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革酎
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シナリオID:2701
オープニング
その事件は、もう何カ月も前から起きていた。
フィルエス大森林内に点在するエルフの集落や村は、その全てを正確に把握することはまず不可能であろう。しかし近隣同士であればおおよその位置や、どの氏族に連なるのかということはお互いに知っていることも珍しい話ではない。
そして奇妙な事件や出来事などが発生すれば、噂というレベルではなく、はっきりとした情報という形で相互に共有されることも、よく聞かれる話である。
例えば、大森林内のある地域に属する幾つかの集落や村同士では、次の様な情報が飛び交っていた。
――満月の夜になると、その地域のいずれかの村からエルフがひとり、連れ去られる。
当初は眉唾的な話として誰もが疑っていたが、最近になってこの情報が事実であることが分かってきた。
しかも行方不明(或いはもっと端的に、拉致誘拐といっても良い)事件は、とある村を起点にして時系列的に時計回り方向に順次発生しているのだという。
行方不明となったエルフが現在どうなっているのかは誰にも分からないが、幸か不幸か、事件発生の法則から次に誰かが姿を消すであろう集落の位置はほぼ、特定出来ている。
恐らく、次に行方不明事件が発生するのはパロッテと呼ばれる集落であった。
フィルエス大森林南東部と境を接するリーンエス王国領側には、幾つもの町や集落が並んでいる。
ズロフォールもそれらの町のひとつで、小規模ながら冒険者ギルド支部も所在しており、フィルエス大森林へと旅立つ冒険者にとっては拠点として使える町でもあった。
このズロフォール冒険者ギルド支部に、フィルエス大森林内のパロッテ集落から依頼が舞い込んできた。
満月の夜に発生する謎の誘拐事件を未然に防いで欲しいというのが、その内容である。
受付嬢が依頼人として駆け込んできたパロッテの若いエルフから聞いたところによると、行方不明事件が発生した夜には必ず、奇妙な人影と魔物が目撃されていた。
パロッテとその周辺のエルフ達が独自に調査したところ、その人影はかつてハイアルヴの意思に従って巡礼へと旅立ったドミナ・A・ウォルプタスという女性エルフによく似ているということが分かっている。
女性といっても、その外観はヒューマンでいえば十代前半の年若い娘であるらしい。体格も決して大きくはない為、年齢を無視するならば少女エルフと呼んだ方が正しいかも知れない。
そのドミナは連れ合いとふたりで旅立った後に消息を絶っており、そして現在、噂によれば吸血鬼と化しているのではないかとも囁かれている。
ドミナと思しき少女エルフは満月の夜になると、各村で最も魔力が高いと思われる個人を何らかの方法で特定して、どこかへと連れ去っている様だ。
更にドミナは大きな体格の狼型魔獣に騎乗していた模様。幾つかの証言によれば、その狼型魔獣はアンデッドだったかも知れないとさえいわれている。
また別の証言では、ドミナは狼型魔獣(或いはアンデッド)の他に、複数の部下なり従者なりを従えていたらしく、誘拐対象の特定や、実際の拉致行為にはこれらの者達を使役しているものと考えられる。
パロッテ集落からの依頼は、まずは兎に角ドミナと思しき少女エルフとその従者、そして彼女が騎乗する狼の化け物を撃退してパロッテ随一の魔力保持者たる男性エルフを守り抜いて欲しいということであった。
●舞い戻ったエルフ
パロッテ近くの、とある廃集落内。
ドミナは狼魔獣型ゾンビに跨ったまま、月明かりの下でふたりの男と対峙していた。一方は痩せた魔術師、もう一方は頑健な体躯の軽戦士だった。いずれもヒューマンである。
「それで、次の候補は分かっているのかしら?」
「パロッテでは一番の魔力の持ち主にて、フェッド・クローフという男にございます」
魔術師はフェッドなる男は魔力こそ高いものの、授恵者ではないと付け加えた。ドミナはふぅんと曖昧に頷き返し、もう一方の軽戦士へと視線を転じた。
軽戦士は幾分、渋い表情を浮かべている。
「余り嬉しくねぇ話なんですが、パロッテではどうも俺達の動きを察知したみてぇです。冒険者を雇って防衛線を敷こうとしているみてぇですぜ」
「あら。別にそんなの、どうってことないじゃない」
ドミナの白い頬が笑みの形に歪んだ。整った顔立ちだけに、その凄惨な笑みは月夜の中で不気味に映える。
「心配しなくても、わたしがあなた達を守ってあげるわよ。あなた達は自分の仕事に専念してくれたら、それで良いの。分かった?」
有無をいわさぬドミナの圧に、魔術師も軽戦士もただ頭を垂れて、その言葉に従うしかなかった。
実のところこの両者は、いずれもメドゥの指先幹部『青の中指』ジルベルに見出されたそれなりの実力者なのだが、彼らをして恭順の姿勢を取らせる程に、ドミナの力は彼らを圧倒していた。
もともとドミナは協力者などは必要とはしていなかったのだが、彼女の力や思想に惚れ込んだらしいジルベルの方から協力させてくれと強引に売り込んできて、そして現在に至る。
今は混沌魔術師ウォン・ケドラーと、軽戦士ガノ・イリムをドミナの部下として供出し、彼女の手足として使役させている。
ウォンは数十名という人数に対して魔力の強弱を見極める技を身に着けており、通常の攻撃魔術も修得している。一方のガノは大柄な体躯で腕力に自信がある一方、機動力にも長けた硬軟自在の戦士だ。
そのふたりが、この少女には叶わないと力量差を認め、部下として行動している。
ジルベルからも、
「あのお嬢さんはお前達じゃあ到底太刀打ち出来ねぇ折り紙付きの吸血鬼だ。下手に逆らうなよ」
と釘を刺されてもいた。
勿論、ジルベルにいわれずとも、彼らにはドミナに反抗する意思など無かったのだが。
そのドミナは、天井の様に覆い被さる枝葉の隙間から漏れ射してくる月光を見上げて、にたりと笑った。
明日、新たな候補が手に入る。
今から楽しみで仕方が無かった。
解説
マスターより
リプレイ
フィルエス大森林内、パロッテ集落。
そのすぐ近くにある開けた空間で、冒険者達と襲撃者達の熾烈な戦いが幕を開けた。
時刻は深夜。
頭上を覆う分厚い枝葉の群れの間から月光が降り注ぐ中、剣戟音や魔力炸裂の震動が周囲を激しく震撼させていた。
「同胞に危害を加えることは、許しません!」
凄まじいばかりの突進力を発揮して、少女エルフ姿の吸血鬼を一気に弾き飛ばしたコルネリウス・アーラが、更に追撃の刃を振るいながら間合いを詰める。
「ちょっと眩しいですよ!」
ルアンナ・ミュラーの叫びと同時に、轟音と閃光を伴う衝撃がコルネリウスの傍らを追い抜いてゆく。その強烈な一撃が少女エルフ姿の吸血鬼――ドミナ・A・ウォルプタスに殺到した。
「ふん、調子に乗らないでよね……そんな程度でわたしをどうこう出来ると思ってんの?」
直撃を浴び、僅かに足元がぐらついた様にも見えたドミナだが、意識ははっきりしている。矢張り、相当に手強そうだ。
次いでルアンナは他からの余計な邪魔が入らぬ様にと、稲光をコルネリウスとドミナ周辺に迸らせた。これで当面はコルネリウスとドミナの一対一の状況に持ち込める。
その間に他の敵を手早く始末していけば、勝利は自ずと見えてくるだろう。
「さぁこれで、心置きなくお相手して差し上げられますね……折角ですから、教えて下さい。今までにドミナさんが連れ去った方々は、一体どうなったのですか?」
「あら、わたしに質問する気? 良いわ、それなら……わたしに勝ったら教えてあげる」
どこまでも傲慢で高飛車な少女エルフ姿の吸血鬼だ。
しかし、御し切れぬ相手ではない。コルネリウスとルアンナはドミナの出方を伺いながら、次なる一手に意識を割いた。
戦闘開始から遡ること、数時間。
直前まで連続していた幾つもの誘拐事件から敵の出方を分析した冒険者達は、次に狙われるであろうパロッテ集落のエルフ男性フェッド・クローフを如何にして守り切るかというところに焦点を当てて、策を練った。
「むむむ、満月の夜に誘拐事件……これは名探偵サフィラの出番っ!」
夕刻、パロッテ集落に到着して依頼主達と挨拶を交わす中、やる気満々の調子で腕を撫すサフィラ・アズラク・ナハルハルアリーブ。そんなサフィラに、リディリディ・トゥラ・イェレミースが小声で、しかし割りと容赦の無いひと言を放った。
「えぇと……もう特に推理する様なことは無いので……探偵さんの出番は無いと思いますけど……」
その瞬間、サフィラの笑顔が凍り付いた。びきっ、という変な音が響き渡った様にも思えたが、きっと気のせいだろう。
リディリディにとってはサフィラが探偵として活躍することなどは全くどうでも良く、依頼達成後に集落民からお礼の肉料理が振る舞われるかどうかだけが重要だった。
すっかり出鼻を挫かれたサフィラは、気分転換に敵の正体(これも大方、既に割れている)について考察を始めた。
敵の名はドミナ・A・ウォルプタス。
ここでサフィラはふと、切り株に腰掛けて周辺をぼんやり眺めているミゼリア・L・ステュクスに向けて、くわっと目を見開いた。
「……って、ミゼリんの出自もウォルプタスじゃん! もしかしてお知り合い?」
呼びかけられたミゼリアは、さあどうでしょうと小首を捻る。
生前の出自記録には確かに、夜天に連なる氏族ウォルプタスの巫女だったことが記されているミゼリア。しかし当の本人にはその記憶が残っておらず、詳細は分からない。
「しりあい……かも知れませんが、よく、わかりません」
ミゼリアは茫漠とした表情でかぶりを振った。これも、ホムンクルスのひとつの宿命なのかも知れない。
そのミゼリアと同じくホムンクルスのレピド・クロサイトは、敵を迎え撃つ為の絶好の場所をパロッテ集落の民に聞いて廻っていた。
「この近くに、戦い易い開けた場所は無いか?」
結果として彼は、罠を仕掛けるにも待ち伏せを仕掛けるにも丁度良い開けた場所があることを突き止めた。
そこにセリオス・オーガストとアルフィンレーヌで罠を仕掛け、更には狙われるであろうフェッドと、彼と同程度の背格好の男性集落民を複数名、同じ格好をさせて件の場所近くへと待機させ、そこに敵を誘い出そうという作戦で話がまとまった。
戦場に選ばれた開けた空間は、森の間のちょっとした広場だった。
この広場に簡易の手作り槍襖を底に敷き詰めた落とし穴を幾つも掘り、鳴子や岩のバリケードを設置するなどして、冒険者の側に戦い易い有利な環境を次々と構築してゆく。
セリオスとアルフィンレーヌで仕掛ける罠は日中であれば簡単に見抜かれる可能性が高かったが、戦闘が夜間であることが却って幸いした。
●闇夜の激闘
そして、深更。
敵はフェッドとカモフラージュ要員達に誘い出される格好で、遂に姿を現した。
「おい……どいつがフェッド・クローフだ?」
「いや、分からん。見極める為に少し時間をくれ」
複数の男の声が闇の中に響き渡る。
ドミナは自身が騎乗する狼魔獣型ゾンビの他に、ふたりの部下を引き連れていた。
片方は軽戦士、そしてもうひとりは魔術師の様だが、いずれも暗闇での視界確保は一応揃えているものの、暗い中で落とし穴を見破るだけの眼力までは備わっていなかった様だ。そのまま無警戒に広場へと足を踏み入れてくる。
この時ドミナは狼魔獣型ゾンビに跨ったまま、ふと何かの気配を覚えてミゼリアが潜んでいる方向に視線を向けた。
「あらあら……まさかこんなところで」
妙に嬉しそうに笑うドミナ。
その時、軽戦士が苛立ちの怒声を放った。危うく落とし穴を踏み抜きそうになったらしい。
「くそ……罠だ! ウォン、早くフェッドって野郎を特定しろ!」
だがその瞬間、冒険者達が一斉に飛び出して敵の退路を断った。
そしてコルネリウスがドミナを狼魔獣型ゾンビの背の上から叩き落とす様に弾き飛ばしたのである。
護衛対象であるフェッドを守る為に、アルフィンレーヌは敵とフェッドの間に位置を取った。
「他人の子供を勝手に連れて行くのは悪い子よ? どうしても欲しくば、正式に養子縁組しなさい」
相手を挑発しつつ、しかしアルフィンレーヌはドミナに別の意図があるのではと内心で思考を巡らせる。その犯行手順や狙いの定め方には、幾つも不審な点が見え隠れしていた。合理的に考えれば、ドミナのやり方には疑問点が多過ぎるのである。
しかし、細かく考えるのは後だ。今はまず、目の前の敵を何とかしなければならない。
最も手強いのは吸血鬼たるドミナだが、次に厄介なのは恐らく狼魔獣型ゾンビだ。この化け物に対しては後衛の位置からセリオスが文字通り矢継ぎ早に鏃を叩き込んでゆく。
(連携を取られると厄介だな……最初に足を潰しておくか)
最初の段階でコルネリウスがドミナを狼魔獣型ゾンビから引き離し、ルアンナが駄目押しとばかりに両者の間に稲光を走らせて完全に遮断した。
セリオスはアルフィンレーヌによる守りを頼りに、援護射撃に専念した。
一方、軽戦士に対してはミゼリアが当たった。サフィラから敵吸血鬼がウォルプタスの名を冠していることを聞かされ、内心では多少思うところはあったものの、今は依頼達成に意識を集中させなければならない。
「まずは……わたしの、おあいてを……」
ミゼリアの紅い瞳が闇の中で妖しく輝いた。軽戦士はその視線から目を逸らすことが出来ず、そのままミゼリアへと襲い掛かってくる。コルネリウスが対ドミナの盾なら、ミゼリアは対軽戦士での盾だ。
そのミゼリアの背後から、不意にサフィラが飛び出した。
「にゃ! 速さに自慢かなっ? でもあたしも負けないよっ!」
軽戦士はサフィラの奇襲に素早く対応しようとしたが、それよりも早くリディリディが放った轟音渦巻く閃光を浴びて、態勢が崩れていた。その隙を逃すサフィラではない。
この間にレピドが、敵魔術師の背後へと静かに接近しつつあった。
魔術師は同じ様なローブを纏ったフェッドとカモフラージュ要員達を必死に見比べようとしていたが、戦闘の最中では上手く見極めがつけられないらしい。
当初はリディリディがフェッドの為の囮になろうとも考えていた様だが、魔術師はフェッドよりも遥かに魔力が高い筈のリディリディには見向きもしていない。ドミナの拉致対象選定には、魔力は高いものの戦闘力は低いなどの条件があるのかも知れない。
いずれにせよ、レピドは己が狙った獲物を確実に仕留めるだけだ。まず魔術師に魔乱印を叩き込み、集中力を乱れさせた。
「この誘拐事件の目的は何だ?」
静かに問いかけたレピド。しかし魔術師は答えない。いや、答えられないといった方が正確か。
魔術師は落とし穴の存在にすっかり足がすくみ、動くに動けない。一方のレピドは驚異的な跳躍力と移動力を発揮して難なく魔術師の懐へと迫った。もうこの時点で、魔術師は為す術が無かった。
●外堀を埋めろ
魔術師を昏倒させ、猿轡と縄で戒めたレピドは、次に軽戦士へと向かった。
が、そこへ狼魔獣型ゾンビがセリオスの矢弾を潜り抜けてミゼリアに迫ろうとしていた。レピドは咄嗟にミゼリアを突き飛ばし、この厄介な魔物から辛うじて守り抜いた。
「今度は俺が助ける番だ……!」
過日、レピドはミゼリアに大いに助けられた。その恩に報いるべく、今回はレピドがミゼリアを助ける為に狼魔獣型ゾンビへと立ち向かった。
逆にミゼリアは、盾役である自分が攻撃担当のレピドに救われる格好となり、多少の戸惑いを覚えた。しかしここは、レピドの頑張りに託すことにした。正直なところ、軽戦士ひとりを抑えるだけでも相当に手を焼いていたのである。ここで狼魔獣型ゾンビをも同時に捌くとなると、サフィラが敵の攻撃に晒される恐れがあった。
「レピっぴ、応援に来てくれたの? サンキューね!」
サフィラはこれで漸く態勢が整ったとばかりに、軽戦士への攻撃に全力を投入した。
まず毒撃を叩き込むと、その後に脛撃で回避力を、そして腱撃で命中精度を奪った。速さが身上の軽戦士にとってはサフィラの攻撃は想定以上に面倒だったろう。
そしていよいよ決定的に弱らせたところで、とどめの一撃を叩き込もうとした。が、それよりも早くリディリディの放った槍の如き魔力の一撃が襲い掛かり、軽戦士が昏倒した。
「にゃ! 美味しいとこ持ってかれた!」
「……ですから、もう探偵さんはお役御免ですと……」
地団太を踏むサフィラに対し、明後日の方向にすっとぼけたリディリディの妙なカウンター口撃。どっちもどっちだった。
しかしこれで、残る敵はドミナ以外では狼魔獣型ゾンビのみだ。ミゼリアはレピドと入れ替わる形で魔物の正面へと廻り込んだ。
「さぁ……こっちですよ」
ミゼリアは紅い瞳に妖しく輝く光を湛えて、全身から漆黒に染まる瘴気の如きエーテルを噴き上げた。狼魔獣型ゾンビは完全にミゼリアに釣り出され、少しずつドミナから離れてゆく。
そしてミゼリアは敵の力に圧された風を装い、レピドの支援を受けながら落とし穴へと誘導した。既にミゼリアは全身の至る所に傷を負っていたが、アルフィンレーヌの治癒支援のお陰で何とかここまで、盾役としての使命を全うしている。
だが、それもいよいよ最後だ。
落とし穴の正確な位置を覚えているレピドが狼魔獣型ゾンビの突進に合わせて、ミゼリアの豊満な体を傍らに引き寄せた。狼魔獣型ゾンビはそのまま、ひと際大き目の落とし穴を踏み抜いた。
直前にサフィラが投じた閃光塗弾でミゼリアの姿を見失い、更には前脚が母蜘蛛糸に絡め取られ、勢いを殺す間も無く落とし穴の底へ一直線だった。
「バンディッドだろうが、アンデッドだろうが、マテリアル界に生まれしものは、須らく大地の子。大地の法に従ってもらうわ」
何とか這い上がろうとする魔物の頭を、今度はアルフィンレーヌの戦槌が豪快に薙ぎ払う。穴の底の槍襖にその巨体が落下したところで、セリオスも駆けつけてきて必殺の矢弾、光り輝く炸裂弾を連続で叩き込んだ。
「ここで一気に、仕留めるぞ」
セリオスの呼びかけに応じて、リディリディも肩を並べて光弾の雨を降らせた。
狼魔獣型ゾンビは尚も回避運動を取ろうとしたが、その動きがいきなり鈍った。ミゼリアがジャマーを仕掛けたのである。ドミナからの命令が遮断されたのか、狼魔獣型ゾンビは回避運動をやめ、ただ猛然と落とし穴を駆け登ろうとした。
その単調な動きに合わせてセリオスの矢弾が立て続けに炸裂する。
やがて、狼魔獣型ゾンビは動かなくなった。
●撃退はしたものの
コルネリウスとルアンナはドミナを完璧に封じ込め続けた。
盾役としてだけではなく、吸血鬼相手にも十分な攻撃力を誇るコルネリウスの刃には流石のドミナも手を焼いていた。紅く伸びる鉤爪や死霊術と思しき禍々しい魔力の連弾が襲い掛かるが、コルネリウスは怯むことなく堂々と渡り合った。
ドミナも相手がコルネリウスだけであれば何とか凌ぎ切れたかも知れないが、ルアンナの容赦無い魔法攻撃にはどうにもならず、徐々に押され始めていた。
そこへアルフィンレーヌがコルネリウスの回復の為に駆けつけてきた。
ただでさえ硬い盾役が回復支援までも受けたとあっては、如何にドミナといえども手に余る。既に部下ふたりと狼魔獣型ゾンビも斃された。これ以上粘るのはリスクが増すばかりであろう。
「ふん……今回だけは見逃してあげるわよ!」
その捨て台詞と同時に、ドミナは霧化しての離脱を図った。ここでアルフィンレーヌが光縛封発動の態勢に入ったが、それよりも先にコルネリウスが警鐘の叫びを放った。
「いけない……皆さん、伏せて下さい!」
直後、何かが飛来した。巨大なブーメランが樹々の間を縫う様にして宙空を走ってきたのである。コルネリウスは過去の戦闘経験から何となく予感していたのかも知れない。
それは、メドゥの指先幹部『青の中指』ジルベルが投じたに違いない一撃だった。コルネリウスの警告が無ければ、アルフィンレーヌの首が胴と別れていただろう。
ドミナを封じ損ねたアルフィンレーヌだが、フェッドは守り抜くことが出来た。今回は、それで良しとするべきだった。
「吸血鬼ハンターのお仕事、中々減りませんねぇ……」
ドミナが去っていった方角を闇の中に睨みつけながら、ルアンナは小さく肩を竦めた。
大森林内の、どこかの廃集落。
薄闇の中でドミナは、ジルベルに渋い表情を向けていた。
「ほんッと、役に立たない奴ばっかりだわ。それにわたし、あの子とも久々に話てみたかったんだけど」
「ま、今回は相手が悪過ぎたな。ジルベル・スタッフ・サービスは日頃のご愛顧にお応えして、更なる優秀な人材をお手頃価格で提供するぜ」
これに対しドミナはひと言、うるさい馬鹿、とだけ応じた。
マスターコメント
ショートシナリオR普通 報酬:標準8 / 4〜8人
2022年12月30日 21時57分58秒 公開
参加者
相談掲示板
ウォーリアの、ミゼリア……です。 よろしく、おねがいします……ね。 ええと……ひとまず、うごきとしては、盾役というか、タンク型というか…… そんなかんじに、なりそう……です。 てきが、4体いるみたいなので……ぶんたんして、壁になれたら……と、おもって……ます。 じゅんびする時間も、たくさんあるみたいですが…… なにか……しておいたほうが、よさそうなこと……とか、ある……でしょうか……???
レピド・クロサイト、シーフだ。よろしく頼む。 シーフはキャスター相手には優位に立ち回れると聞いたことがあるから、相手取るならウォンだろうか。 >準備時間 折角時間があるなら何かしたいよな。 ふんわりと思い付いたのは戦場を整えたり、罠を仕掛けたり……とか?
No.3
キャスターのリディリディです。 その・・・、よろしくお願いします。 最低限誘拐を阻止できれば良いということですし、 準備できるのなら、村側の安全を確保しておきたいですね・・・。 相手に軽戦士・・・、シーフでしょうか。 そういった類が居るので、移動阻害や行動阻害の術を用意しておきます。
キャスターのルアンナです、よろしくお願いします。 敵は吸血鬼に狼魔獣に魔術師に軽戦士に…攻撃手段が豊富ですね。 とにかく狙われているフェッド・クローフさんを守り切れればこちらの勝ちですし、上手く分担して対応したいところですね。
ウォーリアのコルネリウスです、よろしくお願いします。 フェッドさんを護る事が最優先事項、その上で誘拐犯(ウォン、ガノ、狼型魔獣ゾンビ)は可能な範囲で倒すという方針で宜しいでしょうか。 ジルベルが裏で協力しているのでしたら、もしかしたら彼も姿を現すのかもしれないと思いました(彼についてはもし現れても戦うかどうか自体が不明な部分もありますから、あくまで可能性としてです) >事前準備 ウォンについては魔力の強弱を見極められるのでしたら、フェッドさんが近くにいると真っ先に狙われるのは間違いないですし、囮にするにはリスクが高いので隠れて頂く方が良いかも知れませんね。 フェッドさんが授恵者ではないようですが、魔力というと魔攻や魔防のような魔法能力として認識して良いのでしょうか。 その認識であっている場合は、全員ローブなどで種族特徴を隠して(見た目で判断されないようにする為)魔力で引き付けてから戦闘に入るという流れでどうかと思ったのですが、私達の中では最も魔力数値が高い方はおそらくリディさんになりますので危険が伴う分、これはリディさんが同意頂ければ…になりますね。 認識の相違などありましたら遠慮なくご意見を頂けますと幸いです。
>フェッド 敵が何らかの手段で魔力感知している以上、俺達から遠くに隠れさせてもそちらに直行される危険があるかもしれない。 あと、あちらにもシーフがいるから隠れさせる方向だと捜波と探波で見つけられるかも。 なので全員ローブ作戦の中に本物も混ぜて紛れて貰う方が結果的には撹乱出来るのでは、と思ったがどうだろうか。
シーフのサフィラだよっ! みんなよろしくねっ! んー、ウォンが魔力を探知してくるなら ハイディングで隠れて奇襲しようかなって思ったけどガノもシーフなら探知スキル使ってくるよねぇ…むむむ 優先順位を付けるならガノ>ウォン>ドミナかなぁ? あと、ちょっと心配なのがドミナっちが霧化してフェッドを直接狙いに行かないかなんだよね…むむぅ
すみません取り急ぎ…。 エーテルの存在を忘れ魔力について素で勘違いしていた気がしましたので先の発言は忘れて頂ければ幸いです…。 ローブを着ての撹乱の部分のみ提案させて頂きますね。 そうですね…敵側シーフの対策も兼ねるのであれば、分担は何にせよ必要になりますし、フェッドさんが離れると逆に狙われる可能性もありますので、レピドさんも仰るように此方はフェッドさんを含めて守りつつ全員で迎え撃つか、2班に分かれて撹乱などしますか?
そう……ですね。フェッドさんにも、おなじ場所に、いてもらって……みんなで、ローブをかぶって、まもるのを優先で、たたかうのに、賛成……です。 レピドさんが、ウォンを、ねらってくださるなら……わたしは、さいしょはシーザーロア3で、ガノをひきつけておこうかなと、おもい……ました。 もし、コルネリウスさんが、ドミナをおさえててくださるなら……ドミナがいちばん手強そうですし、次のターンからは、狼ゾンビにも、シーザーロア3をして……コルネリウスさんが、ドミナに専念できるように、動きたいなと、おもいましたが……いかが、でしょうか……。
No.10
皆でローブをかぶってですね。わかりました。 >方はフェッドさんを含めて守りつつ全員で迎え撃つか、2班に分かれて撹乱など えと、そうですね・・・。 相手の連携を乱すために分かれるのもありですが、こちらの人数は相手よりも多いことですし、皆でまとまって守りを固めた方が安全かなと思いました。
みんなローブで撹乱作戦ですね!了解しました! 攻撃対象は…ドミナを主にしましょうか。
おしりぺんぺんが必要なわるいこはどこかしら~?と、言いたいところだけれども、見たところヒーラーはわたし一人だし、お相手はかなり凄腕な様子。治癒の専念することにするわね。 護衛対象が狙われた時のために、光縛封の準備もしておきましょう
>事前準備 ……レピドさんの、おっしゃっていた……罠をしかける、というのも……よいかんがえかなと、おもいまして……げんしてきですけれど、「落とし穴」……を、掘っておくのは……いかが、でしょうか。 狼型魔獣なら、そんなに頭もよくないでしょうし……うまくゆうどうしたら、掛かってくれないかな……などと……。 もちろん、こちらが落ちてしまっては、よくないので……穴の場所は、まえもって、みなさんに、おつたえしておくつもりですが……。
満月の夜だからそこそこ明るいと思うが、暗闇対策は必要だろうか。 俺は一応暗視を持っていく予定。 それと戦場として集落付近に拓けたところがあるといいよな。 これは集落の者に聞いてみるか。 >落とし穴 仮に引っ掛からなくても相手の移動を制限しやすくはなるし、時間もあるからいけるんじゃないかな……と思った。
そう……ですね。 レピドさんの、おっしゃっていた……「戦場を整える」にも、つうじるかなと、おもいますが……ひらけた、月の光がよくあたる場所を、戦いの場所にえらべば……暗視のぶんの、スキル枠を……ほかにつかえたりしないかなと……いま、ちょっと、おもい……ました。 わたしは、ペインキルと……ジャマーで、ドミナの狼魔獣へのめいれいとか、ウォンの魔力が強いひとをみきわめるのうりょくの、邪魔が、できないかなと、試してみたくて…… いちおう、夜煌石の首飾りを、光源と、敵のひきつけもちょっと兼ねて……持って行ってみようかなと、おもって……ます。 >落とし穴 では……プレイングの字数に、余裕がありそうなので……おじゃまにならなそうなら、落とし穴、掘ってみます……ね。 もし、レピドさんも、掘ってくださるなら……そのお手伝いを、するような感じで……。
・・・・ん、挨拶がぎりぎりになってすまな、シューターのセリオスだ、よろしく頼む。 とりあえず全員同じローブをかぶって偽装で了解だ。 俺は後衛から狼を狙って相手の連携を邪魔するつもりだ
にゃ!いよいよ明日出発だねっ! ちょっとまとめるねっ! ■分担 ・ドミナ コルネリウス ルアンナ ミゼリア(狼魔獣) セリオス(狼魔獣) ・ウォン レピド ・ガノ サフィラ リディリディ(ガノの妨害) ・フェッドの直衛 アルフィンレーヌ ■作戦 ・全員ローブを被って偽装 ・ひと塊になってフェッドを守る ・落とし穴で狼魔獣の機動力を削ぐ ・月明かりの戦闘なので暗闇対策
すみません、遅くなりまして。 ドミナの抑え役、承りました。スキルに余裕があるので暗視と、念のため自己回復も用意しておきますね。