【樹謂】消えた民、現れる入り口【想送】

狐野径

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シナリオID:2412

オープニング

●訪問者
 フィルエス大森林、夜天(リシルド)の里に作られた仮本陣。
 『灰火の守部』グレイオンスは帰り支度を始めていた。
 状況にめどが立ってきたこと、帰りの足となる馬車もあることなどが理由だ。

 そこに来訪者があった。
 夜天の系統の一つの氏族の長。
「申し訳ないのですが、グレイオンス殿の知恵を拝借したいのです」
 グレイオンスは応じる。
 席に着くと彼女は早速要件を切り出した。
「フレイヴァルツ氏族の里についてなのですが」
 世界樹がイダ・バルタスを警戒して力を蓄えようとし始めたころに、その氏族は一人残して全員失踪している。
 世界樹が語る言葉から、そこの氏族の失踪も大森林各地に発生したダンジョンと同じ性質ではないか、と推測が立っていた。
「現在、世界樹が力を取り戻し、森に出現したダンジョンは消えました。そこに巻き込まれていた人々の遺品などが現れたと聞いています」
 グレイオンスがうなずくと、長は話しを続けた。
「そこの里を見に行った人の話によると、遺品はありませんでした。それだけでなく、光り輝く木に一人引き込まれたとのことです」
「エーテルの澱みが発生している、と?」
 グレイオンスの確認に長はうなずく。
「つまり、あれは世界樹の影響とは別だったのか、それとも……不測の事態が発生しているのでしょうか……」
「調査をした方が良いな」
「やはりそうなりますね。知恵を……というのは口実で、依頼出しに来ただけですね、これでは」
 長は苦笑した。
 グレイオンスが少し考える。
「世界樹の影響で二年前にダンジョンがあった可能性はある。光る霊木とあるならば、エーテルは集まりやすい性質があるのか」
「ええ、そういうことになります。又聞きですが、祀っているもの、になっているはずです」
 氏族が消えた後も、動物や鳥などはそこを避けている傾向はうかがえた。
 何か嫌な雰囲気があったのだろうか。
 そして、今回見に行った人々も、動物や鳥は見ていないという。
 その上、ダンジョンの入り口ができていた。
 どちらが先かはわからないが。
 グレイオンスが渋面を作る。
「入り口が復活したのは……世界樹の影響か」
「そう考えてしまいました。……異変は収まり状態は落ち着いていたところに、世界樹が力を注いだことで霊木の力も戻りましたが、澱みが生じてしまったのかもしれない、と。推測ばかりではいけないですよね」
「そうだな。見張りは?」
「させております。例の里の近隣の者とも連携は取ってます。今のところ、被害は拡大していません」
 不用意に近づく人がいれば影響が増す。
「わかった……」
 グレイオンスは言葉を切り、少し考える。自分が住む里にも相談者が時折来ていることを、馬車で物資をここに運んできた者に聞いていた。
 そうなると、この長と違うルートでフレイヴァルツ氏族の里がらみの情報は来ている可能性がある。
 グレイオンスはここから直接依頼を出さず、本来の居住地の里で情報集約をしているだろう里長宛に手紙をしたためることにした。
 情報をまとめてくれる方がいいだろうと考えたからだ。

●情報の集約
 グレイオンスの住む家がある里。
 縁があってここにとどまっているウル・ヘルバは里長からグレイオンスの手紙を渡された。
「あ、今出そうとした依頼と同じゃねぇか……」
 ウルは束ねた書面と取り出して、内容を確認することにした。
「たぶん、これは、この長の言っているのと同じだよな……あまり変えなくて大丈夫そうだが……」
 ウルはぶつぶつ言いながら、依頼書の内容を確認した。

 フレイヴァルツの里の民の失踪も、世界樹の影響の可能性が高いととらえる人が多かった。その結果、念のために見に行った人たちがいた。
 近くの里の住民と、夜天系統の氏族でフレイヴァルツと交流があった氏族の者たち。
 単独で行ったか、最初からまとまっていたかわからないが、とりあえず、一行は里に到着し、確認を行ったのだ。
 途中、鳥や動物の姿がないため、異変が続いていると考えたが、生き物は移動するため、また別の話だと一行は考えていたという。

 里の状態は住民がいないまま朽ちていくという風体。
 また、捜索をするけれども遺品などは発見できなかったという。

 光り輝く霊木は変わらない。それは安堵か不気味かは捉え方だ。
 真新しい発見もないまま一行は帰ろうとした。
一行の中の一人のエルフがふらりと霊木に近寄った。
「どうしたんだ」
 と、誰かが声を掛けたという。
 帰ろうというのに、無言で踵を返すというのが不自然だったからだ。
 声を掛けたけれども、霊木に追突するように、一人消えた。

 一行に緊張感が走る。
 追いかけるとしても被害者が出る危険が大きい。
 また、どこで引きずられるかわからないため、一行は離れた。
 そして、見張りや周辺への警告など、分担をおこない離れた。
 現在のところ、被害者が増えた、という情報はない。

 実は、ウルのところにはもう一件相談が来ていた。
 以前、その里に嫁いだ孫娘と尋ねた息子が失踪に巻き込まれているという親族の者からだ。
 世界樹が力を取り戻したということならば、そこに何か手がかりがあるのではないか、と考えたらしかった。
 かといって、何があるかわからない場所だし、情報が不足している。
 だから、代表者がグレイオンスを訪ねてここに来ていた。
 不在だから、代理の者が話を聞き、依頼として出すことを約束したのだった。

 そして、ウルが依頼をどうすべきか考える状況になる。
 ウルは眉間にしわを寄せる。
「んー? 世界樹由来じゃねぇってわけではないのか……グレイたちの推測だと」
 最初の失踪自体も世界樹が力を蓄えるためのダンジョンの影響だったと考えている。さらに、霊木というエーテルが絡むところが入り口となった。
 多くの人を飲み込んだ後は、落ち着いていたようだけれども、
 元からエーテルが集まりやすい性質があったとして、世界樹が力を取り戻した瞬間、そこに力が集まり澱みが生じた……という事らしい。
「……ややこしい」
 ガシガシと頭を掻いた。
「とりあえず、だ、ダンジョンはダンジョンなんだよな! で、行方不明者が出てるんだ」
 このような状況であるため、依頼は「行方不明者の捜索」に絞った。
 遺品探しをしている状況ではない。
 ダンジョンが発生しているならば、それを壊さないとならない。

解説

●目的・目標  ダンジョンに消えた人の捜索。  ダンジョンの構造の確認。 ●里の様子  里の建築は木造、大森林の恵みを受けて作られているものである。  無人となり時間が経っているため、里全体は自然に戻ろうとしている感じである。  建物内の状況は、何かに驚いて逃げたというようなことはあるが、激しく争ったような跡はないようだ。  霊木は光り輝く木。そこがダンジョンの入り口になっているらしい。 ●ダンジョンの様子  光源はない。  中に入ると緩やかなカーブの続く通路が続く。  横幅や天井までの距離はそれぞれ五メートルほど。  一定範囲進むと、広い部屋に出る。  そこには何かを喰らうヒトのようなものに出会う。  その先を進むならば、カーブが続くことになる。  ※捜索範囲や敵の状況があるため、コアの破壊をするのは次となる。 ●何かを喰らうモノ  大きさはヒューマンやエルフくらいの人型。  数は10。  冒険者が部屋に入った時点で襲い掛かってくる。  近くにいる者をかみ砕こうとする。特殊な力はないようだけれども、頑丈かつ俊敏。

マスターより

 こんにちは、狐野径です。  唐突に【想送】なる連作を始めることになりました。「そうそう」と読みます。  関連シナリオは『消えた民、里にあるもの』だったり、【樹謂】のイメージノベルの部分だったりしますが、特に気にしなくても大丈夫です。 解説の「目的・目標」にある通りだからです。  一応、関連NPCにグレイオンスとウル・ヘルバつけております。リプレイの時に話をすることは可能です。  よろしくお願いします。

リプレイ

●里の様子
 エヴァン・ピオネロは依頼を受けるにあたり、里の状況を知っている人に情報を求めた。
 二年前については、一人の少女を残して住民が消えたことはわかっている。それに、動物や鳥の姿も見当たらないため、近くの里の民は調査は最小限にして、近づかないようにしていたという。今思えばエーテルの澱みからダンジョンが発生していたという可能性を推測できる。
 住民の人数など詳細については、難しい。おおよそ何人くらいはわかっても、内訳は把握できていない。周辺の里とは良好な関係だったという。
 なお、失踪について去年、冒険者による調査があった。何かから逃げた雰囲気はあるものの襲撃をされた感じではないという。あいまいなものであり、情報は不安定だ。
 今回あったフィルエス大森林の大異変に対して、世界樹が関与していると語った。それにより、ここの民が消えたのも、世界樹の影響の一つではないかと捉えるようになった人が多くなる。
 その結果、今回近くの集落などからここに調査に来て、行方不明者が出たというのが経緯だ。行方不明者について名前だけでなく外見の特徴など細かいことも分かった。
「中の様子がわかりませんから、注意して進まないといけないですね」
 だから、依頼人も調査対象を絞り、今回行方不明になった人にした。
 中の光源がわからない。そうなると、何か燃やして光や熱を得ている可能性はある。
 どういう点に気を配るか検討した。

 エルは霊木の情報を聞き、なるほどと思う。
(エーテルが集まりやすいって、厄介、です、ね)
 エーテルが澱めば空間がゆがむ、そして、ダンジョンが形成されれば、被害が出る。
 引き込まれるだけでなく、何等かで生じた魔物などが外に出ることだってある。
(だから、霊木にして、気を付けるようにしてた、の、かな?)
 ここの由来を知る人がいるかどうか、記録が残っているかどうかで答えはわかろうが、現状は難しい。前回入った調査で族長の家など情報は入っているから調べれば出てくるかもしれないが、ついこの間行方不明になった人がいるので、優先すべきは人命だ。
「一応、周囲を見ていた方がいい、です?」
 問題はダンジョンであるけれども、何か手がかりがあるかもしれない。
 念のため、里の状況やその周りを見ておくことにした。
 建物の朽ち方や草の生える勢いを感じる。
 人が住まない里の悲しみ、か。
 動物や鳥の気配はなかった。

 アーテミシアはダンジョンに挑む前に下準備をしている仲間を待つ。
 中が暗いだろうことは考えてあった。
「暗視で視界を確保して、守る……だ」
 今は体力を温存しておく。

 アラン・スミシーは情報からわかるものなど、考える。光る木を見て「世界は広いよな」と思う。
 調べものをしてきた人たちが来たところで「そろそろ、出発だね」と声を掛けた。

 ダニエル・ヘリントンは「英雄への道の第一歩だ。頑張るぞ!」とやる気に満ちている。
 光る霊木を見て「これが入り口になっているんですね」と恐る恐る触れた。

●ダンジョンの様子
 霊木に近づくと、風圧を感じた。
 一瞬で周囲の景色は変わった。
 ダンジョンの中は、光が差さない。
 視界を確保してみれば、天井までの高さ、通路の幅は一定のようだった。
 道は真っ直ぐではなく、緩やかに曲がっているようだった。

 エヴァンは地図を起こすという事から、通路の分岐から分岐など歩数による距離をとらえていこうとしていた。それと同時に、閃光塗弾を解体し、中の塗料を用い、一定毎印をつけていく。
 もし、ダンジョンに何か仕掛けがあってそれが動いた時、推測や把握がしやすくなるだろうと考える。
「カーブしているだけなのでしょうか?」
 緩やかに曲がっているからこそ、仕掛けがあったとき、大きく変わってしまうというかもしれない。
 ただ、どういう仕掛けがあるかなどダンジョンに対する知識が思い出せないでいた。

 エルはエーテルリンクできる栗鼠のリルも、狼のウィルも今回はいない、ということを意識する。そのため、自身の意識を研ぎ澄まし、調査も戦闘も行うことになる。
 通路を行く際は位置感覚を意識し、歩数を以て自分の位置を測っていく。レターセットに大体の道筋を描く。地図を描いている仲間はいるため、必要なところは統合できればいいだろう。
 緩やかなカーブという事で、進みにくい。
 時折、エルは先行し、確認を行う。
「この緩やかさが、感覚を崩させる、かもしれない、です」
 道の幅や天井の高さは一定であるため、より一層感覚が鈍りそうだ。
 さらに通路の色合いも、暗い茶や緑が混ざり合ったようなものが続く。不安定な感じがまた一層気持ち悪い。
「森、といえば、森、です?」
 ダンジョンが場所が大森林だと考えると森の雰囲気は納得できた。

 アーテミシアは集団の前を位置取り、暗視で周囲を見渡す。
 横に並んだり、前に出るエルからの情報も得ることで、注意すべきところを考える。
「延々とこれが続くのだろうか」
 変わらない風景は集中力を保つのは難しくする。
 それだからこそ、周囲の状況には気を配った。

 アランは移動中はマッピングに注力する。
 今回、ダンジョンコアが破壊できればいいが、広さがわからない以上、一旦態勢を整える必要が出てくるかもしれない。
 そうなれば、自分たちでするにしても、適宜誰かがするにしても、地図情報は必要になる。
「エヴァンくんが測る距離やつける印も生かして書いておくぞ。あと、他の人も何かあったら言ってほしい」
 なお、手の左人差し指に発光をかけていた。手元が特に明るくメモを書きやすい。
 なだらかなカーブが続く。先が見えるようで見えない緩やかさ。
「道は入り組んではいないみたいだね」
 一定方向に曲がっているということから、地図は円を描いている。
「これでいいのか、だんだん不安になってくるかもしれない」
 角を曲がるとか、直線の道の方が地図を描く際はっきりすると気づいた。

 ダニエルは探索中、誰かの荷物など落ちていないかを注視することになる。
 エヴァンやエルは道の状況に注力するため、おろそかになるのが持ち物の確認だ。大きなものならだれも見落としはしないだろうけれども、イヤリングの片方など小さなものはわからない。
 頼まれるとダニエルは「がんばります」と笑顔で答えた。
 進んでいく中、それらしいものは落ちていなかった。

 一行は慎重に進んだ。
 緩やかなカーブは少し強くなってきているような感覚がある。
 時折、エルが先行し状況を見てくる。
 エルが「この先、部屋になっています」と告げる。
「それと、動くものが10体ほど、います」
 部屋の広さはそれなりにあり、戦うには問題ないという。
 ただ、敵の状況を見るには少し時間がかかるということもあり、全員で向かい、様子をうかがう。

●敵
 到達した部屋の中はそれなりに広いし、さらに道もあるように見えた。
 動くものは何か、今一つわからない。何か音は立てている。
 だから、一行は、近寄り、入り口の陰から確認する。相手は気付かない様子だ。

 エルは「人の姿のよう、なん、です」という。見るだけでなく【捜波】も用いた。
 暗視を以てアーテミシアは動くそれを把握しようとする。
「……何を食べているのか?」
 エヴァンは超嗅覚で嗅ぎ取ったものから、臨戦態勢を取る。
「血の匂いですよね……」
 アーテミシアはうなずき「蹴散らす必要があるな」と、竜骨の戦槌とシールドガントレットを使える状態にし、前に出た。
 ダニエルは仲間が伝えることから何がいるか理解していく。よく目を凝らし見ると、確かに人のように見えた。
「うわっ、敵だ!」
 思わず声がついて出た。
 それらは冒険者の存在に気付いた。
 ゆらりゆらりと立ち上がるとした動きでこちらに向く。
 アランは思わず「おっと、おじさん、注目されてる?」という。
 人のような姿のそれらは、光に反応しているのか、顔をアランに向けているように見えた。
 ただ、顔の中はよくわからない。
 アランはマッピングから戦うための準備を整えた。
 エヴァンは人の姿をしているそれの推察を口にした。
「もしかしたら元里人……?」
 エルもうなずくと「関係あるかもしれない、です。だから、観察したい、です」という。
「うん、そう考えるのもわかるかもしれないね」
 アランは今は緩やかな動きの謎の物を見ていた。
 ダニエルが「え? そんな!?」と驚く。
「もし……人ならば、戻せないか試したいです」
 エヴァンの言葉に一同は考える。
 ただ、どうすればいいか、考える余裕を相手がくれなかった。
 突然、素早く動きだす。
 アーテミシアははっきりと告げた。
「こっちに来るなら受け止めるが、観察する余裕があるかどうかはこれからだな」
 敵の強さがわからないため、こちらの思惑が通用するかはわからない。
「だから、まずこうします」
 エヴァンは【アーケインストリーム】をそれらの行く手をふさぐように、自分たちを囲むように立てた。
 こちらの攻撃の主体が飛び道具や魔法という事を考えての行動。
 アーテミシアは空間を抜けてくるようなものを押しとどめる。
 アランは【堅甲2】をまずアーテミシアにかけた。

 近づいてきたそれらは人の姿はしている。しかし、形が人であるだけで、陰の塊のようである。さらに、頭髪があるわけでも衣類を着ているわけでもない。
 エルが「魔物、です?」とつぶやく。
 元里人ではないという点では安堵する。一方で、これが何かを喰らうという事は、人とは相容れない存在の可能性が推測できる。
 アランが「悪い子だねぇ! 皆やるぞー」が声をあげた。もし、自分たち以外に人がいればその護衛も考えてはいた。今のところ、動くものは自分たちと敵しかなかった。気になるのは、あれらが群がっていたところにあるものだ。近づくには敵をどうにかする必要があった。
 ダニエルが「皆さん、僕は回復で援護しますのでよろしくお願いします」と言い、後方に下がる。
 アーテミシアは「攻撃するぞ」と宣言した。向き合った相手は、魔物だろうと認識を持つに十分だった。
 エヴァンはうなずく。相手を拘束する方が危険が大きい。
「攻撃いつでも行けます!」
 そして、本格的に戦闘が開始された。

 アランは「輝刃、掛けるから」とエルに告げた。
 エルはそれがかかった時点で【炸光矢2】を放った。
 複数の敵が巻き込まれたが、よろめきも動じもせずこちらに向かってくる。
 エルは必要なら前に出ることを考えるが、現状は後方から矢を放つことに専念する。
 エヴァンは【メテオライト3】を放った。手ごたえはあるが、それらは歩みを止めない。
 アーテミシアは近づいてくる敵に対して【衝撃刃3】を使った。
「結構固いな」
 攻撃が重なっている敵もいるはずだが、倒れる気配がない。
 ダニエルは待機し、必要な時にヒールができるようにしておいた。

 アーケインストリームがあるため、それらは簡単に冒険者に接敵できていない。
 それでも近づけているものは前にいるアーテミシアを狙う。
「このくらいならば、どういうこともない」
 しっかりと受け止める。
 それでも、敵の多くが離れているうちに減らしたいところではある。
 エルは引き続き【炸光矢2】を使う。
「ようやく、手ごたえが出てきました」
 一体が倒れ、霧散して消えた。
 アランは【輝刃2】をエヴァンに用い、エヴァンは【メテオライト3】を放つ。
 ダメージが積み重なったものがまた一体と倒れて消える。
 アーテミシアは目の前に来た敵を戦槌でたたく。
 ダニエルは仲間の状況を確認しつつ、敵の動きを見て、どう来るか戦術的なことを考える。

 何かを喰らっていたそれらは、冒険者に攻撃を仕掛ける。
 それなりに近づいていてこともあり、アーテミシアだけでなく、前気味のエルにも向かう。
「回避、できるといい、です、けど」
 ペットがいないことは不安だったが、何とか回避はする。
 アーテミシアは受け止めるが若干ずつダメージは重なる。自分で回復魔法を使うタイミングを計り始めた。しかし、アーテミシアにダニエルがヒールを使ったため、攻撃の手は緩まなかった。

 数では勝っていた敵であるが、連携をし攻撃してくる冒険者を前に数を減らしていく。
 そして、この部屋のすべての敵が消えた。

●部屋の様子を
 先ほどの敵が喰らうようにしていた場所に、一行は向かう。置くに行くにしても、確認しないと進めない。
 それは人の姿をしていた。
 衣類はちぎられ、真紅になり、部分的にはどす黒く染まっている。
 保護を頼まれていたエルフだ。
 死を迎えているのは明らかだった。
 念のため、先を見てから戻ることもあり得るが、あの「何かを喰らうモノ」はいる危険はある。そうなると探索を続けるにはリスクが高かった。行方不明者発見が重要なため、ここで引き返し、その遺体を運び出すことになる。

 部屋の中には何か落ちていた。それは部屋の外、また曲がっていく通路の方にも落ちていた。
 衣類の切れ端や、骨のようなもの。
「集落の人の物、でしょう、か」
 エルはスカーフのようなものを拾い上げる。
 エヴァンは「持って帰りましょう」という。
「何か手がかりになるかもしれません」
 この里の住民か、また別の被害者かなどはわからない。それでも、これを持ち帰ることは情報を得ることにつながる。
 部屋を探索するには、分担した方が速い。
 アーテミシアが「オレがここで見ていよう」と言う。
 見つけた人を見ておくだけでなく、ここに何か来た時気づけるように。
 アランはうなずく。
「できるだけ早く集めようか」
 それなりの数の誰かの物と思われるものが集まる。
 奥には誰がいるのだろうか?
 何がいるのか?
 耳をすませば音はするように感じられる。
「では、戻りましょう」
 ダニエルは荷物を抱えた。

 帰り道、ダンジョンの構造の変化はなかった。
 また、奥にいるかもしれない何かを喰らうモノは追ってくることもなかった。
 外に出て、近くの集落の人たちに遺体を引き渡す。
 回収した品物を明るいところで検分する。近隣の里の人も含め、その品物を見る。
「たぶん、この里の人の物だと思う」
 見つかった物は日常生活で使う代物である。つまり、これらを持ったままダンジョンに引き込まれたかもしれない。人はそれを手放し、そのまま歳月が経った。
 そして、相変わらずダンジョンはそこにある。
「しばらく、注意して見張ります」
 見張りを引き受けている里の者たちは言った。

 冒険者たちは冒険者ギルドには地図や調査状況の報告を入れることになる。
 グレイオンスを通じて夜天(リシルド)のある氏族の族長は調査報告を聞いて、冒険者に礼を述べるとともに「一つ、進んだんですね」と寂しげな笑みを見せるのだった。失踪の原因の一端を知ったことに他ならないから。

マスターコメント

 ご参加ありがとうございます。  段取りとダンジョン対策の対策により、問題なく部屋があるところまでやってこられました。そして、被害者の発見や巻き込まれた人の物と思われるものも発見できました。  なお、プレイングに記載あっても装備にないスキルは活用できませんので、ご注意くださいませ。  念のために記載するならば、被害者の状況は当初より、死亡確定でした。判定で決めた際、食われているのに生きているのはきついです。判定にかかわる流動的なものは他の部分にあります。  フェレットにかじられて離されないときの痛みなんてものじゃないでしょう。  次回は解決できる……という事になってます。もちろん、あれがああなってそうなると、あれですが。  ご縁があれば、お会いしましょう。
ショートシナリオ

ショートシナリオ普通 報酬:標準5 / 4〜8人

2022年08月28日 17時39分48秒 公開

成功

相談掲示板

  1. エル

    エル、です。…シューター、です。 どうぞ、よろしく。 とりあえず、ダンジョン探索、です、ね。

  2. アラン・スミシー

    ヒーラー、アラン・スミシーだ! そうだね、ダンジョン探索となるねぇ…… 灯りをつける役割はお任せあれ~!

  3. アラン・スミシー

    人数が揃えば明日出発になるから、とりあえずおじさんの やりたいこと並べておくね~! 発光と天眼併用してダンジョンのマッピングをしつつ 人探しを進めていくね。 ミイラ取りがミイラになったらいけないからー。 戦闘になった場合、ヒーリングとバッファーとしての動きは 一通りするつもり! 暗視を持てる子は持っていてくれると助かるってところかな~!

  4. アーテミシア

    ショージキ揃ったほうが問題だが・・・オレは暗視しながら殴り倒すだけだな

  5. エル

    >揃ったほうが問題 そう、ですね。 相手、数も多い、ですし。 わたしも、前衛、に出られるようにした方が、いい、かも…? 暗視、は持っていき、ます。

  6. アラン・スミシー

    おっけーい、 のんびり構えておくよー

  7. エヴァン・ピオネロ

    キャスターのエヴァンです。よろしくお願いします。 ダンジョン知識でサポート出来たらと思ってます。 後からメテオを撃って援護しますね。

  8. アラン・スミシー

    おっと!揃ったね! エヴァンくん、アーテミシアくん、エルくん、 みんな改めてよろしく! 冷静に考えたらランタン持ってたらペン持てないから 灯りは発光で付けて紙でマッピングすることにするよー。 エヴァンくんのダンジョン知識と併せて簡易的な地図が作れるといいかな、 自動生成式だんじょーん、とかだとお手上げになるけど、 帰り道が誰にでも分かるに越したことはないし。 あとヒーラーだからまぁ後衛はお任せあれだ!

  9. アラン・スミシー

    あと、広い部屋に出ると確定でやばーいのに出会う見たいだから、 可能ならそこに入る前に全員に防御と攻撃バフ入れておくねー。

  10. エル

    エヴァンさん、よろしくお願い、します。 これで、出発でき、ます、ね。 わたしも、前に出られるようには、してみ、ました。

  11. ダニエル・ヘリントン

    僕の名前はダニエル・へリントン。 ヒーラーです! デビューしたての未熟者だけど頑張ります! 戦闘になったら『ヒール』と『サイドヒール』を使って皆さんの援護に回ります。 よろしくお願いします。

  12. エヴァン・ピオネロ

    アランさん、またご一緒ですね。 エルさんもヨロシクお願いします。 道にはマーキングするとしましたので、多少は迷子防止になるかと。 全体に急ぎ行動を決めてるので被ってる点がありますがご容赦下さい。 後ろから頑張りますね!

  13. エヴァン・ピオネロ

    発言被りましたーー! 初めましてダニエルさん、宜しくお願いします。

  14. アラン・スミシー

    ふふーんエヴァンくん、ご縁があって嬉しいよ! ダニエルくんもよろしくー! こちらは次にコア破壊するために、頼りになるか分からないけど 要救助者探しながら地図作りするつもり! 時間ギリギリだから、プレイング気をつけてねー!

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0