夢破れたあと
馬車猪
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シナリオID:2045
オープニング
帝国復興のためにとか言っていた気がするが関係ない。
若い母子に絡んでいた自称帝国過激派にリットがぶちかました。
剣だ。
技はない。
見た目の数倍の腕力で鉄棒として殴りつけるだけだ。
頭蓋が砕けて中身がこぼれる凄惨な光景が生じ、母親が青い顔で幼児を抱きしめ視界を遮った。
「リット!」
「分かってる。徹底的にやるぞ!!」
どう見ても難民一行なリットの仲間達が牙を剥く。
難民キャンプからの仲間達は槍衾を作る。
ゴールディからの出稼ぎ労働者が石を投げて牽制する。
そして、ディズル大湿地帯から着たリザードマンが丸太じみた槍を振り回してリットの背後を守る。
「ねえリーダー、この人達帝国軍って言ったけど」
「貧乏人から食いもん奪おうとする奴が軍人な訳あるかっ!」
リットが突進する。
訓練された剣技で服ごと皮膚と肉を裂かれても中堅授恵者の生命力はその程度では削りきれない。
「よせっ」
「賊は死ねよ!!」
使い古した胸甲が内側に潰れ、男の口から大量の血が流れてその場に崩れ落ちる。
「我々はっ」
「てめぇらの顔、難民キャンプでもヴァイセントラフ砦でも見たことねぇんだよ!!」
軍で命張ってるおっさんやねーちゃん達に詫びながらこの場で死ねと、顔を凶悪に歪めて盗賊を殲滅した。
●
「やっちまった」
リットの顔が青くなる。
倒したのは賊の1隊でしかない。
視界内に後3隊もいる。
これまでは様子見だったが、リット達が1隊倒した後は明確な殺意を放ちながらこちらに接近中だ。
「リーダーリーダー、なんでこんなことになってんの?」
授恵者ではないが体格ではこの場で圧倒的なリザードマン達が質問する。
「俺達は駐留の契約が切れて村から追い出されただけだけど……なんでだろ」
自称帝国過激派に襲われていた民間人の様子を窺う。
リット達ほどではないが貧乏そうだ。なお、リット達と比べると武装はないも同然だ。
「ありがとうございます」
代表者らしい青年がやって来る。非常に緊張しているのは、リットが返り血で赤黒くなっているからかもしれない。
「困ったときはお互い様さ」
リットとしては爽やかに笑ったつもりだが、金銭の要求と受け取られてしまう。
震えながら金を差し出す青年を、必死に宥めることになった。
「えーと、なんだ、つまり?」
リットは分かっていない。
「廃村の復興に失敗して南へ戻っていく途中かー」
リザードマンは理解しているが言葉選びが酷い。
「はい。何度も『銀嵐』様に手助けして頂いたのですが、我々の力不足で……」
青年は、傭兵として雇われ依頼人が倒れたため何故かリーダーになってしまったと説明する。
避難民達からよく信頼されているようで、若い女性陣からの視線は怖いほどだ。
「銀嵐って天気があるの?」
「いえ、銀嵐というのは通称でして……ご存じない? かなりの有名人ですよ。こちらに向かえば貴方方と合流できると聞いたので知り合いだと思っていたのですが」
青年は悪意なく驚愕している。
「スラム出の俺にそういうのを期待するなよ」
リットは肩をすくめ、気付かれないよう仲間に目配せした。
(近づいて来るのは現役ではないと思うけど多分従軍経験者。授恵者は数人。全員軽装な部隊があるから、この人達を見捨てない限り追いつかれるよ)
(悪いがそれはなしだ。冒険者に胸張って会えなくなるのは嫌だからな)
ほとんど声を出さない意思疎通を終えて、青年に対してにやりと笑いかける。
「あんたらの足じゃ砦まで逃げ続けるのは無理だろ。俺達と一緒に籠城戦しようぜ」
青年と数歳しか違わないのに、歴戦の戦士を思わせる風格がある。
これでも、帝国難民キャンプでは顔役の1人だったのだ。
「冒険者が来るまで耐えればいいんだから気楽なもんさ」
事情を記したメモを首輪に仕込まれた犬が、ヴァイセントラフ砦目がけて勢いよく駆け出した。
●
「ハヤトさん」
仕事のついででヴァイセントラフ砦を訪れたハヤト=ガラン=ヴォルファングに走り書きのあるメモが渡される。
メモに銀狼という単語を見つけた瞬間、気合と気迫が漲る。
「いつのだ」
「届いたのは数分前です」
出張中の冒険者ギルド職員が視線を外へ向ける。
荒い息を吐く元野犬が、貪るように水を飲み餌を食らっている。
「依頼内容は賊に襲われている避難民の救出です。現地で指揮を執っている少年は結構な手練れなのでしばらくは大丈夫でしょうが」
敵は戦慣れした賊だ。
帝国過激派というのは自称だろうが、弓で武装しているし複数の隊を作って連携もできる賊としては練度が高い相手だ。
「避難民を襲う者は賊として扱って問題ありません」
「応」
聞くべき事は聞いたと判断し、ハヤトと仲間達は素晴らしい速さで北へと向かった。
●
リットの頬に矢が突き刺さる。
やったぜという下卑た歓声は、噛み砕かれた鏃が吐き捨てられ壊れた矢が地面に落ちるまで続いた。
「温いなぁ! キャンプで戦ったコボルトどもの方が強かったぜ!!」
少年が嘲笑し仲間が囃し立てる。
賊達は怒りと同時に警戒心を抱き、矢を浴びせながらの突撃という速攻から、包囲しての兵糧攻めに切り替える。
(いたい)
(格好付けるからよ。冒険者が来たら叱ってもらいなさい)
リットの仲間達はバリケードを作って立て籠もっている。
「来ないのか? 俺はいつでもいけるぜぇ!!」
冒険者が到着する方が早いか、はったりが通用しなくなって皆殺しにされる方が早いか、この時点では誰にも分からなかった。
解説
マスターより
リプレイ
「ここからは時間との勝負……武神カサヴァの使徒ネフリティス、突撃するですの!」
ネフリティス=N=クリスタロスは祭刀を掲げて祈りを捧げる。
直後にエーテルが広がり仲間達の動きの精度が増す。
その中には、ハヤト=ガラン=ヴォルファングから借りた黒汗馬もいる。
「いい子ですの」
戦闘には向いていないのに全力を出してくれている。
体格と筋力の良さは持久力に関しては高水準で、冒険者の全力疾走にも遅れながらだがついて行っている。
(敵は20程度ですの)
前方700メートルの地点で激しい戦闘が発生した。
守るのは栄養状態の悪そうな非授恵者がほとんどで、一部体格が良い者も非授恵者なので敵指揮官に圧倒されている。
1人気を吐いている授恵者もいるが傷だらけで倒れるのも時間の問題だ。
「あなた達の好きにはさせまないですの!」
自信に満ちた態度で緑目を爛々と輝かせるネフリティスは、ハーフリングではあるがとても大きく見える。
防御側が籠もるバリケードの内側へ矢に放物線を描かせ撃ち込んでいた弓兵が、騎兵に対処するため射撃を止め向きを変えた。
馬が怯える前に指示を出す。
騎乗に慣れているとはいえ全力疾走中の馬上で盾を操るのは大変で、馬狙いの矢を防ぐために小さな体も盾にするしかない。
腕に命中した矢が筋肉に突き刺さる。
これが1本2本ならスキルに頼る必要もなかったが、敵の射撃が集中したので落馬を防ぐためにも世話になるしかなかった。
「ここまでですの」
馬には速度を落とさせ自身は前へ飛び降りる。
止めを刺すため飛んで来た4本の矢を、地面を強く速く蹴って易々と回避する。逃げ去る馬を狙った矢は盾で打ち落とした。
「ここからはネフリティスの番ですの!」
素早く使ったサイドヒール改が、矢傷をみるみる治癒していった。
(ま~た、リットの奴は厄介事に巻き込まれんてんのかよ)
ハヤトは駈けている。
なんと馬より速い。
鍛え抜かれてはいるが馬と比べるとさすがに小柄であり、その分目立たず圧倒的な速度を維持したまま矢の雨の下を潜り抜ける。
だが敵射手を狙う余裕はない。敵は他にもいる。
「リット! 良く持ちこたえたな!」
防衛側主力を襲う敵主力部隊へ後ろから突っ込む。
形としては一撃離脱で実質は敵陣縦断だ。
「死にてぇ奴から前に出な!!」
一声吠える間も足は止まらない。
刃による迎撃をスキル抜きで軽々躱すだけでなくまとめ役的な敵兵に重傷を負わせ、その上で下がらず敵指揮官に接敵する。
「ブレイブファング傭兵団のハヤト様が相手になってやんぜ!!」
忍刀と剣がぶつかり、足の具足と盾もぶつかり火花を散らした。
●
小柄で、速く、そもそも目立たない。
ベルク・オスマットは敵にとっての悪夢そのものだ。
彼我の距離が100メートルを切ったところでようやく弓兵が気付いて動揺する。
「うろたえるな。我等は過激派と呼ばれるほどの精鋭っ」
ベルクが横を通り過ぎた弓兵が1人、喉から血を噴出させた。
弓矢を取り落として必死に両手で押さえようとしても止まらず、絶望の表情を浮かべたまま何もない大地に倒れ伏す。
「過激派なのか」
その言葉は含み笑いのような響きが混じり、しかし骨まで冷えるほどの殺気を放っている。
ネフリティスに気をとられていた弓兵が、ベルクに気付かないまま牙で神経を破壊され肌ごと血管を爪で裂かれる。
「つまり我の妹を嬲り者にしてくれた挙げ句にホムンクルスになんぞしてくれおったアルルカンとヨゼフといった塵共の配下ということだな?」
「射、てっ」
射撃の指揮官の舌が恐怖でまともに動かない。
ベルクは輝く笑顔を浮かべているのに、殺意で濁った瞳は全く笑っておらず良く見ると額にうっすら青筋が浮かんでいる。
「よし、どこまでも惨たらしく殺してやろう」
指揮官は至近距離でも精密に矢を放てる程度には強い授恵者で、しかし優れた回避能力を術と戦術で高めたベルクに当てられるほど強くはなかった。
「隊長!」
帝国軍時代からの部下が支援しようとする。
ベルクが強くても複数方向から攻めれば多少は戦える。
だがそんな企みは実行に移す前に崩れる。
「とりゃー! あたし達が相手だーー!!」
誰もいないはずの方向から声が聞こえた直後、ガントレットで包まれた拳に顎を撃ち抜かれて頭が半回転。
ほとんど同時に鉄靴で頭を蹴られて衝撃を逃がせず首ごと重要な神経を破壊される。
痛みを感じる前に死ねたのは、賊の被害者よりずっとマシな最期だ。
「思ったより弱いかなー?」
ホライゾナルジャンプで跳んできたサフィラ・アズラク・ナハルハルアリーブは、着地の際に速度を落とさず弓兵の間を駆け抜ける。
ベルク相手に必死の防戦を繰り広げる敵授恵者の後ろから3連撃。
成果を見ずに次の相手に向かうときに聞こえて来た悲鳴は、多分絶命の際のあれだろう。
「大丈夫? 応援に来たよっ!」
雑兵を倒すには十分な蹴りと拳を繰り出しながらバリケードの奥へ声をかける。
「っ、こちら避難民です。死者も重傷者もいません」
「りょーかいっ」
良い仲間がいるなと優しく微笑んで、賊に対しては無慈悲な拳を振るうサフィラであった。
生き残りの弓兵が視線を交わす。
今から逃げても追い付かれはするが、仲間を囮にして他の部隊の救援を待つことならできる。
それは常識的な判断ではあるが現実は常識を越えている。
はるか遠くから飛来した光矢が頭上で炸裂。細かな破片が威力を保ったまま人体を切り裂き悲鳴も上げさせない。
セリオス・オーガストは次の矢をつがえず前進する。
敵弓兵だけでなく軽装の敵兵達も、遠距離攻撃手段を持つセリオスから離れようとしている。
交戦しながらなので速度は遅く、しかしセリオスを追いかけながら中てようとすれば攻撃頻度が落ちてしまう。
(動きが慣れている。軍の部隊か脱走部隊か)
1度足を止めて射撃隊指揮官を狙う。
風のエーテルで加速した矢が太股に刺さって大腿骨を傷つける。回避も防ぐこともできなくなった隊長があっさりと止めを刺された。
敵の質的主力である白兵戦部隊が、リット達が作ったバリケードを盾として使いセリオスからの攻撃に対策している。
バリケードの一部で揺れているのは、おそらく中に侵入しての人質狙いだろう。
(なるほどな)
中てる自信はあるが救出対象を必要以上の危険に晒す気はない。
セリオスは矢をつがえる代わりに光弾を作りだして壊れる寸前の荷馬車を狙う。
「なっ」
煙幕でいきなり爆発したように見えたので賊の攻撃が緩む。
その状況で、弱くはあっても戦慣れした元難民達が逆側からバリケードを乗り越え逃げ出した。
●
仔山羊っぽい何かになって元気に騒いでいた気がする。
リットは目覚める途中でそんなことを考え、完全に目覚めたときには考えたことも忘れていた。
「人々をここまでよく守り通しましたね、リット君えらいですね」
顔に被さった双球が雄大すぎて前が見えない。
記憶にある柔らかさと暖かさにまた触れてしまったリットが、手を出したくても実力的にも恩義的にも出せないことを改めて思い出して内心涙した。
品は無くても練度はある男達がシルク・メイプルリーフを警戒している。
妄想の中にしか存在しないはずのとびきりの美少女であると同時に、戦場で近づけば確実に死ぬ水準の強敵だ。
「さて、善良なる人々に害なすものは大地に還って再び芽吹きを待っていただきましょうか」
噴き上がるエーテルが金の髪を揺らして白い肌を美しく照らし出す。
しかしそれは余波でしかなく、祈りを起点に導かれた力が怪しいピンクの光とともに冒険者とリットと救出対象の能力を引き上げる。
「さて、神はお怒りです、私も怒ってます」
ピンクの光がシルクを人類以外の何かに見せた気もする。
「おわかりですね」
必死の剣も棍棒も白銀のトンファーで打ち払い。
「断罪の時ですシスターブリーカーー!!」
シルクの全力のハグが、固い革の鎧ごと肋骨を粉砕した。
「敵の遠距離攻撃は壊滅ですの!」
ネフリティスが呼びかけるのは祭刀を振り切り残心に移った直後だ。
宙に残った斬撃の光が消え、深手を負わされた賊が複数後頭部から倒れる。
地面に落ちた投石紐から、鉄でできた玉が転がっていき黒汗馬の足下で止まった。
(相手が『国』にとって邪魔になるならともかく、利己のみを目的に民に剣を向けるか。従軍の誓いを忘れたか、それとも元から誓いなど立てなかったか)
生き残った敵の指揮官級をちらりと見て、だわと名乗る男は敵の能力と来歴のおおよそを把握した。
不利な状況でも戦意を保っているのは大したものだが、手下は状況が分からないから戦えているだけだ。
男は馬から降り後退するよう指示した後、技も工夫もなくただ前進する。
賊は男を攻撃偏重の戦士と認識し、非授恵者としては熟練戦士といえる連携と実力で挟撃を試みる。
剣先が皮革製の部分鎧に傷をつけて男の体に衝撃を与える。
それは豊富な生命力を削り切るには全く足りず、他の攻撃は全て見切られて虚しく空振りする。
策の通じない実力勝負で賊に勝ち目などない。この場面では力こそ最高の策だ
男は片方の剣を油断なく防御に回したまま、もう一方の剣を振るう。
剣戟時にみ現れる刀身は射程内の敵の数だけあり、流血と死をもらたすということを考えなければ非常に美しい催し物にも見える。
即死はしないしできない。
軽装の遊撃部隊の多くが、刑死かそれより悲惨な末路を悟って地面で呻いた。
煙幕が晴れていく。
避難民が走って逃げていることに気付いて軽装兵の生き残りが追いかけ、しかし1本1本が重装戦士の突撃じみた威力の矢に貫かれて悲鳴をあげる。
「念のためだ」
セリオスの矢がほとんど同時に着弾。避難民を追おうとした賊を確実に戦闘不能に追い込む。
賊を大地へ縫い止める音が不気味に響き、しかしそれが響くたびに避難民の恐怖が薄れていくのだった。
●
「戦えぬ民を護るべく立ち上がる、力強き同胞と隣人達の鼓舞をする」
煙の向こうからよく通る声が聞こえる。
「ストレガは同胞と隣人達と共に在り」
視界を遮る煙が消えて、現れたのはストレガ・L・リベルガストラ。
「隣人の名を騙り同胞に手をかける賊軍を撃滅せん」
被った頭蓋の下から、圧倒的強者のまなざしが賊へと向けられる。
かつて4つの隊を率い、今は自身を含む数人しか戦力を持たない男が悔しさで奥歯を噛み砕いた。
(小芝居も場合によっては有用なのだ。士気が上がればそれでいいのだ)
シリアス顔とは逆に内心うきうきしてはいるが、ストレガは賊に対して演技を続けている。
(リット達は行動続行なのだ)
後ろ手に分かり易くハンドサイン。
馬鹿でも分かる内容に、リット達は指示を誤解せず逃走を継続する。
「人質はとらせないのだ」
バリケードの奥から輝く蛇が溢れた。
一旦ストレガを包み込むように、蛇が頭をぶつけ合った後は敵味方に関係なく絡みつく。
光で形作られた牙も鱗も害は与えず、しかし術そのものである毒蛇はストレガの敵の移動を制限する。
ストレガはバリケードを挟んだ背後へも重力場を設置する。
遊撃隊を率いていた授恵者が、その強みを発揮できないまま青年に捕捉される。
「助けてくれっ」
「その口で何人騙して何人殺めてきた」
殺意が賊を襲う。
表情を歪め気合で拘束をはね除けるまでは良かったが、多少品質が良い程度のナイフではシアンブルーの剣身を揺らすこともできない。
もう1本の光刃が、攻撃直後の元帝国軍人の腹を深く切り裂いた。
「どうした余所見する余裕があんのか?」
ハヤトはいくつも切り傷を負っても不敵に笑う。
賊とは思えないほど正確な斬撃を躱し、受け、直撃を避ける。
「おのれっ」
手数に3倍、威力と命中を勘案すれば倍の攻撃に晒された授恵者が十数の打撃を浴びる。
まだ倒れてはいないが足は踏ん張れず上体が揺れた。
「仕上げなのだ」
ストレガは閃光塗弾による閃光を浴びせ、回避しきれず目が焼かれたのを確認した上で光弾を撃ち込む。
指揮官はもちろん、まだ立ち上がれるかもしれない賊達にもまとめてだ。
ストレガは賊指揮官が倒れても油断せず次の術を用意している。
「死ぬなんて逃げは許さねぇぜ」
ハヤトは背中から拘束した上で猿ぐつわを噛ませる。
舌をかみ切ることもできなくなった賊は、瀕死の獣を思わせる呻きをあげていた。
●
「まぁあのヨゼフがこんな雑魚どもを配下にしているとは思えんから自称じゃろうな」
ベルクの怒りが収まったように見えるのは表面だけだ。
「実際配下だとしても認識されてるかも怪しい連中じゃ。ヨゼフの居場所の情報にはつながらんじゃろうが念のためじゃ」
有益な情報を知っている可能性がある者を選別する。
「尋問は任せたのだ」
ストレガは処理と後片付けを進める。
リットの仲間達は墓穴を掘るのに慣れていた。
(残留思念感応の使い勝手が良ければな)
ベルクは殺すべきと判断している。ギルドが可能なら持ち帰るよう要望しているのが邪魔だった。
「リットくーん? また無茶したでしょー?」
サフィラに頬を突かれたリットが表情を歪める。傷はシルクに治して貰ったが痛みを思い出してしまったのだ。
「ま、死ななかっただけマシかなっ」
言い訳をする気配があったので甘いお菓子でリットを黙らせる。
(そういやハヤトはママのこと聞いてるんだっけ)
彼はサフィラとても親しい間柄なので強い関心がある。
(早くハヤトのパパとママを見つけて今度こそ挨拶しなきゃ!)
本当に、切実であった。
「傭兵の話? ああ、ただの傭兵ではないのだな。俺も興味がある。是非聞かせてくれ」
彼はある意味一番大変な役目を担当している。
憧れの英雄を語る口調と態度で、避難民のリーダーが熱く語り始めた。
熱意はあっても散漫な語りから情報を拾い上げ、ハヤトは数年前の帝国の地図に両親の目撃情報を書き込んでいく。
(補給なしで動いてんのか?)
実の親のことではあるが、富が目的なのか名声が目的なのか人助けが目的なのかよく分からない。
(冒険者ギルドを抜けて探しに行けば見つかるかもしれねえがな……)
そんなことをしたら再会した2人に呆れられるか馬鹿にされる気もする。
ハヤトは独り立ちした戦士なのだ。
「親なら無駄に心配させるなってんだ」
身内にどう説明するか考え、溜息をついた。
聞き込みを終え、彼は荷車に自らの馬を繋ぐ。
戦闘に巻きこまれて心身に傷を負った者は多く、輸送手段はいくらあっても困らない。
「よく頑張ったな、お主らの頑張りが無ければ我らは間に合えんかった、胸を張るといい」
ベルクは一声かけてから、尋問を終えた賊を縛ったまま荷台へ放り込む。
親について調べるハヤトをぼんやり見ていたリットが、慌てて御者台へ走っていった。
マスターコメント
ショートシナリオR普通 報酬:標準8 / 4〜8人
2022年04月27日 16時38分42秒 公開
相談掲示板
にゃ!シーフのサフィラだよっ! みんなよろしくねっ! 依頼の内容としては立てこもったリットくんたちを助けるって感じだねっ 構成はウォーリア、シーフ、シューターで隙の無い感じだけどキャスターとヒーラーが居ないからそこが弱点かなっ?
そこにヒーラーのネフリが参戦するのですの! よろしくなのです!
ウォーリアだ。だわと呼んでもらえれば。よろしく頼む。 ウォーリア1、シーフ3、ヒーラー2、キャスター1、シューター1。 シーフ中心にバランスのよい構成に思う。 実質戦闘開始時、敵との距離は800m=160hexか。シーフが全速力で走ればどれくらいで到達できる距離なんだ……10ラウンドくらいか? ……普通にやると立て篭り側が全滅しそうだな。 こちらのシーフが先行して攪乱し時間を稼ぐというのは可能なのか。それすらも「冒険者との距離が800mになった時点で」に抵触してしまうのか。……少し考えてみる。
シーフのベルクだ。よろしく頼む。 >到達時間 160hexだと、全力で走って我やハヤト殿の移動力6で7ラウンド。サフィラ嬢の移動力5で8ラウンドといったところか?
No.5
シスターシルクです 敵対的異教徒ですね。大地に還っていただきましょう。
おーっす! ブレイブファング傭兵団のハヤト=ヴォルファングだ、みんなよろしくな!! 親父達の情報が手に入る可能性があるからな、気合い入れて行くぜ!! 800mはこっちが特殊な行動を取らない限りってことだからシーフの高速移動やそれ以外でも馬に乗って駆けつけるとかならもっと早く対処出来んじゃねーかと思ってるぜ!
なるほど、7〜8ラウンド……情報助かる。 地平線が見える地形とのことだから、彼我の距離が800mになった時点で「こちらの存在に気付かれて」攻撃開始に踏み切られる、と解釈すれば。 見つからずに近寄れるなら、引っ掻き回せる可能性もありそうに思えるな。 ハヤトの言う馬等での高速接近も良さそうだ。 今回の目標について確認しておきたい。 依頼目的は「リット達の救出」とされている。1人でも多く、可能なら全員救えればそれが一番だが……難しい場合、最優先は「『青年』の生存およびそこからの情報入手」と思っていて構わないだろうか。
No.8
裏を返せばこちらの特殊な行動に気が付かない限り800mまでは動かないということですからね どうやら移動力がそれぞれ違うようですからうまく立ち回れば各個撃破も可能そうです。 バラけたとしても1隊に対してこちらが2~3人で対処可能とわりとやりようがある様子
リットです。ピンチです。たすけて。 疑問点があれば俺が分かる範囲で答えるよ。
・・・・ん、シューターのセリオスだ、よろしく頼む とりあえず全力で移動しないといくら立てこもってるとはいえ持たない可能性がるから早めに到達したいところだな。既に出てる通りハヤトたちが高速移動で先行したりして敵の圧を下げるのもありだろうな しかし遮蔽物がほぼないとはいえ800M離れたこちらを認識できるということだから超視力でも持ってるのだろうか、こいつら
No.11
ところでリットくんの現在位置はどこでしょう
【回答】バリケードの上に立ったり前に立ったりして挑発してるぜ!
No.13
危ないので回収しに行きましょう 定石では ウォーリアにはキャスター シーフにはウォーリア シューターはとにかく肉薄せよですが もしシューターを事前に撹乱出来れば有利なこと間違いなしですね
んー、となるとシーフ組が先行して シューターをかく乱すれば少しは圧を減らせるかなぁ? そしたらホライゾナルジャンプで先行して トリプルファング主体で暴れる感じで行こうかなっ!
ストレガなのだ。よろしくなのだ。 とりあえず魔法効きそうだなと。 主力部隊はグラビティで動けなくできるから あとはクレネルウォールでバリケード補強するか、アーケインも持っていって接近妨害に努めるかとゆとこなのだ。 あとは攻撃魔法撃ちまくるのだ。
800m距離がある時点でこっちに気付くとはなかなかだが、シーフ組で特攻かけて掻き回してやっか! 希望者がいれば馬は1頭用意出来っから貸し出しも行けるぜ!
今回ヒーラーが二人いることので、ネフリがシーフ組に行って援護するのです 馬の方は借りるとして、汎用スキルの『騎乗』でさらに早くなる予定なのです
今のところ出ている意見から、大まかにはこのような作戦になりそうか。 認識相違や、他の意見があれば適宜頼む。 ●作戦 【1】先行。敵射撃部隊を中心に撹乱。 【2】撹乱の裏で接近。接敵次第、敵主力部隊と敵遊撃部隊の対応に分かれる。 ●メンバー 【1】ハヤト、サフィラ、ベルク、ネフリティス 【2】だわ 俺は【2】で「遊撃部隊」の対応に回る。 構成は攻撃重視にして、殺界で足止めしつつ指揮官から叩こうと思う。 こちらも馬の手配中だ、間に合えば乗っていく。
No.19
●作戦 【1】先行。敵射撃部隊を中心に撹乱。 【2】撹乱の裏で接近。接敵次第、敵主力部隊と敵遊撃部隊の対応に分かれる。 ●メンバー 【1】ハヤト、サフィラ、ベルク、ネフリティス 【2】だわ、シルク では私もこちらに、リット君にも来てもらいましょうか?
おう!だわは取りまとめサンキューな♪ んじゃ、ネフリには俺の馬を貸すって書いとくから乗って来てくれ。 >シルク リットは戦えそうなら手伝わせたらいーんじゃねーか。
だわっちはまとめありがとー! 射撃部隊を倒したあとは他の子たちの増援に回ろっかな?その頃には片付いてるかもだけどっ リットくんも混ぜるなら回復させてからだねっ そこら辺もシルクにおまかせしていい?
ん、まとめはお疲れ様だ では人数配分的にも俺は②のほうに行くとするか 最悪こちらを無視してリッドたちのほうに行きそうなら濃煙で相手の視界を塞いで遠回りとかさせるつもりだ ●メンバー 【1】ハヤト、サフィラ、ベルク、ネフリティス 【2】だわ、シルク、セリオス
で、こうなのだ。 射撃の脅威が薄くなれば動きやすいのだ。 主力部隊の足止めに集中するのだ。 ●メンバー 【1】ハヤト、サフィラ、ベルク、ネフリティス 【2】だわ、シルク、セリオス、ストレガ
No.24
まず敵の遊撃部隊に【魔矢】で攻撃を加えつつ回復支援と魔法打撃でダメージを与えていきますね。そちらが片付いてから主力部隊の方に向かいたいと思います。 えリット君もらっていいんですか。
もらう…?んー、よくわかんないけどいいんじゃないかなっ?(かくり)
だわ、まとめありがとう! だんちょーも馬の貸し出しありがとうなのです! できるだけ傷つけないようについていくのです! ちなみに、800m入る前に『レゾナンス・オブ・ヴァロー』で強化したいけど、いいですの?
No.27
こちらは戦闘前にブルーフレアもどきを撃ちますね
ネフリ、レゾナンスはありがてぇな♪ 突撃しかける直前にかけて貰えると助かるぜ!!