とは距離を置いていたのではないか。お告げだって疑いは持たなかっただろう? 外とつながるようになり、先日どうなった?
 土地を蹂躙されたし、お告げは外のモノがしていた。世界樹は我らの命を奪った。あの時の無力感はどうだ?
 だから、エルフは外と縁を切り、この大森林で暮らす方がいいのではないだろうか?

「こういうふうに説いて回る輩がいるという話じゃ」
 ファシオが聞いたことは、大森林のエルフたちの暮らしのこれまでと最近の状況を知っていれば理解できる内容だ。

 ライナは状況に不審を抱くのは理解するが、「外と縁を切るというのは飛躍ではないか?」と漏らす。
 フロマーシュも、それを継ぐように言う。
「私もそう思います。不穏なことはこもっても、交流があってもあるでしょうから」
 大森林だけで完結する生活であっても、外と交流が盛んでも、どちらも功罪がつきものだ。
 明確な状況としては、イダ・バルタスの影響で世界樹が力を失い、大森林にいるエルフや動物など(生き物)をエーテルとして吸収したことや、それにより大切な人を失った悲しみは底が見えないほど深いことだろう。

 ファシオが「そうだろうのう」とため息を漏らす。
「あやつが言わんとすることに理解もできるが、主らが言うように飛躍じゃ」
 ウルが「で、噂を聞いて俺んとこきた?……俺よりも、グレイに話せばいい話じゃね?」と首を傾げた。
 グレイオンスは大森林のエルフの最古老の一人であるのだから、相談するならば適任だろう。
「……苦……いや、まぁ……うん」
 ファシオが言いよどむが、冒険者の中には「グレイオンスが苦手」ということが伝わったかもしれない。
 ファシオは咳ばらいをして話を進めた。
「あのヤギどもをあやつがつれて、さっき来たんじゃ。主らが来てくれて助かった」
 ファシオは頭を下げる。
 アンジェが「……どういう、人、なんですか?」と問う。
「名前は聞けておらん。勧誘に来たのじゃ、人を集めて、ひと悶着起こしたいのかのう」
 トーラはハッとした。先日の老エルフの行動がここに結びついた。
「すでに一緒に行動している人たちがいるのかもしれません。聖鳥の里で茶に毒を仕込んだものを置いていったエルフ(おじいさん)もそうかもしれません。茶葉は森の外では一般に流通しているものです。小さいですが、そこに不審を持つきっかけとならないとは限りません」
 冒険者が持ってきたものも外の物になりうる。
 グレイオンスが介在しているとはいえ、冒険者という外の者の手を経由しているためだ。
 アンジェはファシオに聞いた。
「……あの……その、ヒトは、どういう、特徴、があり、ました、か?」
「身長は高かったのう、後、わしと同じく……70歳前後かのう……髪は白か、薄かった。それと、あの飾りは特徴的だが……よく見えんかった……髪をこう束ねて、こうしてこう……覡かのう……いや、氏族によっても違うし、特徴なんてあってないのう」
 ウルが思わず、つぶやく。
「……曖昧なのはわかったが、特徴ないとかいうなよな……」
 それでも、注意すべき人物や集団があるということは明らかになってきた。

 冒険者たちは予定通り枝を採取し、グレイオンスがいる里に向かった。
 ここであったことをグレイオンスに伝える。
「分かった。皆が無事でよかった。そういう人物がいるという注意を促そう」
 必要なことは請け負ってくれた。

 なお、木の枝を通常のヤギで食べるかどうか試したところ、喜んで食べた。
 魔獣ヤギはヤギの習性を持っている可能性はあろう。
 それがどこに住んでいるかなどはこれから調査がいるだろう。
 今回の依頼は完遂された。

マスターコメント

 ご参加ありがとうございました。  ファシオが冒険者のだれを見つけるかを身長で決めました。ウルが一番高かったので除外しました。  魔獣討伐に関して、的確に押さえる所をおさえつつ、対応していただけました。魔獣も生き物……改めて思いました。  不審人物の目的、賛同する人の数は……不明な点もありますが、徐々に解決に向かうといいと思います。次、進みます。  ご縁があれば、お会いしましょう。
ショートシナリオ

ショートシナリオ普通 報酬:標準4 / 4〜8人

2023年07月08日 01時16分20秒 公開

大成功

相談掲示板

  1. ライナ・フレイヴァルツ

    ライナ・フレイヴァルツ、キャスターだ。よろしく頼む。 魔獣ヤギ、数が多いな。 数が多いうちは、範囲攻撃で蹴散らしておこうかなと思っている。 巨大なヤギ相手には、他にどんな攻撃をしてくるかは読めないし 【束縛】を付与して動きを鈍らせてみる。 あとは、成立すると良いのだが。

  2. フロマーシュ・ダイヤドロップ

    ウォーリアのフロマーシュ・ダイヤドロップと申します。皆様よろしくお願いいたしますっ! 小さいのが12、中くらいが6、巨大なのが3、ですね… これだけ多いと一匹ずつ引き付けている余裕はありませんし、殺界で近づかせないようにしてお守りしていこうと思いますっ。 あと、中くらい以上が持っている謎なスキルも気になりますし、念のため私も範囲攻撃に加えて、遠距離への攻撃手段も用意した方がいいかもしれませんっ。 ともあれ、少なくともあと2人来ていただければ良いのですが…

  3. トーラ

    シーフのトーラです。 よろしくお願いします! あとひとりで成立ですね。 とりあえず、ファシオさん保護であればプリズムシャドウで位置を入れ換えれば、ヤギの只中からは抜けれますので持っていこうと思います。 あとは敵の只中に入りますから、前衛として戦えるようにしようかと。

  4. ライナ・フレイヴァルツ

    マーシュに、トーラさんも。来てくれて有難う、宜しくな。 ファシオさんの保護がまず優先的に…だな。 プリズムシャドウ…使用者を見るのは初めてなので効果を知らなかったのだが、 瞬時に位置を入れ替えれるのはかなりの強みだな。頼りにしている。 きっとその後トーラさんが集中攻撃される可能性が高いから、 対象識別でまずはヤギの範囲攻撃を優先するよ。 それにしても、ヤギたちは随分葉を一生懸命に食べているがある意味戦闘よりも、 食べ物(葉)が上からちらつけばそっちに意識がいきそうだよな。 そのあたりの習性ももしかしたら使えるかもしれないな。

  5. トーラ

    あと一人来て貰えると良いのですけれど……。 敵の数も多いので範囲攻撃などで減らしていきたいところですし、ライナさんの魔法とフロマーシュさんの殺界は頼りにさせて頂きます! その分、単体への攻撃は力を入れるようにしますので……!

  6. フロマーシュ・ダイヤドロップ

    位置を入れ替える…それでファシオ様を救助した後にトーラ様が狙われた際にもお守りできるように、チャージングからのカバリングでもお守りできるようもしていこうと思いますっ。 そして、ヤギたちは食べ物で引きつけられるかもしれないのですね…? 使えそうな物も用意できれば持っていきたい所ですっ。

  7. アンジェ

    ぎりぎりに、ごめんなさい…。 …あの、…アンジェ、です。ヒーラー…、です。 よろしく、お願いします…。(ぺこり) 回復、してます。 それから、ハウリング・オブ・ブルーフレアとか…。

  8. トーラ

    成立ですね! アンジェさんよろしくお願いします! ヒーラーの方に来て貰えたのはすごく心強いです!

  9. ライナ・フレイヴァルツ

    アンジェさん来てくれて有難う。 無事成立して良かった…皆の協力に今一度感謝を。 回復も勿論だが、ハウリング・オブ・ブルーフレアも心強いな。 明日のお昼には出発だから、プレイングの提出を忘れずにな。

  10. フロマーシュ・ダイヤドロップ

    アンジェ様も来ていただき、ありがとうございますっ! トーラ様も来ていただいたのにご挨拶忘れていて申し訳ございません! ともあれ、お二人もよろしくお願いいたしますっ! ヒーラーの方が来ていただけるのは私も心強いですっ! その分、頑張って皆様をお守りいたしますのでっ!

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0