【想石】エルフの子、チョコを買いに
狐野径
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シナリオID:1924
オープニング
フィルエス大森林のとある里に住まうエルフの子どもたち。
年齢は十歳前後。
女の子はエキル。
男の子はラビト。
両親は違うけれど、年が近いし、小さいころから一緒にいることが多くて、双子みたいな感じになっていた。
いつも明るく元気よく、里の中を駆け回る。
そんな二人は最近、冒険者を見た。
『灰火の守部』グレイオンスが里の近くで魔物を見つけ、その討伐に冒険者が来たからだ。
近くで弓の練習をしていた二人も一緒に魔物を見たり、避難した。
ウル・ヘルバ以外のハーフビーストを見たり、ヒューマン見たり、ゴブリン見た。色々な人がいるんだと勉強になる。
魔物もすぐに討伐されたし、遊んでもらったし、大変満足した。
「森の外に行ってみたいよね」
「うん。でもさ、用がないとダメだよね」
一番いいのはウルがいるときに頼めば、大人に折り合い付けて連れて行ってくれるだろう。
ウルは忙しいようで遊んでくれない。
外に行くにしても自分たちでどうにかしないといけない。
ウルとの会話で「チョコレート」について聞いたのを思い出した。
二月のこの時期に、大切な人にチョコレートを贈るということを定着させようと、商人が頑張ったという話。
チョコレートはウルがくれたから食べた。
おいしかったような、よくわからない味だったような……。
その時期は、まさに今だ。
「それだ」
二人の声は重なる。
「お父さんとお母さん」
「おじいさんや先生」
「あと、お兄さんたちにも?」
「キツネさん!」
エキルとラビトは誰にチョコレートをあげるか考える。
「でも、買い物にはお金がいるんだよね」
「ボク持ってない」
「ぼくも」
二人はしょぼんとなる。
二人の視界の隅を、ヤギが通った。
このヤギたちはグレイオンスの知り合いが、世話できないからといって送り付けてきたのだ。里の片隅に小屋を持ち、住んでいる。
「そうだ、ヤギに手伝ってもらって、お金も稼げばいいんだ」
「ひともふり1Gならいいのかな?」
「いいよね」
「三匹いるんだよ」
「そっか……来てくれるかな」
二人はヤギに話しかける。
「ねぇ、チョコレートを買いに行くのを手伝って?」
「ヤギさんたちも外行きたいよね?」
ヤギたちは「めぇ」「でめぇええ」「めぇえ」と鳴いた。
「来てくるの!」
「やった」
二人は勝手に解釈して喜ぶ。
ヤギが来た経緯を考えるとヤギの所有権はグレイオンスにあると思われるが、グレイオンスの認識は預かっているだけ。ウルが世話をしているため、ヤギの飼い主はウルと思われている節もある。小屋はウルがコツコツ作っていたし、それを二人は手伝いもした。
エキルとラビトは、ウルのヤギだと考えている。
どっちにしろ、小屋に住むヤギたちは住民でもある。
二人がヤギと遊んでも構わない。自分たちやヤギに危険が及ばなければ。
「いつ行く?」
「今で……明日かな」
「うん」
二人はワクワクとして準備をする。
必要なものは何か考えたり、こっそり弁当を用意したり。
隠し事しているのは周囲の大人は気づいていた。だから、それとなく聞かれるけれども、
「ないしょ」
と二人は答えるだけだった。
大人たちは無理に聞き出すことはなかった。
大人たちは、様子を見ることにした――これが、事件につながるとは思いもしなかった。
翌日、ヤギたちがいないことに大人が気づいた。
「散歩に連れて行ったのか」
というくらいに考えもしたけれども、昨日の様子を考えると子たちの所在は確認したいところだ。
里やその周辺の森にはいない。
家の中には「さがさないでください」「しんぱいしないで」という書置きがあった。
「……あの子たちっ!」
「家出!?」
より一層大騒ぎになる。
結果、方々に手を尽くすとともに、冒険者の手を借りるため、代表でクルモという名の男が道を急いだ。
一般的なルートで、近くの冒険者ギルドに向かう。
●街に到着
ヤギたちを連れて、エキルとラビトは意気揚々と出かけていた。
用心のために小さな弓は持っている。
お弁当もきちんとカバンに入れている。
「きちんと書置きもしたし」
「夕飯までには帰ってくるから『さがさないで』ってかいたよ」
「うん、ぼくもしんぱいしないで、て書いた」
二人は肝心な部分を端折っている。
そして、二人は、ウルが教えてくれた最短ルートを歩いていた。
最短ルートは道を部分的に通らないため、迷子の危険もある。
それでも、きちんと教わっていたので、迷わず、街に到着した。
「うわー」
「ヒューマン、いっぱいいる」
二人はワクワクして歩き出す。
何をしに来たか忘れているけれども。
ヤギたちはヒトが多いし、馬車が通ったり、普段と違うところにびっくりした。
「でめぇええええ」
「めぇえええええ」
「めぇへええええ」
三匹三様で鳴く。
「落ち着いてよ」
「どこに行けばいいかな」
エキルとラビトはヤギをなだめながらきょろきょろしていた。
「どこでしようか?」
「人がいるところかな」
二人は観察の結果、移動していく方向を見て市場に到着する。
「ここでいいい?」
「あ、チョコレートが売ってるよ」
二人は、ヤギを連れつつチョコレートの値段を見た。
100Gとある。
「えっと……」
「……ヤギ、たくさん触ってもらわないとダメかもしれない?」
二人は衝撃を受ける。
チョコレートは簡単に買える値段ではないようだった。
「でも、やってみないとわからないよね」
「10Gにすればいいかな?」
「でも……それでヤギと遊んでくれるかな?」
二人は少しやる気をそがれながらも、市場を歩く。
市場の活気に二人は驚く。
これまでも人は多かったけれども、荷物を運ぶ人や行きかう人などまた違う動きだ。
「どこで出せばいいのかな?」
二人はきょろきょろしながら歩く。
ただ、ヤギは、嫌がった。
歩きたくないというのもあるのだろうか?
休憩した方がいいのかもしれない。
「三匹とも……」
二人はおろおろしている。
端っこの方で場所を見つけたので、向かおうとした。
しかし、馬車が通る。
ヤギがすぐに動かない。
ヤギの方に二人は寄ろうとした。
周りにいた人間が「渡ったらダメだよ」と注意してきた。
二人は、ヤギの手綱を離してしまった。
ヤギたちは、馬車に驚いて逃げていく。
「ヤギたちっ!」
「あああ」
二人は追いかけ始めた。
●結局……
冒険者ギルドにやってきたクルモ。
里のエルフの子ども二人、エキルとラビトが書置きを残して家出した。
どうやら、里にいたヤギ三頭も連れて行っているぽいという。
「どこに行ったか分かりません。森の中なのか、外なのか……。森の方は我々の方がわかりやすいでしょうが、こちらに出られると全く分かりません」
家出の原因はわからないという。
「この街にいるかもわかりません。見つけたら保護をお願いします」
クルモ自身、しばらく街で二人を探してから帰るという。
さて、冒険者たちは?
この街を歩いていて、ヤギが走り去るのや、エルフの子どもがおろおろしているのを見るかもしれない?
依頼を見て子どもたちを探しているのかもしれない?
解説
マスターより
リプレイ
冒険者ギルドに来た冒険者たち、仕事を引き受けた。
フロマーシュ・ダイヤドロップは先日依頼の後、遊んだ二人を思い出す。
「エキルちゃんとラビトちゃん……ライナ様と一緒に遊んであげた子たちが、行方不明に!?」
ライナ・フレイヴァルツも思い出す。元気一杯な子たちだった。
「家出するような悪い子たちではなかったから、何かしらの理由があるはずだ」
「そうです。きっと何か事情はあるはずです」
「そうだな、大きな騒ぎになる前に私たちで見つけてあげないと」
フロマーシュは「ヤギたちもですね」と告げた。
ヤギたちは自由に動き回れる状態とはいえ、たまたまいなくなったというよりも、子どもたちが連れて行ったと考えると自然だった。
ライナは【絵画】を用いて二人の絵を描き、それぞれに持ってもらうことにした。
だわはその依頼の時、子どもたちと顔は合わせているが、はっきりと思い出すほど相手をしていなかった。
「……あぁ、あいつら」
うろ覚えだが、ライナやフロマーシュの話や絵から、ある程度、イメージはついた。
ヤギの方は全くわからないため、クルモに毛色や大きさを聞く。
しかし、クルモのヤギに対しての記憶はあいまいだった。
白くて角があったかも、大きさはこのくらいなはずという感じ。
その上、ヤギに名前があるかも不明。
アリッグ・レイダーは状況を聞き「家出ねぇ、一体何が原因なのやら」とつぶやく。
ヤギを見つけるのはなかなか骨が折れそうだとわかる。
そうなると、エキルとラビトを探すのが先だろう。
街の地図で、子どもが寄り付きそうな場所と危険な場所を確認する。
「みんなで力を合わせて、二人を探し出しましょう!」
アリッグはさわやかに言う。
「ばらばらに探した方が早いですよね。一定時間たったら、集合場所で状況確認しませんか?」
だわが「なるほど」と小さく首を縦に動かした。
「町の中央か市場でしょうか?」
アリッグの提案にライナは「そうだな……中央の方がいいのか」と地図を覗き込みいう。
フロマーシュが指さした。
「この辺りはどうでしょうか?」
アリッグも考えていたあたりだったし、他の者も異存はなかった。
●捜索する冒険者 まず一周目
子どもたちもヤギたちもどこかにいるはずと信じたかった。
違う街に行くことはひとまずわきに置こう。
そして、冒険者はギルドをまず起点に方々に散る。子どもたちの捜索やヤギ捜索を開始する。
ライナは森で暮らすというエルフの特性を考えると、エルフは珍しいはずだと考えていた。
大人ならば何かあれば来るとしても、子どもの姿だとより珍しいはずだ。
地道に聞き込みをする。
「すまない、エルフのこのような子どもは見なかっただろうか? ヤギを連れているらしいのだが」
芳しい回答はないが、街の中心部に向かうと少し変わるかもしれない。
フロマーシュは受け持った方向にまずは足を向けた。【超聴覚】を使い、できる限り音を拾おうと考えた。
街の中ということで音は様々ある。
それでも、子どもの声やヤギの声は目立つはずだ。
念のために子どもの声の主を確認すると、関係ない子どもということもあった。
「仕方がありません」
地域の人たちにも聞き込みをするが、なかなかそれらしい回答はなかった。
だわは街の入り口の方に向かいながら、住民に絵を見せ「子どもたちとヤギを見なかったか」と問うていく。
同時に【超聴覚】を用いてヤギの鳴き声や記憶にある子どもの声を探す。
街の入り口でも森が近いところに到着した。
ヤギの足跡は見つけられる可能性を考えた。それらしいものはある。
地面を見ていると「どうしたんだい」と声をかけてくる人がいた。
だわが説明すると相手は見ていないというが、と「ヤギを売るなら市場じゃないかな」という。
二人がヤギを連れ出した理由がわからないから、市場を見てみるのは重要かもしれない。
方向は市場に向かっているようにも見えた。
アリッグは聞き込みとスキルを活用し進める。
子どもたちの感情を拾うため【残留思念感応】、ヤギたちの声を拾うために【超聴覚】を生かす。
なかなか見つからない。
「まったく、迷惑かけやがって」
思わず漏れるボヤキ。
捜索してもらえるということには、愛されているということがあるからだ。
うらやましいという感情がよぎるが、表には出さず、捜索に力を割いた。
一旦、集合する冒険者。
集合場所に向かいながら聞くと、目撃はあるようだ。
市場で聞けば、馬車の前に飛び出しかけた子どもの話は聞ける。
集めた情報をまとめると、捜索していないところがわかる。
その方向でおおよその分担を決めて進めていくことになる。
ライナは地図を読み取りながら、確認を取る。
「やや危険地域か?」
フロマーシュは「真っ直ぐ行けば外に出てしまいますね」と眉を寄せる。
「そうですね。街の中で探せるところは探していしまいましょう」
アリッグが言うと、だわが「そうだな、急ごう」と促した。
●捜索する冒険者 運命の二周目
ライナは市場から少し離れたところで、二頭のヤギのうち一頭が歯をむき出しにして怒り、一頭をかばっているのを見た。その前には商人風の男が一人いる。
穏やかな様子ではない。
ヤギたちには縄がついている。これを男が持っていないという点で何かある。
ライナは「どうかしたか」と声をかける。
ヤギたちが逃げるのも困るので、注意は怠らない。
男はヘラッと笑う。
「いやー、うちのヤギが逃げちゃって」
「それは奇遇だな。私のところもヤギが逃げてしまって」
「でめぇえええええええ」
ライナたちにつられるように、ヤギが何か言う。
「探していたぞ?」
ライナはヤギに話しかけた、男が「なんで、人のヤギに話しかけてんだ」と怒る。
ライナは男にかまをかけてみようと考える。
「これが私の探していたヤギでなく、あなたのヤギということはわからないはずだが」
「わかるさ!」
「なんで逃げたんだ?」
「売ろうとして連れてきたら、突然暴れてな」
「で、二匹逃げたのか?」
「見りゃわかるだろ」
「……少しいいか」
ライナは断りを入れつつ、ヤギに近づく。
ヤギは警戒しているが、その背にライナは触れた。
「無事でよかった」
語ると同時に、【動物交感】でエキルとラビトがヤギたちを心配しているだろうことを伝えたかった。ただ、どの程度、理解してくれるかわからない。
「……メェエエ」
ヤギの声は寂しそうだった。
「そうか。待ってるからいこう」
「メェエエ!」
ヤギたちは男を無視し、ライナについていくのだった。
フロマーシュはヤギの声を聞いた気がしたので、そちらに急いだ。
路地裏で、若い男数人と大きなヤギがいた。
ヤギは囲まれており、明らかに多勢に無勢のはずだが、人間の方が負傷しているように見えた。
男たちは捕まえて売ろうというようなことを話していた。
なお、ヤギは首にひもを付けているから、探しているヤギの可能性はあった。
「ちょっと待ってください!」
フロマーシュはチャージングも使い、輪の中央に入り込む。
近づいたフロマーシュに驚いたのは人間もヤギも一緒だった。
「て、てめぇ」
「邪魔すんな!」
という人間の声に続き、
「デメェエエ」
というヤギ。ヤギは、フロマーシュに角突きをした。
フロマーシュは慌てて盾で受ける。
「ちょっとヤギさんっ!」
フロマーシュの盾、対ヤギの角が始まった。
若者たちがどうしたものかと遠巻きに声をかけてくる。
「あ、やべぇ」
「……だ、大丈夫か?」
「このヤギ、凶暴でさ……」
ヤギに対して怒っていたはずの若者たちは、驚きの衝撃から怒りが消えたようだった。
フロマーシュはヤギと対峙したまま、若者たちに声を掛ける。
「……お話を伺ってもよいでしょうか?」
若者たちは事情を聞かれ、素直に答えた。
路地でいつも通り話し込んでいたら、ヤギが乱入してきた。
頭突きされ、けがをしたため、頭に血が上り、捕まえて売ろうと考え始めていたところだったという。
「……では、このヤギは預かってもよいのでしょうか」
「あんたのヤギ?」
「知り合いのお子さんのヤギのはずです」
「……」
「それと、ケガひどいようでしたら魔法で治しますよ」
「冒険者?」
「はい」
若者は状況をおおむね理解したのだった。
だわは捜索を進めていたところ、フロマーシュとヤギ、若者の声が聞こえた。
「何があった」
「だわ様っ! どうやったらヤギはおとなしくなるでしょうか」
だわは経緯がわからないが、フロマーシュが盾で角を受けている状況はわかる。
サバイバルなのか、ヤギの知識なのか、とりあえず、考える。
ヤギに近づくと、刺激しそうな気がする。でも、だわに来るかもしれない。
「俺が受ければいい」
「解決しません」
だわは「そうだな」と納得する。とはいえ、このままではよくない。
「落ち着け」
だわはヤギの縄を持った後、ヤギの背中に触ってみた。
触られたヤギは驚いて、角突きをやめた。
「デメェエエ」
逃げようとしたが、縄の影響で逃げられなかった。
だわは必死にヤギをなだめつつ、逃がさないことに力を注ぐ。
「で、何があった?」
ヤギが落ち着いたところで、フロマーシュや若者たちから説明を聞いた。
若者のケガを治した方がよさそうなら治し、フロマーシュとだわはヤギを連れてここを離れる。
アリッグは【残留思念感応】から子どもの感情を感じた。
「……とはいえ、完全には無理か」
方向は何となくわかったので、聞き込みしつつ進んだ。
人気のない路地で耳を澄ますと子どもの声があった。一方で、不審な人物たちの声も聞こえる。
今のうちに保護できれば、面倒は回避されるはずだ。
アリッグは子どもの方に進む。
角を曲がったところで、灰色の髪のエルフの子たちがいた。
緊張している上、矢に手が伸びている。
「僕は冒険者です。クルモさんに言われて、君たちを探しています」
アリッグは丁寧に声をかけた。
「……先生が?」
「……冒険者?」
二人は同時に声をあげた。
「ええ、エキルとラビトが家出したと大騒ぎになってクルモさんが依頼に来たんです」
「え? 家出!?」
「おかしいよ!」
二人が素っ頓狂な声をあげた。
とはいえ、子どもたちの説明を聞いている場合ではないため「ここにいるのは危険かもしれません。行きましょう」とアリッグは冒険者ギルドに移動するよう促した。
子どもたちは素直に従う。
アリッグは笑いながらも、視線の先の柄の悪い人間に注意を払う。
こちらの様子をうかがっているため、急いで大通りに向かうのだった。
●ギルドにて
冒険者ギルドに到着するエキルとラビト、ヤギたち。
出迎えたクルモは安堵し、叱る。
そのあと、子どももヤギもおやつや飲み物をもらい、一息ついた。
行方不明になった経緯は謎なため、質問を冒険者は始める。
「なぜ、家出した」
だわが問うとエキルもラビトは「違うよ」という。
子どもたちはクルモをちらっと見た後、口を開いた。
「チョコレートを買いに来たんだ」
「でも、お金がないから」
「ヤギたちに手伝ってもらおうと思って」
ぽつぽつと二人は語る。
「そうか、立派だと思うぞ」
だわは褒めるが、子どもたちは迷惑をかけたということでしょんぼりしている。
「自分たちで考えて、どうにかしようとしたのだから。それに……」
だわは褒める理由をとつとつと説明した。怯えられているのか少し不安もよぎる。
チョコレートを買い与えるのは簡単だけれども、そういうことではないと考える。
「ヤギを触っても構わないか?」
「あ、うん、いいよ」
「俺はどうも、動物に逃げられたり、威嚇されたりするから、料金を高くしてくれてもいい」
「……え? でも」
だわの意図がわからず、周囲を見る子どもたち。
「だわ様はヤギ触りのお客様になってくださるんですよ」
フロマーシュが解説した。
「……い、いいの」
「でも、さ」
「構わない。少しは、足しになるだろう?」
だわは多めに渡した、チョコレートには遠いけど。
「ありがとう」
「たくさん、触っていいよ」
子どもたちの反応とは裏腹に、ヤギたちは迷惑そうな顔だった。
アリッグは「人騒がせなやつらだぜ」と悪態をつく。
「ヤギに触れば1Gか、よい商売だな」
嫉妬から、ぬくぬく育った二人にどこか嫌味も言いたくなるが、色々考えることもある。
ヤギに軽く触って「ほれ、やるよ」とチョコレートを渡した。
「え、ええ」
「だ、ダメだよ」
子どもたちは目を輝かせたのも、チョコレートの値段を知ってそれはいいのかどうかわからなくなっていた。
「別に、また買えばいいし」
「……な、なら」
「もっと、ヤギたちをもふって」
「ま、待てっ!」
エキルとラビトはアリッグをヤギに押し付ける。
アリッグの抵抗、ヤギが怒ってアリッグに角突きをしてくる
「お前ら、状況を見ろ! チョコを握りしめるなぁ!」
アリッグはエキルとラビトにしがみつかれた上、ヤギにぐいぐい押されるし、大変な思いをするのだった。
ライナとフロマーシュはエキルとラビトの前にしゃがみ、視線を合わせる。
「無事でよかった」
「そうですね。二人もヤギたちも」
エキルとラビトは「ごめんなさい」と謝る。
「そうだな。チョコレートをプレゼントしたいというのはいいと思う。ただ、協力してくれる年の近い大人に相談すべきだ」
エキルとラビトはしょんぼりする。
「例えば、私とかフロマーシュとか」
「そうですよ。私も相談されたら張り切ってどうにかしちゃおうと思いますよ」
子どもたちは顔を明るくするが「でも、冒険者に依頼をするのもお金がいるんだよね」という。
「賢いな」
「でも、状況にもよりますし、相談するのが先ですよ」
賢いからこそ、ここまで来たのだ。
ただし、部分的に考えが不足し、書置きが足りかなったり、ヤギを一回触るという発想となる。
「それに、買うだけがチョコレートではないんだぞ。作ることもできるんだ」
子どもたちは目を丸くする。
「カカオ!」
「栽培しよう!」
子どもたちの発想にフロマーシュとライナが驚かされる。
「今回は、ヤギが稼いだチョコレートからチョコ菓子を作る、ということで手をうたないか?」
「そうです、そこでお願いします」
エキルとラビトが今度驚く。
「チョコレートのお菓子?」
「作れるの」
それはまた今度となるだろう。
まずは里に帰って、親などに無事を伝えなくてはいけない。
クルモに連れられて帰る前に、エキルとラビトは冒険者に頭を下げる。
「今回は、お騒がせしました、ごめんなさい」
声が重なる。
そして、手を振って、ヤギを連れて大森林に出発した。
マスターコメント
ショートシナリオ易しい 報酬:標準4 / 4〜6人
2022年02月24日 21時28分57秒 公開
相談掲示板
ヒーラーのアリッグ・レイダーと申します。 よろしくお願いします! まだ人数はそろっていませんが、とりあえず簡単にできそうなことは、 町の人々への聞き込み、探索スキルによる捜査、ぐらいですかね。 あとは、保護する際に何か良からぬ事が起こっていた時の対応、 およびPC情報になってない、家での理由を聞くとか……ですかね。 とりあえず人数がそろってくれることを祈りましょう!
だわと呼んでもらえれば。よろしく頼む。 家出、もとい迷子……か? 危険に遭いそうな時に自力で逃げられなさそうなのは子供達の方だが、既にトラブルに巻き込まれていた場合はヤギの方が苦労するかもしれない。 売られそうになっていたりすれば説得で取り返せるのか、あるいは市場で売り物を食べるなどしてしまっている可能性も……。 ギルドでビッグオウムを借りて空から探すとかもできるかもな。 無事見つけられたら一刻も早くクルモに知らせてやりたい。 あと2人ほど人手がほしいな。揃うといいが。
キャスター、ライナ・フレイヴァルツだ。 今回はよろしくな。 以前の依頼に参加し、一緒に遊んであげたのでせっかくの縁だ。 しっかりと手伝わせてもらおう。 …二人もヤギたちも何かしらのトラブルには逢っているかもしれないし、 逢っていないかもしれない。 様々な場面を想定して動くしかなさそうだな。 私たちが知っている部分としては、依頼を受けてからの部分になるか。 以下は子供たちしか知らない事情だと思うが、 ①チョコレートを買いたい ②そのためにはお金を稼がないといけない ③ヤギたちの力を借りてお金を稼ぐ(そのヤギが逃げてしまった) という流れで動いていたようなので、やはりそれを情報にするには聞き込みが大事だな。 路地裏に迷い込んでなければいいのだが。
ウォーリアのフロマーシュ・ダイヤドロップと申します。 皆様よろしくお願いいたしますっ! 以前ライナ様と一緒に遊んであげた子供たちと、連れていたヤギたちがいなくなってしまったのですか!? ここは無事に見つけてあげないと! エキルちゃんとラビトちゃんの特徴はおおよそ分かっていますが、ヤギの方は特定がその2人より難しそうですので、聞き込みはもちろん、スキルを含めた、見つける為の行動をできるだけたくさん重ねていきたいところですっ。 市場などで聞き込みして、そこから探す場所を絞っていくか、できるだけ多くの場所を回りつつ、その各所で聞き込みもしていくか、でしょうか? どちらもしていける余裕があればどちらもしていきたいですけど…
無事人数が揃ったようですね。 改めてよろしくお願いします! ダイヤドロップさんとフレイヴァルツさんが 二人の特徴を知っているのであれば、僕はまずそれを教えてもらう事にしますね。 僕の場合、スキルは残留思念感応、超聴覚あたりが使えそうですかね。 ヤギの鳴き声は超聴覚あたりが頼れそうで、二人を探す際に残留思念感応辺りを使おうかな? 聞き込みについてですが、僕はやはり色々な場所で聞くのが良いかなと思いました。 予め集合する場所を作っておけば、情報の交換もできますからね。 運よく途中で二人を見つけることができれば御の字ですし、 そうでなくても、色々な情報を集めれば、二人の場所の特定につながるかなと。 厄介そうなのがヤギの方ですかねー? 3匹バラバラになってたら特定が難しくなりますし、 二人を確保してから、探した方が効率的ですかねぇ? ただ、確保が遅くなると、どこかの悪徳商人とかにヤギを持ってかれる可能性もあるので、 そうなった場合の対策も考えておきたいですね。
集合して情報共有は良さそうだな。 場所の候補は市場辺りになるだろうか。 俺はギルドで街の地図が入手できれば、捜索エリアのマッピングをしていくつもりだ。早くに見つかっていれば一番いいが、見つからずとも未捜索の場所を絞り込んでいければと。 ヤギの毛色などの特徴はクルモから聞けると思うから、それを元にして探そうと思う。 あとは、森を抜けてきたなら蹄に土がついているかもしれないから、足跡に気をつけてみる。 そういった方針で行動計画を出しておく。
かしこまりましたっ! エキルちゃんとラビトちゃんの特徴については、捜索前に共有できればそうしていきますが、そのためにも一端市場に集合、でしょうか? 地図を借りる事ができれば捜索にも役立ちそうですから、そこは私も利用していきたいと思いますっ。 超聴覚は用意できますので、そちらを利用して捜索していきますっ! 確かに悪い人に捕まえられていた場合の対策も考えておかないとですよね… ギルドからの依頼を受けている事を伝えながら交渉したり、 万が一の時は直接守る事も視野に入れていく事も考えております。
都市部にエルフの子供がうろついている事自体、そうない事だ。 基本的には森で過ごす種族なだけに、それだけで特徴になるだろう。 とはいえ、より詳細な顔が分かれば見つけやすいかもしれないな。 【絵画】を用意して羊皮紙に描いてみて、 この子供を見かけなかったかと探してみることにするよ。 他の皆にも私が描いたものを渡せれば渡してみる。 後はそうだな、ヤギたちを見かけたら【動物交感】でどのような状態なのか しっかり確認する。 ヤギが商人の手に渡っているのであれば、無償で渡してもらうことは難しそうだ。 宝石でも用意しておくか…?
地図はよさそうですね。 僕も利用しようと思います! 絵を書いていただけるのは助かります! では、僕はそれを使って捜索することを基本としますね。 集合する場所は僕がプレイングに【集合場所は町の中央、市場があればそこに設定】と 書いておきます。 流れとしては 地図を用意し絵画を受け取る ↓ 皆とは違う方向に向かって聞き込み&スキル利用 ↓ 一旦集合して情報交換(この間に見つかれば共に行動) ↓ 二人がいそうな場所&ヤギがいそうな場所を探索 ↓ 誰かがヤギを所持していた場合、返してもらう行動 大まかにこんな感じにしようと思います。 誰かがヤギを所持していた場合、ダイヤドロップさんのように ギルドの依頼で、僕たちが冒険者であることを伝えて 更に、僕はそれに付け加えて 返さない場合、ギルドの偉い人が動いて大変な事になると カマをかけてみようと思います。 【一部誤字があったので修正しました】