ゴールド・フェネックの叛逆?
奇古譚
コメント 0
シナリオID:2643
オープニング
●
ひい、ひい……酷い目に遭った!!
え? 何の事かって!?
其の為に此処に来ているんだよ、君ィ! 此処は冒険者ギルドだろう!?
おっほん、失礼した。
私はゴフェネ卿。趣味でフェネック……狐のような生き物だがね、其れを飼育しているのだよ。
何の為に? ああ、趣味と実益を兼ねている。
私はこれでも、エーテルの扱いを心得ていてね。フェネックたちは私の目と耳にするには丁度良かったのだ。
なので領地のあちこちに向かわせては、遠見で民草の様子を見ているという訳だ。
――そう!
そのフェネックが、逃げ出したのだ!!
場所は我がゴフェネ領! リーンエスの西にあるのだがね! 知らないかね!? 知らない? あ、そう……
いやいやいやいや! そうではなく!
捕まえてほしいのだよ!! フェネックを!!
兎角奴らは動きが速い! 私のエーテル術でも両手を使ってもどうにもならん! 使用人たちを総動員して、なんとか屋敷の敷地内にフェネックを閉じ込める事には成功したが……いかんせんそれからが駄目だ! もう冒険者の力を借りるしかないと、この私! 自ら! 恥を忍んでやってきたという訳だよ!
受けてくれるな? 募ってくれるよな?
受けてくれれば勿論報酬は弾もう。だがフェネックを殺す事だけはまかり間違ってもならん! 彼らの繁殖は難しいのだ。苦労して増やしてきたフェネックを、逃げ出したというだけで殺すなど、そんな事は……可哀想だろう!! あってはならんだろう!!
なんだその暖かい目は! いいか、直ぐに貼り出すのだ! さっきも言ったけど報酬は弾む!
あと、彼らはその……私のせいでなんだが、エーテル術を恐れない傾向があるので……ごにょごにょ……あ、いやなんでもない。なんでもないぞお!
兎に角、宜しく頼む! おーい、倒れた馬車はどうなった!? 御者は無事か!?
……。斯くして。
「金色フェネックの捕獲者募集」
という張り紙が貼り出されたのは、その日の夕暮の事であった。
ひい、ひい……酷い目に遭った!!
え? 何の事かって!?
其の為に此処に来ているんだよ、君ィ! 此処は冒険者ギルドだろう!?
おっほん、失礼した。
私はゴフェネ卿。趣味でフェネック……狐のような生き物だがね、其れを飼育しているのだよ。
何の為に? ああ、趣味と実益を兼ねている。
私はこれでも、エーテルの扱いを心得ていてね。フェネックたちは私の目と耳にするには丁度良かったのだ。
なので領地のあちこちに向かわせては、遠見で民草の様子を見ているという訳だ。
――そう!
そのフェネックが、逃げ出したのだ!!
場所は我がゴフェネ領! リーンエスの西にあるのだがね! 知らないかね!? 知らない? あ、そう……
いやいやいやいや! そうではなく!
捕まえてほしいのだよ!! フェネックを!!
兎角奴らは動きが速い! 私のエーテル術でも両手を使ってもどうにもならん! 使用人たちを総動員して、なんとか屋敷の敷地内にフェネックを閉じ込める事には成功したが……いかんせんそれからが駄目だ! もう冒険者の力を借りるしかないと、この私! 自ら! 恥を忍んでやってきたという訳だよ!
受けてくれるな? 募ってくれるよな?
受けてくれれば勿論報酬は弾もう。だがフェネックを殺す事だけはまかり間違ってもならん! 彼らの繁殖は難しいのだ。苦労して増やしてきたフェネックを、逃げ出したというだけで殺すなど、そんな事は……可哀想だろう!! あってはならんだろう!!
なんだその暖かい目は! いいか、直ぐに貼り出すのだ! さっきも言ったけど報酬は弾む!
あと、彼らはその……私のせいでなんだが、エーテル術を恐れない傾向があるので……ごにょごにょ……あ、いやなんでもない。なんでもないぞお!
兎に角、宜しく頼む! おーい、倒れた馬車はどうなった!? 御者は無事か!?
……。斯くして。
「金色フェネックの捕獲者募集」
という張り紙が貼り出されたのは、その日の夕暮の事であった。
解説
●目的
ゴールドフェネックを捕まえろ!
●立地
リーンエス王国西部にひっそりと構えるゴフェネ領、其の奥にちんまりと座するゴフェネ卿の屋敷です。
屋敷自体は結構大きく、2階建て。庭もあります。フェネックを運動させないといけないからね。
屋敷は現在厳戒態勢で閉じられています。冒険者が入ると、直ぐに扉が閉められます。
●出来ること
フェネックを捕まえる、これだけです。
フェネックは魔獣の一種ですが、基本的に無害で人懐っこいです(甘噛みくらいはしてくるかもしれません)ゴフェネ卿は家に代々伝わる特殊な魔法を用いてこのフェネックたちと視覚などの五感を通わせ、領内を観察していました。
其れ故か、特性として「魔法に寄って来る」というものがありますが――どのようにこの特性を扱うか、或いは力業で捕まえるかは皆さんにお任せします。
網などの持ち込みもOKです。ただ、傷付けてはいけません。ゴフェネ卿が泣いてしまいますので。
勿論皆さんが傷付いても、ゴフェネ卿は泣きながら医師に治療を指示するでしょう。
悪い人じゃないんですよね……ちょっとうっかりさんなだけで……
●注意事項
迷子・描写漏れ防止のため、同行者様がいればその方のお名前(ID)、或いは判るように【】で囲んだ合言葉などを添えて下さい。
マスターより
こんにちは、奇古譚です。
難しく考えず、お祭り気分でゴールドフェネック捕獲を楽しんでください。
何より――もふもふですよ! 彼らは!
●
イベントシナリオではアドリブ控えめとなります。
皆さまが気持ちよく過ごせるよう、マナーを守ってイベントを楽しみましょう。
では、いってらっしゃい。
リプレイ
●
ゴフェネ領、ゴフェネ郷の御屋敷にて。
「はいはい、大人しくしろなー」
サイラスはとても冷静にフェネックをゲットしていた。
隠れているものも、透視を用いれば見えているも同然。けれど魔法を使っている筈の己には寄って来ず、また物陰に隠れるように移動するフェネック。――もしかしてかくれんぼしてるのかな? と思いながらサイラスは遠慮なく近寄ると優しく掴み上げて、どうしてこんなことをしたのかと尋ねる。すると楽しそうな感情がふわふわと返ってきた。
「……もしかして、単に遊びたかっただけか?」
ふりふり、振られる尻尾。
楽しそうに手足をぱたぱたさせて、フェネックはきゅうんと鳴く。普段からある程度自由にさせて貰っているという旨の情報を得ていたが、……フェネックって遊び好きなのか? 其れとも、ゴフェネ卿の趣味だろうか。
「ゴフェネ卿は困ってたぞ」
そりゃあもう。すごく。めちゃくちゃに。
どちらにも怪我しないでくれと懇願する彼は一種、貴族らしくない――ただの“動物好き”だったなあと思い返し。
サイラスの言葉を理解しているのか、いないのか。フェネックは楽しそうに尻尾を振り、宙ぶらりんの状態を堪能するのだった。
●
「触れ方? 猫や犬と同じだが。好きなおやつはジャーキーで……ああ、食堂に保管をしてある。捕まえたものは取り敢えず、屋敷のこの部屋に……」
と、十分に情報を得たところで意気揚々とフリューリングスルフト=ティエラはゴフェネ卿のお屋敷へ。外にいるものはある意味捕まえたようなものだから、屋敷の中を集中的に探す事にした。
普段ここまでする? ってくらい、索敵のスキルを総動員させてフェネックたちの居場所を把握する。あ、やっぱり食堂に集まってる!
「おやつに集まるのは獣の習性さぁ……魔獣も同じなんさ?」
取り敢えずおやつに夢中のものは放っておいて。様々な場所に散ったフェネックを追いかけて、フリューは地を蹴る。
傍にいたフェネックがキャウ! と声を上げて、遊びに来てくれたの? とばかりに駆け出す。其の速さは獣の速さだ、普通の人間なら追い付けないだろう。――そう、冒険者が相手でなかったならね。
フリューは壁を走り、エーテルで一気に風のように駆け抜けると廊下の先、フェネックがまさに目指そうとしていた場所に着地して両手を広げる。
「さ、おいでー!」
キュウ!
そよ風のような彼女から魔法を感じ取った故か。其れともかけっこで負けたからか。フェネックはいやに素直にフリューに飛び込んで、其の頭をぐりぐりと胸元に押し付けて来る。
「よーしよしよし……可愛い子さぁ♪ ほんとに魔法に惹かれてるんさ?」
「くーん、きゅう、くんくん」
まるでマタタビを前にした猫のよう。
何処からともなく現れた二匹目のフェネックが、魔法が色濃く残るフリューの足にすりすりと身体を擦り付ける。
魔法の気配に敏感なのだろう。フリューがあちこちを見ると、フェネックが次々現れて――
「わー!? こんなに抱えきれないんさぁ!?」
●
ジュスト・ヴェルジーとローザリカ・L・ディオールは今日も二人でお出掛け。いつもならお洒落なデートに行きそうな二人だが、今回はなんと、フェネックとのふれあい体験です。
「ふむ、ゴフェネ卿。良い趣味だ」
ふふん、と心なしか嬉しそうな顔をするローザリカ。褒めているつもりです。ちなみに最初に捕まえたいと言い出したのは彼女の方で、ジュストは付き添いである。
――小動物が好きなのは良いんだけど、変に力み過ぎるから警戒されるんだよなぁ。
ジュスト評である。
でもしょうがないじゃないですか。こんな小さな生き物にどうやって触れたらいいんだ? って気持ちがあるんですよ。ジュストだってあるんじゃないですか? 赤ん坊とかどうやって抱いたら良いか判らないかとか――え? 余談はそのくらいに? はい。
「魔法に寄って来るなら、殺傷性のない魔法が一番だろうね」
言うとジュストは、光り輝く蝶型クリーパーを呼び出して周囲を回せる。其れはまるで、彼自身が一輪の花になったかのよう。
其れに惹かれるのは蝶だけではない。フェネックがあちこちからひょいと顔を出すと、ふんふんと鼻を鳴らしながらジュストへと寄って来る。其の内の一匹をひょいと抱き上げると、光の縄でその自由を奪い、捕まえた、と視線を交わす。
……例えフェネックであろうとも。
ローザリカは僅かに嫉妬の気が燃やし、いやいや、相手はフェネック。と切り替えるように咳払いするのだった。
そうして、魔法に寄る性質の利用くらい、と己も周囲に輝く花弁を回す。蜜色した其の花弁に誘われる蝶のように、フェネックたちはローザリカの周りに集まってきたが――彼女は手を伸ばせずにいた。下手に強く触れて、怖がらせたりしやしないかと。
「ロゼ、そっちは」
どう、とジュストが顔を向けると、苦戦している愛らしい婚約者の姿。
ああ、やっぱり。でもそう言う所も可愛い。ジュストはフェネックを引き連れながらローザリカへと近付き、其の腕にそっと己が抱いていたフェネックを抱かせる。
「この子をお願い。俺は他の子たちを捕まえに行くから」
すんなりと腕に収まって丸くなるフェネックに、ローザリカは瞳を瞬かせる。
……優しい重み。怖がったりせずに安心して丸くなってくれる其の姿に、ローザリカはそっと心中で安堵する。
「……ふふ」
そういえば、最近どこかの誰かさんが犬っぽさを感じさせるのだよな。
思い出しているとおかしくなって、少しだけローザリカは笑い、……何を怖がっていたんだろう、とジュストに心の氷まで溶かされてしまう。
可愛いな、と其の艶やかな毛並みを撫でると、フェネックは嬉しそうにきゅうん、と鳴いた。
ゴフェネ領、ゴフェネ郷の御屋敷にて。
「はいはい、大人しくしろなー」
サイラスはとても冷静にフェネックをゲットしていた。
隠れているものも、透視を用いれば見えているも同然。けれど魔法を使っている筈の己には寄って来ず、また物陰に隠れるように移動するフェネック。――もしかしてかくれんぼしてるのかな? と思いながらサイラスは遠慮なく近寄ると優しく掴み上げて、どうしてこんなことをしたのかと尋ねる。すると楽しそうな感情がふわふわと返ってきた。
「……もしかして、単に遊びたかっただけか?」
ふりふり、振られる尻尾。
楽しそうに手足をぱたぱたさせて、フェネックはきゅうんと鳴く。普段からある程度自由にさせて貰っているという旨の情報を得ていたが、……フェネックって遊び好きなのか? 其れとも、ゴフェネ卿の趣味だろうか。
「ゴフェネ卿は困ってたぞ」
そりゃあもう。すごく。めちゃくちゃに。
どちらにも怪我しないでくれと懇願する彼は一種、貴族らしくない――ただの“動物好き”だったなあと思い返し。
サイラスの言葉を理解しているのか、いないのか。フェネックは楽しそうに尻尾を振り、宙ぶらりんの状態を堪能するのだった。
●
「触れ方? 猫や犬と同じだが。好きなおやつはジャーキーで……ああ、食堂に保管をしてある。捕まえたものは取り敢えず、屋敷のこの部屋に……」
と、十分に情報を得たところで意気揚々とフリューリングスルフト=ティエラはゴフェネ卿のお屋敷へ。外にいるものはある意味捕まえたようなものだから、屋敷の中を集中的に探す事にした。
普段ここまでする? ってくらい、索敵のスキルを総動員させてフェネックたちの居場所を把握する。あ、やっぱり食堂に集まってる!
「おやつに集まるのは獣の習性さぁ……魔獣も同じなんさ?」
取り敢えずおやつに夢中のものは放っておいて。様々な場所に散ったフェネックを追いかけて、フリューは地を蹴る。
傍にいたフェネックがキャウ! と声を上げて、遊びに来てくれたの? とばかりに駆け出す。其の速さは獣の速さだ、普通の人間なら追い付けないだろう。――そう、冒険者が相手でなかったならね。
フリューは壁を走り、エーテルで一気に風のように駆け抜けると廊下の先、フェネックがまさに目指そうとしていた場所に着地して両手を広げる。
「さ、おいでー!」
キュウ!
そよ風のような彼女から魔法を感じ取った故か。其れともかけっこで負けたからか。フェネックはいやに素直にフリューに飛び込んで、其の頭をぐりぐりと胸元に押し付けて来る。
「よーしよしよし……可愛い子さぁ♪ ほんとに魔法に惹かれてるんさ?」
「くーん、きゅう、くんくん」
まるでマタタビを前にした猫のよう。
何処からともなく現れた二匹目のフェネックが、魔法が色濃く残るフリューの足にすりすりと身体を擦り付ける。
魔法の気配に敏感なのだろう。フリューがあちこちを見ると、フェネックが次々現れて――
「わー!? こんなに抱えきれないんさぁ!?」
●
ジュスト・ヴェルジーとローザリカ・L・ディオールは今日も二人でお出掛け。いつもならお洒落なデートに行きそうな二人だが、今回はなんと、フェネックとのふれあい体験です。
「ふむ、ゴフェネ卿。良い趣味だ」
ふふん、と心なしか嬉しそうな顔をするローザリカ。褒めているつもりです。ちなみに最初に捕まえたいと言い出したのは彼女の方で、ジュストは付き添いである。
――小動物が好きなのは良いんだけど、変に力み過ぎるから警戒されるんだよなぁ。
ジュスト評である。
でもしょうがないじゃないですか。こんな小さな生き物にどうやって触れたらいいんだ? って気持ちがあるんですよ。ジュストだってあるんじゃないですか? 赤ん坊とかどうやって抱いたら良いか判らないかとか――え? 余談はそのくらいに? はい。
「魔法に寄って来るなら、殺傷性のない魔法が一番だろうね」
言うとジュストは、光り輝く蝶型クリーパーを呼び出して周囲を回せる。其れはまるで、彼自身が一輪の花になったかのよう。
其れに惹かれるのは蝶だけではない。フェネックがあちこちからひょいと顔を出すと、ふんふんと鼻を鳴らしながらジュストへと寄って来る。其の内の一匹をひょいと抱き上げると、光の縄でその自由を奪い、捕まえた、と視線を交わす。
……例えフェネックであろうとも。
ローザリカは僅かに嫉妬の気が燃やし、いやいや、相手はフェネック。と切り替えるように咳払いするのだった。
そうして、魔法に寄る性質の利用くらい、と己も周囲に輝く花弁を回す。蜜色した其の花弁に誘われる蝶のように、フェネックたちはローザリカの周りに集まってきたが――彼女は手を伸ばせずにいた。下手に強く触れて、怖がらせたりしやしないかと。
「ロゼ、そっちは」
どう、とジュストが顔を向けると、苦戦している愛らしい婚約者の姿。
ああ、やっぱり。でもそう言う所も可愛い。ジュストはフェネックを引き連れながらローザリカへと近付き、其の腕にそっと己が抱いていたフェネックを抱かせる。
「この子をお願い。俺は他の子たちを捕まえに行くから」
すんなりと腕に収まって丸くなるフェネックに、ローザリカは瞳を瞬かせる。
……優しい重み。怖がったりせずに安心して丸くなってくれる其の姿に、ローザリカはそっと心中で安堵する。
「……ふふ」
そういえば、最近どこかの誰かさんが犬っぽさを感じさせるのだよな。
思い出しているとおかしくなって、少しだけローザリカは笑い、……何を怖がっていたんだろう、とジュストに心の氷まで溶かされてしまう。
可愛いな、と其の艶やかな毛並みを撫でると、フェネックは嬉しそうにきゅうん、と鳴いた。
マスターコメント
お疲れ様でした。
フェネックは無事に全部捕まり、ゴフェネ卿は安心してお屋敷に帰る事が出来ました。
動物を撫でるのに躊躇ってしまうの、私もなんですよね。
こんなか弱い生き物に触れて良いのか!? って。
ご参加ありがとうございました!
イベントシナリオ易しい 報酬:多い4 / 4〜25人
2022年12月16日 14時24分44秒 公開
大成功
相談掲示板
投稿はありません