【人馬】泥にまみれたエーテル石

馬車猪

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シナリオID:1970

オープニング

 荒れ地を荷車が駆けている。
 舗装されていないので衝撃が酷く、御者は今にも吐きそうだ。
「幹部はどこにいるんだよっ」
「知るかっ」
 護衛が並走している。
 一般的には強者に分類される授恵者だが、多種多様な困難に挑む冒険者と比べれば心技体のどれかが酷く欠けている。
 つまりは捨て駒だ。
 失われても良い荷物を彼等に任せ、メドゥの指先の幹部達はそれぞれ望む場所へ立ち去っている。
「半分くらい消えてもお偉い幹部様は気付きゃしねぇだろ。街に戻った後は売りさば」
 言葉が不自然に途切れる。
 倒れて骨(頸骨)が折れる音が後ろから聞こえた。
「おい、前、前ぇっ!」
 御者が気付くが既に遅い。
 獲物(指先構成員)が逃げてもどれかは当たる矢の雨が、御者と護衛に降り注いでそれぞれに数本突き刺さる。
 荷馬車が横転する。
 小さな、しかし小規模に使うなら十分なエーテル石が荷台から地面へ零れた。
「畜生」
 ひづめの音が近付く。
 矢は深く突き刺さり引き抜く余裕もない。
『弱いな。例の『左腕』も部下はこんなものか』
 高速で走り寄ってきたケンタウロスが、胸甲ごと心臓を刺し貫き止めを刺していった。

●
(何が起きてるの?)
 帝国軍に属する斥候が困惑していた。
 南下を続けていた『新生派』のケンタウロスがいきなり180度近く方向転換したのだ。
 近付きすぎれば捕捉されて殺されるので、相棒(ペット)と協力してとにかく遠くから動きを探る。
(荷馬車?)
 上司から預かった地図を広げる。
 軍の部隊や遠征中の冒険者に物資を届けるための輸送隊はいくつか活動中だが、ケンタウロスが襲っている荷馬車はそのどれでもない。
(メドゥの指先かしら。急いで軍に……いえ冒険者に知らせないと)
 斥候は戦うことなど考えず、南へ走った。

●
「帝国軍からの依頼です」
 冒険者ギルド職員はそう言って、説明役である帝国軍斥候に視線を向けた。
「今回の依頼はメドゥの指先に対する妨害活動です」
 シューターである斥候は、相棒(ペット)の頭を無意識に撫でながら地図を広げて説明を開始した。
 メドゥの指先の一部が複数の荷馬車を走らせている。
 荷は高確率で『聖石』(エーテル石)。
「ビヒモーに牽かせた小型馬車1両に授恵者の護衛が6人という組み合わせで動いています」
 メドゥの指先が荷物(エーテル石)をどう扱うかは分からないが、一般社会に迷惑をかける形で使うことだけは確実だ。
「この輸送隊を襲い、エーテル石を回収してください」
 ケンタウロスが返還を求めて来ても従う必要はないし従ってはいけない。
 今の彼等には、『神石』(エーテル石)という特級の資源を守り切ることはできないのだから。

解説

●目的  メドゥの指先輸送隊の撃破 ●戦場  帝国東部にある平原。非常に寂れてはいますが元々は密輸に使われていた道があります  石畳などはないですが車輪の跡があり、そこで待っていれば密輸隊の方から近づいて来ます  戦闘開始は昼。小雨で微風。敵味方の距離は1キロメートル  冒険者が敵を見つけ、冒険者が敵に見つかっていない状態から戦闘開始です  また、戦闘が長引けば戦闘中か戦闘前に、戦闘が短時間で終われば戦闘後にケンタウロスの集団もやって来ます  強く戦闘回避を試みない限り、そのまま戦闘が始まります ●敵 ・メドゥの指先構成員  移動3の荷馬車(牽くのはビヒモー)を護衛している集団です  全員が授恵者でシーフ、ウォーリア、キャスターのどれかです  全員移動が4以上あるものの、軽装であるためかウォーリアとキャスターの戦闘力はレベルの割に低いです  御者を含めて総勢6名。レベル20前後 ・ケンタウロス  『新生派』に属するケンタウロス達です  これまでメドゥの指先輸送隊を何度か襲ったこともありますが、報復ではなく物資の略奪が目的でした  武器でも食料でもないことに気付いて落胆し、『神石』を放置して別の略奪相手を探しています  特異個体は部隊長のみですが、練度と装備に優れた好戦的部隊です  移動5、射程100メートル、総勢31名。退き撃ちが得意。防御は苦手 ●他  エーテル石は、マジカルポケット持ちが2人いれば全て収納可能です  他の運搬方法も可能です

マスターより

 敵は全員ぶっ殺してOKです

リプレイ

●
「これは……裏社会の気配!」
 種族的に小柄なハーフリングの中でも特にちんまりしたアルマ・ヴァレンタインが、荒野に車輪の跡をみつけてシリアス顔になる。
 なお、普通の裏社会の人間ならアルマ(高位授恵者)の気配に気付いた瞬間回れ右だ。
 彼女(アルマ)には並の毒は効かないし一般的基準で強力な暴力もまず効かないからだ。
「よく見つけるアルなー」
 牛・奶は先輩冒険者であるアルマの手際に感心している。
 そうしている間も周辺を警戒はしているし、エーテルリンクで繋がった狼(ペット)からの情報を受け取ってもいる。
「見つけ……2つ見つけたアル」
 緑毛の尻尾が緊張して動く。
「1つは轍(わだち)の方向、こっちに向かってる馬車1両」
 荷物が何かまでは分からないが、帝国崩壊前も密輸用の道だった場所を走るものが真っ当な所属と目的を持っている訳がない。
「もう1つは、ちょっと待つアル」
 狼(ペット)は速度(移動12相当)を出さずに地面に体を押しつけるようにして隠密移動中だ。
「人馬、30……31? 練度高そうアル。肉眼で確認可能な距離まで後……」
 冒険者。メドゥの指先。侵略思考の新生派ケンタウロス。
 利害の衝突する3者が昨日まで無人だった土地で衝突しようとしていた。

●
 メドゥの指先に属する御者が、強烈な痛みと共に血の臭いを感じた。
 頑丈なはずの胸甲に、着弾直後の震える矢が突き刺さっていた。
(帝国軍に泣き付かれたからね)
 サイラスは半ば以上隠れたまま次の矢をつがえる。
 エーテル石の確保を最優先するならまずビヒモーか御者を狙うべきだ。
 が、依頼主からの強い要望(ほぼ強制)があり、従っても危険度は変わらないなら仕方がない。
(推定ウォーリアにカバー能力はなさそう。食材を背負った食用魔獣だね)
 リザードマン授恵者の腕力でようやく引ける弓は強烈だ。
 守りの力に包まれた直後のキャスターに届いて腹を貫き反対側に抜ける。
 結構な格(レベル)のため気絶も即死もできず、賊のキャスターは血と涙を流しながら攻撃術を使おうとしてサイラスとの距離に気付いて絶望する。
「お覚悟ー!」
 発音は元気で品があるが足音が猛々しい。
 ユークリア・フィナンシェは大鉄槌と盾を構え竜皮の胸甲まで着込んでいるのに高速(移動4)だ。
 つまり、敵と地面にとっての脅威である。
「貴族崩れかぁ? させるかよっ」
 賊のウォーリアがナイフを手に待ち構えるがユークリアは進路を変えない。
 正確な狙いのナイフがユークリアに触れ、しかし青白い炎に包まれた鎧甲の上で滑って空振りする。
(アルマさんのブルーフレアいいですね、私も早く会得したいです)
 大鉄槌(ハンマー)の柄を握る手に力が入り、ユークリア用の特注品(ハンマー)が良い手応えを返す。
「反省しなさい!」
 しても運が悪ければあの世かもしれない。
 ヒーラーとは思えぬ恐るべき威力で、ハンマーが賊キャスターの胸にめり込みそのままくるくる回転させる。
「荷物は石ですか……。きっと臣民の涙ほどの価値のある石なのでしょう! 帝国の鉄槌の錆になるのはどこのどいつでしょうアルベルト侯爵様!」
 ビヒモーが繋がれたままの荷車を庇うように立って、ユークリアは侯爵家子息であり現役帝国騎士にいきなり話を振った。
「全員だ!」
 アルベルト=V=シュタールシュヴェーアトは大太刀を見事に振るう。
 大重量でしかも扱い易くない形であるのに、切っ先から柄に至るまできちんと制御ししかも超人的な力まで込めている。
 その上、範囲攻撃でもある。
 駆け出しウォーリアにとっては威力数割減と引き替えに振り回す光塊(闘気槌)も、アルベルトほどの使い手にとっては数パーセント低下するだけで直径15メートルを一気に攻撃する必殺技だ。
 恐怖で硬直するビヒモーを光塊がすりぬける。
 メドゥの指先構成員が光塊の中で痛みに悶え、地面に倒れていたキャスターに至っては即死した。
「そして俺はまだ侯爵じゃない!」
「そうなのです?」
 ユークリアは本心から驚いて、支援(輝刃3)はどうでしたかと珍しく大人しい態度で聞いた。
「助かった。本当だぞ? 敵が弱いからそう見えないかもしれないが」
 2人のやりとりは非常にのどかだ。
 が、間が抜けている訳では絶対にない。
 戦術の心得があるからこそ、最初から攻撃最優先(集中)でぶっ殺した方が確実と判断して実行しているだけなのだ。
「速度と距離は交換可能ですわね」
 バンビは地平線よりは近い位置で移動中のケンタウロス達を見ている。
 おそらくこちらの状況に気付いている。
「今回は本当に」
 注文が多い。
 人も物も金も足りない帝国軍が、ビヒモーと荷車の確保を本当に強く要求(実質懇願)している。
 だからバンビは空間爆砕(範囲攻撃)という最速手段(高いINIは自前)を使わず、威力は少し落ちる光弾の群れを使う。
 駆け出し授恵者も使うメテオライトだが、より洗練されている(メテオライト3な)上にバンビの素早さ(INI29!)と魔力があるので一方的に賊を叩く手段となる。
 光弾の着弾箇所は無残だ。まだ包囲はされていないのに賊達は絶望し、滅茶苦茶な突撃を開始した。

●
 ナイフを構えた賊シーフと賊ウォーリアが、息の合った連携で奶に迫る。
「甘く見られたアルね」
 奶は牛のハーフビーストである。
 得物も一般的には草刈りに使われる大鎌で、本人も細身で小柄で可愛らしい。
 輸送(逃走)中でなければ賊達が攫おうとしただろう外見だ。
(ケンタウロスさんの監視を引き続いてお願いするアル。だいじょうぶ。こっちはうまくやるアルね)
 エーテルリンクを介して言葉(意思)を伝え合う。
 盾を使うが間に合わず、竜皮の胸当てに傷が、奶の体に衝撃が届く。
「甘いアル!」
 奶は、90度方向を変えて大鎌( 長大な刃)を旋回させる。
 捜波で既に捕捉していた(本人は奇襲に成功したつもりだった)もう1人の賊シーフの腹が内臓を掠める深さまで切り裂かれる。
 刃は止まらず最初の2人に決して浅くない傷をつけた。
「敵に背中を見せちゃダメだよ」
 大きな剣が思い切り振り抜かれる。
 燃え上がるように激しく輝いたのは目の錯覚かエーテルの働きかは分からない。
 確かなのは、アステルの一撃が賊の命を絶ったということだ。
「ひどい、な」
 自然と口から出ていた。
 倒れた賊シーフの顔が歪んでいる。
 死による変化ではなく、生前どういう生き方をしてきたか顔に刻まれているのだ。
「どれだけ人を踏みつけにしてきたんだ」
「恵まれた生き方をした奴が言うことか!」
 賊ウォーリアが大振りのナイフを両手で構えて突進してくる。
 アステルはそれを正面から見て待ち受ける。
 1歩、2歩と近付くごとに、散々人を食い物にしてきた男の足取りが乱れていく。
「俺をその目で見るなぁっ」
「目?」
 アステルはいつも通りにしているだけだ。
 授恵者という特別な素質を持つとはいえ決して楽に生きてきた訳ではない。
 家族をはじめとする人の縁に恵まれはしたが、闇に墜ちず光の下で生きてきたのはアステル自身の選択であり努力の結果だ。
 錆びたナイフがアステルに迫る。
 手入れの悪さ同様にナイフの技も乱れ、アステルは鉄の盾で叩き落とすようにして刺突を防ぐことに成功する。
「畜生っ」
 雇われではない(メドゥの指先に属する)御者が、怯えたビヒモーも戦い続ける仲間(同類)も見捨てて逃げ出した。
 とっさに荷車に手を伸ばして1番良い石を掴んだのは、これまで染みついたもののおかげ(せい)だ。
「やれやれ、エーテル石とはな」
 平静な声が聞こえ視界が回転する。
 自身が首を狩られたことに、意識が消えるまで気づけなかった。
 ベルク・オスマットは黒い刀身の短剣を持ったまま、器用に片手で石をつかみ取る。
「メドゥの指先どもはずいぶんと豊かな知見と知識をお持ちのようだ。その知識で何に使うつもりなのやら」
 裏に流した際の買い取り価格を試算する。
 将来はどうなるかは分からないが、今売るなら常人の人生を買い取れる額になるかもしれない。
「エフレム卿なら何か知ってそうだが、まあ今は回収が優先だな」
 同じことを考える賊から護るため、ベルクは荷車とそこからこぼれた石を護る。
「もうこんなに」
 アステルはケンタウロスを警戒する。
 重めの装備を選択したアステルと速度はほとんど変わらない。
 数の差があっても真っ向からぶつかれば勝てはするが、集団退き撃ちされると面倒だ。
「先ず荷馬車を壊しておくのが良いんだけどね」
 アステルは苦笑いして、恥も外聞もなく逃げていく賊の背中に刃を向ける。
 若々しい力に満ちた衝撃波が、賊の背中から胸に抜けて戦闘能力を奪うのだった。

●
「接敵まではもたないかなー」
 青白い炎の主であるアルマはぼやいている。
 近づいて来る人馬部隊は殺る気で来る。
「マジカルポケットは荷造りしてからじゃないと使えないんだよねー」
 小さな肩を落とし、賊に手荒く扱われて怪我をしたビヒモーとついでにかすり傷を負った冒険者を癒やす。
「この幌じゃ壁にするだけ無駄か」
 サイラスは飛んでくる矢を見て決断する。
「よいしょ」
 言葉は軽いが動いた重量は凄まじい。
 積み荷が半分以上乗ったままの荷車を壊さずに横倒しにして、ビヒモー(高価な家畜)の守りにする。
 サイラス本人には矢が当たる。
 成り立てのシューターに匹敵する精度(命中)と威力(物理攻撃)だが、紅いソードブレイカー二本を融合させた様な大楯には傷らしい傷はつかず体に届いた衝撃もほんの少しだ。
「良い弓を使わないからこうなる」
 装飾を凝りに凝った弓(竜花琴)を引き矢を放つ。
 馬の部分にも鎧を着た非特異個体人馬が、右の脇から左の脇まで貫通されて前のめりに倒れる。
 後ろを走っていた人馬達は踏まずに回避はしたが、あまりの威力に衝撃を受けていた。
「んー」
 アルマは喜べばいいのか頭を抱えればいいのか分からなくなる。
「逃がす? いやどうだろー」
 邪竜素材と竜石で作られた複合弓を危なげないどころか体の一部であるかのように扱う。
 放った矢の鏃には呪文が刻印済で、アルマの強大な魔力により恐るべき威力を秘めている。
「休戦条約も戦場での約束事の合意もないからねー」
 射程は長弓、広範囲に炸裂する威力はキャスター並。
 まとめて数騎に傷を負わされた人馬部隊が、攻撃より距離を優先するようになった。
「ばらばらに逃げられたら実質負けですわね」
 そんなことを言うバンビの足はそれほど速くはない。
 長距離走(追いかけっこ)をすれば部隊として動く人馬にも負けてしまう速度だ。
 ただし、思考の速度と深さと心身の瞬発力では圧勝だ。
『いつの間に』
「オレは常にハイスピードなのですわ(先制して行動を遅らせ移動した後また先制しただけだ)。積み荷に石ころしかないのに襲うつもり? まあ、護衛の食糧くらいはあるでしょうからそれを差し上げることは可能ですわ」
『頭も下げずに言う言葉などっ』
(うなずけばWINWINでしたのに)
 バンビはあえて魔力を強化せず、空間に波紋を走らせ直径約25メールの巨大複合衝撃波で人馬部隊全体を攻撃する。
『どうしてこんな精鋭がっ』
「話を聞く気にはなったようですわね」
 野蛮なこと、と聞こえないようにつぶやいていた。
「援護する!」
 重装甲重武装のアルベルトが思い切り走り(チャージングを使い)バンビを追い越し壁になる。
 10近い矢が盾と鎧に当たり、しかし特異個体が1体しかいない矢の雨ではアルベルトを倒すことなど不可能だ。
「指揮官はどいつだ?」
 衝撃波を飛ばすことはできるが射程では負けている。
 アルベルトは白兵戦での優位で脅しつつ後衛を守ることを優先していた。
「さすが侯爵様!」
 直前に言われたことを忘れているのでも馬鹿にしているのでもなく単にテンションが上がっているだけだ。
「鎚と金床ですね!」
 見た目も中身もたおやかな(体育会系でもある)ユークリアが豪快にハンマーを一閃。
 アルベルトを狙おうと近付きすぎた人馬に、凶悪な衝撃波を浴びせ戦闘能力を奪った。
(そういう戦術だったか?)
 帝国騎士(侯爵の子息)は、とりあえず真顔でうなずくことにした。
『右にっ』
「命令発生源確認。行くよっ!!」
 アステルが人馬部隊の指揮官を見つけて突撃する。
 速度で人馬に負けていてもアステルには仲間との連携がある。
 矢の支援を受け、アルベルト達帝国陣が注意を引きつけた上での突撃は、人馬の指揮官(特異個体)に迫ることを成功させる。
『おのれっ』
 後退する。
 急な動きに部下が追随しきれない。
 指揮が乱れた人馬部隊へ、高速(移動6)のベルクが突入する。
「数は多いし練度もなかなかだが、所詮捲土重来も計れん駄馬の群れか」
 言葉が通じなくても蔑視していることは伝わった。
 一部が指揮官の命令に従わず、後退ではなくベルクへの射撃を優先してしまう。
(あの人馬がこの程度か)
 体格の良い人馬の弓を狙うのは大変でも、当てるだけなら簡単だ。
 短剣とは思えぬ重い一撃が人馬の体を抉る。
 ようやく少し冷静になり、ベルクを包囲し一斉射撃で仕留めようとした。
(我が強くなったのか人馬が落ちたのか)
 ベルクは跳躍し、人馬の包囲の外側に着地すると同時に再び攻め始めた。
「息を合わせて行くよっ!」
 アステルが果敢に攻める。
 手の届かない場所から矢が飛んでくるのはかなり苦しいが、仲間を信じて前へ進む。
 すらりとした(折りやすそうな)脚を狙われた特異個体が激高し、矢をエーテルに込めて打ちだした。
「性格悪いアルね!」
 狙われたのは奶。
 そして最も苛烈に反撃したのも奶だ。
 刺客から狼に飛び掛かられてバランスを崩した特異個体に限界まで力を込めた大鎌を振り下ろす。
 上半身の腹から下半身の脇まで伸びた傷から多くの血が流れる。
 人馬が降伏を申し出たのは、それからすぐのことだった。

●
「エーテル石は渡さぬ」
 ベルクは返還要求を突っぱねた。
 新生派は故郷を取り戻す気概も気骨もない軟弱な意気地なしの群れでしかない、という本音を口にしないだけ甘い対応だ。
「来ましたわね」
 バンビは新たな人馬を出迎えた。
 長老派に属する特異個体2体が顔を引き攣らせる。派閥が違うとはいえ名の知れた人馬があっさりやられるとは予想外だった。
「殺すか引き取るか。どちらかですわ」
 新生派とだけ交渉するなら殺すか時間をかけて殺すかしか選べなくなる。
 だから、奶に頼んで狼に走ってもらってたまたま呼び寄せたのは幸運だ。
「落としどころは帝国軍と一緒に探してもらうということで」
 殺すのは手段であって目的ではない。
 だから、とりあえず意思疎通する気がある長老派に対して恩を売るのだ。
『分かった。要求を飲む。だが治療に協力してくれ。このままでは死体を持ち帰ることになる』
「オーラでいいのー?」
 アルマが問うてバンビと人馬がうなずく。
(他方面が片付くまで時間稼ぎして、その後は出方次第で対応。俺ってばゴネシェーターもといネゴシェーターっぽいですわね)
 ちょっと得意げなバンビであった。
「ここはこれで全部」
 マジカルポケットへの収納は済んだ。
「このひとたち同じようなことしてないかなー?」
 形式としては問いかけでも実質は確認兼協力の強要だ。
(斥候さんが確認した場所には石が放置されてると思うんだよねー)
 アルマの予想は大当たりで、全員のマジカルポケットだけでは足りず修理した荷車にエーテル石を満載して帰還することになる。

マスターコメント

 おめでとうございます!
ショートシナリオ

ショートシナリオ普通 報酬:標準8 / 4〜8人

2022年03月13日 23時38分14秒 公開

成功

相談掲示板

  1. No.1

    ウォーリアのアステルです。 宜しくお願いしますね! まだ出発人数にも達してないけど、相談、始めておいても良いかな?と。 敵の数が多いのが厄介だね。 出来るなら新生派がメドゥを襲って、双方疲弊した所で戦闘始めたいけど… 無理っぽいかな…? 戦闘前に新生派が現れる事もあるみたいだから、 必ずしも無理って訳でも無いかとも思うけど… OP的にも、”メドゥの荷馬車を新生派が襲おうとしている” と、あるから両方居るのはPC情報だよ…ね??? あとは…総数の多い新生派が厄介かな。 退き撃ちが得意。防御は苦手。 誘うより、遠距離で援護して貰いながら、一気に接近した方が良さ気かな? 範囲攻撃とか、役立つかな。 部隊長を先に片付けて、隊の連携とか崩すのがセオリー?

  2. アルマ・ヴァレンタイン

    あと一日半だけど人数そろったねー ヒーラーのアルマだよ、どーぞよろしくねー 待っていれば密輸隊のほうから近づいてくるっていうし その前後?にケンタウロスの集団もやってくるから出方待ちでもよさそうー? 戦闘は回復のほかにブルーフレアで支援と 引き撃ちに応戦できるよう魔弓と射程が伸びる範囲攻撃も準備していこうかなと

  3. No.3

    サイラスだ,よろしくなー とりあえずエーテル石回収の為にマジカルポケット用意、あと1人いれば全回収できるか? 武器は弓でとりあえず荷馬車側のキャスター潰そうかと。 来るタイミングが分からんからシューターのペットで索敵とか何か無いとケンタウロスは分からんや いるなら調べてもらってタイミング測るのもできるだろうけど

  4. アルマ・ヴァレンタイン

    あと一日切ったねー ボクもマジカルポケット準備していくね 来るタイミングはー…平原で見通しも良さそうだからもう1枠に超視覚か 31名の団体さまなら地響きもすごそうだから超聴覚でも付けていこうかなと

  5. アルベルト・V・シュタールシュヴェーアト

    ウォーリアのアルベルト=V=シュタールシュヴェーアトだ。 よろしくな。 ギリギリの参戦になってしまって申し訳ない。 メドゥの指先の構成員を速攻で倒して、新生派のケンタウロスを十分な体制で迎撃できればベストだな。

  6. ユークリア・フィナンシェ

    ヒーラーのユークリアです、宜しくお願いします。 同じくギリギリの賛成になります、すみません。

  7. ベルク・オスマット

    シーフのベルクだ、よろしく頼む。 ギリギリの参戦で申し訳ない。

  8. ユークリア・フィナンシェ

    賛成じゃなくて参加でした。 ん、まずは待ってから、メドゥの人たちとケンタウロスの人をぶつけてその後に馬車の積み荷を回収する……という提案が続いていたのですね。 とりあえず漁夫の利作戦を推した内容にしつつ、足並み揃えて行動するようにしておきますね。

  9. バンビ

    すっかり遅参してしまい申し訳ありません。 では、彼らがドンパチ始めたら頃合いを見て空間爆砕などで薙ぎ払うことにいたしましょう。

  10. 牛・奶

    挨拶がギリギリになっちゃってごめんなさいアル。 シューターの牛奶アル。皆さんよろしくアル。 作戦は漁夫の利で良いアルか? もし開幕戦闘になった場合でも、エーテルリンクや捜波でケンタウロスさんの対策は用意しておくアルね。

  11. バンビ

    今から言うのもなんですが、漁夫の利を狙うにはタイミング合わなくありませんか?

アーカイブ生成日時 2026年08月05日 14時56分25秒 ・ world0