【樹謂】老、世界樹の声を聞きに

狐野径

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シナリオID:2267

オープニング

●前夜
 【ハイアルヴ】は世界樹だった。
 その事実を知ると同時に、その声を聞くなという。
 【ハイアルヴ】ではないもののお告げ。
 世界樹の真意がわからない。

 世界樹はうねる。
 何かを訴えるかのように。

 グレイオンスは聖鳥(メイルアイレ)の族長の死を受け止め、すぐに次の手は打った。
 各地から集まる冒険者に対する依頼。
 自分は世界樹の下に赴き、現状を聞く。
 出かける準備をしないとならないが、ひと段落ついたところで、力が抜けた。

 暗い部屋でぼんやりとする。
 ノックの音がするが反応はしない。
 ウル・ヘルバが入って、
「てか、暗っ」
 というと、すぐに明かりを付けた。
「で、何か食べた? おばさんが、もってけ」
 テーブルに置かれた盆には具だくさんの温かいスープの入った器とふかした芋が載っていた。
 ウルは茶を淹れると、椅子を引くと前に座る。
 グレイオンスが全く反応していないため、ウルはじっと見ている。
 ウルは立ち上がると、グレイオンスの頭をなでた。
「……!?」
「泣きそうだから!」
「泣きそうか」
 グレイオンスが静かに返す。
 ウルは椅子に座りなおす。
「泣きそうだよ。ま、仕方がねぇだろうなぁ、知り合いが……」
 グレイオンスは何も返さない。
 ウルは何を言っていいか悩み。頭を掻いた。
「泣けばいいじゃね? 今は」
「そうか、泣けばいいか……いや、準備をしておかねば――」
 グレイオンスは片手で目を覆った。
 ウルは目を背ける。
「明日でいいだろ? どうせ、準備っていったって、弁当くらいだ。とっとと休めよ。大体、グレイが倒れたら終わりだぞ? ルインは族長がどうにかするだろうけど、外との折衝役っていうと、グレイを頼るし、皆」
 源流氏族のうち存命の四氏族の長は、救援に来た人々と顔は合わせている。
 だから、何かあれば対応はできるだろう。
 ただし、多くの人の信認を得ての対応になるかどうかは別だ。
 ウルはキツネの耳を横に引っ張る。
「俺はここで手伝うよ。本当はグレイについていこうかと思ったけど、馬車使うんなら姐さんたちが行くだろうし、冒険者も来てくれるだろう? 破壊者ってやつらの方がここに来る危険は高いぽいし」
 先日、何かの啓示を受けたらしい襲撃者がここにもいた。
 冒険者がいたおかげもあり、被害は最小限で済んでいる。
 襲撃者が一般エルフが相手なら里の自警団でも対応はできても、もしも授恵者な場合、盾となる人物は必要だ。
 グレイオンスはいつもの顔で、手を伸ばし、ウルの頭をなでる。
「なんで!」
「仕返しだ」
「違う! いつも俺ばっかり!」
 グレイオンスの頭にウルは手を伸ばすが、身長差による手の長さの違いはどうしようもなかった。

●世界樹の声を聞きに
 世界樹の下に出発するグレイオンス。
 その移動に使うのはナツキ・エルとハルシ・エルの馬車だ。
 ナツキは不機嫌極まりない。
 ハルシはナツキに声を掛ける。
「私たち、戦えるけど、結構足引っ張ると思うよ? 帝国過激派なんて組織立ってる人たちでしょ」
「わかってるけど! それより、なんで、爺様と面と向かって乗らないといけないの!」
「別に、御者台でもいいよ? ナツは」
 ハルシが淡々と提案したが、ナツキは静かに後ろに乗った。
 ハルシはため息をつき、見送りのためにいる里の人たちを見る。
「冒険者いるし、私たちはグレイオンスさんを無事に送り届ける点に集中します」
 ハルシは不安そうなウルの頭をなでる。
「なんでなでるんだ!」
「じゃ、行ってくる」
 ハルシが御者台に乗ったため、ウルはため息をつく。
「世界樹までは巡礼も多く訪れている。だから、人の通る道はしっかりある、ぬかるんでいなければ簡単な道のりだよ」
 ハルシは微笑んだ。

 魔物や魔獣などと出会ったが、問題なく世界樹の近くまでは到達できた。
 平穏な時の巡礼であれば、ここで胸をときめかせるだろう。遮るものが減り、真っ直ぐ見える世界樹を見たときに。
 現在は、世界樹は脈打つように幹を震わせている。
 苦しみか、怒りか、何だろうか?
 フィルエス大森林で起きている大異変も合わさり、不吉で不穏なものに見えた。
 ただ、世界樹自身に語ってもらう必要がある。
 馬車から頭を出して、グレイオンスはしばらくその大樹を見る。
「触れることができるところまで近づきたい」
 何による妨害があるかもしれない。そのために、一番近いところで声を聞くことを考えた。

 巡礼者が多く行きかっていただろう道を一行は進む。
 あの世界樹が見えるところからどのくらいでつくかは推測ができていた。
 しかし、道を進めども、世界樹には近づかない。
 世界樹には近づくけれども、一定のところに行くと、距離が開いている。
 不審に思い状況をじっと見ていればわかった。
「うそ! ダンジョン化してるの? それも迷惑なやつ!」
 ナツキがうめいた。
 エーテルの不安定化で発生したダンジョン。
 その中心にあるコアを壊せばダンジョンは消える。
 迷わされているとなると、そこに到達できるかもわからない。
「敵がいて、どーん、の方が楽」
 ナツキは腕をぶんぶん振る。

 ハルシは馬車の手綱を握り、ダンジョンの様子をうかがっていた。
 ある点に来ると一定のところに戻る。
「一回戻ってみる」
 ハルシはグレイオンスや同行の冒険者に宣言すると、Uターンした。
 すると、世界樹は離れていき、特に異変はない。
 聞こえる音から考えるとダンジョンから抜けた感触がある。
「行くよ」
 そして、世界樹に近づく。
 異変の発生する一点、つまり、ダンジョンの入り口と進めば戻される点は明確になってきた。
「エーテル澱み……ダンジョンコアは範囲内にあるんだよね」
 ハルシは考える。
「迂回するのは……」
 地理を考えると帝国過激派がいる位置を知らないと無理だ。
 馬車を使わないとなると、グレイオンスの移動が問題だ。
 グレイオンスが御者台に顔を出す。
「このダンジョンの破壊をしないと、被害が増える可能性がある。それに、迂回するのも危険は付きまとう」
 ハルシは理解する、その通りだと。
「でも、どこに中心となるものがあるかわからないよ」
 ナツキがうめく。
「脇道があるのかもしれないし、何か他にまぎれている人や動物、魔獣がいるかも?」
「逆に、何かいるなら、手がかりになるよ」
 ハルシが言う。
「獣道ができてるかもしれない」
 冒険者はこのことを考えてダンジョンと化した森を進むか、別の方法を探すかになる。

解説

●目的・目標  ダンジョン化している場所をもとに戻すこと。  世界樹までグレイオンスを連れていくこと。 ●ダンジョンの様子  いわゆる迷いの森状態。  巡礼に使っている道を特定のところまで進むと、ダンジョンの入り口に戻っている。  道の両脇は灌木や木がある森ではある。  正しい道を進めれば、広場になっており、魔獣や魔物と思われるものがいる。  広場の中心にはなぜか木の実が山となっている。  広さは戦うのに問題はない。ただ、周囲は木が生えているため、そこを利用する敵もいるかもしれない。 ●敵  ・動く灌木×4 高さ150センチほどこんもりした灌木に見える。  地面に近い位置でツタを伸ばし攻撃をしてくる。20メートルは伸びるようだ。  ツタが足に絡まると転ぶことになる。  なお、つかまれたままでいると、一定期間経つと生命力を持っていかれる。  別にリスとは仲がいいわけではない。冒険者が来るとそちらにも向かう。  ・リス×6 リスにしては大きく、高さ120センチ。尻尾もそのくらいあるため、魔物か魔獣。  地面を走り、敵に襲い掛かる。  鋭い前歯で切り裂く。背後に回った敵がいれば、尻尾でたたくこともある。  なお、木に登ることも可能ではある。  別に灌木と仲がいいわけではない。冒険者が来るとそちらにも向かう。 ●NPC※特に何も言われなければ、ダンジョンの外で待つことになる。  ・グレイオンス エルフ、最古老の一人。  ・ナツキ・エル エルフ、女性。キャスター。比較的「突撃」タイプ。  ・ハルシ・エル エルフ、女性。シューター。冷静沈着。

マスターより

 こんにちは、狐野径です。  世界樹に真っ直ぐ行ければ苦労しませんということで、ダンジョンに巻き込まれました。  迷いの森風ですが、コアとなっている物がある場所はわかりそうです?  依頼内容、正確に言うならば「往復の護衛」ですけれども、リプレイ自体は往路のみの取り扱いとなりますので、送り届けるという表現になってます。なんとなく蛇足ぽいけど、イメージとしてということでとらえていただければ幸いです。  よろしくお願いします。

リプレイ

●現状
 ライナ・フレイヴァルツは状況を考えると、渋面になってくる。
 ダンジョンがあえて世界樹に続く道にできているということが、世界樹の意思なのか、また、別の者の介入かと推測がいくつも組みあがっていく。
 世界樹にかかわる存在として「混沌の残滓たる大腐樹」がよぎる。その残滓が影響しているのではないかとも……考えても埒が明かないので、ダンジョンをどうにかして進まないと鳴らない。
(世界樹の元まで行けば……その答えと、私が失った物の手掛かりがつかめたりしないだろうか)
 フィルエス大森林の大異変は、否応なく故郷であったことを思い出させるのだった。

 フロマーシュ・ダイヤドロップは世界樹の異変、森の出現したダンジョンのかかわりを考える。ダンジョンの出現が増えたり、世界樹の様子の変化はいつからかなど、不明な点は多い。
「何か、きっとつながりがあるはずです。解決のためにも、無事、森を戻し、グレイオンス様が世界樹にたどり着けるよう、みんなをお守りしていきます!」
 決意を新たにする。
 
 トーラはハイアルヴが世界樹という事実に驚くとともに、
「その声を聞くことはわたしにもできるんでしょうか?」
 と疑問を持つ。ダンジョンでその声を聞いたという人たちもいたからだ。
 確認するにしてもすべきことは、目の前のダンジョンをどうにかすることだ。
 グレイオンスたちにはダンジョンの外で待って居てもらうとして、
「一定間隔で石を積むなど目印を置いて迷わないようにしたいですね」
 ループするため、より一層注意が必要だった。

 エルは世界樹の様子を考える。
(原因が世界樹なら様子を見に行くのも必要です。理由がわかれば対処方法もわかります)
 世界樹とグレイオンスがうまく交信できれば、原因が一つずつわかるかもしれない。
 そこに大森林に侵攻している帝国過激派の動きがかかわり、一層不安が生じる。
(帝国過激派が何かしたのか、それとも、たまたま……? 帝国過激派……ボルガニクス様の時といい、今度のことも。いくら現皇帝といっても、アレをよしとするなら……)
 帝国民ではないが複雑な思いが錯綜する。
 ダンジョン探索が先だと、現在には不要なことは考えるのを止める。
「グレイオンスさんたちはここで待っていてください」
 告げた後、ペットの狼(ウィル)の首をなでた。

 ダンジョンとなる区切りを踏み越える。
 周りの景色は何も変わらないため、本当にダンジョンなのかと不思議に思う。
 一方で、植物共感をしてみても、植物に異変を感じない。

 サイラスは入り口に戻される直前に印をつけるつもりである。仲間がロープで印をつけているのを見て、それを覚えておく。符合にはなるから。
「まずは、道なりに行ってどこで、ここに戻るかの確認だ」
 そのあとは、脇道があるならばそれの確認をしていく。脇道を進んでその道や全体の入り口に戻されるのか、どこかにたどり着くかなどわからない点は多い。
「当たりを引くにはハズレを切り捨てていくことが基本だろう」
 地道に進むしかない。

 一行は、用心深く前に進んだ。

●探索
 異変があると思わなければ、森の中の道にしか過ぎない。

 トーラは周囲の地形を双波で確認していく。
 エーテルの影響を受け不自然なものがあれば、それを始点にダンジョンのコアを探そうと考えた。
「獣道みたいなのがありますね」
 それらしいところは複数ある。
 発見したところのそばには、石を積んでおいた。
 次、確認する際の目印になるはずだ、何もなければ。

 ライナは自分たちが想像している道、すなわち正しい道と思っているところを進めるように、印をつけたり、天眼を働かせて周囲を見る。
 魔法的な措置がないか魔法知識で観察する。ダンジョン化が何で発生しているか、それに乗じて何かしているか、わからないことは多いのだから。

 フロマーシュは植物共感を用いて手がかりを探したり、気になるところがあれば、ロープや閃光塗弾で印をつける。
「静かな森と思えるだけが違和感なのでしょうか?」
 不安が生じるが、解決のために頭を働かせ、仲間を守ることが重要だ。

 サイラスはこの先進むと入り口に戻るだろうところに来た。一度はここを通っているため、推測しやすい。そこに印をつけておく。
「これがどうなるか」
 サイラスたちは前に進むと、ダンジョンの入り口に設置した印があった。
 これにより、ダンジョンの一本の道はわかった。
 次に獣道の状態を見ていくことになる。
 トーラが確認しているため、まずはそこから、状況を看破していくことになる。

 エルは捜波で道を探し、超聴覚やウィルの力も借りて、警戒していた。
 進む方向感覚を意識し、進んだ歩数をメモに取り、マッピングしていく。そうすることで自分たちの位置が把握しやすくなるし、正しい道もわかるかもしれない。
 なお、メモには仲間が作った目印も書いていく。
 エルは入り口に戻ったところで「音がしてはいました」と情報共有を図る。
「木々が揺れるような音、です。こっちのほうなのですが」
 ライナは「風が吹いているならまだしも……ここは」と周囲を見る。
 フロマーシュが「今は無風ですよね」という。
 風で木々が鳴るならば、この辺りだって音を立てていてもおかしくはないのだ。
 サイラスは「そっち側の獣道を先に見てみるか」という。
 一つずつわかったことを確認していくことで道があぶりだされるだろう。
 獣道の入り口で観察をすると、道はあまり使われていないが、続いていることがわかる。
 何か通った形跡は今はないように思えた。
「行ってみないとわからないか」
 トーラも改めて双波で確認する。
「道の先は行き止まりか、ループするとかあるわけですよね」
 そして、行ってみることになる。

 一つ目は一定距離進むとダンジョン入り口のところに戻っていた。
 二つ目は先に進むと耳を澄まさなくとも何かの音が聞こえる。
 この道がつながっているかわからないが、何かがいるという感覚が強まる。
 不意打ちを食らうのは避けるため、警戒を強めた。

●広場
 木々が途切れ、広場になっているところに出た。
 そこには魔物か魔獣と思われるものがいた。
 ライナは「リスか……? それにしてもずいぶんと大きいな」とつぶやく。
 一つは足から頭までは120センチくらい、尻尾も含めると倍はありそうなリスある。
 もう一つは灌木であり、動いている。
 リスや植物のようなものたちは、こちらに気付いていない。
 サイラスは「近寄らないというのもありでは?」と提案する。
 それらが共倒れになってくれるのを待つというのも一手だと。
 エルは「襲ってこないならそれもありですか?」と考える。
 ライナは観察を進める。
「木の実が山となっているところがあるが、その下にダンジョンコアがあったりしないだろうか?」
 そうなると、リスや植物は邪魔であり、敵の掃討を行う必要ある。
 トーラは話を聞きながら、観察する。植物よりリスの方が多いため、それらを一対一にすることは必要かもしれないと考える。
「先に、リスの方を減らす方がよいでしょうか? 誘導していく……とか?」
 ただし、植物はツタを伸ばし攻撃しているが、リスの方は素早い動きで植物を翻弄し、攻撃は頻繁ではない。一進一退状態だ。
 リスを減らそうとすれば、どちらにも気づかれるだろう。
 トーラは「難しそうですね」と悩んだ。
 フロマーシュも木の実は気になるが、仲間の出方を待つ。何があるかわからないため、すぐに守れるようには待機する。敵の動きを観察して、どういう守りがいるか想定はした。
 前に出てかばえるのが一番いいだろう。

 観察していても、その間に敵が減るという事はなかった。
 そのため、積極的に討伐することになる。

 トーラは植物側の後ろに回り込み、リスを攻撃することにした。
 リスが誘導され、植物に向かう可能性を考えた。
 敵の数とリスの素早さを考え【破腱撃3】を用いた。命中すると、リスは攻撃したトーラをとらえたようだった。
「やはり、難しいですね」
 トーラはそこからすぐ移動した。敵の数が多いため、囲まれるのを避けるために。

 エルは後衛の位置からリスに狙いを定める。
 敵がまとまった瞬間が見えたため【炸光矢3】を用いた。
 リスに限らず植物の方も巻き込まれるならその方がいい。
 数を減らすためにも少しでもダメージを与えていきたい。
 ウィルは周囲に警戒、状況に応じて動いてもらう。

 フロマーシュは植物と対峙する。植物のツタは鞭のようにしなって伸びる。低い位置であるため、足に絡みつけば転倒し、移動や行動ができなくなる危険がある。
 【騎士の誓光】で注意を引いた。
「こちらで相手いたします!」

 サイラスは矢をつがえ、まとまっている敵に向かい【炸光矢3】を放つ。
「必要ならカバリングはするが」
 今回は、距離があるうちに対処するタイプの装備に重点を置いている。結果、盾がない。
「肉壁必要ならするけど、至近距離で攻撃するのは面倒なんだぞ」
 リスの動きを考えると、乱戦もありうるとして、早く倒したいと考える。とはいえ、臨機応変に考える。

 ライナは敵の位置はまとめて攻撃する好機だと考える。今ならば仲間が巻き込まないため【心燃】から【タイダルストリーム3】を用いた。
 攻撃が重なった敵は倒れた。
「最初からすべて倒せるとは思ってはいない」
 スピードもだが、的確倒すのが重要だった。

 リスも植物も人の介入に気付く。
 植物はリスも狙っているが、リスで植物に狙われていない個体は冒険者を狙いはじめる。
 威嚇する様は、ここがなわばりだというようだ。素早く近づき、とびかかってくる。

 フロマーシュには植物が、トーラとサイラスにリスが向かう。
 植物のツタは盾で防がれ、リスの噛みつきは回避や受け流す。

 続いて冒険者たちは対峙している者は前にいる敵に、エルとライナはマークされていないため、仲間が攻撃したものに攻撃を叩き込んでいく。

 植物は弱ったリスを巻き取っていた。
 そのままその植物は動かなくなるが、その様子から「生命力を吸い取っているのか」と感じられた。もし、冒険者が巻き付かれた場合も、そうされる危険性はある。
 用心しつつ、冒険者たちは一体一体倒していき敵対していたモノたちを倒した。

 ケガがひどければ【ヒール】で治したり、倒したものから何か素材が拾えないか確認したりした後、一行は木の実の山の調査に入った。
 コアがある可能性も考え、木の実を観察する。
 植物共感したものは「これ、植物ではない?」と気づく。
 エーテルの澱みのようだっため、破壊を試みた。
 あっさりと壊れ、空間が戻っていくのを感じた。
 景色は変わらないようだけれども、急いで脱出するのだった。

●世界樹へ
 ダンジョンの外で待つグレイオンス、ハルシ・エルとナツキ・エル。
 ハルシは冒険者がいないため、警戒を強めていた。
 そのような中、グレイオンスが世界樹を見て「あれは」とつぶやく。
 ナツキが「ちょ、何あれ……」と絶句する。
 世界樹のうごめきがひどくなったのだ。
 まるで、嫌なことをされたかのように。
 しばらくすると、ダンジョンにいた冒険者たちが現れた。

 ライナはグレイオンスたちが無事なので安堵した。ダンジョン以外何が起こるかわからない状態で心配ではあった。
「コアを壊せたから、ここを通れるようになる」
 フロマーシュが「何かあったのですか?」とナツキの様子を見て、視線の先を見た。
 エルはウィルがおびえるのを感じる。エルはウィルをなだめつつ、世界樹を見るが、その姿を見て恐怖を感じた。
 サイラスは「さっきより悪化したか?」という。
 グレイオンスは「先ほどからだ」と静かに言う。
 サイラスは少し考える。
「コアを壊した直後、か?」
「おそらく」
 世界樹がさらに異変を感じさせるようになったころと、コアを破壊した時間は合致する。
 グレイオンスは今、ここで生じた一つの疑念に「問わねばならない」という。
 エルは「問うっていうと……」と現状を考えると様々な疑問が浮かぶ。
「世界樹はどうなっているのか? 状況と対処方法の把握、エーテル石を借りられて持ってこられたとしてもどうすればいい? あとは、何があるか……」
 現状を整理するようにつぶやく。
 聞くのはグレイオンスに任せるとしても。
 世界樹の様子からトーラがよぎるのは天霧に消ゆる幽界樹の変異体のことだった。
「まさか寄生されているとかではないですよね……?」
 不安だからこそ、確認はしないとならない。
「出発しましょう。あと一息です」
 フロマーシュは促した。
 植物共感をすると、一般的な森で感じる状況と変わらないのがわかった。

 世界樹に触れることができるような位置まで来た。
 ただ、近づくにつれて、よじれるような幹は威圧に感じた。
 巨大な樹であるため、枝の一つでも降ってこようものなら、下にいる人々はぺしゃんこだ。
 ここで交信するのは、あくまで余計なものが入りづらいようにするためだ。
 効果があるかわからないとしても、不安要素は消すことが重要だ。

 グレイオンスは世界樹を見、触れた。
 対話しているとしても、瞑想のような状態であり、冒険者には伝わらない。
 木々のざわめき以外は静寂が漂う。

 冒険者も世界樹に触れることは可能だ。
 トーラは【植物共感】を用いて、何か感じようとした。植物に用いたときとは全く違う感触だ。テレパスを受信するときに似ているかもしれない。
「植物ですよね?」
 ナツキが「『木』に見えるけど、違うんじゃないかなぁ、古い存在だし」と答える。征竜と同じころからいる存在という事を考えれば理解できそうだ。
 対話が終わったグレイオンスは「戻ろう」と急いで馬車に向かっている。
 ナツキが「爺様、何かわかったの?」と問う。
「ダンジョンのことくらい教えて。帰りも安全だって保障ないし! この子たちが頑張って解決したんだよ。大体、コア壊したくらいにあれだよ!」
 グレイオンスは「ダンジョンは世界樹が『力』を補うために作ったものだ」と答えた。
 エルが驚き、口を開く。
「エルフとか生き物から得ようとしていた、ということですか?」
 ライナは言葉を失う。世界樹の状況とダンジョンの増加はつながる。故郷を思うと怖くなる。
 グレイオンスは静かに返す。
「詳細は族長たちに話す。ただ、世界樹は役割を果たし、我々も同じだ」
 サイラスは「合理的であるけれどもな」とつぶやく。巻き込まれて命を落とした者がいた場合に納得できるかは別だ。
 フロマーシュは衝撃は受けたし、ライナが心配であるけれども、努めて明るく言う。
「グレイオンス様を送り届けるまでが仕事です!」
 トーラが疑問を発する。
「帰り道は安全ってことはあるんでしょうか?」
 その確約はなかったが、冒険者の力もあり、里まで到着するのだった。

マスターコメント

 ご参加ありがとうございます。  ダンジョン探索、慎重にしていただいて嬉しく思います。また、コア、そこだよそこ、という声にも傾けてもらえて……。結果、大成功ということです。  大森林はどうなるのか! 世界樹は、エルフは! という事で【樹謂】進みます。  ご縁があれば、またお会いしましょう。
ショートシナリオ

ショートシナリオ普通 報酬:標準5 / 4〜6人

2022年06月29日 10時04分10秒 公開

大成功

相談掲示板

  1. ライナ・フレイヴァルツ

    キャスター、ライナ・フレイヴァルツだ。 宜しく頼む。 ハイアルヴは世界樹と同一の存在である…か。 しかし源流氏族の長たちがそう言うのだから、やはりそうなのだろうな。 かつて6世紀に世界樹に寄生した『混沌の残滓たる大腐樹』の討伐に成功したと伝記があるが…。 最近の森の出来事を顧みても世界樹にその残滓が残っているのではないかと勘繰ってしまうな。 さて今回の依頼は… 護衛しながら、ダンジョン化した迷いの森を元に戻す為の探索もしなくてはならないので 中々苦労しそうだ。 ダンジョンコアの場所だが、過去の依頼の報告書から 「最もエーテル濃度が濃いとされる場所にダンジョンコアがあること」 は判明しているようだ。 今回の場合は…広場の中心にある木の実が山となっている場所が怪しそうか? 単純にリスが集めた物かもしれないが。何かしらの手がかりにはなりそうだ。 …しかし、なぜ世界樹の近くでダンジョン化が…?

  2. フロマーシュ・ダイヤドロップ

    ウォーリアのフロマーシュ・ダイヤドロップと申します。 皆様よろしくお願いいたしますっ! ハイアルヴと世界樹が同一の存在… ダンジョン化にも、ライナ様がおっしゃったように、大腐樹の残滓が影響しているのでしょうか… 敵を退けながらダンジョン化の元を探すのは なかなかに大変ですが、 無事ダンジョン化を解き、目的地までたどり着けるよう、皆様もグレイオンス様たちも、 全力でお守りして参りますのでっ!

  3. No.3

    サイラスだ、よろしくなー とりあえずルートに関しては一定間隔で傷や塗料で目印を付けて、入り口に戻されたらその方向はハズレで見てけばええんでない? 敵は擬態とか木に登って隠れるタイプがいそうかなと。

  4. エル

    エル、です。…シューター、です。 どうぞ、よろしく。 >ルート そう、ですね。サイラスさんの言うように、ハズレを消していくと良いかも、です。 わたしは、とりあえず、捜波と超聴覚で警戒、してみます。 …わたし、知らないんですけど、エーテル濃度を測る方法、は何かあります、か? あれば、高い方向を目指せるかも、ですけど…。

  5. トーラ

    シーフのトーラです! よろしくお願いします! エーテル濃度の高い場所についてですけど、エーテルだまりを探そうとしたときエーテルの濃い場所を探そうとした事があるんですけど、上手くいかなかったので濃度を調べる事は出来ないみたいです。 とりあえずわたしも双波で地形の把握をしてみようと思います。それと、植物共感で森の木に触れて、エーテルだまりによる変異を受けていることが分かれば、影響の強い木多い方にダンジョンコアがあったりしないか分からないでしょうか? なので看破と植物共感を持っていきますね。

  6. エル

    エーテル濃度を調べるのは無理、なんですね。 トーラさん、教えてくれて、ありがとう、ございます。 やっぱり、地道…? 森の木の、エーテルだまりの影響を調べるのも、良いかも、です。 あ、ええと、グレイオンスさんたちは、ダンジョンの外で待っててもらうで、いい、んです、ね?

  7. トーラ

    そうですね。グレイオンスさんは外で待って貰って、ナツキさんとハルシさんは護衛に残って貰えばいいと思います。 とりあえず、個人行動は索敵とダンジョンコアの捜索、戦闘ではBS付与中心で行かせて貰うので、他の方は攻撃に集中して貰えたらと思います。

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0