【微獄】朱に染まりゆく【鬼哭】
革酎
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シナリオID:2858
オープニング
リーンエス王国王都グランスパーダは、多数の街区から構成される巨大な都市である。
当然住民の層も数多に分かれており、最下層のひとびとは街壁の外側にスラム街を形成している。無論、街壁の内側にも所謂貧困層は存在しているのだが、彼らの住まう場所は大抵、下町と呼ばれる街区に集中する傾向にある様だ。
そういった下町のひとつ、シンバトエ居住街区で異変が生じた。一部の住民が突如、謎の流行り病に侵されたというのである。
罹患した者は高熱や下痢、嘔吐といった症状に数日苦しんだ後、全身の皮膚がペースト状に溶け始め、やがて筋肉や内臓の区別もつかぬ程に肉体がどろどろに崩壊してしまい、最後には血まみれの肉塊と化して無残な死を遂げるのだという。
最初は数名だけがこの恐るべき謎の奇病に罹患したのだが、感染者数は次第に増え始め、僅か半月の間にシンバトエ居住街区の住民のおよそ四割近くが、次々と罹患していった。
シンバトエを管轄する行政支所は事態を重く見て、当街区の完全封鎖を決定した。
謎の病が伝染性を帯びているかどうかが分からない以上、感染源となり得る住民をシンバトエ以外に流出させる訳にはいかなかったのである。
当然、未発症のシンバトエ住民は恐怖に陥り、町から出してくれと懇願する者が相次いだ。
しかし行政支所は王都壊滅を未然に防ぐべく彼らの訴えをことごとく退けた上に、王国騎士団に出動を要請して、当街区に対する物理的な封鎖措置を取るに至った。
こうして、かつては何の変哲も無い平和な下町だったシンバトエ居住街区は、絶望と苦悶の嘆きが渦巻く地獄のゴーストタウンと化した。
その一方でリーンエス王家も、事態解明の為に動き出した。
ともすれば、あの恐るべき奇病が王都全域にて密やかに進行する可能性もあり、それは引いてはリーンエス王家の危機にも繋がりかねない。
シンバトエの惨劇は、決して看過してはならないのである。
半ば見殺しの形で同街区に取り残されたひとびとを少しでも多く救う為にも、知性と度胸に溢れる人選が行われた。
結果――近衛騎士ジュール・J・ヴェルジーが問題の奇病の調査主任に充てられる運びとなった。
●隻眼の老魔術師の決断
ジュールはシンバトエ居住街区を管轄する行政支所へと足を運び、住民台帳と、奇病の報告書を照らし合わせた。
記録によれば、最初に発病したのは六名。いずれも成人男性で、ここ数日の食生活やそれぞれの行動範囲にはおかしな点は見られない。
(しかし……必ず何かがある筈だ。彼らだけに共通する、何かが)
その次の罹患者は、この六名の家族や友人など、所謂縁者と呼ばれる者達である。その内訳は老若男女様々であり、何の統一性も見られない。恐らくは、最初の六人から何らかの形で病を感染させられたのだろう。
以後は半ば芋づる式に、周辺へと感染が広がっている。こうなってくるともう、誰が感染源になってもおかしくない状況だった。
管轄の行政支所が封鎖措置を取ったのは英断だったが、しかし遅過ぎたかも知れない。もしかすると、最初の罹患者が発生した当時に何も知らぬ別の町の訪問者が、自身も気付かぬうちにシンバトエ以外に病の根源を持ち出している可能性も否定出来なかった。
ひと通り記録に目を通し終えたジュールは、このままでは何も分からぬと溜息を漏らした。
(シンバトエに入り、直接自分の目と耳で情報を集める以外に無いだろうな)
件の下町に足を踏み入れれば、謎の奇病に罹患する可能性も大いにあり得る。それでもジュールは、近衛騎士としての責任を全うする為には多少の危険も覚悟しなければならないと腹を括った。
(後は命知らずの冒険者を何人か、募るしか無さそうだな)
シンバトエに近い大通りに、冒険者ギルドの支部のひとつがあった筈だ。
ジュールは渋い表情を浮かべたまま、行政支所を後にした。
グランスパーダ郊外の、とある森の中。
漆黒の忍闘衣に身を包んだふたつの人影――天陽道の首領鬼一 劉厳と、No.2の天陽師蘆屋 外伴の両名が、何人かの唱紋士の報告を受けて互いに顔を見合わせている。
「成程……聞いていた以上の毒性という訳か。恐るべき奇病であるな」
「しかし、よくもあんな化け物が存在したものですな」
感心する鬼一劉厳とは対照的に、蘆屋外伴は幾分呆れた様子で苦笑を漏らした。
やがて、彼らへの報告を終えた唱紋士達は四方に散っていった。尚もグランスパーダ内に潜入し、シンバトエの状況をつぶさに調べ上げる為だ。
残ったふたりの巨魁はしばしグランスパーダの街壁を遠くに望んでいたが、ややあって、蘆屋外伴が僅かに頭を垂れて踵を返した。
グランスパーダの他に、見ておくべき土地がある。蘆屋外伴の脚は、西へ向かって歩き出していた。
解説
マスターより
リプレイ
冒険者達が足を踏み入れた時、本当にここはリーンエス王国王都グランスパーダなのかと、目を疑わずにはいられなかった。
王国騎士団によって物理的に完全封鎖されたシンバトエ居住街区は、路上を行き交う地元住民の姿も無く、春の陽気が却って不気味に思える程に明るい陽射しとなって燦々と降り注いでいる。
「今回はまたヤベェ依頼だな……何かの呪いの類じゃねぇだろうな?」
静まり返った町並みを漫然と眺めていたハヤト=ガラン=ヴォルファングが、路地裏にもそっと視線を流してみたが、そこにもひとの気配は見られない。
「この調査を終えて原因が判明した暁には、亡くなった方々へのレクイエムを捧げよう」
キオルティスも今回ばかりは神妙な表情を浮かべているが、しかし課せられた任務にまで感情を持ち込む様なことはしない。ここに足を踏み入れるまでに調べてきたことは全て情報として纏めており、そこから絞り込むべき方針を既に立てている。後は、未完の部分に調査の矛先を向けるだけだ。
「俺は最初の感染者六人の自宅を訪ねる。何か残ってりゃ良いけどな」
「じゃあ、俺はこれまでに罹患していた全感染者と、最初の六人との関係性を改めて洗い直す」
ハヤトに応じながら、キオルティスは鼻と口を覆う様にして自身の顔にバンダナを巻き付けた。下手に住民を刺激せぬ様にと細心の注意を払い、これが本来のスタイルであるかの如く装いつつ、それでいて疫病の感染源となり得るものを体内には入れない様にと予防策を施す。
調査を円滑に進める為には、王国騎士団に包囲されたことで絶望感を味わっている住民の感情をこれ以上逆撫でしてはならない。単純に敵と刃を交える方が余程に気が楽だったが、そうもいっていられない状況に、キオルティスは更に気分が重くなった。
同じ頃、少し離れた別の路地ではいつもとは異なり、恐ろしく地味な色合いの野暮ったい衣装を身に纏ったジュスト・ヴェルジーとローザリカ・L・ディオールが、井戸水の調査を終えてから、数日前に発症したという老夫婦宅へと足を運んでいた。ふたりは一応、マントや手袋等で感染防止を心がけてはいるものの、住民の警戒を買わぬ様に、余り大袈裟ではない防護にとどめていた。
そしてジュストはローザリカに対し、ひとりで気負い過ぎないかと心配していたが、顔には出さない。ローザリカの性格を考えると、過剰に心配する素振りを見せると却って逆効果だ。ここは飽くまで冷静に、何かあれば陰でサポートするぐらいの気構えで居た方が良いだろう。
老夫婦宅にお邪魔すると、まずジュストが飲料水を確保したり、不安に駆られている彼らを得意の話術で安心させるなどして、ローザリカが作業を進め易い様にと環境作りに腐心した。
「井戸水には異常は見当たりませんでしたが、念の為、こちらをご利用下さい」
ジュストが綺麗な水を貯めた瓶を指差すと、老夫婦は僅かに安堵の色を見せて頷き返してきた。どうやら、彼らの信頼を勝ち得ることは出来た様だ。
「僕達は、救う手立てを見つけるために今、ここにいる。どうか力を貸してくれないか」
ローザリカは、自身の治癒術が効果を見せるかどうかを確かめたい旨を申し入れると、老夫婦は是非試してくれと応じた。結果、治癒術は明らかに効果を示した。老夫婦はいずれも苦痛が和らいだ様子を見せたのだ。
奇病とはいうものの、治癒術が効果を示すということは病とは別のものなのか。ローザリカは内心で小首を傾げつつも、老夫婦から色々と聞き出し続けた。何か変わったことや、いつもとは異なることが無かったかなどを問いかけたが、ふたりは近所の友人達が奇病を発した際に看護に駆けつけたこと以外は、特段何も無かったと応じた。
ジュストとローザリカは、顔を見合わせた。
これまでのところ、シンバトエ居住街区には外部から怪しげな何者かが侵入してきた様な情報は無く、食生活にも特に変わった点は無かったとの由。
つまり、目に見えるサイズの攻撃者という線は消えたといって良い。ジュストもローザリカもアンデッドの介在を推測していたが、現時点では一旦その可能性は頭から消した方が良さそうであった。
●血の疑い
シンバトエ居住街区を管轄する行政支所内の会議室で、ロゼットとルアンナ・ミュラーは会議卓一杯に広げた諸々の資料を次から次へと手にとっては、気になる部分をそれぞれメモに書き留めている。
傍らでは近衛騎士ジュール・J・ヴェルジーが、行政支所の役人に必要となる追加情報の集約について指示を出していた。
「娼館での感染……は、ちょっと除外した方が良いかもですねぇ」
ルアンナは凝った肩をほぐす様な仕草を見せながら、幾分残念そうな表情でかぶりを振った。
最初に罹患した六人が娼婦から問題の奇病を感染させられたという仮説を立てていたルアンナだったが、六人共ここ一カ月以内に娼館へ足を運んだという記録も証言も得られなかったのだ。
勿論、辻立ちしている娼婦に手を出した可能性もあったが、ルアンナが自身の足で稼いだ情報内には、その様な痕跡は欠片も見られなかった。
一方、ロゼットは最初の六人が何かの、或いは誰かの血液に触れたのではとの仮説を立てていた。
「病気の症状で、身体や内臓を痛めることはあるわ。でも全身に及ぶものとなると……血じゃないか、と思ったの」
血液を媒介とした感染経路というのは、可能性のひとつとしては大いにあり得る。
だが問題は、誰の血液に触れたか、だ。それが分からなければ、六人に奇病を感染させた原因を特定するには至らない。ロゼットは王国に、血液について詳しい機関は無いかとジュールに尋ねたが、生憎その様な代物は存在しないということらしい。
「だがふたりとも、観点はそう間違っていないだろう。誰かの血液、体液、或いはそれに類したものから感染したのではないかというのは、私も同様に感じている」
だから根気良く情報を集め続けよう、とジュールはいう。
そこでロゼットは、最近死亡した罹患者の遺体安置場所について訊いた。筋肉や内臓が崩壊してドロドロに溶けたということは当然、大量の血液もそこに含まれて残されている筈だ。直接遺体を観察することで、見えてくるものがあるかも知れない。
ジュールが改めて行政支所の役人にロゼットの希望を伝えると、シンバトエ居住街区の西端に位置する倉庫を一時的な遺体保管所としているとの回答。下手に埋葬すると土壌を通じて異常が発生するかも知れないと考えた役人達が、奇病の正体を特定するまではその様な暫定措置を取ったとの由。
「じゃあ、早速案内してくれるかしら」
かくして三人は、件の倉庫へと足を運ぶこととなった。
ところが、その倉庫近くの路地裏で、コルネリウス・アーラとレピド・クロサイトは思わぬものを発見していた。
それは骨以外の肉体構成物がドロドロに溶けて崩壊した、鼠の死骸だった。
鼠だと分かったのは、その骨の形やサイズで推測出来たからであり、溶けた肉と血の塊だけを見れば、それが何であるのかはすぐには理解出来なかっただろう。
コルネリウスとレピドは事前に奇病の話を聞いていたから、罹患者の末路を知っていた。そしてその死亡時の特徴も。それだけに、鼠の死骸で同様の現象が見られたのは大きな衝撃だった。
「思わぬところから全く別の可能性に辿り着いてしまいましたね……」
硬い表情で鼠の死骸を凝視するコルネリウス。
ここまで彼女はシンバトエ居住街区の住民を訪ねて廻り、聞き込みと同時に精神的なケアにも腐心していた。軽症の患者には治癒術を施すなどして、彼らの信頼を得ると同時に、謎の奇病に治癒術が効果を持つという意外な側面を知ることも出来た。
が、正直なところ問題の根源に辿り着くには至っていなかった。
それはレピドも同様で、各家庭の住民に対し、ドア越しで事情聴取や情報収集を試みた。
「奇病の解決の為に調査に来た冒険者だ。不安ならドアを開けなくても構わない……どうか、教えてくれ」
この真摯な対応に理解を示した住民達は、彼らの知り得る情報を全て語ってくれたものの、しかし奇病発生前には特段変わったことは無かったという情報が得られるに留まっていた。
罹患した者に共通していることといえば、最初の六人、或いはその親族や友人と何らかの形で接触しており、中には遺体処理に携わった者も居た。しかし全員が全員、遺体に直接触れた訳でもなかった為、感染ルートの特定はいささか難航していた。
また同居住街区には医者は居ないし、授恵者も居を構えていない為、そういった種類のひとびとが罹患したというケースは遂に分からなかった。
だが――。
「……そういえば、動物はこの病にかかるのだろうか」
ふと何げ無く、そんな疑問を抱いたレピドがコルネリウスと共に路地裏を歩いていると、遭遇したのが、この鼠の死骸だった。
●朱の中に蠢く
ジュストとローザリカは、愕然と立ち尽くしていた。
つい先程まで、ローザリカの治癒術で痛みが和らいだと喜んでいた老夫婦が突然悶絶し始め、やがて皮膚がドロドロに崩れ始めたのである。
慌てて治癒術を施すと、体表の崩壊は止まった。ところが数分後には再び苦悶が始まり、その都度治癒術を繰り返すといういたちごっこの様な状態に陥った。
そして遂に、ふたりは治癒術の行使上限に至った。もうこれ以上の治癒術は使えないという段になると、老夫婦は全身が溶け崩れ、血と肉の塊となって息絶えた。
激しい苦痛と恐怖の呻き、悲鳴、泣き声。
どうすることも出来ない現実に、ローザリカは言葉を失ってがっくりとその場に膝を付いた。今にも自信喪失に陥りかけたローザリカを、ジュストが背中から抱き寄せ、そして両腕に力を込めた。
ローザリカは、悪くない。彼女は最大限の努力をした。負うべき罪も責任も、ローザリカには欠片も無い。
だがそれでもローザリカは、己を責めるだろう。
治療法を探る為に協力して欲しいと申し入れたローザリカに対し、老夫婦は苦しげな表情を浮かべながらも、進んで応じてくれた。冒険者達に嫌悪感を示すことも無く、協力する姿勢を示してくれた。
にも関わらず、この老夫婦を救うことが出来なかった。
肉塊と化した犠牲者を呆然と眺めるローザリカの頬を、滴が伝い落ちた。
そしてそんな彼女を、ジュストはただ抱き締めてやることしか出来なかった。
一方、最初の六人の遺体を保管している倉庫へと足を向けたロゼットとルアンナ、ジュールの三人は、近くで聞き込みと住民のケアを続けていたコルネリウスとレピドの両名と合流し、揃って倉庫内に足を踏み入れることとなった。
遺体はそれぞれ、木製の大きな桶に詰められていた。
「毒性の特定が出来れば治療手段が……と思いたいのだけど」
蓋を開け、ランタンの灯りの中に浮かび上がる不気味な血肉の塊をじっと凝視するロゼット。その傍らでコルネリウスが、レピドと並んで別の桶を覗き込んでいた。
「この六名以降は、血液などを介して接触で感染したのでしょうか」
或いは毒か。
いずれにせよ、恐らくは本人も気付かないうちに罹患していたのだろう。
毒に関しては、レピドもそれなりに詳しい。だが今回の奇病が毒物を起因としているかどうかは、まだ分からない。情報が少な過ぎる為、毒物の関与を判断するのは今の段階では難しい。
この時ルアンナは偶然ながら、遺体の肉片上で微細な何かが動いていることに気付いた。本当に偶然だった。普段であれば気にも留めなかったかも知れないが、この時のルアンナは運が良かった。
「何か……遺体の中に居る様な気がします」
ルアンナのこのひと言で、遺体表面のみならず、肉塊内側にまで捜索の視線を差し込むことになった。
蠢く何かが居たのは、正確には肉塊ではなく、血液だ。ロゼットとコルネリウスの予測は、或いは的を射ていたのかも知れない。
しかし、血液に触れることは冒険者達自身の感染リスクが高まる。そこで適当な容器に遺体から採取した微量の血液を流し込み、乾燥するまでの間、じっくり観察することにした。
「……矢張り、何かが居る様だ」
レピドが低く唸ったが、意外な現象が生じた。
血液は、遂に乾くことはなかったのだ。どういう訳か、少しずつ量が減っていったのである。
同時に微細な何かが、徐々に数を増していった。まるで血液を餌にして増殖している様にも見えたが、餌である血液が失われると、それらの微細な何かも息絶えるかの如く、完全に姿を消した。
新たな情報が、浮上した。
兎に角あちこちを歩き回って地道な聞き込みを続けていたキオルティスとハヤトが、最初に罹患した六人がシンバトエ居住街区の隣町にある酒場の常連客だった事実を掴んだ。
キオルティスは考え得る可能性を片っ端から潰していくと同時に、不明点が残された観点には徹底して情報を精査した。年齢、娯楽、嗜好品、住居環境、区外への接触、罹患前の来客――これらの情報から、最終的に絞り込んだのが、隣町の酒場だったのである。
そしてハヤトは初期の段階から歓楽街での感染の可能性を考え、シンバトエ居住街区内外の歓楽街へと足を運び、最初の六人の特徴を伝えて彼らの足跡を追い続けた。
そして漸く、ひとつの事実が判明した。問題の六人は、どうやら飲み友達だったらしい。お互いに素性を詳しく知っているという訳ではなかったが、件の酒場に集まれば楽しげに木製ジョッキを交わして大いに飲食を楽しんでいたのだという。
「最初の六人の共通点さえ見つかりゃ、真実に近づけるんだがな……」
その一点を絞り込むことに集中したハヤトとしては、もうこの時点で今回の任務のほぼ八割方を終えた様なものであった。
だがここで、更に新たな情報が飛び出してきた。その六人にはもうひとり、別の飲み友達が居た。そのもうひとりの人物はシンバトエ居住街区ではなく、この酒場のある町の住民だそうだ。
ふたりは早速、その最後のひとりの自宅を訪ねた。
「おいおい、こいつは……」
「どうやら、彼が最初の罹患者だった様だな」
ノックをしても返事が無かった為、ふたりは無礼を承知で屋内へ踏み込んだ。そして、ベッドに大量の乾いた血と肉片が残されている場面に遭遇した。骨の並びや角度から見て、最期は相当に悶え苦しんだことが推測出来る。
血肉の乾き具合から察するに、シンバトエ居住街区で最初に罹患した六人よりも更に早い段階で発症し、死亡したことが伺える。
そしてこの最初の罹患者は、冒険者ギルドの職員だった。
彼は罹患の直前、シラー砂漠へと出向いていた。
イダの刻印を解除する為に、十数名のゴブリンがラネンターカム陵地下へと隔離されたが、彼らの世話役として出張していたのである。
「出どころは、そこか」
キオルティスは、黙然と呟いた。
マスターコメント
ショートシナリオ難しい 報酬:標準8 / 4〜8人
2023年03月26日 17時24分03秒 公開
相談掲示板
キャスターのジュストだ、よろしくね。 見落としでなければ最初の罹患者達の種族については触れられていないよね? その辺りも調べて罹患し易い条件の他、原因及び感染経路や罹患者以外に媒介するものはないかも特定したいところだし、ヒーラーの参加者もいるから何か治療法にも目途が付けば良いんだけれど。 ……仕方がなかったとはいえ、俺は彼らを隔離した側の人間だから、普通に訊いても話をして貰えないのではないかと思っている。 だから苦しんでいる人のケアか、まだ感染していないけれど感染の恐怖や不安に苛まれている人のケアに取り組みながら最初の罹患者について話を訊けたらと考えているよ。
ヒーラーのロゼットよ。よろしくね。 いつ暴動になっても、おかしくなさそうな状況ね…。 暴力ならまだしも、縋りつかれたら振り払うのは辛いわ。 最初の罹患者達の種族については、触れられていないわね。 後の感染は友人、血縁以外にも及んでいるから種族の壁は 超えていそうだけど…。 何をどう調べるかは、ちょっとまだ考えてるわ。 自己判断かもしれないけど、区内に入るのは普通に入る? 手袋や口を覆う、フェイスカバーとか。まあ予防の類ね。 このご時世だから、余計に考えてしまって。
シーフのキオルティス。今回は宜しくね。 最初の罹患者たちの種族か。確かに。 種族に因る罹患率の高さとかも有るかもしれないね。 あとは成人男性と言うだけだし、もっと細やかな年齢が知りたい。 食と行動に大差が無いなら住居環境とかね。 最初の罹患者たちの区外への接触率も調べたいかな。 直接の接触だけじゃなく、間接的な部分も込みで、だけれど。 区内に入るのであれば…そうだね。 俺は普通に入る『振り』はする、と言う感じかも。 可能な感染防衛策は取っていくけれど、フェイクカバーで姿(外見)を 無防備に変えていく、とか、区民に直接話を訊かないならハイディングで 姿さえ見せない、とかかな。 区民に余計な刺激を与えたくないって言うのが正直な所だね。
レピド・クロサイト、シーフだ。よろしく頼む。 ……あまりに奇妙な症状過ぎて、病なのか毒なのか呪術なのかよくわからなくなるな。 今のところは患者の遺体の処理をどうしたのか、処理をした者は感染したのか、の辺りを調べてみたいと思った。 他には授恵者にも感染者が出ているか……の辺りも気になるか。 >普通に入る? 手袋や口を覆う一応の対策をした上で入るかな。 ゴーストタウンとなった、とあるから住民は主に家に引きこもっているのだろうと予想する。 そうなるとこちらから家々を訪ねて回る事になるから、正直に調査である旨を話して協力を求める方向性でいけたらなと。 それと必要がない限り壁越し・扉越しに会話をするとかもした方がいいかも知れない。 ……というか、住民側が感染を恐れて家から出てきてくれない気がする。
ありがとう。悩ましいけど、感染予防はした上で 体調を崩した方の訪問診療を兼ねて、聞き込みをしようかな。 神聖術で治るようなものではないでしょうけど確認もするわ。
……酷いな。 ヒーラーのローザリカ、よろしく頼む。 どれほど役に立つかは不明だが、医療知識は身に着けているから持ち込む予定だ。 そうだね、感染対策はするに越したことはなさそうだと思う。 とはいえあまり刺激したくないのも事実だし、手袋は自然と出来ても口を覆うのは迷うな。 レピド君の言う遺体処理の調査は僕も気に掛かる。 少なくとも最初に感染した者には成人男性という共通点があるし…… 女性よりは何かしらの遺体や血液などに触れる機会もありそうだ。 調べる取っ掛かりとしてはあとはなんだろう、職とかだろうか。
キャスターのルアンナです。 全身が溶けながら死んでしまうなんて、想像を絶する苦痛でしょうね。想像もしたくないです…。 感染予防はあまり大っぴらにやると住人の皆さんを刺激してしまうというのは同意です。しても手袋くらいでしょうか。 >感染源 最初は成人男性が6名。もし水や食べ物が原因ならもっと早く広まってるでしょうし、かなり狭い所から始まってると思います。 直接お話が出来れば早かったですが、この方々はもう亡くなってますよね…。
遅くなりましてすみません、ウォーリアのコルネリウスです。よろしくお願いします。 感染対策については自然に付けられる手袋はしておくと良いかなと思いました。 最初の六人からどのように感染していったか、聞き込みをして絞り込んでいかないといけませんね。 調べていくなら既に出ているように職業など特定の場所に出入りしている共通点があるかどうか、などでしょうか。 まだ出来る事もあるかと思いますので、もう少し考えてみるつもりです。
>感染対策 ありがとう。考えたけど、気は使った上で対策はしていくわ。 まだ感染していない人に感染予防を伝える見本にもしたいから。