連携する異形のクリーパー達を討て
望月誠司
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シナリオID:1943
オープニング
「こっちだ化け物!」
柔皮鎧に身を包んだ長い赤髪の少女剣士が裂帛の気合と共に、青く輝く大太刀を振り上げ、荒野の赤土を蹴って踏み込んだ。
蒼雷の如き刃光が上から下へと走り、赤光の膜に覆われた黒色の鰐頭へと炸裂する。
鉄をも斬り裂く必殺の刃は、しかし鰐の鱗に僅かに傷を残したのみだった。
しかもその僅かな傷すらもみるみるうちに塞がってゆく。
(なんて硬さと回復力――ッ?!)
歯噛みする少女剣士の側面より握り拳程のサイズの黒い球体が唸りをあげて飛来した。
反応できず、脇腹に直撃を受け、剣士の身が勢い良く吹き飛び荒野に転がる。
少女の側面、少し離れた位置に、黒色のムカデの胴体を持ち、ムカデの頭部の位置より黒い猿の上半身を生やしたクリーパーが右腕を振り抜いた姿勢で佇んでいた。
ムカデ猿の周囲に複数の人間が倒れている。仲間の冒険者達だったが、皆、倒されてしまっていた。
激しく咳き込みながら顔を上げた剣士の眼前に、漆黒の毛並みを持つ虎の体躯より鰐の頭部を生やしたクリーパーが大口をあげて迫って来ていた。
「む、無念……っ!」
赤い光を纏った鋭い牙が並ぶ鰐の口が閉じられた。
ボキボキバリバリと骨が砕ける音が鳴り響き、少女だったものが虎身鰐頭クリーパーの胃袋の中へと消えていった。
●という夢を見た
「っていうのが預言の魔女さんが見た予知夢なんだってさ!」
黒いゴシックドレスに矮躯ながらも豊満な身を包んでいる金銀妖瞳のエルフ娘が、絹糸のようなプラチナブロンドの前髪を指先でクリンクリンと回しながら、夢の内容を解説した。
まるで彼女本人が予知夢を見てきたのではないかというくらいに臨場感あふれる語り口だったが、あくまでオペラからの伝聞であるらしい。
随分とパンクな恰好をしている彼女の名はリリエル。リブラネスタ冒険者ギルドの受付職員である。
「クリーパー達が村を襲撃しようと向かってる途中、通りがかった冒険者パーティーが、それを察して討伐しようとするんだけど、返り討ちにされちゃうらしいんだ」
その冒険者達は別の街のギルドからの一刻を争う伝令の途中でもあるらしく、ここで死なれたり手紙の配達が遅れると多くの人命に影響が出てしまうらしい。
無論、クリーパーを放置すると村がまた一つ壊滅させられてしまうのでこれを放置する訳にもいかない。
「だから、皆には先回りしてこの二体のクリーパーの討伐をお願いしたいんだ」
今から急いで現場へと向かえば、赤髪の少女剣士達よりも早くにクリーパー達のもとまでたどり着ける見込みだそうだ。
「それで、この妙ちくりんな不気味な外見のクリーパー達なんだけど……まともにぶつかっちゃうとすっごい凶悪なレベルの強敵みたい。普通、クリーパーってあんまり連携しないものだけれど、この二体は良く連携するみたいなんだ。形は違うけど色は同じだし、もしかしたらこの二体の間には何か繋がりがあるのかもしれないね」
オペラから貰ったというクリーパーの情報について説明しつつゴシック娘が言う。
「でも、突ける穴はありそうだし、皆なら上手い具合に倒せないかな? 報酬は良い額だして貰えるよう上にかけあってみるからさ、倒せそうだったら世の為人の為、退治してあげて欲しいの……お願い!」
エルフ娘はウルウルとした瞳で指を組み、上目遣いに貴方を見つめたのだった。
解説
マスターより
リプレイ
乾いた風が吹く茶けた荒野に黒い異貌の二体が蠢いていた。
クリーパーというのは普通、あまり連携しないものだったが、この二体は互いに良く連携するのだという。
「二体で元は一つのクリーパーだった、とかはありそうですよね……」
イヴェール・イリュジオンが無表情のままそんな所感を洩らした。
「まぁ最後は両方とも斬るので、実際がどうなのかは興味ないのですが」
一方、ゴルバルティアは盛大に眉間に皺を寄せつつ青い瞳に嫌悪の色を浮かべていた。
「うげぇ……なんかもう、見てるだけで鳥肌が立ちそうな見た目だな……」
ゴルバルティアはその大柄な外見通り力は強かったものの、実は気が弱かった。戦闘なんかは大嫌いである。終始びくついているのである。
「出来れば近づきたくもないが……やるしかねぇな」
「ええ、じきにあの赤髪の冒険者がいる一行も来るでしょう。彼らが何もなかったように、ここを通れるよう頑張りましょう」
予知夢に語られていた少女達の事を述べつつロゼットが頷く。
彼女等六人の冒険者達はこの黒い異貌のクリーパー達を退治する為にここに来ていた。件の冒険者達が来る前に仕留めなければならない。
「厄介な能力持ちの厳しい相手だけれど……私達は予知夢で能力を知っているわ、やれる筈よ」
「ええ、私が居れば問題ありません」
白を基調としたドレスとアーマーにその豊満な肢体を包んだピンク髪の少女が気勢を発した。
華麗なるローザハーレ、穢れ無き華リリリリスである。
「こんなクエストは華麗に優雅に華憐に達成して差し上げますわ!!」
「頼りにさせていただきますね」
シルク・メイプルリーフが微笑し、祈りを捧げる仕草をした。
「きっと神もお力を貸してくださる事でしょう」
言葉と共にエーテルが解き放たれ、六人の身から桃色のオーラが立ち昇り始める。
豊穣神? の呼び声だ。ブルーフレアと同種の力がある。
「では、行こう」
セリオス・オーガストが言って、六人の冒険者達は走り出した。
先頭を切って飛び出したのはイヴェールだ。
エーテルを解放し瞬間的に加速し、宝剣と盾を構え、艶やかに長い銀色の髪を靡かせ、荒野を矢の如くに駆けてゆく。
他の五名は足並みを揃えてその後に続いた。ゴルバルティアは快速だったので、その気になれば先行できたが、仲間達と速度を合わせて固まって駆けている。
先頭をゆくイヴェールが70m程荒野を駆け、クリーパー達との距離が35m程まで接近した時、黒猿蟲が動いた。
黒いムカデの胴体から生える猿の上半身、その右腕が大きく振りかぶられた。手の平に拳サイズの黒い球体が出現する。
黒い猿は赤い双眸で駆け迫り来る銀髪少女を睨むと長い腕を一閃。黒球が爆風を巻きながら飛び出した。
イヴェール、意識を防御に集中させている戦士は、唸りをあげて迫る黒球に対し素早く竜鱗の盾を翳す。
射角に対し斜めに、角度をつけて、盾の装甲をより活かすように構える。
次の刹那、激突。轟音と共に衝撃が荒れ狂い銀髪少女の身が浮き上がった。大きく後方へと吹き飛ばされてゆく。が、イヴェール、装甲が非常に厚い。豊穣神? の加護を受けさらに防御力が増している。少女は体内に伝わる衝撃を抑え、身を捌いて足から着地した。具足の底が荒野の土を削って砂煙をあげてゆく。
一方、漆黒の虎の体躯に鰐の頭部を持つクリーパーは猿百足の付近で待機している。
イヴェール、精神を攻撃に集中させ、再度エーテルを解放して地を蹴り北西方向へと駆ける。さらにエーテルを解き放ち眩い光を全身に纏い、北東方向へと方向を転じながら猛加速した。ドラゴンチャリオッツ改だ。
輝く流星の如く猛進した銀髪少女は、黒虎大鰐へと迫ると、左手に構えた光の竜鱗盾を旋回させるように繰り出した。
黒虎大鰐の身に赤光の膜が展開。光輝く盾と激突。その破壊力の大半を減衰させ、しかし殺し切れぬ衝撃が黒虎大鰐の身を浮き上がらせた。投石機から発射される石弾の如く、黒虎大鰐の3mにも及ぶ漆黒の巨体が弾き飛ばされ、およそ45m程も吹き飛んでゆく。
その様を見たゴルバルティアもドラゴンチャリオッツを仕掛けたかったが、少し届かないのと、先にイヴェールが黒球を受けていた為、連続して狙われぬように、イヴェールと黒猿蟲との間へと駆け込んでゆく。
ロゼットは走る方向を北東へと転じ、黒虎大鰐へと接近し、黒猿蟲との間に立つ。が、黒虎大鰐からおよそ15m強の間合いを離して停止した。
セリオスもまた荒野を駆け、黒虎大鰐と黒猿蟲との中間地点へと駆け込む。
シルクは黒猿蟲へと向かい駆けるとエーテルを全開に解き放った。
「らぶぱわー斬でいきます、シスターウェイブ!!」
ブロンドの女聖職者の豊かな胸から暖かく柔らかなエーテル光が解き放たれ、黒猿蟲を包み込んでゆく。
黒い異貌生物は光を振り払わんと抵抗、難易度の高い術だったが、シルクの基礎的な付与力が極まって高い。そして黒猿蟲は呪力の類に対する抵抗の力が弱かった。光を振り払う事が出来ず、その身に纏わりつかれてゆく。
リリリリスは精神を防御に集中しつつ吹き飛んだ黒虎大鰐を追い、その眼前へと肉薄した。
他方、黒猿蟲は右手に黒い球体を生み出すとゴルバルティアへと向かい至近距離から投擲する。
銀髪巨躯のハーフビーストはエーテルを全開に解放、咄嗟にその軌道を見切ると横っ飛びに飛び退いた。
黒い球体がゴルバルティアの脇を掠めて後方へと貫き抜けてゆく。黒猿蟲の黒球の精度は高かったが、シルクからの豊穣神? の加護により回避能力が上昇しているゴルバルティアは紙一重でかわした。
漆黒の毛並みを持つ虎の胴体より巨大な鰐の頭部を持つクリーパーがリリリリスを赤い瞳で睨む。
鋭い爪を持つその前腕を振り上げ、赤い光を立ち昇らせると、奇声をあげ跳躍するようにして踏み込み、赤光の爪を振り下ろす。
空を切り裂き唸りをあげて赤い光が竜巻の如く走り、白を基調としたドレス鎧に豊満な身を包む少女へと迫る。
リリリリスは怯まず橙色の瞳で睨み返し、美麗な装飾がなされた白銀の盾を敢然と翳した。
中央の鉱石が眩い光を放つ。白銀の盾全体が純白の光に包まれ輝いてゆく。ダイヤモンドシールドだ。
赤い光と白い光とが激突、激しく明滅しながら光の粒子を撒き散らし、轟音と共に凄まじい衝撃を巻き起こした。
「なかなかいい攻撃ですわね!」
凶悪に突き抜けて来る衝撃に身を貫かれながらも気品、清楚、華憐なる貴族少女は笑う。
黒虎大鰐の魔法攻撃力は極まって高かったが、ダイヤモンドシールドを展開しシルクからの加護を受け、意識を防御に集中しているリリリリスの魔法防御力も非常に高いものだった。
その凶悪無比の攻撃を受けても一撃では倒れずにまだ立っている。
他方、シルクが黒猿蟲へと纏わせたエーテル光が蠢いた。黒い百足と猿の身が苦悶するように身じろぎし、その動きが止まってゆく。窒息だ。
ゴルバルティアの全身が燃えあがるように眩く光輝いた。
東へと大きく飛び退き間合いを広げていたセンザンコウのハーフビーストは、背から盾を取り出し左手に構え、西の方向へと爆発的に飛び出した。
輝く彗星の如く黒い巨体へと迫ると、身体ごとぶつかるように光の盾を前方へと突き出す。
光が黒猿蟲の身に激突、壮絶な衝撃が巻き起こって、その3mを超える巨体が宙を舞い吹き飛んでゆく。ドラゴンチャリオッツだ。30m程西へと吹き飛ばした。
セリオス、猫科の斑模様の丸みを帯びた耳と尻尾を持ったハーフビーストの青年が、竜の骨腱で作られた強力な複合弓を月が満ちる如くに引き絞っていた。
番えられた矢には命を強烈に蝕むエーテルが収束されている。インベイシブアローだ。
ゴルバルティアが攻撃された事によって静かに殺意を増している半獣人の青年は、銀色の瞳で吹き飛んだ黒猿蟲を睨むと鋭く矢を撃ち放った。
弦音を荒野に響かせながら矢が勢い良く解き放たれ、旋転しながら猿の腹へと凶悪に突き刺さる。命蝕のエーテルが浸透してゆく。
「長引かせて良いことはないわ。一気に倒しましょう!」
ロゼット、艶やかなブロンドをポニーテールにしている女神官は、長い髪を躍らせつつ踏み込み、ダマスカス鋼の祭棍を振り上げた。
エーテルを全開に解放、祭棍を眩く光輝かせながら悪を裁くと謳われる痛烈な一撃を振り下ろす。ホーリーパニッシャーだ。
飛躍的に破壊力と精度が増大された光の一閃が黒虎大鰐の身に炸裂し、その身から展開された赤光の膜と激突して、轟音と共に激しく光粒子を撒き散らしてゆく。
黒虎大鰐の防御は非常に強固だったが、物魔の一撃は減衰されつつもその強烈な衝撃を内部へと通した。
シルク、173cmの長身に豊満な起伏を持つシスターは、再びエーテルを全開に解き放ち、その胸よりエーテル光を黒猿蟲へと放出した。
二発目となるシスターウェイブが黒い這者へとさらに絡みついてゆく。
「たのしいですわね!」
リリリリス、美しく繊細で堅固な戦ドレス姿の少女は木製の大剣――資産難な没落貴族なので武器まではお金まわらなかったのだろうか? と見る者に思わせる――を振り上げ、その琥珀色の刀身にエーテルを練り上げ纏わせると猛然と振り下ろした。破鎧砕だ。
唸りをあげて激突した木剣は、しかし黒虎大鰐の身より展開された赤光の膜に弾き飛ばされた。素でも高い物理防御が赤光により飛躍的に強化され手がつけられない頑強さになっている。蝕まんとまとわりついたエーテルもまた即座に吹き散らされた。黒虎大鰐は抵抗も極まって高い。
一撃を防いだ黒い巨体から反撃の赤い一閃がリリリリスへと向かって繰り出される。
桃色髪の少女は眩い光に包まれた白銀の盾を翳す。
本日二度目、凶悪無比を誇る赤光の爪が光の盾に激突、壮絶な衝撃が再び巻き起こりリリリリスの身を貫いた。
ドレス鎧姿の少女の意識が薄く掠れてゆき、大きく吹き飛んで荒野に転がった。昏倒した。その可憐なかんばせには笑みが浮かべられている。無自覚ドMである。
イヴェールが東へと駆けてゆく。45m吹き飛ばしたのでチャージで一息に詰めるにはちょっと遠い。改は吹っ飛ばし距離が長い。
黒猿蟲はシルクのシスターウェイブによって行動不能に陥っている。黒猿蟲の能力によって生命力が大きく回復してゆく。それと同時にセリオスのインベイシブのエーテルによってその身が蝕まれてゆく。
ゴルバルティア、銀髪の長躯の女は盾を背中に納めると爆発的に加速した。身動きが満足にとれない状態の黒猿蟲へと肉薄すると短剣を一閃。鋭いダマスカスの刃が黒い皮膚を裂いて赤い体液を噴出させる。黒猿蟲、黒虎大鰐からの支援を受けていない場合、その防御力は低い。
さらにセリオス、複合弓に矢を番えると目一杯に引き絞り、狙いをつけ撃ち放った。解放されるエーテルと共に矢が爆発的に飛び出し、旋転しながら唸りをあげて黒猿蟲の身へと突き刺さった。錐の如く回転して骨肉を抉りながら深々と突き刺さってゆく。
ロゼット、祭棍を蒼い光で包み込み猛然と黒虎大鰐へ振り下ろした。魔法攻撃。蒼魔の一閃が展開された赤光を突き破って打撃を与える。物理に非常に強固な黒虎大鰐だったが、魔法攻撃には弱かった。
それから女神官戦士は素早く身をひるがえすと西へと後退、距離を取った。
シルクは東へと駆けると己自身と左右の手に携えたトンファーそして恵体に纏う絹衣よりエーテルを引き出し、増幅すると、効率的にエーテルを変換して強い光に転じ撃ち放った。
暖かい光が倒れているリリリリスへと降り注ぎその傷が癒され生命力が回復してゆく。
黒虎大鰐は射程に健在な敵がいなくなったので黒猿蟲と合流すべく西進する。が、進路上にロゼットとイヴェールが立ち塞がり、剣と棍を振るい牽制、黒虎大鰐がその眼前で停止する。
それを見たイヴェールは意識を攻撃に集中させつつ瞬間的に加速、黒虎大鰐の側面へと宝剣を脇へと構えながら回り込んだ。
「物理に強いなら魔法を……すると思いますか? 私が」
イリュジオン・メモワールが燃え上るように眩く純白に輝き、その刀身から白い無数の幻想の華弁が竜巻のように逆巻いた。
一閃。
横腹を狙い三日月を描くように薙ぎ払われた白光が、防御に展開された赤光と頑強な黒い毛皮を鮮やかに斬り裂いて抜けた。戦士の一断、防御を半ば無視する。凶悪な破壊力だ。
黒猿蟲は必死に抵抗しているがシルクのシスターウェイブのエーテルを振り払えない。AOEヒールで傷が回復し、セリオスのインベイシブで蝕まれてゆく。
ゴルバルティアが再度短剣を一閃して斬り裂き、セリオスが鋭射で錐の如く矢を撃ち込む。
ロゼットが蒼光の棍を振るって赤光纏う黒虎大鰐の身へと魔法攻撃を叩き込み打撃を与える。
イヴェールもまた宝剣に白光をまとわせ黒虎大鰐へと一閃するがこちらは弾かれた。物理には凄まじく固い。衝撃が満足に通らない。
二人は一撃を振るった後、それぞれ金と銀の髪を靡かせつつ西へと急ぎ後退する。
シルクは引き続きリリリリスへとヒールを放ちその身を癒し痛みを和らげてゆく。
リリリリスが橙色の瞳をぱちりと開いた。
黒猿蟲がシスターウェイブのエーテルを振り払った。ヒールで回復しインベイシブで蝕まれてゆく。
ゴルバルティア、自由を取り戻した黒猿蟲に対し威圧感を発揮しつつ尻尾を地面に叩きつけ、顎を開いて咆吼する。
クリーパーの注意を惹きつけんとしつつ意識を防御に集中しつつも短剣を一閃、再度その黒い百足の胴体を斬り裂き鮮血を噴出させてゆく。さらにセリオスの矢が唸りをあげて飛来し、深々と黒猿蟲の身を穿った。
黒虎大鰐に対しロゼットが蒼光の祭棍を一閃し、イヴェールが白光の宝剣を振り下ろし、立ち上がったリリリリスが荒野の土に塗れたドレスの裾を靡かせつつ爆発的に加速してその後背へと迫る。突撃の勢いを乗せ大剣の切っ先を突き込んだ。
黒虎大鰐は、赤い光を展開して纏い三者からの包囲攻撃に対抗、しかし大鰐は頑強無比ではあったが生命力自体は低かった。
黒猿蟲と分断されそのヒールの支援を受けられなかった大鰐の生命力はついに尽き、三人の女達からの包囲下三連撃を受けて荒野に沈んだ。
シルクは引き続きリリリリリスへとヒールを放って負傷を回復させてゆく。
黒猿蟲は腕に黒光を出現させるとゴルバルティアへと目にも止まらぬ速度で投擲、しかし豊穣神? の加護を受けている銀髪の女はエーテルを全開に解放、その軌道を見切ると体を半身に捌き、すり抜けるように鮮やかに回避した。極めて速い。防御に集中されるととてもあたらない。
黒猿蟲のヒールが打ち止めとなって停止し、セリオスのインベイシブは引き続きその身を蝕んでゆく。
「ふふふ、黒虎大鰐も黒猿蟲も、どちらも至高の皿の素材にはよさそうですわね!」
リリリリスが笑顔で漆黒色の百足の体躯に猿の上半身を生やした異貌の化け物へと剣と盾を構えて突進してゆく。
お腹が空いてきた為だ。
そういえば、そろそろ四日程なにも食べられていなかったのだ。
六人の冒険者達が黒猿蟲へと総攻撃を仕掛けてゆく。
黒猿蟲は奇声を発し必死に対抗したが、ゴルバルティアへと攻撃をあてる事はできず。
やがてイヴェールの剣によって両手を斬られて攻撃手段も封じられ、その豊富な生命力も削りきられて、荒野へと斃れていったのだった。
●
戦後、負傷の手当てなどをした後、リリリリスは黒猿蟲と黒虎大鰐の■■を切り取り、ランタン油でソテーした。
なおゴブリナ草をミールしたモノを振りかけ香水で風味づけを加えたものである。とても香り高い料理なのである。
香水……香水? 料理に?? という疑問がわくのだが、そういった調理法も世にはもしかしたら普通にあるのかもしれない。この香水は『香りの強い植物から蒸留した精油』だから、あるいはワンチャン普通に食べられるのかもしれない。ただちに人体に悪影響はないのかもしんない。
「さぁ、お待ち兼ねの実食タイムですわ!」
リリリリスはどっちも食うつもりである。どっちもだ。
「さぁ、イリュジオン様も是非! リリリリス☆スペシャリテですわ! さぁ!!」
\あーーーん!/
とキラキラしたとても良い笑顔で見せられないよ! な皿に乗っている料理をピンク髪の少女が銀髪少女の口元へと押しやっている。
「――さあ、一緒に新しい味の境地を」
リリリリス、とても期待に満ち満ちた表情である。
イヴェールは金色の瞳で貴族少女を見つめるとその料理を――
●
彼女達は多くの人々の人命を左右するギルドからの依頼を請け負い別の街のギルドへと向かって急いでいた。
その旅路の途中の荒野にて、巨大なクリーパーの骸が転がっていた。既に解体されている。激しい戦いがあったのだろう、大地に残された血痕や抉れなどがそれを推察させた。
周囲に六人ばかり人がいたので挨拶がてら声をかけると神官らしき金髪の女性が微笑して言った。
「私たちは大丈夫、急ぎなのでしょう? 無事を祈っているわ」
「有難う。しかし……本当に大丈夫なのか?」
彼女はちらりとロゼットの背後に広がっている地獄のような光景へと視線を向けたが、
「私たちは大丈夫、急ぎなのでしょう? 無事を祈っているわ」
ブロンドの女神官は笑顔のまま繰り返した。
「……そうか、わかった。確かに急ぎなんだ。有難う。貴方達にも神々のご加護があらん事を!」
彼女達はそうして互いの無事を祈る挨拶をかわすとその場を後にした。
●
冬の蒼く澄んだ空だ。
遠く空の高い所を白い雲が彼方へと流れてゆく。
「もしかしたら私たちも、いつかどこかでの危機をこうやって、気づかないままに助けられてたりするのかもしれないわね」
ロゼットは空を見上げフッとそんな感慨を呟くと帰路についた。背後は振り返らなかった。未来への道は前に続いているのだから。
かくて、六人の冒険者達の活躍によって予言された連携するクリーパー達は撃破され、本来死する運命にあった赤髪の冒険者一行は生存して使命を全うし、彼女達の働きによって多くの人々が救われた。
なお美食への探求と好奇心、常に最高の味の頂を目指して創意工夫が絶えない
りりりりすすぺしゃりては、料理成功度判定に大幅なマイナス補正がついていた事を補記しておく。
マスターコメント
ミドルシナリオ難しい 報酬:多い6 / 6〜10人
2022年03月05日 06時41分09秒 公開
参加者
イヴェール・アーチボルト
- メイプルリーフ シルク
リリリリス
セリオス・オーガスト
ゴルバルティア
ロゼット
相談掲示板
No.1
シスターシルクです なるほどシスターウェイブの効きそうな相手のようですね。 とりあえず物は試し黒猿蟲に放ってみましょうか
ヒーラーの神官戦士ロゼット、参加するわ。 まだ成立していないけど、仮に成立するとしたら、 たぶんクリーパー2体を何とか分断して、こちらも 2手に分かれて別々に撃破するのが堅実かしら。 >大事なこと ・初期位置からの接近中、黒猿蟲の黒球への対応 ・接敵後、同じへクスに居るクリーパー2体を離す方法 ・2体を離した後、撃破する側のクリーパーに隣接する人 ・近接メインの黒虎大鰐を、少しづつ黒猿蟲から引き離す ・クリーパー2体を合流させないまま撃破 大雑把には、こんな感じかなと。
ウォーリアのイヴェール・イリュジオンです。 どうぞよろしくお願い致します(ぺこり) そうですね、このまま連携を維持されると厳しい戦いを強いられますし、分断を図りこちらも二手に分かれて対応するのが私も良いと思います。 引き離すとしたら私が出来るのはドラゴンチャリオッツでしょうか? 吹き飛ばした後の黒虎の足をどう止めるかが問題ですが…抵抗が高く、移動阻害などを付与し難いので殺界など他の手段で足止めする形になりそうですね… 黒猿蟲はこちらも吹き飛ばせれば良さそうですが…黒球の重複効果が厄介ですね… 盾役を立てれば黒球の集中攻撃を受ける事になるので、早期に倒さないと威力の重複された黒球に致命傷を貰う事になりそうです。 近い敵を優先して狙う習性を利用して攻撃を受けた場合、盾役になる人を入れ替えるようにした方が良いかも知れません。 >接近中の黒球対応 当たらないに越したことはないですがそういう訳にはいきませんし、あれが動く前に距離を詰めるか、 黒虎対応予定の方に先行して頂いて盾になって貰ったら黒猿蟲対応予定の方に余裕を残せるでしょうか?
成立まであと1名ね。成立するか分からないけど、 ざくっとした作戦ぐらい立てておきましょうか。 同じヒーラーのシルクが黒猿蟲に仕掛けそうだから、 私は黒虎大鰐の方を希望しておこうかな。 >作戦案(仮) 1.近接タイプは敵に向けて移動 2.移動中に黒球を受けた人は先頭を交代 3.黒虎をイヴェールのドラゴンチャリオッツで吹き飛ばす 4.黒虎対応は吹き飛んだ黒虎と距離を詰める(ここで分断) 5.黒虎大鰐組と黒猿蟲組、別々にして戦闘開始 6.2体は合流はさせないこと >黒虎大鰐と戦う人 ・爪牙の能力から「耐えるタイプ」の方が相性は良い? ・「魔法防御」はある方が望ましい >黒猿蟲と戦う人 ・黒球の能力から「回避するタイプ」の方が相性が良い? ・抵抗が低いためBS、特に命中を下げるのはオススメ >イヴェール >吹き飛ばした後の黒虎大鰐 備考1によると、サブ移動で攻撃できる距離に敵がいれば、 合流より攻撃を優先するらしいから、吹き飛ばした後は 前衛が距離3を保っていれば、合流は防げるかなと。
人手不足と伺いまして…! 私(ワタクシ)、リリリリスですわ! 吹き飛ばした後の…魔獣の引き付けを行えばよろしいかしら?
遅くなったぜ ウォーリアのゴルバルティアだ んと…私はどっちの方がいいんだ? 防御はあるが魔法防御は低いし、回避がそこそこあるんだが…
成立ね。 私は黒虎大鰐を引き付けながら、魔法攻撃で叩くわ。 回復スキルもセットしていくから。 もし先に黒虎大鰐を倒せたら、黒猿蟲の加勢に行くわ。 >ゴルバルティア 回避なら、黒猿蟲かな?回避集中して避けることを重視して。 セリオスも相性わるくなさそうだし、協力しても良いかもね。 >リリリリス そうね。言った感じで。イヴェールも吹き飛ばしを狙うかも しれないから、その時は2体を逆方向に飛ばす感じかな。 どちらの相手をするかは希望次第けど、ウォーリアなら 黒虎大鰐の攻撃に耐える方が良いかしら。お任せで。 >各自の狙い ・黒虎大鰐 ロゼット ・黒猿蟲
>吹き飛ばした後の黒虎大鰐 であればドラゴンチャリオッツで吹き飛ばした後、リリリリスさんに距離をそのまま詰めて頂いて黒虎の足止めをして頂くのは? それなら役割を分担出来るのでリリリリリスさんにその分、特性に別のものをセットして頂けるかなと。 吹き飛ばしは通常なら9へクスですが、重量次第では半分になりますので4、5へクス吹き飛ばせると思います。 最悪は0ですがそこまで重くはないはずですが… 私はどうしましょうか…祭刀があるのでそちらに持ち変えれば黒虎相手でも一定のダメージは出せますが、 黒猿蟲に対してはリスク分散の必要性から相応に人数が欲しいところでもあるのですよね…
・・・・顔出しが遅くなってすまん、シューターのセリオスだ、よろしく頼む とりあえず引きはがし手で問題ないと思う、連携をとられるのがネックのようだしな とりあえず俺は猿のほうを予定しておく。防御抵抗が低いようだからインベイシブアローでけずっていく予定だ ・黒虎大鰐 ロゼット ・黒猿蟲 セリオス
うし、なら私は可能なら黒猿蟲にドラゴンチャリオッツぶちこんでさらに引き離せるようにするぜ! ………デカイムカデとか、あんまり近づきたくないけど…() ・黒虎大鰐 ロゼット ・黒猿蟲 セリオス ゴルバルティア
>イリュジオン様 『リ』の数に違和感がありましたが…まあ、いいですわ! 足止め、しっかりさせて頂きますわね! ・黒虎大鰐 ロゼット リリリリス ・黒猿蟲 セリオス ゴルバルティア
No.12
初手ブルーフレアの後 黒猿蟲にシスターウェイブを見舞います。 うまく行けばそのまま戦闘不能にできますが仕留め損なった場合は御容赦を
…数の違和感は気のせいでしょう(( 悩みましたが移動力の関係もあるので私は物理攻撃偏重のままでいきます。 耐久力をほぼスキル任せにして攻撃に寄せているので早々に倒れたらすみません… ・黒虎大鰐 ロゼット リリリリス イヴェール ・黒猿蟲 セリオス ゴルバルティア シルク