【球祭】1222シーズン後半戦
革酎
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シナリオID:2234
オープニング
●1222シーズン、決着へ
リーンエス王国の一部の貴族の間では、野球なる球技が流行っている、らしい。
真偽の程は定かではないが、少なくともレオポルド・グラハイム伯爵が主催するグラハイム・リーグ(略称グ・リーグ)という素人野球リーグが存在することは確かである。
このグ・リーグには以下の四チームが参加している。
ルドル・フォラー・カルツロンド伯爵のチーム『ファルシオンズ』
マグラウリー・メルゲンガー伯爵のチーム『エストックス』
ヘルマス・ジーロー伯爵のチーム『スケールス』
キャゼル・ベルティック伯爵のチーム『マーシーズ』
素人野球とはいいながらも、各チームはそれぞれのホームグラウンドを持ち、試合そのものも細かく定められたルールに則って実施されている。
球審と塁審は各貴族家の家士から選抜され、それぞれが徹底的にルールを叩き込まれ、ミスジャッジが発生しない様にと厳しく教育されているのだという。
グ・リーグの歴史は意外と古く、グラハイム伯爵の先々代辺りから続いているというから、案外侮れない。
野球という球技が王国内にどこまで知れ渡っているかは定かではないが、チームを持つ四家とグラハイム家では毎年シーズンに突入すると、結構な盛り上がりを見せているとの由。
そして1222年も春季キャンプを終え、シーズンが開幕した。
昨季は各チーム45試合ずつを戦ったが、今年は試合数を増やし、それぞれ60試合を戦う。一カ月あたり20試合を消化し、三カ月の日程でペナントを争うという訳だ。
現在はシーズン終盤戦に入り、いよいよ優勝争いが佳境に突入している。
いずれのチームも未だ一歩抜け出すところまではいっておらず、一進一退の攻防の連続だ。
果たして、ペナントを手にするのはどこか――多くのファンが固唾を呑んで見守っている。
少し前。
シーズンが後半に差し掛かろうかという頃合いになって、エストックスのジェイソン・ジュピター内野手がひとりの半獣人娘と、クラブハウス内の食堂で話し込んでいた。
娘は狼の耳と尾を持つ美貌の吸血鬼ハンター、ロレッタ・レーゼンだった。
「まぁそんな訳で、君にも野球人気獲得にひと役、買って貰いたい」
「別に構わないが……私は本当にただの素人だぞ」
白いテーブルを挟んだ反対側の席で、身振り手振りを交えて熱弁を披露するジェイソンに対し、ロレッタは何ともいえぬ微妙な表情を返した。
ジェイソンが、んなこたぁ気にするなと大いに笑った。
「俺だって完璧な素人で参戦したが、今じゃしっかりレギュラーだ。基本的に授恵者は身体能力に優れているから、後は技術を覚えて経験を積めば良いってだけの話さ」
「いや、簡単にいってくれるな。その技術と経験が、一番肝要な部分じゃないか」
苦笑を返すロレッタだが、既に心は決まっている。彼女は、ジェイソンの申し出を受ける腹積もりだ。
問題はどのチームに参戦するか、だが。
「私は野手タイプだから、入る余地があるとすればマーシーズか」
「じゃあ、それで決まりだな。俺からうちのオーナー経由で、ベルティック伯爵に話を通しておいて貰うよ」
残り一カ月半弱という限られた時間の中で、どこまで貢献出来るかは分からない。
それでも、参戦すると決めた以上はやるべきことをやる。
ロレッタはジェイソンから贈られたバットとグラブを手にして、自身がフィールドに立つ姿を想像した。
リーンエス王国の一部の貴族の間では、野球なる球技が流行っている、らしい。
真偽の程は定かではないが、少なくともレオポルド・グラハイム伯爵が主催するグラハイム・リーグ(略称グ・リーグ)という素人野球リーグが存在することは確かである。
このグ・リーグには以下の四チームが参加している。
ルドル・フォラー・カルツロンド伯爵のチーム『ファルシオンズ』
マグラウリー・メルゲンガー伯爵のチーム『エストックス』
ヘルマス・ジーロー伯爵のチーム『スケールス』
キャゼル・ベルティック伯爵のチーム『マーシーズ』
素人野球とはいいながらも、各チームはそれぞれのホームグラウンドを持ち、試合そのものも細かく定められたルールに則って実施されている。
球審と塁審は各貴族家の家士から選抜され、それぞれが徹底的にルールを叩き込まれ、ミスジャッジが発生しない様にと厳しく教育されているのだという。
グ・リーグの歴史は意外と古く、グラハイム伯爵の先々代辺りから続いているというから、案外侮れない。
野球という球技が王国内にどこまで知れ渡っているかは定かではないが、チームを持つ四家とグラハイム家では毎年シーズンに突入すると、結構な盛り上がりを見せているとの由。
そして1222年も春季キャンプを終え、シーズンが開幕した。
昨季は各チーム45試合ずつを戦ったが、今年は試合数を増やし、それぞれ60試合を戦う。一カ月あたり20試合を消化し、三カ月の日程でペナントを争うという訳だ。
現在はシーズン終盤戦に入り、いよいよ優勝争いが佳境に突入している。
いずれのチームも未だ一歩抜け出すところまではいっておらず、一進一退の攻防の連続だ。
果たして、ペナントを手にするのはどこか――多くのファンが固唾を呑んで見守っている。
少し前。
シーズンが後半に差し掛かろうかという頃合いになって、エストックスのジェイソン・ジュピター内野手がひとりの半獣人娘と、クラブハウス内の食堂で話し込んでいた。
娘は狼の耳と尾を持つ美貌の吸血鬼ハンター、ロレッタ・レーゼンだった。
「まぁそんな訳で、君にも野球人気獲得にひと役、買って貰いたい」
「別に構わないが……私は本当にただの素人だぞ」
白いテーブルを挟んだ反対側の席で、身振り手振りを交えて熱弁を披露するジェイソンに対し、ロレッタは何ともいえぬ微妙な表情を返した。
ジェイソンが、んなこたぁ気にするなと大いに笑った。
「俺だって完璧な素人で参戦したが、今じゃしっかりレギュラーだ。基本的に授恵者は身体能力に優れているから、後は技術を覚えて経験を積めば良いってだけの話さ」
「いや、簡単にいってくれるな。その技術と経験が、一番肝要な部分じゃないか」
苦笑を返すロレッタだが、既に心は決まっている。彼女は、ジェイソンの申し出を受ける腹積もりだ。
問題はどのチームに参戦するか、だが。
「私は野手タイプだから、入る余地があるとすればマーシーズか」
「じゃあ、それで決まりだな。俺からうちのオーナー経由で、ベルティック伯爵に話を通しておいて貰うよ」
残り一カ月半弱という限られた時間の中で、どこまで貢献出来るかは分からない。
それでも、参戦すると決めた以上はやるべきことをやる。
ロレッタはジェイソンから贈られたバットとグラブを手にして、自身がフィールドに立つ姿を想像した。
解説
状況:
PCの皆様は、以下のいずれかの立ち位置でご参加頂けます。
A 前々回の春季キャンプを経て最初から所属チームで1222シーズン公式戦に参加
B 今回新たに参加する方は途中から1222シーズン公式戦に参加
Aでご参加頂く場合は、前回までと同様、割り振るスキルポイントをプレイングにご記入下さい。
今回は5ポイントです。スキルポイントは累積します。
Bで個別入団テストを受験される場合は、プレイングに以下をご記入下さい。
・所属希望チーム
・希望ポジション(第一位~第三位まで)
・希望背番号(第一位~第三位まで。但し既に使用されている背番号は使用不可)
・利き腕(右投げ/左投げのいずれか)
・打席位置(右打ち/左打ち/両打ちのいずれか)
・割り振るスキルポイント
割り振れるスキルポイントは5ポイントです。
【球祭】専用ローカルルール
1.各選手はポジション毎の個人パラメータを持ちます。
2.【球祭】シナリオに参加時、※マークのスキルは1ずつ自動的に上昇します。
※のついていないパラメータは下記3.で意図的に伸ばさないと値は増えません。
球種は1ポイント=1球種。投手は直球(ストレート)を最初から習得済みとします。
3.【球祭】シナリオ参加時に、スキルポイントが与えられます。
このスキルポイントを好きなパラメータに割り振る事が出来ます。
ひとつのパラメータに集中させても良いし、複数のパラメータに割り振っても結構です。
個人パラメータ(/で区切られたものはポイント使用時も含め、どれかひとつだけが伸びます)
■野手
・打撃(引っ張り/センター返し/流し打ち)
・打撃(犠打)
・打撃(選球眼)※
・打撃(長打力)
・守備(一塁/二塁/三塁/遊撃/左翼/中堅/右翼)※
自動成長は入団時の守備位置
・走塁 ※
・盗塁
・肩強度
■捕手
・打撃(引っ張り/センター返し/流し打ち)
・打撃(犠打)※
・打撃(選球眼)※
・打撃(長打力)
・守備(捕手)※
・守備(一塁/二塁/三塁/遊撃/左翼/中堅/右翼)
・走塁
・盗塁
・肩強度
・リード(投手中心/相手打者中心/状況判断)
■投手
・肩強度
・球種
・球速
・球威 ※
・クイックモーション
・守備(投手)※
・肩スタミナ
・打撃(バットコントロール)
・打撃(犠打)
・打撃(選球眼)※
・打撃(長打力)
・走塁
・盗塁
マスターより
皆様、こんにちは。
1222シーズンもいよいよ大詰めです。
今回は前回の続きで、更に約一カ月半のシーズンを戦い抜くというスパンでの参加となり、皆様は冒険の合間に試合に出場していた、という形でストーリーを進めます。
尚、出来る野球は『普通の』野球です。冒険者としての技能や体力全開の派手な野球バトル的展開は生じませんので、あらかじめご了承ください。
野球のルール自体はNPB発行の公認野球規則に従って判定します。
また、個人成績記載を御希望の方は、詳細成績か、簡易成績かをプレイングにご記入下さい。
詳細成績は結構な文字数を消費します。簡易成績も詳細成績程ではないにせよ、多少の文字数を消費しますので、ご注意ください。
リプレイ
●新たな戦力
強い陽射しが照り付けるグラウンド。
マグラウリー・メルゲンガー伯爵が率いるチーム『エストックス』の練習用第二球場にて、白狼の半獣人娘が大声を張り上げていた。
「たーのーもーぅ!」
「あ、いらっしゃったみたいですね」
隣接するクラブハウスからエストックスの抑え投手コルネリウス・アーラが顔を出し、その訪問者アルシエラ・ライゼルを涼しい室内へと手招きする。
クラブハウス内にはコルネリウスの他に正捕手リディリディ・トゥラ・イェレミース、途中参加ながら四番を打つジェイソン・ジュピター、そしてオーナーたるメルゲンガー伯爵といった面々が顔を揃えていた。
実はこの日、エストックスはアルシエラの入団テストを執り行う運びとなっていたのである。彼女の希望ポジションは外野で、主に左翼手だそうだ。
正直なところ、アルシエラは野球のことがよく分からない。今回も、取り敢えず小さな球を棒で打つ競技だという程度の知識だけを仕入れ、ひたすら素振りだけを重ねて入団テストに応募してきたのである。
「よく来てくれたね。今からでも新入団選手の登場は大歓迎だ」
とメルゲンガー伯爵はにこやかに笑う。
一方、ジェイソンは何の心配も要らないと胸毛わっさわさの大胸筋を自慢げに震わせた。
「俺もキャンプ抜きでいきなり入団してみたら、見事に四番の座を射止めた。君だって大いに可能性があると思うぜ」
しかしアルシエラの思考は、目の前のおっさんふたりには無い。彼女はクラブハウス内をきょろきょろと見廻しながら、ここがグ・リーグかー、などと呑気に見物客モードに入っていた。
「野球には、どういった経緯で興味を持たれたんですか?」
本日の入団テストでアルシエラの対戦相手を務めるリディリディが訊いた。
曰く、キャゼル・ベルティック伯爵のチーム『マーシーズ』に灰色狼の半獣人娘が入団し、その活躍ぶりから瞬く間に人気者となった話を聞いて、是非自分も、という気分になったそうな。
「あ、ロレッタさんのことですね」
リディリディはジェイソンの口利きでマーシーズに入団したロレッタ・レーゼンのことだと、すぐに察した。確かにロレッタは僅か二週間で早くもレギュラーの座を掴んでいる。
アルシエラが刺激を受けたのも、分かる様な気がした。
「切欠は、ひとそれぞれですしね……さぁ、それでは早速入団テストの方へと参りましょうか」
コルネリウスが率先して席を立った。
今やチームの絶対的な抑えとしての地位を確立しつつあるコルネリウスだが、立場上はまだルーキー。こういう雑事も仕事のうちであった。
同じくルーキーのリディリディとジェイソンも、アルシエラの入団テストに付き合うことになっている。抑えのエースに正捕手に四番打者と、普通に考えれば信じられない程の豪華なメンバーだが、野球素人のアルシエラにはその凄さが今ひとつ理解出来ていない。
既にグラウンドはメルゲンガー伯爵の家士がしっかり整備してくれている。後は思う存分、アルシエラの秘めたるポテンシャルを発揮して貰うだけだ。
マウンドには、コルネリウスが打撃投手として登板した。
春季キャンプ開始当初はセットアッパーとして入団したコルネリウスだが、チームの投手事情から、早い段階で抑えへと配置転換されている。それでも投球スタイルは変わらず、フォークとスライダー、更にはチェンジアップといった多彩な変化球で三振が取れる投手として、その名を馳せる様になっていた。
本来なら抑えのエースは入団テストなどに体力を消耗させるべきではないのだろうが、コルネリウスはシーズン中も基礎体力作りは怠らない。いつでも基本に立ち返るその発想こそが、ここまでの活躍の原動力になっているのだろう。
アルシエラを左打席に迎えて、リディリディもマスクを被った。
入団テストとはいえ、ここは真剣勝負だ。一塁にはジェイソンが、三塁にはメルゲンガー伯爵がそれぞれ守備に入り、球審役の家士が試験開始の合図を告げた。
リディリディは本番の試合同様、サイン交換の間も打席のアルシエラの様子をちらちらと眺めて、何を待っているのかをそれとなく探りを入れる。
ここ最近、エストックスの投手陣はコルネリウスを除いて、やや投壊気味だ。エースのウェイクフィールドでさえ、近々の数試合はナックルが思う様に変化せずに痛打を浴びるシーンが多く、リディリディは貧弱な先発、ブルペンをリードするのに必死だった。
しかし今日の入団テストは、気が楽だ。チーム成績には無縁である上に、コルネリウスの素晴らしい投球をいつもの様に受ければ、それで良いのである。
後は捕手目線でアルシエラの打者としての適正をしっかり見てやれれば、今日の務めは終了だ。
●終盤に向けて
レオポルド・グラハイム伯爵が主催するグラハイム・リーグ(略称グ・リーグ)の1222シーズンも、いよいよ大詰めである。
トータル三カ月、各チーム60試合ずつを戦うリーグ戦も、春先の開幕からあっという間に試合数を重ね、終盤戦に突入してきた。
どの試合でも熱戦が繰り広げられ、観客達がご贔屓のチームの勝利の為に毎日声を嗄らして応援している。
だが流石に、残り十数試合程度になってくると大体の順位というものが見えてくる。
閉幕まで残り二週間という段階で首位に立っていたのは、ヘルマス・ジーロー伯爵のチーム『スケールス』だった。そのスケールスを追うのが、アルシエラが野球参加を決めた切欠の張本人ロレッタが所属するマーシーズである。
この日、先発マウンドに上がっていたのは今や押しも押されもせぬ絶対的エースとして君臨する様になっていた、ライナ・フレイヴァルツだ。
速い直球に加え、キレのある変化球の数々、長いイニングを淡々と投げ続けるスタミナは超人的であり、ここまで既にハーラートップの13勝を挙げている。
敗戦は僅かに3であり、ひとりで貯金10を叩き出している様なものだ。
そのライナが6回の投球を終えてダッグアウトへと引き揚げてくる。バッテリーを組むフロマーシュ・ダイヤドロップも嬉々としてベンチに下がってきた。
「ライナ様、今日も完投ペースでございますね」
「うん、まぁそれは良いんだけど……今日はスプリットがいまいちかな」
ベンチに腰を下ろしながら、ライナはスプリットの握りを再確認してみた。だが逆に、今日は更に精度を上げたツーシームとカットボールが良い感じで決まっている。ライナの場合、決め球のひとつが使えなくとも、他に頼れる球種が幾つもあるというのが何より大きかった。
当然、リードするフロマーシュとしても日々ライナの球のうち、どれが最も威力を発揮するかをしっかり見極めている。その柔軟性、臨機応変のリードがライナの勝ち星にも繋がっていた。
加えてフロマーシュの盗塁阻止率も、ライナの投球の幅を大きくしている。
「今日は例の……盗塁王争いトリオが相手だったけど、それでも走らせないのは大したもんだね」
ふたりによく冷えたドリンク入りのカップを手渡しながら、ロレッタが感心した様子でグラウンドを眺めた。その視線の先には今日の対戦相手――ルドル・フォラー・カルツロンド伯爵のチーム『ファルシオンズ』の野手達の姿があった。
二塁手ハヤト=ガラン=ヴォルファング、遊撃手バーネット・フォーサイス、左翼手アルマ・ヴァレンタインの三人はいずれもルーキーながら、リーグ屈指の走り屋達だ。この三人は一度塁に出たら、兎に角煩い。
にも関わらず、フロマーシュがミットを構える試合では盗塁数が極端に減るのは、その鬼肩ともいわれる強肩と正確なコントロールがあの三人の警戒心を大いに引き出しているからに他ならない。
ただでさえライナは簡単には打ち崩せない投手だ。どんなに頑張って塁に出たところで、下手に盗塁を仕掛けてフロマーシュの矢の様な送球の餌食となっては、折角のチャンスが一気にしぼんでしまう。
だからこそ、迂闊に走れないのだ。
塩で炒めてしっかり調理したヒマワリの種をがりがりと齧りながら、バーネットは守備位置に就いた。
「それ、美味いのか?」
「まぁな……最初はそのままでも、と思ったが、正直ちょっと飽きてきた」
ハヤトに訊かれ、バーネットは何ともいえぬ表情を返した。殻を剥いてから塩で炒めたら、ただのヒマワリの種でも案外美味いことが分かってきた。
が、余りそんなところばかりに拘っていると、野球をしにきたのかヒマワリの種を賞味しにきたのか、よく分からなくなってくる。
だがムードメイクにも力を入れているハヤトは、美味いなら俺にも食わせてくれと掌を差し出した。ちょっとした小ネタでも、負けが込んでいるベンチを明るくする材料になれれば、それで良い。
すると、守備に向かう途中のアルマも足を止めて、横から覗き込んできた。
「ゲテモノ喰いと悪食マニアのアルマさんを差し置いてヒマワリ談義とは、ふたりも隅に置けないね」
「いや、何の話をしてるんだ」
当然の様に掌を差し出してヒマワリの種を要求するアルマに、バーネットも流石に呆れた。
そのアルマが本塁方向にちらりと視線を流すと、丁度ロレッタがバットを担いで打席に入ろうとしているところであった。
「うわー、来たよ出てきたよ、らいばるが」
「……っていうか、相変わらず色っぽいよな。でも、俺は色仕掛けには負けねぇぜ」
アルマもハヤトも、何故かロレッタに強烈な対抗意識をむき出しにしているものの、その動機というか、根本のところがベクトル的にかなり異なる。
アルマは単純にロレッタの身体能力の高さを警戒しているのだが、ハヤトはいつもの黒いビキニっぽい衣装ではなく、マーシーズのユニフォーム姿のロレッタに対して着衣特有の色気を感じている模様だ。
「いや……余り変に意識しない方が良いと思うぞ」
ひとり冷静なバーネットは、ロレッタの相手は飽くまでもバッテリーであり、野手は守備で貢献することでロレッタを封じれば良いと考えている。寧ろ、それが正解だろう。
それよりも厄介なのはマーシーズのバッテリー、ライナとフロマーシュの方だろう。今日も三人は無安打に抑え込まれており、辛うじて四球で出たバーネットが何とか敵失で二塁に進めたものの、それ以降は打線が繋がらずに無得点に終わっている。
残念ながらハヤトもアルマも、そしてバーネットも中軸を打つタイプではない為、他の野手が頑張ってくれなければ打線として機能しないのである。
加えてフロマーシュの強肩は、如何にこの三人といえども、おいそれとは走れない。実に重苦しい展開の連続だった。
「まぁ、こればっかりはしょうがねぇけどな。兎に角、塁に出て引っ掻き回す。それだけ考えていこうぜ」
いいながらハヤトは一二塁間の守備位置へと戻ってゆく。
アルマも、
「終盤になったら向こうも疲れてくるだろうし、そこを狙うしかないね」
と半ば諦めた様子で外野へと走っていった。
(でもやっぱり、工夫は必要だな。相手を精神的に揺さぶるとか何かしないと、このまま完封される)
バーネットのこの危惧は、現実のものとなった。
結局この日の試合は、ライナに完封勝ちを献上してしまったのである。
●余裕なのか鈍感なのか
いよいよ、優勝が近づいてきている。
この日は試合の無かったスケールスの面々は、ジーロー伯爵領都セズン近郊の練習用球技場で、軽めの調整で汗を流していた。
ここまで首位打者の座を維持し続けているルベア・ベルニは、打撃投手相手にボール臭い球をカットする練習に勤しんでいた。
正直なところ、ストライクゾーンに来た球はある程度は仕留められる様になっている。だがボール球なのかどうかの見極めが難しい球に関しては、時折手が出そうになってしまう。特に調子が良い時が危ない。どんな球でも自然と体が反応してしまう為だ。
あくまでもフォア・ザ・チームの精神で、ルベアは塁に出ることを最優先と考えている。成績は後からついてくるものであり、目指すべきは矢張り、優勝であった。
と、そこへブルペンで肩を作り終えたフリーダ=ブロムヴィストが顔を出した。
「良かったら、私が打撃投手を務めましょうか?」
「うーん……やめとくわ。アナタがマウンドに立ったら、真剣勝負になっちゃうから」
ルベアは苦笑を返す。
今やフリーダは、エストックスのコルネリウスと並んでリーグを代表する絶対的なクローザーとしての地位を確立していた。セーブ数と防御率ではコルネリウスに一歩及ばないが、それでもストレートゴリラの異名を取る真っ直ぐの剛速球は、それだけでひとつの芸術品だ。
フリーダ本人はいつもの様に、
「ここまでやれば立派なストレートゴリラ間違い無しの啓示が出ていますので、このまま突き進みます」
と、相変わらず意味不明な台詞で周囲を戸惑わせているが、結果が出ている以上、誰も文句はいわない。
尤も、
「虎は予祝なんてもうやってる場合じゃないんだよなぁ、という謎の啓示が出ました。何のことでしょう」
と誰彼構わず訊きまくった際は、流石に周囲も辟易した様子だったとか。
「お、何だ。君がマウンドに上がるのか? じゃあ俺に代わってくれ。丁度、重い直球を打ち返す感覚を確かめたかったところなんだ」
いつの間にかルベアの背後に、愛用の打棒を担いだアルベルト・V・シュタールシュヴェーアトがにこやかに佇んでいた。
当たれば必ずホームラン、ロマン砲の助っ人外国人(帝国人なので外国人枠を自称)という触れ込みでシーズン当初から参戦しているアルベルトだが、その謳い文句に恥じない成績を残している。
既に打点王と本塁打王のタイトルをほぼ手中に収めかけており、その打撃スタイルは多くのファンを魅了していた。
一方のフリーダも、練習でさえ余り対戦する機会の無いアルベルトが相手ならば、今の自分の力量がどの程度なのかを測るには丁度良い。
そしてルベアも、このふたりの対戦には少しばかり興味が湧いた様で、アルベルトの求めに応じて素直に打席を譲ることにした。
「それでは、十球勝負です」
マウンドに立つなり、いきなりワインドアップに構えるフリーダ。
アルベルトはいつでも来いとばかりに打棒を構えてステップを踏んだ。
結果は、空振り三振でフリーダの勝利。矢張り打者というものは、一打席で結果を出すのが難しい。そういう意味では代打稼業の野手は凄いともいえるのだが、今のアルベルトは四打席立った上での勝負で結果を出せば良いと割り切っている。
今回の勝負も、アルベルトは途中何球かをファウルで叩いた。ヒット性の打撃ではなく、速くて重い球を投げ込まれた時の感触を確かめたかっただけだから、アルベルト自身も収穫はあった。
するとそこへ、ジーロー伯爵がシャルガネ産の団扇でばたばたと扇ぎながらグラウンドに姿を見せた。
「やっとるなぁ。しかし君達は本当にプレッシャーというものを感じていない様子だな。いや感心感心」
ジーロー伯爵は、アルベルトもフリーダもルベアも、良い意味でマイペースだと笑った。
普通、優勝が近づいてくると変に意識して、いつもの野球が出来なくなるということは珍しくない。ところがこの三人のルーキーはプレッシャーなど露とも感じておらず、ただ毎試合、自分達のやるべきことをやり、勝利に貢献し続けていた。
「まぁ別に……負けたからって命を取られる訳でもないので」
ルベアのそのひと言が、全てを物語っている。
冒険者は危険な依頼を引き受けた際には大体、命懸けだろう。その圧倒的なプレッシャーに比べれば、野球の優勝争いなど大したことではないというのが、三人に共通した思考だった。
そんな風に説明されれば、確かにその通りだとジーロー伯爵も苦笑せざるを得ない。
●グラハイム・リーグ1222シーズン終幕
そのスケールスが優勝を決めたのは、レギュラーシーズン残り三試合という時点だった。
当日の対戦相手はエストックス。
スケールスは1点リードで8回表の攻撃に臨もうとしていたが、ビハインドであるにも関わらず、エストックスはコルネリウスをマウンドに送った。最後まで諦めないという意思表示であろう。
リディリディはこの日も必死に先発投手や中継ぎ投手をリードしていたが、ルベアとアルベルトを中心としたスケールスの強力打線を抑えきるには至らず、何とか1点ビハインドで持ち堪えたのは寧ろ、奇跡といって良かった。
そして終盤にきての、コルネリウス登板である。この日のコルネリウスは複数イニングを投げる腹積もりであった。
そのコルネリウスの気迫が、リディリディにも十分に伝わってくる。8回表はルベアを、そして9回表はアルベルトを迎えたバッテリーはコーナーを丁寧に突く配球で、厄介な強敵達を完璧に封じ込めた。
だが、結局反撃はならなかった。如何に抑えバッテリーが強固でも、打線がフリーダの剛速球の前に沈黙してしまったのだ。ジェイソンでさえお手上げという有様だった。
この日の勝利を以って、スケールスは優勝を決めた。
コルネリウスもリディリディも、そして後半戦になってエストックスに参加したアルシエラも、目の前でスケールスの胴上げを見ることとなった。
「残念ですけど、これも勝負事ですから……仕方ありませんね」
「来年も参加出来るかどうかは分かりませんが、でも、野球って本当に楽しかったです」
尚もスケールスの胴上げが続くマウンド付近を眺めながら、コルネリウスとリディリディは三カ月間の健闘を称え合った。
その後で、じゃあ打ち上げにお肉を食べに行きましょうといい出した辺りは、いつものリディリディではあったが。
そうして、グラハイム・リーグ1222シーズンは閉幕した。
優勝はスケールスで、二位はマーシーズ。エストックスは三位に終わり、残念ながらファルシオンズは最下位に終わった。
だがグ・リーグは一年限りのイベントではない。また来年も開催される。どのチームもシーズンが終わったその瞬間から、来季を見据えた戦いが始まるのである。
そして負けたチームは、自分達に何が足りなかったのかを改めて振り返り、来季への課題として克服してゆくこととなる。
全日程を終えたところで、各チームのチーム成績と共に、個人成績も確定した。
まず投手部門では、ライナが堂々の最多勝に輝いた。奪三振王と最優秀防御率は他チームの投手に譲ることとなったが、それも僅差の勝負だった為、ライナが先発投手としてはリーグ随一のエースであることは、誰もが認めるところであった。
一方、セーブ王はコルネリウスが獲得した。次点でフリーダだったが、防御率も考えると、コルネリウスのセーブ王獲得は当然だったといって良い。
そして打撃部門では、スケールスが席捲した。
首位打者はルベアが獲得し、アルベルトが打点王と本塁打王の二冠に輝いた。これだけの強力打線を誇るスケールスが優勝したのも、頷ける話であろう。
尚、盗塁王はハヤトが意地の獲得だ。今季のファルシオンズは終わってみれば散々な結果だったかも知れないが、来期に向けた課題もはっきりと見えたシーズンだった。
余談ながら、バーネットが正式なタイトルではないものの最多犠打の記録を残していることも注目せねばならない。
出塁のハヤトとアルマ、そして送るバーネットと、脇役はしっかり仕事が出来ている。あと一本が出る様になれば、ファルシオンズの打線はもっと面白くなるだろう。
●シーズン後半戦各成績
チーム成績、及び個人成績は以下の通りである。
優勝はスケールス。
投打のバランスが良く、打撃では打点王と本塁打王の二冠に輝いたアルベルト、首位打者として打線を牽引したルベアという二枚看板ルーキーの活躍が光り、投げては抑えのフリーダが絶対的なクローザーとして君臨した為、8回までにリードしていれば勝率10割という驚異的な数字を叩き出した。
二位はマーシーズ。
矢張り何といっても最多勝に輝いたライナの存在が大きい。他の投手や打線がもう少し頑張っていれば優勝も十分狙えただけに、来季への期待が高まる。捕手フロマーシュの盗塁阻止率も驚異的な数字であり、他所から見れば『迂闊に走れない対戦相手』という印象を強く焼きつけた。
三位はエストックス。
セーブ王コルネリウスは冒険者としても壁エルフとして名高いが、投手としても守りはピカ一だった。しかし他の投手が余りに弱く、エースの不調やブルペン陣の弱さを捕手リディリディが必死にカバー。それでも結局うまく纏まらず、投手力の総合的な弱さがチーム成績にまともに響いた。新規加入のアルシエラは、今季は代打での登場に終始した。
最下位はファルシオンズ。
ハヤト、アルマ、バーネットの盗塁王争い三人衆が必死に打線を引っ張ろうとしたが、如何に塁上を賑わせようにも、彼らを本塁に迎え入れる他野手の打撃の弱さが得点率の悪さに繋がった。加えて投手力も弱く、またチーム失策数もリーグワーストであり、機動力以外の全ての面の立て直しが急務。
<チーム成績>
一位 スケールス
31勝22敗7分 勝率.585
防御率2.07 打率.279 得点253 失点163
本塁打数39 盗塁数42 失策数14
二位 マーシーズ
26勝25敗9分 勝率.510
防御率2.17 打率.251 得点205 失点202
本塁打数17 盗塁数47 失策数22
首位との勝差4
三位 エストックス
24勝27敗9分 勝率.471
防御率3.78 打率.250 得点193 失点226
本塁打数30 盗塁数15 失策数18
首位との勝差6
四位 ファルシオンズ
19勝26敗15分 勝率.422
防御率3.06 打率.266 得点161 失点221
本塁打数12 盗塁数78 失策数38
首位との勝差8
<投手成績(簡易)>
コルネリウス・アーラ(エストックス 33)
防御率0.86 19S 奪三振率8.14 K/BB6.33 WHIP0.571
投球回21 打者82 被安打9 被本塁打0 奪三振19
与四球3 与死球0 暴投0 ボーク0
<投手成績(詳細)>
ライナ・フレイヴァルツ(マーシーズ 11)
登板20 先発20 完投12 完封4 無四球2
防御率 1.72 奪三振率8.06
勝利15 敗戦3
QS15 QS率.750
投球回172.98 打者664 被安打142 被本塁打0 奪三振155
与四球10 与死球0 暴投1 ボーク0 刺殺23 補殺55 失策0 守備率1.00
失点41 自責点33
被打率.217 K/BB15.5 WHIP.879
フリーダ=ブロムヴィスト(スケールス 9)
登板25 先発0 完投0 完封0 無四球0
防御率 1.08 奪三振率11.52
勝利0 敗戦0 セーブ18
QS0 QS率0.00
投球回25 打者88 被安打12 被本塁打1 奪三振32
与四球2 与死球0 暴投0 ボーク0 刺殺10 補殺12 失策0 守備率1.00
失点4 自責点3
被打率.140 K/BB16 WHIP.56
<野手成績(簡易)>
アルベルト・V・シュタールシュヴェーアト(スケールス 24)
打率.316 出塁率.342 得点圏打率.361
打席272 打数244 単打28 二塁打18 三塁打9 本塁打22 四球12 死球4 犠打0 犠飛12 敵失2
長打率.734 塁打数179 OPS1.076 打点50 盗塁1
ハヤト=ガラン=ヴォルファング(ファルシオンズ 8)
打率.304 出塁率.364 得点圏打率.284
打席288 打数240 単打32 二塁打24 三塁打15 本塁打2 四球21 死球4 犠打19 犠飛4 敵失4
長打率.554 塁打数133 OPS.918 打点32 盗塁30
バーネット・フォーサイス(ファルシオンズ 40)
打率.354 出塁率.505 得点圏打率.364
打席241 打数147 単打31 二塁打11 三塁打9 本塁打1 四球40 死球5 犠打49 犠飛0 敵失8
長打率.571 塁打数84 OPS1.076 打点31 盗塁20
<野手成績(詳細)>
ルベア・ベルニ(スケールス 35)
試合60
打率.361 出塁率.419 得点圏打率.485
打席250 打数205 単打40 二塁打21 三塁打9 本塁打4 四球22 死球3 犠打14 犠飛6 敵失4
長打率.610 塁打数125 OPS1.029 打点39
三振49 凡打78 併殺打3
盗塁17 盗塁死3
刺殺107 補殺293 失策0 守備率1.00
フロマーシュ・ダイヤドロップ(マーシーズ 12)
試合60
打率.317 出塁率.351 得点圏打率.339
打席236 打数202 単打36 二塁打19 三塁打4 本塁打5 四球14 死球2 犠打8 犠飛10 敵失1
長打率.525 塁打数106 OPS.876 打点38
三振53 凡打84 併殺打9
盗塁6 盗塁死0
刺殺345 補殺75 失策0 守備率1.00
盗塁刺61 企図数84 盗塁阻止率.726
リディリディ・トゥラ・イェレミース(エストックス 2)
試合54
打率.293 出塁率.370 得点圏打率.371
打席202 打数167 単打29 二塁打13 三塁打5 本塁打2 四球16 死球5 犠打13 犠飛1 敵失2
長打率.467 塁打数78 OPS.837 打点21
三振54 凡打62 併殺打5
盗塁1 盗塁死2
刺殺247 補殺70 失策0 守備率1.00
盗塁刺46 企図数94 盗塁阻止率.489
アルマ・ヴァレンタイン(ファルシオンズ 2)
試合60
打率.308 出塁率.397 得点圏打率.302
打席257 打数195 単打33 二塁打17 三塁打9 本塁打1 四球27 死球2 犠打33 犠飛0 敵失4
長打率.503 塁打数98 OPS.900 打点25
三振42 凡打89 併殺打3
盗塁21 盗塁死5
刺殺56 補殺94 失策1 守備率.993
<用語解説(一部)>
・奪三振率
一試合平均(=9イニング平均)の奪三振数。
投手が一試合を完投した場合、三振を幾つ奪うことが出来るかを表す。
・刺殺
守備側の選手が飛球を捕えたり、送球を受けたり、走者にタッチするなどして、打者または走者を直接アウトにすること。及びその守備記録。
・補殺
アウトが成立した場合、これに至る過程で送球を行ったり、或いは打球や送球の方向や速度を変えるなどしてそのアウト成立を補助すること、及びその守備記録。
・K/BB(Strikeout to Walk ratio)
奪三振 (K:strikeout)と与四球 (BB:Base on Balls)の比率。投手の制球力を示す指標のひとつ。
3.5を超えると優秀な投手と見做される。
・WHIP(Walks plus Hits per Inning Pitched)
投手が1イニング辺り、どれだけ安打を許したか、或いは四球を出したか示す。
少ない方が優秀な投手と見做される。
例)1.00以下は非常に素晴らしく、1.32で平均とされる。
強い陽射しが照り付けるグラウンド。
マグラウリー・メルゲンガー伯爵が率いるチーム『エストックス』の練習用第二球場にて、白狼の半獣人娘が大声を張り上げていた。
「たーのーもーぅ!」
「あ、いらっしゃったみたいですね」
隣接するクラブハウスからエストックスの抑え投手コルネリウス・アーラが顔を出し、その訪問者アルシエラ・ライゼルを涼しい室内へと手招きする。
クラブハウス内にはコルネリウスの他に正捕手リディリディ・トゥラ・イェレミース、途中参加ながら四番を打つジェイソン・ジュピター、そしてオーナーたるメルゲンガー伯爵といった面々が顔を揃えていた。
実はこの日、エストックスはアルシエラの入団テストを執り行う運びとなっていたのである。彼女の希望ポジションは外野で、主に左翼手だそうだ。
正直なところ、アルシエラは野球のことがよく分からない。今回も、取り敢えず小さな球を棒で打つ競技だという程度の知識だけを仕入れ、ひたすら素振りだけを重ねて入団テストに応募してきたのである。
「よく来てくれたね。今からでも新入団選手の登場は大歓迎だ」
とメルゲンガー伯爵はにこやかに笑う。
一方、ジェイソンは何の心配も要らないと胸毛わっさわさの大胸筋を自慢げに震わせた。
「俺もキャンプ抜きでいきなり入団してみたら、見事に四番の座を射止めた。君だって大いに可能性があると思うぜ」
しかしアルシエラの思考は、目の前のおっさんふたりには無い。彼女はクラブハウス内をきょろきょろと見廻しながら、ここがグ・リーグかー、などと呑気に見物客モードに入っていた。
「野球には、どういった経緯で興味を持たれたんですか?」
本日の入団テストでアルシエラの対戦相手を務めるリディリディが訊いた。
曰く、キャゼル・ベルティック伯爵のチーム『マーシーズ』に灰色狼の半獣人娘が入団し、その活躍ぶりから瞬く間に人気者となった話を聞いて、是非自分も、という気分になったそうな。
「あ、ロレッタさんのことですね」
リディリディはジェイソンの口利きでマーシーズに入団したロレッタ・レーゼンのことだと、すぐに察した。確かにロレッタは僅か二週間で早くもレギュラーの座を掴んでいる。
アルシエラが刺激を受けたのも、分かる様な気がした。
「切欠は、ひとそれぞれですしね……さぁ、それでは早速入団テストの方へと参りましょうか」
コルネリウスが率先して席を立った。
今やチームの絶対的な抑えとしての地位を確立しつつあるコルネリウスだが、立場上はまだルーキー。こういう雑事も仕事のうちであった。
同じくルーキーのリディリディとジェイソンも、アルシエラの入団テストに付き合うことになっている。抑えのエースに正捕手に四番打者と、普通に考えれば信じられない程の豪華なメンバーだが、野球素人のアルシエラにはその凄さが今ひとつ理解出来ていない。
既にグラウンドはメルゲンガー伯爵の家士がしっかり整備してくれている。後は思う存分、アルシエラの秘めたるポテンシャルを発揮して貰うだけだ。
マウンドには、コルネリウスが打撃投手として登板した。
春季キャンプ開始当初はセットアッパーとして入団したコルネリウスだが、チームの投手事情から、早い段階で抑えへと配置転換されている。それでも投球スタイルは変わらず、フォークとスライダー、更にはチェンジアップといった多彩な変化球で三振が取れる投手として、その名を馳せる様になっていた。
本来なら抑えのエースは入団テストなどに体力を消耗させるべきではないのだろうが、コルネリウスはシーズン中も基礎体力作りは怠らない。いつでも基本に立ち返るその発想こそが、ここまでの活躍の原動力になっているのだろう。
アルシエラを左打席に迎えて、リディリディもマスクを被った。
入団テストとはいえ、ここは真剣勝負だ。一塁にはジェイソンが、三塁にはメルゲンガー伯爵がそれぞれ守備に入り、球審役の家士が試験開始の合図を告げた。
リディリディは本番の試合同様、サイン交換の間も打席のアルシエラの様子をちらちらと眺めて、何を待っているのかをそれとなく探りを入れる。
ここ最近、エストックスの投手陣はコルネリウスを除いて、やや投壊気味だ。エースのウェイクフィールドでさえ、近々の数試合はナックルが思う様に変化せずに痛打を浴びるシーンが多く、リディリディは貧弱な先発、ブルペンをリードするのに必死だった。
しかし今日の入団テストは、気が楽だ。チーム成績には無縁である上に、コルネリウスの素晴らしい投球をいつもの様に受ければ、それで良いのである。
後は捕手目線でアルシエラの打者としての適正をしっかり見てやれれば、今日の務めは終了だ。
●終盤に向けて
レオポルド・グラハイム伯爵が主催するグラハイム・リーグ(略称グ・リーグ)の1222シーズンも、いよいよ大詰めである。
トータル三カ月、各チーム60試合ずつを戦うリーグ戦も、春先の開幕からあっという間に試合数を重ね、終盤戦に突入してきた。
どの試合でも熱戦が繰り広げられ、観客達がご贔屓のチームの勝利の為に毎日声を嗄らして応援している。
だが流石に、残り十数試合程度になってくると大体の順位というものが見えてくる。
閉幕まで残り二週間という段階で首位に立っていたのは、ヘルマス・ジーロー伯爵のチーム『スケールス』だった。そのスケールスを追うのが、アルシエラが野球参加を決めた切欠の張本人ロレッタが所属するマーシーズである。
この日、先発マウンドに上がっていたのは今や押しも押されもせぬ絶対的エースとして君臨する様になっていた、ライナ・フレイヴァルツだ。
速い直球に加え、キレのある変化球の数々、長いイニングを淡々と投げ続けるスタミナは超人的であり、ここまで既にハーラートップの13勝を挙げている。
敗戦は僅かに3であり、ひとりで貯金10を叩き出している様なものだ。
そのライナが6回の投球を終えてダッグアウトへと引き揚げてくる。バッテリーを組むフロマーシュ・ダイヤドロップも嬉々としてベンチに下がってきた。
「ライナ様、今日も完投ペースでございますね」
「うん、まぁそれは良いんだけど……今日はスプリットがいまいちかな」
ベンチに腰を下ろしながら、ライナはスプリットの握りを再確認してみた。だが逆に、今日は更に精度を上げたツーシームとカットボールが良い感じで決まっている。ライナの場合、決め球のひとつが使えなくとも、他に頼れる球種が幾つもあるというのが何より大きかった。
当然、リードするフロマーシュとしても日々ライナの球のうち、どれが最も威力を発揮するかをしっかり見極めている。その柔軟性、臨機応変のリードがライナの勝ち星にも繋がっていた。
加えてフロマーシュの盗塁阻止率も、ライナの投球の幅を大きくしている。
「今日は例の……盗塁王争いトリオが相手だったけど、それでも走らせないのは大したもんだね」
ふたりによく冷えたドリンク入りのカップを手渡しながら、ロレッタが感心した様子でグラウンドを眺めた。その視線の先には今日の対戦相手――ルドル・フォラー・カルツロンド伯爵のチーム『ファルシオンズ』の野手達の姿があった。
二塁手ハヤト=ガラン=ヴォルファング、遊撃手バーネット・フォーサイス、左翼手アルマ・ヴァレンタインの三人はいずれもルーキーながら、リーグ屈指の走り屋達だ。この三人は一度塁に出たら、兎に角煩い。
にも関わらず、フロマーシュがミットを構える試合では盗塁数が極端に減るのは、その鬼肩ともいわれる強肩と正確なコントロールがあの三人の警戒心を大いに引き出しているからに他ならない。
ただでさえライナは簡単には打ち崩せない投手だ。どんなに頑張って塁に出たところで、下手に盗塁を仕掛けてフロマーシュの矢の様な送球の餌食となっては、折角のチャンスが一気にしぼんでしまう。
だからこそ、迂闊に走れないのだ。
塩で炒めてしっかり調理したヒマワリの種をがりがりと齧りながら、バーネットは守備位置に就いた。
「それ、美味いのか?」
「まぁな……最初はそのままでも、と思ったが、正直ちょっと飽きてきた」
ハヤトに訊かれ、バーネットは何ともいえぬ表情を返した。殻を剥いてから塩で炒めたら、ただのヒマワリの種でも案外美味いことが分かってきた。
が、余りそんなところばかりに拘っていると、野球をしにきたのかヒマワリの種を賞味しにきたのか、よく分からなくなってくる。
だがムードメイクにも力を入れているハヤトは、美味いなら俺にも食わせてくれと掌を差し出した。ちょっとした小ネタでも、負けが込んでいるベンチを明るくする材料になれれば、それで良い。
すると、守備に向かう途中のアルマも足を止めて、横から覗き込んできた。
「ゲテモノ喰いと悪食マニアのアルマさんを差し置いてヒマワリ談義とは、ふたりも隅に置けないね」
「いや、何の話をしてるんだ」
当然の様に掌を差し出してヒマワリの種を要求するアルマに、バーネットも流石に呆れた。
そのアルマが本塁方向にちらりと視線を流すと、丁度ロレッタがバットを担いで打席に入ろうとしているところであった。
「うわー、来たよ出てきたよ、らいばるが」
「……っていうか、相変わらず色っぽいよな。でも、俺は色仕掛けには負けねぇぜ」
アルマもハヤトも、何故かロレッタに強烈な対抗意識をむき出しにしているものの、その動機というか、根本のところがベクトル的にかなり異なる。
アルマは単純にロレッタの身体能力の高さを警戒しているのだが、ハヤトはいつもの黒いビキニっぽい衣装ではなく、マーシーズのユニフォーム姿のロレッタに対して着衣特有の色気を感じている模様だ。
「いや……余り変に意識しない方が良いと思うぞ」
ひとり冷静なバーネットは、ロレッタの相手は飽くまでもバッテリーであり、野手は守備で貢献することでロレッタを封じれば良いと考えている。寧ろ、それが正解だろう。
それよりも厄介なのはマーシーズのバッテリー、ライナとフロマーシュの方だろう。今日も三人は無安打に抑え込まれており、辛うじて四球で出たバーネットが何とか敵失で二塁に進めたものの、それ以降は打線が繋がらずに無得点に終わっている。
残念ながらハヤトもアルマも、そしてバーネットも中軸を打つタイプではない為、他の野手が頑張ってくれなければ打線として機能しないのである。
加えてフロマーシュの強肩は、如何にこの三人といえども、おいそれとは走れない。実に重苦しい展開の連続だった。
「まぁ、こればっかりはしょうがねぇけどな。兎に角、塁に出て引っ掻き回す。それだけ考えていこうぜ」
いいながらハヤトは一二塁間の守備位置へと戻ってゆく。
アルマも、
「終盤になったら向こうも疲れてくるだろうし、そこを狙うしかないね」
と半ば諦めた様子で外野へと走っていった。
(でもやっぱり、工夫は必要だな。相手を精神的に揺さぶるとか何かしないと、このまま完封される)
バーネットのこの危惧は、現実のものとなった。
結局この日の試合は、ライナに完封勝ちを献上してしまったのである。
●余裕なのか鈍感なのか
いよいよ、優勝が近づいてきている。
この日は試合の無かったスケールスの面々は、ジーロー伯爵領都セズン近郊の練習用球技場で、軽めの調整で汗を流していた。
ここまで首位打者の座を維持し続けているルベア・ベルニは、打撃投手相手にボール臭い球をカットする練習に勤しんでいた。
正直なところ、ストライクゾーンに来た球はある程度は仕留められる様になっている。だがボール球なのかどうかの見極めが難しい球に関しては、時折手が出そうになってしまう。特に調子が良い時が危ない。どんな球でも自然と体が反応してしまう為だ。
あくまでもフォア・ザ・チームの精神で、ルベアは塁に出ることを最優先と考えている。成績は後からついてくるものであり、目指すべきは矢張り、優勝であった。
と、そこへブルペンで肩を作り終えたフリーダ=ブロムヴィストが顔を出した。
「良かったら、私が打撃投手を務めましょうか?」
「うーん……やめとくわ。アナタがマウンドに立ったら、真剣勝負になっちゃうから」
ルベアは苦笑を返す。
今やフリーダは、エストックスのコルネリウスと並んでリーグを代表する絶対的なクローザーとしての地位を確立していた。セーブ数と防御率ではコルネリウスに一歩及ばないが、それでもストレートゴリラの異名を取る真っ直ぐの剛速球は、それだけでひとつの芸術品だ。
フリーダ本人はいつもの様に、
「ここまでやれば立派なストレートゴリラ間違い無しの啓示が出ていますので、このまま突き進みます」
と、相変わらず意味不明な台詞で周囲を戸惑わせているが、結果が出ている以上、誰も文句はいわない。
尤も、
「虎は予祝なんてもうやってる場合じゃないんだよなぁ、という謎の啓示が出ました。何のことでしょう」
と誰彼構わず訊きまくった際は、流石に周囲も辟易した様子だったとか。
「お、何だ。君がマウンドに上がるのか? じゃあ俺に代わってくれ。丁度、重い直球を打ち返す感覚を確かめたかったところなんだ」
いつの間にかルベアの背後に、愛用の打棒を担いだアルベルト・V・シュタールシュヴェーアトがにこやかに佇んでいた。
当たれば必ずホームラン、ロマン砲の助っ人外国人(帝国人なので外国人枠を自称)という触れ込みでシーズン当初から参戦しているアルベルトだが、その謳い文句に恥じない成績を残している。
既に打点王と本塁打王のタイトルをほぼ手中に収めかけており、その打撃スタイルは多くのファンを魅了していた。
一方のフリーダも、練習でさえ余り対戦する機会の無いアルベルトが相手ならば、今の自分の力量がどの程度なのかを測るには丁度良い。
そしてルベアも、このふたりの対戦には少しばかり興味が湧いた様で、アルベルトの求めに応じて素直に打席を譲ることにした。
「それでは、十球勝負です」
マウンドに立つなり、いきなりワインドアップに構えるフリーダ。
アルベルトはいつでも来いとばかりに打棒を構えてステップを踏んだ。
結果は、空振り三振でフリーダの勝利。矢張り打者というものは、一打席で結果を出すのが難しい。そういう意味では代打稼業の野手は凄いともいえるのだが、今のアルベルトは四打席立った上での勝負で結果を出せば良いと割り切っている。
今回の勝負も、アルベルトは途中何球かをファウルで叩いた。ヒット性の打撃ではなく、速くて重い球を投げ込まれた時の感触を確かめたかっただけだから、アルベルト自身も収穫はあった。
するとそこへ、ジーロー伯爵がシャルガネ産の団扇でばたばたと扇ぎながらグラウンドに姿を見せた。
「やっとるなぁ。しかし君達は本当にプレッシャーというものを感じていない様子だな。いや感心感心」
ジーロー伯爵は、アルベルトもフリーダもルベアも、良い意味でマイペースだと笑った。
普通、優勝が近づいてくると変に意識して、いつもの野球が出来なくなるということは珍しくない。ところがこの三人のルーキーはプレッシャーなど露とも感じておらず、ただ毎試合、自分達のやるべきことをやり、勝利に貢献し続けていた。
「まぁ別に……負けたからって命を取られる訳でもないので」
ルベアのそのひと言が、全てを物語っている。
冒険者は危険な依頼を引き受けた際には大体、命懸けだろう。その圧倒的なプレッシャーに比べれば、野球の優勝争いなど大したことではないというのが、三人に共通した思考だった。
そんな風に説明されれば、確かにその通りだとジーロー伯爵も苦笑せざるを得ない。
●グラハイム・リーグ1222シーズン終幕
そのスケールスが優勝を決めたのは、レギュラーシーズン残り三試合という時点だった。
当日の対戦相手はエストックス。
スケールスは1点リードで8回表の攻撃に臨もうとしていたが、ビハインドであるにも関わらず、エストックスはコルネリウスをマウンドに送った。最後まで諦めないという意思表示であろう。
リディリディはこの日も必死に先発投手や中継ぎ投手をリードしていたが、ルベアとアルベルトを中心としたスケールスの強力打線を抑えきるには至らず、何とか1点ビハインドで持ち堪えたのは寧ろ、奇跡といって良かった。
そして終盤にきての、コルネリウス登板である。この日のコルネリウスは複数イニングを投げる腹積もりであった。
そのコルネリウスの気迫が、リディリディにも十分に伝わってくる。8回表はルベアを、そして9回表はアルベルトを迎えたバッテリーはコーナーを丁寧に突く配球で、厄介な強敵達を完璧に封じ込めた。
だが、結局反撃はならなかった。如何に抑えバッテリーが強固でも、打線がフリーダの剛速球の前に沈黙してしまったのだ。ジェイソンでさえお手上げという有様だった。
この日の勝利を以って、スケールスは優勝を決めた。
コルネリウスもリディリディも、そして後半戦になってエストックスに参加したアルシエラも、目の前でスケールスの胴上げを見ることとなった。
「残念ですけど、これも勝負事ですから……仕方ありませんね」
「来年も参加出来るかどうかは分かりませんが、でも、野球って本当に楽しかったです」
尚もスケールスの胴上げが続くマウンド付近を眺めながら、コルネリウスとリディリディは三カ月間の健闘を称え合った。
その後で、じゃあ打ち上げにお肉を食べに行きましょうといい出した辺りは、いつものリディリディではあったが。
そうして、グラハイム・リーグ1222シーズンは閉幕した。
優勝はスケールスで、二位はマーシーズ。エストックスは三位に終わり、残念ながらファルシオンズは最下位に終わった。
だがグ・リーグは一年限りのイベントではない。また来年も開催される。どのチームもシーズンが終わったその瞬間から、来季を見据えた戦いが始まるのである。
そして負けたチームは、自分達に何が足りなかったのかを改めて振り返り、来季への課題として克服してゆくこととなる。
全日程を終えたところで、各チームのチーム成績と共に、個人成績も確定した。
まず投手部門では、ライナが堂々の最多勝に輝いた。奪三振王と最優秀防御率は他チームの投手に譲ることとなったが、それも僅差の勝負だった為、ライナが先発投手としてはリーグ随一のエースであることは、誰もが認めるところであった。
一方、セーブ王はコルネリウスが獲得した。次点でフリーダだったが、防御率も考えると、コルネリウスのセーブ王獲得は当然だったといって良い。
そして打撃部門では、スケールスが席捲した。
首位打者はルベアが獲得し、アルベルトが打点王と本塁打王の二冠に輝いた。これだけの強力打線を誇るスケールスが優勝したのも、頷ける話であろう。
尚、盗塁王はハヤトが意地の獲得だ。今季のファルシオンズは終わってみれば散々な結果だったかも知れないが、来期に向けた課題もはっきりと見えたシーズンだった。
余談ながら、バーネットが正式なタイトルではないものの最多犠打の記録を残していることも注目せねばならない。
出塁のハヤトとアルマ、そして送るバーネットと、脇役はしっかり仕事が出来ている。あと一本が出る様になれば、ファルシオンズの打線はもっと面白くなるだろう。
●シーズン後半戦各成績
チーム成績、及び個人成績は以下の通りである。
優勝はスケールス。
投打のバランスが良く、打撃では打点王と本塁打王の二冠に輝いたアルベルト、首位打者として打線を牽引したルベアという二枚看板ルーキーの活躍が光り、投げては抑えのフリーダが絶対的なクローザーとして君臨した為、8回までにリードしていれば勝率10割という驚異的な数字を叩き出した。
二位はマーシーズ。
矢張り何といっても最多勝に輝いたライナの存在が大きい。他の投手や打線がもう少し頑張っていれば優勝も十分狙えただけに、来季への期待が高まる。捕手フロマーシュの盗塁阻止率も驚異的な数字であり、他所から見れば『迂闊に走れない対戦相手』という印象を強く焼きつけた。
三位はエストックス。
セーブ王コルネリウスは冒険者としても壁エルフとして名高いが、投手としても守りはピカ一だった。しかし他の投手が余りに弱く、エースの不調やブルペン陣の弱さを捕手リディリディが必死にカバー。それでも結局うまく纏まらず、投手力の総合的な弱さがチーム成績にまともに響いた。新規加入のアルシエラは、今季は代打での登場に終始した。
最下位はファルシオンズ。
ハヤト、アルマ、バーネットの盗塁王争い三人衆が必死に打線を引っ張ろうとしたが、如何に塁上を賑わせようにも、彼らを本塁に迎え入れる他野手の打撃の弱さが得点率の悪さに繋がった。加えて投手力も弱く、またチーム失策数もリーグワーストであり、機動力以外の全ての面の立て直しが急務。
<チーム成績>
一位 スケールス
31勝22敗7分 勝率.585
防御率2.07 打率.279 得点253 失点163
本塁打数39 盗塁数42 失策数14
二位 マーシーズ
26勝25敗9分 勝率.510
防御率2.17 打率.251 得点205 失点202
本塁打数17 盗塁数47 失策数22
首位との勝差4
三位 エストックス
24勝27敗9分 勝率.471
防御率3.78 打率.250 得点193 失点226
本塁打数30 盗塁数15 失策数18
首位との勝差6
四位 ファルシオンズ
19勝26敗15分 勝率.422
防御率3.06 打率.266 得点161 失点221
本塁打数12 盗塁数78 失策数38
首位との勝差8
<投手成績(簡易)>
コルネリウス・アーラ(エストックス 33)
防御率0.86 19S 奪三振率8.14 K/BB6.33 WHIP0.571
投球回21 打者82 被安打9 被本塁打0 奪三振19
与四球3 与死球0 暴投0 ボーク0
<投手成績(詳細)>
ライナ・フレイヴァルツ(マーシーズ 11)
登板20 先発20 完投12 完封4 無四球2
防御率 1.72 奪三振率8.06
勝利15 敗戦3
QS15 QS率.750
投球回172.98 打者664 被安打142 被本塁打0 奪三振155
与四球10 与死球0 暴投1 ボーク0 刺殺23 補殺55 失策0 守備率1.00
失点41 自責点33
被打率.217 K/BB15.5 WHIP.879
フリーダ=ブロムヴィスト(スケールス 9)
登板25 先発0 完投0 完封0 無四球0
防御率 1.08 奪三振率11.52
勝利0 敗戦0 セーブ18
QS0 QS率0.00
投球回25 打者88 被安打12 被本塁打1 奪三振32
与四球2 与死球0 暴投0 ボーク0 刺殺10 補殺12 失策0 守備率1.00
失点4 自責点3
被打率.140 K/BB16 WHIP.56
<野手成績(簡易)>
アルベルト・V・シュタールシュヴェーアト(スケールス 24)
打率.316 出塁率.342 得点圏打率.361
打席272 打数244 単打28 二塁打18 三塁打9 本塁打22 四球12 死球4 犠打0 犠飛12 敵失2
長打率.734 塁打数179 OPS1.076 打点50 盗塁1
ハヤト=ガラン=ヴォルファング(ファルシオンズ 8)
打率.304 出塁率.364 得点圏打率.284
打席288 打数240 単打32 二塁打24 三塁打15 本塁打2 四球21 死球4 犠打19 犠飛4 敵失4
長打率.554 塁打数133 OPS.918 打点32 盗塁30
バーネット・フォーサイス(ファルシオンズ 40)
打率.354 出塁率.505 得点圏打率.364
打席241 打数147 単打31 二塁打11 三塁打9 本塁打1 四球40 死球5 犠打49 犠飛0 敵失8
長打率.571 塁打数84 OPS1.076 打点31 盗塁20
<野手成績(詳細)>
ルベア・ベルニ(スケールス 35)
試合60
打率.361 出塁率.419 得点圏打率.485
打席250 打数205 単打40 二塁打21 三塁打9 本塁打4 四球22 死球3 犠打14 犠飛6 敵失4
長打率.610 塁打数125 OPS1.029 打点39
三振49 凡打78 併殺打3
盗塁17 盗塁死3
刺殺107 補殺293 失策0 守備率1.00
フロマーシュ・ダイヤドロップ(マーシーズ 12)
試合60
打率.317 出塁率.351 得点圏打率.339
打席236 打数202 単打36 二塁打19 三塁打4 本塁打5 四球14 死球2 犠打8 犠飛10 敵失1
長打率.525 塁打数106 OPS.876 打点38
三振53 凡打84 併殺打9
盗塁6 盗塁死0
刺殺345 補殺75 失策0 守備率1.00
盗塁刺61 企図数84 盗塁阻止率.726
リディリディ・トゥラ・イェレミース(エストックス 2)
試合54
打率.293 出塁率.370 得点圏打率.371
打席202 打数167 単打29 二塁打13 三塁打5 本塁打2 四球16 死球5 犠打13 犠飛1 敵失2
長打率.467 塁打数78 OPS.837 打点21
三振54 凡打62 併殺打5
盗塁1 盗塁死2
刺殺247 補殺70 失策0 守備率1.00
盗塁刺46 企図数94 盗塁阻止率.489
アルマ・ヴァレンタイン(ファルシオンズ 2)
試合60
打率.308 出塁率.397 得点圏打率.302
打席257 打数195 単打33 二塁打17 三塁打9 本塁打1 四球27 死球2 犠打33 犠飛0 敵失4
長打率.503 塁打数98 OPS.900 打点25
三振42 凡打89 併殺打3
盗塁21 盗塁死5
刺殺56 補殺94 失策1 守備率.993
<用語解説(一部)>
・奪三振率
一試合平均(=9イニング平均)の奪三振数。
投手が一試合を完投した場合、三振を幾つ奪うことが出来るかを表す。
・刺殺
守備側の選手が飛球を捕えたり、送球を受けたり、走者にタッチするなどして、打者または走者を直接アウトにすること。及びその守備記録。
・補殺
アウトが成立した場合、これに至る過程で送球を行ったり、或いは打球や送球の方向や速度を変えるなどしてそのアウト成立を補助すること、及びその守備記録。
・K/BB(Strikeout to Walk ratio)
奪三振 (K:strikeout)と与四球 (BB:Base on Balls)の比率。投手の制球力を示す指標のひとつ。
3.5を超えると優秀な投手と見做される。
・WHIP(Walks plus Hits per Inning Pitched)
投手が1イニング辺り、どれだけ安打を許したか、或いは四球を出したか示す。
少ない方が優秀な投手と見做される。
例)1.00以下は非常に素晴らしく、1.32で平均とされる。
マスターコメント
皆様お疲れ様でございました。
結果はリプレイ本文をご覧下さい。
優勝したチームも、優勝出来なかったチームも、皆様素晴らしい戦いぶりでした。
来シーズンも【球祭】として連作を運営するかどうかは何も決まっておりませんが、ひとまずは今季の戦いに称賛を贈りたいと思います。
素晴らしい戦いを、ありがとうございました。
イベントシナリオ易しい 報酬:標準11 / 4〜25人
2022年07月04日 09時00分52秒 公開
大成功
参加者
相談掲示板
No.1
リディリディです。 よろしくお願いします。 あらたにロレッタさんがマーシーズの野手で入団されるようですね。 今回でペナントでの成績が決まるのでしょうか。