【再起】手折りたい賊と退治したい桃髪代官
馬車猪
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シナリオID:2287
オープニング
若く美しい貴族令嬢、しかも高位の授恵者となると需要は天井知らずだ。
そんな獲物が1人で荒野に出るのは、手折ってくれと大声で叫んでいるようなものだ。
「放てぇっ!!」
草原用迷彩済シューターが一斉に矢を放つ。
狙うのは、氷の矢が足に突き刺さった獲物だ。
獲物の特徴は高回避、両手の細剣、脱出スキル、テレパスにマジカルポケット。
多方から恨みを買った獲物の情報は容易に集まり、高額で買おうとする者も多く人手を集めるのも簡単だった。
なのに、金と紫の瞳が愉しげに笑っている。
命中に特化した矢に複数方向から狙われ、異様な速度で直撃は避けても鎧は削られ肌に無残な傷が刻まれていくのに笑みは濃くなるばかりだ。
刺さっていた氷矢が内側から押し出されるようにして抜ける。
血の代わりに目視可能なほど濃いエーテルが噴き出し、止まり、微かに血が滲んだ傷跡だけが残る。
「射撃を止めるな。足を壊せっ!!」
賊は自らの声に怯えが混じっていることに気付く。舌打ちしようとするが舌がもつれたように鈍い。
獲物であるはずの桃髪の代官が悠然と歩きだす。
スキルを使っているようにも見えないのに、全ての矢が外れて代官の背後の地面に散らばった。
●
(死ぬかと思った)
圧倒的強者の演技をしてはいても内心は冷や汗まみれだ。
(スキルなしの五感だけで敵を探るのはもう無理ね)
数年前と比べると授恵者の数は増え成長速度も増した。
既にセニャは、かつてのような圧倒的強者ではない。
わふ、と聞き覚えのある声が聞こえた。
大量の矢が乱れ飛ぶ戦場に、筋骨が逞しすぎて魔獣にも見える狼が駆け込んでくる。
セニャが目立ちすぎているので狼はまだ気付かれてはいない。
「熱烈な歓迎に感謝するわ。私の感謝の気持ちを受け取ってちょうだい」
逃げ損ねた賊をつんつんする。
肉と骨から引き抜いた感触は重傷以上致命傷未満というところだ。
絵的には派手でもこれはあくまで陽動。
実家で何度もしてきたように、敵の急所を食い破るのはエーテルリンク中のペット達だ。
命中と攻撃に特化したため守りが薄い射手のふくらはぎが次々食いちぎられていく。
セニャを手折るために集められた賊の群れが、セニャの部下の相棒の牙にかかろうとしていた。
戦況は劇的に逆転した。
狩る側だった賊達は戦意こそ保ってはいるが恐怖に苛まれている。
「突破するわ」
加速する。
もともと高速だがホライゾナルジャンプによる加速はさらに凶悪で、10人以上の授恵者からなる包囲網を軽々突破する。
途中に仕掛けられた罠も狼が気付いてセニャに伝えるので無駄だ。
苦し紛れに放たれた矢は、セニャの影に触れることもできなかった。
●
「緊急依頼です」
ここは冒険者ギルドではなくヴァイセントラフ砦。
帝国南部の重要な軍事施設であり、セニャが頻繁に出入りしている場所である。
「代官が1人行方不明になりました」
新人であり現時点では大した業績もないが強い授恵者だ。
少なくとも、大物のクリーパーがいない土地を調べに行って帰還不能になることはないはずだ。
「実際には定時連絡が途絶えただけですが、ビッグオウムの御者が南に向かって逃走中らしい代官を見かけています」
危険がある場所にビッグオウムは近付けない。
だから、セニャの所在地は曖昧にしか分からない。
「何かの罠にかかった可能性があります。至急現地に向かい捜索と救出をお願いします」
最悪の場合は遺品の回収をお願いしますと、真剣な表情で冒険者にお願いしていた。
●
「待てーっ!」
「小娘ぇっ!!」
賊達は怒り狂っている。
(集まったわね)
ぜぇはぁと不規則に呼吸しながらセニャが逃亡中だ。
格で補っても細めの体格に蓄えられるエネルギーは少ないので長距離走は苦手なのだ。
賊の包囲を突破し、何度か挑発しながら支配地域へ向かって走っている途中でほとんど体力が尽きた。
「売り飛ばす前に使い潰してやるぅっ!!」
弓と矢を背負って走る賊の目は血走り、怒りと疲れで顔が赤い。
双方万全の状態ならセニャに突き放される程度の速度だが、セニャの速度が疲れで低下しているので後数分で追いつきそうだ。
くぅん、と並走している狼が物言いたげな鳴き声をあげる。
体力が尽きる前に戦いを仕掛ければ勝率8割程度だったのに今は1割を切っている。
現在急行中の主と共に戦い抜く覚悟はあるが文句も言いたくなる。
「しかた……ないじゃない」
ぜぇはぁと通り過ぎてげぇごぇという乙女が出してはいけない音が混じっている。
「罠にかけたら……2度目以降……警戒されてしまうわ」
馬鹿を考える者を一網打尽にするため、予め冒険者ギルドに多額の依頼料を渡しているのだ。
「一度で決着をつける。もう少しで冒険者と合流できるからそれまで頑張りましょ」
疲労と酸素不足で酷い顔色でも、追って来る十数人の賊より余裕があるように見えた。
解説
マスターより
リプレイ
「捕まえた奴には好きにさせてやる」
声と表情は下卑ていても思考は冷たく、賊の頭は復讐を防ぐためセニャを殺す判断を下す。
ゆらりと、丘を覆う木々の中から金色の闘気が立ち上った気がした。
枝が砕け幹が抉れ根っこが踏み潰される音が連続して響き、揺れる木々の合間に全力疾走する金属鎧が見えた。
「セニャ! 遅くなってすまない。俺が来たからにはもう安心だ!」
大声で肺の中の息を大量に使ったのにアルベルト・V・シュタールシュヴェーアトの速度は変わらない。
近接射撃が得意な賊が素早く矢を放つ。
獲物のような異様な回避能力はなく矢が突き刺さる。しかし装甲を打ち抜いた気配は皆無だ。
「女を狙え!!」
「させるかっ!」
3本の矢がセニャを狙う。
アルベルトが1本を粉砕する。
セニャが辛うじて1本を躱し、だが最後の1本は胴を貫通する速度と軌道であった。
「お元気そうで何よりですね」
直径40センチ程の丸盾が、矢に込められた魔力ごと強力な射撃を叩き落とす。
全力疾走の直後であることを感じさせない身軽さで、フリーダ=ブロムヴィストは自らに狙いが変わった矢を美しい盾で防いで鎧で受け流す。
「応急処置する余裕もありませんね」
セニャが実質的な人質になっている。
フリーダはセニャを遮蔽物の陰に誘導することで賊の意図をくじこうとする。
「人攫い共。セニャにこんな事して覚悟はできているんだろうな」
アルベルトの声は平静なのに殺意が目に見えるほど濃い。
「散っ」
賊の指揮も部隊としての反応も高水準で、しかし竜鉄の大太刀から膨れあがる光塊の方が早くて極めて凶悪だ。
追撃中にセニャと狼の攻撃を受けていた賊が直撃を受け、即死もあり得る角度で頭から地面に倒れた。
「驚きました」
フリーダはセニャに向かう魔法の矢を防ぎながらつぶやく。
遭遇表で良い目が出た、というイメージがどこかから届いた瞬間もフリーダの思考と動きに遅滞はない。
物理特化の前衛なら簡単に当たって深手を負うはずの矢を見事に防ぎ、セニャから引き離そうと誘う賊を無視して小さな戦果より大きな戦果を優先し続ける。
気配だけで合図。
セニャはフリーダを信じて斜め後ろへ跳ぶ。
冒険者に押されている賊達は相変わらずセニャを狙い続ける。
戦闘力はあっても生命力は消えてしまいそうなほど薄れている。「この女を殺されたくなければ……」が成立する寸前だった。
「セニャさん、ムチャしやがってー……?」
大丈夫そうならセニャの作戦に協力するつもりだったアルマ・ヴァレンタインが協力を諦めた。
即座にサイドヒールとヒールを行使。
治療強化3を持つアルマの癒やしは、格の割には脆いのセニャの外傷をほぼ完治させる。
次にセニャに追い付いたのは白いワンピースの令嬢だ。
「無茶をされますね」
ミア=リゼルが細剣を振るう。
最も速度が出たタイミングで火花が散り、刃が纏うエーテルと矢尻が砕けて花弁と氷片のごとく散って消える。
(距離が……遠かった)
普段使っている装備を置いてきたり大量の体力も消耗したりもしたが間に合ったので問題ない。
(外傷は治療済み。内側は……酷いですね。吸収しやすい栄養と薬を無理矢理でもとらせてベッドに縛り付けるべき状態です)
医療と薬学に長けたミアならここまで分かる。
(やるよー……)
(はい)
打ち合わせもしていないのに、アルマとミアはセニャと接触寸前の位置へ移動する。
「クソッ」
意図に気付いた賊の頭がとっておきを矢を放つ。
セニャの胸甲ごと貫通したように見えたのは錯覚で、ミアの上体が少し揺れて形の良い眉がひそめられる。
スケープセイントだ。
何故かセニャではなくミアに向かって複数の矢が飛んでくる。
セニャとミアを並べると、前者が影武者に見えてしまうので仕方がないのかもしれない。
(常に見極め……続ける)
今の人格を形作る重要な教えがミアの行動を洗練させる。
緑が多い斜面から例外的に安定した足場を選び、躱すことに集中することで元々高度な回避術を一段上の領域に押し上げる。
静止。横へ半歩。そして静止。
当たればミアに手傷を与えていたはずの矢は、複数の葉に威力を吸い取られながら緑の中へ消える。
光縛封による光の柱が、3人の少女を取り込んで完成した。
安全な場所に、セニャの荒い呼吸音だけが響く。
ミアの体が急速に癒やされていく。
セニャは息を大きく吸って吐こうとして、猛烈な吐き気に襲われその場にうずくまる。既に吐けるものなど残っていない。
「わるーい顔したり虚ろな目になったり、アルベルトさんに見せるのは可哀想だよー……?」
普段と同じ調子の雑談をすることでここは安全だと伝えながら、乾いた唇に指を当てる。
指を起点に清潔な水を出して水分をとらせつつ、チョコレートを口の中ですぐ溶ける形で入れて栄養補給させる。
「私の、戦力は、必要?」
セニャの顔色は死体じみている。
「セニャさんかベルクさんみたいな暗殺得意そうな人いたー……?」
「その冗談は笑えないわよ。多分できるけど。……敵は授恵者5にそれ以外が14。どれも普通ね」
「ならフレアが消える前に済むと思うよー……。問題はー……」
15秒が終わり光縛封が唐突に消える。
起死回生を狙った矢がセニャへ向かい、極一部がセニャに刺さるがミアとアルマによりほとんど瞬時に回復する。
ミアが迎撃に出る。
森でもある山は、不利な側にも逆転のチャンスを与える面倒な地形をしていた。
●
死闘が始まる十数分前。
1両の高級馬車が酷使の果てに壊れる寸前だった。
「レンタル料と修理費は依頼人持ちってことでいいよね?」
御者をしているサイラスが、馬車同様借り物の馬を再起不能にならないぎりぎりで酷使している。
「無双するには準備不足では? 敵は格下でも授恵者なれば。如何に熟練だろうとこうも一度に相手するのは疲れるはずなのだ」
ストレガ・L・リベルガストラにじろりと見られたメイド達達が小さくなる。
「諫言も仕事のうちなのだ」
これ以上続けるといじめになってしまうので追求は止める。
「そろそろなのだ」
馬車が本格的に限界だ。
「最終確認です」
フリーダがこの場の全員に対して説明を開始する。
「セニャ様との合流は前方の丘で行います」
敵もセニャも森兼丘の陰にいるのでこちらには気付いていない。
狼達がセニャにのみ知らせる予定だ。
「具体的な方針としては、セニャ様を救助後逆側へ移動を開始、遮蔽物のある森に相手を誘い込みます。セニャ様が森に行けそうなら臨機応変に。では参りましょう」
これまで温存していた体力を使い走り出す。
サイラスも、馬車を止めるとすぐ丘へと向かう。
圧倒的な手際を見せ付けられたメイド達は、半ば思考を放棄しペットへの指示伝達に専念していた。
●
「とりあえずセニャ殿へのお説教は後回しにして、殿下に弓引く逆賊共の鏖最優先だな」
代官襲撃はレイウェスト皇子殿下の顔に泥塗る行為。つまり帝国への反逆である。
今の帝国は治安維持に苦労しているが、反逆者に対する法の保護が消えるのは帝国健在時と変わらない。
「非授恵者の中に幹部格がいるかもしれん。口は聞ける程度にしておけ」
ベルク・オスマットは丘の側面を通過しながら指示を出す。
鶏肉と適切な訓練で逞しく育った狼達が、ベルクの双波で所在を見破られた賊達を血生臭い形で制圧していく。
「既に丘に入ったか?」
森の向こうに、刺々しい輝きが見えた。
●
(足を狙えは私もよくやるのだ。手練れだろう。セニャ殿相手によくやってる。セニャ殿は良い反省点になるだろう。……まあ頸は取らせないが)
ストレガは足の疲れと息の乱れを自覚する。
ウォーリアでありセニャの婚約者であるアルベルトは根性で走って戦ってはいるが真似はしにくい。
(細々とした策が通じるのは基本的にスキルがないときだけなのだ)
アルベルトと敵が接触する直前に術を使う。
森の中の涼しい空間に稲妻のような光が次々現れては捕食する蛇のように賊へと絡みつく。
気合と戦闘経験豊富な授恵者であっても移動力低下は避けられない。
不意を打たれて動揺して術の効果以上に効いている賊もいる。
「包囲に向かわせた手下共を呼び戻せ!」
賊の命令は素早く、しかし冒険者の方がさらに素早い。
脇差【神楽】が使い込まれた革鎧に切れ目を入れ、 短刀【囃子】が背骨も内臓も太い血管も避けて死ねない程度の傷を負わせる。
「悪いな。この場で殺してはやれないようだ」
激怒したアルベルトを止める気は海神・江流にはない。
死罪以上の罪を犯した賊に対して配慮する気にもなれない。
(問題は賊の授恵者か。形勢不利を察して逃げの姿勢に入られる前に敵全体にダメージを散らしておきたいが……)
手下を多く倒した江流を警戒し、敵シューター達は慎重に間合を維持している。
(代官の代行やってるときに逃がしたかね?)
凝った装飾のある弓から平均的な頻度で矢が放たれる。
狙いの精度は素晴らしく、威力に至っては高位の授恵者の斬撃に匹敵する。
(まあ依頼だから成功すればいい。俺は知らない他人だし今後も覚える機会ないだろし)
賊の表情から回避の方向や防御手段を読むことはしても顔立ちを記憶するための努力はしない。
戦闘後に生きていれば情報を絞ってから片付けるつもりだからだ。
「行くぞセニャ! 俺たちの力を見せつけるぞ!」
(囮もしてくれるのは助かるね……とっ)
サイラスの矢が巧く中ってしまった。
範囲攻撃で丁度倒れる程度に削るつもりだった賊が、弓を取り落として喉に突き刺さった矢を抑えている。
「降伏するなら治して貰えるかもよ?」
賊の頭ではないので敢えて残す必要もないと判断し、サイラスは容赦なく攻撃を続行する。
射撃戦だ。
手数では賊が勝るが頑丈さが違いすぎる。
竜の様な形状の鎧が個々では威力に劣る矢を防ぎ、稀に混じる魔法の矢もサイラスの豊富な生命力を削り切るには全く足りない。
「やれ」
賊の奥の手が表に出る。
これまでスキルを温存し攻撃されないよう慎重に立ち回っていたキャスターが、危険を冒して術を使いセニャを狙う。攻撃直後に倒されるのを覚悟の攻撃だ。
当然のように、攻撃術の発動直後に背後から首に黒い刃を押し当てられた。
(殺すのは少し後じゃがな)
凶悪な爆発が白金色の装甲を焦がすこともできず消えるのを確認し、ベルクは皮膚を少しだけ裂いて賊に警告し心を折る。
「ふむ」
ストレガはエーテルの収束場所をキャスターからシューター集団の中心へ変更する。
「死にたくなければ気合を入れて耐えるのだ」
高速で一点に集まるエーテルが光り輝き、光の強さが一定を越えた瞬間爆風を引き起こす。
「逃っ」
今倒れたら死ぬより酷い目にあいかねない。
それが分かっていても、運と気合で耐え抜いたのは賊の頭ただ1人。
装備を捨てて全力で逃げるのは見事とも言えるが、広範囲攻撃術を避けるため一時後退していた江流に易々捕捉される。
彼と賊の速度差が大きすぎるのだ。逃走に専念しても追いつかれてかなり頻度で連続攻撃が届き、自決を実行する前に捕獲された。
●
「待つのだ」
ストレガの重力場が、こっそり逃げだそうとしたセニャを捉えた。
抵抗不能の移動コスト増大スキルがセニャの速度を鈍らせ追っ手を追いつかせる。
物理的に捕獲したのはメイドで、きついにおいの軟膏を取り出したのはミアだ。
「きちんと手当をしないと駄目ですよ」
熱を持った肌に特製の美容エキス配合軟膏を塗り込んでいく。
しみて痛むのは美容的な意味で肌にダメージがあるからなので、セニャの部下も積極的に協力していた。
「終わったな」
ベルクがセニャの首根っこを掴んで荒野に正座させる。
代官だとか関係なしに純粋に心配した結果の行動なのでセニャも拒絶し辛い。
「政治的や戦略上のリスクなど妾が思いつくようなのは貴殿なら解りきっているだろうから何も言わん。ゆえにいうことは年長者としてのみだ」
通常は体格と顔立ちで隠れている人生経験というべきものが表に出る。
「己の身をもっと大事にせぬか大馬鹿者が!」
怒りではなく叱る声が大きく響く。
「その身既にそなただけのものと思うな! そなたは己の甥やアルベルト卿、それに配下として付き従った者を泣かせたかったのか!!」
婚約者も部下も今は口を閉じてはいるが目を見れば言いたいことは分かる。
「十分な勝算があろうともせめて冒険者ギルドに一報入れてから動け! 事態を知ったアルベルト卿の顔色はかなり悪くなっておったのだぞ、後で心配をかけたことを詫びておけ!! 間一髪間に合ったからよかったものを!!」
セニャの背中のエーテル光が力なく垂れる。
「帰る前にしっかり話し合っておけ」
足が痺れたセニャを持ち上げ、婚約者に任せて姿を消した。
「この前は、手伝いに来れなくてすまない」
「いいの。今日は来てくれたでしょう?」
アルベルトとセニャの距離が縮まる。
紫と金の瞳には安堵と生々しい感情が浮かんでいる。
(お嬢様、汗はともかく胃液の臭いはまずいですっ)
忠誠厚いからこそミアに協力するし諫言もする。
「だめっ」
戦闘の緊張が完全に去り、己の体臭を感じ取れるようになったセニャが顔を真っ赤にしてアルベルトから離れた。
「身体は疲労してるんだ。水くらい飲んで回復しておきなよ。帰り道でまた襲撃されないとも限らんのだ」
江流が適当な名目でうがい用の水と体を拭くための濡れタオルを渡す。
(少女らしい面もあるのか。問題はこっちだな)
ショックを受けた固まるアルベルトを慰めに向かった。
「手折ろうと思ったら手折られて今どんな気持ち?」
フリーダが異様なほどに洗練された所作と言葉で煽りに煽っている。
(啓示的な何かかね?)
サイラスは工具としても使える道具を丁寧に扱い、並べる。
使い方に心当たりのある賊達は恐怖で体を震わせる。
サイラスは情報共有できないよう賊を引き離していく。逃走や刑期明けの後もう1度繰り返すことになると面倒すぎるので、確実にやるつもりで位置を調節する。
「反応があったのだ」
ストレガは死体を並べた場所からござを引っ張ってくる。
載せられている男が、衝撃で死んだふりを維持できなくなりうめき声をあげた。
「遺品から情報収集はしておくのだ」
「うん。久々にアレやってみよー?」
アルマは怒っている。
必要以上の危険を冒したセニャに対する怒りを1とすれば数百から数千も。
「根拠地はもちろんだけど、犯罪者同士の横の繋がりとか奴隷商とか。オモシロ情報もとれそう」
光縛呪で拘束し、自決を封じ、言葉をかけて残留思念感応で情報を取得する。
「今は体を休めるのを優先してねー」
薄っぺらい正義も同情も殺意すらなく、限りある資源を有効利用しようとする意思だけがある。
息が絶える前に、賊の心は死んでいた。
マスターコメント
ショートシナリオ普通 報酬:多い8 / 4〜8人
2022年07月04日 03時47分22秒 公開
相談掲示板
ストレガなのだ。宜しくなのだ。 とりま、セニャと賊の間にアーケイン敷くのだ。
ウォーリアのアルベルト・V・シュタールシュヴェーアトだ。 よろしくな。 今回俺は、急いで『チャージング』を使ってセニャ元に駆け付けてセニャの援護をする予定だ。『カバーリング』を使ってセニャを庇うぜ。 ・・・あと、敵の人攫いに対しては降参・投降や逃亡を一切認めるつもりはないから、全員叩き斬るつもりで行くから。 奴等は俺を完全に怒らせた・・・
No.3
サイラスだ、よろしくなー とりまそこまで行くの怠いので弓を使うかねーと。 これ馬とかレンタルか所持して使えるなら騎乗持ちは乗って突撃して使い捨てら感じで降りたらコスト減りそうだなぁと。バランスよく削りながら一人落としてからは一気にばら撒いて削るとかしない限り追撃もウォーリアはチャージング必要になりそうだし
シーフのベルクだ、よろしく頼む。 とりあえず全速力でセニャ殿の保護に向かう。 で、アルベルト卿に相談だが、事後処理でセニャ殿にお説教しようと思うのだが構わないか? (主にやるなら先に冒険者を雇って安全マージンを確保してからやれと)
ヒーラーのミア=リゼルです。よろしくお願いしますね。 セニャさんが大変なことに…私はあまり足は早くないのですが、セニャさんのそばに到着したら、自分も含め光縛封で囲ってから治療をしたいなと思っています。
ウォーリアのフリーダです。よろしくお願いします。 相手の頭数は15名とそれなりに多い+遮蔽物のない平地というのが厄介ですね。 相手側の授恵者が全員遠隔攻撃主体という事ですし、 「雑魚で壁を作られて手間取っている間に遠隔攻撃でセニャ様を集中的に狙われる」 というケースが一番まずい形でしょうか。 可能であればセニャ様を救助後に森林等遮蔽物に隠れやすい場所に誘い込みたい所です。 ただその場合、疲弊したセニャ様をどうにか運ぶ必要は出てくるとは思いますが……
>ベルク・オスマットさん 全然問題ないぜ。むしろよろしく頼む、セニャによく言って聞かせてくれ。 >フリーダ=ブロムヴィストさん 何なら俺がおんぶなりお姫様抱っこなりして連れて行こうか?
ヒーラーのアルマだよ、どーぞよろしくねー 敵がしゅーたー軍団でこっちがそれ以外クラスなのは奇遇というかー…? 大量の敵を引き連れてきたセニャさんの救援て前にもあったなー…と思いつつ 相変わらず危なっかしいやり方だけどせっかくおびき寄せてくれたんだし 二度目がないようにキッチリ仕留めたいところだねー 頭に血が上ってる?間は素直に追いかけてきれくれそうだし アーケインで速度差つけてもらったり有利地形に引っ張り込むの賛成だよー 移動4~5でセニャさんにサイドヒールしたら敵の迎撃にまわるねー ばてばてセニャさんの移動にお馬さんと荷馬車を持ってく予定だけど まだ矢の届きそうな所だとちょっと危ないしお姫様抱っこはロマンがある…! ので帰りの足に使ってもらうようにしようかなあ
シーフの海神江流だよ。今回は宜しくね。 移動5でいくか、6確保するべきか少し迷ってみたが、移動1でも確実に間に合うなら6まで確保せんでも大丈夫かねぇ。 まぁ、疾風足も入れて合流を急ぐ感じで動くと思う。 次がないようにするなら、情報の引き出し、尋問も多少視野に入れてもいいんじゃない? 情け容赦なく惨殺するでも、次の抑止にはなるだろうけど、同じ目論見で今回参加してない奴も居るかもしれんからさ。 逃走阻止用にホライゾナルは用意しておこうかね。
(疲れで発言できない)
>運ぶ方法 おんぶにせよお姫様抱っこにせよ、セニャ様を運んでいる間は隙だらけになるでしょうし、 それではこちらは運ぶ間の護衛をしようかと思います。 隠れやすい場所に到着後に本格的な治療ができれば最適かなと。 >情報引き出し 解説文を見る限りでは授恵者側が立場が高い様子ですし、 可能であれば授恵者の誰かを確保できれば確度の高い情報を得られそうですね。
No.12
であれば満遍なく弱らせたいなぁと? 強さ次第だけど偏ると元気な状態で逃げそうだし、やるからには手間減らしたいよね シューターだから動物伏せてるとか可能性考えるとあっても無くても面倒だし
セニャさん…! お疲れ様です、ゆっくり休まれてくださいね。 隠れやすい場所に逃げ込むこと、了解です。であれば退路はしっかり確保しておきたいところですね。 攻撃に参加するのは手持ちのスキルだと…接近された時か、魔矢くらいしかないので、前方での迎撃はお任せします…!