【恨源】その痕跡は何をもたらすのか?
広大野人
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シナリオID:2658
オープニング
エナハルト・ティルムは王都での騒乱の後始末もそこそこに、彼が冒険者と共に関わっていた事件について追跡調査を再開させていた。
特に気掛かりなのは組織が『承允』と呼称していた拉致被害者の行方やジード・ランスウッドが行っていた実験の被験者とその関係者だ。組織幹部であるユーゲンからの情報提供により、組織が溜め込んでいた資産を抑えられた事もあり、被害者や遺族などの関係者に僅かばかりだが慰安金が渡される事となっていた。
(少しでも多くの人が手にする事ができれば……)
そんな事を思いながらエナハルトは幾つもの書類を確認し捌いていく。
やがて、その手がとある封筒を手にして止まった。
差出人不明……いや、騎士団本部に直接届けにきた身なりの良い人物からの願いによって、『匿名』での情報提供だという。封筒を受け取った門番の話によると若そうな男性らしく、要件だけ託すと足早に去っていったらしい。
(これは……)
封筒の中に入っていたのはとある領主の子供が亡くなった事が書かれていた。
それ自体に怪しさはない。領主の子供とはいえ、病気や事故で死ぬ事はある。だが、4人とも成人前後にとなると話は別だ。
死因は病死や不慮の事故ではあるようだが、単なる不幸で片付けるには何かが引っ掛かった。なにより匿名で知らせにきたという時点で何かの意味があると考えていいはずだ。
(……ユーゴ=ダルダニエ)
それが領主の名だった。
●領主館
ダルダニエ領は貴族派で知られるユーゴ=ダルダニエが治めている。
それ以外の事をエナハルトは知らない。王国騎士とは言え、王国内全てに精通している訳ではないのだ。時間を掛けて調べれば色々と分かる事もあるが、王都の騒乱により人手が不足している今、エナハルトは自ら赴く事にしたのだ。
「捜査へのご協力、感謝致します。ユーゴ様」
「なに構う事はない。騎士団本部からの頼みでもあるからな」
王国騎士に対し、ユーゴは落ち着いた様子でエナハルトを迎えた。
表向きは『メドゥの指先に属した組織の調査』という名目だ。少し心が痛むが名目自体も嘘ではない。
「ありがとうございます。早速、調査の方に入りたいのですが、過去の記録を確認してもよろしいでしょうか?」
「勿論だ」
そう応えるとユーゴはパンパンと手を叩いた。
扉の一つが開き、中年の男性が姿を現すと深く一礼。見た所、執事のようだが立ち振る舞いには力強さを感じられる。
「オーキサ・ゼィパムと申します。筆頭執事を務めております」
赤眼が真っ直ぐエナハルトを見つめる。
「過去の記録や領地内の資料が必要であれば、オーキサに頼めばすぐに用意させよう」
ユーゴからの説明に王国騎士は感謝と共に深く頭を下げるのであった。
執事からの視線を感じながら。
●領都の宿
夜遅くまで過去の記録を確認していたエナハルトは、領主館を出て、宿泊予定の宿へと到着した。
「王国騎士様、お待ちしておりました。お荷物の方は既にお部屋に運びましたのでご確認下さい。それと……『お客様』も部屋の前でお待ちです」
そう言った女将にエナハルトは爽やかな微笑を浮かべると部屋へと向かう。
領主館で寝泊まりしないには理由があった。冒険者を雇って領主の近辺の事を調査するのだから、報告のあれこれを領主館で聞くわけにはいかないので、拠点が必要だったからだ。
そして、部屋の前で仰々しくエナハルトを出迎えた『お客様』は……正確には『冒険者ギルドの受付男子イシア』だった。
「お帰りなさいませ」
「待たせて済まなかった。思った以上に記録が多くて」
二人は並ぶようにして部屋へと入ると足早に書類をテーブルに広げる。
「いかがでしたか?」
「領主館の記録には形式的なものしか残っていなかったが、特段……不審点はない」
「となると、やっぱり、街中での調査になりますか」
イシアの言葉にエナハルトは頷いた。
「王国騎士が調査すると目立つし、僕一人では時間が掛かる。冒険者には街中で情報を集めて貰うようだ」
「では、その様に手配させていただきます……『あの子』には特別に声を掛けておきます」
「……ありがとう。こうでもしないと、なかなか会えないから。正直、助かるよ」
もっとも、『あの子』にも都合というものがあるので依頼を受けるかどうかは別だが。
「話を戻そう。冒険者達にはメドゥの指先に属した組織の調査という名目で領内から情報を集めて欲しい」
エナハルトからの注文をそのまま書類に書いていくイシア。
子供だけに限らず、大人や老人の突然の行方不明や不審な死。あるいは、不自然な人の出入りなど。
「ただ、怪しい人物がいたとしても逮捕や制圧はできない事は注意して欲しい」
「そうですね。ダルダニエ領内の事ですから。自衛については問題なしで?」
「その方向で頼む。何かあれば僕から領主には説明しよう」
エナハルトはそう締め括るのであった。
解説
マスターより
リプレイ
オーキサに頼んで、事前に資料の確認を終えたナハティガル=ラーは歓楽街に足を運んでいた。
結局、資料からは行方不明者や不審死について明確な共通性が見られなかった。記録に不備がある様子もない。いや……むしろ、しっかりと整備されていた。完璧と言っても過言ではない。
(不審死ではなく明確な死亡原因が多いのは何故か……)
それを明らかにする為の情報収集だ。
賑わう酒場に入ると店員が営業スマイルを魅せながらナハティガルを出迎えた。今の時間、どうやら相席になるらしい。
案内されたテーブルには、料理や酒……と共に大量の書類を広げている青年が一人。
「もう! プラザさん! 仕事はここでしないで下さい」
男性は店員に怒られていた。どうやら日常的な光景のようだ。
ナハティガルは空いている席にスッと座る。
「俺は気にしない。グラスが置ければな」
続けて酒を注文する。店員はやや不満げな視線をプラザに向けてから店の奥へと向かっていった。
「助かりました。えと、冒険者の方ですか?」
「ナハティガルだ……こんな時まで仕事とは大変だな」
「いつもの事ですから」
「そうか」
チラリと書類に目を向ける。どうやら仕入れの帳簿らしく、数字が沢山並んでいた。
特段、怪しさは感じないが、彼の仕事の邪魔にならない程度にナハティガルはこの街の事をプラザと呼ばれた青年から幾つか確認するのであった。
●
キオルティスはシーフ能力を使いながらスラム街での調査を終えて、城門へとやって来ていた。
(一応、突然死や失踪が無い訳では無さそうだけど……)
同規模の街と比べ、スラム街の規模は小さい方だろう。それは治政が安定しているからという側面もあるかもしれない。
けれど、キオルティスは違和感があった。
スラムに住む人々は何らかの理由があって、そこに住んでいるものだ。経済的な理由や身辺上の都合などもあるだろう。
(働けない人が少ない気が……急な病死や失踪者がスラム規模の割に多くないか?)
偶然か日常なのか分からないが、衛兵の見廻りも多くて調べきれなかった。
そんな訳で次の成果を求め、キオルティスは城門に到着したのだが……。
(流石に詰所は留守にしないよね)
警備は万全のようで潜入して資料を漁る機会を伺っていたが、難しいようだった。
往来の資料からは様々な情報が読み取れるはずだった。出入りした人数の帳尻や怪しい集団、特定の商人以外の通行者らの時間帯や積荷の詳細……その為、キオルティスは資料の代わりに城門を通過する人々を注意深く観察する事にしたのだ。
(特段、怪しい存在は……)
平和な一時がただ過ぎていく。
そろそろ日が暮れる時間になり、キオルティスが立ち去ろうとした時だった。
城門が閉じようとしている中、近づく馬車の動きに気が付いて門が中途半端に止まる。
キオルティスは通行人の装い、門へと近づくと、聞き耳を立てて衛兵と商人らしき人物の会話に耳を傾けた。
「連絡便が遅れてどうするよ、バーギンズさん」
「すまない。ゼィパム様の話が長くてね」
バーギンズと呼ばれた商人が困ったような態度を見せる。
話しぶりから近隣領に向かうつもりのようだが……。
(これから夜になるのに今から街道を?)
帝国と比べれば王国は安全だが、それでも夜の街道を通るのはリスクがある。そのリスクに見合うだけの理由があれば別だろうが、話しぶりから特にそのような都合は持ち合わせていないようだった。
「……あぁ、そうだ。今日の収穫はねぇから」
「分かった。それじゃ、気を付けてな」
そんなやり取りを終えて、商人は馬車を進めさせる。
街中から出て行くのに『収穫』と表現したその商人の顔と名をしっかりと記憶に刻み付けておこうとキオルティスは思った。
事件に直接関係があるかどうか分からないけれど、何かの切欠になるような、そんな気がしたのだから。
●
「さて、手分け通りにやるとして、何が出るやら?」
特徴的な肌の色を白く偽装したエリザ・A・ミシャールが独り言を口にしつつ、商店が立ち並ぶ通りへと進む。
事件を誘うように、世間知らずな修行中の森のエルフを装ってはいるが、今のところ、怪しげな人物との遭遇はない。
(注意すべきは事情を知らない執事か……)
王国騎士エナハルト・ティルムの話によると協力的という話だが、冒険者の行動によって関係を拗らせる訳にはいかないのだ。貴族が組織と関わりがあった場合もあるので、油断できない事もある。
また、執事本人ではなくとも、街中では領主館の関係者もいる可能性は高い。エリザは自らの正体が露呈しないように、街中での調査を続けた。
(再度、調査に訪れやすい下地だけは作っておかないとな)
ある程度、顔馴染の関係性になるのが良いだろうか。
老若男女問わず、人の集まりが良い酒場にエリザは目を付けた。大衆食堂のような親しみ易さがあったからだ。
「『青い星』亭にようこそ! 旅のエルフさん」
入口近くで華やかなデザインの給仕服を着た若い女性に声を掛けられる。
明るく優しそうな雰囲気が全身から出ており、一目で看板娘だと思えた。
「この街には来たばかりなんだ。何か特産があったりするかい?」
「特産って程ではないですが、色々な茸を使った料理は自慢ですよ!」
手を叩く女性の胸元には『レサタ』と名札がぶら下がっている。
「だったら、それを頂こうか。ただ……できれば変な輩と一緒の席は嫌だな」
「大丈夫ですよ。たまに横柄なお客様もいますが、衛兵さんに通報したら、すぐに駆け付けてくれますから」
安心させるように笑顔を見せる若い女性。
どうやら、街の治安はとても良いようだ。
「それは助かる。良い街なのだな」
エリザの返しに若い女性は嬉しそうに頷いたので、この関わりを始点に色々と街について訊く。
治政は問題なく近隣の貴族とも目立ったトラブルもない。
領主は厳しい人……だが、決して横柄な態度ではなく、しっかりと働く事を推奨してくれるという。子供についてはあまり分からないようだった。
「私、この街の出身ではないので分からない事もありますが……あっ、そうだ! 旅のエルフさん、滞在費用が必要になったら、一緒に働いてみませんか? そしたら、お話いっぱいできるだろうし」
満面の笑みを浮かべ、手を合わせる仕草が印象的な看板娘だと思う、エリザだった。
●
妙齢の女性が切盛りする店にエミリア・シバは変装を施した上で訪れていた。やや化粧の濃くし、スリットが入った色気ある服で飾った姿は港町で見かけた流行りの一つだ。
「……そう、それでこの街に来たのね」
エミリアが設定した身の上話を聞いた女将が応えながら、グラスに酒を注ぐ。
歓楽街を見て回っていた時、男性客の相手をする従業員にならないかと女将から声を掛けてきたのだ。備えてきた色気が別方向に役に立った形になった。
「もう、あんなことに巻き込まれるのは、ごめんなのよ」
「だったら、暫く此処にいたら? 領主は厳しい人だけど、働いているのなら余所者も受け入れてくれるわよ」
出自問わず有能な人材は積極的に活用するのが、ユーゴ=ダルダニエという人物のようだ。もっとも、使えない人は容赦なく切り捨てるという側面も持っているらしい。
「前いた街の領主は、まだ子供で不安だったのよねぇ。こちらはどうなの?」
「領主の子供は4人いたけど……全員、死んでるわよ」
女将は声を小さくしてそう告げた。
市民の間ではその話はタブーに近いのだろうか。
「4人も!? 何かあったの?」
「病気とか事故とかね……でも噂じゃ、切り捨てられたじゃないかってね。他にも捨てられた愛人の呪いだとか」
「それじゃ、跡取りはいないって事?」
エミリアの質問に女将は頷く。
もっとも、親族や血族はいるだろうから、お家断絶にはならないはずだ。
「でもね、執事の子が血族の娘と結婚して継ぐって噂もあるのよ」
「執事の?」
「筆頭執事の息子って若いのに、とても優秀なのよ。歓楽街の商会組合にも顔が利くって話で、スラム街の縮小なんかもやってたって」
その情報はエナハルトからは聞いていない事だった。
女将の話はスラム街の事へと移っていく。スラム街は以前よりも治安は改善し、規模が小さくなってきているという。ただ、そこに怪しいと思える印象を女将は感じていなかったようだ。
跡取り問題に、筆頭執事の息子。更にスラム街の縮小……この街は一見、安定しているようだが、目に見えない何かの力が動いているかもしれない。
「女将さん、もう少しこの店でお邪魔してもいい?」
「勿論よ。是非とも働いて欲しいわ。それでもし、定住するつもりなら信頼できる大家も紹介してあげられるし。私の事はトゥアンと呼んで」
優し気に微笑んだ女将はグラスを向けて来て、エミリアは自分の持っていたグラスを合わせるのであった。
●
調査結果をエナハルトに伝えにきたルベア・ベルニとミア=リゼルの二人だったが、先に別の話をミアが切り出した事で、部屋に重々しい沈黙が訪れていた。
「……これが跡地で見つけた物です」
二人の前に置かれる書類の束と自鳴琴。
一方、唐突な話にルベアは少し落ち着かない様子だった。
「調査書……ダルダニエって……え? ここの領主が、ミアさんの実の父親って事?」
ジードの実験の被験者や貴族の娘だったという事も驚きだが、なによりも今、調査している場所が、ダルダニエ領という所の運命に――いや、偶然を装ったのかとエナハルトに疑惑の視線を向ける。
「……エナハルト。アナタ、このこと薄々気付いてたわね? じゃなかったら冒険者にこんな回りくどい依頼なんかしてない……」
「いや、知らなかったさ。逆に知っていたら僕だけで調査していたよ」
貴族の隠し子や捨て子の話は、かなりデリケートな話なのだ。万が一の場合、ミア自身に危害が及ぶ可能性が高いからだ。
「ごめんなさい。私がもっと早く伝えていれば……」
謝ったミアにルベアは首を振る。
「怒ってはないけど……正直、戸惑ってるだけ、だから……」
例え貴族の子だと分かったとしても、ミアはその事で人が変わったりはしない。
そう分かっているのに、ルベアの胸の奥は少し苦々しく感情が巡っていた。
「ミアさんは大丈夫なの? 本当の父親が今、手が届く範囲にいるんだよ?」
「……本当のお父さん……いいえ。今は、依頼に集中です。組織と関わりがあるのか、それとも別の事件なのか」
今、この場にいるのは王国騎士からの依頼を受けた冒険者なのだから。
「……分かったわ。ミアさんがそう言うなら……そしたら、私から先に報告するわよ」
引き摺りそうな気持を切り替えるように、ルベアはそう宣言した。
調査した主な内容は行方不明や事故の関係だ。
この街に住む友人の家族が行方不明になったという設定で路地や住宅街を回って聞き取りしたのだ。
「分かった事といえば、この街で行方不明になる人って、働く事ができなくなってしまった人が多いらしいわ。なんでも、衛兵が街中を見廻って引き籠っている人がいないか探してるって話」
「衛兵さんが? 連行されてしまうのでしょうか?」
首を傾げるミア。
彼らの仕事は街中の治安維持だ。隠れている犯罪者を探す……という理由ならともかく、引き籠りを探す意味が分からない。
「その辺りまで詳しくは分からないけど……強制的に重労働させられるって。それが嫌で別の街に夜逃げする人もいるみたい」
「そういえば……徴税の方が言っていました。税を納める事ができなくなった場合の裏マニュアルがあるって」
ルベアの話にミアが調査の事を思い出していた。課税対象の人物や団体の実態を調べる為に、徴税人を尋ねていたのだ。
ミアの姿を見た時に何故か驚かれたのが印象深かったが、ともかく、調査の結果、特に怪しい事は無かった。
人の出入りや売り上げの良し悪しなどもあり税収は必ずしも一定では無かったからだ。だが、思いもしない所から、繋がった。
「他の冒険者の話によるとユーゴ=ダルダニエは、厳しい人物らしい。働けなくなった者を容赦なく切り捨てると……つまり、ミアが聞いた『裏マニュアル』というのは納税ができなくなった者を強制労働させている……可能性がある訳だ」
徴税人は為政者からの業務の一部を委託されている立場にある。領主と繋がっていても不思議ではない。
「それだと、怪我や病気で働けない人はどうなるの?」
「そうですよね。歳を重ねて体力的にも厳しくなる場合や出産や育児もありますし」
「だからこその衛兵の見廻りなのだろうな……領主の指示があれば、家宅捜索もできるだろうから」
納税できなくなった者がどの様な理由があっての事なのかを調べているのだろう。
住宅街やスラム街を衛兵が見廻りを兼ねて巡回すれば治安維持にも役立つ。
「……だから、失踪ではなく夜逃げの話だったんだ……噂話程度だけどこの街には、夜逃げを手伝う専門の人もいるそうよ」
ただし、失踪者が存在しない訳ではないようだ。また、行方不明だけではなく、病気で孤独死していたり、事故に遭って人前から姿を消す者もいる。
頭の中でこれまでの情報を整理しつつ、ルベアは話を続けた。
「最初は組織との関連性を疑っていたけど……可能性は低そうね。もちろん、まだ断定できないけれど、なんにせよ、叩いてすぐに出る埃じゃなさそうだし、とりあえず地道に調べてみるしかないか」
「という事は、調査は継続でしょうか、エナ?」
「そうなるかな。ただ、調査内容の経過について、いずれ領主か執事には話さないといけない。その時は何人か冒険者にも同行してもらう必要がある」
「黙ったままという訳にもいかないし、調査だけではなく、そっちの方も気に掛けないといけないのね」
纏めるようなルベアの台詞に頷くミアとエナハルトであった。
●
「不審死は少なく、反社会勢力の影も見られない。領主は経営に真面目で領民は仕事に打ち込んでいる……表向き、特段の怪しさはなかった」
ナハティガルは依頼主であるエナハルトにそう報告した。
組織の暗躍があったとは思えなかった。『承允』しやすい環境にはないからだ。
「やっぱり、そうですか」
「何故、ダルダニエ領に調査の矛先を向けた? タレコミでもあったのか?」
疑念が生まれるのは当然の事だ。
意味のない調査を行う必要はない。
「匿名での通報自体に、大きな意味があると思うのです」
「……事件性が高いという事か。組織の事は世間ではあまり公にされていなかったな」
「ただの通報なら、わざわざ僕にする必要がないですから」
「力量を買われたとも言えるな。という事は、まだ調査は続ける必要があるか」
ナハティガルの台詞にエナハルトは頷く。
ルベアが言うように、叩いてすぐに出る埃ではないのだ。だからこそ、この王国騎士が冒険者に頼むのだろう。この街に潜む陰謀の正体を掴む為に――。
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:標準6 / 4〜6人
2023年01月01日 17時18分01秒 公開
相談掲示板
ヒーラーのミア=リゼルです。担当してくださった広大さん、参加してくださった皆さん、ありがとうございます。 この依頼には私の実父…ダルダニエ侯ユーゴがEXCとして紐付けられていますが、 私との関わりがなくても自由にご参加いただきたいと思っておりますので、楽しんでいただけましたらさいわいです。よろしくお願いしますね! なお、シナリオの内容、舞台設定についての質問は私もお答えできませんので、ご了承くださいませ。ミア=リゼルおよびEXCのプロフィール以上のことは、私もわからないので…! …さて! 今回はフリーアタックということですので、気になるところを調べていって良い…のですかね…? 「失踪や拉致、不審死などの痕跡の有無を確認する」「あるいは今後の調査に有益な情報等を得る」…ですか。ふーむ… 私は徴税請負人さんを探して、話を聞いてみようと思います。税を納める人がいなくなったら、わかるはずですから。ごく自然に、というところが課題ですが…
シーフのエミリアよ、よろしくね。 おねえさんは毎度芸がないけれど、酒場とか歓楽街やら色町系とかの少し裏ぐらいから調査から始める予定ね。 流れてきたからといった名目で、街のことや街を治めている領主様のことを知りたいって感じで聞き込みやこそこそしてる話題とかを超聴覚で盗み聞ぎ予定ね。 とりあえず街到着前からフェイクカバーなどで変装しておく予定。 今回はエナハルトちゃんが連絡用の宿は取ってるしその辺の心配はなさそうね。
シーフのナハティガル=ラーだ。――宜しく頼む。 蛇の道は蛇。俺も貧民街や歓楽街等を中心に情報収集を行なおう。 突然やって来た余所者が探りを入れると怪しまれる為、俺もフェイクカバーで偽装するつもりだ。 その他、オーキサに頼んで各種記録等を確認させて貰う予定。
遅くなったけど…シーフのルベアよ、宜しく。 私はー…住宅街とか路地とかで情報収集を行うつもり。 病気についてのことだと医者とかそっち関係に踏み込んでしまって、いくら変装しても「誰かが探りを入れている」という痕跡は残っちゃうから、行方不明とか事故周りかしらね。
確かに表向きは『メドゥの指先に属した組織の調査』ですから…そう見えるような工夫は必要、ですよね。 調査が終わったら、宿屋に行きますね。 …というわけで、明日朝出発です!白紙にはご注意ください〜