【恨縁】炎狼の急襲
広大野人
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シナリオID:3001
オープニング
とある屋敷の一室に一組の男女。
夫婦でもなければ恋人でも愛人でもない。かと言って、仕事の関係でもない。二人を結んでいるのは思想だった。共に同じ目標に向かう『同志』というべき存在。
「新たな入植地を選定する為に、幾つかの集落が邪魔になっている。いずれも、ヒューマン以外の連中が群れている所だ」
男の話に女が口元を緩めた。
「邪魔ならば駆除すればいいだけの事よ。あの時のようにね」
ヒューマンこそが全ての存在の頂点に立つべき……それが二人の思想だった。
ハーフビーストやハーフリングは家畜の域だ。使えるうちは飼う。使えないものや気に食わなければ処分する。そして、ゴブリンとリザードマンは家畜ですらない。
「これが邪魔になっている集落のリストだ。順番は任せるが、襲撃後は手筈通りに兵を派遣させる」
「分かっているわ」
そう応えた女性は短い緑色の髪を揺らすのであった。
●???
国境を幾度も脅かし続けたメドゥの指先『赤の親指』ミュルコレオは1体の蟻亜人と共にリザードマンの集落に訪れていた。
蟻亜人には集落の外れで開墾作業に勤しむように命令。そして、自身は時折、集落に訪れては『条件に合う』人物を探す。この集落は国境に近く、王国から逃れて来た犯罪者や出奔者が一時的に身を隠しているのだ。
「……」
朽ちかけた家の傍で座り込んでいるヒューマンの青年をミュルコレオはみつけた。疲れ切った目は虚ろで今にも死んでしまいそうだ。
ミュルコレオは青年の真横に座ると優し気に声を掛ける。
「前からいるようじゃが……このまま、死ぬつもりか?」
「……ほっといてくれ」
気力の無い返事だったが、言葉が返ってくるだけマシというものだ。
本当に死を前にしている者は、そもそも返事すらもしない事が多いのだから。
「わらわと従者は腹を空かしておってな。そなたがここで死んだら、その肉を貰おうかと考えておる。ゆえに、そなたが対価を望むのなら先に払おうと思っているのじゃ」
その言葉に青年が顔を上げてミュルコレオを見た。額から伸びた黒触角がぴこんぴこんと揺れていたが、青年はそこについては気にしてはいないようだった。
「……俺、何も悪い事していないのに……それなのに……」
青年はレルドク領の領都で無実の罪に問われ、全財産を没収された上で、兵役を命じられたのだ。蟻亜人との戦いに駆り出され、隊は壊滅。命からがらここに逃げ込んだ訳だが、蟻亜人に対して特段の気持ちはなかった。むしろ――。
「悔しい……悔しい……くそぉ! なんで俺が! ひたすら真面目に働いていただけなのに!」
握った拳にミュルコレオがそっと自身の手を重ねる。
「辛かったの……このままで良いのか? そなたをここまで追い込んだ者に恨みはないのか?」
「あるに決まっている! あの腐れ役人共!!」
怒りの言葉を聞き、青年の身体に抱きつくようにミュルコレオは身を寄せると、蟻外殻の見える腕を首に回した。
「気に入ったぞ、人間よ。復讐を望むのであれば、メドゥの指先『赤の親指』として力を与えよう」
「め、メドゥの指先……ほ、本当なのか!? 本当に!?」
目を見開いて驚く青年にミュルコレオは優し気な微笑を浮かべて告げた。
「そなたの欠落を埋める願い。わらわが聴き遂げよう」
後日、ミュルコレオが潜んでいる場所が判明したという情報が広く拡散されたのであった。
●
メドゥの指先『赤の親指』が潜伏している真偽を確認する為に、王国騎士エナハルト・ティルムは別調査中にも関わらず、国境外のリザードマンの集落へと訪れていた。
裏ルートの違法な人身売買……それはエナハルトが最近関わった事件で得た情報と酷似していたのだ。噂によると、その人身売買では人を魔獣の餌にしているという。
「まったく人使いが荒いぜ。こっちは本調査で忙しいってのによ」
「イェルド先輩と一緒にいると、何かと追加の仕事が多いですよね……実は団長から嫌われていますか?」
ボサボサの頭を無造作に掻いた王国騎士イェルド・ルリンにエナハルトが軽口を叩く。
先輩後輩の仲ではあるが、いつの間にか、立場は後輩であるエナハルトの方が上になっていた。もっともイェルド自身は気にしない性格だが……。
「嫌われてる自信はあるがな。で、まさか、俺らで『赤の親指』を捕まえろって話じゃないのだろう?」
「当然です。集落の長からも集落内で騒ぎは起こさないように言われています」
厳密には従う必要はないが、あくまでも捕縛ではなく情報の真偽を確認する為にやってきたのだ。手荒な事は王国の評判に関わるし、組織において独断専行は褒められたものではない。
「それで、エナ。お前はどう見る」
情報通り、『赤の親指』が集落の外れで滞在していた。その理由は分からないが、滞在の条件に無償で開墾作業に従事しているらしい。確かに、蟻亜人の1匹が『働きアリ』よろしく黙々と鍬を振るっていたので間違いはない。
「何か目的があるようにしか思えませんね。それも……一つではないはずです。仲間を探しているのであれば、わざわざ目立つ必要はありません」
「なるほど……つまり、俺達は誘き出されたって事か」
「僕達では無い可能性もありますよ」
ここから王都に戻って討伐隊を編成し、国外遠征の手続きを取る……その間に『赤の親指』は移動してしまうだろう。となると、近隣の貴族に討伐の協力をお願いするしかない。
「……ここから一番近いのは……本調査先のレルドク領かよ! これはとんでもねぇ事に巻き込まれてるな!」
「表向き、指名手配犯の捜索という理由で本調査の内容はレルドク領主には伏せられています。もしかしたら、思わぬ情報を得られる可能性も出てきました」
「まったく、エナは運が良いのか悪いのか分からんな……あぁ、せめて、婚約者を泣かすような事はやめてくれよ」
何かの気配を感じてイェルドは立て掛けている槍に手を掛けた。
次の瞬間、慌てた様子で兵士が飛び込んでくる。
「大変です! 街道に魔獣の群れが出現。この集落に向かっています!」
「ほら、こうなる。エナ、指揮を頼む」
「はい。兵達は集落の護衛。僕とイェルド先輩、そして、冒険者達で魔獣を迎撃します」
絡繰り籠手の具合を確認しながらエナハルトは宣言するのであった。
解説
マスターより
リプレイ
向かって来る炎狼の群れにルベア・ベルニは二本の短剣を交差するように構えた。
「また狼の魔獣……マガリーの話が本当なら、村を滅ぼしたのは……」
深い所に沈めた記憶が蘇る――自身を庇った父の姿が浮かび、ルベアはくいしばった。
だが、ここに例の魔獣使いの姿はない。呼吸を整えるように吸い込んだ空気が乾いた喉を刺し、その痛みに冷静さを取り戻す。
「今は目の前のことをどうにかしなきゃ……」
呟いた台詞にアーテミシアが頷きつつ横に並び立った。
「はあン、魔獣ってか、ただのでっかい犬っコロかよ」
戦槌をぶんぶんと大回しした後、最上段に構える。
炎のエーテルを纏っているが、アーテミシアの目には犬のようにしか見えてないようだ。
「ちいと物足りねえが……しゃあねえか」
「僕らが雑魚を引き付けますので、その間に群長を」
爽やかな微笑を浮かべた王国騎士エナハルト・ティルムがそう告げる。
群れの中に一回り大きな個体が群長のようだった。指揮系統がどの程度か分からないが、どの道、倒す事になるのだから、先に倒しても問題はないはずだ。
前線に立つキオルティスも武器を手にしつつ、炎狼を注視していた。
「また狼……今度は攻め入って来ている?」
「見える範囲に魔獣使いはいなそうだけど……意図的なのかな?」
アステルが答えながら首を傾げた。
野生の魔獣が街道を通って集落に襲って来たのであれば、いささか上品過ぎる。実妹の疑問にキオルティスは思案するような表情を浮かべた。
「そう言えば、王国北西部の人身売買の件……被害者は狼の餌になるとか言っていたっけ……」
胸騒ぎを覚える。此処は北西部の外縁なので、一見、無関係だが……しかし、認知されていないだけという可能性も考えられるからだ。
「ミュルコレオが何か知っているか、だね」
チラリと蟻亜人の特異個体に視線をアステルは向けた。
既に戦いを始めているようで、配下と思しき蟻亜人を前面に出しつつ、幾体かの炎狼と向き合っている。助けは必要なさそうだが……。
ミア=リゼルとシルヴィア・A・カペルの二人も魔法を行使する為にエーテルを高めつつ戦場全体を見渡していたが、ミアの表情がどこか暗かった事にシルヴィアが声を掛けた。
「どうしたんだい?」
「……前に、彼女が告げた事……あれから、ルベアさんの様子がおかしいと思って」
傍にいるからこそ分かる、何か、普段とは違う雰囲気。
「確かに……狼型の魔獣と人買い、そして、今回の襲撃。何か繋がっている可能性は高いだろうね。だからこそ、調査しないと」
「はい。あの魔獣使いが関わっているとしたら、何を企んでいるのか。確かめなくては」
その為には速やかに炎狼の群れを撃破する必要があるだろう。
迫って来る魔獣共をこれ以上先に進めないよう、冒険者達が迎え撃つのであった。
●
仲間からの支援魔法を待ってから、ルベアは低い姿勢で飛ぶように群長へと肉薄した。
近づいただけなのに全身が焼けるような痛みが走る。
「できれば距離は取って戦いたいかな」
短剣に纏わしたエーテルの塊を叩きつけた。
火の粉のような物が一帯に散らばる様は綺麗であるが、危機感を覚えずにはいられない。
キオルティスもそれは同様だった。強く振り下ろした光塊で群長と取り巻きを攻撃したと同時に広がる塵のような火粉。
「ボスであるからには、ボスである何らかの所以が有るはずなんだよ」
その正体を見極めてようと敵の動きを注視する。
そこへ、シルヴィアが放った魔法が炎狼共を切り裂くように飛翔してきた。火粉が一段と多く噴出される。
「まずは数を減らしたい所だよね」
炎狼の方が多い以上、戦線を抜かれて集落に行かせる訳にはいかない。敵の能力を計りつつ、リスクを負って攻めなければいけない状況なのだ。
試しにアステルが水袋の中身を炎狼にぶちまけてみたが、特に意味は無かったようだ。これはエーテルが炎を模しているだけであり、実際に燃えていない事を示している。
「そうだと思ったけど。出ないと、森や草原で生きていけないもんね」
接近したら冒険者の防具や衣服が燃える訳ではない事が分かっただけでも良しとする所か。
次の瞬間、一帯に広がっていた火の粉が一際煌めいた。
群長から放たれるエーテルに連鎖しているのだ。何か仕掛けて来ると思った矢先、群長が牙を火打ちのように噛み立てた。
一撃離脱で距離を取っていたルベアまで巻き込んで火の粉が連鎖的に爆発する。最接近していたキオルティスもかなりのダメージを受けたはずだ。
「追撃はさせません!」
ミアが咄嗟に光の柱を召喚し、物理的にキオルティスを炎狼の群れから遮る。
回復と迷ったが、どの程度の傷を受けたか分からない以上、考えられる最適の手段を選んだ。それに、群長を光柱に封じ込まなかったのには理由があった。アーテミシアが間合いを一気に詰めて突撃したからだ。
ウォーリアとしての力を行使し、群長を吹き飛ばす。間髪置かずにエーテルを解放して追跡。群長と他の狼を引き離した。
「さて、他の犬っころはこっちに来るかね?」
チラリと確認するが、アーテミシアを追いかけた炎狼は僅かだった。それも群長を守ろうとしている訳ではなく、たまたま最も近くにいたのがアーテミシアだったからだろう。
●
シルヴィアとミアの二人が回復魔法を行使して仲間達を支え、戦線の要であるヒーラーを守る為にアステルが文字通り、身体を張っていた。
「これ以上は、行かせないんだよ!」
カバリングにて後衛職への攻撃を強引に庇う。
もちろん、ヒーラー二人も魔獣如きにやられる程度、弱くはない。だが、回復魔法を無制限に多数へと使えない以上、回復対象は可能な限り減らした方がいいからだ。
戦術的にどのように展開すべきか戦況の経過を見ていたミアがある事に気が付いた。
「粉塵の爆発は、群長の発破がなければ発動しないようです」
「それに、有効範囲にも影響があるようだね」
補足するようにシルヴィアが告げる。
群れから群長を引き離したアーテミシアの戦い方は思わぬ幸運を招いていたのだ。
「遠慮なく叩けるんだよ!」
声を張り上げてアステルが武器にエーテルを纏わせる。
炎狼に攻撃すると巻き上がる火の粉。誘爆の心配がなければただの飾りだ。
「このまま回復に専念します。エナとイェルドさんは炎狼を」
ミアからの呼び掛けに二人の王国騎士は短く返事をすると、それぞれ武器を振るう。
これまで幾度も共に死戦を戦い抜いてきただけあって、二人の存在は心強い……とシルヴィアは思いつつ、ある事が頭に浮かんだ。
(ミュルコレオの戦い方を誰も観察している余裕が無かったかな)
指先幹部なだけあってその力量は相当なものだろう。だから、特に共闘や救援の事は考えていなかった。それは同時に解明されていない能力を把握できない事も意味する。
それが後ほど、困る事にならなければ良いのだが……。
一方、群長に対して挑む冒険者は後方からの支援を活かしつつ、アーテミシアを中心に優位に戦闘を進めていた。
「ったく、強さは大したこたねえ癖に、鬱陶しくてかなわねえや」
群長をある程度、引き離した所でアーテミシアはガントレットを前面に構えて守りを固める。
鬱陶しいのは、攻撃によるダメージではなく、近づいているだけでもヒリヒリと全身を焼くような炎のエーテルだ。直接的な守りとは無関係なので、アーテミシアはヒーラー達の負担を軽くする為、己自身に対して回復魔法を使っていた。
「雑魚共の方は大丈夫のようだから、そろそろキメ時だな!」
左右側面に展開しているルベアとキオルティスの二人に呼び掛けた。
アタッカーを務める二人のシーフは持ち前の速さを活かしつつ、連携した動きで群長に対し、着実に攻撃を重ねる。
わざと視界に入るような機動を描いてキオルティスがギリギリまで踏み込み、三度、斬りつけた。
「やっぱり、狼としての特性はなさそうかな」
「普通の狼と魔獣は異なる存在みたいね」
応えたルベアがキオルティスとは反対側から連撃を放つ。
個体によって異なるだろうが、一般的な狼とは別のようだ。似ている所もあるかもしれないが、基本的に別の種とみても問題はないだろう。
「このまま押し込んでしまおう。アステル達にいつまでも負担を掛ける訳にはいかないだろうからね」
立ち位置をルベアと変わりつつ、キオルティスがダメ押しとばかりに細剣と短剣を突き立てていく。
合わせる形でルベアは斬り込んだ。
「そうよね。打ち倒して、それで終わりって訳じゃないし」
炎狼の群れを迎撃した後、調査や聞き取りの仕事が待っているのだから。
●
群長を倒した後、残った狼を全て倒すまで時間はあまり掛からなかった。
王国騎士と冒険者達は戦いの後始末を終えると、調査や聞き取りを始める。キオルティスは持ち込んだ物を集落の者に提供しつつ、集落周囲まで足を延ばした。
ミアは聞き取りに専念。シルヴィアはスープや菓子を振舞いつつ、さり気なく情報を収集できた。ミュルコレオには冷たく返事されたが。
調査が一段落した所で腹ごしらえを兼ねてシルヴィアからスープを受け取ったイェルドにミアが匙を渡す。
「そういえば、お久しぶりですね、イェルドさん」
「そうだったな。まぁ、エナが色々世話になってるぜ。で、どうなんだよ?」
不躾な問いにエナハルトが飲み物を噴き出しそうになるが、当のミアは首を傾げた。
「レルドク領は絶対ヒューマン主義のようで、集落には冷たいようです。王国の庇護下に入らないのはそのような理由が最もみたいで……」
少女の真面目な答えにイェルドは、たどたどしく唸るだけだった。
その反応に微笑を浮かべたエナハルトがキオルティスに話を振る。
「集落の外側の方は何かありましたか?」
「そこそこ大きな川があったけど、そこで、これを見つけたよ」
袋を逆さにして流れ出た砂……その中に何か光るようなものが僅かにみえた。
興味深そうにミアが覗き込む。
「これは……砂金ですか?」
「たぶんね。集落の人が言うには、大昔、川辺で砂金採取していたらしい。でも、採掘をした事はないみたいだよ」
キオルティスが砂を広げながら答える。
今では採算が取れないレベルだろうが、上流の山には金鉱脈がある可能性は否定できない。
「文字通り、値千金の情報かもしれないよ、キオ」
シルヴィアがそう前置きしてから、集落で得られた情報を話し出した。
「ここ数年、幾つかの集落が狼型魔獣に滅ぼされているらしい。その後、王国の息が掛かったものが入植しているらしいが……私が知る限り、レルドク領地が増えたという話は聞かないのだ」
「つまり、何者かが鉱山や何らかの資源を秘密裡に取得していると……」
そう推測したキオルティスの言葉にミアがハッとする。
「集落の近隣に狼型の魔獣は生息していないそうです。鉱山資源を奪う目的で誰かが魔獣を使って集落を襲った可能性もありませんか!?」
「あり得るね。集落でペディグという行商人の情報は得られなかったけど、レルドク領主と繋がりが強い商人が頻繁に領境付近を出入りしている噂話は聞けた。両者に何らかの利益取引はあると見ていいはずだよ」
シルヴィアの話にエナハルトが面々を見渡して頷く。
次はレルドク領都で調査を行う必要が出て来たからだ。
●
魔獣が死んでいる事を確認しつつ片付けていた冒険者達の近くをミュルコレオが通る。連れていた蟻亜人は戦死したようで、孤独に集落外へと向かっていた。
「アリ……ミュルミドンってやつか。珍しいっちゃ珍しいか……」
アーテミシアが何気なく発した言葉が聞こえたようで、ミュルコレオが立ち止まる。
しかし、呼び止めた訳ではなかったのでアーテミシアは軽く手を振った。
「戦う気がねえなら遊んでないでさっさと帰ンな」
「……エルフか」
返って来た言葉に、当初は相手をするつもりが無かったアーテミシアは強い視線を向ける。
「オレはドワーフだ! 耳長じゃねぇ!」
その台詞に一瞬、キョトンとした表情を浮かべたミュルコレオ。次の瞬間、ニヤリと口元を緩める。
「それはすまなかった。そなたがそう言うのであれば、そなたはドワーフなのだろう。わらわもそうだ。人のように見えるが、蟻人よ」
ミュルコレオはアーテミシアに何か匂いを感じたのかもしれない。
関わりとは思いもよらぬ事がきっかけになるものだ。
そんなミュルコレオに対し、アステルが尋ねる。
「訊きたい事があるんだけど、いいかな? 答えられる範囲でいいから」
機嫌が良かったのか、他にも要因があったのか分からないが、ミュルコレオが頷くのをみて、アステルは名乗ってから質問する。
「何の為に集落に滞在していたのかな? それと、最近、戦術を駆使する蟻亜人の群れと戦ったんだけど、アナタは関わりがあるの?」
「この集落には食べ物を確保する為に訪れたにすぎない。もう一つの質問は肯定しよう」
「蟻亜人との戦いの時、狼型の魔獣を使役する魔獣使いがいたけど、知り合いだったりするの?」
続いたアステルの質問に、ミュルコレオは3人の冒険者を順に見渡す。
「知らないのも致し方ないものか。マガリー・アフレ、あれもメドゥの者だ」
淡々と言い放った答えにアーテミシアが眉をひそめた。
「おいおい、お前だって、メドゥの親指なんだろう。仲間割れでもしてんのかよ」
「メドゥの構成員に『仲間』という表現は適さない。目的が似ていても手段が違えば敵にも成り得るし、その逆もしかり。それはソナタらとも言える事」
つまり、ミュルコレオの言葉が真実であれば、蟻亜人とマガリーは敵対しているようだ。
先日、そのマガリーと交わした言葉を思い出しながら、ルベアが話す。
「彼女がアナタとは相容れないと口にした事が分かったわ。敵同士ならそうよね……」
集落の襲撃が人為的なものであった場合、狼型魔獣を仕掛けてきたのがマガリーならば、敵対しているミュルコレオが魔獣を迎撃した理由にもなる。集落に訪れた目的は他にもあるだろうが……それはきっと話さないはずだ。
「マガリーは何故、異種族の集落を襲うの?」
「ヒューマン以外は認めない思想の持主だ。ドワーフやハーフビーストもそれらに与するヒューマンも排除。無論、わらわもな。しかし、殺戮者になりきれなった故に、指先にも成れぬ半端者よ」
その口ぶりからは集落を襲う理由が別に存在する事を暗に告げていた。
複雑な心境で話を聞いていたルベアは、ふと頭に過った事を尋ねる。
「それは……マガリーの欠落が指先には到達しないという事?」
「首領から声が掛からないというのはそういう事よ……ソナタは首領の声を聞いたのかの?」
返ってきた台詞にルベアは驚きつつも首を横に振るしか出来なかった。
まるで、自分の抱えている事を――見透かされているような、そんな気持ちになったから。
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:多い6 / 4〜6人
2023年06月10日 16時44分03秒 公開
相談掲示板
シルヴィアだ。今回はよろしく頼むよ。 人身売買についてはダルダニエ領で話が出ていたね。兵役で蟻亜人との戦いに駆り出される、人買いに買われて狼の魔獣の餌になる……繋がっている気がするよ。 >人身売買の調査をするかミュルコレオとの接触か 今の所、エナハルトの調査の手助けをするつもりだ。 ミュルコレオについては「戦闘経過状況によっては会話が成立する可能性があります」との事だから、話しかける手もあるかなと考えている。敵対的な相手だからこそ漏らす言葉もあるかもしれない。一先ず調査班で。 >調査予定 出奔者に聞き込みをしたいと考えているよ。レルドク領都の状況や兵役について、あと人買いをしている行商について知ってる人がいれば聞いてみたい。 ただ話す気力や体力があるかどうかは不明だし、人間お腹が空くと悪い方にばかり考えてしまうものだから、可能ならスープか何かを作って振舞えればと思っている。食材を買ったり道具を借りたりする時に集落のリザードマン達とも話せそうだしね。 >魔獣 10数体は多いね。遠距離攻撃手段や範囲攻撃を持って行きたい。 今回も群れのボスを狙うのが良さそうかな。集落に被害が出ないよう、街道で狼を食い止められるよう立ち回りたいところだ。
ウォリアーのアーテミシアだ。 とりあえずオレは魔獣の相手メインだな。ボス相手にしとくか。
シーフのキオルティス。キオでもルティスでもお気軽に。 今回は宜しくね。 >戦闘 うーん…ボスを倒しても全滅するまで戦う、か。 それでも統率は乱れてくれると良いな…と思いつつ、ボス無しでも 動揺などが生まれないことを考えて動いた方が良いかもね。 勿論、ボスたる所以はあるだろうから、ボスから倒すのは大賛成だけれど。 俺はどうしようかな… 攪乱しながらの特攻か、群れから乱れたヤツからの個々の撃破か。 ホライゾナルジャンプを使って、直にボスを叩くのも良いかもね。 >調査/接触 今のトコロ、調査に行く方を考えてるよ。 領のリザードマンたちに世間話の体で人身売買の件を探るつもり。 って言っても、噂話程度になるだろうけれどね。 変わったことが有ればその辺りも聞ければ良いんだけど…どうかな。 周囲は荒地で何にも影響されないであろう文化レベルの低い集落。 うん、色々と打ってつけな気もするしね。
シーフのルベアよ、宜しく。 …また狼…。 >戦闘 ボスを倒しても戦意を失わない、最悪統率も乱れないにしても いずれにせよ早いうちに叩いておくに越したことはないと思う。 アーテミシアさんが正面から当たるなら私はサイドアタック気味に動こうかな…。 近づくだけで生命力にダメージを負う +物理的に遮断されればその限りではない とあるから、回復と範囲攻撃…それから、光縛封あたりがあるといいのかしらね。 >調査or絡み ミュルコレオに接触しようかな、って。 以前会った感じだとヒューマンでない方が真っ当に会話出来る可能性は高そうだし。 それに…明らかに知ってる風な、マガリーとの関係も気になるし…。
>戦闘 ボスがいなくても全滅するまで戦う……狼との戦いも何度か経ているし、魔獣使いも対策として動揺をしないようボス以外に言い含めているかもしれないね。ボスから狙いはするけれど影響力についてはあまり期待し過ぎないようにしておくよ。キオ、指摘ありがとう。 回復スキルは持って行くね。光縛封については同じヒーラーのミアと相談出来れば嬉しい。二人とも持って行っても良いと思うけど、スキルを分担するのも良さそうだ。 >調査 外部と関わりがあまりない小さな集落のようだから、何かしらの噂話や、出奔者・犯罪者以外の出入り(違和感のある商人や旅人)があれば目立ちそうな気がするよ。リザードマン達からも情報収集しやすそうだと思った。 >行動予定 スープを作って振舞うことが難しいという判定だった場合、持ち運びしやすい携帯食料やお菓子に変更すると書いておくつもり。 ……いやまぁ、その、話術や政治知識も持って行きたいし……料理の腕についてはプレイングで補完するよ(調理未取得)
ご挨拶が遅れました、ヒーラーのミア=リゼルと申します。よろしくお願いしますね。 今回の狼魔獣は…炎を纏っているのですね。前回のような隔離や分断がまた効くといいのですが… 光縛封の範囲は思ったより広くはなく、隔離できる対象数も多くはないので、使い所や対象は見極める必要がありそうです。 狼は仲間意識が強いといいますので、それを利用できるならするのも手かも…彼らが負傷した仲間を助けるように動くのならば、戦略に組み込めるでしょう。 …まあ魔獣に一般的な狼の習性が当てはまるかというとまた別の話ではあると思うので、効果は期待しない方がいいとは思いますが…!
ま、範囲スキルである程度纏めて叩くしかねえだろ。個別にやってたら体力がいくらあっても足りねえや。 マントに水でも被っておけば多少はダメージ減らせるかもな オレは後はまあ・・・接触でもしておくか。調査とかよくわかンねーし
>戦闘 一般的な狼の習性も何らかの糸口になるんじゃないか、と俺は思ってるよ。 そんな訳で、ミアさんの言う負傷した仲間を庇うような戦い方も視野に入れても 良いんじゃないかな、と思う。勿論、過信し過ぎない程度でね。 あと、他の習性から行くと…連携攻撃を仕掛けて来ることが多いんじゃないかな。 巧く連携を断ち切るように動いてみるのも良いと思う。 >行動予定 とりあえず、リザードマンたちに噂話や世間話聞く為に、有れば…だけれど 大衆酒場には行ってみようかな、と。 もし無ければ共同農地なんかの休憩所があれば、そこ、かな。 リザードマンたちは農作業に明るいっていうのが特徴だし。 あとは集落の周囲を歩いてみようと思ってるよ。
No.9
遅くなってごめんなさい! ウォーリアのアステルです。今回も宜しくお願いします! >戦闘 ボスがいる限りある程度の統率は取れてると思うから、連携崩しは考えた方が良いかな? 今のところ、後衛の防戦的に、範囲攻撃後ボス以外を狙っていくつもりだけど 何かやった方がよいという事であれば言ってやってくれると嬉しいな。 >行動 まだ接触か調査か迷ってるところ。なので明言できなくてごめんなさい。 調査ならリザードマンにリザードマンで行方不明者が出ていないか聞くつもり。 接触なら初見になるから会話できるか分かんないけど、 前回戦った蟻亜人との関係を聞いてみようと、思ってるよ。 あと、前回調査の内容とか対象が被ったりとかだったから、 どんな感じで行動するのか、誰に何をするのか。 明かせる手の内や、軽い内容を教えておいてくれたら嬉しいな。
No.10
言葉足らずだったので連投ごめんなさいっ! >後衛の防戦 味方の後衛の人を護る行動
>光縛封 狼の接近でスリップダメージを受けたり、集中攻撃を受けたりして生命力が危うくなった人を物理的に遮断する時に使えると考えているよ。狼達が連携攻撃を仕掛けてくる時に分断するのも有りだと思う。 あとは……流石に無いと思うけれど、魔獣への命令があくまで「集落の襲撃」だった場合、私達を無視して集落に接近しようとする個体がいるかも。そういう個体の足止め用かな。 >戦闘 狼の習性には詳しくないから教えて貰えて助かるよ。 範囲攻撃をメインにしつつ、狼が仲間を庇うよう単体への急所攻撃を試してみようと思う。狼の様子をよく見て、複数個体に狙われている人がいれば知らせたい。 私個人の動きとしては範囲攻撃がメインになるかな。 初手でウェイブ・オブ・インフィニティロアを皆に付与するつもりだ。 >調査内容 まだ考え中だから変更するかもしれないけれど……。 ・リザードマン 集落で台所を借りてスープ作り。集落では珍しいタイプのお菓子を手土産にして交渉しようかな。 世間話の体で最近よく狼の魔獣が出る事を話し、似た事件が他の集落でも無かったか質問(魔獣使いの動向確認)。他にも妙な噂話(人身売買、出奔者が突然いなくなるなど)があれば。 ・王国の出奔者 スープを作ったら出奔者に差し入れ。レルドク領都の状況や兵役について尋ねる。此方でも人事売買の噂が無いか聞いみたい。『【恨源】その過去はいつかだれかのために』で、王国北西部で活動している人買いの行商の名前はペディクだと出ていたから、名前を出して反応を見たいかな。 今の所こんな感じだよ。出奔者への質問が多めになると思う。
(報告書を確認したら行商の名前は「ペディク」ではなく「ペディグ」だった。申し訳ない……!)
No.13
シルヴィアさんは細かい行動予定など教えてくれて有難う御座いますっ!! >行動 取り合えず私は『接触』でいってみようかな、と。 ミュルコレオとは面識がないから、うまく行くか分からないけど、会話してみるつもり。 内容は前回の蟻亜人との関係。 前回の対蟻亜人戦で魔獣(マガリー)が出てきたけど、面識等あるかどうか確認。 って感じを今のところ考えてるよ。
すみません、昨日の夜に書き込むつもりが…! では、光縛封を持ち込むとして… 使う対象やタイミングについてはこねこねしますね(こねこね もうひと枠は考え中で…支援か回復か、同行者さんの希望がなければ攻撃をと考えています。 このスキルを使ってほしい等あればお声がけください! >調査内容 私は…そうですね ミュルコレオさんのことは気になりますが、 基本的にはエナハルトさんの調査に加わろうかと。 目標としてはレドルク領のことをPC情報に落とし込みつつ 追加で関連情報を得られたら…と。 す、すごい漠然としたことしか言えていないです…!
>スキル 俺はどうしようかな…前述した通り、ホライゾナルジャンプを 持って行くかどうかで検討中。ボスから倒すなら必須かな、と。 片っ端から狩っていくんなら、べつにその限りではないけれど… 今現在はまだどうしようか迷い中。 >調査内容 前述もしたけれど改めて。 リザードマンたちに噂話や世間話の一環として最近の変事は無いか 大衆酒場もしくは共同農地の休憩所なんかで事情聴取。 あとは集落の周囲を歩いて実地検分。何か変わったことや、違和感、 それから不自然なことなんかが無いか、実際に見てみるつもりだよ。