【天馬】その名はビャスカル

七海真砂

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シナリオID:2768

オープニング

●天馬葬(ペガシオン)
 一面の銀世界となった帝国東部の草原に、馬の下半身とヒトの上半身を持つ異形の者達が集まっていた。彼らは『ケンタウロス』。人馬とも呼ばれる、亜人の一種族である。
 ケンタウロスは人類に敵対的な種族であり、長きに渡って帝国を始めとする各国に侵略を行ってきた。言語も通じない為、彼らとの相互理解は決して不可能だと言われてきた。
 しかし、1222年の春、シルトラース帝国の将軍バルディオンと帝国東部辺境の『聖地』に住まうケンタウロスの大族長レミーラが停戦協議を行い、両者はそれに合意した。歴史上初めて、人類の国家とケンタウロスが約束を交わしたのだ。それ以来、帝国においてケンタウロスと人類の距離は少しずつだが縮まりつつある。此度、帝国の皇子レイウェスト・バルダスや冒険者達がレミーラの葬儀に招かれたのも、ケンタウロスと人類の関係が変わりつつあることの証左であった。
 天馬葬(ペガシオン)。それは、現世での使命を果たし終えた偉大な指導者を天へと見送る、ケンタウロス達の生前葬にして、大運動会の名であった。

●再会
 ケンタウロス達の『聖地』を訪問したレイウェスト・バルダスの元にやって来たのは、二体のケンタウロスだった。その両方に、レイウェストは見覚えがあった。
「ルカンドラ殿。それに、通訳の……」
「ライノです。ご無沙汰しております」
 頭を下げた細身のケンタウロスは、かなり流暢に人間の言葉を話すことができる個体で、かつてレイウェストが『エーテル石』を求めてこの聖地を訪れた際にも通訳を務めてくれたケンタウロスだった。
 そして、その隣にいるルカンドラこそが当時の交渉相手であり、レイウェストが聖地に滞在することと引き換えに『世界樹』を訪れ、エーテル石をくべたケンタウロスである。
 多くの冒険者と行動を共にし、世界樹から直接この世界の危機について耳にしたルカンドラは、ケンタウロスの中でも人類に好意的な個体であり、両者の間での相互理解を深めようと模索していた。

『レミーラ殿の生前葬という悲しい機会ではあるが、再びこうして、平和的に会うことができ、嬉しく思う』
「私もだ」
 ルカンドラの言葉に、レイウェストは深く頷き返す。
 このように人間とケンタウロスが言葉を交わすなど、少し前には考えられなかったことだ。ケンタウロスの間には、まだまだ人間と友好的な交流を持つなど有り得ないという個体もいることだろう。
 だが、ルカンドラはこうして、レイウェストの元へわざわざ丁寧に挨拶のために訪れてくれた。その歩み寄りに応えない訳にはいかないだろう。
「ルカンドラ殿も天馬葬(ペガシオン)に参列するのであれば、是非その様子を見学させていただきたい」
 どのような競技であったとしても、ケンタウロスの文化を理解するために足を運ぼう。そう心に決めて申し出るレイウェストだったが、ルカンドラの考えは、更に一歩進んだものであった。
『それなのだが……レイウェスト殿、我々とビャスカルで対戦しないか?』

●その名はビャスカル
「ビャスカル?」
 聞き慣れない言葉にレイウェストが首を傾げると、通訳のライノがすぐに口を開いた。

 レイウェストが聞いた内容を整理すると、こうである。
 ビャスカルは、水を撒いてツルツルに凍らせた地面の上で行う球技の一種だ。
 選手は、木刀のような形をしたスティックを持ち、このスティックを使って地面の上で玉を滑らせながら運んでいく。
 地面には敵ゴールと味方ゴールがあり、敵ゴールに玉を入れたら得点になる。
 もちろん、対戦相手はそれを阻止しようと動いて来るし、反対に味方ゴールへ玉を運ぼうとする。自分達も同じようにゴールを守りながら敵ゴールに玉を入れるのだ!

「なるほど……選手への妨害は、どの程度構わないのだろうか? 攻撃的な行為が可能かどうかで、戦略が大きく変わりそうだが……」
「いわゆる攻撃の類は反則ですね。脚力や、スティックを操る巧みさが大きなポイントとなります」
 脚力となると、ケンタウロスの方が、かなり有利そうな気がする。
 が、それについては『ツルツルに凍った地面の上』だというのがまたポイントになっているらしい。
「闇雲に走るだけだと滑ります。スティックを動かす際や、玉を仲間へパスする時などは、踏ん張る力の方が重要かもしれず……純粋な速度だけの勝負では無いのがビャスカルです」
 で、あれば、人間チームにも戦い方はありそうだ。

『レミーラ殿が作ってくれた機会、俺は人間とケンタウロスが交流を深めるためのものにしたい』
 ビャスカルで対戦することは、決して両者の対立を深めるものではない。互いの身体能力を知り、認め合うことは、人間とケンタウロスが相互理解を深めていく機会に、なってくれるはずだ。
 それは、いつかケンタウロスが人間達と共に、この世界への脅威に立ち向かう――そんな未来への一歩になるのではないか、と、そうルカンドラは考えているようだ。
「――わかった。その勝負、受けて立とう」
『では、明朝コートにて』
 レイウェストはルカンドラと頷き合うと、すぐさま、ビャスカルに参加する選手を募りに向かった。

解説

 ビャスカルとは!  アイスホッケーです。  細かいルールはいーかげんになっている(存在しない)とか、スケート靴を履くわけじゃないとか、色々な違いもありますが、まあ要するにざっくりアイスホッケーです。 ●人間チーム  レイウェストが参加します。力はあまりありませんが、足の速さはそこそこ。  また、ケンタウロスの通訳ライノが味方につき、都度都度ケンタウロス側が交わしている会話の内容を教えてくれます。 ●ケンタウロスチーム  ルカンドラ以下、男女混合のケンタウロスチームです。  主なメンバーは以下の通り。 ・ルカンドラ  リーダー。槍の名手であり、その動きを応用したスティック捌きが上手です。 ・ブランカ  白いケンタウロス。この部族で一番の俊足ですが、ときどき走り過ぎて滑ってしまう、うっかりさんな一面もあります。  ルカンドラの奥さん。 ・グレイス  灰色のケンタウロス。視野が広く、仲間のケンタウロスに的確にパスをするのが上手です。  ルカンドラの奥さん。 ・メラン  黒いケンタウロス。鉄壁のメランと呼ばれるほど守備が上手。いわゆるゴールキーパー的な存在。  ルカンドラの奥さん。

マスターより

 こんにちは、七海真砂です。  今回のシナリオはビャスカル! スポーツでケンタウロスと対戦です。正々堂々と戦った先にどんな結果が待っているのか……それは皆さん次第です。  それでは、ご参加をお待ちしています。

リプレイ

 約束の朝。聖地の一角に作られたコートに、選手としてビャスカルに参加するケンタウロスと人間達が集まっていた。
「すげえ! ホントに人と馬が合わさったような姿してるんだな!」
 モブーオにとって、ケンタウロスを見るのは初めてのこと。目を丸くして歓声をあげると、明るい笑みを浮かべて彼らの方へ近付いていく。
「モ、モブーオ? 何する気……?」
「挨拶だよ、挨拶。ほらジミーナスも行くぞ!」
 オドオドしている幼馴染のジミーナスを引っ張っていくモブーオ。ケンタウロス達に向かって、物怖じせずに声を掛ける。
「通訳のひとは?」
「私です」
「そうかそうか、今日はよろしく!」
 人間の言葉を喋れるライノが振り返ると、彼を通じて挨拶をしていく。右手を差し出してみると、
『こちらこそ、今日は良い試合をしよう』
 ルカンドラがそれに応え、白い毛並みのケンタウロスが歓迎するかのように二人の握手する姿に拍手する。そんなモブーオの後ろにいるジミーナスにも、ケンタウロス達から視線が集まり、
「はは……どうも今日はよろしく」
 こういうのは苦手なんですけどねと思いつつも、小さく頭を下げるジミーナス。挨拶に来てくれた二人のことが嬉しかったのか、ケンタウロス達は『よろしく!』『ビャスカルはいいスポーツ、一緒に楽しみましょう』などと次々に声を掛けて来る。
「うんうん、楽しみだぜ!」
 挙動不審になりかけのジミーナスの前に立って、モブーオはニコニコ笑いながら喋る。言葉は直接通じないが、モブーオもケンタウロス達も笑顔で、友好的な空気が生み出されつつあった。

「見事な凍り方だな」
 一方、レイウェストはコートの様子を確認していた。念入りに水を撒いて用意されたコートはツルツルに凍っていて、慎重にバランスを保ちながら試し歩きをする。
「いかがですか?」
「そうだな、注意を払えば転倒を避けられるだろうが、速度は落ちると見ておいた方が良さそうだ。それを踏まえた陣形を組み、パスを活用しながらボールを運んでいこう」
 後ろに控えていたベルク・オスマットは、レイウェストの言葉に静かに頷き返すと、預かっていたレイウェストの分のスティックを両手で恭しく掲げる。
「殿下の参陣されたる戦場であれば、必ずや勝利を御身の元に」
「戦場、か。そなたがいるのは頼もしいな」
 ベルクなら、たかがスポーツと侮らずに全力を投じてくれることだろう。ベルクの手からスティックを受け取ったそこへ、歩み寄ったのはシャドウであった。
「レイウェスト殿下、お初にお目にかかります」
 黒衣を纏ったまま正面からレイウェストをじっと見つめると、シャドウは名乗り、己の胸に手を当てて恭しく一礼する。
「本日はどうぞよろしくお願いいたします」
「ああ、よろしく頼む。……今日はチームメイトでもある、そう畏まらないでくれ」
「はい」
 頷いて頭をあげたシャドウは、再びレイウェストを見つめる。
(レイウェストたん……ペロペロ)
 畏まらなさすぎだった。

「氷の上を動くとするなら、靴をぐるぐる巻きにしないと滑っちゃうなぁ」
 そんな挨拶の傍らで、ヤウズ・オスマットは靴に縄を巻いていた。その工夫になるほどと感心したレイウェストの指示で、人間チームはヤウズを真似て転倒対策を準備していく。
「あ、皇子様、も、戻りました!」
 そこにケンタウロス達との会話を切り上げたモブーオとジミーナスが戻って来る。緊張した面持ちで背筋を伸ばしたジミーナスが「ど、どうも今日はよろしくお願いします……」とペコペコする隣で、モブーオはケンタウロス達に向けたのと同じように笑顔を浮かべた。
「よろしくお願いします! なにぶん田舎から出てきたばっかで右も左も分からねえですけど、今日は一生懸命がんばらさせていただきます!」
「ビャスカルという競技に不慣れなのは私も同じだ。共に頑張ろう」
「はい!」
 気取った所のない皇子様だなぁと、モブーオはにこやかに笑いつつレイウェストの言葉に頷く。そんな一同に向かって、ライノから声が掛かる。
「そろそろ競技を始めないか、と頭領が申しております」
「了解した。試合を始めよう」
 モブーオとジミーナスが靴に縄を巻き終わると、レイウェストがルカンドラに向かって手を挙げる。その合図で両チームはコートに集まり整列すると、ビャスカルを開始した。

 最初にボールを持ったのはケンタウロス側だった。すぐさま、白い毛並みのケンタウロス・ブランカが駆け出す。
『んふふふふ。人間の足で私について来れるかしら?』
「待て!」
 飛び出したブランカの元へ、灰色のケンタウロス・グレイスが巧みにボールをパスするのを見ると、シャドウが全力でその後を追う。
 左右のバランスを保ちながら駆けたのが良かったのだろう。じわじわと加速を重ね、シャドウはブランカへの距離を詰めていく。
「逃がさんぞ」
 その様子を見たベルクは、ブランカの前方へと回り込んだ。
『あら?』
 前にはベルク、後ろにはシャドウ。挟み撃ちに近い状況に陥ったブランカは、困ったような顔をしながら脇を見る。
『ルカンドラ!』
 こつん。
 スティックを滑らせるようにボールへと当て、斜め後方を駆けていたルカンドラの方へボールを逃がす。それを見たベルクはすぐさま両足にエーテルを込めて駆けた。
『む。速いな』
「ここを通す訳にはいかないからな」
 対ルカンドラにシフトしたベルクは、扱い慣れない長物であるスティックを、それでも振るいボールを奪おうとする。
 ルカンドラのスティックとベルクのスティックがぶつかり合い、紙一重の差でボールを奪ったのはベルクだった。ビャスカル慣れしているルカンドラの動きよりも、数多の戦場で経験を積んだベルクの動きの方が一枚上手だったのだ。
「殿下!」
 すぐさまベルクはレイウェストにボールを飛ばす。頷いてスティックを構え、ボールを受け止めたレイウェストは素早くスティックを構え直し、ボールを滑らせながら走り出す。が、
『そうはさせなくってよ!』
 Uターンしたブランカがレイウェストを追う。完全に追いつかれてしまう前に、レイウェストはジミーナスへとパスを送った。
「わ、わわっ……!」
 スティックを伸ばしてボールをキャッチしたジミーナスは、更にモブーオの方へパスを出す。モブーオから更に、ボールは敵ゴール近くまで戻って来たシャドウの方へと飛ぶが、
「ッ!」
『そこまでです』
 パスが飛ぶことを見越して、黒いケンタウロス・メランが前に出るとボールをキャッチすると、すぐさまグレイスに向けてボールを放つ。
『前へ運んでください』
『ああ』
 グレイスからは更にルカンドラへとパスが飛ぶ。ベルクが再び阻止に向かうが、ルカンドラは正面からぶつかるのを避けるように横へ、コートを横切るように走る。
「こっちですか……!?」
 回り込んでゴールを直接狙ってくる気かもしれないと、ゴールの前で守りを固めているヤウズがルカンドラの方へ向き直る。だが、ルカンドラはベルクとヤウズを引きつけた後、パスを出した。
『はーい!』
「こっちが本命でしたか……!」
 ボールを受け取ったブランカが走る。ヤウズはすぐにブランカの方へと向き直り、スティックを構えて迎撃の構えを取るが、ブランカはそれを避けるようにフェイントを挟みながら身を躱していく。
「あっ……!」
『もらったー!』
 スティックを伸ばしてボールを止めようとするものの、あと少しで届かない。ブランカが押し込んだスティックの先、ボールがゴールへと入っていく。
「得点されてしまいました……す、すみません……」
「いや、ヤウズだけのせいではない」
 申し訳なさそうに項垂れるヤウズにレイウェストが首を振る。
「カウンターからの速攻、見事にやられてしまったな。だが、まだ一点だ。取り戻していこう」
 まだまだ試合は始まったばかりだ。ここからの逆転を目指そうと言うレイウェストに、一同は頷いた。

 ケンタウロス達との戦いは接戦が続いていた。ボールをパスする動きに素早く反応し、パスカットしてゴールを目指すもののその手前で阻まれ、弾けたボールを拾う為に駆ける。
 コートのギリギリでボールを拾ったシャドウは、ルカンドラと向かい合っていた。
(このまま真正面からぶつかり合っても、おそらくボールを奪われてしまうだろうな……よし)
「レイウェスト……殿下!」
 ルカンドラの足の隙間を上手く突いて、レイウェストへとボールをパスする。そのままゴール近くまでボールを運んだレイウェストは、スティックを構えたメランとぶつかる。
「く……っ」
 何とかメランを突破し、ゴールを目指そうとするレイウェストだが、メランの側もそれを阻止しようと全力を尽くす。激突した二人のスティックからボールがこぼれると、すかさずそれをモブーオが拾った。
「ジミーナス、頼む!」
「わ、わかったよ!」
 バランスを崩しながらも、出したパスはジミーナスの元へ。メランがそんなジミーナスを止めようとするが、それを迂回するようにレイウェストへボールを飛ばす。
「殿下、頼みます……!」
『いけない、ゴールが……!』
 キャッチしたレイウェストはスティックを振りかぶる。鋭い一振りと共に飛んだボールがゴールを目指す……その縁を、メランが伸ばしたスティックが突いた。
 ゴールの、そのギリギリのラインの外側をボールが流れていく。
「入らなかったか……!」
 絶好のチャンスだっただけに、レイウェストは悔しそうだ。だがすぐ、体勢を整えてケンタウロス達のカウンターに備える。
「取ったぞ!」
 コートを駆け回っていたシャドウは、疲れに呼吸を荒げながらも何とかボールを奪取する。それを受け取ろうとモブーオが走る!
『させないわ!』
「やるな姉ちゃん!」
 モブーオに対抗しながら走るブランカ。それを躱そうとダッシュするモブーオの足が、ずるりと滑ってバランスが崩れる。
『あっあっ』
 ブランカの方も勢い余って足を滑らせている。その隙を突いてシャドウからジミーナスへと渡ったボールがゴールを狙うが、メランはまたしてもそのボールを弾いて、人間達の得点を阻止する。
 繰り返し繰り返し、何度もゴールを防いでいくその様は、鉄壁のメランという呼び名に相応しいものだっただろう。
 それを越えて得点を決める決定打が足りないまま、ケンタウロス達の反撃が始まる。
「ヤウズ、ゴールは任せる」
「うん、お姉ちゃん……!」
 食い止めに動くベルクは中衛へと上がると、ブランカからルカンドラへ渡りかけていたボールに割り込んだ。すぐさま、それをフリーだったモブーオへ渡す。
「シャドウ!」
 駆け出したシャドウが頭上を越えてきたロングパスを受け止めると、メランと向き合いながら斜め後方を駆けるレイウェストへとパスを飛ばす。
『! そっちから……!?』
 大掛かりなフェイントにメランがバランスを崩す。絶好の狙い目、だが――。
「競技終了まで10、9……」
 残り時間は僅かしかない。レイウェストが全力で駆けながら、ゴール目指してスティックを振るう。滑るボールを上手くコントロールし、上手くゴール目掛けて切り込むレイウェストだったが……間に合わない!
「試合終了です」
「あと三秒……いや、二秒、か……」
 僅かな差でゴールは間に合わず、得点は叶わなかった。ケンタウロス側の得点が1、人間側が無得点――試合は、ケンタウロスチームの勝利に終わった。

「負けた……くっ」
「悔しい、ですね……」
「ああ……!」
 スティックで地面を叩くシャドウに、残念そうな表情を浮かべるジミーナス。モブーオも、あとちょっとで引き分けに持ち込めたかもしれなかったのに、と口惜しそうだ。
「殿下、不甲斐ない結果に終わり、申し訳ありません」
「そなたのせいではない。顔を上げてくれ」
 深々と頭を下げるベルクと、それに倣うヤウズの様子に、レイウェストは苦笑しながら肩を叩く。
 それを言うなら、ゴールのチャンスを逃したのは自分だ。
 だが、そもそも誰が悪いというものではない……全力を投じて競い合い、その結果の敗北は、決して不愉快な物では無かった。
「――良い汗をかいたな」
 ふう、と息をつくレイウェストの言葉に、そうですねとジミーナスたちは頷き返した。
「皆さん、ビャスカルが初めてとは思えない試合ぶりでしたよ」
 ライノが言うように、ケンタウロス達も人間チームの奮闘を間近で見て感心したらしい。『すごかった』『いい試合が出来た』『楽しかったわ』などと口々に語り掛けてくる。
『我々よりも身軽な点を生かした戦略がハマれば、得点されていたのはこちらだったかもしれん。貴殿らにパス回しの巧みさがあれば、逆転されていた可能性も十分にあっただろう。――我々もまだまだ精進しなければならないな』
 ケンタウロスの側としても、人間とビャスカルを通じて戦い合うことには得る物があったのだろう。早速反省点を口にするルカンドラだったが、メランに小突かれて『おっと、そうだった』とレイウェスト達に向き合う。
『いい試合ができた事、感謝する。ところで、水分補給と体を温めるのを兼ねてスープの準備をしているのだが、良ければ一緒にどうだろうか』
「それは有難い。折角の機会だ、皆で行こう」
 試合終了に合わせて、あたたかいスープを用意してくれていたらしい。折角の好意だ、有難くご相伴にあずかろうと皆を振り返るレイウェストの言葉に、冒険者達は頷き返した。

マスターコメント

 試合の結果は、残念ながらケンタウロスチームの勝利となりましたが、良い交流試合となりました。  お疲れ様でした!
ショートシナリオ

ショートシナリオ易しい 報酬:多い5 / 4〜8人

2023年02月13日 22時53分53秒 公開

成功

相談掲示板

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アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0