貴方と過ごしたい泥中のひと時☆

広大野人

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シナリオID:2299

オープニング

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 シャルガネ居住区の隅、コゴウジ家を主とする集落で今、一つの問題が発生していた。
「……堤防が低いでござろうか」
 リィミア・コゴウジが集落の脇を流れる川を眺める。
 正確に言うならば、堤防が低いというより底に堆積した土砂が原因で相対的に水面が上がったというべきだろう。
「川底を掘るのも結構な労力だZE」
 絡繰り師ゲンナイが疲れ切った様相で応える。
 ここ連日、絡繰りを使って何とかならないかと工夫していたのだが上手くいかなかったのだ。
「雨量の多い季節が来る前に何とかする必要があるでござるな」
「だけど、堤防を積み上げる余力も集落には無いし……いっその事、放水路を作った方が早いんじゃ?」
「……」
 放水路を作ると言っても、一から作るとなると堤防を作る労力と変わらない。
 なにより、土地のスペース的な問題も生じる……できれば既存の設備を使いたい所だ。
「ゲンナイ、確か使わなくなったため池があったな?」
「あー。ただ、ヘドロが溜まっているし……あ。もしかして……」
「ため池の水を抜いて、堆積した泥を片付ければ、遊水池として使えるでござろう」
 元々は農業用水のため池として川の反対側に造られたものだ。
 取水装置が壊れてしまった為、使われなくなった経緯があるだけなので、堤体もしっかりとしており、万が一、決壊しても集落には直接的な影響はない上に洪水吐の先は廃水路だから、整備し直せば、新たに放水路を作る必要もない。
「なるほど! つまり、ため池から水を抜いて泥を出し切っちゃえば良いって事か!」
「堤体や廃水路の整備は、集落だけで何とかなるでござるからな。広大なため池の泥を片付けるのは……集落総出な上で冒険者達にもお願いする」
 文字通り、泥だらけになるだろうが……依頼であればやらねばならないというものが冒険者というものだ。

●
 ゲンナイが造った絡繰りにより、ため池の水はほぼ抜き切った。
 予測していた通り、池の底は泥だらけだ。
「そういえば、回収した泥はどうするんだZE?」
「あぁ、使われていない畑があるでござろう。一先ずは、そこで天日干しだ」
 泥を回収、運搬する為に必要な器具や台車は用意できているので、後は冒険者達の到着を待つだけだ。
「……それにしても、今日は特段に暑い……。気を付けないと倒れそうだZE」
 ゲンナイの言葉にリィミアは空を見上げた。
 天気が良いのは幸いだが、容赦ない日差しが降り注いでいる。当然の事ながら、池の底で日除けの布を張る訳にはいかないので、冒険者達は暑さ対策をしながらの作業となるだろう……幾ら、頑健な授恵者と言っても人であるのだから。
「一応、休憩スペースも作っておくでござろうか。万が一、体力を消費しても授恵者なら回復も早いだろうし」
 プライバシーに配慮して個別の天幕を準備するかとリィミアは思った。
 疲れ切った仲間を介抱したいという冒険者もいるだろうし、作業後には温泉もいいかもしれない。一緒に汗水流した仲間とは絆もより深まるというものだ。

解説

●目的 遊水池の整備 ●状況 ため池の泥を『回収し廃棄場所への運搬等』が主な依頼内容となります。 それらの行動については、各自、プレイングやスキル等を考慮した『一般判定』にて行います。判定は成功する度に、難易度が上昇していき、失敗した時点で判定は終了します。 全員の成功回数の合計が達成度に影響致します。 なお、『回収し廃棄場所への運搬等』以外の行動を行っていたとしても、参加者全員、判定させていただきます(リプレイで描写されていなくても判定は行われています)。 ※補足※ ・泥の浄化は求められておりません ・できれば水着着用がおいし――服装は自由ですがゼンラは禁止です ・泥の中に鰻に似た生物がいて水着や服の中に侵入してくるかもしれません ●つまり……何の依頼なん? 当シナリオは『遊水池の整備』という名目で、泥んこ遊びしたり、華麗な台車運転を見せつけたり、珍しく体調を崩した仲間を愛おしく介抱したり、休憩の一幕で弁当を一緒に食べたり、作業後に露天風呂付き離れで温泉に入ったりして、冒険者達の絆を深め、思い出を作るシナリオです(ソロ参加を否定しているものではありませんので、ソロの方も歓迎しております)。ただし、描写には限界がありますので、行動は絞った方が良いと思います。 ●同行者がいる場合 プレイングで『互いに相手を明記』するか『【タグ】で統一』するようにお願い致します。 ●NPCとの交流について ジード及びソーン・クリエの幹部達とオルセン太守コンラートは立場上、参加できませんが、それ以外の当MSが管理する登録・非登録問わずNPCを呼ぶ事ができます。時系列的に……という所は冒険者の皆様がシナリオに参加する形と同様に対処させていただきます。 なお、友好度に応じて、各キャラクターへの対応に差異が生じるのはご了承下さい。 ●質問 何か悩まれる際等、質問を可とします。 エクエスが頑張って回答します。ただし、回答は判定や描写を保証できるものではありませんので、参考程度にして下さい。

マスターより

 おはようございます。当依頼にて47作目となった広大野人です。  最初は集落を守る為に池の底に隠れ潜んでいたクリーパーを皆で倒すという真面目(?)なイベシナを予定していたのですが……どうしてこうなった。  もちろん、真面目に泥を回収しても良いですし、何故か泥回収に付き合わされるNPCと絡んでも良いです!  仲間達と作業を通じて仲を深めるのも良し、恋人同士でイチャラブしても良し! という日常シナリオの延長みたいな形で参加していただければと思います。  なお、プレイングの行動内容によってはアドリブ多めになる場合もご了承下さい。

リプレイ

●
 容赦なく降り注ぐ陽の光の中、サイラスは汚泥の塊に向かって術を行使していた。
 狙うは池の底の中でも幾重にも積み上がって重くなった頑固な泥。一度、空気を入れる事ができれば、回収も多少は楽になるかもしれない。
「果たしてどこまで通用するか、だな」
 例えば、相手が生物であれば、あるいはクリーパーならば、ダメージを積み重ねて倒す事ができる――が、相手は物言わぬ泥だ。
 鳥獣戯(けもののたわむれ)を放つとワイバーンの一種である紅玉竜が出現、泥の中に見立てた目標を粉砕する。
 衝撃により泥が飛び散り……泥だらけになるサイラスではあるが、当然のようにそれで怯むことはない。
 一方、魔法が直撃した部分は深く抉れていた。
 ゆっくりとであるが周囲の泥が流れて来るのを見て思う。
「……なるほど。寄せる、というのも手の一つか」
 強力な魔法攻撃の衝撃で泥を一か所に寄せてしまえば、泥の回収は効率的だし、予め大きいタライを敷いていけば、わざわざ盛り入れる必要もない。
 サイラスは今一度、体内のエーテルを練る。
 万力鎖から撃たれた魔法は、魔獣のようなものを呼び出し、エーテルの濁流を発生させた。直線状に放たれた圧倒的な力は、泥を左右に押し出した。
 いささか荒っぽい作業だが、堤体に影響がなければ問題ないだろう。
「泥を集め、荷馬車に乗せて運ぶ。エーテルが尽きた後は、完全な土木作業になるか」
 適度な筋トレになるかもしれないと思いつつ、作業に集中するサイラスであった。

●
「いちいち台車で運ぶより、一度に荷馬車で運ぶ方が楽に決まっているだろ」
 泥を詰めた桶を手に持っている集落の人々に向かって、得意気にベルク・オスマットが告げる。言われれば確かに、台車よりかは早く済むはずだ。
 台車は小回りが必要な所に回し、ベルクは泥を大量投棄できる場所へと運搬する役目に専念する事にしていた。
 その為に、強面の力強い黒毛の大馬(ベルク=ターク)も連れてきているのだ。
 頼もしそうに、力の満ちた瞳を輝かせて、愛馬は準備万端だ。荷馬車の方も大き目な布が敷いてある。
「この布は何に使うので?」
 集落の一人が不思議そうに尋ねた。
 荷台に敷かれている何枚もの布。しかも、水を通しにくいように加工してある布だ。
 ベルクは布を触りながら応える。
「廃棄場所に到着したら、布ごと引っ張って降ろした方が早いだろう。その上に荷台の汚れも抑えられる」
「なるほど、そんな手段が」
 質問してきた集落の一人がいたく感心した。
 荷台に泥を載せる事は想定していたが、降ろす事まで考えていなかったようだ。
「皆はどんどん、泥を積むのだ。我が運んでいこう」
 同時に愛馬も唸るように息を荒くする。
 こうして、ベルクは次々に泥を運び出す作業に専念するのであった。

●
 殺人的な熱線を放ち続ける太陽に対し、アルマ・ヴァレンタインはバンダナに水を掛けるなど対策を行いながら、泥を掻き集めていた。
 これまでの経験も活かしながら、アルマが手にした桶を泥の中へと突っ込むと――何かヌルリとした細長い生物が泥の中をスッと動く。
 試しに掴もうとしたが、あっけなく手から逃れてしまった。
「すっごい滑るよ! この鰻っぽいの!?」
 いつの間にかに回り込まれてしまったのか、背後から突如飛び掛かってくる泥鰻(仮名)。
 けれど、アルマは冷静だった。
 泥鰻の襲撃に対し、バランスを取りながら避けると、球体状の水滴を飛ばす。
 それだけで泥鰻はあっけなく吹き飛んだ。
「……珍しいのかな?」
 周囲を見渡すと集落の人々が悲鳴のようなものをあげている様子が見られる。鰻っぽくない顔付きも合わさって、所謂『ゲテモノ』的な扱いなのだろう。
「これは、かば焼きを試さないと」
「あれ、食べるんかよ……」
 独り言を聴いていたのか、冒険者と同じように泥を回収している王国騎士イェルド・ルリンが何とも言えない表情を浮かべていた。
「きっと美味しいよ……って、イェルドさん、来てたんだ、円種(フシギ種)の調査以来だねー」
「あぁ……まぁ、あいつと一緒にな」
 クイっと向けた指先には後輩のエナハルト・ティルムの姿があった。
「こっちにまで足を伸ばしてるなんて、王国騎士って割とヒマ……?」
「まぁ、色々とな……。とにかく、仕事はしっかりとやるさ」
「お弁当も持ってきてるし、獲れたて泥鰻のかば焼きも作るから、食べてくー?」
「お、おぅ……」
 満面の笑みで桶を手にしているアルマの台詞に、イェルドは短く応えるのであった。

●
 泥を詰めるように袋をロープで繋ぎ、それをマジカルポケットに入れて運ぶ。
 体力を温存しながら作業を続けるエミリア・シバは、順調に泥を回収していた。
「仕事の後は、また先日の露天風呂入れるのかしら? それだったら汚れても大丈夫そうねぇ」
「依頼主の話だと、入って良いみたいです」
 隣で泥を集めているエクエスがエミリアの質問に答える。
 泥に触れたら汚れると分かっていても、エクエスの認識だと身体や髪が泥だらけになっても気にならないようだ。
「エクエスちゃん、顔に泥がついているわよ」
 手拭でサッと汚れを取るエミリア。
「ありがとうございます。それにしても、泥って結構厄介なのですね」
「そうね。定形を保っていられない上に――」
 突然飛び出してきた泥鰻に対してエミリアは冷静に避けた。
 スキルを行使して潜んでいる場所が分かっているが、泥の中は目視できないので、一般の人々は更に苦労するだろう。
「――今日はこの日差しだし、ね」
 見上げると雲一つない快晴だ。
 同じようにエクエスも空を仰ぐ。そして、陽に向かって手を伸ばした。
「……陽の力をコントロールできれば」
「エクエスちゃん?」
 エミリアはジッと剣士を見つめる。
 『光芒の神』かもしれないなら陽の力を操れるのだろうか……。
「……なんて事、できたら良いなって」
 微笑を浮かべるエクエスに思わずバランスを崩しかけるエミリア。
 冗談も言えるようになってきたという事は、まぁ、良い事なのかもしれない。
「おねえさんもそう思うわ」
 エミリアも太陽に手を伸ばしながら応える。
 せめて、もう少しだけ陽の光が弱まってくれるようにと願いながら。

●
 ルベア・ベルニが集落から借りた羽織で背中を隠し、腕を通す。フードを深く被れば、パッと見、現地の人にしか見えないだろう。
(これで、良し……)
 実は依頼の話をミア=リゼルから聞いた時、行くべきかどうか悩んだ。
 泥を回収するだけなら特に問題はない。問題があるとすれば、泥の中に生息するという鰻に似たゲテモノの話だ。
(水着の中に入ってきたら大変だしね)
 万が一にでも水着の中に入ってきたら気持ち悪そうだし、それに……一人では取れないような所に潜り込まれたら、誰かが取るしかない訳で……。
(いや、邪魔したい訳じゃないのよ)
 自分に言い聞かせた。
 今回、ミアには同行者がいるのだ。二人の時間を大切にしたいという想いもある。
(だから……私がっ!)
 グッと拳を力強く握った。
 ミアに気づかれずに脅威を排除しつつ、泥の回収も行う。一人、依頼難易度が上がったルベアであるが、やる気は十分だった。
 羽織の中で殺意と短剣を忍ばせ、いつでも飛び出せるようにルベアは意識を集中させるのであった。

 そんな状況になっているとは知らず、ミアはエナハルトと共に池の底を進んでいた。
「エナは絡繰が好きなんですよね。ゲンナイさんに会ってもらおうと思って……」
「イェルド先輩の知り合いの絡繰り師ですよね」
「ゲンナイさんの絡繰りで池の水も抜いたみたいですし、腕の立つ方なんですよ」
 池の水を全部抜くとか流石だが、本題はここからだ。
 冒険者達も集落の人々と一緒になって泥を除去しなければならない。
「ミア、泥で汚れてしまうから、着替えないと」
 自然に渡された紙袋を何気なく受け取るミア。
 流石、王国騎士。準備は万端という所か――と思って紙袋の中を確認した。
「……これ……水着では……?」
「陽の光で肌が焼けてしまわないよう、羽織れる物もあるから。一応、暑くなりにくく涼しさを保ちやすい素材だし、大丈夫だと思う」
 ――というのは良い訳で、実は他の人からミアの白肌が見られたくないだけだが。
「き、着替えて、きますね」
 水着のサイズは……とか思ったがあまり深く考えないようにして一歩踏み出した時だった。泥の中を何かが動いたような気がしたのだ。
 しかし、それは一瞬の事。
「……ん? 今、何か起きました?」
「問題はないですね」
 エナハルトの即答にミアは気のせいかと思って気を取り直して更衣室へと向かう。
 その後ろ姿を見送った後、エナハルトは変装しているルベアに声を掛けた。
「まさかご一緒だったとは。それで、なぜ、その姿で此処に?」
 どうやら、不届きな泥鰻を瞬殺した事について、エナハルトにはバレていたようだ。
「色々と、ね……ミアさんには言わないでほしいな……」
「分かりました。ルベアさんにはいつもお世話になっていますから」
 ルベアに向かって微笑を向けるエナハルトであった。

●
 日が暮れる前には作業が無事に終了し、冒険者達は旅館へと案内されていた。
 浴場にて泥を洗い落とし、湯に浸かって疲れを癒すには持ってこいだ。
「エクエスちゃんの肌っていつもモチもちね」
 背中を流しながらエミリアはそんな感想を呟く。
 だからこそ、ちゃんと身体を洗ってあげないと勿体ないというもの。
「あまり気にした事ないですけど……それに、背中って手が届きにくくて」
「身体が硬くなければ十分届くと思うけど。ほら」
 振り返ったエクエスに向けてエミリアが背を見せながら腕を回した。
「なるほどです。そのように腕を伸ばせばいいんですね」
「普段から意識してないと、分からないわよね」
 エミリアは微笑を浮かべた。
 思えば、エクエスは目覚めてから日が経過しても、人のそれと比べるとまだまだ浅いのだ。おまけに身体の方は『本体』でないから、意識する程度も違うのだろう。
「ほら、エクエスちゃん。次は髪もしっかりと洗わないと」
 そう告げて、エミリアは剣士の見事な金色の髪に手を伸ばすのであった。

●
 汚泥を除去する依頼を終えて、冒険者達は集落のはずれに建てられている温泉宿にて身体を洗い、湯に浸かって疲れを癒していた。
「うん、労働後の湯と酒は美味い!」
 ベルクが酒杯を掲げて想いのままに言葉を発する。
 運搬するだけといっても何だかんだで泥だらけにはなる訳で……おまけに太陽からの熱線はまるで肌を焼き尽くすのかという勢いだったので汗だくにもなる。
「かば焼き作っていたら煙の臭いも凄かったから、ボクも一段落できて良かったよ」
 口元近くまでどっぷりと湯に浸かりながらアルマが言う。
 けしからん鰻擬きは、とても美味しく調理できた。集落の人々は最初、得体の知れない生物に遠慮していたが、食べてみると本物の鰻にも勝るとも劣らない肉感だったようで、とても喜ばれた。
 ……なんでも、集落の郷土料理にしようかという話も上がっている。
「おつまみの分もあるんだよ」
「準備が良い事だ」
 深めの樽に用意された酒の肴の数々。
 飲食しながらの入浴は推奨されないが……適度なら大丈夫だろうという事で、依頼主であるリィミアが許可したものだ。
 もっとも……彼女も飲みたかっただけのようだが。
「冒険者達が想定以上の働きをしてくれたおかげで、何とかなりそうでござるよ」
 満足そうな表情を浮かべるリィミア。
 集落総出もなかなかできるものではないので、今回の依頼で全体の工程が大幅に進んだ事はきっと大きな意味があったのだろう。

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 湯けむり漂う温泉に浸かりながらミアは一息ついていた。
 予定されていた依頼内容は無事に終えたし、絡繰り師ゲンナイにはエナハルトへのプレゼントとして寄せ木の秘密箱を依頼できたし、満足な一日だった。
 大浴場の隅で彼(エナハルト)と過ごした今日を振り返って、ニヤニヤとしていたら、急に湯けむりが風で運ばれて消え、見事な三日月が姿を現す。
「……ルベアさんも一緒だったら良かったのに」
 寮生活だから、いつも顔をあわせている訳ではあるが、やはり温泉は別物だ。
 暫く空を見上げ、この月は王都からも見えていますかと心の中で彼女へと呼び掛ける。
「エナも見てたかな?」
 彼は先輩であるイェルドと共に男湯に入っているはずだ。
 今回、仕事の都合で泊まる事はできないらしく、入浴後は帰ると言っていた……追っている事件がいよいよ、大詰めになってきたのかもしれない。
「私も頑張らないと!」
 成さなければならない事は沢山ある。
 気合を入れるとミアは、もう一度、三日月を見つめるのであった。

 一方その頃、大浴場前の広場でエナハルトは彼女(ミア)が出てくるのを待っていた。
 長風呂しないタイプではあるが、男湯にイェルド先輩を置いてきたのは、恋人と過ごす時間を茶化されたくない事もあっての事だ。
 そこへ変装したままのルベアが通り過ぎようとした。
「ミアはまだ入っていますよ」
 その忠告にルベアは足を止める。
 これは入浴も気をつけないといけないようだ。もっとも大浴場は更衣室も浴場も広いので隠れるのは容易だが。
「分かったわ。ここまで来て、うっかり会ったら、気まずいし」
「それと……」
 続けて、姿勢を正したエナハルトにルベアは一瞬驚く。
 依頼の中で何かやらかした事があったのかと思い返すが、そういう事では無かった。
「トレイシーさんの事、ありがとうございました」
「あ……その事ね。別にお礼を言われるような事じゃないわ」
 依頼の中の事なのだから、成し遂げるのは当たり前だ。
「十分に評価されるべき事だからです。それに……ミアの事も」
「恋人としては心配よね?」
「ルベアさんが一緒だからと安心する時もありますから。これからも、よろしくお願いします」
 爽やか過ぎる微笑を浮かべるエナハルトに、ルべアは小さく頷いて応えるとフードを深く被り直すのであった。

マスターコメント

 お疲れ様でした&ご依頼にご参加いただき、ありがとうございました。  泥も無事に回収が済み、集落も一安心……という所でしょうか。これで安全が確保されたので……もしかして、偉い人も旅館に泊まりに来るようになるかもしれません!?  それでは、改めて、依頼へのご参加、ありがとうございました。また機会があれば冒険者の方々のご参加の程、お待ちしております。
イベントシナリオ

イベントシナリオ易しい 報酬:標準6 / 4〜25人

2022年07月25日 21時27分50秒 公開

成功

相談掲示板

投稿はありません

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0