【魂禍】ギョーテン住宅情報ロモズ不動産
革酎
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シナリオID:2066
オープニング
●オノショタ、新居を探す
ホムンクルスのオノショタは、シルトラース帝国南部の山岳地帯にあるカルケルーア・ロモズに居を構えることにした。
「ようこそおいで下さいました。ロモズ不動産事務所長のリトルブランチと申します」
カルケルーア・ロモズ南集落の、とある木造建築。
その玄関口を訪れたオノショタを、カツィーラ・リトルブランチなるヒューマン女性が出迎えた。
「物件をお探しですね? では当ロモズ不動産からお客様のお眼鏡にかなう物件を紹介して進ぜましょう」
カツィーラ所長のにこやかな笑みに、何故か不穏な気配を感じ取ったオノショタ。
しかしロモズ歩兵団長リーヴァー・シュランドルからの紹介なのだから、一応は信じてみることにした。
シグモル火山帯の地下に広がる魔境『辺獄』での戦いは、熾烈を極めた。
そして、この山岳集落群カルケルーア・ロモズを本拠地とするロモズ歩兵団に於いては、先の辺獄戦役で三名の団員がホムンクルス化するという悪夢に見舞われた。
ホムンクルス化とは即ち、一度は命を失うことに他ならない。
怒りに燃えたリーヴァーは、見事三名の仇を討った。と同時に、ホムンクルスとして蘇った三名を、改めてカルケルーア・ロモズの住民として迎えることにした。
ホムンクルスは現在、冒険者ギルドの保護下にある。が、その全員の住居まで手配出来るという訳ではなかった。リーヴァーは冒険者ギルドと協議し、元ロモズ歩兵団員の三人のホムンクルスの住居をカルケルーア・ロモズに定め、ここを彼らの保護場所とする様にと話を持ち掛けた。
冒険者ギルドも、数名程度のホムンクルスならロモズ歩兵団に管理を代行させても良いとの決定を下した。
その際、リーヴァーはオノショタも冒険者ギルド保護下の住民として迎えたいとの意向を示したのである。
行く当ての無いオノショタはリーヴァーの言葉に甘えて、カルケルーア・ロモズを今後の生活拠点にしようと考えた。
「ありがとう……ございます。僕も、新しいおうちに住めるのが、楽しみです」
「うむ、そうだな。新しいおうち……ふぅむ、そうだな。新居が居るな」
ロモズ歩兵団事務棟のロビーでオノショタを出迎えたリーヴァーは、新居のひと言で思わず腕を組んだ。
オノショタが好みそうな物件とはどの様な物件なのか。その辺のアイデアが全く、浮かばなかった。
それはオノショタ自身にも同じことがいえる。
カルケルーア・ロモズを構成する三つの集落には色々な空き家が並んでいるが、どの空き家がベストなのか、住宅情報に疎いオノショタには今ひとつ、ピンとこない。
「よし、こちらで良さげな物件情報を精査して、紹介することにしよう」
リーヴァーは、オノショタの為に優良な物件情報を提供すると約束した。
ロモズ歩兵団には様々な人材が居るのだが、そのうちのひとり、重兵20番隊員のカツィーラ・リトルブランチはロモズ不動産事務所長の肩書を持つ女性だった。
後日、リーヴァーは近隣の町の冒険者ギルドに依頼票を貼り出した。
内容は、魅力的な物件をオノショタにプレゼンしろというものである。プロの不動産業者であるカツィーラに全てを任せても良かったが、ホムンクルス目線で物件の良し悪しを判断出来るのは冒険者以外に居ない、というのがリーヴァーの判断だった。
リーヴァーはカツィーラに話を通し、プレゼン要員として臨時に冒険者を雇い入れる様にと指示を出した。
そうして、最初に名乗りを上げたのはロモズ歩兵団重兵20番隊長ジェイソン・ジュピターだった。
「そういうことなら、俺に任せろ。どんなギョーテン物件でもロックに紹介してやるぜ!」
最初からギョーテン物件(要はちょっぴりいかがわしい物件)を紹介する気満々な時点で、もう色々と問題ありまくりである。
流石にジェイソンひとりに任せては物件内容が偏り過ぎるかも知れぬと判断したリーヴァーは、募集に応じた他の冒険者達に、ジェイソン如きに負けるなと変な勢いで凄んだ。
果たして、無謀にも名乗りを上げた冒険者達は、オノショタが気に入りそうな物件を紹介することが出来るのだろうか。
ホムンクルスのオノショタは、シルトラース帝国南部の山岳地帯にあるカルケルーア・ロモズに居を構えることにした。
「ようこそおいで下さいました。ロモズ不動産事務所長のリトルブランチと申します」
カルケルーア・ロモズ南集落の、とある木造建築。
その玄関口を訪れたオノショタを、カツィーラ・リトルブランチなるヒューマン女性が出迎えた。
「物件をお探しですね? では当ロモズ不動産からお客様のお眼鏡にかなう物件を紹介して進ぜましょう」
カツィーラ所長のにこやかな笑みに、何故か不穏な気配を感じ取ったオノショタ。
しかしロモズ歩兵団長リーヴァー・シュランドルからの紹介なのだから、一応は信じてみることにした。
シグモル火山帯の地下に広がる魔境『辺獄』での戦いは、熾烈を極めた。
そして、この山岳集落群カルケルーア・ロモズを本拠地とするロモズ歩兵団に於いては、先の辺獄戦役で三名の団員がホムンクルス化するという悪夢に見舞われた。
ホムンクルス化とは即ち、一度は命を失うことに他ならない。
怒りに燃えたリーヴァーは、見事三名の仇を討った。と同時に、ホムンクルスとして蘇った三名を、改めてカルケルーア・ロモズの住民として迎えることにした。
ホムンクルスは現在、冒険者ギルドの保護下にある。が、その全員の住居まで手配出来るという訳ではなかった。リーヴァーは冒険者ギルドと協議し、元ロモズ歩兵団員の三人のホムンクルスの住居をカルケルーア・ロモズに定め、ここを彼らの保護場所とする様にと話を持ち掛けた。
冒険者ギルドも、数名程度のホムンクルスならロモズ歩兵団に管理を代行させても良いとの決定を下した。
その際、リーヴァーはオノショタも冒険者ギルド保護下の住民として迎えたいとの意向を示したのである。
行く当ての無いオノショタはリーヴァーの言葉に甘えて、カルケルーア・ロモズを今後の生活拠点にしようと考えた。
「ありがとう……ございます。僕も、新しいおうちに住めるのが、楽しみです」
「うむ、そうだな。新しいおうち……ふぅむ、そうだな。新居が居るな」
ロモズ歩兵団事務棟のロビーでオノショタを出迎えたリーヴァーは、新居のひと言で思わず腕を組んだ。
オノショタが好みそうな物件とはどの様な物件なのか。その辺のアイデアが全く、浮かばなかった。
それはオノショタ自身にも同じことがいえる。
カルケルーア・ロモズを構成する三つの集落には色々な空き家が並んでいるが、どの空き家がベストなのか、住宅情報に疎いオノショタには今ひとつ、ピンとこない。
「よし、こちらで良さげな物件情報を精査して、紹介することにしよう」
リーヴァーは、オノショタの為に優良な物件情報を提供すると約束した。
ロモズ歩兵団には様々な人材が居るのだが、そのうちのひとり、重兵20番隊員のカツィーラ・リトルブランチはロモズ不動産事務所長の肩書を持つ女性だった。
後日、リーヴァーは近隣の町の冒険者ギルドに依頼票を貼り出した。
内容は、魅力的な物件をオノショタにプレゼンしろというものである。プロの不動産業者であるカツィーラに全てを任せても良かったが、ホムンクルス目線で物件の良し悪しを判断出来るのは冒険者以外に居ない、というのがリーヴァーの判断だった。
リーヴァーはカツィーラに話を通し、プレゼン要員として臨時に冒険者を雇い入れる様にと指示を出した。
そうして、最初に名乗りを上げたのはロモズ歩兵団重兵20番隊長ジェイソン・ジュピターだった。
「そういうことなら、俺に任せろ。どんなギョーテン物件でもロックに紹介してやるぜ!」
最初からギョーテン物件(要はちょっぴりいかがわしい物件)を紹介する気満々な時点で、もう色々と問題ありまくりである。
流石にジェイソンひとりに任せては物件内容が偏り過ぎるかも知れぬと判断したリーヴァーは、募集に応じた他の冒険者達に、ジェイソン如きに負けるなと変な勢いで凄んだ。
果たして、無謀にも名乗りを上げた冒険者達は、オノショタが気に入りそうな物件を紹介することが出来るのだろうか。
解説
状況:
PCの皆様は冒険者ギルドにて物件情報紹介プレゼンの依頼を受けて、カルケルーア・ロモズに到着したところからスタートして頂きます。
その際、オノショタに対しては『○○○な家』という形で紹介して下さい。
尚、オノショタはどうやら普通の感覚の持ち主ではないので、割りと奇抜な住宅が好みの様です。
ちなみにジェイソンは、『ちょっとかびんな家』というのを既に紹介済みです。その内容は『窓やドアにやたらと花瓶型デザインが多い(花瓶型デザインが多い家、即ち、ちょっとかびんな家)』というものだそうです。ジェイソンは更に色々な物件を紹介しようと目論んでいるらしく、彼に負けるなと、リーヴァーは他の冒険者にハッパをかけています。
NPC:
主なNPCは物件を探しているホムンクルスのオノショタの他、ロモズ歩兵団長リーヴァー・シュランドル、ロモズ歩兵団重兵20番隊長ジェイソン・ジュピター、ロモズ不動産事務所長カツィーラ・リトルブランチです。
マスターより
皆様、こんにちは。
連動『辺獄戦役~火生の神と人造授恵者~』での事後シナリオをご提供致します。
今回はカルケルーア・ロモズに移住してきたホムンクルスのオノショタの為に、彼の好みに合いそうな物件を紹介してあげて下さい。
尚、既にジェイソンが紹介した物件からお察しの通り、本シナリオは大喜利シナリオです。
ナイスなオチのある物件がオノショタの好みになりそうです。
シリアスな展開の多かった連動の最後にアレな内容ですが、ご参加をご検討頂けましたら幸いです。
リプレイ
●敢えていおう、逆であると
春の陽射しが暖かい、山岳集落群カルケルーア・ロモズ。
誰もがぽかぽか陽気の中で、咲き誇る山の花々を愛でる穏やかな季節――かと思いきや、何故かその一角だけは冷たい空気が張り詰めていた。
今日は、ホムンクルスのオノショタに幾つかの新居候補をプレゼンする日。
ロモズ不動産事務所長カツィーラ・リトルブランチのもとに数名の冒険者が集まり、それぞれが自慢の話術と物件知識を駆使して、これはと思える優良物件をオノショタに紹介しようというスペシャルな一日だ。
ところが開始早々、いきなりお寒い展開が待っていた。
プレゼンターとしてトップを切った牛・奶が紹介したのは、『逆さまなお家』だった。
本来は別の家を先に紹介する予定だったのだが、移動ルートを検討した結果、先にこの家を紹介した方が効率が良さそうだということで、カツィーラが順番を変更したのである。
ならばと牛・奶、折角の一番手なのだからここは張り切って元気良く物件紹介に入ろうとした矢先だった。
「なぁ、おかしいじゃないか。この家はさっき、不適格案件だといって却下を喰らった筈だよな?」
牛・奶のプレゼンが始まる直前、何故かベルク・オスマットがヤウズ・オスマットの胸倉を掴んで、がくがくと前後に揺さぶっている。
実はベルクも、牛・奶がこれから紹介しようとしている物件を、『上か下かな家』という名目で、自身のプレゼン案件としてリストアップしていたのだ。
ところがプレゼンツアー開始直前になって、ヤウズが、
「お姉ちゃん? こんな家紹介してどうするつもりなの?」
と真っ向から否定した。それこそもう取り付く島もないぐらい、徹底した頭ごなしの超完璧にして絶対的なダメ出しだった。
ヤウズの物件紹介理念はというと、
「お姉ちゃん、あくまでちゃんと住める上でちょっとへんてこな家を紹介するんだからね? 住みづらい変な家はだめだよ?」
という至極真っ当なものである。これに対し、ベルク本人は、
「どうだ、客の要望に応える素晴らしい物件だろ?」
と鼻高々だったのだが、ヤウズのクロスカウンターに近しいダメ出しを喰らってしまった為、半分涙目になりながら、
「え? やっぱり感性がずれている? そんな馬鹿な」
と自己肯定するのに必死だった。
ベルクにも、意地がある。矜持がある。かつては商家で奉公し、冒険者歴もそれなりに長い。このプレゼン会では必ずやお客様にご満足頂ける物件をご紹介したい。
今日は、商人ベルクの新たな門出を祝う日でもあったのだ。
その様な経緯があった為、牛・奶が例のリバース物件を堂々とプレゼンし始めた時にはベルクの動揺もさることながら、ヤウズのホンマにそれ紹介するんでっか疑念も相当に高まっていた。
だが、こんなものはやったモン勝ちだ。
牛・奶はプレゼンライバルたるベルクとヤウズのオスマットシスターズを挑発するかの如く、敢えて堂々と、誰が見ても住みづらそうなこの物件を意気揚々と声高に紹介し始めたのである。
「入口は普通のお家の二階以上の部分にあって、梯子で登ってから開けて入る必要があるアル。下手したら落ちちゃうアルよ。逆さまだから台所やお風呂、トイレは全て天井にあるアル。固定されてなければ大丈夫なので、ベッドは使えるアルね」
早くもバチバチのガチンコ勝負感が漂い始めたプレゼン合戦。そこには仁義など、欠片も無い。
●怒涛のプレゼンラッシュ
こいつはヤベぇ、とサイラスが危機感を抱いたかどうかは、余人には知り得ない。
だが風呂もトイレも事実上使えない、実用性皆無なネタ案件を初っ端からブッ込んできた牛・奶のアグレッシブな姿勢に、サイラスはギリィと歯噛みしていた。
カツィーラに交渉を仕掛け、二番目と三番目の紹介物件はサイラスがプレゼンオーダーを獲得。
「俺が紹介する一件目は、ふたりの家だ」
家具も間取りも全てがダブルサイズ。ふたりの住民が常に同じところに居ることが前提の物件だ。どうやら元々の発注者が激甘な新婚生活を夢想し、どこぞのラブなホテルをイメージしたとか何とか。
手早く紹介し終えたサイラスは何故かサムズアップ、そして鋭い牙がきらりと輝いた。
その演出、要るか?
と誰もが疑問に思う中、オノショタが、
「ひとり暮らしなので、結構です」
とあっさり却下してしまった。この様子を、オノショタから姉と慕われるハルハン・ツァガーンナルは何となくほっとした気分で眺めていた。
ツァガーンナルが想像したところによると、オノショタはきっとまだ、思春期前である。そんなオノショタに新婚云々の話を寄せてゆくのはちょっと辛い。というか、何故かツァガーンナルの方が、自分とオノショタの新婚風景をふっと連想してしまって、無駄にどきどきしてしまっていた。
実際ツァガーンナルの長身と、ちっこいオノショタの組み合わせはこういっては何だが、オノショタのネーミング元であるオネショタをまさに地で行っている様なものである。
と、ここでジェイソン・ジュピターが歩を寄せてきた。何かを察したらしい。
「Hey、熊ガール。ここは我慢だ。今はプレゼンターとしてクールに行こうぜ」
ニヤリと笑う口髭野郎に対し、ツァガーンナルはそんなんじゃありませんと頬を赤くしてかぶりを振った。
一方、サイラスは二件目に突入。今度は『やらかしちゃった家』だそうだ。
屋内のそこかしこにびっくり箱の様な脅かしグッズや、うっかりを誘発させるトリックアート、或いは記憶に残り難い隠し収納等が満載の物件だ。
「何でも、入り口にポールアックス立ててくれっていってたらしい」
サイラスの説明によれば、発注者は当初、オーノーな家、つまり斧な家にしたかったとか何とか。ところがここで意外にも、カツィーラから待ったがかかった。
このやらかしちゃった家、ヒヤリハット案件に該当するから物件としては不適格なのだとか。最近はどこの商会もコンプライアンス云々がうるさいから、こういうのは駄目なんだというのがカツィーラの弁。事実かどうかは分からないが。
サイラスのプレゼンラッシュが不発に終わったところで、漸くオスマットシスターズに出番が廻ってきた。
まずベルクが、建屋の凡そ半分が土砂に埋まっているものの、基本的には普通の家屋と変わらない『ちょっと埋もれた家』を紹介。出入口が一カ所しか無く、日当たりの悪さが難点という物件だ。
逆にヤウズは、『多窓な家』をぶつけてきた。こちらはちょっと埋もれた家とは真逆で、兎に角窓が多い。間取りとしては普通だが、例え大雪で家が埋もれても簡単に脱出可能というのが謳い文句だった。
ところがこの二件、いずれもカツィーラからNGを喰らった。ちょっと埋もれた家は緊急脱出時の困難性が高い為に、コンプライアンス違反。一方の多窓な家は、窓が多いということは壁の強度がそれだけ失われており、豪雪の際には壁が雪の重量に耐えられない可能性がある為、危険物件として認定されてしまった。
だが、ベルクもヤウズもこの程度ではへこたれない。ふたりはまだ隠し玉を用意している。
「今のところ、どのプレゼンターも決定打に欠けますねぇ」
カツィーラは申し訳無さそうにオノショタに頭を下げたが、オノショタは逆に、色んな家があるんですねぇと至極楽しそうだった。
●どいつもこいつもヤバい奴ら
昼食は、ロモズ歩兵団が運営する共同食堂で振る舞われることになった。
この席でツァガーンナルは、どんな家が良いのかとオノショタに訊いてみた。
「えっと……そうですね。普通に暮らせるけど、飽きがこない、というのが理想、かな」
「成程。自分の家、帰る場所。大事な場所ですからね。オノショタが好きになれる家、探しましょう! 色々ありましたが、オノショタが新しい生活を始められる様に、ボクも頑張りますよ!」
ここまでツァガーンナルは、他の面々が紹介する物件について、つぶさに長所短所を観察してきた。半分近くはコンプライアンス違反でNGだったが、それでも面白いと思えた。
「花瓶の家は、お花を飾ったらとても綺麗に彩れそうですね」
「だが問題は花瓶型が多過ぎて、強度に問題があったってなところだな」
ジェイソンは自分で紹介した物件に、満足していないらしい。彼ももう一件、紹介したい家があるのだが、今はまだ他の面々のプレゼンを眺めながら様子見しているのだという。
少しの休憩を挟み、午後からプレゼンツアーの再開だ。
午後一の紹介物件は、牛・奶の『ちょっとかばんな家』だった。
「かびんならぬ、かばんアルね」
どうやら牛・奶、ジェイソンの物件からアイデアをパクっ……じゃなくて、着想を得たらしい。
件の物件は長方形で奥行きが薄く、更に黒色。まさに鞄の様な形をしているのだが、最大の特徴は屋根に鞄の持ち手に該当するパーツが取り付けられていることだった。
情報によれば、この持ち手には家そのものを持ち上げられる強度が接続部及び持ち手本体に備わっているらしい。
「……で、誰が持ち上げるんだ?」
ジェイソンの素朴な疑問に、牛・奶はよくぞ訊いてくれましたと快活に笑う。
「そう! 誰も持ち上げられないアル! それがこの家のオチな訳アル!」
全然オチになってねーよ、と全員が一斉に声を上げそうになったが、ここは皆が大人になって、ぐっと堪えに堪えた。
だが普通に住む分には悪くない。カツィーラはキープ物件として、リスト上のちょっとかばんな家に丸印をつけた。
次いでヤウズが『アスレチックな家』と『とっても普通な地下付き一戸建て平屋住宅』を続けて披露。
前者は二階建てで、屋内外至る所に雲梯の様な取っ手が目立つ。何時でも懸垂等の運動がこなせるが、最大の特徴は二階に上がる階段が無く、代わりに中央吹き抜けのポールで上下移動する構造ということだった。
降りるのは楽だが、登るのが中々しんどい。
「謳い文句は、レッツ筋肉!」
「却下。不便性が高過ぎ。コンプライアンス違反」
ヤウズの盛大な決め台詞は、カツィーラの容赦無いひと言でぶった切られた。
ならばと、もう一軒の平屋住宅では安定性を激推しするヤウズ。
地上部は煉瓦造りの平凡な家屋だが、地下には炉があったり、何故か鉄格子があったり、そして床にはどういう訳かほんのり赤黒い染みのある部屋まであったりする。
「前の住人はとっても仲の良いご夫婦でしたよ。え? 事故物件じゃないのかって? 何おっしゃってるんですか、事故物件なんて紹介しません!」
全身から脂汗を噴き出しながら、にこやかに頬を笑みの形に引きつらせるヤウズ。自ら事故物件と白状している様なものであった。
ここから、妙な方向にズレ始めた。牛・奶が最後に紹介したのは最早家ですらない地下シェルターだったし、ベルクが本命だと推してきた『キバツ(木抜)な家』はベルク自身の好みが余りに前面に出過ぎていて、豪雪時の雪除け対策にやや不安が残る家だった。
「良い家だと思うが。中心部は吹き抜けになっていて木と共存出来る造りだし、日当たりは若干悪いが、吹き抜けで感じる木漏れ日や夏の暑い時の日除けには丁度良い」
結局、キバツな家はベルクがカルケルーア・ロモズを訪問した際の別宅、というところに落ち着いた。
●
そして最後の最後に、オノショタのお眼鏡にかなう物件が登場した。
実はサイラス、ベルク、ツァガーンナルの三人が同じ物件を推したのだが、ジェイソンもこの物件を最後の隠し玉にと考えていたらしい。
それは『忍者な家(サイラス命名)』、或いは『シャルガネ風なお屋敷(ベルク命名)』、または『ちょっと回るお家(ツァガーンナル命名)』という具合にリストアップされていた物件である。
尚、ジェイソンは『おしのびな家』と呼んでいた。忍者屋敷だけに、おしのびなのだという。
その外観はまさにシャルガネ風の豪奢なお屋敷で、隠れたり避難する為のどんでん返しや隠し通路満載。場所によっては外敵侵入を防ぐ為の落とし穴だったり槍襖だったり、結構ヤバめな仕掛けもあるのだが、危険な罠ルートは事前に覚えていれば問題無いし、刃物を外したりクッション性のあるものを詰めておけば事故も防ぐことが出来るから、コンプライアンスにも違反しないとの由。
「刀隠しならぬエロドゥジンシ隠しとか、嫁さんキレた時の逃走経路をふんだんに用意してくれってのが、制作依頼だったな」
サイラスの説明に、オノショタは頭の中でクエスチョンマークが幾つも舞った。彼の年齢には、ちょっと早過ぎる話だったかも知れない。
「しかし、飽きがこないという点ではぴったりだな」
「秘密の部屋みたいで、楽しそうですよ。こうやって壁がくるっと回ったり……」
ベルクとツァガーンナルが実演してみせたところで、オノショタは瞳が輝き始めた。どうやら、ここに決めたらしい。
余談だが、この後少しの間だけ、ツァガーンナルが行方不明になった。自分で紹介しておきながら、余りの複雑さにうっかり迷子になってしまった様だ。
ひとり暮らしにはやや広すぎるきらいも無くは無かったが、ツァガーンナルが時々遊びに来ると約束したし、何よりオノショタ自身、この屋敷での生活が楽しそうだと実感していた。
こうしてプレゼンツアーは無事に終了した。
オノショタの新居も決まり、後はいよいよ引っ越しである。
「ちゃんと住むのに適したお家が多くて良かったよ」
ヤウズはやれやれと笑顔で肩を竦めたが、自分が紹介した家は片っ端からNGを喰らっていたことなど、露とも顔には出していなかった。
ちなみに、牛・奶が紹介したちょっとかばんな家はホムンクルス化したロモズ歩兵団員のひとり、マイジェロが妙に気に入ったらしく、新しい住居に使うことが決まった。
「オノショタも、良かったらボクの家にも遊びに来てください! 困ったことがあれば、力になりますからね。指切りして、約束です!」
ツァガーンナルの心底嬉しそうな笑顔に、オノショタも釣られて笑みを返した。
後日、ロモズ歩兵団長リーヴァー・シュランドルはプレゼン結果を報告書という形で受け取っていたが、カツィーラが提出したこれらの文書を読み進めてゆくうちに、その美貌が段々渋い色に変じていった。
「ちょっと待て。コンプライアンス違反に事故物件……何でこんなに問題物件が多いんだ? 大体、地下シェルターなんていつの間に造ったんだ? 私は何も聞いておらんぞ」
その後リーヴァーから呼び出しを喰らったサイラス、牛・奶、ベルク、ヤウズの四人は小一時間程、こんこんと問い詰められた。
春の陽射しが暖かい、山岳集落群カルケルーア・ロモズ。
誰もがぽかぽか陽気の中で、咲き誇る山の花々を愛でる穏やかな季節――かと思いきや、何故かその一角だけは冷たい空気が張り詰めていた。
今日は、ホムンクルスのオノショタに幾つかの新居候補をプレゼンする日。
ロモズ不動産事務所長カツィーラ・リトルブランチのもとに数名の冒険者が集まり、それぞれが自慢の話術と物件知識を駆使して、これはと思える優良物件をオノショタに紹介しようというスペシャルな一日だ。
ところが開始早々、いきなりお寒い展開が待っていた。
プレゼンターとしてトップを切った牛・奶が紹介したのは、『逆さまなお家』だった。
本来は別の家を先に紹介する予定だったのだが、移動ルートを検討した結果、先にこの家を紹介した方が効率が良さそうだということで、カツィーラが順番を変更したのである。
ならばと牛・奶、折角の一番手なのだからここは張り切って元気良く物件紹介に入ろうとした矢先だった。
「なぁ、おかしいじゃないか。この家はさっき、不適格案件だといって却下を喰らった筈だよな?」
牛・奶のプレゼンが始まる直前、何故かベルク・オスマットがヤウズ・オスマットの胸倉を掴んで、がくがくと前後に揺さぶっている。
実はベルクも、牛・奶がこれから紹介しようとしている物件を、『上か下かな家』という名目で、自身のプレゼン案件としてリストアップしていたのだ。
ところがプレゼンツアー開始直前になって、ヤウズが、
「お姉ちゃん? こんな家紹介してどうするつもりなの?」
と真っ向から否定した。それこそもう取り付く島もないぐらい、徹底した頭ごなしの超完璧にして絶対的なダメ出しだった。
ヤウズの物件紹介理念はというと、
「お姉ちゃん、あくまでちゃんと住める上でちょっとへんてこな家を紹介するんだからね? 住みづらい変な家はだめだよ?」
という至極真っ当なものである。これに対し、ベルク本人は、
「どうだ、客の要望に応える素晴らしい物件だろ?」
と鼻高々だったのだが、ヤウズのクロスカウンターに近しいダメ出しを喰らってしまった為、半分涙目になりながら、
「え? やっぱり感性がずれている? そんな馬鹿な」
と自己肯定するのに必死だった。
ベルクにも、意地がある。矜持がある。かつては商家で奉公し、冒険者歴もそれなりに長い。このプレゼン会では必ずやお客様にご満足頂ける物件をご紹介したい。
今日は、商人ベルクの新たな門出を祝う日でもあったのだ。
その様な経緯があった為、牛・奶が例のリバース物件を堂々とプレゼンし始めた時にはベルクの動揺もさることながら、ヤウズのホンマにそれ紹介するんでっか疑念も相当に高まっていた。
だが、こんなものはやったモン勝ちだ。
牛・奶はプレゼンライバルたるベルクとヤウズのオスマットシスターズを挑発するかの如く、敢えて堂々と、誰が見ても住みづらそうなこの物件を意気揚々と声高に紹介し始めたのである。
「入口は普通のお家の二階以上の部分にあって、梯子で登ってから開けて入る必要があるアル。下手したら落ちちゃうアルよ。逆さまだから台所やお風呂、トイレは全て天井にあるアル。固定されてなければ大丈夫なので、ベッドは使えるアルね」
早くもバチバチのガチンコ勝負感が漂い始めたプレゼン合戦。そこには仁義など、欠片も無い。
●怒涛のプレゼンラッシュ
こいつはヤベぇ、とサイラスが危機感を抱いたかどうかは、余人には知り得ない。
だが風呂もトイレも事実上使えない、実用性皆無なネタ案件を初っ端からブッ込んできた牛・奶のアグレッシブな姿勢に、サイラスはギリィと歯噛みしていた。
カツィーラに交渉を仕掛け、二番目と三番目の紹介物件はサイラスがプレゼンオーダーを獲得。
「俺が紹介する一件目は、ふたりの家だ」
家具も間取りも全てがダブルサイズ。ふたりの住民が常に同じところに居ることが前提の物件だ。どうやら元々の発注者が激甘な新婚生活を夢想し、どこぞのラブなホテルをイメージしたとか何とか。
手早く紹介し終えたサイラスは何故かサムズアップ、そして鋭い牙がきらりと輝いた。
その演出、要るか?
と誰もが疑問に思う中、オノショタが、
「ひとり暮らしなので、結構です」
とあっさり却下してしまった。この様子を、オノショタから姉と慕われるハルハン・ツァガーンナルは何となくほっとした気分で眺めていた。
ツァガーンナルが想像したところによると、オノショタはきっとまだ、思春期前である。そんなオノショタに新婚云々の話を寄せてゆくのはちょっと辛い。というか、何故かツァガーンナルの方が、自分とオノショタの新婚風景をふっと連想してしまって、無駄にどきどきしてしまっていた。
実際ツァガーンナルの長身と、ちっこいオノショタの組み合わせはこういっては何だが、オノショタのネーミング元であるオネショタをまさに地で行っている様なものである。
と、ここでジェイソン・ジュピターが歩を寄せてきた。何かを察したらしい。
「Hey、熊ガール。ここは我慢だ。今はプレゼンターとしてクールに行こうぜ」
ニヤリと笑う口髭野郎に対し、ツァガーンナルはそんなんじゃありませんと頬を赤くしてかぶりを振った。
一方、サイラスは二件目に突入。今度は『やらかしちゃった家』だそうだ。
屋内のそこかしこにびっくり箱の様な脅かしグッズや、うっかりを誘発させるトリックアート、或いは記憶に残り難い隠し収納等が満載の物件だ。
「何でも、入り口にポールアックス立ててくれっていってたらしい」
サイラスの説明によれば、発注者は当初、オーノーな家、つまり斧な家にしたかったとか何とか。ところがここで意外にも、カツィーラから待ったがかかった。
このやらかしちゃった家、ヒヤリハット案件に該当するから物件としては不適格なのだとか。最近はどこの商会もコンプライアンス云々がうるさいから、こういうのは駄目なんだというのがカツィーラの弁。事実かどうかは分からないが。
サイラスのプレゼンラッシュが不発に終わったところで、漸くオスマットシスターズに出番が廻ってきた。
まずベルクが、建屋の凡そ半分が土砂に埋まっているものの、基本的には普通の家屋と変わらない『ちょっと埋もれた家』を紹介。出入口が一カ所しか無く、日当たりの悪さが難点という物件だ。
逆にヤウズは、『多窓な家』をぶつけてきた。こちらはちょっと埋もれた家とは真逆で、兎に角窓が多い。間取りとしては普通だが、例え大雪で家が埋もれても簡単に脱出可能というのが謳い文句だった。
ところがこの二件、いずれもカツィーラからNGを喰らった。ちょっと埋もれた家は緊急脱出時の困難性が高い為に、コンプライアンス違反。一方の多窓な家は、窓が多いということは壁の強度がそれだけ失われており、豪雪の際には壁が雪の重量に耐えられない可能性がある為、危険物件として認定されてしまった。
だが、ベルクもヤウズもこの程度ではへこたれない。ふたりはまだ隠し玉を用意している。
「今のところ、どのプレゼンターも決定打に欠けますねぇ」
カツィーラは申し訳無さそうにオノショタに頭を下げたが、オノショタは逆に、色んな家があるんですねぇと至極楽しそうだった。
●どいつもこいつもヤバい奴ら
昼食は、ロモズ歩兵団が運営する共同食堂で振る舞われることになった。
この席でツァガーンナルは、どんな家が良いのかとオノショタに訊いてみた。
「えっと……そうですね。普通に暮らせるけど、飽きがこない、というのが理想、かな」
「成程。自分の家、帰る場所。大事な場所ですからね。オノショタが好きになれる家、探しましょう! 色々ありましたが、オノショタが新しい生活を始められる様に、ボクも頑張りますよ!」
ここまでツァガーンナルは、他の面々が紹介する物件について、つぶさに長所短所を観察してきた。半分近くはコンプライアンス違反でNGだったが、それでも面白いと思えた。
「花瓶の家は、お花を飾ったらとても綺麗に彩れそうですね」
「だが問題は花瓶型が多過ぎて、強度に問題があったってなところだな」
ジェイソンは自分で紹介した物件に、満足していないらしい。彼ももう一件、紹介したい家があるのだが、今はまだ他の面々のプレゼンを眺めながら様子見しているのだという。
少しの休憩を挟み、午後からプレゼンツアーの再開だ。
午後一の紹介物件は、牛・奶の『ちょっとかばんな家』だった。
「かびんならぬ、かばんアルね」
どうやら牛・奶、ジェイソンの物件からアイデアをパクっ……じゃなくて、着想を得たらしい。
件の物件は長方形で奥行きが薄く、更に黒色。まさに鞄の様な形をしているのだが、最大の特徴は屋根に鞄の持ち手に該当するパーツが取り付けられていることだった。
情報によれば、この持ち手には家そのものを持ち上げられる強度が接続部及び持ち手本体に備わっているらしい。
「……で、誰が持ち上げるんだ?」
ジェイソンの素朴な疑問に、牛・奶はよくぞ訊いてくれましたと快活に笑う。
「そう! 誰も持ち上げられないアル! それがこの家のオチな訳アル!」
全然オチになってねーよ、と全員が一斉に声を上げそうになったが、ここは皆が大人になって、ぐっと堪えに堪えた。
だが普通に住む分には悪くない。カツィーラはキープ物件として、リスト上のちょっとかばんな家に丸印をつけた。
次いでヤウズが『アスレチックな家』と『とっても普通な地下付き一戸建て平屋住宅』を続けて披露。
前者は二階建てで、屋内外至る所に雲梯の様な取っ手が目立つ。何時でも懸垂等の運動がこなせるが、最大の特徴は二階に上がる階段が無く、代わりに中央吹き抜けのポールで上下移動する構造ということだった。
降りるのは楽だが、登るのが中々しんどい。
「謳い文句は、レッツ筋肉!」
「却下。不便性が高過ぎ。コンプライアンス違反」
ヤウズの盛大な決め台詞は、カツィーラの容赦無いひと言でぶった切られた。
ならばと、もう一軒の平屋住宅では安定性を激推しするヤウズ。
地上部は煉瓦造りの平凡な家屋だが、地下には炉があったり、何故か鉄格子があったり、そして床にはどういう訳かほんのり赤黒い染みのある部屋まであったりする。
「前の住人はとっても仲の良いご夫婦でしたよ。え? 事故物件じゃないのかって? 何おっしゃってるんですか、事故物件なんて紹介しません!」
全身から脂汗を噴き出しながら、にこやかに頬を笑みの形に引きつらせるヤウズ。自ら事故物件と白状している様なものであった。
ここから、妙な方向にズレ始めた。牛・奶が最後に紹介したのは最早家ですらない地下シェルターだったし、ベルクが本命だと推してきた『キバツ(木抜)な家』はベルク自身の好みが余りに前面に出過ぎていて、豪雪時の雪除け対策にやや不安が残る家だった。
「良い家だと思うが。中心部は吹き抜けになっていて木と共存出来る造りだし、日当たりは若干悪いが、吹き抜けで感じる木漏れ日や夏の暑い時の日除けには丁度良い」
結局、キバツな家はベルクがカルケルーア・ロモズを訪問した際の別宅、というところに落ち着いた。
●
そして最後の最後に、オノショタのお眼鏡にかなう物件が登場した。
実はサイラス、ベルク、ツァガーンナルの三人が同じ物件を推したのだが、ジェイソンもこの物件を最後の隠し玉にと考えていたらしい。
それは『忍者な家(サイラス命名)』、或いは『シャルガネ風なお屋敷(ベルク命名)』、または『ちょっと回るお家(ツァガーンナル命名)』という具合にリストアップされていた物件である。
尚、ジェイソンは『おしのびな家』と呼んでいた。忍者屋敷だけに、おしのびなのだという。
その外観はまさにシャルガネ風の豪奢なお屋敷で、隠れたり避難する為のどんでん返しや隠し通路満載。場所によっては外敵侵入を防ぐ為の落とし穴だったり槍襖だったり、結構ヤバめな仕掛けもあるのだが、危険な罠ルートは事前に覚えていれば問題無いし、刃物を外したりクッション性のあるものを詰めておけば事故も防ぐことが出来るから、コンプライアンスにも違反しないとの由。
「刀隠しならぬエロドゥジンシ隠しとか、嫁さんキレた時の逃走経路をふんだんに用意してくれってのが、制作依頼だったな」
サイラスの説明に、オノショタは頭の中でクエスチョンマークが幾つも舞った。彼の年齢には、ちょっと早過ぎる話だったかも知れない。
「しかし、飽きがこないという点ではぴったりだな」
「秘密の部屋みたいで、楽しそうですよ。こうやって壁がくるっと回ったり……」
ベルクとツァガーンナルが実演してみせたところで、オノショタは瞳が輝き始めた。どうやら、ここに決めたらしい。
余談だが、この後少しの間だけ、ツァガーンナルが行方不明になった。自分で紹介しておきながら、余りの複雑さにうっかり迷子になってしまった様だ。
ひとり暮らしにはやや広すぎるきらいも無くは無かったが、ツァガーンナルが時々遊びに来ると約束したし、何よりオノショタ自身、この屋敷での生活が楽しそうだと実感していた。
こうしてプレゼンツアーは無事に終了した。
オノショタの新居も決まり、後はいよいよ引っ越しである。
「ちゃんと住むのに適したお家が多くて良かったよ」
ヤウズはやれやれと笑顔で肩を竦めたが、自分が紹介した家は片っ端からNGを喰らっていたことなど、露とも顔には出していなかった。
ちなみに、牛・奶が紹介したちょっとかばんな家はホムンクルス化したロモズ歩兵団員のひとり、マイジェロが妙に気に入ったらしく、新しい住居に使うことが決まった。
「オノショタも、良かったらボクの家にも遊びに来てください! 困ったことがあれば、力になりますからね。指切りして、約束です!」
ツァガーンナルの心底嬉しそうな笑顔に、オノショタも釣られて笑みを返した。
後日、ロモズ歩兵団長リーヴァー・シュランドルはプレゼン結果を報告書という形で受け取っていたが、カツィーラが提出したこれらの文書を読み進めてゆくうちに、その美貌が段々渋い色に変じていった。
「ちょっと待て。コンプライアンス違反に事故物件……何でこんなに問題物件が多いんだ? 大体、地下シェルターなんていつの間に造ったんだ? 私は何も聞いておらんぞ」
その後リーヴァーから呼び出しを喰らったサイラス、牛・奶、ベルク、ヤウズの四人は小一時間程、こんこんと問い詰められた。
マスターコメント
ご参加ありがとうございました。
オノショタの新居も無事に決まり、彼の新生活もスタートです。
それ以外に色々ヤバい物件が目白押しでしたが、個人的には楽しいプレゼンツアーでした。リーヴァーには頭痛の種にしかなっていませんでしたが。
ショートシナリオ易しい 報酬:標準5 / 4〜6人
2022年04月16日 20時40分32秒 公開
大成功
相談掲示板
ツァガーンナルです! オノショタのお家探しをしている、と聞いたのでお手伝いに!
ベルクだ、よろしく頼む。 奇抜な家と聞いて!(
No.3
サイラスだ、よろしくなー ネタ被りとか気にせんでええのかなコレ?
牛奶アル、皆さんよろしくアル。 これって文字数の許す限り様々な物件を紹介し続けて良いと言う事アルか?
No.5
>サイラス Yesだ! >牛・奶 Yesだ!
人数揃いましたね!よろしくおねがいします! 被ってもいいなら、気にせずに色々、紹介。ですね
直前の参加でごめんなさい。 ヤウズといいます。 お姉ちゃんと一緒にオノショタさんがちゃんと住める家を紹介していきます!