【呪拓】老エルフの行方、魔獣の噂

狐野径

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シナリオID:2914

オープニング

●到着
 フィルエス大森林の灰火のとある里を出発した一行は、聖鳥の里の一つに到着した。依頼人はグレイオンス。もともと、夜天のある氏族の長ウェイが持ち込んだ依頼であり、グレイオンスが調整を付けた。
 生活に必要そうな物資や食料を運ぶという内容である。
 この依頼に同行している冒険者も危険があるという情報は特にない。気になる点は時折魔獣の姿があるという事だろうか。
 とはいえ、現在のところ被害情報はない。

 さて、里は先日の帝国過激派の侵入により、大きな被害が出た地域にあり、更地に近い。
 一軒だけ真新しい小屋があり、生き残った里人たちが作業をしている。
 少しずつ片付け、今後を考える段階に来ていた。復興のために。

 依頼を受けた冒険者と、馬車の所有者の一人であるハルシ・エルは荷物を下ろす作業など、里人と行い。
 馬車の所有者の一人であるナツキ・エルは馬車から出ようとしない。それも、人目を避け隠れていた。
 なお、道中でも「行きたくないのに」とぶつぶつ言っていたが、理由を聞かれても「別にー」と応じていた。

 作業をしていると、里のエルフにナツキと似ている女性がいる。
 彼女は馬車に一人いるのに気づいた。
 ナツキに走る緊張。
 女性が声を掛けた。
「やっぱり! リーズンね! 無事だったのね!」
「その名前はやめてええ! というか……それはこっちの言葉だよ! お姉ちゃんたちの方こそ……!」
 ナツキは顔を上げて叫んだが、すぐに袖で覆ってうずくまる。
「運よく、逃げられて……ウェイさんのところで厄介になっているのよ」
 ナツキの姉は、淡々と状況を話した。
 ナツキは「元気すぎるし、以前のままだし!」と叫ぶ。
 肩が震え、嗚咽を漏らしている。
「本当、助けに行けたらって思ったよ。でも、私だけじゃ、弱くて! 爺様たちに伝えるだけで精いっぱいで」
「助けを求めに? どういうこと?」
 死霊の群れを見たのはナツキとハルシだったと話した。
「……むしろ、あなたと、そこの子が無事だったことに安堵するわ」
「うおおおおう、だって、お姉ちゃんたちが……アンデッドみたいになっていたらって怖くて、いなかったらどうしようって」
「心配はしてくれていたのね、ありがと」
 女性は優しい声音で述べた。少し考えた後切り出す。
「ところで、この馬車、夜天のあたりで何度か見たような……気がするのよ」
「……ひっ」
「……まさか、何度か、来ていたの?」
「だだだだって、探しに行くのもつらくて、無事だったとしても、あんな家の出方したんだもん、どの面下げて会えるの!」
 ナツキの姉はあきれた様子を見せるが、「無事でよかったわ」と言う。
「でも今回来たのはどうしてなの?」
「ウェイ(師匠)やグレイオンス(爺様)が、お姉ちゃんたちに会いに行けって無言で圧力掛けて来てて、今回は逃げられなかったんだよ」
 ナツキの正直な答えに、姉は盛大なため息をついた。
 感動の姉妹の再会を見ていると、ナツキが渋っていた理由もわかるのだった。
「そうだ、冒険者の皆さん、お茶くらい飲んでいく時間はあります? 今入れますね? あ、私はリーズンの姉サプラです」
「だーかーらー、ナツキって名乗っているんだってば!」
 ナツキが鼻をかんだ後、訴えた。

●異変
 サプラがお茶を淹れようとしたところ、里人が止める。
「この茶葉おかしい。さっき、飲んだ人が、あっちで体を震わせているんだ」
「え?」
 冒険者が向かうと、倒れている人がいる。
 茶を飲んでいた形跡がある。処置をしているが、それでいいのかわからない状況だ。
「でも、この葉……さっき来た、おじいさんが置いていったものよね?」
 サプラがつぶやくとナツキは「は?」と問う。
「おじいさんが冒険者にもらった珍しい茶だって分けてくれたのよ。おじいさんの住んでた里はもう住民がいない状態で……身を寄せている所でどうしたらいいか悩んでいるからあちこち見て回っているって言ってたけど……」
「ええー? で、その人は?」
「さっきまでいたけど……?」
 ナツキはハルシを見る。
「茶葉を見せてもらっていいでしょうか?」
 ハルシがサプラに言う。
 サプラは神妙な顔でうなずき、入れかけのものや、まだ使っていない物を見せた。
 この辺りでは見ない植物であるが、森の外では一般的に飲まれているタイプの物だ。
「なんかついてる?」
 ナツキは葉についている粉を指に付け、匂いを嗅ぎ、舌に載せた。
「う、げぇええ、これ、誰か、解呪かけて……」
「ごめん、私、弓射る専門」
「あう……」
 サプラにナツキを任せ、ハルシは共に来た冒険者に、
「誰か里の外に行くのを見た?」
 と、問う。
 しかし、冒険者は荷物を下ろすことや、小屋の周りにいたため気づいた人はいない。

 里人に声を掛けても、その老エルフが出ていったのに気づいていなかった。
 里の復興で動き回っているため、把握できていないのが実情だった。
 冒険者が運んだ荷物のそばにいたのを見た、というのが目撃の最後である。

 その老人のことについて里で聞いてわかるのは、外見と聖鳥の壊滅的な被害を受けた里の者だということ。
 滞在している里についてはぼんやりとしか聞いていない。

 どこに向かったのか?
 毒草以外に異変はないだろうか?
 冒険者たちは確認する必要があるかどうか……。
 里の周りにあるのは、木々ばかりだ。

●???
 彼はすべきことを終え、里を出た。
 言われたとおりに、茶葉は渡した。
 それと、ちょうど来た冒険者たちがいたから、あれも運ばれて来たものに置いておいた。
 これできっと、皆、今後何をするといいかわかるに違いない。
 報告して、あとは――。

 目の前には巨大な影がよぎる。
「ひ、ひえええええ」
 最近森の中で見かけた、魔獣ではないか?
 そう思ったところで、腰が抜け動けない。
 それは老エルフに向かって前足を激しくたたきつけた。
「うわあああああああ」
「デメェエエエエエ!」
 老エルフの悲鳴をかき消すように、魔獣の声が上がった。

 魔獣たちは道草を食いながら、進む――。

解説

●目的・目標  里の復興作業をしている人たちの安全確保。  不穏な状況の解決。 ●里の状況  【樹謂】の際、住人の多くが死亡した。  現在は運よく助かった人たちが、身を寄せている近くの別の里から通いで復興しようと作業をしている。作業する人は50人ほどだが、もともとの住民以外に他の氏族の人の人も含んでいる。  一軒小屋がある以外は更地。小屋の位置は真ん中。作業するときに行き来しやすいようにということから。 ●来訪した老エルフについて  聖鳥に属する氏族の者であり、帝国過激派の侵攻により里は壊滅的な被害を受けたという。その結果、里の復興は難しい状況で、彼自身はどこかの里に身を寄せているらしい。  大森林では珍しいという茶葉を渡し、冒険者たちが運んできた荷物を見ていたという。  なお、何か入った大きな袋を持っていたという。 ●魔獣の情報について  何らかの魔獣がいるという情報はある。  里で念のために聞けば、魔獣の形状は、山羊ぽいけど牛のようにも見えたとか、大きさは、中型犬から牛サイズまでというのは聞ける。  それ以上情報がないのは、被害が出ていないし、目撃が少ないからである。 ●NPC  ・ナツキ・エル 本名リーズンというらしい。エルフ、女性。  キャスターであり、仲間は巻き込まないけど、魔法を問答無用でたたき込むタイプ。  現在、身体がしびれてスキルは使用不能。動こうと思えば動ける。  ・ハルシ・エル エルフ、女性。  シューターであり、全体を見て行動するタイプ。  老人の捜索、自分たちが持って来た荷物の確認、里の周辺のパトロールあたりを提案するだろう。  ・サプラ ナツキの姉。里の生き残りの一人。  家出して音信不通だった妹が無事だったことで安堵している。  一方で、里人を襲う状況に困惑。あの老エルフが何かしたとは信じたくはないけれども、状況として不審は覚える。 ●茶葉  茶葉自体は森の外で流通する一般的なものに見える。  ただし、何か成分が付着している。  ナツキはともかく一般人がいるため、試すならば、BS解除のスキルで、解毒できる。

マスターより

 こんにちは、狐野径です。  【樹謂】を経て、【呪拓】として個人連作となりました。  帝国過激派の乱入により世界樹に向かうところにある多くの集落、里は大きな被害を受けてました。世界樹が力を取り戻したとしても、戻らないところもあります。  さて、復興しようと前向きな人たちもいますが、その中に不安要素がぽつりぽつりと浮き上がります。  なお、ウェイについては、狐野径の連作【想送】において依頼人としてOPに出てます。当時名前がなかったんですが付きました。というだけなので、気にせず大丈夫です。  よろしくお願いします。

リプレイ

●行動を始める
 グレイブ・ヤードは具合が悪い人たちを助けるために動く。
 症状を診て「小屋の中に運び入れましょう」と、周囲に声を掛ける。
(直ちには命に係わらないかもしれませんが、放置していいものでもありませんからね)
 茶葉についていた毒物をなめたナツキ・エルは自力でやってくる。
「私もぉおお」
 喋れているが、毒の影響が出ているのは明らかだった。

 セリオス・オーガストは体調不良の原因である可能性を考え、茶葉を回収する。
 サプラは「これがすべてだと思いますけど、確実じゃないです」と言っていた。茶葉の容器を誰かがずっと見ていたわけではないからだ。
 セリオスは、老エルフを探すことも兼ね、里で作業する人たちに声を掛けて回った。
「茶葉があったと思うが、変な虫が入っていたので、回収している」
 毒物ということは伏せ、当たり障りない状況を伝えた。
 作業をしている人たちと話しつつ、情報を得ていく。
 老エルフが、来訪時の方角は分かった。
 試しにエーテルを走らせることや、聴覚などで確認したが、すぐ近くにはいない。

 ハヤト=ガラン=ヴォルファングは嗅覚を生かし、老エルフを追うことにする。
「さて、怪しい老エルフとやらを探してみるとすっか……茶葉の袋を借りてもいいか?」
 持って来た人物の匂いはついているだろう。
 茶葉の匂いが強く、人の匂いは分かりづらい。
 手がかりを求め、運んだ荷物の近くも確認する。そのエルフが目撃されているから。
 それらしい匂いはとらえることはできるが、茶葉や植物の匂いが強い。
「行ってみっか!」
 ここでは珍しい茶葉ならば、匂いとして手掛かりになる。

 エルは老エルフの行動に困惑する。
(おじいさん、どうして、何、をしようと、してる? おじいさん、の、住んでた里、は、もう、住民がいない……)
 それが動機につながるかわからない。
 調べてみないと始まらないため、自分たちの運んだ荷物の確認をしておく。
「ハルシさんも、一緒に、見てもらえると……助かります」
 ハルシ・エルに声を掛ける。
 荷物を運ぶことはエルもしたけれども、荷物の細かい状況を把握しているのは、ハルシだろうから。

 トーラは茶葉に毒があったということを聞き、驚く。
「毒物の混入? もしそうだとしたら、何のためにやったのでしょうか?」
 どこにいるかわからないため、手がかりとしてその人物が近寄ったらしいところを見てみることにした。

●捜索
 グレイブは具合が悪い人たちを診断する。
 魔法で治せるとしても、回数には限りがある。
 重要度を誤れば、本当に必要な症状に使えないかもしれない。
 解毒作用のある植物の摂取や水分補充により、発汗・排尿による自浄機能など、生命に備わっている抵抗力の向上を試みる。
 体力的に治りが遅そうな人にはエーテルで働きかけ、解除する。
 ただし、軽いからと言って予断せず、しばらく様子をうかがう。

 トーラとエル、ハルシは持ち込んだ荷物の確認を行う。
「生活に必要な物や建築資材だけど」
 トーラもエルも運んだもののイメージはその通りだ。
 ハルシが枝の束を取り出す。
「この枝は違う」
 どこにでもありそうな新鮮な葉の付いた枝の束だ。

 トーラは困惑する。
「毒も、これも、すぐに命に係わる物ではなさそうに見えますし、愉快犯的ないたずらでしょうか……?」
 葉を食べる生き物もいるし、何かの餌になりうるかと看破していくが、どうしてあるかがわからない。
「どう、関わるかわかりませんね……どこに生えているか……が、手がかりでしょうか?」

 エルは「梱包が、変わっている……ということも?」と確認する。
 梱包が解かれていない物は問題はなさそうだ。
「おじいさんの、思念が残ってないか……見てみます」
 老エルフが置いただろう枝に残留思念がないか見る。
「不安と期待? おじいさんのか、わからないけど」
 何に不安を覚え期待をしたのか。
(茶葉は森の外で流通するもの、私たちが運んだ荷物……冒険者に不信感……、外の世界、に……?)
 なお、梱包が解かれているものも、念のために調査したが、異変はなかった。

 荷物に加えられていた葉の付いた枝をハルシが避ける。
 それをどうするかは保留し、用心できるようなところに置いた。

 グレイブは遺留物からわかることを得ようと茶葉や枝を見る。
 茶葉は森の外だと一般的なものだが、白い粉が付着しているのはおかしい。
「用心深く観察しないとわからないですね」
 気づいたとしても、その茶を知らなければ、おかしいとわからない。
 これをナツキは舐めて、床で転がっているため、白い粉が問題なのだ。
「このままにしているのも危険でしょうから」
 茶葉を燃やしてしまうといことも考えたが、それによる被害もありうる。
 だから、水の入った水袋にその茶葉は沈め、後で埋めることにする。
 荷物から見つかった葉と枝の方は、薬にも毒にもならない、と捉えることはできた。
「これが生えているところはわかりますか?」
 ハルシやナツキに問うが、種類は分かってもこの辺りにはないということやどこに生えているかわからないという。

 ハヤトは匂いを追い外に出る。
 外に向かう匂いの方向は一点に絞られる。
 匂いを持って来た主はここに来て、そちらに去ったという事がわかる。
 目印がないように見える森であるが、注意してみると道と機能している部分は分かった。

 セリオスが「俺も行く」とハヤトに声を掛けた。
 ハヤトは「やっぱ、こっちか?」と問う。
「こちらの方から来たと言っていた」
「じゃ、行こうぜ!」
 老エルフは冒険者たちが来た時にはいたが、荷物を下ろした後に消えている。
 よほど体力に自信があるならば別だが、一般的な歩行速度ならば、急げば早々に追いつけるはずだ。

 トーラは老エルフの痕跡を探すため、里と森の境界あたりを調査する。
 出ていったのに気づかれなかったのは、誰も見ていなかったからなのか、それとも、人目に付きにくいところから出ていったからなのか?
 もしかしたら、出ていったと見せかけて、死角となるところに隠れていることもありうる。
「そういうところに、何か置かれている可能性も……?」
 不安を増大させそうな状況はふさいでいく。
 土の状況を見たり、捜査用のエーテルを走らせる。
「この辺りに来た形跡はありますが……」
 うろうろして里に戻ったようだった。

 エルは老エルフの居場所を探すための行動に移る。
 ペットの狼のウィルに「お留守番、よろしく、ね」と声を掛け、頭をなでた。
 ウィルには里の周囲の見張りをしてもらうつもりだ。
 トーラが里と森の境界当たりにいるので合流した。
「何か、手がかり、ありました?」
「うろうろしていたという手がかりだけですね。ひょっとしたら、あの枝を置く場所を探していたのかもしれません」
「……探さないと」
「セリオスさんとハヤトさんは先ほど外に出たみたいなので、入れ違いにならないようにしたいですね」
 森の外に目を向けた。

●魔獣
 ハヤトは匂いを追い、一直線に向かう。
 途中で障害物があっても【真・壁歩き】で越える。
 その際、周囲を見渡す。

 セリオスは途中途中で【孤高者の宗波】で調査し、また、耳を澄ます。
 しばらく行った時、木に当たるような音と、飛び立つ鳥の音がした。
「ハヤト、あっちに何か見えるか?」
「ん? 見えねぇが……ああ……木の動きが不自然だぜ。こっちに来る奴がいるのかもしれねぇ」
 警戒しつつ、二人は急いで進む。

 セリオスはそれらと距離がつまり【孤高者の宗波】でとらえた。
「数は5、大きさも複数ある」
 矢をつがえ、攻撃態勢を整える。
 ハヤトは前方を見て、一瞬険しい顔をした。
「こっちの方ということは……」
 老エルフが来ていれば鉢合わせている危険がある。
 何かがこちらに気付いているわけではないため、出来る限り遮蔽物を取り近づいてく。

 木々の間からやってくるのは、ヤギだ。時折、草すら食べている。
 大きさが異様だ。
 一頭は大型の牛と見間違うような大きさである。頭上の角は大きく鋭い。
 別の一頭はそれよりは小さめだが、ポニーくらいの大きさ。
 残り三頭は大型犬と言ってもいいくらいの大きさだ。
 小型なものはヤギと変わらない大きさと言えるが、特に巨大なものは異様な大きさと言えた。魔獣の可能性が高い。

 ハヤトの嗅覚に血臭が届く。
 巨大なヤギの足下に土汚れと異なる色が足についている。
 誰かが襲われたのだろうか。
 被害者の手当も必要だろうし、これを通すのも危険だ。
「……テメェらの相手をしている暇はねーんだよ!」
 ハヤトは怒気を込めた声音で言い放つと同時に、素早く武器で切りつける。
 そして、すぐに距離を置いた。

 セリオスはエーテルを込め強力な一撃を放った。
 大きな魔獣が群れのボス格と捉え、早く倒してしまいたいと考えた。
 すぐには倒れなかったが、手ごたえはあった。

 大型な牛のサイズの魔獣は、ハヤトに突進してくる。
 それを回避したところに、中型の魔獣がハヤトに突進した。
 危ういところで回避はする。
 小型の魔獣たちは、セリオスの方に向かってきた。
 勢いよく近づいて来たけれども、攻撃をしてきていない。
 まとわりつかれると厄介だ。

 セリオスは小型の魔獣から離れつつ、早々に倒す必要がありそうな大型の魔獣に矢を放った。
 また、ハヤトも同様にその魔獣に攻撃した。

 大型および中型はハヤトに攻撃を仕掛け、小型はセリオスにじゃれつく。
 相手からの攻撃も受けるが、しばらく後、大型の魔獣は倒れた。

 中型の魔獣に照準を合わせたころ、セリオスの矢が外れた。
 セリオスは集中が乱されているというよりも、行動が失敗しそうな予感がよぎる。
 小型の魔獣がまとわりつくことに、引っ掛かりを覚えていた。
「……魔法?」
 考えられるのはじゃれつくように来ることが攻撃につながっているということ。
 ハヤトは中型の魔獣をいなしながら、
「そいつら、先に倒した方がいいんじゃねぇか?」
 と、告げる。
 中型の魔獣も危険だけれども、単独で向き合っている分には対峙しやすい。
 小型の魔獣はじゃれつく様子だけで、噛みつくなど目に見える攻撃をしてきていない。攻撃方法よりも、矢で攻撃する場合、厄介である。

 大きな魔獣が血臭を漂わせていたことの確認のために先に進みたいところだが、里に近づかせるわけにもいかない。
 ハヤトは小型の魔獣とセリオスの間に入った。

 小型の魔獣たちはハヤトに向かってくる。
 結果、セリオスは落ち着いて矢を放つことができるようになった。
 ふと、ハヤトは重みを感じた。
 エーテルがまとわりつく、そんな状況であるのではないか、と推測する。

 小型の魔獣はすばしっこく動く。
 それに劣らない動きでハヤトは攻撃をする。
 セリオスはいつも通り狙うことが可能になった。

 中型の魔獣はハヤトに噛みついた。
 小型の魔獣はハヤトにまとわりつくか、または噛みつこうとする。

 小型の魔獣が一体倒された時、
「めぇえぇええ」
 と、中型の魔獣が鳴いた。

 生き残っている魔獣たちが一目散に里の方に向かっていく。
 すぐにセリオスの矢が飛ぶ。
「先に行ってくれ」
「任せろ! そっちは頼んだぜ」
 ハヤトは魔獣たちが来た方向に走った。
 魔獣の影響で匂いはかき乱されている。
「狼の鼻から逃げられるとは思うなよ♪」
 それだろう、というのを嗅ぎ分け、走り出した。

 セリオスはすぐさま、【炸光矢3】を放った。
 魔獣たちはそれで動きを一瞬止める。
 セリオスは少しでも間合いを詰めつつ、次を放つ。
 ダメージが蓄積された魔獣は、一体、二体と倒れた。

 一方で、エルは里から出ようとしたとき、獣が近づくような音を耳にした。
 ただ、それはまだ遠い。
「何か、来ている、みたいです」
「……噂にある魔獣でしょうか?」
 エーテルを走らせトーラは見る。
 こちらに向かってくるならば、下手に離れるわけにはいかない。
「ここで見張ってます」
 トーラに言われ、エルはグレイブ、ハルシとナツキに状況を説明した。
 ハルシはすぐに、里にいるエルフたちに集まってもらう。
 武器を使うことができるものもいるため、もしもの時は、まとまって対応することもできるから。
「ここで待機します」
 グレイブは後方で待機する。
 トーラとエル、里人たちに等しく対応できる位置で。
「里の、外で、対応したい……」
 エルはトーラの元に戻った。
 こちらに近づいてくる動物のような足音が聞こえる。
 激しく地面を蹴り、こちらにやってくる。

「一体ですね」
 トーラは武器を構え、エルはエーテルを高め、矢をつがえる。
 巻き込んではいけないものはない瞬間をとらえ、矢を放つ。
 それが命中した直後、トーラは間合いを詰め、エーテルを込めた一撃を喰らわせる。

 それはすぐに、トーラに向かう。
 トーラは噛みつかれる前に回避する。
 回避した後、体勢を整え、攻撃を仕掛ける。
 中型の魔獣はトーラに噛みつくが、避けられる。
 トーラとエルが連携し、それを倒した。

 直後、セリオスが追い付き、状況を説明した。
「ハヤトがその方向を確認に行った」
 老エルフがあの魔獣に遭遇している危険がある。
 話を聞いたがグレイブが「私も一緒に行った方がいいみたいですね」と告げる。
 ハルシとナツキにこの場を任せ、冒険者は老エルフがいるだろうところに急いだ。

●言葉は
 ハヤトは倒れる老エルフを発見する。
「おい」
 出血が激しく、老エルフは意識がもうろうとしている。
 ハヤトは止血を試みる。
「セリオス! こっちだ」
 そばにいるかわからないが、助けを呼ぶために、大きな声を上げる。

 セリオスを先頭に、トーラとエル、グレイブはハヤトがいるだろう方に急いだ。
 大型の魔獣が倒れているあたりで、ハヤトの声が聞こえたので、一直線に向かう。

 ハヤトは一行が来るのが見え、
「こっちだ」
 と再度声を上げる。

 近づくと、年老いたエルフが一人、血に濡れて倒れている。
「私が変わります」
 グレイブは老エルフの怪我の様子を見、すぐにエーテルでけがをふさぐべく魔法を用いた。
 損傷が激しく、血が止まっても命を取り留めるかはわからない。
「言われ……おりにや……、悔……ない……」
 老エルフからうわごとのような声が漏れた後、意識が失われた。

「里に運ぼう」
 セリオスとグレイブ、エルは意識を失ったエルフを運び始める。
「この先から来たんでしょうか」
 周辺の状況をトーラとハヤトで調査を続けた。
 今、見ておくことで得られることもあるだろう。
 魔獣の足跡もあったが、徐々に方向は絞り切れなくなる。
 様々な草の匂いがして、手がかりが消えていくようだった。

 老エルフの意識が戻るまで時間はかかりそうだった。
 グレイブは茶葉を土に埋めた。
 人が通らないような場所を選んで。

マスターコメント

 ご参加ありがとうございます。  分担して体調不良者救護、物の調査、老エルフの後を追うことをされていたので、里に降りかかった問題の調査は進みました。  何等か関係ありそうな魔獣の存在や動機があいまいなままとなりますが……。  では、ご縁があればお会いしましょう。
ショートシナリオ

ショートシナリオ難しい 報酬:多い5 / 4〜8人

2023年04月26日 23時12分23秒 公開

成功

相談掲示板

  1. エル

    エル、です。…シューター、です。 どうぞ、よろしく。 まだ、揃っては、ない、です、けど…。 とりあえず、わたし、は、解呪、できない、ので。 どなたか、お願い、したい、です。 他、は、問題のおじいさん、が、いた、辺りの荷物、を、調べる、とか。 行方、を、探す? …魔獣、に、遭遇しそう、です、けど。

  2. グレイブ・ヤード

    まぁ一応解呪は行うつもりでおります ヒーラー、グレイブ・ヤードです 周辺の調査はあったほうがよさそうな気はします

  3. エル

    グレイブさん、どうぞ、よろしく。 解呪、お願い、し、ます。 4人、揃、い、ました、ね。良かった、です。 わたし、は、前、の、通り。 おじいさん、が、いた、辺りの荷物、を、調べ、たり。 行方、を、探、そうと、思い、ます。

  4. セリオス・オーガスト

    ・・・・ん、シューターのセリオスだ、よろしくたのむ とりあえず俺は周辺の調査だな。 魔獣がいるならその痕跡などを探して必要なら駆除に予定だ

  5. グレイブ・ヤード

    えぇ、とりあえず村の皆さんが動けるようにはしておきます。 恐らくそちらにかかりきりになると思いますので、周辺のことはお任せしてもよろしいでしょうか?

  6. トーラ

    シーフのトーラです。 よろしくお願いします! わたしも解呪や毒などの知識はないので、周辺の対応に回りますね。

  7. エル

    セリオスさん、トーラさん、どうぞ、よろしく。 ええと…。 荷物の点検、を、して、何か見つかった、ら。 それ、は、どう、しましょうか? マジカルポケット、とかに、確保、して、おいた方が、いい、でしょうか?

  8. グレイブ・ヤード

    >何か見つかったら もしよろしければこちらへ一部お渡しいただければと 案外痺れを解除できるものかもしれませんし、そうでなくてもゆっくり調べることができそうですからね。 もちろん渡す前に十分調べられればそれでもかまいませんが

  9. エル

    >何か見つかったら 中身、調べてもらえたら、助かり、ます。 ええと、じゃあ、グレイブさん、に、渡し、ましょう、か? それとも、ハルシさんかナツキさんに、持っていてもらう、の、でも、いい、かも、です、ね。 一応、箱?、開けてみよう、か、とは、思い、ます、けど。

  10. グレイブ・ヤード

    ええ、私でもほかの方でも 私は集落内にいる予定ですので、空いた時間で多少は調べられるかと。 何かしら、ギルドに報告できる情報は多いに越したことはないでしょうからね

  11. ハヤト=ガラン=ヴォルファング

    おーっす! ブレイブファング傭兵団のハヤト=ヴォルファング、よろしくな!! ギリギリになっちまってすまねぇな。 俺は怪しい老エルフって奴を追跡してみることにすんな。 とっ捕まえられたらまずは話を聞いてみねぇことには始まらねーだろーしよ。

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0