【奇貨】奪われた神具
真柄 葉
コメント 17
シナリオID:2426
オープニング
「しっかし、今回の店はずいぶんと賑やかだねぇ」
「あっははー、楽しいっしょ? やっぱ酒は賑やかな場所でのまねーと、酔える気がしねーんだわ」
仕事終わりのドワーフ達の熱気と酒気と汗の匂いでむわんむわんしている酒場の片隅で、妙齢な二人の女性が楽しげにジョッキを掲げていた。
一人は匠王『シグルラン』、そしてもう一人は女狐『ヴィルジニア・テレーザ・セルッティ』。
「まぁ、郷に入っては郷に従えともいうしね」
「うむうむ、わかってんじゃん」
「わからされたんだよ、長いことアンタと付き合っていてね」
「あははー! いうねー! あ、ヴィル、おかわりいる?」
「ああ、貰おうか」
ヴィルジニアが頷くと、シグルランは嬉しそうに指を鳴らす。
すぐに看板娘のドワーフが新しいジョッキをもってやってきた。
公の場にあってはそれぞれ立場のある二人だが、それを離れればただの飲み友。今日も貿易交渉をさっさと切り上げ、シグルラン一推しの酒場へと足を運んでいた。
もちろん、プライベートでだからといって二人だけで訪れたわけではない。
ヴィルジニアの周りは子飼いの凄腕が固めているし、シグルラン側にも護衛はついている、何なら酒場の客の半分はシグルランの息のかかった者達だ。
「高く売ってくれるの期待してるよー」
「それは品物の出来次第だっていつも言ってるだろう? いい物を頼むよ」
「そんなの当然っしょ。ドワーフ王国舐めんなヨっ」
充分に安全が確保された酒場で、改めてジョッキを掲げる。
「んじゃ、今年もよろしくねー!」
「ああ、よろしく頼むよ」
二人は話尽きるまで飲み明かし、交友を深め合った。
●
一路リブラネスタへ。
険しいクリエスター山脈の山間を抜け、同盟領へと至る貿易路の一つに、ヴィルジニア率いる一団の姿はあった。
「なに? 崖崩れだと」
ヴィルジニアの護衛を任された側近が斥候からの報告に眉をひそめた。
「通行不能なのか?」
問いかけた側近に斥候はこくりと頷く。
「……ここを通れないとなると、山一つ迂回する事になるぞ」
側近は小さく呟き山を見上げると、すぐに主の元へ駆けていった。
「……仕方がないね。迂回するよ。すぐに引き返す準備だ」
側近から報告を受けたヴィルジニアは即断する。
一団はすぐに引き返す準備を始め、別の山道へと向かう。
「なに!? また崖崩れだと!!」
再び戻った斥候の報告に、側近はついに声を荒げた。
半日をかけ迂回した山道は、またしても崖崩れにより通行不能となっていた。
「ヴィルジニア様、この道も通行不能のようです」
「ここもかい?」
馬車の外から聞こえた側近の報告に、ヴィルジニアは窓を開け外を覗き見る。
見れば、崖崩れの影響か、馬車の前には渋滞が出来ていた。
「……最近、大雨が降ったなんて聞いていないし、シグルランも何も言っていなかった。これは何かあるかもしれないね」
「まさか、誰かの妨害だということですか?」
「それはわからない。だけど、ここで道の復旧を待っている理由もない。一旦、ドワーフ王国へ戻るよ」
空を見上げれば日は随分傾いてきていた――。
●
セルッティ商会本館へ、伝書バトがその報を届けたのは、ヴィルジニアの一団が立ち往生した翌々日、日没間際の時間だった。
鳩に結ばれた手紙には、ヴィルジニアが『事故』の影響で帰還が遅れると書いてある。
「ご帰還が遅れる……何かトラブルですか?」
ヴィルジニアの元で商売について学んでいたシーガル=ロニスクは、留守を任されている執事に問いかけた。
「トラブルと言えばトラブルです。しかし、ご主人様はご無事ですので大事在りません」
そんなシーガルに表情一つ変える事無く執事は答える。
「とはいえ、ご帰還が遅れるとなれば、色々とやらねばならぬことが増えますね。まずはスケジュールの調整、来客の対応、注文書の……そういえばロニスクさん、貴方は冒険者でしたね」
「え? ええ、一応登録はしています。新米もいい所ですが」
突然話を振られ、シーガルは目を瞬かせた。
「それでは、貴方に使いをお願いしましょう」
「使い、ですか? セルッティさんを迎えに行くんですか?」
「そんな重要な仕事を新米冒険者に任せはしません」
「そ、そうですよね……ハハハ」
ここまできっぱりと否定されれば、シーガルも苦笑いするしかない。
「貴方には、冒険者ギルドへ向かっていただきたい」
「ギルドへ、ですか。もちろんかまいませんが、ご用件は?」
「警備についていただいている冒険者の契約更新です」
「契約更新……そういえば、今日まででしたか。わかりました、では今から――――」
「いえ、既にギルドの業務が終了している時間です。明日朝一でお願い出来ますか」
「でしたね。わかりました、準備しておきます」
話を追え、シーガルが執務室を退室する頃には、辺りはすっかり暗くなっていた。
そして、その日の深夜。事は起こった――――。
●
「火だ! 急いで消せ!!」
セルッティ商会本館の敷地内にある納屋から火が出た。
納屋を燃やす炎は夜空を赤く染め、辺りは騒然となる。
屋敷の警備を担う男が、声と警笛で異常を知らせると、家人たちが一斉に起き出してきた。
寝静まった深夜に火の手が上がる。誰もが疑念を抱きながらも、懸命の消火活動を続ける――。
「て、敵襲!!」
そんな時だった、誰かが中庭で叫んだ。
ようやく鎮火の目途がたち、安堵したのも束の間、家人たちは急報にバケツを剣に持ち替え、中庭に急ぐ。
しかし、家人たちが駆け付けた時には、急を知らせた仲間は既にこと切れていた。
家人たちはボヤから始まった異変に混乱する事もなく、冷静に自分の持ち場へと散っていく。
貴重な品々が収められた金庫へ。
重要な書類が保管されている書庫へ。
そして、この屋敷で最も価値のある『果断の天秤』が置かれたヴィルジニアの執務室へ――。
商館の至る所で戦闘音が響き、悲鳴と怒声が木霊する。
その中、シーガルもいた。
「く、くそっ……!」
シーガル自身、授恵者であるが戦闘はからっきし。
しかも暗闇での戦闘とあって、殆ど役には立っていないが、それでも懸命にセルッティ商会の財を、『果断の天秤』を護ろうと必死に戦った。
しかし……。
「ぐふっ……」
足を刺され、顔を殴られ、床に転がされる。
身体に痛くない所を探す方が難しい状況の中、シーガルは確かに見た。
「そ、れを……」
『果断の天秤』を持ち去る影の姿を――。
翌朝、負傷したシーガルの代わりに冒険者ギルドへ依頼を持ち込んだ執事。
依頼内容は警備から、調査・奪還へと変更される事となった――――。
解説
マスターより
リプレイ
「どうしても関連付けて考えちゃいますね」
セルッティ商会の屋敷を歩くリサ・ベイカーは独り言ちた。
前日の警備にもついていたリサは、そのタイミングの良さに違和感を覚えつつ、自身が万が一の時の為に残していた『罠』を調べる。
「踏まれていますね……でも、足跡が多い」
リサが用意したのは執務室の前に敷かれたマット。これに特徴的な匂いを発する香水を染み込ませ、踏んだ者の足跡を辿れるようにしたのだ。
しかし、マットに残された足跡は多い。
「激しい攻防があったんですね」
マットの足跡だけではない。割れたガラスや壊された調度品。壁に残された刀傷や血痕など、激しい戦闘が行われたのが一目でわかった。
リサはそれでも何かの手掛かりになればと、香水の匂いを頼りに屋敷を歩き回っていた。
「……途切れている?」
匂いの痕跡のうちの一つに、リサは違和感を覚えた。
他の痕跡同様、外へと向かっているのは確かだが、途中引き返して来たような気配がする。
手掛かりが匂いだけなので、風向き次第ではあるが……。
「屋敷の中……こっちの方角は」
匂いの痕跡を目で追うと、それは屋敷の奥へと続いている。
「もし仮にこれが暗殺者のものだとしたら……」
もちろん従業員の者である可能性の方が大きいだろうが、もし仮に敵のものだとすれば、襲撃後も暗殺者は屋敷に潜んでいたことになる。いや、今この時もまだ息を潜めているかもしれない。
不確かな情報を伝えるべきか迷ったが、言い知れぬ違和感にリサは仲間の元へと報告に戻る。
●
「よければ何を見たか聞かせてもらいたいんだ」
病室を訪れたアラン・スミシーは、順調に回復しているシーガルに話しかける。
シーガルは神妙に頷くと、自身が体験した襲撃事件のあらましを語って聞かせた。
「……黒衣の男達、か。闇に紛れるにはちょうどいい格好だね」
「はい、奴等は真っ先に屋敷の灯りを壊しました。セルッティさんの部下の方々は腕の立つ人も多いのですが、暗闇の中の襲撃に……」
「……ふむ」
シーガルの話を聞き、アランは考える。
屋敷の構造だけでなく、照明の位置まですべて把握していたのか。
そんな事が可能な人物が、果たしてどれほどいるだろうか。これはやはり、内部の――――。
「シーガルさん! 生きてますか!!」
と、アランが物思いにふけっていたら、病室のドアを勢いよく開かれた。
見知った顔の登場に、シーガルは緊張の色を幾分かやわらげる。
「よかったです、ご無事そうですね」
「ご心配おかけしました。数日後には退院できそうです。調査も大変でしょうし、私も微力ながら――」
「ダメです!!」
「……へ?」
せっかく作って見せた力こぶの行き場を見失うシーガルに、トーラは強い視線を向ける。
「シーガルさん、このチャンスを逃す手はありません!」
「チャンス、ですか……?」
「はい、チャンスです! シーガルさん、囮になってくれませんか?」
「はい…………ええっ!?」
「しー!! 声が大きいです!」
慌ててシーガルの口を塞いだトーラが話した計画の全容はこうだ。
まず、シーガルが病床に臥せっている間に、『うわごとで犯人を見たと言っていて、意識が戻るのを待って詳しい話を聞こうとしている』という噂を流す。
もし、捕虜を暗殺した襲撃者が目撃者を生かしておかないとするならば、必ずシーガルが狙われる。トーラはその狙いを逆手にとって、襲撃者の捕縛ができないかと考えた。
「シーガルさんはただ寝ていてくれればいいんです。後はわたしたちでうまい具合にやりますから」
ぐっと拳に力を込めて力説するトーラ。シーガルは助けを求めるようにアランを見た。
「きみ次第かな。セルッティ商会の力になりたいのなら、彼女の言うような方法もとれるよ」
選択肢はあくまでシーガルにあるとアランは微笑む。
「……わかりました。私でお役に立てるのなら」
と、しばし考えたシーガルは、トーラに向け首を縦に振った。
●
冒険者ギルドへ訪れたナハシュは、前任警備者の情報を確認していた。
「冒険者を疑っているんですか?」
「んー、疑いたくはないがな」
対応したホリーの怪訝な顔に苦笑しつつ、ナハシュは改めて資料に視線を落とす。
ナハシュが第一に調べたかったのは、前任冒険者の身元。
ギルドに所属する以上、その素性ははっきりしているのが確かだが、裏で何をやっているかまでは把握できていないだろうし、無意識に利用されている可能性だってある。
「契約期間だって、募集要項を見ればすぐにわかりますよ」
「あー、それもそうだな」
ホリーに言われ、ナハシュはわざとらしく手を叩く。
「(前任者は問題なさそうか……)なぁ、ホリー。メイドに心当たりはないか」
「え、メイドですか?」
「ああ、以前ギルドの資料を漁りに来ていたメイドだ。こんな感じの――」
ナハシュはきょとんとするホリーに身振り手振りでメイドの特徴を説明する。
ギルドを訪れる前、ナハシュは商会の主たる者へ同様の質問をしていた。
メイドは以前、タオ商会の主人と一緒にセルッティ商会の屋敷を訪れた事は確認できている。そして、ギルドで何かの資料を漁っていた事もナハシュ本人が見た。もし仮に、襲撃者の正体がタオ商会に関連する者だとしたら、あのメイドが関わっている可能性は高い。
「……すみません、わかりませんね。どこのメイドさんですか?」
「タオ――――いや、そうだよな。まあ、毎日こんだけの人間が来てるんだ。わざわざ覚えてねぇよな」
と、申し訳なさそうに問いかけるホリーから、冒険者達で賑わうギルドへ視線を移す。
この様子だとホリーは何も知らない。
「変なこと聞いて悪かったな」
「いえ、お力になれず申し訳ありません」
ナハシュは席を立ちホリーに別れを告げると、ギルドを後にした――。
●
「あー、また空振りかよ」
冒険者達にあてがわれた部屋に戻ってきたサイラスが、ウンザリと肩をすくめる。
前任の警護冒険者でもあったサイラスは、契約更新前から屋敷の警備用にと、貴重品が置かれているエリアを中心に、いくつかの『罠』を設置していた。
サイラスが設置した『罠』は、足跡が残る様に塗料を塗布した絨毯や、家具の死角に小さな刃物を括り付け、裂傷を誘発するという物だったのだが――。
「空振りって事は、途中で途切れたかい?」
そんなサイラスを出迎えたのは、机に山積みにされた書類や図面と睨めっこしていたアランだった。
「いや、また従業員のだったわ。こう数が多いとかなわん」
「まあ激しい戦闘があったようだからね。先ほど見つけた敵の痕跡はダメだったのかい?」
「ああ、傷に気付いたんだろうな。手当でもしたのかぱったり途切れたわ。思念も残ってねー。こっちは時間が経ちすぎたんだろうな」
「うーん、めぼしい情報はなしか……自ら起こした混乱とはいえ、暗闇の中で的確に宝物を奪取するとは、敵はかなり手練れのようだね」
アランは、サイラスの嘆きを聞き考える。
襲撃者は厳重なセルッティ商会の防衛網を突破し、『果断の天秤』の奪取して見せた。アランは相手の戦闘力もさることながら、その情報収集能力にこそ、脅威を感じていた。
「そういえば、事前の警備では内通者らしき人物はいなかったんだよね?」
「たぶんな。全員調べるなんてできないから、目についた奴だけしか視てないけど、怪しい奴はいなかったなー」
サイラスは前日の護衛依頼の際、【残留思念感応】等を利用し内通者の有無を探っていた。
もし仮に敵がサイラスの予想する者だとするならば、相手は記憶を消せる。
ならば、思念にぽっかりと開いた『隙』があるのではないかと。
「この屋敷に居るのは、全員ヴィルジニア女史の子飼いや腹心らしいからね。縦の繋がりだけでなく、横の繋がりも強固なんだろう。もし、そういう『異変』があれば、すぐにわかるのかもしれないね」
言いつつアランは提供された従業員のリストに目を落とす。アランもサイラス同様、内通者の可能性を考え、セルッティ商会関係者の名簿を手に入れていたのだが……。
「経歴等に怪しい所は見られない……。主さまの用心深さがよくわかるね」
小さく呟いたアランに、サイラスは再び肩をすくめる。
「内通者の線は限りなく低いと考えざるを得ないかな」
「だろうなー。捕虜が殺されたのも外部の手でって事だろ?」
「そうだろうね。痕跡も残さず味方を暗殺か……。冷徹さと実力を兼ね備えた強敵だ」
内に敵がいない以上、捕虜の抹殺は外部の犯行だと思われる。だが、いくら襲撃による混乱後だとはいえ、痕跡も残さず人一人を殺した。
放火という派手なパフォーマンスを実行しつつ、短時間で『天秤』の奪取した手腕に加え、確実に『後処理』を行う冷徹さ――――共に見事としか言いようがない。
しかし、アランはだからこそと考えた。
計画がスマートに過ぎる故に、そこに規則性や『穴』はないだろうか。
「屋敷をもう一度調べてみよう。見落としがあるかもしれない」
アランの提案にサイラスは小さく頷き、二人は再び屋敷を探る――――。
●
「お疲れさまです、具合はいかがですか?」
「ええ、お陰様でこの通り」
ベッドに横になりながらも力こぶを作って見せるシーガルに、微笑みかけたリサは荷物からスケッチブックを取り出した。
「それは?」
「シーガルさん、あなたが見たという犯人の特徴を教えてください」
問いかけてくるシーガルに、リサは真剣な眼差しを向けペンをとる。
「特徴、ですか……わかりました。私が覚えているのは――」
リサに言われシーガルは表情を改めると、襲撃の夜を思い出し、記憶を辿った。
襲撃が起きた夜、襲撃の報を受け飛び起きたシーガルは、真っ先にヴィルジニアの執務室へ向かった。剣戟や怒号が飛び交う中、シーガルは暗闇を駆けた。そして、一際激しい戦闘が行われていた部屋の前に差し掛かった時……。
「背後からですか……。よく無事でしたね」
「運がよかったのかもしれません」
結局ぼこぼこにされましたが、と苦笑するシーガル。
「っと、すみません、話が逸れました。問題の『天秤』を奪っていった人物ですが――――」
シーガルは改めてリサに向き合うと、簒奪者の特徴を語る。
簒奪者たちは皆黒衣を纏い、闇に紛れていた。顔は残念ながら見えなかったが、雰囲気から男女含めた複数の手練れが居たと思われる。そして、そのうちの一人は金髪の男だった。
「複数人の男女……そして、金髪の男ですか。それはリーダー的な人物だったのですか?」
リサはスケッチしながら、シーガルに問いかける。
「そう言われてみれば、そうだったように思います。他の黒衣は金髪の男の指示に従っていた……様な気がします。すみません、曖昧で」
そう言うシーガルの手が微かに震えていることにリサは気付いた。
「ありがとうございます。それでは、その金髪の男の特徴をもう少し詳しく教えてもらえますか」
リサはシーガルの手にそっと自分の手を重ねると、改めて話を聞く――。
「準備整いました!」
リサがスケッチを書き終えた頃、トーラがナハシュを連れて病室に戻ってきた。
「なんだ、元気そーじゃねえか」
ナハシュはベッドの淵に腰かけていたシーガルに声をかける。
「お陰様で――と言っていいのかわかりませんが、何とか生きています」
「はは、そりゃよかった。お前がぽっくり逝っちまったら、契約書をどうするか迷う所だ」
「もしそうなったら、上手く使ってやってください」
「おいおい、冗談ならもうちょい気の利いたこと言えよ」
商人独特の自虐で返すシーガルに、ナハシュは肩をすくめた。
「それじゃ、改めて計画をお話しますね。みなさん、お耳を」
二人の会話を待ってトーラが3人を手招きする。
顔を寄せ合った3人に、トーラは計画を話した――――。
●
その夜、トーラとナハシュ、そしてリサはシーガルの近辺に潜んだ。
昼の間にトーラによって流された噂はリブラネスタに広まっているので、襲撃者がまだこの街に居るのだとしたら、食いついてくる可能性はあった。
トーラはシーガルと同室し、別のベッドに潜り込んで息を殺す。
ナハシュとリサは隣室に身を潜め、周囲を警戒するとともに、有事の際にはすぐに援護に駆け付けられる体制を作ったのだが……。
三人は数日間張り込みを続けるも、襲撃者の来訪はついになかった――――。
●
互いが集めた情報を共有するため、冒険者達は屋敷の一室に集まった。
「囮作戦は効果なし、か……目撃者に用はないという事かな」
「かもしれねえな」
報告書を読んだアランにナハシュは溜息をつく。
「うーん……目撃者の排除を試みるかと思ったんですが」
「相手にとって、目撃者は重要じゃないのかもしれないね。目的のものを手に入れさえすれば、何を知られても構わない。案外、そう思っているのかもしれない」
「え……そうなんですか?」
「目撃者を消しに現れなかった事が証左……と思いたいけど、どうかな」
囮計画の立案者であるトーラの問いに、アランは困ったように微笑んだ。
「ナハシュさん、リブラネスタへ入った襲撃者の数の報告ってこれで合ってます?」
「いや、適当」
「えー……」
リサの問いかけにナハシュは悪戯に笑って見せる。
ナハシュは襲撃者の情報を得るため、タオ商会の支店や息のかかった宿に多数の人の出入りがあったのではと調べていたのだが、めぼしい情報を得ることはできなかった。
結局、戦闘の規模と損害状況から敵の人数を予測するにとどまる。
「襲撃の夜に、街の外から侵入したんだろうな。痕跡を残さないために」
「……なるほど、徹底してますね。本当に用意周到……」
堅牢なるセルッティ商会の牙城を突き崩すべく、敵は一体どれだけの準備をしてきたのか。
ナハシュとリサは、目に見えない巨大な闇に囚われていくような不快感に眉をひそめた。
サイラスは一人輪から離れ窓の外から中庭を眺めていた。
記憶が消せる道具が存在する以上、記憶の上書きも可能ではないのか。
そして、記憶を弄ることが出来るのなら、関係だの縁だのに縛られる事なく思うがままに動かす事も……。
「そこまで便利な道具じゃねーのか?」
『時計』は、その効果の全容をいまだに見せていない。
サイラスは何者にも縛られない自身の身軽さに、『時計』の効果を重ねながら思案する。
敵が『信望の時計』の所持者だと、半ば確信して――――。
後日、調査結果の報告を受けたヴィルジニアは、「そうかい」とだけ答え、死傷者の保障と弔いの指示を出す。
屋敷を襲われ神具を奪われたヴィルジニアの心中は果たして――――。
マスターコメント
ショートシナリオ難しい 報酬:多い5 / 4〜5人
2022年08月27日 22時28分30秒 公開
相談掲示板
シーフのトーラです。 よろしくお願いします! 天秤の強奪は計画的に見えますし、急いで追わないと逃走や天秤を隠されたりしそうですね……。 とりあえずの手掛かりとしてシーガルさんの目撃情報ですけれど、早めに動かないとシーガルさんにも暗殺の手が伸びるかもしれませんね……。 強奪犯を探す手が不足するかも知れないですけど、あえてシーガルさんが賊を目撃したという噂を流して暗殺者を誘い出すというのも手かもしれません。 その場合はシーガルさんの安全も考えないとですし。 あとは現場から手掛かりが見つけれないでしょうか?
人は揃ってるね!いよーし頑張るか! 前警備担当の契約終了まで見計らったように思えるね。 気が抜けたところで襲撃があったようだし、 まずもう天秤がどこに行ったか判然としていない。 天秤の即時奪還はおそらく難しいけれど、 かといって時間がかかったら文字通り闇の中になっちゃうから、 トーラくんの言う通り迅速な捜査が必要だね。 シーガル氏の証言を聞きたいけれど、捕縛した敵陣営が 暗殺されていることからまだこの内部で動いている可能性も高い。 囮作戦はかなり手だと思うけど、暗殺という点でだいぶ気を使わないと 毒殺とかで気取られずにやられちゃう可能性が高いから、 その場合は警備をおじさんたち冒険者でガチガチに 固めないといけないかも。 ともあれ、できればシーガル氏の安全は見ておきたいね……。 そして、現場から手がかりか……相手は相当建物内の構造を理解して 行動した目利きみたいだから……うーんと……。 相手のやったことをなぞっていって逆算、「それができた者を探す」 というあたりが妥当かなーとは思う。 要するに大きいところから見ていって証拠を探すことだね。 今回の襲撃は迅速だけど放火とかで派手だったから、 その影でどう動いていた人物を探すかが鍵かな、と。 ともあれ頑張ろー!
遅くなりました、ヒーラーのリサです、よろしくおねがいします。 まあ、タイミングとか今までの流れとかからすると、例の商会が怪しい、となりますが…簡単にはしっぽは出さないでしょうね。 わたしは、更新前からの継続参加としますね。 なにか事前に仕掛けたとかは、まだ未定ですが…
No.4
サイラスだ、よろしくなー とりあえず継続で何か仕込むか更新後各襲撃箇所を見て回るか出来ればなと? うっかり何かこぼしたままで足跡から逃走方向、その後そのあたりで目立つものなかったか聞き込みとか何かしらの足跡を辿る手段が継続はいいんで無いかなぁ?とは考えてる あんまり変なことはできんが
おじさんは更新後改めて受けたことになるかな。 色々とすり合わせできると幸いー!
>相手は相当建物内の構造を理解して行動 考えられるのは内通者か、双波(捜波+探波)か宗波(捜波+探波+感波)による内部の人員と構造の把握でしょうか。 内通者の場合、天秤の位置等を知るほど信用を得るには時間もかかるでしょうし、双波等で内部を把握した方が可能性は高い気がしますね……。 ただ、暗殺者の存在を考えると内部に入り込んでいる可能性も捨てきれませんね。 シーガルさんの安全については、直接的な危害ならプリズムシャドウによる位置の入れ替えで対処できないかと思っていますけど、実際にやるかは囮作戦をやるかによりますね。
ヴィルジニアさんに質問です! Q1 暗殺された賊の死因は何でしょうか? 凶器等の情報等あればそちらも知りたいです。
シーフのナハシュだ。今回はよろしく。 前回の警備を担当していたかどうかは考え中だ。やれそうなことがあればって感じだな。 シーガル囮にして釣り出すのは面白そうだ。襲撃の備えもいる分情報収集とは分けてやる感じになるか? 大掛かりかつ手勢も大勢いたとなれば準備段階で色々残してる可能性は高そうだ。そっちからいくのも在りだと思う。 商会の内部構造や警備体制は、仮に盗んだ相手がタオ商会であったなら前回の依頼時にある程度把握している素振りではあったな。 ヴィルジニアも内通者には気を付けていただろうし、把握方法は双波などによる把握が主と思う。 ……が、もし前任警備者の中に内通者がまぎれていた場合、契約期限や屋敷の構造、警備体制のどれも筒抜けだった可能性はあるんじゃねえか?もしくはこの警備以来の期間を聞きに来た冒険者なら何時切れるか把握できる可能性は高い。此処はちょっと確認をとってもいいんじゃねえかとは思うがどうだろな。
質問だね。なになに……。 Q1 暗殺された賊の死因は何でしょうか? 凶器等の情報等あればそちらも知りたいです。 A1 死因は失血死。 鋭い刃物で喉を掻き切られて絶命していたそうだよ。 口封じだろうとは思うが……忌々しいね。
失血死となると潜り込んでる可能性が高いのか…。 皆どういう風に捜査する?それと、囮作戦をするかどうかだね。
囮はともかく、シーガルさんから話を聞くのも必要ですね。 似顔絵?とか描ければいいのですが、、挑戦してみましょうか。 囮については、スケープセイントがあれば、少しは保険になりますかね。 事前の罠?ですが、匂いのついた粉とか撒いておいて、誰かが超嗅覚で追うとか?途中まではたどれるかな?とか。
回答ありがとうございます! 暗殺者が潜んでいるなら、見つけ出すためにも囮作戦をやった方が良いと思うのですがどうでしょう? わたしのプリズムシャドウとリサさんのスケープセイントがあれば調節的な被害は防げるでしょうし。
おっと御礼を忘れていた、ヴィルジニアくん、ありがとう! 安全策がしっかりとれるのなら囮作戦には賛成だ。 おじさんは最初のペラペラ言った通りの細かな調査をしてみようと思う、 前提として具体的な方策に従うことにするよ~!
それでは、プリズムシャドウを持っていきますね。 それと、襲撃者が来たときの連絡用にテレパスを持っていこうかと思うんですけど、どなたか余裕があればテレパスをお願いできないでしょうか?
とりあえず、犬の真似事してみるのと、モンタージュチャレンジと、囮の協力で必要時のスケープセイント、を行いますね。
建物内部の資料の精査しつつ、 ヒーラーとしてシーガル氏の治療にもあたるから、 そばにはなるべく居ようと思ってるよー! テレパス持っていくね!
ありがとうございます!