【花戦】なんてごちそうだ

岩岡志摩

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シナリオID:2145

オープニング

●はないくさ
 この時期はシャルガネを中心として、辺境都市群一帯で催される祭りがある。
 豊穣祈願祭や花祭りの類であるその祭の名は、「はないくさ」。
 今となってはその原義もおぼろげではあるが、豊穣を願うお祭り騒ぎというふんわりした認識が共有されているのみ。
 ――しかし今年はなにやら、騒がしいお客様がいるようで……?

●ごちそうが来た
 お祭り騒ぎに刺激されたのかは不明だが、祭りが行われている場所では、時折植物系魔獣が現れることもあるらしい。
 甘い香りで男性を誘惑する魔樹、枯れ枝を振り回す暴れ桜など。
 ただこの事件に関しては、何というか……ご馳走(?)で形成されている魔獣が現れたようだ。
 目撃者によると、野菜みたいに全身が食うことのできる魔樹で、春の野菜だけでなく夏や冬の野菜も生やしているらしい。
 ということで、この時期はその『ごちそう』なる魔獣を狩る者達もいた。
「あいつらは切って鍋に入れてもうまいぞ」
 どうやらその魔獣が出現したのは、今回が初めてというわけでもないらしい。
「ごちそうと言いますが、どういう外見なのでしょうか?」
 今回初参加という人物が経験者らしき男に問いかける。
「大丈夫だ、見ればわかる。目立つ大きさのブロッコリーが歩いているんだぞ?」
 そういって男が指をさした先には、周りにある木々と比べて一回りも大きく、やけに青々とした樹木めいたものが歩いていた。
 普通(?)の樹木は歩く真似はしないから、目立つことこの上ない。
 やがて日当たりのいい場所に到達したのか、その樹木もどきは動きを止める。
「ああやって、奴は得物をおびき寄せる真似をする」
 男の説明を裏打ちするように、やや遅れてイノシシや野生の牛といった動物達が樹木もどきへと集まっていく。
 さらに羽ばたきの音が上から複数聞こえてきたので、その方角を仰ぎ見ると、やや大きめの鳥が樹木もどきへと舞い降りてきた。 
 樹木もどきに近づいた動物たちは、口に届く範囲にある実りを恐る恐る食していたが、やがて我慢できなくなったのか、より奥の方に実る野菜や果物も食べようとして、密着していく。
 この時期でも、動物や鳥達にとって樹木もどきが生やすものはご馳走なのだろう。
 しかしそんな動物達の周囲にいつの間にか棒状の野菜めいたものが張り巡らされ、動物や鳥達を絡めとっていく。
 動物や鳥達は必死になってもがくも、樹木もどきの口とおぼしき場所へと引きずり込まれ、じわじわと生きたまま『喰われて』いく。
「あれってどうやって倒すんですか。全身が食べられるなら、燃やしたら駄目になりますよね」
「あいつは衝撃には強いんだが、斬撃には弱いからな。幹に一定以上の切れ込みを入れたらバッサリと切れるか折れて倒れる」
 笑みと共に男が握るのは、大きめの斧。
「しかし、でかいな。あれだけ大きければ今回はシチュー……いや、ポトフか。美味い葉物があるならパンとソーセージで……」
 何やら食い気に支配された男がブツブツ言っているが、その間にも動物達を『喰った』樹木もどきが身震いを始める。
 葉はさらに生い茂り、野菜や果物といった実りもさらに増えていく。
「実りが増えただと!? カボチャにきゅうり。それにオレンジ、桃、ブドウまで!?」
「幹や枝も大きくなりました! 幹にトウモロコシと芽キャベツ、枝にトマトも生えてきましたよ!?」
 樹木もどきを包囲しつつある男達の気持ちは一つだった。
「「「なんてごちそうだ……!」」」
 狩りに来た人々は、既に樹木もどきを動く野菜や果物にしか見えていない。
「い、いいかみんな、逃がすなよ! 絶対火は使っちゃ駄目だからな!」
「わ、わかっていますよ! 一気に倒しましょう!」
 既に狩人達の頭の中には、樹木もどきが美味しく調理された姿が出来上がっている。
 そして食欲に支配された男どもが、一斉に樹木もどきへと襲いかかる。
「うぉらああっ! 今日は野菜の肉巻きだあぁぁっ!」
 哀れな樹木もどきは、あっさりと収穫された。

●困った
 慎重に『収穫物』が運び込まれた先では、話を聞きつけた人々の歓声が響く。
 人には硬くて食べられない部位は現地で育てている馬や家畜といった動物達に分けられ、動物たちは頑強な顎で食べている。
 樹木もどきから収穫できた野菜や果物は、狩ってきた人々の属する村で分けられた。
 村人達は様々な料理に野菜や果物を使い、平らげていった。
 そして樹木もどきはちょうど『食事中』だったらしく、食いかけのイノシシや牛、野鳥たちも樹木もどきから取り出すことが出来た。
 村人達はそれが食いかけだろうが、肉も食えると喜び、解体して食える部分を料理に変えていく。
 特に人気だったのは、畜産農家から提供されたチーズを鍋でトロトロに温め、たっぷりと肉や野菜にかけたものだ。
 チーズの塩気とコクは正義だった。
 ただ今回は、村人達が総出でも食べきれない量だったことで、問題が発生する。
 食えなかった分を干し肉や保存食に回しても、どうしても多く余りが出てしまう。
 肉を保存する技術に乏しいこの村では、大量の野菜や果物、肉を抱えることになり、どうやってこの問題を解決すべきか話し合いが始まる。
 やがてある人物が言った言葉で、解決の道がひらかれた。
 ――はなまつりに参加する人達に食べつくしてもらうのはどうだろう?
 ちょうど今は豊穣を願うお祭り騒ぎで、周囲は賑わっている。
 事情を話して少々訳アリの食べ物だという形で食べてもらえれば、余った食材を無駄にしなくて済む。
 しかし、いかに食べられた部分を除去するとはいえ、樹木もどきの食いかけとなった肉も含め、食べてくれる人たちなど居るだろうか?
「冒険者達がいるじゃないか」
 この村の人々は、冒険者のことを「鋼鉄の胃袋を持ち、なんでも解決してくれる万能者の集まり」だと考えていた。
 ある意味、間違っていない。
「大食い大会みたいな形にして、参加する人達に報酬を払う形にすれば、冒険者達も来てくれるはずだ」
 そういう期待も含め、村では村人達総出で余った食材を使った大食い大会の準備を進めると共に、冒険者ギルドへと依頼を出す。
 ――食材を食い尽くしてくれる、強い胃袋を持つ冒険者達を派遣してほしい。
 ということで、村では健啖家の冒険者達を多く求めています。

●現在大食い大会で用意されているメニュー
 ポトフ(野菜とソーセージ入り)が10人前。
 オーブンで焼いた肉や野菜にチーズをたっぷりかけたチーズ料理が20人前。
 イノシシ肉のピカタ(肉に食塩、コショウなどで下味をつけてから小麦粉をつけ、粉チーズを混ぜた溶き卵をからませてソテーしたもの)が10人前。
 牛肉のコトレッタ(牛肉に小麦粉をつけ、溶き卵をからませてパン粉をまぶし油で揚げたもの)が10人前。
 野鳥肉の照り焼き(鉄板で焼いた野鳥肉を村特製の味付けで仕上げたもの)が10人前。
 以上の料理が皆様をお待ちしています。

解説

●目標  大食い大会に出された肉と野菜の料理を全て食い尽くす  登場  村人達  今回大食い大会を企画し、運営する人々。  魔獣を倒して収穫物を手に入れたのはいいけれども、多すぎて処分に困り、今回の大食い大会を企画した。  最終的に食い尽くしてくれるなら、ある程度のことは大目に見る予定。  希望があれば果実水やエール、ワインといった飲み物も用意してくれる。  大量の肉と野菜  今回皆様が食い尽くす対象。  様々な料理に調理され、皆様に食べつくされるのを待っている。  詳細はOP内文章●現在大食い大会で用意されているメニューを参照。  状況  辺境都市群の中でも「はなまつり」が行われている地域に属する村。現地時刻は正午快晴。皆様は村からの依頼に応じたという形でこの村を訪れ、大食い大会に参加した。  料理は全て村の方で請け負うので、皆様は食べつくせばいい。なお依頼の形をとっているので、報酬が少し発生している。  皆様は下記の席の箇所から行動開始。それぞれの料理に向かって食い尽くすという流れになる。  食べきれない分は村人に頼めば持ち帰り用の容器を用意してくれるので、持ち帰りは可能だがその分は完食した分にカウントされない。  また料理を台無しにするような真似をした場合、やった人は責任をもって駄目にした料理を完食してもらう。この場合駄目にした料理は皆様が食べた量にカウントされないので注意。  以下は大食い大会会場の大まかな見取り図。  ↑北   123456789  A   ポポ  B 猪    チチ  C 猪 席席 チ  D 猪 席席 チ  E   席席  F      牛  G 鳥鳥鳥 牛牛  H  席:スタート地点。自由に選択重複可。  ポ:ポトフが置かれたテーブル。  チ:肉や野菜にチーズをたっぷりかけた料理が置かれたテーブル。  猪:猪肉のピカタが置かれたテーブル。  牛:牛肉のコトレッタが置かれたテーブル。  鳥:野鳥肉の照り焼きが置かれたテーブル。

マスターより

 「はないくさ」の影響によるものかは不明ですが、この村では現れた魔獣によって困りごとが発生し、皆様冒険者の助け(正確にはその胃袋)を必要としています。  最終的に肉や野菜を食い尽くしてくださるのであれば、どのように食して下さっても構いません。  もし余力があればですが、この村に肉や野菜を保存できる技術や知識を教えることができれば、村人達から感謝されるでしょう。  ご不明な点がございましたら、出発36時間前まででしたらアルヒ・ラスカスが答えられる範囲は答えます。

リプレイ

●いざ実食
 ――出来上がった料理が多すぎたので、食い尽くしてください。
 そんな依頼を受け、冒険者達が村の大食い大会に集う。
 今回用意された肉の数々は、いずれも植物型魔獣に食われた部分を丁寧に除去されており、食べられる部分で構成されている。
「お腹いっぱい食べれる上にお金がもらえるという天国みたいな場所は此処ッスか!?」
 今回この依頼に参加するマトンのテンションは高い。
「とりあえず肉食べたいッス」
 そう決断したマトンは、周囲にいる村人達にお勧めの肉を聞いて回り、その肉に一番近い席より行動を開始する。
「不肖マトン、おなかがちぎれても食べるのをやめたくない――イヤ千切れたら困りますけど!」
 ノリとツッコミをセルフカバーしたマトンは、イノシシ肉のピカタ(塩で下味をつけてから小麦粉をつけ、チーズを混ぜたタマゴを絡ませてソテーした料理)を口に入れる。
 火が優しく入ったイノシシ肉が、タマゴの衣を纏うことでジューシーに仕上がっている。
 さらに濃厚なクリームめいたソースも合わさって、マトンの舌にイノシシ肉のすばらしさを教えてくれる。
「飯が食えて報酬も出るとかマジか、得しかねぇ」
 ルイドもまた、無料で食事にありつける上に報酬も出るというこの依頼に魅力を感じた1人だ。
 ただルイドには、1つ気がかりなことがある。
「まだ自分の味の好みとかも良くわからねぇんで、とりあえず全種食ってみるか」
 ルイドは最も多く作られたチーズ料理については、後に回すことにした。
「……牛から順に時計回りで、味わってく」
 ルイドはコトレッタ(牛肉にパン粉をつけ、バターで揚げた料理)から食してみる。
 しっとり火を入れた牛の肉と、香ばしいバターの香りのコンビネーションは野生の雑味を消しており、口の中で広がる香ばしさと食感は一度食べたら忘れられない。
「チーズたっぷり料理からぐるっと時計回りに食べてゆきます」
 用意された席のうち、最も北東側に座っていたリディリディ・トゥラ・イェレミースは、宣言と共にチーズに包まれている料理から手を付け始める。
 濃厚なチーズ本来の風味も加わり、肉は柔らかく野菜はコリコリとした食感をリディリディの口の中に届け、チーズに含まれる塩味が素材の味をうまく引き立てている。
「食は私の一番の楽しみなので!」
 とても幸せそうに、リディリディは料理を食していく。
 その様子を、少し離れた場所よりクラルスが見つめていた。
(エルフでも肉をモリモリ食べる子も居るんだなぁ……)
 クラルスが視線を向ける先では、リディリディがチーズをまぶした肉をはむはむ食していた。
 その中で視線を感じたのか、リディリディがふとクラルスがいる方角に目を向ける。
(あのヒューマンのひとはなんでしょう?)
 そんなリディリディの意志を察知したのか、クラルスはリディリディから料理へと視線を戻す。
(あまり見るのも失礼だし、こちらもまだまだ残ってるから食うのに集中しますかね)
 クラルスは意識を切り替え、野鳥肉の照り焼きから手を付け始める。
 パリッとした食感の後、噛むごとに肉汁が口の中に溢れ、全体に施された甘い味付けがクラルスに美味を伝える。
「はないくさも正直なんでそうなるのか分からない状態な俺には、こっちの方が正直なー」
 サイラスはこの地で行われている花戦(はないくさ)というお祭り騒ぎについて、それほど興味はない。
 同伴する狼の『大福』にも食べられそうなものを分け与え、サイラスはのんびりと料理を味わっている。
 なおサイラスは大福に分ける際、食べられないものや味付けを丁寧に除去して、大福の健康にも配慮することも忘れない。
 今サイラスが食しているコトレッタは、カリッとした外側が肉のジューシーさを内側に閉じ込めており、サイラスが噛むごとに肉の味が口の中で咲き誇っている。
「なんなら余れば知り合いとかに配るとか、保存効く奴ならこっちで食べるために持ち帰るのもありか」
 あむあむと肉を食べている大福を眺めながら、サイラスは持ち帰る料理についても思案する。
「大食い競争をしたい者が沢山食べればいいのだし、どうぞどうぞ」
 他の冒険者達が思い思いの形で料理に挑む中、ストレガ・L・リベルガストラは自身のペースを崩さずに、料理に向き合い始めている。
 まずはポトフから。
「私は味わって頂くのだ」
 煮込まれた肉や野菜はしっかりと味がしみ込んでおり、一口食べるたびにほっこりとした感触をストレガに伝え、飲み込めばストレガの喉を暖かさが通過していく。
「この料理に使われた材料は何なのだ?」
 じっくり味わった後、ストレガは紙と羽根ペンを取り出すと、周囲の村人達へ調理の仕方や食材について質問を重ねていく。
 ストレガは村人達からの答えを紙に記すと共に、自分が感じた味も所感として追記していく。
「この料理に合う飲み物は……」
 そしてストレガは、各料理に相性が良さそうな飲み物についても思案を巡らせていく。

●まだまだ食べます
 全員が一通り料理を味わったところで、冒険者達は料理への向き合い方をそれぞれ変えていく。
「僕、肉に種類がある事も今日初めて知ったッス。肉は肉じゃないんスねぇ!」
 マトンは用意された肉を一通り平らげ、1つ1つの食感や味といった要素がまるで違うことに驚きを隠せない。
「気に入ったのから食べつつ、食休みはポトフで行きたいっス」
 マトンが自身の腹具合から計算すると、各料理の並んだテーブルを2周するのが精いっぱいというところだろうか。
 チーズの塩気も素晴らしいが、ポトフの優しい味も捨てがたい。
 喉越しに感じる野菜の暖かさでほっこりしたマトンは、ふと周囲に目を向け――。
「どうしたらそんな食えるっスかぁー!?」
 マトンは、リディリディをはじめ参加した冒険者達の食いっぷりにおののきを隠せない。
 マトンが見ている間にも、冒険者達の前に置かれた料理はいつの間にか消えていき、空の皿が積み上げられている。
(視線は少し気になりますが、今はお肉の方に集中したいです)
 自分に向けられた視線に一瞬気がそれたものの、リディリディはすぐに肉を味わうことに意識を引き戻す。
 無言のまま、幸せそうな表情でリディリディはどの料理もまんべんなく平らげているが、よく見ると肉を食していることが多い。
(あまり野菜は好きではありませんので)
 健啖家であるリディリディにも、好みはあるようだ。
 しかしリディリディが料理を食す姿は優雅さすら感じさせる綺麗なもので、見ている村人達には気づかれていない。
「さすが、どれも食い応えあって旨いわ」
 ルイドは調理の仕方や素材によって異なる旨さを、余すところなく受け入れている。
 最後まで残りそうなチーズ料理を後回しにしたものの、ルイドはしっかりチーズ料理も平らげ、再びイノシシ肉のピカタへと向かう。
「やっぱ肉ごとに味も違うんだな。個人的にはこのピカタってのが特に気に入った」
 ルイドはピカタの持つ味付けも好みだが、この料理を好きになった理由は他にもある。
「他もいいんだが、猪の肉の強めの噛み応えが好きだな。野趣に富む……っていう感じか?」
 ルイドはピカタの歯ごたえを特に気に入ったようだ。
「順番に食っていきますかね」
 クラルスもまた、それぞれの料理を1つずつ着実に食していく。
 鳥肉は噛めばほろりと崩れて噛みやすく、イノシシ肉はゆっくりと火を通したのか歯ごたえは十分で、牛肉も素直な味と香りをクラルスの舌にもたらす。
(このピカタは弾力があって肉汁も多め。こちらのほうは――)
 クラルスはそれぞれの料理を比較しながら、各料理の魅力を堪能していく。
「葡萄ジュースを頂こうか」
 ストレガは飲み物をもらい、口の中を整えると周囲にいる村人達に向け、今回出現した魔獣について話を聞き出す。
(何回か現れたことがあるならその資料も残っているはず。記録に残さなければ)
 ストレガは紙に村人達の答えを記録していく。
「似たような植物系魔獣が現れるなら、それらの変種なのかもだ」
 ストレガはそんな推測を立てて話を聞くと、過去にも似たような魔獣が出現していたようだ。
 記録を終えたストレガは、情報のお礼として自身が知る肉の保存方法を村人達へ伝えることにする。
「今回用意された肉の場合、塩と香草で干肉や燻製肉を作ることができれば長持ちするのだ」
 ストレガは今回料理に使用された肉それぞれに最適と思われる塩加減や、使用する香草の量、その手順を村人達に教えていく。
「素材の余りとかないかなーと」
 サイラスは今回収穫された樹木型魔獣について、村人に尋ねる。
 村人の話によると、解体の段階で人間の料理に使えそうにない部位もあったようだが、村で飼育している家畜の餌として利用されたので、残っていないとのことだった。
 その話を聞き、サイラスは自分の席に腰を下ろす。
「のんびりと、だな。勝たないといけない理由もないし」
 大福がゆっくりと口のまわりを舌なめずりしている仕草を見て、サイラスは大福が満腹になったと知り、竜花琴を取り出す。
 サイラスが緩急をつけて弦を爪弾き、竜と花をモチーフにした装飾が施されたボディより流れる竜花琴の音は、聖霊祭の一曲を形成していく。
 サイラスの奏でる曲は、今行われている大食い大会の雰囲気と相性が良く、お祭り騒ぎに音楽を添える形となった。

●平らげました
 村人達が用意した料理は、その半ばが冒険者達の胃袋に問題なくおさまった。
「これで依頼は終了となるかな?」
 クラルスは周囲を見渡して状況を確認すると、ナイフやフォークをテーブルに置く。
 やがて村人達より依頼完了の報せが届き、冒険者達は帰り支度を始める。
「こういう依頼であれば、是非私を呼んでください。何をおいてもかけつけますので」
 リディリディは今後同じような依頼を出すときには必ず駆けつけると、村人達に約束する。
「ところで、お土産はまだでしょうか」
 リディリディはあれだけの量を平らげてもなお、持ち帰って食べるつもりらしい。
 村人達にとっても今回の依頼は捨てられることなく誰かに食べてくれることを期待してのものだったので、残った料理は村より提供された容器に詰められ、リディリディにも渡されていく。
「知り合いに配る分と、おれ達で食べる分をどう分けるかは、持ち帰った後で考えるとするか」
 サイラスは村人達より容器を受け取ると、自身が持ち帰る分の料理を詰め始める。
「お腹いっぱい肉を食べることができて満足ッス」
 マトンは満足そうに腹をさする。
 今回覚えることが出来た肉の種類やその味は、今後マトンの食生活に役立つはずだ。
 残った料理は持ち帰ることができるので、マトンは今回気に入った料理を中心に、村より提供された容器へと残る料理を入れていく。
「照り焼き、コトレッタあたりを持ち帰ることにするのだ」
 ストレガは鳥肉の照り焼きや牛肉のコトレッタを中心に、村人達から提供された容器に詰め込むと、マジカルポケットに収納していく。
 今回ストレガの持ち帰る料理は、いい土産になるだろう。
「俺もそんな大したこと覚えてないんで役立つかはわからねぇが……」
 帰り際にルイドは前置きしながらも、自身の知る保存方法を村人達に教える。
「干す燻す冷やすの他で言えば、調味料を大量に使うのも効果あったよな?」
 ルイドが思い浮かべているのは塩漬けや酢漬け、そしてオイル漬けなど。
(……果物とかならジャムや蜂蜜漬けもありか)
 ルイドは一通り知りうる方法を村人達に伝え、判断をゆだねて帰路に就く。
 周囲が花戦(はないくさ)の空気に包まれる中、魔獣や食材と化した動物達は冒険者達によって美味しくいただかれた。
 ごちそうさまでした。

マスターコメント

 用意された料理は皆様の胃袋におさまるか、お土産として持ち帰ることができたので目標達成です。  改めましてこの度はご参加下さりありがとうございました。  また機会がございましたら、よろしくお願いいたします。
イベントシナリオ

イベントシナリオ易しい 報酬:少ない6 / 6〜25人

2022年05月14日 08時24分27秒 公開

大成功

参加者

相談掲示板

  1. No.1

    もぐもぐ・・・もぐ・・・。 まだ揃っていませんが、リディリディと言います。 よろしくお願いします。 ぐるっと順番に食べていくつもりなので、C5あたりからスタートしていきます。

  2. マトン

    ギリギリ揃ったっすね!?僕マトンっす。よろしくおねがいしまっス! どれも美味しそうで目移りするッスねー!たくさん種類あるけど、全部肉ッスよね? あんま違いが分からないんで、全種少しずつ食べていけたらいいなと思ってるッス!

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0