『征竜の巫女』
真柄 葉
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シナリオID:2029
オープニング
複数の衛星都市からなるローレラウラの中心であり、古くより旧ローレラウラ市として栄えてきた街でもある。
そんなローレラウラの中核都市で、まことしやかにささやかれる噂があった。
「え、巫女様、極北に帰ったの?」
「いや、どうやらメドゥの指先に攫われたらしいぞ」
「何を言っているのよ、私は貴族の恋人と駆け落ちしたって聞いたわよ」
「いやいや、帝国に戻って最前線でクリーパーどもを蹴散らしてるって噂だ!」
どれもこれも真実味にかける噂ではあるが、それらには一つだけ共通点があった。
それは『征竜の巫女がいなくなった』という事。
彼女がローレラウラに辿り着いてもう2年近くが経った。『征竜の巫女』来訪以来、彼女を手厚くもてなし、街の象徴としようと画策してきたローレラウラ上層部の思惑とは関係なく、ヒルルクは街の人々と触れ合い、友好を深めてきた。
何時しかローレラウラのシンボル的な存在になっていたそのヒルルクが、一週間ほど前に忽然と姿を消したのだ。
ローレラウラの人々は、何の前触れもなく姿を消したヒルルクを心配し、口々にその行き先を噂した――――。
時は遡り、一月ほど前のある日、黄色い祭服を纏った男がヒルルクの元へやってきた。
征竜の信徒と名乗るその男は、征竜の巫女ヒルルクに対し教団が置かれている窮状を訴える。
ヒルルクは最初戸惑っていたが、男の話術に次第に引き込まれていった。
同じ征竜を信仰する者達であったのが決め手となり、ヒルルクは男の訴えを受け入れると、窮状を救ってくると言い残し、帝国へと旅立っていった。
そして時は過ぎ、一週間ほど前にヒルルクはようやく街へと戻ってくる。
おかえりと声をかける街の人達にも気の無い返事を返し、彼女は早々と宿へと籠ってしまった――。
「マヘリアさん、聞いているのですか!」
――一週間前の事を思い出していたマヘリア=ソルサリノは、声のする方を改めて見た。声の主は不機嫌な表情を浮かべる初老の女性。マイア議員の一人だ。
ここはマイアの議会場。
行方不明となったヒルルクの動向を審問しようと、彼女の護衛役であるマヘリアはこの議会へと招聘されていた。
「もう一度ちゃんと説明してください。これでは彼女の動向がまるでわかりません!」
「説明と申されましても、私の方が彼女の動向を教えていただきたいぐらいですので、お答えしようもありません」
ヒステリックに声を上げる女性議員を前に、マヘリアは倒立不動に淡々と答えた。
「それでは困ると言っているのですよ! 貴女は仮にも巫女殿の護衛でしょう! 何か思い当たる……そう、彼女が行きそうな場所とかはわからないのですか!」
「わかりません。巫女殿は私に何も告げずに行方をくらませました。そもそも、ローレラウラの外へと赴くことも多い方です。何か緊急の用件があったのかもしれませんね」
「しれませんねでは済まされませんよ!」
唾を飛ばしてくる女性議員に憐れみの視線を向けるマヘリア。
ヒルルクは長期に街を空ける時、必ずマヘリアにその行き先を告げていた。それを知っていたからこそ、議会もここまでしつこくマヘリアに審問するのだ。
しかし、今回のヒルルクの失踪をマヘリアが知らなかったのは紛れもない事実だった。
「では、ローレラウラにいる間に――――いえ、貴女が共にあった間に何か聞いていませんか。次の行き先ややりたいことなど、なんでもいいのです、何か呟いたりはしていませんでしたか?」
別の議員が女性議員に代わり質問を投げてくる。
しかし、マヘリアは表情一つ変える事無く、ゆっくりと首を振った。
「何度も申し上げますが、私にはわかりかねます。議員の皆様が私に何を期待しておいでなのかはわかりませんが、私は彼女の保護者ではありません。警護はいたしますが、必要以上に彼女の内情に踏み込むことはいたしません」
きっぱりとそう言ったマヘリアに、議会の面々がざわついた。
そんな議員達を見渡しながらマヘリアは思う。
実を言えば、心当たりがないわけではない。姿を消したヒルルクが向かうとすれば、あそこしかないと思える場所が一か所だけある。
ヒルルクが何故か固執するあの『少女』が住まう泉。彼女はそこへ足を運ぶはずだ。ずっと居ないにしても、必ず立ち寄るだろうという確信があった。
だがマヘリアはその情報を口には出さない。
「……では、本当に何も知らないのですね」
「何も知りません」
議員達の質問にこくりと頷いたマヘリアは、もう何も言う事はないと口を閉ざした。
議員達は互いに顔を見合わせると、これ以上彼女から新たな情報を引き出す事は出来ないとようやく悟ったのか、審問を終了しマヘリアの退席を許す。
マヘリアは議員達を一瞥すると、軍式礼を取り議会場を後にした。
退出する間際に向けられた侮蔑の視線を無視して、マヘリアはドアを閉める。
議会場の廊下を急ぎ足に歩きながら、マヘリアはポケットの中に忍ばせたメモをぎゅっと握りしめた――。
●
議会の面々から解放され、宿へと戻ったマヘリア。
マヘリアはこのマイアに自宅を持っているのだが、ヒルルクの護衛という立場上、彼女の部屋の隣に部屋を借りて寝泊まりしていた。
マヘリアは自室のドアに手をかけたまま、動きを止める。そして、ゆっくりとドアから手を離すと、隣の部屋へと移動した。
主のいない部屋にノックして入室する。
がらんとした室内。
宿の一室という事もあって、ヒルルクの私物と言えるものはほとんどない。
それでも、彼女の愛用品のいくつかはそのまま置かれていた。
「はぁ……ほんと、一体どこへ行ったのかしら。あの子は……」
部屋の主を想いマヘリアは溜息をつく。そして、ポケットから紙片を取り出すと、机の上に置いた。
『探さないでください』
短く不器用な文字で書かれたそのメモは、確かにヒルルクの字だった。
「そういう訳にいかないでしょう」
この机でメモを書いたであろうヒルルクの姿を幻視しながら、マヘリアは呟いた。
●深い森の中にある泉
「ねぇ、わたしはどうしたらいいと思う?」
小さな波紋が揺れる泉にヒルルクは問いかけた。
「って、あなたに聞いてもわからないわよね。ごめんね」
投げかける声に返ってくるものはない。
ヒルルクはそれでも泉を見つめながら言葉を紡ぐ。
「わたしは何のためにここにいるのかしら……」
言葉は、水面から頭だけを覗かせるマーメイドの少女に。
意思の疎通もかなわない異種族の少女に向け、ヒルルクはずっと語りかけていた。
「あなたは寂しくない……? こんな誰もいない場所で、ずっと一人で」
じっとヒルルクを見つめ返すマーメイドの少女は、わけあって彼女が保護した。紆余曲折あり、人類の敵対者であるマーメイドの安全を確保する為に、こんな辺鄙な場所へと少女を追いやった。
それでも後悔はしていない。そうしなければ、この子はきっと殺されていただろうから。
「……お話出来たらいいのにね。そうしたら――」
――がさっ。
「誰っ!」
突然、背後から物音がした。
ヒルルクはすぐに立ち上がり、音のした方を見る。同時にマーメイドの少女が泉の中に顔を隠した。
ヒルルクはマジカルポケットから無骨なハンマーを取り出すと、物音がした茂みをじっと睨み付ける。
――がさっ。
再び茂みが揺れ、そこから現れたのは――――。
解説
マスターより
リプレイ
「……帝国でそんな事が」
仲間達から先日の件を聞きハーヴィは考え込む。
「ああ、そんときゃ丸く収まった……はずだったんだけどな。思いのほかショックが大きかったらしい」
成り行きを説明したハヤト=ガラン=ヴォルファングは、意気消沈したヒルルクの姿を思い出した。
「あんなに塞ぎ込んだヒルルクさんは初めて見ました。いつものほほんと笑っているのに……」
ユークリア・フィナンシェは、先の一件で落ち込んだ彼女を慰めた一人だ。
「結局その笑顔は取り戻せませんでした……本当にらしくないです」
そして、トーラもまたそこにいた。
「らしくないヒルルクさんですか……ちょっと想像できないですね」
「確かに。僕もそんなに思い詰めるタイプじゃないと思ってた……って、これは彼女に対して失礼かな」
ルアンナとアリオン・リューの二人は意外な話に困惑する。
「みんな、次の港が見えてきたよ。お喋りはほどほどにして準備と警戒よろしくっ」
と、船の舳先からトゥーリが皆に声をかけた。冒険者達を乗せた船は、港へと入っていく。
●
ここに誰よりも早く別行動に出た人物がいた。ハイスピードキャスターことバンビである。バンビはヒルルクをとっとと探して、とっとと慰めて、とっとと約束を果たさせる為に、今までにないほど高速で宿へと向かっていた。
――バーンッ!
乱暴に開かれたドアに、マヘリアは飲んでいた紅茶を吹きそうになる。
「ご機嫌よう、護衛女……もといマヘリア様」
「あ、貴女は確か……」
「バンビで冒険者で捜索者ですわ。早々に心当たりを吐いてくださいませ」
圧強くバンビはマヘリアに顔を寄せた。
「金魚の糞……もといマヘリア様。どうせ行先に心当たりがあるのでしょう? 勿体ぶらずに話すといいですわ」
「……私は知りませんよ」
そう答えつつ、マヘリアはバンビの襤褸に紙片を忍ばせる。
「申し訳ないですが、私は忙しいので退室願えますか?」
「……そうですか。知らないのでしたら、用はありませんわ」
バンビはそれだけを言い残し、さっさと踵を返した。
●
「……まったく、冷や冷やさせるね」
そんなやり取りを聞いていた耳があった。
相棒の栗鼠の感覚を借りたルチル・プルメリア・グレイハーツは、感覚共有を切ると溜息をつく。
ルチルは匿名で出された今回の依頼の本当の依頼者はマヘリアだと踏んでいた。
そして、それを裏付けるために、彼女の部屋近辺をラトを使って調査していたのだ。
「とはいえ、冒険者がマヘリアさんの元を訪れた事実は消えない。議会にどう目をつけられるかわかりません」
ルチルと共に物陰に潜むAlexandra・Hexe・Claudia。
「……いえ、これは使えますね。接触を持った事実を有効に使いますか」
「何か考えがあるのかい」
「はい、偶然とはいえせっかくできた状況です。活用させてもらいましょう」
無表情にそう呟いたAlexandraに、ルチルの表情がわずかに歪む。
「心配はご無用です。私も依頼を受けた身。悪いようにはいたしません」
「……わかった、任せるよ」
「はい。ですので、あちらはお任せします」
Alexandraの言葉に頷いたルチルはラトを呼び戻すと、音もなくその場を去っていった。
「さて、この手に対し議会はどうでるか、その実力を拝見しましょうか」
そう呟いたAlexandraはマヘリアが泊る宿へと足を向けた。
●
鬱蒼とした森を歩く。
冒険者達は周囲を厳に警戒しつつ、目的地へと向かっていた。
「コバルデも連れてきたかったけど、これは流石に厳しいね」
愛馬と共に目的地へと向かう予定であったアリオン。しかし、仲間達からその場所の状況を聞き断念した。
「こういう土地だからこそ、彼女を隠すのに最適だったんですよ」
「寂しいかとは思ったんだけどね。ローレラウラと彼女達との関係性を考えれば仕方なかったんだ」
その場所へ訪れた事のないアリオンに、トーラとハーヴィは詳しい経緯を説明する。
「ってか、なんでこんな森の中に隠したんだ……生きていけるのかよ」
「そう思わせるのが狙いだったんですよ。簡単に見つかる所では、知らない間に殺される危険もありますから」
まだ半信半疑のハヤトに、ルアンナが「賢いでしょ?」と胸を張った。
冒険者達は鬱蒼と茂る緑を掻き分け、目的地を目指す――。
●
「……頃合いです」
タイミングを見計らってAlexandraが部屋のドアをノックする。
中からの返事を受け入室すると、マヘリアが出迎えた。
「宿で仕事ですか。精がでますね」
「ここが私の今の職場ですから。それで何か御用ですか?」
挨拶というには無意味な言葉をかわし、二人は向き合う。
「単刀直入にお伺いします。征竜の巫女はどこですか」
「それを聞きたいのは私です。知っていたら教えてください」
「なるほど。今、我々冒険者に彼女の捜索依頼が出ています」
「そうなんですか。では早く見つけてください。私も困っていますので」
「困っていますか。わかりました、一先ず直近で彼女と共に足を運んだ場所を当たってみます」
「直近でって……まさかあそこですか? 随分遠いですし、危険な場所ですが」
「だからこそ、逃げる先としては妥当かと思います。あの場所であれば人が来る心配がほとんどありません」
Alexandraの物言いに、ピクリと反応したマヘリア。
「それでは、私はこれで失礼します。船の手配をしないといけませんので」
「そうですか。成功する事を願っています」
マヘリアの言葉を背で聞いたAlexandraは、そのまま部屋を退出した。
こうして、わざとらしくマヘリアと接触したAlexandraの真の狙いは議会の攪乱だった。
わざとマヘリアに接触し、自らの行き先を告げる。先ほどのバンビの存在も攪乱に使い、マヘリアを監視しているだろう議会側が食いつくのを待つ。そうすれば本命が『あの場所』へ向かうカモフラージュになる。
「食いつく先を間違わないでくださいよ。貴方がたはそれほど無能ではないでしょう」
誰に聞こえるでもなく呟いたAlexandraは、港へと向かった――。
●
「っ! 待て、誰かいる」
ようやく目的地も近づいてきた、そんな時だった。先頭を進んでいたハヤトが手を横に突き出し皆を止めた。
皆は姿勢を低くし、息を殺す。
「ヒルルクさんですか……?」
「違うな。これはあいつの匂いじゃねぇ」
ユークリアの声にハヤトは首を振った。
「まさか、議会の人が……」
ハヤトの言葉を聞き、ルアンナが不安気に呟くが――。
「なんでいませんの!」
目的地から聞こえた声に、皆は呆気にとられる。
それは聞き覚えのある声だった。
「ちょっ! 何でバンビさんがいるの!」
トゥーリが藪から飛び出していく。続く様に、他の皆も藪から出た。
「む? 残念ですが、最速での到着はこのバンビですわ。最速で、です。重要なので二回言いました。最速で。あ、三回になりましたわ」
ぞろぞろと現れた仲間達の姿に、バンビは殊更最速をアピールする。
「いや、そんなこと聞いてないし!? って……ヒルルクさんは?」
「いませんわ。まったく、最速で訪れたオレの計画が台無しですわ」
きょろきょろと辺りを窺うトゥーリに、バンビは溜息混じりに答えた。
「ローラもいない。え……どういう事」
そんなバンビの横を抜け、泉へ向かったハーヴィが水底を覗き込んだ。しかし、澄んだ泉のどこにも、あの少女の姿は見えない。
「え……まさか、もう……」
ハーヴィに並び泉を覗き込むルアンナが、ぐっと息を飲む。
「たぶん違うと思います。これを見てください」
と、そんな二人に声をかけたトーラが泉の淵を指さした。
「地面は荒れていないのに、ここから地面が濡れています。あの子は陸に上がったんじゃないでしょうか」
それを【看破】したトーラは、指していた指をすっと藪の方へ向ける。
「藪へ向かったって事……? まさか、湖へ戻ろうとした、とか」
「一人でですか!? やっとの思いで湖から逃げてきたのに!」
そう呟いたハーヴィに、ルアンナはおもわず声を上げた。
「いない……ヒルルクは来ていないのか」
アリオンは改めて周囲を見渡した。
森に囲まれた小さな泉。すぐに一望できてしまう狭いこの場所に、ヒルルクの姿はない。
「いえ、来ていますわ」
と、バンビがアリオンに答えた。
「この何とも言えない香ばしい薫りは、確かにヒルルク様のものですわ。まーたしばらくお風呂に入っていませんわね」
「まぁ風呂はどうか知らねぇけど、確かにあいつの匂いが残ってるな。それよりも……もう一つのこの強烈な匂いはなんだ? 何処かで嗅いだことがある気がするんだが」
鋭い嗅覚を持つ二人が周囲に残った匂いを嗅ぐ。二人もよく知るヒルルクの匂いとは別の匂いが漂っている。
「……確かにしますわね。ひどい獣臭が」
「獣、だって? まさかここで魔獣か何かに襲われて……!」
そんな二人にアリオンが問いかけた。
「いや、争った跡は見えねぇから……ってか、ほんとにこの臭いどっかで」
ハヤトがアリオンに答えるが、ずっと首をひねって鼻を鳴らしている。
「確かにここにいた形跡があるのに、その姿はない……ふむふむなるほど」
一方、謎の深まる現状を前に、ユークリアは考えていた。
「何かわかるの?」
「ふっふっふっ、わかりますとも! 私とヒルルクさんは拳で語り合っ……う予定の仲ですからね!」
トゥーリの問いかけに自信満々に答えたユークリア。
「ズバリ! ここに誰かが来て、ヒルルクさんはその人について行った!」
「え……根拠は?」
「ありません!」
「えー……」
その自信はどこから来るのか。最早疑いようはないと胸を張るユークリアに、トゥーリはがくりと肩を落とした。
「いや、あながち間違いじゃねぇかも」
「はい、わたしもユークリアさんの推理はあってると思います」
と、そんなユークリアにまさかの援軍。
ハヤトとトーラが、共に藪を指さしながら答えた。
「ヒルルクと獣の匂いがあっちに続いてる」
「それに人――というよりもっと大きな何かが通った痕跡があります」
鋭い感覚を持つ二人にはそれがはっきりと見えていた。
「……攫われた可能性もあるけどね」
二人ほどではないにせよ、ハーヴィはその観察眼で、じっと藪の奥を睨み付ける。
「でも、こっちの方角って……山だよ?」
と、アリオンが指を空に向けた。
深い緑で今は見えないが、確かにその先は三国を隔てる山脈がある方角だ。
「それなら急いで探してあげないと! ヒルルクさんはともかく、ローラちゃんは水が無いと死んじゃう可能性もありますよ!」
三人の話を聞きルアンナが皆を急かす。
「はい、急ぎましょう! 彼女の身に何か起こっています!」
「えっと、それももちろん……」
「はいっ、勘です!」
自信満々にそういうユークリアに、皆がくりと肩を落とした。
「一応痕跡を消しておこう。追手があったらまずい」
ハーヴィの提案で泉の周囲に刻まれた痕跡を消し、新たに攪乱用の痕跡を残した。
「ルチルさんにメッセージ残しておきますね」
最後にルアンナが後から来るはずのルチルに『暗号』を残す。
全てを終えた一行は『山』へと向かう為、再び藪の中へと入っていった――。
●
鬱蒼と茂っていた木々は山脈に近づくにしたがって、その度合いを薄くしていく。
それに伴い傾斜はきつくなり、ついには登山と呼べるレベルにまでなった。
冒険者達が後ろを振り向く。
鬱蒼と茂る森は既に眼下。幸いにして議会の追手の気配はない。
きっとルチルとAlexandraがうまく攪乱してくれたのだろうと、まだ合流できていない二人に感謝する。
改めて山道へと向かった冒険者達。追っていた匂いと痕跡は、道の先へと続いていた。
●
眼下にローレラウラ湖まで望めるようになった山の中腹。
「……おいおい、なんで幼女ちゃんがここにいるんだ」
いっそ濃く漂った『匂い』にハヤトが顔を上げれば、巨大な瞳と目が合った。
魔獣オルトロスの獰猛な赤い瞳は、大岩の上から冒険者達を見下ろしている。
「ビ=ネク……なのか?」
「えっ、それってこの間いた魔獣使いさん……?!」
剣の柄に手をかけるアリオンと頭上の魔獣を交互に見たユークリア。
「待ち伏せ……いえ、そもそもなんで彼女がわたし達を待ち伏せするのでしょう。まさか、先日の仕返し……?」
トーラが短剣を構えながら戦闘体制に移る。
しかし、場所が悪い。ここは険しい山道であるし、身を隠せる場所がほぼない。
上を取られた強敵と真っ向からやり合うには分が悪すぎる。
「……こんな所に何しに来たの」
と、警戒する冒険者達に向け、魔獣の背から少女の声がした。
「それはこっちの台詞だ。なんで、幼女ちゃんがこんな所にいる」
「……なんでって、ここは私の家だから」
「「「……は?」」」
ビ=ネクの返答に、彼女を知る者達から思わず声が漏れる。
「ごめん、状況がよくわからないんだけど、あの子は敵なの?」
困惑する雰囲気にハーヴィがアリオンに耳打ちし問いかけた。
「敵……のはずなんだけど」
しかし、返ってきた答えは実に曖昧。
「まさか、ヒルルクさんを攫ったのは貴方ですか!」
状況がよくわからない中、今度はルアンナがビ=ネクに向け声を上げた。
ヒルルクを追ってこんな場所まで来た。そして、現れたのは大型の魔獣。
ルアンナでなくともその結論に至るのは当然だった。
「……攫った? ああ、なんだあの子を探してるの」
しかし、ビ=ネクはあっさりとそう言う。
またしても呆気にとられる冒険者達に、「会いたいならついてきて」とだけ言って、ビ=ネクはオルトロスに指示を出した。
巨獣が山肌を駆ける。
その速度に驚きながらも、冒険者達は懸命に後を追う――――。
●
山肌の僅かな平地にその建物はあった。
「うわ、ボロいね」
トゥーリが言う様に、お世辞にも綺麗とは言い難い建物の前にオルトロスが伏せている。
ビ=ネクはオルトロスの背から飛び降りると、さっさと建物の中へと入っていく。そして、しばらくすると――。
「えっ、皆? 何で居るの?」
出てきたのはヒルルクだった。
「ヒルルク!」
その姿を見たトーラがすぐに駆け寄――――るよりも早く、バンビが弾丸の如く飛んだ。
「えっ……ぐえっ!?」
腹に頭突きを喰らい、ヒルルクは蛙が踏みつぶされたような声を上げ倒れ込む。
「ふぅ、満足しましたわ」
「どゆこと!?」
倒れたヒルルクに馬乗りになったバンビは、満足げに汗を拭った。
「ヒルルク様、簡潔に申し上げます。あんたも人間でしたのね」
「なんだと思ってたのよ!?」
「あ、すみません、言葉足らずでしたわ」
バンビは全く悪びれる事無く続ける。
「オレはあんたが完璧超人なのかと思っていたのですが、他の人と同じように騙されて落ち込んだりするのですね。ちょっと可愛いとか思ってしまいましたわ」
「そう、ありがとう。でもそろそろ退いて欲しいんだけど」
「これは失礼しました。あまりに座り心地がよかったもので」
「どゆこと!?」
憤慨するヒルルクから退くと、バンビは呆気にとられる仲間達の元へ。
自分の話は終わったから、後はご自由にと。
「ヒルルク、大丈夫かい?」
ぷんぷんと頬を膨らせるヒルルクに、アリオンが苦笑しつつ手を差し出す。
ヒルルクはその手を取り立ち上がると、服についた土を払った。
「心配したよ。急にいなくなったって聞いて」
「あ……うん」
アリオンに見つめられ、ヒルルクは気まずそうに視線を逸らす。
「何か悩み事があったら言ってよ。僕でよければ話し相手くらいにはなれるしさ」
友人としてとアリオンが言うも、ヒルルクは「ありがとう」とだけ言って黙ってしまった。
「それにしても、なんでまた家出なんてしたんだ」
対応に困るアリオンに代わり、ハヤトが問いかける。
「家出……なの?」
「家出だろう。ローレラウラはお前の家じゃねーのか?」
「家、なの……?」
「おいおい、大丈夫か。ちゃんと立ってる所が見えてるか?」
曖昧な返事を繰り返すヒルルクの肩にハヤトは手を置いた。
「前の教団がらみで落ち込んでるのなら、それはもう終わった事だ。気にすんな」
「……ねぇ、ハヤト。人はどうして嘘をつくの?」
両肩を掴み真っ直ぐに見つめてくるハヤトからも目をそらし、ヒルルクは自問する様に問いかける。
「……弱いからじゃねぇか」
「弱いから嘘をつく……」
聞こえたハヤトの言葉を反芻する。
「人は弱い生き物だ。その弱さを隠す為に、平気で噓をつくし騙しもする。ヒルルクはそーいう事に耐性なさそーだもんな。まぁそういうとこがアンタらしいっちゃらしいけどよ。でもな、これからそーいう事にも気を付けて行かねーとダメだぜ?」
「だからこそ、もっと人を知るべきです!」
ハヤトの言葉に沈黙するヒルルクに声をかけたのはトーラだった。
「……極北から出て沢山の人と会ったけど、それじゃ足りないって事?」
「会うだけでは人は知れませんよ」
ヒルルクを見上げるトーラは「とりあえず座りませんか」と辺りに散らばる石を指さす。
「ヒルルクは自分が考えている以上に影響力を持っています。だからこそ、こんなにも沢山の人があなたを探しに来たんじゃないですか。皆、あなたを慕ってるんですよ。その善性を知っているから」
並んで座りながらトーラは続けた。
「ですが、嘘をつく人が沢山いるのも事実です。人を利用しようとする人だっていっぱいいます。
わたしだって人のこと言えません。だって、レイウェストさまの為にヒルルクが使われるのを良しとしてきたんですから」
「それは……もっと人を疑えって事?」
「疑う……うーん、そうですね。頭っから信じちゃダメって事です」
「難しい」
「そうです。とっても難しい問題なんです。だからこそ知って欲しいんですよ、『人』ってものを。あなたが知るためなら、私は協力を惜しみませんよ!」
「もちろん、僕もね」
と、拳を握ったトーラに合わせるように、ハーヴィが声を上げる。
「君が何を信じて、自分で何を選び取るか、それは僕達にもわからないけど、その下地を作ることは僕達にも手伝えると思うんだ」
ハーヴィはそう言ってヒルルクの横に腰かけた。
「下地を作る……?」
「うん。ヒルルクさんは素直で一生懸命、そして、純粋だ。それは君の美徳だと思う。だけどその美徳が原因で、君は心に傷を負ってしまった。
だから、心を守るために『知識』を身に着けよう。人について、この世界について、沢山の事を知ろう。もちろん良い事もあれば悪い事もある。だからこそ、それを選んで知るんじゃなくて、知ってから選べるように『知識』を身に着けるだよ」
「君が落ち込んでる姿を何度も見るのは辛いからね」と続けながら、ハーヴィはヒルルクに微笑んだ。
「そういう事なら、『勉強会』を開くのはどうでしょうか!」
二人の話を聞き考え込むヒルルクに、ルアンナが提案する。
「勉強会?」
「そうです、勉強会です! 知識を得るにはやっぱり勉強する必要があるんですけど、一人だと大変ですよね? だから、皆で勉強会をすればいいんじゃないかと思ったんですよ」
ルアンナは立ち上がると、地面に何やら絵を描いていく。
本を囲む皆の絵を描いたルアンナが、どうでしょうかとヒルルクを見た。
「勉強って、あんまり得意じゃないんだけど……」
「でしょうね! あ……いえ、そうじゃなくて、だからこそ皆で勉強するんです。わからない所はわかる人が教える。皆わからなければ皆で調べればいいんです。そうやって、ちょっとずつ知識を身に着けていきましょう」
ムッと口を尖らせるヒルルクに、あははと乾いた笑みを浮かべつつルアンナはそう提案する。
「うーん……」
「ヒルルクさん! 勝負です!」
苦手な勉強と聞いて今一乗り気でないヒルルクを見て、ユークリアが声をかけた。
「なんだか難しい話がいっぱい出てきて、あなたは今ちんぷんかんぷんですね! 何を隠そう私もそうです!」
なぜかドヤってるユークリアに、ヒルルクは呆気にとられる。
「そういう時は体を動かすのが一番です! 脳も筋肉の一部です! 運動すれば脳みそもしっかり仕事をしてくれます! そのちんぷんかんぷんな内容もズバッとバシッと頭に入ってくることでしょう! はい、ここパンクリアース学園の試験に出ます!」
「え……あ、うん。……え?」
勢いのままに、「さぁ立って!」と手を引かれたヒルルクは、他の者達が呆然と見つめる中、ユークリアと相対す。
「ふふっ、いい面構えです。それにまったく隙の無い構え……とてもイケイケです!」
ハウリング・オブ・ブルーフレア。
「やはり、ヒルルクさんはそうじゃなくちゃいけません! 相手のペースに乗せられて、ふわふわしてるなんて、あなたには似合いません!」
さらにはペインキル。
「えっと……どゆこと?」
「問答無用です! いざ、尋常に勝負ですぅぅぅぅ!!!」
力こそジャスティス。
その武器に刻まれた真理を体現するが如く、ユークリアはバフ盛りでヒルルクに突撃した。
●
「まったく、とんでもない所に……って、どういう状況だ」
警戒しつつ山を登ってきたルチルが目の前の光景に困惑する。
「ちょっとした息抜き? そんな感じだよ」
「なんだそれは」
「うーんと、話せば長くなるけど――」
と、困惑するルチルに、トゥーリは面白可笑しく説明した。
「ぐへぇぇ! 参りました!」
ルチルが説明を聞き終えた丁度その頃、ようやく勝負とやらが終わったようで、ユークリアが大地に大の字を描いていた。
「やっぱり強いですねヒルルクさん! 私じゃかないそうにありません――――と見せかけての不意打ちっ! ぐえっ!?」
「その位にしておいた方がいいよ。ヒルルクも困ってるし、君の身体もボロボロだ」
敗北と見せかけてからの不意を狙ったユークリアを、アリオンが苦笑しつつ止めた。
「お疲れ様、ヒルルクさん。どうだった?」
ユークリアとの一戦を終え、石に座ったヒルルクにトゥーリが水を差し出した。
「どうだったって言われても、うーん」
「あはは、難しい事考えるよりはいい感じ?」
トゥーリは「隣いいかな?」と声をかけつつ、ヒルルクの横に座る。
「ワタシはね、ハーフビーストの皆が自由に暮らせる世界になればいいなって思ってるんだ」
するとトゥーリは、仲間達に介抱されるユークリアを見ながら語り始めた。
それは彼女の願いの話。
被差別種族としてハーフビーストが受ける扱いを払拭したい。
そして、それを成す為に自分が高名になって影響力を持つ。
「そう、ある人と約束したんだ」
「恋人?」
「残念、そんなのじゃないよ」
トゥーリは苦笑しつつ答えた。
「ヒルルクさん、聞いてもいい?」
「何を?」
「ヒルルクさんの願いと祈りを」
「どういうこと?」
「えっと、アナタにとっての信仰って何なのかを聞いてみたかったんだ。
ねぇ、それは神がかつて見せた神性を善きものと捉えるという事? それとも己が信奉する神の逸話を信じて、それを「継承」する為のもの?」
トゥーリは一つ、二つと指を立ててヒルルクにとっての信仰とは何かを問う。
「そんな事を聞いてどうするの?」
「参考にするんだよ」
「参考にかぁ……うーん、他にはないの?」
「え?」
「どちらも何か違うと思ったから」
しかし、ヒルルクの答えはトゥーリの予想していたものではなかった。
「それは、自分の中に別の道があるって事?」
「別の道? ううん、ちょっと違うわ。わたしの征竜さまへの信仰は変わらない」
「それは前者じゃないの?」
「え……? うーん……」
言葉にするのが難しいのか、ヒルルクは難しい顔で黙ってしまった。
●
輪を離れたハーヴィはヒルルクと共にあるはずの、もう一人を探していた。
「……なに?」
「あ、えっと……ここにマーメイドの女の子はいないのかなって」
小屋の中にいたビ=ネクに問いかける。
すると、彼女は無言で小屋の裏手を指さした。
「そっか、ありがとう」
ハーヴィはビ=ネクに礼を言って小屋の裏に回る。そこには石清水が湧きだし小さな泉が出来ていた。
「ローラ、久しぶりだね。元気してた?」
身を隠せるほどの深さが無いのだろう。半身だけ水に浸けた少女は警戒心を露わにハーヴィを睨み付けている。
「そんなに怖い顔をしないでよ。僕は君と仲良くなりたいんだ」
相変わらずの少女の反応に、ハーヴィは苦笑しつつ懐から包みを取り出した。
中身は絵葉書と髪留め。以前ヒルルクと共に少女の為に選んだ品だ。
「気に入ってくれると嬉しいな」
ハーヴィはそれを地面に置くと、ゆっくりと泉から離れる。距離を取り少女の反応を見るが、その警戒心は和らぐ所か増している様にさえ感じた。
ハーヴィは悲しそうに微笑むと「また会いに来るね」と言い残してその場を後にする。
「どうでした?」
「仲良くなれた……と言いたい所だけど、全然ダメ」
小屋の影でハーヴィを迎えたルアンナ。彼女もまた少女を気に掛ける一人だった。
「お話もダメ、プレゼントもダメ、ですか……一体どうすれば仲良くなれるんでしょうね」
「わからない……誰か教えてくれないかな」
二人は小屋の影からちらりと泉を見る。
マーメイドの少女はまだこちらを警戒し、睨みを利かせていた――。
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「自分がどう生きてぇのかなんて自分で考えるもんだろ。征竜の巫女かもしれねーが、征竜様がヒルルクの生き方まで指図してくるわけじゃねーんだろ?」
「うん……」
そうハヤトが声をかけるも、ヒルルクの表情は相変わらず晴れない。ひどく何かに迷っている様に感じる。
「先日の一件がそこまでショックだったか」
ダメかと両手上げるハヤトに代わり、ルチルが問いかけた。
「……そう、かも」
「否定しないんだね。まったく……」
ルチルは溜息をつくと骨面の隙間から瞳を覗かせた。
「あの程度の事で自分のあり方に疑問を持ったのか? それとも、肩書に自信が持てなくなったのか? 巫女である事に誇りが持てないのなら今すぐにでもやめればいい。覚悟の無い身にその立場は重荷だ」
真っ直ぐにヒルルクを見つめ、容赦のない苦言を呈す。
「いいかい、ヒルルク。間違えるというのは愚かに思われるが、真に愚かなのはその過ちを正せない者の事だ。真に不幸なのは間違いを間違いと教えてくれる人間が傍にいない者だ。
竜の里には悪意も、悪意に付け込まれる純真を糺す者もいなかったんだろう。
だから気づけなかった。
でも今は違うはずだ。アンタはアタイ達に出逢い変わる為の一歩を踏み出す時を得たんだ。だから――――」
「……ルチル、あなたは少し勘違いしているわ」
「なに……?」
しかし、ヒルルクの返事はルチルの期待するものではなかった。
「わたしは征竜さまの目であり耳である。それがお役目。自分の在り方とか肩書とかは関係ないの。もちろんこのお役目には誇りを持っているし全うしたいとは思っているけど、それはわたし自身の感情なだけであって重要ではないわ。何より優先されるのはそれが征竜さまの為であるかどうかだから」
はっきりとそう言って、ヒルルクは右手の紋章を見せた。
「……そこまではっきりとした信念を持っていて、なんでこの間みたいな独断をしたんだ」
「うっ……それは……」
ルチルの言葉にヒルルクは返事に詰まる。
結局自分が行った『独断』のせいで人に迷惑をかけ、自分自身が落ち込む羽目になったのは事実だ。だからヒルルクはずっと抱いていた疑問を彼女にぶつけた。
「ねぇ、ルチル。なんで、こっちの人達は征竜さまを敬わないの? 征竜さまの言いつけに従っていれば全てうまくいくし、皆幸せになれるのに、なんで嘘なんかついて悪い事をしようとするの? 極北から出てきて色んな人を見たけど、どうしてこんな簡単なことがわからないのか、わたしには疑問でしかないわ」
その口ぶりに嘘はない。ヒルルクは本気でそう思っている。
「あなた達も征竜さまに会えばわかるのかしら。征竜さまの優しさと偉大さが」
それが、征竜の神性に直接触れた者が持つ感覚なのか。
「それが『別の道』……」
トゥーリはようやく先ほどの問いの答えを見た気がした。
そして、それこそがヒルルクや竜の里の民が持つ『真の信仰』なのだと悟った。
同時に冒険者達は感じる。
ヒルルク達の持つ『信仰』は、大陸のものとは大きくかけ離れている。アリオンやルチルであっても、そこまでの考えはない。
それは頑なで純粋。狂信的で殉教的。深くて濃い。
全ては征竜の為であり、あるべきだ。
2年をこちらで過ごした彼女の考えは、根本的に何も変わっていなかった。
●
「残るんだね」
「うん、もう少し頭冷やしたいから」
「そうか。本当はヒルルクをエスコートして帰る予定だったんだけど、仕方ないね」
アリオンは「必ずまた会おう」と約束をかわし、山道へ向かう。
「あんま余計な事考えねーで、今まで自分で見て自分で聞いたものが、なんだったのかよく思い出せよ」
「約束、忘れないでください。すっぽかされたらまた押しかけますわよ」
アリオンに続きハヤトとバンビが。
「迷ったら筋肉に聞くのです! 筋肉は裏切りません!」
ユークリアが。
「皆心配してますから、できるだけ早く帰ってきてくださいね」
「いつ帰って来もいいように準備を整えておくから」
ルアンナとハーヴィが。
「街の者には旅をしたくなったと言っておくよ。その位の自由は許されるだろ」
ルチルが。
「わたしもしっかり勉強して待ってますので、必ず帰って来なさい」
最後にトーラが。
ヒルルクはここまでしてくれる皆の為にも、必ず戻ると約束した。
それがいつになるのかはわからないが、冒険者達はヒルルクの言葉を信じて下山する。
信仰とは何か――――それを考えながら。
マスターコメント
ロングシナリオ普通 報酬:標準10 / 6〜10人
2022年04月06日 08時45分30秒 公開
相談掲示板
トーラです。 ヒルルクも人騒がせですね。マーメイドの事は知っているので、例の泉は行き先の候補として挙げれると思います。 見付けたら、ロスガリアのことを勉強するよう薦めてみましょうか。世間知らずだから、この前みたいに騙されるんでしょうし、それを改善する良い機会になるかもしれません。
ルアンナです、よろしくお願いします。 行き先がマーメイドの泉である事にはすぐに気付けそうですね。 >勉強を薦める 良いですね! どうせなら皆で集まって勉強会開きましょうか。 ヒルルクさん、今までたくさん騙されてきましたものね…。
ハーヴィだよ、宜しくね! マーメイドの泉は僕も行ったことがあるから、すぐに候補として浮かびそう。 勉強会の案も良いと思うよ。改めてロスガリアの現状を把握する良い機会になるんじゃないかな。 後はヒルルクさんへどういう風に声を掛けるか……は、ちょっと悩み中。前回の依頼や今までも騙されてきたって話を今回初めて知って。
僕はウォーリアのアリオン。皆、よろしくね。 ヒルルク、この間の件で落ち込んでたみたいだし心配だね。 僕はマーメイドや泉の件には関わりが無かったから知らないんだけど、情報共有して素早くたどり着けると良いね。 声掛けは悩むね。世間知らずはあんまり人の事言えたものじゃないからなぁ…。
情報屋のルチルだ、よろしく。 あの一件以来、珍しく凹んでしまったようだね。…だが、言葉を真摯に受け止めるようになったのは良い兆候か。 人魚絡みの依頼に参加した者なら行先の候補地に泉が浮かぶのも自然だし、そうでなくとも行先に見当がついているマヘリアもいる。 ヒルルク自身、通った痕跡は残したままにしてそうだし見つけるのは難しくなさそうだな。 >声掛け 勉強会をするなら反対はしない。 寧ろ賛成…と言いたいが、個人的に言いたい事ややりたい事もあるので教える件については触れる程度になりそうかと。
トゥーリだよ、よろしくね! こう、事情を知ってるだけにヒルルクさんとマーメイドさんの様子は気になるなぁ。 なんか上手いこと声掛けできるといいんだけれど。 >勉強会 声かけの内容自体は、それぞれがいいと思うことを提案するでいいんじゃないかな。 人手がいりそうだったら手伝うから言ってね!
ヒーラーのユークリアです。よろしくお願いします。 ヒルルクさんとは肉体言語で語り合う予定でしたね…。 私達にはこれが一番わかりやすいって感じで。戦いでは色々見てる筈なので、それを広げればいいみたいな感じですね。
キャスター、クラウディアです。よしなに。 —今回、ヒルルクさんについてはノータッチです。 正味のところ、私が関わりに向かったとて苦言を漏らすのが関の山ですし。 それよりも、保険掛けを今回は重視しようかな と。 私は一度マヘリアさんに接触しようと思います。 …といっても、数言適宜話したのち"お互いの心当たりに則ってヒルルクを探す"だけですが。 —議会の動き。 恐らく現状の彼らにとって接点として強いのは彼女であり、すなわち彼女との接触は議会にそのまま情報を手渡すリスクとなります。 …このリスクが事実存在するのであれば、逆手にとって攪乱といきましょう。 ちょうどそう遠くない過去に、ヒルルクさんが参加したマーマンとの水軍戦がありまして。 この現場に足を運んで、ブラフとして振るには悪くないでしょう。
…それと、ユークリアさん。一応お話ししておきますが。 Lv30クラスのヒーラーがワンパンで重体を食らうレベルの超火力持ちですので、対峙するのであればお気をつけて。
おーっす! ブレイブファング傭兵団のハヤト=ヴォルファングだ、よろしくな!! 珍しくヒルルクが落ち込むとはな。 俺はマーメイドにゃ関わってねーからわからねーけどよ、行先に心当たりがある面子もいるみてーだし、見つけたあとの問題で考えとくぜ!
ちなみに勉強会っぽい流れでもいけますよ >アレクさん 大丈夫です、素手で当たるので、多分ハンマーで殴られない、タブン……。 スキンシップですよ、ふふ……(震
僕もクラウディアさんと同じく、議会の動きは懸念材料だったから、そっちの対応に当たってくれるんなら有難いな。クラウディアさん、宜しくね。 正直なところ、泉は見つからないに越したことはないんだよね。ヒルルクさんを探すに当たって、彼女の残した痕跡は辿る中で出来る限り消していけたらな、とは思ってる。出来れば自分達の足跡も。 具体的にはまだ思いついてないんだけどね。何か良い案があれば提案して貰えると嬉しいな。
…問題は動員数なのですよね。 私一人がブラフで動く、というのはセットとしても印象が悪い。 できればもう何人かご同行いただけるとありがたいのですが… …自身の足跡を消す、というのであれば水路を渡るで概ね事足りると思います。 逆に彼女の痕跡を消すのであれば…いえ、この場合は『消す』という考えは不適当でしょう。 いっそ一帯を『痕跡で埋めつくす』のが妥当ではないかと。
ちょっと考えたのだが、今回は依頼主が匿名という事が引っかかる。 議会がヒルルクの捜索を冒険者に依頼したのであれば依頼主の素性を伏せるメリットが考えられない。 つまり、これは議会に動きを見張られているマヘリアが出したもので、我々が依頼を受けた段階では議会はまだ冒険者がヒルルクを探している状況に気づいてないんじゃないんだろうか。 何が言いたいかというと、我々がまだ議会に目を付けられていないのならその長所を生かすため慎重に動くべきじゃないかと思う。 全員で泉へ押しかけたりとか、目立つ行動を避けたりとかね。マヘリアに声を掛けるのは目立つ行為だろうが、他の場所へブラフに行くなら問題は薄いだろう。 >痕跡の偽装 ブラフで他の場所へ探索に行くなら、その辺りにヒルルクが通った痕跡を作ったりヒルルクが見つかった事にすれば都合がいいかもしれないね。 道すがら、時間稼ぎにヒルルクが通った跡を見つけ次第消して行こうと思っているが。
なるほど、ウォーターウォークで水の上を辿っていけば確かに自分達の分はバレないね。そういや前に泉へ行った時も使ったような記憶が。 じゃあ、泉へ向かう人達にウォーターウォークを付与出来るようにするよ。アイデアをありがと、クラウディアさん。 んん、出来ればクラウディアさんの言うブラフ行動、僕もやりたかったんだけど、ごめんね、今回はマーメイドのあの子にも個人的に用事があるから僕は難しそう。 ルチルさんの言う通り、依頼主がマヘリアさんっていうのは十分にあり得るね。 最終目的地は泉に設定したとして、いっそバラバラに動くのも手……? それこそ敢えて別の目的地を経由するとか。 ヒルルクさんが通った痕跡自体は看破とかで見つけられないかな、と思ってる。 別の痕跡を作り出すのも良いね。道すがら出来そうならやってみるよ。
バンビですわ。最速でビューと向かってしまう未来しか見えない。 あと、なにか議会を敵視している向きがありますが、程ぼ度にしておかないとお互いの関係が ぎくしゃくしてしまいそうで不安ですわ。
…今更ですが、本来であれば 『ヒルルクと合流後泉から離れる』ことも動きに組み込んだほうがよかったやもしれませんね。 泉で居座っていること自体、見つかればあまりいいことではない。 それこそ、…。
>バンビさん 敵視って程のことは考えてないけど、泉そのものは慎重に取り扱うに越したことはないかなって思ってるよ。 今までのことを考えると、どうしてもね。 >クラウディアさん ギリギリになっちゃったけど。一応早めに離れる旨は入れておいたよ。 マーメイドに危険が及ぶのは本意じゃないから。杞憂に終わればそれに越したことは無いんだけど。 今日出発だね。無事に事が進みますように。 現地でもよろしくね。
間が空いてすみません。 とりあえず勉強を薦めることと、道中に尾行などないか警戒するプレイングー出しました!