ハッシリ村の仙人掌パーティ!
椿油
コメント 5
シナリオID:2279
オープニング
●サボテン魔獣、再び
ハッシリ村とサボテン、実は縁が切っても切れない関係にある。ハッシリ村はシラー砂漠の近くにあり、サボテンは豊富に採れる。そして何より――果実が美味しいサボテンが自生しているのである。
「で、俺はこれを便宜上シラーサボテンと呼んでいるんだが」
ハッシリ村の次期村長、ミルキーが冒険者になったゴブリナの少女ダオシエに話をしている。
「へぇ、シラーサボテン……おいしい?」
ダオシエが訪ねると、満面の笑みで答えるミルキー。
「ああ、すっごく美味しい!」
「ダオシエも食べる!」
はしゃぐダオシエ。
だが、そうも上手く行かないのが世の常。シラーサボテンの周囲にはサボテン魔獣、つまりサボテンに擬態したモンスターがうようよいる事も多い。サボテン魔獣を片付けない限り、サボテンでパーティを開くのは無理だろう。
「しかも今、運の悪い事にサボテン魔獣が滅茶苦茶増えててな……親玉みたいな奴まで発生してて俺らじゃ近づけないんだよ」
ミルキーが肩を落とす。
「じゃあ、ダオシエが倒してきてあげる!」
しかし冒険者になったとはいえ、適性はヒーラーのダオシエ。ミルキーの妻ソフィネもシューターだが、全滅させるには戦力が足りないだろう。
「……そうだ、折角だから村に訪れた皆さんにもサボテンを食べてもらおう!」
立ち上がったミルキーは何か思いついたようだった。
「みんなで倒して、みんなで食べる?」
ダオシエが首を傾げると、ミルキーはニカッと笑った。
「増えすぎたサボテン魔獣も間引けるし、確かあいつらも果実を落とすはずだぜ!」
作戦はこうだ。サボテンを収穫するのに邪魔なサボテン魔獣を倒し、サボテン魔獣とサボテンをゲットしてきて果実を美味しく頂く。これなら完璧だろうと思ったミルキーは、村長キーオスに許可を貰いに行った。
「それは最早、私の決める事ではないだろう。ミルキー、もう全てお前が決めても良いのだぞ」
キーオスがミルキーの頭をポンと叩いた。
「えっ、それって」
キーオス・スカイシップス。事実上の村長引退宣言であった。
ハッシリ村とサボテン、実は縁が切っても切れない関係にある。ハッシリ村はシラー砂漠の近くにあり、サボテンは豊富に採れる。そして何より――果実が美味しいサボテンが自生しているのである。
「で、俺はこれを便宜上シラーサボテンと呼んでいるんだが」
ハッシリ村の次期村長、ミルキーが冒険者になったゴブリナの少女ダオシエに話をしている。
「へぇ、シラーサボテン……おいしい?」
ダオシエが訪ねると、満面の笑みで答えるミルキー。
「ああ、すっごく美味しい!」
「ダオシエも食べる!」
はしゃぐダオシエ。
だが、そうも上手く行かないのが世の常。シラーサボテンの周囲にはサボテン魔獣、つまりサボテンに擬態したモンスターがうようよいる事も多い。サボテン魔獣を片付けない限り、サボテンでパーティを開くのは無理だろう。
「しかも今、運の悪い事にサボテン魔獣が滅茶苦茶増えててな……親玉みたいな奴まで発生してて俺らじゃ近づけないんだよ」
ミルキーが肩を落とす。
「じゃあ、ダオシエが倒してきてあげる!」
しかし冒険者になったとはいえ、適性はヒーラーのダオシエ。ミルキーの妻ソフィネもシューターだが、全滅させるには戦力が足りないだろう。
「……そうだ、折角だから村に訪れた皆さんにもサボテンを食べてもらおう!」
立ち上がったミルキーは何か思いついたようだった。
「みんなで倒して、みんなで食べる?」
ダオシエが首を傾げると、ミルキーはニカッと笑った。
「増えすぎたサボテン魔獣も間引けるし、確かあいつらも果実を落とすはずだぜ!」
作戦はこうだ。サボテンを収穫するのに邪魔なサボテン魔獣を倒し、サボテン魔獣とサボテンをゲットしてきて果実を美味しく頂く。これなら完璧だろうと思ったミルキーは、村長キーオスに許可を貰いに行った。
「それは最早、私の決める事ではないだろう。ミルキー、もう全てお前が決めても良いのだぞ」
キーオスがミルキーの頭をポンと叩いた。
「えっ、それって」
キーオス・スカイシップス。事実上の村長引退宣言であった。
解説
【目的】
サボテン魔獣を討伐する。
サボテンを採取する(魔獣・本物問わず)。
【現場】
シラー砂漠のサボテン地帯
この時期、結構暑いです。水分は持っていた方が良いかもしれません。
サボテン魔獣×10
20~25Lv相当のサボテンのようなナニカです。棘を飛ばしたり(1ヘクス先位まで)、近接攻撃としては抱きついて来たりします。実はハッシリ村はサボテン魔獣に一回お世話になっていますが、別種なのか分かりませんがその時より若干強くなっている模様です。
親玉サボテン×1
30Lv相当のサボテンのようなナニカです。群れの親玉らしく、親玉サボテンがやられるとサボテン魔獣達は統率が全く取れなくなります(つまりそれまでは統率が取れているに等しいです)。棘の腕でぶん殴ってきたり、その場でスピンして棘の範囲攻撃(スリップダメージ有)をしてきます。
いずれのサボテン魔獣も美味しい果実を内側に含んでいます。
【NPC】
ダオシエ(ゴブリナ/10代)
自ら志願して、ついて来てくれます。基本後衛で、【ヒール】【サルベーション】をレベルは低いながらも頑張って行使します。
ソフィネはお父さんの話をじっくり聞いているようなので行きません。ですが相談掲示板の質問には答えてくれます。【質問】とつけて質問して下さい。
マスターより
椿油です。村長がしれっと引退宣言していますがサボテンを美味しく頂きましょう!
ちなみにドラゴンフルーツもサボテンらしいです。ウチワサボテンが食べられるのは知っていましたが「ドラゴンフルーツ、お前もだったのか」と資料を調べている時に思わず驚愕していました(蛇足)
サボテンの果実はそのままでもジュースでも自由に食べられます!砂糖をかけたり、どんな味になるか分かりませんがチョコ漬けにしたっていいです。カカオはあるので。
皆様のアツいプレイング、お待ちしております!
リプレイ
●夏のハッシリ村
「作戦は伺いました。つまり、視界に入るサボテンは端から端まで刈り取ればよろしいのですね?お任せ下さい」
水袋に水10L、そしてハーブ塩を持参したセロンガード・シュタインドルフ。日よけのマントもあって熱中症対策はこれでオッケーだ。
「ハッシリハッシリ~……」
アルシエラ・ライゼルは唐突に気合いを込めるポーズを平坦な声と共に放った。
「よろしくダオシエ、私はアルシエ。私の鞭が……サボテンを切り裂く」
「よろしく、おねがいします!」
たどたどしく敬語で返すダオシエ。元々野良ゴブリンだったのだが、そろそろ言葉に慣れて来たようだ。
「ハッシリ村もしばらくぶりな気がするー」
「お久しぶりです、ミルキーさんソフィネさん! あれからどうですか?」
アルマ・ヴァレンタインとエヴァン・ピオネロはハッシリ村に何回か来た事がある。ダオシエの成長ぶりにエヴァンは微笑みつつも、変わった事がないか聞いていた。
「実は、近々俺が村長になる事が決まってさ」
ミルキーが衝撃の事実を言い放つ。次期村長というポジションのミルキーだったが、ついに先代が引退と隠居を決めたようだ。
「なんと……頑張って下さい!」
エヴァンがエールを送りつつ、サイラスは対魔獣への戦法を考えていた。
「親玉のサボテンから倒すか。そうすりゃ統率取れんだろうし」
●シラー砂漠へ
「これは……ただのサボテン」
アルシエラが《温度耐性》と水分補給で暑さに耐えながらスパッとサボテンを斬っていく。上手に担架に乗ったサボテンを《マジカルポケット》で収納していった。見分け方は《捜波》と念の為、《ホークアイ》だ。
「トゲトゲぼでーで抱きついて来たりするー……? なんか痛そう」
アルマは《看破》で抱き着かれる前に相手を探す体勢だ。
「サボテンは食べた事が無いので楽しみ……です!」
エヴァンの腹の音が鳴る。成長期でご飯を抜いて来てしまったのは流石にこの暑さだと堪えるだろうか。
「これも採取しましょう」
セロンガードは文字通り視界に入ったサボテン全てを短剣で刈り取っていた。シラー砂漠唯一の緑色がローラーのように綺麗に無くなっていく。
「水と塩用意したからなー……って腹の音凄いけど大丈夫か」
サイラスは《ピュアウォーター》と塩を自分や足りない者に配ろうと思ったら、それより腹が減っているエヴァンが気になっていた。
「味、きになる。甘い? すっぱい?」
一方、同行のダオシエはサボテンの味予想に夢中であった。
●トゲトゲパーティ開始
「ん、あれは……魔獣」
水分補給をしていたアルシエラの捜波が反応した。各自臨戦態勢に入る。相手は一匹だけ……かと思いきや、遠くから地響きが聞こえる。
「何の音!?」
アルマが慌てて遠方を確認する。
「あ……あれは!」
エヴァンが指差す方から、巨大なサボテンが転がって来た。今回のメインターゲット、親玉サボテンである。しかも地面から這い出てくるサボテン魔獣が周囲に追加され、あっという間に戦場が形成された。
「来ましたね」
セロンガードは前衛に出る。《ヴェヒター・ヌル弓剣術》の力を最大限引き出す為だ。そして、《炸光矢3》をを放ち周囲の敵諸共ダメージを与えていく。
「行くよ」
アルシエラは近くのサボテンから仕留めるべく、鞭から《ゲイルボム》のエーテル玉を放ち炸裂させる。
「支援飛ばすねー!」
アルマはエーテルの波動を解放して《ハウリング・オブ・ブルーフレア》の力を全員に付与する。と、ここで親玉サボテンがスピンを行って棘を飛ばしてくる。
「来ましたね……!」
間一髪で棘を躱すセロンガード。
「ん、ありがと……」
アルシエラも軽傷で済んだ。ブルーフレアのお陰で全員大事には至らなかったが、やはり親玉から倒した方が後々厄介事は減るだろう。
「分断を狙ってみます」
エヴァンは《タイダルストリーム3》の巨大な光波を放って親玉と子分の間を目標にダメージを与えに行く。子分のサボテン達は別方向に避けたり親玉と一緒に回避を試みたりして、幾分か分断に成功した。
子分サボテン達はそれぞれ前に居たセロンガードに抱き着いたり棘を飛ばしたりを試みるが、最大限発揮されたヴェヒター・ヌル弓剣術がそれを許さない。エヴァンの方へ棘を飛ばしても、サイラスの《庇護翼》がそれをしっかりとガードする。
「頭から潰すか」
《鋭射2》を放ち、親玉サボテンにダメージを与えていくサイラス。若干、実がへこんだだろうか。
「ダオシエ、回復させるよ!」
サイラスにひとまず《ヒール》を行使したダオシエ。力は低けれどその潜在能力は侮れないはずだ。
「親玉から倒しますか。了解です」
セロンガードは《グラヴィティボルト2》を親玉サボテンに向かって放ち、命中した重力波エーテルが親玉サボテンを蝕んでいく。
「じゃあ……取り巻き倒しておく」
アルシエラは《ゲイルボム》を放ってエーテル玉を炸裂させる。子分のサボテン2匹がその場に倒れた。実が爆発しなかったのは幸運かもしれない。
「ドーンと行っちゃうねー」
アルマは《祈雷2》を仕掛け、霧が戦場に発生する。その後サボテン達が焼かれる事は必至で、後は上手く棘を削げるかだ。
そして、親玉サボテンがセロンガードに接敵して棘の腕で殴らんと襲いかかって来る。サイラスが《庇護翼》を広げ、重い一撃が翼に降って来た。
「思ったより棘痛いな……次、ヒール頼むわ」
サイラスの要請に、アルマとダオシエが頷いた。
「手下を減らします。下拵え? しましょうか」
エヴァンは《メテオライト3》を降り注がせ、3匹がその場に倒れて棘が抜ける。これで親玉含めて6匹だ。子分達はサイラスにターゲットを切り替え、全サボテンがサイラスが埋もれる程必死で抱き着いてくる。
「やっぱり親玉倒さないと話にならんかもな」
再び《鋭射2》を親玉に向かって放つサイラス。そこそこ削げて来ただろうか。
「怪我、なおすよっ!」
ダオシエの《ヒール》がサイラスを優しく包んでいった。
《祈雷2》の雷がサボテン達を襲い、追加で子分が1匹倒れた後。
「これは、更に命中力を下げねばいけませんね」
セロンガードは《攪乱射撃3》を放ち、親玉サボテンの太い腕にエーテルが侵食していく。
「結構数も減ったし、親玉狙う……」
アルシエラは《キラービート》を鞭から放って親玉の棘を削り取った。
「それじゃ、回復するねー」
アルマの《ヒール》がサイラスを包み、傷を癒していった。親玉サボテンがサイラスに叩き込もうとした殴打攻撃は、今までのエーテルの力で見事に外れて地面が揺れる。
「親玉狙い、了解です!」
エヴァンも《魔弾2》を放って加勢する。親玉はふらつき始めた。
「まあ、もう少しだろうし」
サイラスが射った《鋭射2》が親玉の棘とわずかな実をゴリッと削った。4匹の子分は親玉を心配するような挙動を見せつつ、サイラスとセロンガードに分担して棘を飛ばす。だが問題なく、二人はブルーフレアが上げた回避力で避ける事に成功した。
「ダオシエ心配、あとちょっと回復する!」
そう言ってダオシエは更にサイラスに《ヒール》をかけた。
●親玉サボテンが亡く頃に
「幸い、物理特化のようですしこれでやり易くなるかと」
セロンガードは《重撃射3》を放ち、命中した親玉サボテンの回避力を下げる。
「もう少し棘取る……」
アルシエラが親玉サボテンに放った鞭による《キラービート》で棘は更に取れていく。くらくらとし始めた親玉サボテンに子分達は慌てている素振りを見せた。
「よーし、倒しちゃうよー」
アルマが放った《魔矢》で――ついに、親玉サボテンは身体を後ろに揺らして倒れる。
「最後の処理ですね!」
エヴァンは《メテオライト3》で子分を丸焼きに、もとい刺抜きしていく。2匹が倒れ、残す2匹は慌てて何もできない。サイラスが《炸光矢3》を放ってトドメとしたのだった。
「す……すごい! これが、ベテラン?」
ダオシエはアルマにハイタッチして喜びを噛みしめた。
●冒険者と美味しく頂きました
サボテン魔獣達をお持ち帰りするのには手間がかかったが、アルシエラのマジカルポケットに入れたりなど各自工夫して何とか概ね持ち帰る事が出来た。そしてハッシリ村では、ミルキーが出迎えてくれた。
「お帰りなさい! ダオシエどうでした?」
「ヒールがんばったよ!」
ダオシエは嬉しそうに自分の分のサボテンを抱えてミルキーの所へ駆けて行った。
調理開始だ。まずはブラシで表面を擦り、棘を落としていく。
「砂糖と蜂蜜に浸けてみましょうか?」
「相性よさそうかもー」
セロンガードの提案もあり、アルマが《艶香の蜜花》を取り出して、試しに果実の上からトロリとかけてみる。
「どんな味がするのかな……?」
短冊状に包丁を入れるアルシエラ。サイラスは棘座を切り落としていきつつ、サボテンと果実の味見をしていた。
「甘いな。ジャムとかにも出来そうか?」
果実だけでなく身も甘いサボテン、フルーツ盛り合わせになるよう角切りにしていくサイラス。
「ほらエヴァくん、あーん」
アルマがエヴァンに蜂蜜サボテンを差し出す。
「美味しい……♪」
蜂蜜のかかったサボテンの果実はまた違った甘味を感じられた。
セロンガードは蜂蜜と砂糖に浸けたサボテンを瓶に詰めていく。大量に出来そうなので余りを持ち帰れそうだ。
「村で保存食にして頂くのもありかもしれませんね」
ダオシエはそれを見てよだれをたらしそうになっていた。
「果実に蜂蜜なんて最高……」
アルシエラはサボテンの本体もまた美味しいと思いつつ果実を頂くのだった。
「果実だけ食べますか? 魔獣の身肉部分はすり潰してドリンクとか、刻んでサラダ……とか」
身肉をゴリゴリと潰していくエヴァンとサイラス。一方はドリンクに、一方はジャムに。サイラスは汁を抽出した後煮詰めていく。アルマは刻んで《食用野草オイル》を使ったサラダを作り、更に塩胡椒をまぶしてサボテンステーキを作っていた。余りはピクルスにするようだ。
「それじゃあみんなも良かったら召し上がれー♪」
ステーキが出来上がる頃には各々の作っていた物も完成する。
「お疲れ様でした~、頂きます!」
《ブロッサム・ティーセット》と共にサボテン料理、主にサラダを頂くエヴァン。
「美味しいー!」
サボテンステーキを頂くアルマ、戦った後の肉は美味しい。
「おおー……何か贅沢かも……」
アルシエラもステーキやサボテンの盛り合わせを頂いて、思わぬフルコースに舌鼓を打った。
「美味いな。大発生してなければ村の産業になるんじゃ?」
「あ、それ良いですね!」
サイラスが何気なく言った言葉にミルキーが手を叩いた。
「ダオシエ、こんなおいしい物はじめて食べたかも……!」
ダオシエは目をきらきらさせながら食べ進めていた。
「そういえば、村長になる話どうなったのー?」
アルマがステーキを平らげながらミルキーに尋ねる。
「何か思いついたが吉日! みたいに言ってて、明日には村長交代するらしいんですよ……はは」
目をぱちくりさせて聞いていたダオシエだったが、村にとって重要な事を言っているのは確かだと感じた。そして、皆で美味しく頂いた後は各自持ち帰る者はサボテンを持って、解散していくのだった。
「それじゃあ、今回はありがとうございました!」
ミルキーは明日からどうしようと思いつつ、ペコリと頭を下げて礼をした。
「作戦は伺いました。つまり、視界に入るサボテンは端から端まで刈り取ればよろしいのですね?お任せ下さい」
水袋に水10L、そしてハーブ塩を持参したセロンガード・シュタインドルフ。日よけのマントもあって熱中症対策はこれでオッケーだ。
「ハッシリハッシリ~……」
アルシエラ・ライゼルは唐突に気合いを込めるポーズを平坦な声と共に放った。
「よろしくダオシエ、私はアルシエ。私の鞭が……サボテンを切り裂く」
「よろしく、おねがいします!」
たどたどしく敬語で返すダオシエ。元々野良ゴブリンだったのだが、そろそろ言葉に慣れて来たようだ。
「ハッシリ村もしばらくぶりな気がするー」
「お久しぶりです、ミルキーさんソフィネさん! あれからどうですか?」
アルマ・ヴァレンタインとエヴァン・ピオネロはハッシリ村に何回か来た事がある。ダオシエの成長ぶりにエヴァンは微笑みつつも、変わった事がないか聞いていた。
「実は、近々俺が村長になる事が決まってさ」
ミルキーが衝撃の事実を言い放つ。次期村長というポジションのミルキーだったが、ついに先代が引退と隠居を決めたようだ。
「なんと……頑張って下さい!」
エヴァンがエールを送りつつ、サイラスは対魔獣への戦法を考えていた。
「親玉のサボテンから倒すか。そうすりゃ統率取れんだろうし」
●シラー砂漠へ
「これは……ただのサボテン」
アルシエラが《温度耐性》と水分補給で暑さに耐えながらスパッとサボテンを斬っていく。上手に担架に乗ったサボテンを《マジカルポケット》で収納していった。見分け方は《捜波》と念の為、《ホークアイ》だ。
「トゲトゲぼでーで抱きついて来たりするー……? なんか痛そう」
アルマは《看破》で抱き着かれる前に相手を探す体勢だ。
「サボテンは食べた事が無いので楽しみ……です!」
エヴァンの腹の音が鳴る。成長期でご飯を抜いて来てしまったのは流石にこの暑さだと堪えるだろうか。
「これも採取しましょう」
セロンガードは文字通り視界に入ったサボテン全てを短剣で刈り取っていた。シラー砂漠唯一の緑色がローラーのように綺麗に無くなっていく。
「水と塩用意したからなー……って腹の音凄いけど大丈夫か」
サイラスは《ピュアウォーター》と塩を自分や足りない者に配ろうと思ったら、それより腹が減っているエヴァンが気になっていた。
「味、きになる。甘い? すっぱい?」
一方、同行のダオシエはサボテンの味予想に夢中であった。
●トゲトゲパーティ開始
「ん、あれは……魔獣」
水分補給をしていたアルシエラの捜波が反応した。各自臨戦態勢に入る。相手は一匹だけ……かと思いきや、遠くから地響きが聞こえる。
「何の音!?」
アルマが慌てて遠方を確認する。
「あ……あれは!」
エヴァンが指差す方から、巨大なサボテンが転がって来た。今回のメインターゲット、親玉サボテンである。しかも地面から這い出てくるサボテン魔獣が周囲に追加され、あっという間に戦場が形成された。
「来ましたね」
セロンガードは前衛に出る。《ヴェヒター・ヌル弓剣術》の力を最大限引き出す為だ。そして、《炸光矢3》をを放ち周囲の敵諸共ダメージを与えていく。
「行くよ」
アルシエラは近くのサボテンから仕留めるべく、鞭から《ゲイルボム》のエーテル玉を放ち炸裂させる。
「支援飛ばすねー!」
アルマはエーテルの波動を解放して《ハウリング・オブ・ブルーフレア》の力を全員に付与する。と、ここで親玉サボテンがスピンを行って棘を飛ばしてくる。
「来ましたね……!」
間一髪で棘を躱すセロンガード。
「ん、ありがと……」
アルシエラも軽傷で済んだ。ブルーフレアのお陰で全員大事には至らなかったが、やはり親玉から倒した方が後々厄介事は減るだろう。
「分断を狙ってみます」
エヴァンは《タイダルストリーム3》の巨大な光波を放って親玉と子分の間を目標にダメージを与えに行く。子分のサボテン達は別方向に避けたり親玉と一緒に回避を試みたりして、幾分か分断に成功した。
子分サボテン達はそれぞれ前に居たセロンガードに抱き着いたり棘を飛ばしたりを試みるが、最大限発揮されたヴェヒター・ヌル弓剣術がそれを許さない。エヴァンの方へ棘を飛ばしても、サイラスの《庇護翼》がそれをしっかりとガードする。
「頭から潰すか」
《鋭射2》を放ち、親玉サボテンにダメージを与えていくサイラス。若干、実がへこんだだろうか。
「ダオシエ、回復させるよ!」
サイラスにひとまず《ヒール》を行使したダオシエ。力は低けれどその潜在能力は侮れないはずだ。
「親玉から倒しますか。了解です」
セロンガードは《グラヴィティボルト2》を親玉サボテンに向かって放ち、命中した重力波エーテルが親玉サボテンを蝕んでいく。
「じゃあ……取り巻き倒しておく」
アルシエラは《ゲイルボム》を放ってエーテル玉を炸裂させる。子分のサボテン2匹がその場に倒れた。実が爆発しなかったのは幸運かもしれない。
「ドーンと行っちゃうねー」
アルマは《祈雷2》を仕掛け、霧が戦場に発生する。その後サボテン達が焼かれる事は必至で、後は上手く棘を削げるかだ。
そして、親玉サボテンがセロンガードに接敵して棘の腕で殴らんと襲いかかって来る。サイラスが《庇護翼》を広げ、重い一撃が翼に降って来た。
「思ったより棘痛いな……次、ヒール頼むわ」
サイラスの要請に、アルマとダオシエが頷いた。
「手下を減らします。下拵え? しましょうか」
エヴァンは《メテオライト3》を降り注がせ、3匹がその場に倒れて棘が抜ける。これで親玉含めて6匹だ。子分達はサイラスにターゲットを切り替え、全サボテンがサイラスが埋もれる程必死で抱き着いてくる。
「やっぱり親玉倒さないと話にならんかもな」
再び《鋭射2》を親玉に向かって放つサイラス。そこそこ削げて来ただろうか。
「怪我、なおすよっ!」
ダオシエの《ヒール》がサイラスを優しく包んでいった。
《祈雷2》の雷がサボテン達を襲い、追加で子分が1匹倒れた後。
「これは、更に命中力を下げねばいけませんね」
セロンガードは《攪乱射撃3》を放ち、親玉サボテンの太い腕にエーテルが侵食していく。
「結構数も減ったし、親玉狙う……」
アルシエラは《キラービート》を鞭から放って親玉の棘を削り取った。
「それじゃ、回復するねー」
アルマの《ヒール》がサイラスを包み、傷を癒していった。親玉サボテンがサイラスに叩き込もうとした殴打攻撃は、今までのエーテルの力で見事に外れて地面が揺れる。
「親玉狙い、了解です!」
エヴァンも《魔弾2》を放って加勢する。親玉はふらつき始めた。
「まあ、もう少しだろうし」
サイラスが射った《鋭射2》が親玉の棘とわずかな実をゴリッと削った。4匹の子分は親玉を心配するような挙動を見せつつ、サイラスとセロンガードに分担して棘を飛ばす。だが問題なく、二人はブルーフレアが上げた回避力で避ける事に成功した。
「ダオシエ心配、あとちょっと回復する!」
そう言ってダオシエは更にサイラスに《ヒール》をかけた。
●親玉サボテンが亡く頃に
「幸い、物理特化のようですしこれでやり易くなるかと」
セロンガードは《重撃射3》を放ち、命中した親玉サボテンの回避力を下げる。
「もう少し棘取る……」
アルシエラが親玉サボテンに放った鞭による《キラービート》で棘は更に取れていく。くらくらとし始めた親玉サボテンに子分達は慌てている素振りを見せた。
「よーし、倒しちゃうよー」
アルマが放った《魔矢》で――ついに、親玉サボテンは身体を後ろに揺らして倒れる。
「最後の処理ですね!」
エヴァンは《メテオライト3》で子分を丸焼きに、もとい刺抜きしていく。2匹が倒れ、残す2匹は慌てて何もできない。サイラスが《炸光矢3》を放ってトドメとしたのだった。
「す……すごい! これが、ベテラン?」
ダオシエはアルマにハイタッチして喜びを噛みしめた。
●冒険者と美味しく頂きました
サボテン魔獣達をお持ち帰りするのには手間がかかったが、アルシエラのマジカルポケットに入れたりなど各自工夫して何とか概ね持ち帰る事が出来た。そしてハッシリ村では、ミルキーが出迎えてくれた。
「お帰りなさい! ダオシエどうでした?」
「ヒールがんばったよ!」
ダオシエは嬉しそうに自分の分のサボテンを抱えてミルキーの所へ駆けて行った。
調理開始だ。まずはブラシで表面を擦り、棘を落としていく。
「砂糖と蜂蜜に浸けてみましょうか?」
「相性よさそうかもー」
セロンガードの提案もあり、アルマが《艶香の蜜花》を取り出して、試しに果実の上からトロリとかけてみる。
「どんな味がするのかな……?」
短冊状に包丁を入れるアルシエラ。サイラスは棘座を切り落としていきつつ、サボテンと果実の味見をしていた。
「甘いな。ジャムとかにも出来そうか?」
果実だけでなく身も甘いサボテン、フルーツ盛り合わせになるよう角切りにしていくサイラス。
「ほらエヴァくん、あーん」
アルマがエヴァンに蜂蜜サボテンを差し出す。
「美味しい……♪」
蜂蜜のかかったサボテンの果実はまた違った甘味を感じられた。
セロンガードは蜂蜜と砂糖に浸けたサボテンを瓶に詰めていく。大量に出来そうなので余りを持ち帰れそうだ。
「村で保存食にして頂くのもありかもしれませんね」
ダオシエはそれを見てよだれをたらしそうになっていた。
「果実に蜂蜜なんて最高……」
アルシエラはサボテンの本体もまた美味しいと思いつつ果実を頂くのだった。
「果実だけ食べますか? 魔獣の身肉部分はすり潰してドリンクとか、刻んでサラダ……とか」
身肉をゴリゴリと潰していくエヴァンとサイラス。一方はドリンクに、一方はジャムに。サイラスは汁を抽出した後煮詰めていく。アルマは刻んで《食用野草オイル》を使ったサラダを作り、更に塩胡椒をまぶしてサボテンステーキを作っていた。余りはピクルスにするようだ。
「それじゃあみんなも良かったら召し上がれー♪」
ステーキが出来上がる頃には各々の作っていた物も完成する。
「お疲れ様でした~、頂きます!」
《ブロッサム・ティーセット》と共にサボテン料理、主にサラダを頂くエヴァン。
「美味しいー!」
サボテンステーキを頂くアルマ、戦った後の肉は美味しい。
「おおー……何か贅沢かも……」
アルシエラもステーキやサボテンの盛り合わせを頂いて、思わぬフルコースに舌鼓を打った。
「美味いな。大発生してなければ村の産業になるんじゃ?」
「あ、それ良いですね!」
サイラスが何気なく言った言葉にミルキーが手を叩いた。
「ダオシエ、こんなおいしい物はじめて食べたかも……!」
ダオシエは目をきらきらさせながら食べ進めていた。
「そういえば、村長になる話どうなったのー?」
アルマがステーキを平らげながらミルキーに尋ねる。
「何か思いついたが吉日! みたいに言ってて、明日には村長交代するらしいんですよ……はは」
目をぱちくりさせて聞いていたダオシエだったが、村にとって重要な事を言っているのは確かだと感じた。そして、皆で美味しく頂いた後は各自持ち帰る者はサボテンを持って、解散していくのだった。
「それじゃあ、今回はありがとうございました!」
ミルキーは明日からどうしようと思いつつ、ペコリと頭を下げて礼をした。
マスターコメント
サボテン魔獣を無事に狩れて美味しく頂けました!
ダオシエは今回の経験で少しレベルが上がったようです。
なお、唐突だった村長交代は次回のシナリオから反映となります。ミルキーは次期村長卒業です。
ご参加下さりありがとうございました!
ショートシナリオ普通 報酬:標準5 / 4〜10人
2022年07月05日 18時42分39秒 公開
大成功
相談掲示板
No.1
サイラスだ、まあ今は一人だが とりあえずピュアウォーターや温度耐性があれば良い感じかね
シューターのセロンガードです。 よろしくお願い致します。 親玉サボテンを倒すと統率が取れなくなる様なので、それが目標でしょうか。 水袋辺り、持っていきます。
キャスターのエヴァンです。 美味しいサボテン料理を食べに来ましたー! ぼくもお水持参しますね。ヨロシクです。
ヒーラーのアルマだよ、どーぞよろしくねー せっかくだからサボテンと果実でなにかつくってみたいなーと ボクもお水とか準備していくようにするねー いちおう擬態対策に看破も持っていこうかなあと
ハフビシューターのアルシエラ、よろしくね。 ハッシリ村パーティーがんばる。