この教師にしてこの生徒あり
革酎
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シナリオID:2867
オープニング
エラトゥーン都市同盟内の中部に位置する、とある小都市。
その郊外の森で、幾つかの死体が発見された。いずれも全身を激しく切り刻まれており、相当な手練れが下手人かと思われる。
ところが、殺害された者達にも問題があった。というのも、彼らは全員メドゥの指先所属のテロリスト共だったのである。
数週間前から、この小都市の周辺では暴虐なテロリスト共が暴れ回る様になっており、冒険者ギルドが調査した結果、メドゥの指先の末端組織に属する連中だということが分かっていた。
小都市内の商工会議所はテロリスト共による被害に頭を悩ませ、いよいよ冒険者ギルドに討伐を申し入れようとしていたのだが、まさにその矢先の出来事だった。
世間的には被害者がメドゥの指先所属のテロリスト共だったということで、殺害犯を特に追及する様な動きは見られなかった。しかし犯人の正体は何ひとつ分かっていない。場合によっては、その矛先が小都市側に向けられる可能性もあるだろう。
見知らぬ誰かがテロリスト共を始末してくれたからそれで万々歳だ、という訳にはいかないのである。
少なくとも治安維持の観点から見れば、何が起きたのかを突き止めておく必要があるだろう。
そこで商工会議所は改めて、テロリスト殺害犯を割り出す依頼を冒険者ギルドに持ち込む運びとなった。
春の陽気が少しずつ、自然界に暖かな恵みをもたらそうとする頃合い。
小川のせせらぎが心地良く耳に馴染む森の中で、エイリアス・ルトゥはメドゥの指先幹部『青の中指』ジルベルと顔を合わせていた。
ジルベルは何ともいえぬ小難しい表情だが、対するエイリアスは穏やかな笑みを崩さず、どこか飄々とした空気感を漂わせていた。
「先生さぁ、ホントに何も知らねぇの? あいつらの遺体の傷、俺もじっくり見たんだけどよぉ、ありゃどう考えたって先生お得意の精霊術……風の精霊を使った真空波の魔術そっくりだったぜ」
「そういわれましてもねぇ……私が先日まで王国の方に居たのは、ジルベル殿もご存じでしょう?」
エイリアスは特段困った様子は見せていないが、口調は一応、悩ましげな色を含ませている。ジルベルはジルベルで、参ったなぁと頭を掻いた。
「いや、俺だって別に先生が下手人だとは思っちゃいねぇよ。けどさぁ、先生の教え子ん中に、ひとりやふたりは思い当たる節があるんじゃねぇの?」
眉間に皺を寄せてぬぅっと顔を寄せてくるジルベル。流石にエイリアスもこれ以上のらりくらりと躱せるとは思えなかったのか、腕を組んで考える素振りを見せた。
そして漸く、ひとりだけ可能性のある輩を思い浮かべた。
「そうですねぇ……この辺でああいうことをやりそうなのは、ブランチェス殿でしょうか」
エイリアスの口からその名が飛び出してきた瞬間、ジルベルは心底嫌そうな表情を浮かべた。ジルベルも、ブランチェスという人物についてはそれなりに知っている模様だった。
「マジかよ……あいつ、フィルエスに行ってたんじゃなかったのかい?」
「ええ、少し前までは。でも結局、こっちの方が性に合うとか何とかいって帰ってきたみたいです」
他人事の様に軽く応じるエイリアス。いや、事実他人事なのだろうが、ジルベルからすればちょっとは責任感じろよといいたい気分だった。
というのも、そのブランチェスなる人物はエイリアスが家庭教師として精霊術を教え込んだ稀有な才能の持ち主であり、同時に見境無く攻撃本能を剥き出しにする狂人の様な術師でもあった。
メドゥの指先の一員、という訳ではなかったが、かといって冒険者という訳でも無い。授恵者であることは事実だが、その立ち位置はかなりあやふやだ。
「面倒臭ぇな……確かあいつ、オーク辺りとツルんでたよな?」
「そうですね。何でも、力で屈服させて奴隷にしたとか何とか」
凄腕の精霊術使いである上に、凶悪な亜人を十数体程、下僕として従えている。メドゥの指先所属ではないものの、中々に凶暴な集団だ。
否、メドゥの指先に所属していないからこそ、誰彼構わず手当たり次第に喧嘩を吹っ掛けることが出来る、というものなのだろう。
「先生さぁ、あいつにいって、暫く大人しくさせることって出来ねぇ? 俺さぁ、近々この辺で別の仕事があるんだよ。なのにあの野郎に暴れられちゃあ、やりにくくてしょうがねぇよ」
「いやぁ、それは難しいですねぇ。ブランチェス殿は精霊術の講義は大人しく聞いて下さいましたが、それ以外のことではまるっきり、私のいうことなんてこれっぽっちも聞いてくれませんでしたからね」
あっけらかんと笑うエイリアス。ジルベルはますます困ったなぁと仏頂面をぶら下げた。
で、しばらく考えた結果、今回は冒険者に任せようかということになった。
「あそこの商工会議所が、何か依頼出すみてぇだしな……今度ばかりは、冒険者の皆々様にご期待といきましょうかねぇ」
「それが宜しいかと。ブランチェス殿をまともに相手しようと思ったら、中々手を焼きますよ」
のほほんといい切るエイリアスにジルベルは再度、物凄く嫌そうな顔を向けた。
あんた、自分が教えたんだろうといいたかったが、そこはぐっと我慢した。
解説
マスターより
リプレイ
エラトゥーン都市同盟内の某小都市近くに広がる森の中に、幾つかの人影が見えた。
そのうちのひとり、冒険者であると同時に探偵稼業をも営むヴァン・ローラントは、樹々の幹や枝に刻まれた数多くの不自然な傷跡をじっと凝視していた。
ここは、メドゥの指先に所属するテロリスト共が遺体となって発見された現場である。
既にそれらの遺体は件の小都市内へと移送されており、ここには戦いの痕跡だけが残されている状態だ。この殺害現場へ来る前に遺体保管所へと足を延ばしていたヴァンは、遺体にも同様の傷がほぼ全身に亘って残されていた事実を掴んでいる。
ヴァンが見たところ、死因は恐らく全身からの失血死だった。当初は首辺りに致命傷となる一撃が加えられたものと勘繰っていたのだが、不思議なことに人間の急所と呼ばれるところには一カ所たりとも深い傷は残されていなかった。
「下手人は敵を楽には死なせず、痛めつける様にして徐々に命を奪っていった……と見て良さそうだ」
「……となると、必ずしも善人とはいえないという訳ですね」
現場に残されている痕跡を隈なく探して廻っていたトーラが、下生えの間に残る乱雑な足跡を睨みつけながらそっと立ち上がった。
どうやら複数対複数の激しい戦闘が繰り広げられた模様だ。一方は殺害されたメドゥの指先共、そしてもう一方は明らかに人間のものとは異なる亜人と思しき足跡の群れだった。
「敵は複数、で間違い無いか」
警戒の為に同行していたシャドウが、視線は相変わらず周囲に流したまま訊いた。トーラはそうですねと頷き返しつつ、足跡の形から見て亜人は恐らくオークかコボルトかと推測した。
しかしヴァンは、テロリスト共に傷跡を残した主は亜人ではないだろうとの見解を示した。
「あれだけの数の傷を全く同じ形、同じ深さで与えることは物理的な接近戦では事実上、不可能だろう」
刃を振るって物理的に与えた傷であれば、必ず向きや形状、深さなどが異なる筈だ。しかし全ての傷がまるで均一化された様に、ほぼ同一だった。これは同じ威力の攻撃が同時に、そして広範囲に亘って発生したと考える方が自然だった。
「つまり致命傷となったのは、魔法攻撃……ということでしょうか」
「恐らく。俺は一旦冒険者ギルドに戻り、そういう類の魔法攻撃技術が無いかを調べてくる」
それだけいい残して、ヴァンは小都市方面への馬車道へと足早に去っていった。
残ったトーラは、亜人共の足跡を追うことにした。どうやら下手人共は自分達の痕跡をまるで隠そうともしていない様に見える。これ見よがしに披露し、いつでもかかって来いと挑発しているかの如く。
「余程腕に自信がある様だな。なら、ひとりでは危険だ。俺も付き合おう」
「そうして頂けると、助かります」
シャドウに軽く頭を下げてから、トーラも現場を離れた。ヴァンが去っていった方角とは、逆方向。森の更に奥へと向かう獣道に沿って、歩き出した。
●魔術師の影
同じ頃、ユニス・ソロアーヌ・アクエリリーアとリディリディ・トゥラ・イェレミースの両名は、依頼主である商工会議所を訪れていた。
ふたりは遺体が発見された時の状況や、目撃者の有無について更なる情報を求めた。
しかし結果は芳しいものではなく、ただ単純に、それまでこの小都市の住民を散々悩ませていた悪辣な連中がいきなり死体となって発見されたということだけしか分かっていない。
当初リディリディは計画的な襲撃戦という線で考えていたが、或いは単なる遭遇戦だった可能性もここで浮上してきた格好である。
「待ち構えていたのではなく……刹那的に相手を殺したとなれば、非常に無思慮で凶悪な殺人集団、ということになりますね」
商工会議所の応接室で供された熱いハーブティーをすすりながら、リディリディは眉間に皺を寄せた。
この少し前にヴァンと一緒に遺体を検死した際、その無数の傷跡から魔法による攻撃を疑ったリディリディ。どこかで見た覚えのある傷跡群だったということで、ある魔術師の姿を脳裏に思い浮かべていた。
仮に下手人が魔術師だった場合、相当に厄介な人物だ。無分別に殺戮を楽しむ様な輩が、まともな常識人である筈が無い。
少なくともこの時点でリディリディは、自分がよく知っているエルフの魔術師の姿を頭の中から即座に打ち消した。あのひとが、そんなことをする筈が無いとの確信を抱いて。
「集団戦だったことは、間違い無さそうね」
リディリディの隣のソファーで自身が記したメモ書きに視線を落としていたユニスは改めて、最初の発見者たる行商人が遺体の近くに無数の足跡が残っていたという証言にペン先を添えた。
それから応接テーブル上に小都市と周辺地域を含んだ簡単な地図を広げる。メドゥの指先のテロリスト共以外にも野盗や賊が潜んでいそうな場所の目星をつける為だ。
候補は幾つかあるが、いずれも人里から離れた谷や森の奥地だ。一般人なら立ち寄らないだろう。
この時ユニスはふと、ある人物の面影を脳裏に思い浮かべた。それは、かつて結婚を約束した幼馴染みの見慣れた笑顔。彼は旅の途中で事件に巻き込まれ、命を落とした。
ひとの死は、実に呆気無い。幼馴染みの最期を知った当時は空虚な悲しみに襲われて気力を失ったものだが、殺される側は果たして、自分が残してゆくひとびとの想いをどの様に受け止めてこの世を去るのだろうか。
(でも今回は、テロリスト連中……ただ怒りと悔しさだけに囚われ、呪詛を吐いて死んでいったってところかしらね)
そんなことを漠然と考えながら、ユニスは小都市近くの森と交差する川に視線を止めた。小さな滝があるらしく、崖が幾つか並んでいる。馬車道からも程近く、殺害現場からもそう遠くはない。
「ところで、風の精霊攻撃魔法にはどの様なものがあるのかしら?」
ユニスが地図から面を上げて、リディリディに訊いた。
冒険者ギルドで風系の精霊魔術が得意な冒険者について心当たりが無いかを尋ねていたユニスだったが、冒険者ギルド職員は分からないとかぶりを振るばかりだった。
彼らに心当たりが無い訳ではない。寧ろ、その逆だ。
風の精霊魔術を得意とする魔術師は、結構な数が居る。余りに多過ぎて、絞り切れないのだという。だが実際に、どの様な種類の攻撃魔術があるのかは、ギルド職員も皆が皆、完璧に把握している訳ではない。当然ながら冒険者ギルドのロビーや町中で攻撃魔法を使う訳にもいかないだろうから、実際にその様態や威力を間近に見る機会も無いのだろう。
だから、ユニスはリディリディに訊いた。彼女は本職の魔術師なのだ。
「そうですね……暴風や爆風の威力で敵を薙ぎ倒したりすることが、多いでしょうか」
実際リディリディも、強威力の豪風を使役することが出来る。だが真空波を大量に発生させて集団の敵を一気に切り刻むという術はどうだろうか。
少なくともリディリディは、真空波の精霊魔術を駆使する人物をひとり、知っている。だがその人物はつい先程、下手人の可能性から消去したばかりだ。
では他に、同じ術を駆使し得る人物が居るのだろうか。
こればかりは、リディリディにも分からなかった。
●髭面の下手人
足跡を追ったトーラとシャドウは、小さな滝へと辿り着いた。
が、その途中で妙な人物と出会っていた。エルフの男性魔術師だった。穏やかな物腰で、シャルガネ風の餡子入り饅頭を頬張りながら森の中を呑気に歩いていた。
トーラとシャドウは咄嗟に身構えた。こんなところをたったひとりで歩いているなど、明らかに一般人ではない。或いは下手人そのものかとも思えたが、しかし随分とのんびりした空気感に違和感を覚えた。
「あのぅ……ここで何をしているのでしょうか?」
「私ですか? いえ、ちょっと好奇心を刺激されて、どういう展開になるのかを見物しようと思いまして」
更に彼は、自分は一切邪魔はしないから好きなだけ仕事に専念なさって下さい、とも付け加えた。まるで全ての事情を知っているかの如き調子で。
シャドウがそれとなく訊いてみると、エルフの魔術師はテロリスト共が殺害された事実は知っていたが、それ以上のことは何も知らないと答えた。勿論、本当のことをいっているかどうかは、分からない。
だが――トーラとシャドウは、この人物が只者ではないと直感した。そしてそれ程の人物が態々こんなところに足を運んでいた事実から鑑みて、下手人の根城が近いことを同時に確信した。
エルフの魔術師は頑張って下さいねと手を振りつつ、ふたりの前から姿を消した。
出来ればもっと色々訊きたかったが、今は下手人捜索が先決だ。トーラとシャドウは更に足跡を追い、やがて小さな滝近くの小規模な崖の下に、如何にも怪しげな洞窟を発見した。足跡が、その暗闇の中へと吸い込まれていくのが見えた。
ここで間違い無いと確信したふたりは一旦小都市に戻ろうかと考えたが、それから程無くしてヴァン、リディリディ、ユニスの三人の方から出向いてきた。三人もまた、ここが下手人のアジトだろうと踏んで、ここまで乗り込んできたのである。
数分後、オーク共を従えた髭面の男が洞窟から飛び出してきた。
トーラが声高に、投降を呼びかけたからである。
「貴方はどうして、あのひと達を殺害したんですか?」
しかし髭面の男はトーラには答えず、嬉々としてオーク共に戦闘を命じた。オーク共は獰猛な唸りを上げ、手にした粗末な得物を振るいながらトーラとシャドウに襲い掛かってきた。
だがそれよりも早く、リディリディの放った無数の光弾が雨あられとなって襲い掛かり、オーク共をその場に叩き伏せた。
髭面の男は驚き慌てて精霊魔術の発動態勢に入ったが、今度はトーラとシャドウが一気に間合いを詰めた。
トーラに光印を刻まれて更に狼狽した魔術師に、シャドウの容赦ない連撃が襲い掛かる。
速度重視の軽戦士は、詠唱時間を必要とし、且つ接近戦には弱い魔術師にとっては天敵の様なものだ。髭面の魔術師は早くも追い詰められつつあった。
その時オーク共が漸く立ち上がり、前後に分かれて陣形を組み直そうとした。一方はトーラとシャドウに、そして残る一方がヴァンとユニスへ向かおうというのだろう。
しかしどうにも、動きが鈍い。
どうやらこのオーク共は髭面の魔術師への恐怖心から服従していたのだろうが、それを上回る恐怖、即ち目の前の冒険者達の圧倒的な実力に尻込みしている様に見えた。
ならばここで、その恐怖心を利用しない手は無い。ユニスは文字通り矢継ぎ早に次々と鏃を撃ち込んでオーク共の戦意を失わせしめ、ヴァンは矢に乗せた光を炸裂させて打撃をばら撒いた。
この時点でオーク共の士気は総崩れになっていた。
●師の気配
髭面の魔術師は唾を飛ばしてオーク共に命令を飛ばしていたが、オーク共はただ恐れおののくばかりで、果敢に立ち向かおうという姿勢がほとんど見られなかった。
そんな亜人共に対し、リディリディは一切手心を加えなかった。凶暴な連中を徹底的に叩きのめし、善良な一般市民に対して手を出させない様にするのも、冒険者の本分だ。
そのリディリディがオーク共の中心付近にエーテルの光を収束させた。トーラとシャドウが咄嗟に俊足を飛ばして範囲外へと逃れる。と思った次の瞬間には轟音が大気を振動させ、オークもろとも髭面の魔術師を圧倒的な爆風で薙ぎ倒していた。
これでオーク共の大半は息絶えたが、髭面の魔術師は尚も獰猛な怒りの咆哮を上げながら、攻撃魔術の発動態勢を崩そうとしなかった。トーラとシャドウが阻止へと動くものの、一瞬早く、髭面の魔術師の攻撃魔術が完成した。
恐ろしい程の広範囲に、強風が吹き荒れる。
シャドウとトーラは髭面の魔術師との間合いを詰めていた為に無傷で済んだが、ヴァンとユニス、そしてリディリディの三人は真空波が乱れ舞う斬撃空間の中に呑み込まれた。
だが幸い、威力は弱かった。トーラが早い段階で光印を髭面の魔術師に刻み込んでいたのが功を奏した。攻撃を受けた三人は全身至る所に傷を負ったものの、いずれも掠り傷程度であり、致命傷には至らない。
髭面の魔術師は、愕然としていた。まさか、己の最も得意とする必殺の一撃がこの程度の威力にまで抑えられるとは、夢にも思って見なかったのだろう。
その直後にはトーラとシャドウが、髭面の魔術師を取り押さえた。
残るオーク共はヴァンとユニスの鏃で片っ端から仕留めていった。若干残酷な気がしないでもなかったが、主を失った亜人がこの後、どの様な暴挙に出るのかは簡単に想像出来る。生かしておく訳にはいかないだろう。
こうして、メドゥの指先所属のテロリスト共を殺害した謎の下手人は、冒険者達の手によって捕縛された。
トーラが名を訊くと、男はブランチェスと名乗った。
ヴァンとユニスがブランチェスを縄で縛っている間、トーラとシャドウは周辺に視線を流していた。そんなふたりの誰かを探している様子に、リディリディは小首を傾げた。
「どなたかを、探しているのでしょうか?」
「えぇと、実はここへ来る前に、エルフの魔術師さんとお会いしまして……」
トーラがその人物の特徴を告げると、リディリディはその場に凝り固まってしまった。
かつて自身を指導した家庭教師に、その風貌や言動が余りにもよく似ていたからであった。ここでまさかという意識が咄嗟に走ったリディリディは、たった今ヴァンとユニスが縛り上げたばかりのブランチェスへと詰め寄り、真空波の精霊魔術を教えたのは誰かと訊いた。
ブランチェスは、エイリアス・ルトゥだと答えた。
いつに無く慌てて周囲を見渡すリディリディ。
その彼女を遠目に眺める位置でエルフの魔術師、即ちエイリアスはただ穏やかに笑みを湛え、残っていた饅頭を口の中に押し込んだ。
「会いに行かなくても良いのかい?」
そのすぐ傍らから、事の始終を見届けていたメドゥの指先幹部『青の中指』ジルベルが低く呼びかけてきた。ふたりは今、冒険者達からは見えない茂みの奥から、洞窟前での一連の出来事をその目で確認し終えたばかりであった。
「何だったら、俺は席外すぜ」
「いえ……彼女は私が教えてきた生徒達のひとりに過ぎません。特別扱いは無用です」
万物は表裏一体。運命が必要だと判断すれば、いずれまた顔を合わせることになるでしょうと締めくくり、エイリアスは踵を返した。
「ふぅん、そんなもんかい……ま、お陰さんで俺もやりやすくなったがね」
ジルベルもエイリアスの後に続いた。
マスターコメント
ショートシナリオR普通 報酬:多い5 / 4〜8人
2023年03月18日 19時38分31秒 公開
参加者
- イェレミース トゥラ リディリディ
トーラ
ヴァン・ローラント
- ユニス・ソロアーヌ・アクエリリーア
シャドウ
相談掲示板
No.1
メタ発言失礼します。 確定までの参加とは至っていませんが、宜しくお願いします。 OPで犯人(メドゥの指先に手を下した者)は示唆されていますが、私たちはそれを知らない状態です。 ですので、その下手人探しからスタートとなりますね。 ・現場は某都市の郊外にある森 ・被害者はメドゥの指先複数名 ・死因は魔術による傷と思われる(ジルベルさんの見立て) ・動機不明 ぐらいでしょうか。 死因についてはジルベルさんと話すわけではないですが、検死をすればある程度わかると思います。
シャドウだ。よろしく。 俺には殺人事件の調査などサッパリだが 敵までたどり着いたら殴り散らかすよ。
探偵をやっているヴァンだ、よろしく頼む。 俺は捜査重点に行動するつもりだ。 死因が精霊魔法ってやつな事については残留思念感応で遺体を調べれば、刃物で斬り刻まれたとは違う方法で付いた傷だって事が分かると思う。 そこからそういう技があるのかを当たって、使えそうな奴らがいないかどうか調査するのはどうだろう。
シーフのトーラです。 よろしくお願いします! 遺体発見現場を調べて、犯人の手がかりを探したり足跡を追ってみようと思っています。 森なら魔法の余波の斬り痕等も見付かるかもしれませんし、足跡の方向で犯人の行き先も分かるかもです。 それらの情報を共有して、魔法によるものと確信が持てればヴァンさんの言うように使用者を特定するよう調査するので良いかと!
シューターのユニスよ。 足跡から集団ということがわかるなら、最近に怪しい集団の目撃情報がギルドに持ち込まれたり噂になってるとかを聞き込みとか、そういう方向でやってみるつもりよ。 相手のアジトとかの目星が、ある程度はつけられるかもしれないから。
No.6
す、すみません。名乗るのを失念していました。 キャスターのリディリディです。 よ、よろしくお願いします・・・。 それでは私は、依頼人である商工会議所に詳しくお話を聞いてきます。 >刃物で斬り刻まれたとは違う方法 そうですね、私は魔法知識を準備して行く事にします。 あとは資料検索か看破でしょうか。どちらか用意しますね。
もう明日の朝には出発ですね。 犯人と戦闘になるなら、魔法攻撃対策に魔乱印を持っていきます。 あとはヒーラーの方が居ないので念のためヒールも持ち込みますね。